JPH09132688A - 多価金属含有樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

多価金属含有樹脂粒子およびその製造方法

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JPH09132688A
JPH09132688A JP31161095A JP31161095A JPH09132688A JP H09132688 A JPH09132688 A JP H09132688A JP 31161095 A JP31161095 A JP 31161095A JP 31161095 A JP31161095 A JP 31161095A JP H09132688 A JPH09132688 A JP H09132688A
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JP
Japan
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polyvalent metal
acid
metal salt
carboxylic acid
organic carboxylic
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JP31161095A
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English (en)
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Seiichi Tejima
成市 手嶋
Minoru Aoki
稔 青木
Yoshinobu Asako
佳延 浅子
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱安定性に優れた多価金属含有樹脂粒子の
製造方法を提供することにある。 【解決手段】 上記課題は、カルボキシル基を持たない
ビニル単量体(A)を、有機カルボン酸の多価金属塩
(B1)、並びに少なくとも重合温度において多価金属
の酸化物および/または水酸化物(C)と有機カルボン
酸化合物(D)とから生成する多価金属塩(B2)のい
ずれか一方若しくは双方からなる多価金属塩(B)の共
存下で分散重合することを特徴とする多価金属含有樹脂
粒子の製造方法により達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多価金属含有樹脂
粒子およびその製造方法に関するものである。さらに詳
しくは、耐熱性に優れた多価金属含有樹脂粒子およびそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル系樹脂粒子、特にその
平均粒子径が0.1〜500μm程度のものは、例え
ば、樹脂フィルム用耐ブロッキング剤、静電荷現像トナ
ー用添加剤、粉体塗料および水分散型塗料、化粧板用添
加剤、人工大理石用添加剤、化粧品用充填剤、クロマト
グラフィーのカラム充填剤などの用途における適用が期
待される。例えば、樹脂フィルム用耐ブロッキング剤と
して用いる場合、望まれる特性としては、これを添加す
る樹脂と屈折率が近似することおよび耐熱安定性が良好
であることなどが挙げられる。以下、この点をさらに詳
述する。
【0003】ポリオレフィンフィルムは、包装材料とし
て食品を始めとして種々の物品の包装などに使用されて
いるが、該フィルムを積層した場合、フィルムが互いに
密着する、いわゆるブロッキングを起こし、包装などの
作業性を著しく低下させるという欠点を有している。従
来ポリオレフィン中のブロッキングを防止し、滑り性を
向上させる手段として、微粉末のシリカ、タルク等の無
機物の微粒子をフィルム中に均一に混合する方法が実施
されているが、このような無機物を使用してポリオレフ
ィンフィルムに十分な耐ブロッキング性および滑り性を
付与するためには多量の無機物を混合する必要があり、
また無機物を混合したポリオレフィンフィルムを延伸処
理する場合、無機物の周囲にボイドが発生し、フィルム
の透明性および機械的強度の低下を引き起こすという問
題が生じていた。
【0004】上記のような無機物に代えてポリアミドの
微粉や、トリアジン環を有する縮合型樹脂球状体を使用
することも提案されている。しかしながら、これらの有
機物を用いた場合においても透明性と機械的強度の両立
は困難であった。さらに、このような樹脂粒子を用いた
場合、樹脂粒子の耐熱性が十分でないと、フィルム用樹
脂の溶融混練時に樹脂粒子が分解し、分解成分による臭
気の発生およびボイドの形成が生じ、環境汚染、および
機械的、光学的特性の低下の虞れがあるため、耐熱性の
向上が望まれていた。これまでにも、特開平6−731
06号公報に示されているように併発する乳化重合によ
る副生微粒子の発生を抑制するなどして耐熱安定性の向
上がなされているが、必ずしも十分ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、従
来の樹脂粒子が有していた上記の問題点を解決するため
のものである。従って、本発明は、耐熱安定性に優れた
樹脂粒子およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、モノマー成分組
成を多価金属塩の共存下に分散重合することにより、該
多価金属に由来する耐熱安定性に優れた多価金属含有樹
脂粒子が得られることを見いだし、本発明を完成させる
に至った。
【0007】すなわち、本発明の目的は、(1) カル
ボキシル基を持たないビニル単量体(A)を、有機カル
ボン酸の多価金属塩(B1)、並びに少なくとも重合温
度において多価金属の酸化物および/または水酸化物
(C)と有機カルボン酸化合物(D)とから生成する多
価金属塩(B2)のいずれか一方若しくは双方からなる
多価金属塩(B)の共存下で分散重合することを特徴と
する多価金属含有樹脂粒子の製造方法により達成され
る。
【0008】また、本発明の他の目的は、(2) 上記
有機カルボン酸の多価金属塩(B1)が、重合性有機カ
ルボン酸の多価金属塩であり、上記有機カルボン酸化合
物(D)が、重合性有機カルボン酸である上記(1)に
示す多価金属含有樹脂粒子の製造方法によっても達成さ
れる。
【0009】さらに、本発明の他の目的は、(3) 上
記ビニル単量体(A)が、(メタ)アクリル酸エステル
化合物、スチレンおよびアクリロニトリルよりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の化合物を含む単量体である
上記(1)または(2)に示す多価金属含有樹脂粒子の
製造方法によっても達成される。
【0010】また、本発明の他の目的は、(4) 上記
多価金属塩(B)をビニル単量体(A)に溶解させた後
に分散重合する上記(1)ないし(3)のいずれか1つ
に示す多価金属含有樹脂粒子によっても達成される。
【0011】本発明の他の目的は、(5) ビニル系重
合体成分を50〜97重量%、多価金属を2〜30重量
%含む粒子状物であって、空気中300℃で40分間保
持したときの有機成分の分解率が60重量%以下である
ことを特徴とする多価金属含有樹脂粒子により達成され
る。
【0012】また、本発明の他の目的は、(6) イオ
ン交換容量が、0.01meq/gHR以下である上記
(5)に示す多価金属含有樹脂粒子によっても達成され
る。
【0013】また、本発明の他の目的は、(7) 粒子
径が、0.1〜500μmの球状粒子である上記(5)
または(6)に示す多価金属含有樹脂粒子によっても達
成される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて詳細に説明する。
【0015】まず、本発明に係るカルボキシル基を持た
ないビニル単量体(A)と、多価金属塩(B)とが共存
状態にある混合物(以下、単に重合性単量体混合物とも
いう)中の該ビニル単量体(A)の割合は、通常60.
0〜99.5モル%、好ましくは80.0〜99.5モ
ル%の範囲である。また、重合性単量体混合物中の多価
金属塩(B)の割合は、通常0.5〜40.0モル%、
好ましくは0.5〜20.0モル%の範囲である。この
場合、多価金属塩(B)としては、有機カルボン酸の多
価金属塩(B1)、あるいは少なくとも重合温度におい
て多価金属の酸化物および/または水酸化物(C)と有
機カルボン酸化合物(D)から生成する全モノマー溶液
に可溶な多価金属塩(B2)を単独で用いてもよいし、
(B1)および(B2)の両者を混合して用いてもよ
い。両者を混合して用いる場合、混合の比に特に制限は
ない。
【0016】重合性単量体混合物中におけるビニル単量
体(A)の割合が60.0モル%未満であったり、多価
金属塩(B)の割合が40.0モル%を超える場合に
は、多価金属塩(B)がビニル単量体(A)に溶解しな
いという問題や、重合中に沈殿が起こり均一な多価金属
含有樹脂粒子が得られないことがある。また、ビニル単
量体(A)の割合が99.5モル%を超えたり、多価金
属(B)の割合が0.5モル%未満の場合には、得られ
る多価金属含有樹脂粒子の耐熱性が不十分となることが
ある。
【0017】本発明に係るカルボキシル基を持たないビ
ニル単量体(A)としては、特に制限されるものでな
く、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アク
リル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−
ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アク
リル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、
(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル
酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オク
タデシルおよび(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチ
ルなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル化合物、
(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェ
ニルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル化合
物、エチレン、プロピレン、塩化ビニルなどのオレフィ
ン系の炭化水素またはこれらのハロゲン置換体、スチレ
ン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニルなどの1価のカルボン酸のビ
ニルエステル化合物、(メタ)アリルアルコール、クロ
トンアルコールなどの不飽和アルコール化合物、ジビニ
ルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、マレイン酸ジアリルなどのポリビニル化
合物、2(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレー
ト、2(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレー
ト、2(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレー
ト、2(N,N−ジエチルアミノ)エチルメタクリレー
トなどのアミン化合物、2−ビニルピリジン、3−ビニ
ルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビ
ニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、2−
ビニル−5−エチルピリジン、2−ビニルキリノン、1
−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、1−
メチル−3−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾ
ール、2−ビニルイミダゾール、4−ビニルイミダゾー
ル、4−ビニルピリミジン、1−メタクリロイルアジリ
ジン、2−(1−アジリジニル)エチルメタクリレー
ト、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイ
ルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−
ペンタメチルピペリジン、9−アザ−3−アクリロイル
オキシメチル−3−エチル−8,8,10,10−テト
ラメチル−1,5−ジオキサ−スピロ[5.5]ウンデ
カンなどの窒素原子含有有機複素環化合物などを挙げる
ことができ、これらの中から1種または2種以上用いる
ことができる。
【0018】上記ビニル単量体(A)のうち、(メタ)
アクリル酸エステル化合物、スチレンおよびアクリロニ
トリルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含む単量体が好ましい。さらに、これら好適な化合物
を通常80〜100モル%、好ましくは90〜100モ
ル%の割合で含む単量体がより望ましい。該好適な化合
物の割合が上記範囲にある場合には、該化合物に基づく
耐候性や透明性などの特性が向上した多価金属含有樹脂
粒子を形成できるからである。
【0019】次に本発明に係る多価金属塩(B)は、有
機カルボン酸の多価金属塩(B1)、あるいは少なくと
も重合温度において多価金属の酸化物および/または水
酸化物(C)と有機カルボン酸化合物(D)から生成す
る全モノマー溶液に可溶な多価金属塩(B2)により構
成されるものである。
【0020】このうち、上記多価金属塩(B1)および
(B2)を構成する多価金属としては、いずれの場合に
も、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、
バリウムなどのアルカリ土類金属類;マンガン、コバル
ト、ニッケル、亜鉛、カドミウムなどの遷移金属類;ア
ルミニウム、ガリウムなどのIIIB族金属類などを挙げる
ことができる。中でも亜鉛、カルシウム等が特に好適に
使用される。これらの多価金属塩を構成する多価金属
は、1種類でもよいし2種以上を併用して用いてもよ
い。
【0021】また、上記多価金属塩(B1)を構成する
有機カルボン酸としては、特に制限はなく、例えば、ギ
酸、酢酸、プロピオン酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸など
の飽和脂肪族モノカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類、アクリル酸、
メタアクリル酸などの重合性二重結合を有する酸、2−
アクリロイルオキシエチルコハク酸、3−アクリロイル
オキシプロピルフタル酸、等のエステル基を有する有機
カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸等の炭
素環カルボン酸類、フランカルボン酸、チオフェンカル
ボン酸、ピリジンカルボン酸等の複素環カルボン酸類、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の高分子カルボン
酸類などが挙げられ、これらの中の1種または2種以上
が用いられる。
【0022】上述より、有機カルボン酸の多価金属塩
(B1)としては、例えば、アクリル酸の多価金属塩、
メタクリル酸の多価金属塩、ウンデセン酸の多価金属
塩、オレイン酸の多価金属塩、クロトン酸の多価金属
塩、ケイヒ酸の多価金属塩、イソ吉草酸の多価金属塩、
2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロ
イルオキシエチルフタル酸の多価金属塩などのほか、多
価金属化合物とアクリル酸とメタクリル酸の2種の酸と
の間に形成された多価金属塩(下記に示す化学式1で表
される構造をもつ)、多価金属化合物とアクリル酸とイ
ソ吉草酸の2種の酸との間に形成された多価金属塩など
のように多価金属化合物と異なる複数の酸との間で形成
された多価金属塩(本明細書中では、当該塩を非対称金
属塩とも称する)など、1種の有機カルボン酸からなる
多価金属塩であってもよいし、複数の有機カルボン酸か
らなる多価金属塩であってもよい。このうち好ましく
は、アクリル酸の多価金属塩、メタクリル酸の多価金属
塩、ウンデセン酸の多価金属塩、オレイン酸の多価金属
塩、クロトン酸の多価金属塩、ケイヒ酸の多価金属塩、
2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロ
イルオキシエチルフタル酸の多価金属塩などの重合性有
機カルボン酸の多価金属塩、複数の有機カルボン酸から
なる多価金属塩のうち少なくとも1種の重合性二重結合
をもつ有機カルボン酸を含む重合性有機カルボン酸の多
価金属塩である。
【0023】
【化1】 これらの中でも、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜
鉛、ジ(2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸)亜
鉛、ジ(2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸)亜
鉛などの重合性有機カルボン酸の2価の亜鉛塩、アクリ
ル酸とメタクリル酸の2種の重合性二重結合をもつ重合
性有機カルボン酸の2価の亜鉛塩などが特に好適に用い
られる。
【0024】次に、上記多価金属の酸化物および/また
は水酸化物(C)(以下、単に多価金属(水)酸化物
(C)ともいう)としては、少なくとも重合温度におい
て有機カルボン酸化合物(D)と反応し全モノマー溶液
に可溶な多価金属塩(B2)を生成するものであれば特
に制限はなく、多価金属の酸化物あるいは水酸化物を単
独あるいは両者を任意の割合で混合して用いることがで
きる。
【0025】上記有機カルボン酸化合物(D)として
は、多価金属(水)酸化物(C)の共存下、少なくとも
重合温度において多価金属塩(B2)に移行し全モノマ
ー混合物に溶解し得るものであれば特に制限はなく、例
えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ吉草酸、ヘキサ
ン酸などの飽和脂肪族モノカルボン酸類、シュウ酸、マ
ロン酸、コハク酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸類、アク
リル酸、メタアクリル酸などの重合性二重結合を有する
酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、3−アク
リロイルオキシプロピルフタル酸、等のエステル基を有
する有機カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、サリチル
酸等の炭素環カルボン酸類、フランカルボン酸、チオフ
ェンカルボン酸、ピリジンカルボン酸等の複素環カルボ
ン酸類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の高分子
カルボン酸類などが挙げられ、これらの化合物の中の1
種または2種以上が用いられる。また、有機カルボン酸
化合物(D)の分子量は1万未満のものが好ましい。
【0026】添加する有機カルボン酸化合物(D)の酸
の割合は、通常、多価金属(水)酸化物(C)1当量に
対して少なくとも1当量であることが必要である。多価
金属塩(B2)の生成効率を高める、すなわち、反応を
完全に進行させるために、多価金属(水)酸化物(C)
1当量に対して1.0〜1.5当量の有機カルボン酸
(D)を用いることがより好ましい。また、有機カルボ
ン酸化合物(D)としては、多価金属塩(B2)の溶解
性が向上するなどの理由で2種以上の酸を混合して用い
ること(すなわち、上述の非対称金属塩を形成するこ
と)が好ましい。このうち2種以上の酸として飽和カル
ボン酸と不飽和カルボン酸を混合して用いる場合には、
有機カルボン酸混合物中の飽和カルボン酸と不飽和カル
ボン酸との比に特に制限はない。
【0027】なお、多価金属(水)酸化物(C)と有機
カルボン酸化合物(D)の添加方法には特に制限はない
が、通常、多価金属(水)酸化物(C)をビニル単量体
(A)に分散させ、重合温度にて所定量の有機カルボン
酸化合物(D)を添加するという方法がとられる。2種
類以上の有機カルボン酸化合物を用いる場合(非対称金
属塩を形成しようとする場合)には、各々の酸を順次添
加する方法や、予め混合した酸を一度に添加するなど、
添加方法に特に制限はないが、予め混合した酸を一度に
添加する方法が最も簡便である。
【0028】上述より、上記多価金属塩(B2)として
は、少なくとも重合温度において多価金属(水)酸化物
(C)と有機カルボン酸化合物(D)とから生成し得る
ものであればよく、好適な例を挙げるとすれば、ジアク
リル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、ジ(2−メタクリロ
イルオキシエチレンフタル酸)亜鉛、ジ(2−メタクリ
ロイルオキシエチルコハク酸)亜鉛、アクリル酸とメタ
クリル酸の2種の酸の2価の亜鉛塩(非対称亜鉛塩)、
メタクリル酸とヘキサン酸の2種の酸の2価の亜鉛塩
(非対称亜鉛塩)などが例示されるように、少なくとも
重合温度において生成される1種の塩であっても2種以
上の塩の混合物であってもよく、制限なく用いることが
できる。なお、(B1)と(B2)は、ビニル単量体に
多価金属塩を共存させる場合に、既成のものをモノマー
中に添加するか(B1)、あるいはモノマー中で新たに
生成させるか(B2)の違いであり、最終的な多価金属
塩としてみれば同じであることから、(B1)と(B
2)の好適な例も上述のように同じものとなる。
【0029】また、本発明においては、重合性単量体混
合物中に水が添加されていてもよい。この場合の水の添
加量は、ビニル単量体(A)と多価金属塩(B)の全量
100モル%に対し0.1〜5モル%、より好ましくは
0.1〜3モル%の範囲である。水の添加量がビニル単
量体(A)と多価金属塩(B)の全量100モル%に対
して1モルに対し0.1モル%未満の場合には、水を添
加しない場合と大差はなく、添加による有利な効果がは
っきりとは認められない。すなわち、得られる多価金属
含有樹脂粒子に導入できる多価金属塩(B)の量のさら
なる向上が図れず、該多価金属由来の耐熱性などの性質
のさらなる向上も認められないものである。また、水の
添加量がビニル単量体(A)と多価金属塩(B)の全量
100モル%に対し5モル%を超える場合には、重合性
単量体混合物中に不溶物が析出して均一な多価金属含有
樹脂粒子が得られないことがある。
【0030】さらに、本発明においては、上記ビニル単
量体(A)および多価金属塩(B)と共に、重合性二重
結合を持たない有機カルボン酸(E)を共存させること
ができる。この重合性二重結合を持たない有機カルボン
酸(E)の種類、割合を選択することによって得られる
多価金属含有樹脂粒子に成形加工性を付与することがで
きる。重合性二重結合を持たない有機カルボン酸(E)
は、多価金属塩(B)1モルに対して通常0.1〜2.
0モル、好ましくは0.5〜1.0モルの割合で加える
ことが好ましい。多価金属塩(B)1モルに対する割合
が2.0モルを超える場合には、多価金属由来の耐熱性
などの性能が不十分になったり、重合性単量体混合物中
に不溶物が生成して均一な重合ができなくなったりす
る。多価金属塩(B)に対する割合が0.1モル未満の
場合には、得られる樹脂粒子への成形加工性の付与が不
十分となる。重合性二重結合を持たない有機カルボン酸
(E)としては、特に制限されるものではなく、例え
ば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸などの飽和
脂肪族モノカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸類、シクロヘキシルカ
ルボン酸、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ナフト
エ酸、フタル酸、ケイ皮酸などの炭素環カルボン酸類、
フランカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピリジンカ
ルボン酸などの複素環カルボン酸類、ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸などの高分子カルボン酸類などが挙げ
られ、これらの化合物の中の1種または2種以上が用い
られるが、これらの中で、ヘキサン酸、安息香酸、サリ
チル酸などが特に好適に用いられる。重合性二重結合を
持たない有機カルボン酸(E)の添加方法としては、特
に制限はないが、後述する実施例5に示すように、ビニ
ル単量体(A)に多価金属塩(B)を溶解した後に所定
量を添加する方法が好ましい。
【0031】次に、本発明においては、ビニル単量体
(A)を多価金属塩(B)の共存下で、好ましくは多価
金属塩(B)をビニル単量体(A)に溶解させた後で、
分散重合するものである。
【0032】本発明における分散重合は、懸濁重合、沈
殿重合および乳化重合のいずれでもかまわない。これら
の中でも比較的大粒径の粒子を得やすく、粒子の取り出
しが容易であることから懸濁重合および沈殿重合が好ま
しい。中でも、比較的大粒径で、容易に球状粒子が得ら
れることから懸濁重合が最も好適に用いられる。
【0033】このうち、懸濁重合においては、懸濁粒子
の安定化を図るために分散安定剤を添加することができ
る、分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、ゼラチン、トラガント、デンプン、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシルエチル
セルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリ
ル酸ナトリウム等の水溶性高分子、アニオン性界面活性
剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤等があり、その他、アルギン酸
塩、ゼイン、カゼイン、硫酸バリウム、硫酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウ
ム、タルク、粘土、ケイソウ土、ペントナイト、水酸化
チタン、水酸化トリウム、金属酸化物粉末等が用いられ
る。アニオン性界面活性剤としては、オレイン酸ナトリ
ウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油、ラウリル硫酸ナトリ
ウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エス
テル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のア
ルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスル
ホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコ
ハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスル
ホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン
アルキル硫酸エステル塩等がある。ノニオン性界面活性
剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアルキルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エス
テル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリ
マー等がある。カチオン性界面活性剤としては、ラウリ
ルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等の
アルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムク
ロライド等の第4級アンモニウム塩等がある。両性イオ
ン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサ
イド等がある。
【0034】なお、上述の懸濁重合の溶媒としては、通
常、水が用いられる。
【0035】また、沈澱重合では、分散粒子の安定化を
図るために分散安定剤を添加することができる。分散安
定剤としては、ポリマーと分散媒に対して両親媒性を示
すものであり、ポリマーに親和性を持つ成分はポリマー
粒子にアンカーされ、分散媒に親和性を持つ成分がポリ
マー粒子表面から分散媒相に延び出して厚い溶媒和層を
形成することが必要であることがわかっており、具体的
には、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビ
ニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリビニル
アルコール、ハイドロキシプロピルセルロース、ポリジ
メチルシロキサン、ポリ(2−メチル−2−オキサゾリ
ン)、ポリ(n−ドデシルメタクリレート)、イソブチ
レン−イソプレン共重合体、ビニルアルコール−酢酸ビ
ニル共重合体、ポリスチレン−ポリジメチルシロキサン
のブロック共重合体などが挙げられるがもちろんこれら
に限定されるものではない。分散媒がホモポリマーであ
る場合は、それでポリマーと媒体との間の親和性のバラ
ンスが決まってしまうが、コポリマーの場合は、ポリマ
ー組成を変えることにより両親媒性に幅を持たせること
もできる。
【0036】また、上述の沈澱重合の溶媒(分散媒)に
は、炭化水素をはじめとする有機溶媒を使うことがで
き、通常、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなどのアルコール類が用いられるほか、エタノ
ールとメチルセロソルブの混合溶媒、トリメチルペンタ
ンと四塩化炭素系の混合溶媒などを用いることができ
る。これらの溶媒は、生成する重合体が溶解しないポリ
マー不溶性の溶媒を用いて重合を行う必要がある。
【0037】分散重合の際に用いる分散安定剤は、得ら
れる多価金属含有樹脂粒子の平均粒子径が所定の大き
さ、例えば0.1〜500μm、好ましくは0.5〜1
00μm、さらに好ましくは0.5〜30μmとなるよ
うに、その組成や使用量を適宜調整すれば良く、例え
ば、ビニル単量体(A)100重量部に対して0.02
〜10重量部の範囲で用いることが好ましい。
【0038】粒子径制御および重合時においては窒素雰
囲気下で行うことが好ましい。
【0039】重合開始剤としては、通常公知のフリーラ
ジカル触媒、例えば過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイ
ル、第三級ブチルヒロドキシパーオキサイド、過酸化ク
メン、過酸化メチルエチルケトン、第三級ブチルパーフ
タレート、カプロイルパーオキサイドなどの有機過酸化
物;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素な
どの無機酸化物;アゾビスイソブチロニトリウ、アゾビ
スイソブチルアミド、2,2′−(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)、アゾビス(α−メチルバレロニトリ
ル)アゾビス(α−メチルブリロニトリル)などのアゾ
化合物等を挙げることができ、これらの中から1種また
は2種以上用いることができる。これらの重合開始剤
は、重合性単量体混合物に対して0.01〜10重量%
の範囲内で適宜使用できる。
【0040】さらに分散重合に際して、前記重合性単量
体混合物中あるいは溶媒(分散媒)中には、必要に応じ
て、顔料、染料などの着色剤、あるいはその他の添加剤
等を配合ないし添加することもできる。顔料としては、
例えば、鉛白、鉛丹、黄鉛、カーボンブラック、群青、
酸化亜鉛、酸化コバルト、二酸化チタン、酸化鉄、シリ
カ、チタン黄、チタンブラック等の無機顔料、イソイソ
ドリノン、キナクリドン、ジオキサンバイオレット、フ
タロシアニンブルー、ペリノン顔料、ペリレン顔料、不
溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染色レーキ等の有機顔料
が用いられる。また、染料としては、例えば、ニトロソ
染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ジ
フェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサン
テン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染
料、ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン染
料、インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染
料、チアジン染料、硫化染料等が用いられる。またその
他の添加剤としては、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白
剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などを
挙げることができる。
【0041】なお、これらの着色剤およびその他の添加
剤は、ビニル単量体(A)への分散性の向上を目的とし
て種々の方法により表面処理されたものであってもよ
い。当該表面処理法としては、ステアリン酸、オレイン
酸等の長鎖の炭化水素で処理する方法、アクリル酸、メ
タクリル酸等の極性基を有する重合性単量体で処理をす
る方法、トリメチロールプロパン等の多価アルコールで
処理する方法、トリエタノールアミン等のアミン類等で
処理する方法、各種カップリング剤で処理する方法、あ
るいは着色剤またはその他の添加剤とこれらの表面の官
能基と反応しうるアジリジン基、オキサゾレン基、N−
ヒドロキシアクリルアミド基、エポキシ基、チオエポキ
シ基、イソシアネート基、ビニル基、ケイソ系加水分解
基、アミノ基等の反応基を有する重合体を20〜350
℃の温度で反応させ、着色剤またはその他の添加剤の表
面に重合体をグラフト化する方法などを挙げることがで
きる。
【0042】本発明の製造方法によって得られる多価金
属含有樹脂粒子たるビニル系重合体の粒子状物は、非常
に耐熱安定性に優れたものであり、代表的には、ビニル
系重合体成分を50〜97重量%、好ましくは70〜9
7重量%、また多価金属を2〜30重量%、好ましくは
2〜20重量%含む粒子状物であって、空気中300℃
で40分間保持したときの有機成分の分解率が60重量
%以下、好ましくは40重量%以下である。
【0043】なお、本明細書において述べられるこの定
温保持の有機成分の分解率は、室温より300℃まで昇
温するまでの時間を20分に調整し、300℃に達した
時点の時刻を0として40分間保持下後の重量減少を測
定することにより算出されたものである。また、樹脂サ
ンプル量は約10mgとし、さらに測定においては洗浄
空気を約200ml/分の割合で流す条件下において測
定されたものである。またここで述べる有機成分とは、
重合性単量体混合物に起因する重合体成分のみを指し、
多価金属含有樹脂粒子中に必要に応じて添加される有機
着色剤等の成分は除外して考察したものである。
【0044】さらに、本発明の製造方法によって得られ
る多価金属含有樹脂粒子たるビニル系重合体の粒子状物
のイオン交換容量は、0.01meq/gHR以下であ
ることが好ましい。従って、本発明の粒子状物は、通
常、COOH型のイオン交換樹脂のイオン交換容量(容
積容量)が2.5meq/mlHR(=7.5meq/
gHR程度)以上であるのに比して極めて小さく、イオ
ン交換能は持っておらず、これらのイオン交換樹脂とは
本質的に異なるものである。該イオン交換容量が0.0
1meq/gHRを越える場合には、多価金属が樹脂粒
子から流出することにより、該多価金属に由来する耐熱
性が著しく失われることがあり、樹脂フィルム用耐ブロ
ッキング剤、静電荷現像トナー用添加剤、粉体塗料およ
び水分散型塗料、化粧板用添加剤、人工大理石用添加
剤、化粧品用充填剤、クロマトグラフィーのカラム充填
剤などの用途における適用が困難となるため好ましくな
い。なお、イオン交換容量の測定は、「増補 新版分析
化学(化学同人)の第409頁の [実験12.6] カ
ラム法による無機イオンの陽イオン交換分析 (a)測
定用カラムの作製と交換容量の測定」に記載の手法に従
って、本発明の微粒子(あらかじめ4M HClで処理
し、イオン交換水で洗浄したもの)約5gを正確に秤量
し、ガラス管に移してカラムをつくり、2M NaCl
を1ml/minの流速でカラムに通し、流出液を0.
1N NaOH標準液で滴定し、交換容量を算出したも
のである。
【0045】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳細に説明す
るが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0046】実施例1 撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた300mlの
四つ口セパラブルフラスコに水酸化亜鉛4.0g(0.
04モル)を仕込み、次いでスチレン85g(0.82
モル)、メタクリル酸3.8g(0.044モル)、ア
クリル酸3.2g(0.044モル)を加え、均一な分
散液とした。さらに、ジメタクリル酸亜鉛2.4g
(0.01モル)を溶解させた反応混合物の温度を70
℃に上げた後、同温度で30分間加熱、攪拌し、透明均
一な溶液を得た。
【0047】撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコにエチルアルコ
ール700gを仕込み、PVPK−30(ポリビニルピ
ロリドン;東京化成工業株式会社製)14gを添加、溶
解させた後、更に上記した反応で得られた溶液100g
を加え、更に、アゾビスイソブチロニトリル1gを加え
た。その後攪拌しながら70℃で24時間重合した。得
られた固形物を遠心分離器によって取り出した後、熱風
乾燥機を用いて80℃で12時間乾燥し、微粒子(以
下、本発明の微粒子(1)という)90gを得た。
【0048】実施例2 撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた300mlの
4つ口セパラブルフラスコに酸化亜鉛4.5g(0.0
55モル)を仕込み、次いでステレン85g(0.82
モル)、メタクリル酸5.2g(0.060モル)、ヘ
キサン酸7.0g(0.060モル)を加え、均一な分
散液とした。反応混合物の温度を70℃に上げた後、同
温度で30分間加熱、攪拌し、透明均一な溶液を得た。
【0049】撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコにエチルアルコ
ール500gを仕込み、PVPK−30(ポリビニルピ
ロリドン;東京化成工業株式会社製)14gを添加、溶
解させた後、さらに上記した反応で得られた溶液100
gを加え、さらに、過酸化ベンゾイル1gを加えた。そ
の後、攪拌しながら70℃で24時間重合した。得られ
た固形物を遠心分離器によって取り出した後、熱風乾燥
機を用いて80℃で12時間乾燥し、微粒子(以下、本
発明の微粒子(2)という)80gを得た。
【0050】実施例3 スチレン100g(0.96モル)に、メタクリル酸2
0.7g(0.24モル)、エチレングリコールメタク
リレートフタレート67.5g(0.24モル)を加え
た。この溶液を70℃に加熱し、同温度において水酸化
カルシウム17.8g(0.24モル)添加し、30分
間攪拌の後、均一な溶液を得た。撹拌器、還流冷却器お
よび温度計を備えた2リットルの四つ口セパラブルフラ
スコにイオイン交換水900gを仕込み、ポリビニルア
ルコール(PVA−205;クラレ株式会社製)5.5
gを添加、溶解させた後、あらかじめ70℃に加熱し、
更に上記した反応で得られた溶液200gを加え、バイ
オミキサーにより5000rpmで5分間して均一な懸
濁液とした。更に、過酸化ベンゾイル8.0gを加え
た。その後攪拌しながら70℃で24時間重合した。得
られた固形物を遠心分離器によって取り出した後、熱風
乾燥機を用いて80℃で12時間乾燥し、微粒子(以
下、本発明の微粒子(3)という)120gを得た。
【0051】実施例4 メタクリル酸メチル100g(1.0モル)に水分量が
0.72g(0.04モル)となるように水を添加溶解
した後、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6
−ペンタメチルピペリジン19.1g(0.08モル)
を溶解した。この溶液にジメタクリル酸亜鉛70.5g
(0.3モル)を溶解した。
【0052】撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた
2リットルの4つ口セパラブルフラスコにイオン交換水
600g、ポリビニルアルコール(PVA−205;ク
ラレ株式会社製)を6g添加し溶解させた後、あらかじ
め70℃に加熱し、さらに上記した反応で得られた溶液
100gを加え、バイオミキサーにより分散機を用いて
4000rpmの速度で5分間溶液を分散させた。その
後、過酸化ベンゾイル4gを添加し、その後、攪拌しな
がら70℃で24時間重合した。得られた固形物をろ過
により分離し、熱風乾燥機を用いて80℃で12時間乾
燥し、微粒子(以下、本発明の微粒子(4)という)7
0gを得た。
【0053】実施例5 撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた300mlの
四つ口セパラブルフラスコに水酸化亜鉛10.0g
(0.10モル)を仕込み、次いでスチレン85g
(0.82モル)、メタクリル酸9.5g(0.11モ
ル)、エチレングリコールメタクリレートフタレート3
0.6g(0.11モル)を加え、均一な分散液とし
た。反応混合物の温度を70℃に上げた後、同温度で3
0分間加熱、攪拌し、透明均一な溶液を得た。この溶液
に更にヘキサン酸1.2g(0.01モル)を添加し
た。
【0054】撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコにエチルアルコ
ール700gを仕込み、PVPK−30(ポリビニルピ
ロリドン;東京化成工業株式会社製)14gを添加、溶
解させた後、さらに上記した反応で得られた溶液100
gおよびアゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、撹
拌しなから70℃で24時間重合して得られた固形物を
遠心分離器によって取り出した後、熱風乾燥機を用いて
80℃で12時間乾燥し、微粒子(以下、本発明の微粒
子(5)という)90gを得た。
【0055】実施例6 撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた300mlの
四つ口セパラブルフラスコに水酸化亜鉛10.0g
(0.10モル)を仕込み、次いでスチレン260g
(2.5モル)、メタクリル酸9.5g(0.11モ
ル)、オクタン酸16.0g(0.11モル)を加え、
均一な分散液とした。反応混合物の温度を70℃にあげ
た後、同温度で30分間加熱、攪拌し、透明均一な溶液
を得た。
【0056】撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた
2リットルの四つ口セパラブルフラスコにエチルアルコ
ール700gを仕込み、PVPK−30(ポリビニルピ
ロリドン;東京化成工業株式会社製)14gを添加、溶
解させた後、あらかじめ70℃に加熱し、さらに上記し
た反応で得られた溶液100gおよびアゾビスイソブチ
ロニトリル3gを添加し、撹拌しなから70℃で24時
間重合した。得られた固形物を遠心分離器によって取り
出した後、熱風乾燥機を用いて80℃で12時間乾燥
し、微粒子(以下、本発明の微粒子(6)という)70
gを得た。
【0057】比較例1 撹拌器、還流冷却器および温度計を備えた2リットルの
四つ口セパラブルフラスコにエチルアルコール700g
を仕込み、PVPK−30(ポリビニルピロリドン;東
京化成工業株式会社製)14gを添加、溶解させた後、
スチレン85g(0.82モル)、メタクリル酸5.2
g(0.060モル)、アクリル酸4.3g(0.06
0モル)およびアゾビスイソブチロニトリル1gからな
る混合物を加えた。その後、攪拌しながら70℃で24
時間重合した。得られた固形物を遠心分離器によって取
り出した後、熱風乾燥機を用いて80℃で12時間乾燥
し、比較用の微粒子(以下、比較用の微粒子(1)とい
う)85gを得た。
【0058】実施例7 本発明の実施例1〜6で得られた微粒子(1)〜(6)
と比較例1で得られた比較用の微粒子(1)の平均粒子
径を求め、次に、これらを用いて耐熱分解性の評価を行
った。結果は表1に示すとおりであった。さらに実施例
1〜6で得られた微粒子(1)〜(6)については、前
述するイオン交換容量の方法に従って、各微粒子(1)
〜(6)(あらかじめ4M HClで処理し、イオン交
換水で洗浄したもの)約5gを正確に秤量し、ガラス管
に移してカラムをつくり、2MNaClを1ml/mi
nの流速でカラムに通した。流出液を0.1N NaO
H標準液で滴定し、交換容量を算出し、各イオン交換容
量の測定を行った。さらにまた、実施例6で得られた本
発明の微粒子(6)の粒子構造を走査型電子顕微鏡を用
いて観察し、その結果を図1に、図面に変わる写真とし
て、本発明の微粒子(6)の走査型電子顕微鏡写真(S
EM;3000倍)で表した。
【0059】〔耐熱分解性の評価方法〕耐熱分解性は、
示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子工業株式会社
製 TG/DTA220)を用いて、空気中300℃で
40分間保持したときの分解率を測定することにより評
価した。なお、この分解率の測定は室温より300℃に
達する時間を20分に調節し、300℃に達した時刻を
0として40分間保持した後の重量減少を測定すること
により算出した。このときの微粒子のサンプル量は約1
0mgとし、更に測定においては清浄空気を200ml
/分の割合で流す条件下において測定した。
【0060】〔灰分の測定方法〕灰分は、示差熱熱重量
同時測定装置(セイコー電子工業株式会社製 TG/D
TA220)を用いて、N2 雰囲気下、昇温速度10℃
/minで500℃まで昇温し、500℃で10分間保
持し、質量減少が認められないことを確認した後、残留
物の質量を測定することにより求めた。
【0061】
【表1】 上記に示す表1から明らかなように、本発明の製造方法
で得られた微粒子(1)〜(6)は耐熱分解性が優れて
いた。しかし、比較用の微粒子(1)は耐熱分解性が著
しく劣っていた。また、微粒子(1)〜(6)のイオン
交換容量は、いずれも0.01meq/gHR以下であ
り、明らかに通常のCOOH型のイオン交換樹脂とは異
なる特性のもであることが確認できた。
【0062】
【発明の効果】本発明の多価金属含有樹脂粒子の製造方
法では、耐熱安定性を付与し得る多価金属を好適な濃度
で含有した多価金属含有樹脂粒子を得ることができ、ま
た本発明の多価金属含有樹脂粒子では、樹脂フィルム用
耐ブロッキング剤、静電荷現像トナー用添加剤、粉体塗
料および水分散型塗料、化粧板用添加剤、人工大理石用
添加剤、化粧品用充填剤、クロマトグラフィーのカラム
充填剤などの用途において含有多価金属に由来する優れ
た耐熱安定性を発現できることから、これらの利用分野
への広範囲な適用が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図面に変わる写真として、実施例6で得られ
た本発明の微粒子(6)の粒子構造を走査型電子顕微鏡
写真(SEM;3000倍)により示したものである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を持たないビニル単量体
    (A)を、 有機カルボン酸の多価金属塩(B1)、並びに少なくと
    も重合温度において多価金属の酸化物および/または水
    酸化物(C)と有機カルボン酸化合物(D)とから生成
    する多価金属塩(B2)のいずれか一方若しくは双方か
    らなる多価金属塩(B)の共存下で分散重合することを
    特徴とする多価金属含有樹脂粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記有機カルボン酸の多価金属塩(B
    1)が、重合性有機カルボン酸の多価金属塩であり、前
    記有機カルボン酸化合物(D)が、重合性有機カルボン
    酸である請求項1に記載の多価金属含有樹脂粒子の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記ビニル単量体(A)が、(メタ)ア
    クリル酸エステル化合物、スチレンおよびアクリロニト
    リルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を
    含む単量体である請求項1または2に記載の多価金属含
    有樹脂粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記多価金属塩(B)をビニル単量体
    (A)に溶解させた後に分散重合する請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の多価金属含有樹脂粒子の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 ビニル系重合体成分を50〜97重量
    %、多価金属を2〜30重量%含む粒子状物であって、
    空気中300℃で40分間保持したときの有機成分の分
    解率が60重量%以下であることを特徴とする多価金属
    含有樹脂粒子。
  6. 【請求項6】 イオン交換容量が、0.01meq/g
    HR以下である請求項5に記載の多価金属含有樹脂粒
    子。
  7. 【請求項7】 粒子径が、0.1〜500μmの球状粒
    子である請求項5または6に記載の多価金属含有樹脂粒
    子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003514932A (ja) * 1999-11-17 2003-04-22 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー イオノマー微粒子を製造する方法
JP2011140544A (ja) * 2010-01-06 2011-07-21 Mitsubishi Rayon Co Ltd 金属含有エチレン性不飽和単量体混合物の製造方法
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JP2018035310A (ja) * 2016-09-02 2018-03-08 株式会社日本触媒 硬化性組成物およびこれを用いたバリア性フィルム

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