JPH06107215A - 車両用電動油圧パワーステアリング装置 - Google Patents

車両用電動油圧パワーステアリング装置

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JPH06107215A
JPH06107215A JP4253172A JP25317292A JPH06107215A JP H06107215 A JPH06107215 A JP H06107215A JP 4253172 A JP4253172 A JP 4253172A JP 25317292 A JP25317292 A JP 25317292A JP H06107215 A JPH06107215 A JP H06107215A
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pump
hydraulic pump
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Mitsuhiko Harayoshi
光彦 原良
Tadao Tanaka
忠夫 田中
Takeshi Takeo
剛 竹尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、車両用電動油圧パワーステアリン
グ装置に関し、操舵力特性を良好に保ちながら、省電力
化を達成できるようにすることを目的とする。 【構成】 電動油圧ポンプ22と、操舵を助勢すべく車
両のステアリング機構1に付設されたピストン機構12
と、該電動油圧ポンプ22と該ピストン機構12との間
に介装された油圧回路34と、操舵角検出手段39と、
該操舵角検出手段39による検出信号に基づき該電動油
圧ポンプ22の作動を制御するポンプ制御手段37Aと
をそなえ、検出操舵角が所定量以下であって且つ操舵状
態の変化頻度が所定以上の場合に該車両が直進走行モー
ドにあると判定する直進判定手段37Bが設けられ、該
ポンプ制御手段37Aに、該直進判定手段37Bでの直
進走行モードの判定がされると該電動油圧ポンプ22の
作動を停止させるポンプ停止手段37Eが設けられるよ
うに構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等において、そ
の操舵輪に対する操舵操作を助勢すべく設けられるパワ
ーステアリング装置に関し、特に、出力制御の容易な電
動油圧ポンプにより作動油圧を得る、車両用電動油圧パ
ワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等において、操舵時のステ
アリングホイール操作を軽くできるようにする、パワー
ステアリング装置が普及しており、かかるパワーステア
リング装置には、油圧式のものや、電動式のものがあ
り、一般には、安定した操舵助勢力(操舵アシスト力)
を得やすい、油圧式のものが多く普及している。
【0003】このような油圧式パワーステアリング装置
は、一般に、ステアリングホイールの操作にしたがって
前輪(操舵輪)を左右に操舵するステアリング機構に、
作動油圧を発生させるオイルポンプ,ステアリングホイ
ールの回動に操舵方向に応じて変位する給排バルブ,パ
ワーシリンダ装置(ピストン機構)を連結した油圧回路
を装備したものである。なお、一般に、オイルポンプと
しては、走行用エンジンを駆動源としたものが用いら
れ、また、給排バルブとしては、ステアリングコラムシ
ャフト部分にロータリバルブとして設けられている。
【0004】そして、ステアリングホイールの回動に応
じてロータリバルブ(給排バルブ)が変位しながら対応
した開閉状態になると、パワーシリンダ装置へ適宜作動
油が供給又は排出されて、このパワーシリンダ装置に生
じた油圧により、ステアリング機構に所要の操舵アシス
ト力が加えられるようになっている。ところが、このよ
うなロータリバルブの変位による制御手段のみでは、適
切に操舵輪の駆動力をコントロールすることができな
い。
【0005】そこで、従来の走行用エンジンを駆動源と
したパワーステアリング装置では、上述の油圧回路に、
操舵反力を可変する反力機構と、この反力機構を制御す
るコントロールバルブとを設けて、アシスト力を調整可
能にするとともに、自動車の車速を検知する車速センサ
および操舵角(ハンドル角)を検知する舵角センサを設
けて、これらのセンサの検出信号に基づきアシスト力を
制御し、適切な操舵特性を得るようにしている。
【0006】例えば、裾切りおよび低速走行域の操舵時
は、アシスト力を適切に大きくして操舵力を軽くし、中
高速走行域の操舵時は、逆にアシスト力を適切に小さく
して、操舵力を重くして、操舵安定感を得られるように
している。ところが、このようなエンジン式のパワース
テアリング装置は、操舵力を適当にコントロールできる
ものの、反力機構およびコントロールバルブを設ける必
要があり、構造的に複雑になる。
【0007】また、低速時に所要の油圧を得られるよう
にオイルポンプの出力を大きく設定する必要があり、走
行用エンジンに対する負担も大きく、自動車の燃費性能
を損なう要因となっている。そこで、最近においては、
走行用のエンジンではなく、自動車に搭載されたバッテ
リおよびオルタネータを電力源として作動する電動機を
駆動源とする電動油圧ポンプを用いて、反力機構やコン
トロールバルブなどを用いずに、電動油圧ポンプの吐出
状態を制御することだけで、操舵力を適切にコントロー
ルできるうよにした、電動油圧パワーステアリング装置
が提案されている。
【0008】このような装置により、走行状態に応じた
アシスト力制御が容易にかつ適確に行なわれる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
電動油圧パワーステアリング装置は、バッテリおよびオ
ルタネータを電力源として作動する構造上、どうしても
バッテリに大きな負担が加わりやすい。そこで、バッテ
リ容量を増大する必要が生じるが、バッテリ容量の増大
に伴いオルタネータを強化することになり、車両のエン
ジンの燃費低下を招く。
【0010】そこで、従来の電動油圧パワーステアリン
グ装置は、稼働をさせても無駄な領域、車速が例えば
「10km/h以下」(極低速域)の非操作時(ステア
リング機構を操舵していないとき)においてのみ、電動
油圧ポンプの運転を停止させて、バッテリの負担を軽減
するようにしている。しかしながら、このような手段に
よっても省電力化が十分ではないため、電動油圧ポンプ
の停止範囲を、例えば「10km/h以下」(極低速
域)のみでなく、全車速域の非操作時までに拡大するこ
とが考えられる。
【0011】このような機構では、省電力性の向上と、
操舵力特性の確保とを同時に得るのが困難であるという
課題がある。すなわち、操舵状態の検知感度を高める
と、微小操舵を検知するので、パワーステアリング装置
における非操舵状態から操舵状態への移行に際し、電動
油圧ポンプの起動応答性を高められるが、微小操舵時に
も電動油圧ポンプが作動して省電力性の向上ができな
い。
【0012】逆に、操舵状態の検知感度を低下させる
と、微小操舵時を検知できないので、微小操舵時に電動
油圧ポンプを停止して省電力性の向上ができるが、パワ
ーステアリング装置における非操舵状態から操舵状態へ
の移行に際し、電動油圧ポンプの起動応答性が悪化し
て、ハンドル操作から遅れてパワーシリンダ装置による
アシスト力が発生して、いわゆるアシスト遅れが生じて
しまう。このため、急操舵を行なうと、操舵アシスト力
が十分に得られず、ハンドルの操作性が低下してしま
う。
【0013】本発明は、このような課題に鑑みて案出さ
れたもので、操舵力特性を良好に保ちながら、省電力化
を達成できるようにした、車両用電動油圧パワーステア
リング装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の車両用電動油圧パワーステアリング装置は、車両にそ
なえられたステアリングホイールの操作に応じて操舵輪
を操舵するステアリング機構と、電動機を駆動源として
駆動される電動油圧ポンプと、 該ステアリング機構に
おける操舵を助勢すべく該ステアリング機構に付設され
たピストン機構と、該ピストン機構に操舵助勢用の作動
油を供給するために該電動油圧ポンプと該ピストン機構
との間に介装された油圧回路と、該ステアリング機構に
おける操舵を助勢すべく装備されたピストン機構と、該
ピストン機構と該電動油圧ポンプとを連結する油圧回路
と、該ステアリングホイールによる操舵角を検出する操
舵角検出手段と、該操舵角検出手段による検出信号に基
づき該電動油圧ポンプの作動を制御するポンプ制御手段
とをそなえ、該操舵角検出手段で検出された操舵角が所
定量以下であって且つ操舵状態の変化頻度が所定以上の
場合に該車両が直進走行モードにあると判定する直進判
定手段が設けられるとともに、該ポンプ制御手段に、該
直進判定手段での直進走行モードの判定に従って該電動
油圧ポンプの作動を停止させるポンプ停止手段が設けら
れていることを特徴としている。
【0015】また、請求項2記載の車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置は、上記の構成に加えて、上記ポン
プ制御手段が、該直進判定手段で直進走行モードと判定
されない非直進走行モードとなると、該操舵角検出手段
からの情報に基づいて操舵操作の開始により直ちに該電
動油圧ポンプの作動を開始するように構成されているこ
とを特徴としている。
【0016】さらに、請求項3記載の車両用電動油圧パ
ワーステアリング装置は、上記の構成に加えて、該ポン
プ制御手段に、上記ポンプ停止手段に優先して、該電動
油圧ポンプをその起動後に所定時間だけ作動状態に保持
させる作動保持手段が設けられていることを特徴として
いる。
【0017】
【作用】上述の請求項1記載の車両用電動油圧パワース
テアリング装置では、ステアリングホイールを操作する
と、ステアリング機構を通じて、該の操作に応じて操舵
輪が操舵される。このとき、電動油圧ポンプが電動機を
駆動源として作動して、作動油を駆動し、この作動油が
油圧回路を通じて、ピストン機構に供給され、このピス
トン機構により、該ステアリング機構における操舵が助
勢される。
【0018】該電動油圧ポンプの作動は、ポンプ制御手
段により、操舵角検出手段からの検出信号に基づき制御
され、特に、直進判定手段により、該操舵角検出手段で
検出された操舵角が所定量以下であって操舵状態の変化
頻度が所定以上の場合に該車両が直進走行モードにある
と判定されると、ポンプ制御手段に設けられたポンプ停
止手段により、該電動油圧ポンプの作動が停止される。
【0019】また、請求項2に記載の車両用電動油圧パ
ワーステアリング装置では、上記の動作に加えて、該直
進判定手段で直進走行モードと判定されない非直進走行
モードとなると、該ポンプ制御手段により、該操舵角検
出手段からの情報に基づいて操舵操作の開始により直ち
に該電動油圧ポンプの作動が開始される。さらに、請求
項3に記載の車両用電動油圧パワーステアリング装置で
は、上記ポンプ停止手段に優先して、ポンプ停止手段に
付設された作動保持手段により、該電動油圧ポンプがそ
の起動後に所定時間だけ作動状態に保持される。
【0020】
【実施例】以下、図面により本発明の一実施例としての
車両用電動油圧パワーステアリング装置について説明す
ると、図1はその要部構成を示す摸式的ブロック図、図
2,3はその作動を示すフローチャート、図4,5はそ
の動作特性を示すグラフ、図6はそのデータテーブルの
構成を示す摸式図、図7はその動作特性を示すグラフ、
図8はその舵角センサ(操舵角検出手段)の要部構成を
示す摸式的正面図、図9はその舵角センサ(操舵角検出
手段)の動作状態を示すグラフである。
【0021】図1に示すように、この実施例では、ステ
アリング機構1は、例えばラック・ピニオン式のステア
リングギヤ1aをそなえている。ステアリングギヤ1a
は、ケーシング2内において車幅方向に延在するラック
3と、ラック3に噛合するピニオンギヤ4とをそなえて
いる。そして、ピニオンギヤ4がトーションバー5を介
し、ステアリングギヤ1aの入力軸6に連結されてい
る。
【0022】ところで、ラック3の一端は、ステアリン
グロッド7、タイロッド8、ナックル9を介して、左側
の前輪10に連結されている。また、ラック3の他端
は、ステアリングロッド11、ピストン機構としてのパ
ワーシリンダ装置12、タイロッド13、ナックル14
を介し、右側の前輪10に連結されている。一方、ケー
シング2の上部から突出した入力軸6は、ステアリング
ジョイント16、二分割式のステアリングシャフト17
を介して、ハンドル18に連結されている。
【0023】これにより、ハンドル18を操作(回転)
させると、この変位がステアリングシャフト17、トー
ションバー5、ピニオンギヤ4、ラック3、ステアリン
グロッド7,11を経由し、ナックル9,14に伝達さ
れ、左右の前輪10,10を操作した方向に操舵するよ
うになっている。なお、符号17aは、ステアリングコ
ラムを示している。
【0024】そして、ステアリングギヤ1aの入力軸6
とピニオンギヤ4との間には、ロータリバルブ(給排バ
ルブ)19が設けられている。このロータリバルブ19
は、ピニオンギヤ4に連結された筒状のアウターバルブ
19aと、入力軸6に連結された筒状のインナーバルブ
19bとを組み付けることにより形成されており、ハン
ドル18から加えられた操舵力によりトーションバー5
が捩じれると、アウターバルブ19aとインナーバルブ
19bとの間に相対的な変位が生ずるように構成されて
いる。
【0025】そして、このロータリバルブ19は油圧回
路34の中に組み込まれており、油圧回路34を構成す
る流路21、24を介して電動油圧ポンプ22に接続さ
れて、油圧回路34を構成する流路27a、27bを介
してパワーシリンダ装置12に接続されている。つま
り、ロータリバルブ19には流入ポート部20と流出ポ
ート部23とが形成されており、流入ポート部20は流
路21を介して電動油圧ポンプ22の吐出部に接続さ
れ、流出ポート部23は流路24を介して電動油圧ポン
プ22の吸込部に接続されている。
【0026】電動油圧ポンプ22は、ポンプ部22a
に、バッテリ40により駆動される電動機22bが連結
されるとともに、ポンプ部22aの吸込部にリザーバ2
2cが介装された構造になっている。電動機22bは、
自動車に搭載されているバッテリ40およびオルタネー
タを並列に接続して構成される電源回路(図示略)に接
続され、この電源回路から電動機22bの駆動電力が供
給されるようになっている。
【0027】ところで、ロータリバルブ19に形成され
ている一対の出力ポート部26a,26bは、流路27
a,27bを介してパワーシリンダ装置12に接続され
ている。このパワーシリンダ装置12は、フレーム等に
固着されたシリンダ29と、シリンダ29内に貫挿され
るとともに一端をステアリングロッド11に連結された
ピストンロッド28と、ピストンロッド28に固着され
シリンダ29内を車幅方向に仕切るピストン30とをそ
なえたピストン機構として構成されている。
【0028】ピストン30により仕切られた油室31
a,31bは、一対の入力ポート部32a,32bおよ
び流路27a,27bを介し、ロータリバルブ19の出
力ポート部26a,26bに接続されている。すなわ
ち、ハンドル18が中立状態のとき、ロータリバルブ1
9を通じて電動油圧ポンプ22の油圧が油室31a,3
1bにニュートラル圧として供給され、ハンドル18の
操舵時には、ロータリバルブ19においてその操舵に応
じたアウターバルブ19aとインナーバルブ19bとの
相対的な変位およびピストン30の変位について電動油
圧ポンプ22の油圧が背圧として作用し、前輪10,1
0の操舵が助勢(アシスト)されるようになっている。
【0029】ところで、電動油圧ポンプ22の電動機2
2bに接続された電源回路には、モータドライバ(駆動
回路)36が設けられており、このモータドライバ36
を介して電動機22bの作動が制御されるようになって
いる。また、このモータドライバ36には、ポンプ制御
手段37Aをそなえたコントローラ37が接続されてお
り、ポンプ制御手段37Aにより、モータドライバ36
を通じて電動油圧ポンプ22の作動が制御されるように
なっている。なお、コントローラ37はマイクロコンピ
ュータ及びその周辺機器からなっている。
【0030】なお、このコントローラ37には、このほ
かに、直進判定手段37Bと、走行路モード判定手段3
7Cとが設けられ、ポンプ制御手段37Aには、制御量
設定部37Dと、ポンプ停止手段37Eと、作動保持手
段37Fとが設けられている。また、コントローラ37
には、自動車の走行速度を検出する車速センサ38,ハ
ンドル18の操舵角(ハンドル角)を検知する操舵角検
出手段としての舵角センサ39およびオルタネータのL
端子が接続されている。
【0031】ポンプ制御手段37Aでは、オルタネータ
のL端子から「Hi」の信号が出力されると起動して、
制御量設定部37Dにおいて、各検出信号に基づいて電
動油圧ポンプ22の制御量(モータ駆動指令値)Mnを
設定して、モータドライバ36に所要の制御信号を出力
するようになっている。つまり、制御量設定部37Dに
は、図4,5に示すようなマップが記憶されており、こ
れらのマップを用いて、車速Vやハンドル角θH からモ
ータ駆動指令値Mnを設定するようになっている。
【0032】図4に示すマップは、車速Vに対応した基
本となるモータ駆動指令値(マップ指令値)Mmap を求
めるマップであり、このマップ指令値Mmap は、車速V
がV<V1 の低速域では、最大値Mmax となっていて、
車速VがV1 <V<V2 の中速域では、車速の増大とと
もに低下していき、車速VがV2 <Vの高速域では最小
値Mmin となっている。れは、低速域では操舵の容易性
を確保し、高速になるにしたがって操舵安定性を重視す
るようにしたいためである。そして、車両の低中速域
(ここでは80km/h未満の速度域)では、このマッ
プ指令値Mmap がモータ駆動指令値Mnに設定されるよ
うになっている。
【0033】また、図5に示すマップは、操舵中立感を
向上させる制御のためのものであり、この制御は、操舵
安定感の重視される車両の高速域(ここでは80km/
h以上の速度域)で行なわれるようになっている。この
制御は、操舵中立付近〔ここでは、ハンドル角θH の大
きさが5deg 以内の範囲)で、操舵アシストを大きくさ
せてハンドルを軽めにしておき、操舵を行なっていきハ
ンドル角が大きくなるのに応じて(ここでは、ハンドル
角θH の大きさが5deg 〜20deg の範囲で)、操舵ア
シストを減少させながらハンドルを重めにしていくこと
で、中立感を与えるようにしている。
【0034】なお、この図5に示すマップを、式で表す
と、 (1)|θH |≦5deg の範囲では、 Mn=Mmax ・・・(1) (2)5deg <|θH |≦20deg の範囲では、 Mn=Mmax −(|θH|−5deg )×(Mmax −Mmap )/15deg ・・・(2) (3)20deg <|θH |の範囲では、 Mn=Mmap ・・・(3) となり、図5に示すマップに代えて、このような演算に
よってモータ駆動指令値Mnを求めてもよい。
【0035】ところで、コントローラ37に設けられた
直進判定手段37Bは、操舵センサ39で検出された操
舵角が所定量θH0以下であって且つ操舵状態の変化頻度
(操舵頻度)CNT0 が所定以上の場合に車両が直進走
行モードにあると判定して、車両が直進走行モードにあ
るかないかの情報信号をポンプ制御手段37Aのポンプ
停止手段37Eに出力するようになっている。
【0036】ポンプ停止手段37Eでは、直進判定手段
37Bで直進走行モードであると判定した場合及び検出
操舵角が0deg であって操舵操作が全く行なわれていな
い場合に、電動油圧ポンプ22の作動を停止させるよう
な信号を制御量設定部37Dに出力するようになってい
る。このように、直進走行モードを判定するのは、電動
油圧ポンプ22をその出力が不要な際には停止させて、
電力の節約により車両の燃費向上を図ろうとする一方
で、操舵操作が行なわれたときには、速やかに操舵アシ
ストを行なえるようにするためのものである。一般に、
電動油圧ポンプ22が不要なのは、車両が直進走行して
いるときであるので、直進走行モードを判定して、直進
走行モードのときには、ポンプ停止手段37Eが電動油
圧ポンプ22を停止させる信号を制御量設定部37Dに
出力して、そうでないときには、電動油圧ポンプ22を
作動させる信号を制御量設定部37Dに出力するように
設定されている。
【0037】なお、ここでは、操舵角が所定量θH0以下
であって且つ操舵頻度CNT0 が所定以上の場合に車両
が直進走行モードにあると判定しているが、これは、以
下の理由による。つまり、車両が直進走行しているとき
には、操舵角θH が0deg を保持するはずであるが、実
際には、ハンドルの遊びの範囲でハンドルを動かした
り、ハンドルに生じるシミーや、悪路走行時等に車輪が
拾う路面外乱等へ対処するためにハンドルを動かす場合
など、操舵角θH が0deg 以外となることが多い。した
がって、単に操舵角θH の情報のみで操舵角θH が0de
g のときだけ電動油圧ポンプ22を停止させるのでは、
電動油圧ポンプ22はほとんど停止されずに、電動油圧
ポンプ22の作動停止による燃料節約をなかなか実現で
きない。
【0038】そこで、このような直進走行時において生
じる操舵角θH の変動特性に着目すると、この直進走行
時におけるハンドルの動きは、一般に、小さな操舵角の
範囲内のものであり、且つある程度の高い頻度で現れる
ものであるといえる。逆に言えば、操舵角θH が大きけ
れば操舵のためのハンドル操作が行なわれていると判定
でき、また、操舵頻度が低ければ、直進走行時において
生じる操舵角θH の変動の可能性もあるが、ハンドル操
作が特別に行なわれた意図的なもので操舵のためのハン
ドル操作の可能性もあり、電動油圧ポンプ22の本来の
目的である操舵アシストを要する可能性がある。
【0039】したがって、このように、小さな操舵角の
範囲で且つある程度の高い操舵頻度の場合に、直進走行
モードと判定するのである。ここでは、直進走行モード
の判定基準となる操舵角の閾値θH0,操舵状態の変化頻
度の閾値CNT0 が、車両の走行路モードに応じて設定
されるようになっている。このため、コントローラ37
には、車両の走行路モードを判定する走行路モード判定
部37Cが設けられている。
【0040】この走行路モード判定部37Cでは、車速
の平均値VAVと操舵角速度の平均値|θH ′|AVとに応
じて、図7に示すようなマップを用いて、走行路モード
を市街地モードと屈曲路モードと高速路モードとに分類
するようになっている。つまり、低車速域(車速VがV
<V3 )では市街地モードM1、中車速域(車速VがV
3 <V<V4 )では、操舵角速度の平均値|θH ′|AV
が小さい(|θH ′| AV≦θ1 )と市街地モードM1、
操舵角速度の平均値|θH ′|AVが小さくない(θ1
|θH ′|AV)と屈曲路モードM2、高車速域(車速V
がV4 <V)では高速路モードM3、と分類している。
また、このの平均値VAVと操舵角速度の平均値|θH
AVとのデータは、所定時間(例えば5秒間)サンプリ
ングした平均値である。
【0041】そして、ここでは、市街地モードM1で
は、閾値θH0が10deg ,閾値CNT 0 が15に設定さ
れ、屈曲路モードM2では、閾値θH0が8deg ,閾値C
NT0が20に設定され、高速路モードM3では、閾値
θH0が5deg ,閾値CNT0 が10に設定されている。
このように、市街地モードM1では、高速路モードM3
よりも閾値θH0,閾値CNT0 がいずれも大きく設定さ
れているが、これは、市街地モードM1では、直進走行
時に、路面外乱等に応じて比較的大きな操舵角θH で比
較的高い頻度でハンドル操作が行なわれることが多いた
めである。また、屈曲路モードM2でも、高速路モード
M3よりも閾値θH0,閾値CNT0 がいずれも大きく設
定されているが、これは、屈曲路モードM2では、直進
走行時に、市街地モードM1と同様に路面外乱等に応じ
て比較的大きな操舵角θH でより高い頻度でハンドル操
作が行なわれることが多いが、反面、本来の操舵のため
に操舵角θH が生じる可能性が高いので、操舵角の閾値
θH0が市街地モードM1の場合よりも小さく設定されて
いる。
【0042】ところで、このような直進判定手段37B
の判定をできるだけ速やかで確実に行ないたい。また、
直進判定手段37Bにより、直進走行モードでないと判
定されると、操舵操作が行なわれると速やかに操舵アシ
ストを行ないたい。そこで、この装置では、舵角センサ
39を1deg 単位の高分解能(従来の約3倍の高分解
能)のものとして、操舵パルスの発生を早め、さらに、
発生した操舵パルスが、直進走行時におけるハンドル1
8の微調整によるものであるかどうかを、確実に識別で
きるようにすることにより、操舵開始を早期に検出でき
るように構成されている。
【0043】ここで、舵角センサ39は図8に示すよう
に構成されており、ハンドル18により回転駆動される
円板41が図示しないステアリングシャフト等に設けら
れ、この円板41の外周部に、所定間隔ごとのスリット
42が穿設されている。そして、円板41外周の端面に
対向するようにフォトインタラプタ44A,44Bが設
けられており、これらの発光部から発された光をスリッ
ト42を介し受光部が受けとることにより、図9に示す
ようなパルス波が得られるように構成されている。
【0044】フォトインタラプタ44Aとフォトインタ
ラプタ44Bとは所定量離隔して配設されており、得ら
れる波形が、図9に示すA相とB相とのように円板41
の回転方向により、パルスの位置関係が逆転するように
構成されている。また、円板41におけるスリット42
と異なる半径位置に中立位置を示すスリット43が設け
られ、このスリット43に対応したフォトインタラプタ
44Aも設けられており、図9に示すZ相の波形が出力
されるようになっている。すなわち、Z相のパルスは、
ハンドル18が中立位置を通過したときに発生するよう
に構成されている。
【0045】このような構成により、円板41の回転に
よって操舵パルスが発生し、操舵角θが検出されるよう
になっている。ところで、本実施例では、円板41にお
けるスリット42の間隔を従来のものより小さく、例え
ば1deg の分解能を持つように構成されており、これに
より、従来の分解能3deg であったものに較べて、微小
な操舵角変化に際しても、操舵パルスが発生し、操舵開
始の早期検出が確実に行なわれるようになっている。
【0046】なお、作動保持手段37Fは、電動油圧ポ
ンプ22の起動後、所定時間(例えば5秒)の間だけ
は、ポンプ停止手段37Eからの信号に優先して、電動
油圧ポンプ22の作動信号を出力するようになってい
る。具体的には、タイマカウント値TH に、処理サイク
ルごとに時間間隔INTだけ加算していき、所定時間に
達するまでは、作動信号を出力するように構成されてい
る。
【0047】したがって、操舵後の所定時間は、電動油
圧ポンプ22の作動状態が保持され、電動油圧ポンプ2
2のオン・オフ頻度の増大を抑制しながら、耐久性を確
保できるように構成されている。本発明の一実施例とし
ての車両用電動油圧パワーステアリング装置は上述のご
とく構成されているので、例えば図2に示すように動作
する。
【0048】図2に示すように、まず、イグニッション
キースイッチのオン操作に伴って、オルタネータのL端
子から「Hi」の信号が出力され、コントローラ37の
ポンプ制御手段37Aがこの信号を受けて起動する。そ
して、まずステップS1において、各フラグ、変数に対
応するアドレスの初期値設定が行なわれる。すなわち、
操舵フラグSFLG,保持タイマTH ,直進走行モード
フラグTFLG,メモリカウンタMCNT,データテー
ブルDT(MCNT),カウンタCNTがそれぞれ
「0」にセットされる。
【0049】この後、ステップS2において、車速セン
サ38から出力される車速Vが読み込まれ、ステップS
3において、舵角センサ39から操舵パルスが読み込ま
れる。このとき、操舵パルスは図9に示すように発生
し、Z相により操舵角θの中立が検知され、このZ相と
A相,B相との相互関係により操舵角θの中立位置から
の変位、つまり、操舵角の大きさ|θ|が測定される。
このとき、A相パルスおよびB相パルスの発生状態の組
み合わせから、操舵角θの増加,減少(つまり、操舵方
向)が測定される。
【0050】ところで、本実施例における舵角センサ3
9は、従来に較べ、3倍程度の分解能をそなえているた
め、操舵パルスは直進走行時においてドライバーがハン
ドル18を微調整した場合についても発生する。このよ
うな操舵パルスについて、後述の直進判定手段37Bに
より、直進中のに行なう微調整時の操舵パルスと操舵時
の操舵パルスとが識別される。
【0051】次に、ステップS4においては、図3に示
す直進走行モード判定ルーチンSUB−STで設定され
ている直進走行モードフラグTFLGが読み込まれる。
そして、ステップS5において、操舵パルスの変化があ
ったかどうかが判定されるが、操舵操作をしていなけれ
ば、「NO」ルートをとり、ステップS6が実行され
る。
【0052】ステップS6では、操舵フラグSFLGが
「1」であるかどうかの判定が行なわれるが、後述のよ
うに操舵フラグSFLGは、本来の操舵操作(つまり、
直進時ではない状態における操舵操作)が行なわれたと
きに「1」となり、制御開始直後には、「0」であるの
で、「NO」ルートによりステップS7に至る。ステッ
プS7では、ポンプ停止手段37Eにより、電動機22
bの停止状態が継続され、パワーステアリング装置にお
ける非助勢状態のままステップS2へ処理状態が戻る。
【0053】このようなステップS2からステップS7
の処理サイクルが繰り返されるが、操舵操作が行なわれ
ると、ステップS3において読み込んだ操舵パルスが従
前の状態から変化するので、ステップS5において操舵
パルスの変化があったという判定が行なわれ、「YE
S」ルートをとってステップS11に至る。ステップS
11では、ステップS4で読み込まれた直進走行モード
フラグTFLGが「1」であるかどうかが判定される。
なお、直進走行モードフラグTFLGは、直進走行モー
ド判定ルーチンSUB−STにおいて、直進モードの状
態にあると判定されると「1」となり、直進モードの状
態にないと判定されると「0」となる。
【0054】直進走行モード判定ルーチンSUB−ST
において、直進モードの状態にあると判定され、直進走
行モードフラグTFLGが「1」である場合は、ステッ
プS11で「YES」ルートをとり、ステップS6、ス
テップS7を通じて、従前のステップS2からステップ
S7の処理が継続される。つまり、電動機22bの停止
状態が継続される。
【0055】一方、直進走行モード判定ルーチンSUB
−STにおいて直進モードの状態にないと判定され、直
進走行モードフラグTFLGが「0」になっている場合
は、「NO」ルートをとり、ステップS12及びステッ
プS13が実行される。ステップS12では、本来の操
舵操作、つまり、車両が直進状態ではない状態での操舵
操作が行なわれたとして、操舵フラグSFLGが「0」
から「1」に移行する。
【0056】また、ステップS13では、保持タイマT
H が「0」にリセットされる。この保持タイマTH は、
作動保持手段37Fによって、電動油圧ポンプ22が起
動後所定時間だけ作動を保持するように時間をカウント
するためのものである。ついで、ステップS14〜ステ
ップS20の各ステップで、制御量設定部37Dによっ
て、モータ駆動指令値Mnが設定される。
【0057】つまり、ステップS14では、車両の速度
Vが80km/hを超えているかどうかが判定される。
車速Vが80km/hよりも小さい場合には、ステップ
S15が実行され、コントローラ37に記憶された図4
に示すマップにより得られるマップ指令値Mmap がモー
タ駆動指令値Mnに設定される。
【0058】すなわち、図4のグラフは車速Vに対応し
た電動油圧ポンプ22のモータ駆動指令値Mnを示して
おり、電動油圧ポンプ22では、モータ駆動状態に対応
したオイル流量(つまり、作動油圧)が生じるので、そ
の時の車速Vに対応しオイル流量が得られるようなモー
タ駆動指令値Mnが設定される。そして、ステップS2
1において、ステップS15で設定されたモータ駆動指
令値Mnがモータドライバ36に出力され、パワーシリ
ンダ装置12におけるアシスト状態が車速に応じて実現
される。
【0059】なお、このとき、モータドライバ36は、
モータ駆動指令値Mnに従い電動機22bの作動デュー
ティ比を増減調整し、電動油圧ポンプ22が所望の流量
を吐出する。ところで、車速Vが80km/h以上であ
る場合には、ステップS14において「YES」ルート
をとり、ステップS16〜ステップS20が実行され
る。
【0060】このステップS16〜ステップS20で
は、操舵安定感の重視される車両の高速域(80km/
h以上の速度域)で、操舵中立感を向上させるように、
モータ駆動指令値Mnを設定する。このフローチャート
では、前述の式(1)〜(3)を用いて演算により操舵
角の大きさ|θH |に対応して設定する。つまり、ステ
ップS16では、舵角センサ39からの操舵パルスによ
り検出される操舵角θH からその絶対値|θH |が5de
g 以上であるかが判定される。
【0061】|θH |が5deg よりも小さい場合は、ス
テップS17においてモータ駆動指令値Mnとして図4
における低速側の最大指令値Mmax が採用される。一
方、|θH |が5deg よりも大きい場合は、まず、ステ
ップS18において、図4のマップにより車速Vに対応
したマップ指令値Mmap がモータ駆動指令値Mnに設定
される。
【0062】さらに、ステップS19において操舵角θ
の絶対値が20deg 以上であるかどうかが判定される。
|θH |が20deg より小さい場合は、|θH |は5de
g から20deg の間にあり、ステップS20において、
前述の式(2)により、モータ駆動指令値Mnが設定さ
れ、このモータ駆動指令値Mnが採用される。
【0063】一方、|θH |が20deg 以上である場合
は、「YES」ルートをとり、ステップS18において
設定されたモータ駆動指令値Mn(=マップ指令値Mma
p )をそのまま採用する。そして、ステップS21にお
いて、上述のようにしてステップS17又はステップS
18又はステップS21で設定されたモータ駆動指令値
Mnがモータドライバ36に出力され、パワーシリンダ
装置12におけるアシスト状態が車速に応じて実現され
る。
【0064】なお、このときも、モータドライバ36
は、モータ駆動指令値Mnに従い電動機22bの作動デ
ューティ比を増減調整し、電動油圧ポンプ22が所望の
流量を吐出する。このようなステップS16〜ステップ
S20の処理に代えて、図5に示すマップを用いて、操
舵角の大きさ|θH |に基づいて、モータ駆動指令値M
nを設定してもよい。
【0065】いずれの場合も、図5に示すマップのよう
に、操舵中立付近〔|θH |が5deg 以内の範囲)で、
操舵アシストを大きくさせてハンドルを軽めにしてお
き、中立位置から操舵角が大きくなるのに対応するよう
に、|θH |が5deg 〜20deg の範囲で、操舵アシス
トを減少させながらハンドルを重めにしていくことで、
ハンドル18を握るドライバに中立感を与えることがで
きる。
【0066】なお、中立感を付与するために、モータ駆
動指令値MnをMmap とMmin との間で制御するように
してもよい。つまり、中立付近ではモータ駆動指令値M
nをMmap として、中立付近から操舵角が増加するにし
たがって、モータ駆動指令値Mnを徐々にMmin まで減
少させるようにする。一方、ステップS12で操舵フラ
グSFLGが「1」に設定されると、続く制御サイクル
で、操舵パルスの変化がなくてステップS5からステッ
プS6に進んだ場合や、操舵パルスの変化があるが直進
走行モード中で、ステップS5からステップS11を経
てステップS6に進んだ場合には、ステップS6から
「YES」ルートを通って、作動保持手段37Fによ
り、ステップS8〜ステップS10の処理を行なう。
【0067】すなわち、ステップS8においては、保持
タイマTH に所定の時間間隔INTが加算され、ステッ
プS13において保持タイマTH がリセットされるま
で、処理サイクルの繰り返しごとに、時間間隔INTが
加算されていく。このように、時間間隔INTを加算さ
れた保持タイマTH が所定時間(5秒)に達したかどう
かがステップS9で判定され、時間が達していない場合
はステップS9において「NO」ルートをとり、ステッ
プS2に戻る。直進走行状態が続いても、ステップS2
からステップS11,ステップS6,ステップS8,ス
テップS9という処理サイクルが繰り返される。
【0068】これにより、この間は、操舵パルスの変化
がなかったり直進走行モード中であっても、ステップS
7のモータ停止が実行されず、パワーステアリング装置
におけるアシスト状態が続行される。そして、保持タイ
マTH が5秒以上に達すると、ステップS9において
「YES」ルートをとり、ステップS10が実行されて
操舵フラグSFLGが「0」にリセットされて、ステッ
プS7においてモータ停止が実行され、パワーステアリ
ング装置におけるアシスト状態が中止される。
【0069】このようなステップS2〜ステップS21
の処理を繰り返しながら、電動油圧ポンプ22が駆動を
制御される。ところで、上述の制御に用いられる直進走
行モードフラグTFLGは、直進走行モード判定ルーチ
ンSUB−STにより、車両の直線走行モードの判定の
結果設定される。
【0070】この直進走行モード判定ルーチンSUB−
STは、例えば図3のフローチャートのように構成さ
れ、このような処理を、所定時間(例えば5ms)毎に
周期的に繰り返しながら行なって、車両の直線走行モー
ドの判定を行なう。ここでは、このような所定時間(例
えば5ms)毎の処理を1024回行なって、現時点か
ら直近の1024回の処理データから操舵した回数をカ
ウントして、このカウント値(操舵パルス変化カウン
タ)CNTと、現時点での操舵角の大きさ|θH |とか
ら、車両の直線走行モードの判定を行なっている。
【0071】なお、この場合の操舵パルス変化カウンタ
CNTが操舵頻度を表し、1024回のデータサンプリ
ングは、時間的にはほぼ5秒間(≒5ms×1024)
のデータサンプリングとなる。まず、自動車の起動時
に、図2に示すように、直進走行モード判定ルーチンS
UB−STに用いられる各変数であるメモリカウンタM
CNT,データテーブルDT(MCNT),操舵パルス
変化カウンタCNT,直進走行モードフラグTFLGが
それぞれ「0」にイニシャルセットされる。
【0072】そして、図3に示すように、最初のルーチ
ン実行時には、メモリカウンタMCNTがステップA1
において、「1」加算されて「0」から「1」になる。
ついで、ステップA2において、メモリカウンタMCN
Tが「1024」よりも大きいかどうかが判定され、ル
ーチン開始直後には、メモリカウンタMCNTが「10
24」よりも大きくないので、「NO」ルートをとり、
ステップA4に至る。
【0073】ステップA4では、操舵パルスの変化があ
ったかどうかが判定され、操舵が行なわれなければ、
「NO」ルートを通じステップA5に至る。ステップA
5では、メモリカウンタMCNTに対応するデータテー
ブルDT(MCNT)が「0」であるかどうかが判定さ
れる。このデータテーブルDT(MCNT)は、メモリ
カウンタMCNTの「1」〜「1024」に対応して、
DT(1)〜DT(1024)の1024個のアドレス
にそれぞれ0又は1の何れかが書き込まれたもので、制
御ルーチン開始時には、前述のようにDT(1)〜DT
(1024)はいずれも0にイニシャルセットされてい
る。
【0074】したがって、ルーチン開始直後の状態で
は、DT(1)は「0」であり、「YES」ルートをと
り、「NO」ルートであるステップA6およびステップ
A7の処理を行なうことなく、ステップA11に至る。
一方、操舵が行なわれていれば、ステップA4から、
「YES」ルートを通じステップA8に至る。
【0075】ステップA8では、メモリカウンタMCN
Tに対応するデータテーブルDT(MCNT)が「0」
であるかどうかが判定される。ルーチン開始直後の状態
では、DT(1)は「0」であり、「YES」ルートを
とり、ステップA9に進んで、操舵パルス変化カウンタ
CNTに1を加算する。ルーチン開始直後には、はじめ
にCNTは0なので、この加算で、CNTが1となる。
そして、ステップA10に進んで、データテーブルDT
(MCNT)を1に書き換える。ルーチン開始直後の1
回目の処理であれば、DT(1)が1に書き換えられ
る。そして、ステップA11に至る。
【0076】ステップA11では、各センサからの出力
信号によりハンドル角θH が演算され、ステップA12
が実行される。続くステップA12では、走行路モード
判定部37Cでの判定情報から、走行路モードが市街地
モードと屈曲路モードと高速路モードとの何れであるか
が、判定される。なお、走行路モード判定部37Cの動
作については具体的には示さないが、車速の平均値VAV
と操舵角速度の平均値|θH ′|AVとに応じて、図7に
示すようなマップを用いて走行路モードを判定する。
【0077】そして、各走行路モードに応じて、直進走
行モードであるかどうかが判定される。つまり、市街地
モードM1のときには、ステップA13〜ステップA1
6の処理で直進走行モードであるかどうかが判定され、
屈曲路モードM2のときには、ステップA17〜ステッ
プA20の処理で直進走行モードであるかどうかが判定
され、高速路モードM3のときには、ステップA21〜
ステップA24の処理で直進走行モードであるかどうか
が判定される。
【0078】各モードでは、直進判定の閾値が異なるだ
けなので、高速路モードM3の場合の処理について説明
すると、ステップA21では、ハンドル角の大きさ|θ
H |が5deg 以上であるかどうかが判定され、ハンドル
角の大きさ|θH |が5deg以上でなければ、「NO」
ルートを通じステップA22が実行される。ステップA
22では、カウンタCNTが「10」より小さいかどう
かが判定されるが、第1回目の処理では、操舵操作が行
なわれていなければカウンタCNT=「0」であり、操
舵操作が行なわれていればカウンタCNT=「1」であ
り、いずれの場合も、「NO」ルートをとり、ステップ
A23において直進走行モードフラグTFLG=「1」
とする処理が行なわれる。
【0079】これにより、直進走行モード判定ルーチン
SUB−STの一回目の処理が終了する。ついで、2回
目以後の処理が所定時間(5ms)毎に行なわれる。そ
して、この処理が行なわれるごとに、ステップA1にお
けるメモリカウンタMCNTは「1」ずつ加算され、ス
テップA2において「1024」より大きくなるまで、
つまり、メモリカウンタMCNTが「1」から「102
4」までの1024回の処理が行なわれる。
【0080】そして、この間に、ステップA5〜ステッ
プA9で、各メモリカウンタMCNTの値に対応したデ
ータテーブルDT(MCNT)が更新されるとともに、
カウンタCNTも更新される。例えばあるメモリカウン
タMCNT=「X」の時に、操舵パルスに変化が発生す
ると、ステップA4からステップA8に進むが、対応す
る前回のデータテーブルDT(X)が0であれば、ステ
ップA9でカウンタCNTを1だけ増加して、ステップ
A10でデータテーブルDT(X)を新たに1に変更す
る。また、対応する前回のデータテーブルDT(X)が
1であれば、カウンタCNTは変化せず、また、データ
テーブルDT(X)も既に1になっているので、ステッ
プA9,A10の処理は行なわない。
【0081】一方、あるメモリカウンタMCNT=
「X」の時に、操舵パルスに変化が発生しないと、ステ
ップA4からステップA5に進むが、対応する前回のデ
ータテーブルDT(X)が0であれば、カウンタCNT
は変化せず、また、データテーブルDT(X)も既に0
になっているので、変更処理は行なわない。対応する前
回のデータテーブルDT(X)が1であれば、ステップ
A6でカウンタCNTを1だけ減少して、ステップA7
でデータテーブルDT(X)を新たに0に変更する。
【0082】この結果、常に、直近の1024のサンプ
リングデータにおいて、操舵パルス変化カウンタCNT
がカウントされることになる。この動作を図6に示す摸
式図により具体的に説明する。なお、図6においては、
DT(MCNT)が0のものは一部省略している。図6
に示すように、データテーブルDT(MCNT)として
「1024」個のメモリが確保されており、例えば、M
CNT=「3」のとき操舵パルス変化があると、ステッ
プA10においてDT(3)に「1」が書き込まれる。
これにより、カウンタCNT=「1」となる。
【0083】そして、MCNT=「i」であるi回目の
検討において操舵パルス変化があると、ステップA10
においてDT(i)に「1」が書き込まれる。これによ
り、カウンタCNT=「2」となる。また、MCNT=
「i+1」,「i+3」についても、該同様にDT(i
+1)=「1」,DT(i+3)=「1」となり、それ
ぞれにおいて、カウンタCNT=「3」,「4」とな
り、最初から「i+3」回目までで、4回の操舵パルス
変化があったことを示している。
【0084】さらに、「1022」回目,「1024」
回目でそれぞれ操舵パルス変化があると、それぞれのデ
ータテーブルDT(MCNT)が書換えられるととも
に、カウンタCNT=「5」,「6」となる。このよう
にして、最初の「1024」回の操舵パルス変化検討
で、「6」回の操舵パルス変化があったこととなる。
【0085】さらに、このメモリのそれぞれには、前回
の「1024」回の操舵パルス変化の有無が「0」,
「1」のいずれかで記憶されている。そして、このよう
な「1024」回の検討の後は、MCNT=「102
5」となるためステップA2において「YES」ルート
をとり、ステップA3においてMCNT=「1」となっ
てメモリカウンタMCNTがリセットされる。
【0086】これにより、この後のメモリカウンタMC
NTのチェックは、前回のMCNT=「1」からの対応
するアドレスに対し行なわれる。したがって、メモリカ
ウンタMCNT=「3」について、操舵パルス変化が無
いという判定が行なわれると、DT(3)は前回「1」
であったのに対し、今回は「0」であるから、ステップ
A6においてカウンタCNTは「1」減じられ、ステッ
プA7においてDT(3)は「0」に書き換えられる。
【0087】これにより、カウンタCNT=5となり、
前回のメモリカウンタMCNT=「3」から今回のメモ
リカウンタMCNT=「2」までの「1024」データ
の間において、カウンタCNT=6であったのに対し、
メモリカウンタMCNT=3に対する操舵パルス変化を
チェックされた後には、前回のメモリカウンタMCNT
=「4」から今回のメモリカウンタMCNT=「3」ま
での「1024」データの間において、カウンタCNT
=5となり、現在から「1024」データ前までに、操
舵パルス変化が5回あったことになる。
【0088】さらに、メモリカウンタMCNT=「j」
について、操舵パルス変化があるという判定が行なわれ
ると、DT(j)は前回「0」であったのに対し、今回
は「1」であるから、ステップA9においてカウンタC
NTは「1」増加され、カウンタCNT=「6」となっ
て、この時点から「1024」データ前までの間におい
て、操舵パルス変化が6回あったことになる。そして、
ステップA10においてDT(j)は「1」に書き換え
られる。
【0089】さらに、メモリカウンタMCNT=「i」
の時に操舵パルス変化がないと、前回と状態が異なるた
め、DT(i)=「1」からDT(i)=「0」に書き
換えられ、カウンタCNTは「1」減じられてカウンタ
CNT=「5」となり、この時点から「1024」デー
タ前までの間において、操舵パルス変化が5回あったこ
とになる。
【0090】このようにして、現在の時点以前の「10
24」回分のデータにおいて、何回の操舵パルス変化が
発生したかが、直進走行モード判定ルーチンSUB−S
Tの実行のタイミングごとに検出され、車両が直進走行
モードにあるかどうかの判定データが常時算出される。
そして、各走行路モード毎に、ステップA13およびス
テップA14,ステップA17およびステップA18又
はステップA21およびステップA22のステップで、
車両の走行状態が直進走行モードにあるかどうかが判定
され、直進走行モードにある場合には、直進走行モード
フラグTFLG=「1」に設定され、直進走行モードに
ない場合には、直進走行モードフラグTFLG=「0」
に設定される。
【0091】すなわち、走行路モードが市街地モードM
1の時には、ステップA13で、ハンドル角の大きさ|
θH |が10deg 以上であるかどうかが判定され、|θ
H |が10deg 以上の操舵が行なわれていると、直進走
行時におけるハンドル微調整の状態ではなく、明らかな
操舵動作が行なわれたものとして、「YES」ルートを
通じ、ステップA16に進んで、直進走行モードフラグ
TFLGが直進走行モードではない「0」に設定され
る。
【0092】一方、ステップA13において、ハンドル
角の大きさ|θH |が10deg 以上でないと判定される
と、ハンドルは微調整以内であり直進走行モードの一方
の条件を満たすので、「NO」ルートを通じ、ステップ
A14の操舵頻度の判定処理が行なわれる。このステッ
プA14では、前述したような手段により過去1024
回のサンプリングで得られた操舵パルス変化カウンタC
NTの値が「15」より小さいかどうかが判定され、こ
の大小により直進走行時であるかどうかが決定される。
【0093】カウンタCNTの値が「15」より小さい
場合は、全体として少ない操舵パルス変化であるため、
操舵動作の可能性が高いとして、「YES」ルートを通
じて、ステップA16に進んで、直進走行モードフラグ
TFLGが直進走行モードではない「0」に設定され
る。一方、カウンタCNTの値が「15」より大きい場
合は、頻繁に微小角の操舵が行なわれているため、直進
走行時におけるハンドル微調整の状態であるものとし
て、「NO」ルートを通じ、ステップA15に進んで、
直進走行モードフラグTFLGが直進走行モードである
「1」に設定される。
【0094】また、走行路モードが屈曲路モードM2の
時には、ステップA17で、ハンドル角の大きさ|θH
|が8deg 以上であるかどうかが判定され、|θH |が
8deg 以上の操舵が行なわれていると、直進走行時にお
けるハンドル微調整の状態ではなく、明らかな操舵動作
が行なわれたものとして、「YES」ルートを通じ、ス
テップA20に進んで、直進走行モードフラグTFLG
が直進走行モードではない「0」に設定される。
【0095】一方、ステップA17において、ハンドル
角の大きさ|θH |が8deg 以上でないと判定される
と、ハンドルは微調整以内であり直進走行モードの一方
の条件を満たすので、「NO」ルートを通じ、ステップ
A18の操舵頻度の判定処理が行なわれる。すなわち、
ステップA18において、前述したような手段により過
去1024回のサンプリングで得られた操舵パルス変化
カウンタCNTの値が「20」より小さいかどうかが判
定され、この大小により直進走行時であるかどうかが決
定される。
【0096】カウンタCNTの値が「20」より小さい
場合は、全体として少ない操舵パルス変化であるため、
操舵動作の可能性が高いとして、「YES」ルートを通
じて、ステップA20に進んで、直進走行モードフラグ
TFLGが直進走行モードではない「0」に設定され
る。一方、カウンタCNTの値が「20」より大きい場
合は、頻繁に微小角の操舵が行なわれているため、直進
走行時におけるハンドル微調整の状態であるものとし
て、「NO」ルートを通じ、ステップA19に進んで、
直進走行モードフラグTFLGが直進走行モードである
「1」に設定される。
【0097】さらに、走行路モードが高速路モードM3
の時には、ステップA21で、ハンドル角の大きさ|θ
H |が5deg 以上であるかどうかが判定され、|θH
が5deg 以上の操舵が行なわれていると、直進走行時に
おけるハンドル微調整の状態ではなく、明らかな操舵動
作が行なわれたものとして、「YES」ルートを通じ、
ステップA24に進んで、直進走行モードフラグTFL
Gが直進走行モードではない「0」に設定される。
【0098】一方、ステップA21において、ハンドル
角の大きさ|θH |が5deg 以上でないと判定される
と、ハンドルは微調整以内であり直進走行モードの一方
の条件を満たすので、「NO」ルートを通じ、ステップ
A22に進んで、ステップA13の操舵頻度の判定処理
が行なわれる。すなわち、ステップA22において、前
述したような手段により過去1024回のサンプリング
で得られた操舵パルス変化カウンタCNTの値が「1
0」より小さいかどうかが判定され、この大小により直
進走行時であるかどうかが決定される。
【0099】カウンタCNTの値が「10」より小さい
場合は、全体として少ない操舵パルス変化であるため、
操舵動作の可能性が高いとして、「YES」ルートを通
じて、ステップA24に進んで、直進走行モードフラグ
TFLGが直進走行モードではない「0」に設定され
る。一方、カウンタCNTの値が「10」より大きい場
合は、頻繁に微小角の操舵が行なわれているため、直進
走行時におけるハンドル微調整の状態であるものとし
て、「NO」ルートを通じ、ステップA23に進んで、
直進走行モードフラグTFLGが直進走行モードである
「1」に設定される。
【0100】このように、直進走行モードフラグTFL
Gの値が図2に示すフローチャートのステップS4にお
いて取り込まれ、直進走行モード判定ルーチンSUB−
STにおける直進走行の判定結果が、パワーステアリン
グ装置のアシスト状態において所定の状況で反映され
る。すなわち、パワーステアリング装置におけるアシス
トが不要である車両が直進走行モードにある時には、電
動油圧ポンプ22が停止して、電動油圧ポンプ22の動
作に使用されるエネルギが節減される。
【0101】特に、直進走行時であっても、微小な操舵
調整を行なうような走行状態においては、操舵パルスが
頻繁に発生するが、このような操舵パルスの発生に対し
て、直進走行モード判定ルーチンSUB−STにより直
進走行モードかどうかが判定されて、直進走行モードな
らば、操舵パルスが発生しても、電動油圧ポンプ22が
停止するので、電動油圧ポンプ22の停止頻度を増大で
き、エネルギの節減効果が大きい。
【0102】したがって、悪路走行時,路面外乱,ハン
ドルのシミー振動による電動機オンオフの誤動作が防止
されて、この実施例のように、操舵パルスを発生させる
舵角センサ39の分解能を向上させても、操舵アシスト
の不要なときには適切に電動油圧ポンプ22を停止で
き、エネルギの節減効果を得られるのである。また、操
舵パルスを発生させる舵角センサ39の分解能を向上さ
せることで、直進走行モードでないとき(操舵の可能性
のあるとき)には、操舵パルスの発生とともに、速やか
にで電動油圧ポンプ22が起動するので、モータ起動遅
れによる動作遅れ感を招来することなく、必要なときに
は速やかに操舵アシストが行なわれる。
【0103】また、前述のように、一旦電動油圧ポンプ
22が起動すると、所定時間(ここでは5秒間)は、操
舵を行なわなくても直進走行モードであっても、電動油
圧ポンプ22の作動が保持される。このため、モータの
オン・オフ頻度が低減されて、モータの耐久性が向上す
るとともに、制御のハンチングが回避されて、安定した
制御を行なえる。
【0104】なお、この実施例では、走行路モードによ
って、直進走行モードの判定を変えているが、ここで
は、走行路モードの判定を、直進走行モードの判定と同
様に5秒間のデータの平均値で行なっている。つまり、
走行路モードの判定を直進走行モードの判定と同一時間
におけるデータで行なっている。したがって、走行路モ
ードが変更されたときには、この変更された新たな走行
路モードにおけるデータが直進走行モードの判定に用い
られることになり、適切に制御を行なえる。
【0105】勿論、各走行路モードにおける判定の基準
値(閾値)はこの実施例のものに限られず、種々のもの
に設定でき、また、走行路モードの分類もこれに限られ
るものではない。さらに、このように走行路モード毎に
直進走行モードの判定を変えずに、全ての走行路におい
て、一定の閾値で直進走行モードの判定を行なってもよ
い。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の車
両用電動油圧パワーステアリング装置によれば、車両に
そなえられたステアリングホイールの操作に応じて操舵
輪を操舵するステアリング機構と、電動機を駆動源とし
て駆動される電動油圧ポンプと、 該ステアリング機構
における操舵を助勢すべく該ステアリング機構に付設さ
れたピストン機構と、該ピストン機構に操舵助勢用の作
動油を供給するために該電動油圧ポンプと該ピストン機
構との間に介装された油圧回路と、該ステアリング機構
における操舵を助勢すべく装備されたピストン機構と、
該ピストン機構と該電動油圧ポンプとを連結する油圧回
路と、該ステアリングホイールによる操舵角を検出する
操舵角検出手段と、該操舵角検出手段による検出信号に
基づき該電動油圧ポンプの作動を制御するポンプ制御手
段とをそなえ、該操舵角検出手段で検出された操舵角が
所定量以下であって且つ操舵状態の変化頻度が所定以上
の場合に該車両が直進走行モードにあると判定する直進
判定手段が設けられるとともに、該ポンプ制御手段に、
該直進判定手段での直進走行モードの判定に従って該電
動油圧ポンプの作動を停止させるポンプ停止手段が設け
られるという構成で、悪路走行時,路面外乱,ハンドル
のシミー振動に起因する電動油圧ポンプのオンオフの誤
動作が解消され、分解能の高い操舵角検出手段を装備し
ても、電動油圧ポンプの作動頻度を抑制することがで
き、操舵角検出手段の分解能の向上により、電動油圧ポ
ンプの停止状態からの操舵助勢の開始を速やかに行なっ
て、操舵助勢の性能を十分に確保しながら、電動油圧ポ
ンプの停止による車両の燃費向上を実現できる利点があ
る。
【0107】また、電動油圧ポンプの作動頻度を減少で
きるため、ポンプの電動機の耐久性も向上する。また、
請求項2記載の車両用電動油圧パワーステアリング装置
によれば、上記ポンプ制御手段が、該直進判定手段で直
進走行モードと判定されない非直進走行モードとなる
と、該操舵角検出手段からの情報に基づいて操舵操作の
開始により直ちに該電動油圧ポンプの作動を開始するよ
うに構成されるので、電動油圧ポンプの停止状態からの
操舵助勢の開始を速やかに行なえ、操舵助勢の性能を向
上でき、急操舵時においても確実に操舵力が助勢される
利点がある。
【0108】さらに、請求項3記載の車両用電動油圧パ
ワーステアリング装置によれば、上記ポンプ制御手段
に、上記ポンプ停止手段に優先して、該電動油圧ポンプ
をその起動後に所定時間だけ作動状態に保持させる作動
保持手段が設けられるという構成で、電動油圧ポンプの
起動頻度を減少できて、電動油圧ポンプの耐久性が向上
する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その要部構成を示す摸式
的ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その作動を示すフローチ
ャートである。
【図3】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その作動を示すフローチ
ャートである。
【図4】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その動作特性を示すグラ
フである。
【図5】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その動作特性を示すグラ
フである。
【図6】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、そのデータテーブルの構
成を示す摸式図である。
【図7】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、その動作特性を示すグラ
フである。
【図8】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、そのハンドル角センサの
要部構成を示す摸式的正面図である。
【図9】本発明の一実施例としての車両用電動油圧パワ
ーステアリング装置について、そのハンドル角センサの
動作状態を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ステアリング機構 1a ステアリングギヤ 2 ケーシング 3 ラック 4 ピニオンギヤ 5 トーションバー 6 入力軸 7 ステアリングロッド 8 タイロッド 9 ナックル 10 前輪 11 ステアリングロッド 12 ピストン機構としてのパワーシリンダ装置 13 タイロッド 14 ナックル 16 ステアリングジョイント 17 ステアリングシャフト 17a ステアリングコラム 18 ハンドル 19 ロータリバルブ 19a アウターバルブ 19b インナーバルブ 20 流入ポート部 21 流路 22 電動油圧ポンプ 22a ポンプ部 22b 電動機 22c リザーバ 23 流出ポート部 24 流路 26 スプリング 26a 出力ポート部 26b 出力ポート部 27 グロメット 27a 流路 27b 流路 28 ピストンロッド 29 シリンダ 30 ピストン 31a 油室 31b 油室 32a 入力ポート部 32b 入力ポート部 34 油圧回路 36 モータドライバ 37 コントローラ 37A ポンプ制御手段 37B 直進判定手段 37C 走行路モード判定手段 37D 制御量設定部 37E ポンプ停止手段 37F 作動保持手段 38 車速センサ 39 操舵角検出手段としての舵角センサ 40 バッテリ 41 円板 42,43 スリット 44A,44B,44C フォトインタラプタ M1 市街地モード M2 屈曲路モード M3 高速路モード

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両にそなえられたステアリングホイー
    ルの操作に応じて操舵輪を操舵するステアリング機構
    と、 電動機を駆動源として駆動される電動油圧ポンプと、 該ステアリング機構における操舵を助勢すべく該ステア
    リング機構に付設されたピストン機構と、 該ピストン機構に操舵助勢用の作動油を供給するために
    該電動油圧ポンプと該ピストン機構との間に介装された
    油圧回路と、 該ステアリングホイールによる操舵角を検出する操舵角
    検出手段と、 該操舵角検出手段による検出信号に基づき該電動油圧ポ
    ンプの作動を制御するポンプ制御手段とをそなえ、 該操舵角検出手段で検出された操舵角が所定量以下であ
    って且つ操舵状態の変化頻度が所定以上の場合に該車両
    が直進走行モードにあると判定する直進判定手段が設け
    られるとともに、 該ポンプ制御手段に、該直進判定手段での直進走行モー
    ドの判定がされると該電動油圧ポンプの作動を停止させ
    るポンプ停止手段が設けられていることを特徴とする、 車両用電動油圧パワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】 上記ポンプ制御手段が、 該直進判定手段で直進走行モードと判定されない非直進
    走行モードとなると、該操舵角検出手段からの情報に基
    づいて操舵操作の開始により直ちに該電動油圧ポンプの
    作動を開始するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項1記載の直進時制御手段付きパワーステアリ
    ング装置。
  3. 【請求項3】 上記ポンプ制御手段に、上記ポンプ停止
    手段に優先して、該電動油圧ポンプをその起動後に所定
    時間だけ作動状態に保持させる作動保持手段が設けられ
    ていることを特徴とする、請求項2記載の車両用電動油
    圧パワーステアリング装置。
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