JP3500221B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

パワーステアリング装置

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JP3500221B2
JP3500221B2 JP06710395A JP6710395A JP3500221B2 JP 3500221 B2 JP3500221 B2 JP 3500221B2 JP 06710395 A JP06710395 A JP 06710395A JP 6710395 A JP6710395 A JP 6710395A JP 3500221 B2 JP3500221 B2 JP 3500221B2
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友保 嘉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動アクチュエータに
より駆動されるポンプからの圧油によって操舵補助力を
発生させるパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】電動アク
チュエータにより駆動されるポンプと、そのポンプから
の圧油により操舵補助力を発生させる油圧アクチュエー
タとを備えるパワーステアリング装置においては、その
ポンプを常に操舵補助に必要な速度に保持しようとする
と、その電動アクチュエータの電源となるバッテリーの
エネルギーを無駄に消費することになる。
【0003】そこで、そのポンプを電動アクチュエータ
により操舵補助条件の充足時に操舵補助速度に増速する
と共に操舵補助解除条件の充足時に待機速度に減速する
手段を備え、操舵時のみ操舵補助速度にまで増速し、直
進時すなわち舵角中点近傍においては待機速度まで減速
することで省エネルギー性を向上することが図られてい
る。さらに、その操舵補助速度を低車速では大きくし、
高車速では小さくすることで、低車速において操舵補助
力を大きくして車庫入れや据え切り時の旋回性を向上
し、高車速において操舵補助力を小さくして走行安定性
を向上することが図られている(特開昭56‐9985
9号公報、特開平3‐132474号公報)。
【0004】しかし、操舵時に電動アクチュエータによ
ってポンプを待機速度から操舵補助速度まで増速する場
合、低車速時は操舵補助速度が大きいため、その電動ア
クチュエータの応答遅れによって操舵補助に遅れが生
じ、操舵フィーリングが低下するという問題がある。
【0005】そこで、山道走行のように頻繁に操舵を行
なう場合は、操舵補助状態を維持する時間を長くした
り、待機状態において電動アクチュエータに印加する電
圧を大きくして応答遅れを防止し、逆に、高速道路や市
街地の走行時のように操舵頻度が少ない場合は、操舵補
助状態を維持する時間を短くしたり、待機状態において
電動アクチュエータに印加する電圧を小さくすることが
提案されている(特開平3‐112776号公報)。
【0006】しかし、市街地の走行時でも低速で操舵を
行なう場合があり、そのような場合に操舵補助状態を維
持する時間を短くしたり、待機状態における電動アクチ
ュエータに印加する電圧が小さいと、操舵の遅れが大き
くなってしまう。
【0007】本発明は、上記課題を解決することのでき
るパワーステアリング装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、電動アクチュ
エータによって駆動されるポンプからの圧油によって操
舵補助力を発生させる油圧アクチュエータと、そのポン
プを電動アクチュエータにより操舵補助条件の充足時に
操舵補助速度に増速すると共に第1操舵補助解除条件の
充足時に待機速度に減速する手段と、その操舵補助速度
を車速に応じ変化させる手段とを備えるパワーステアリ
ング装置において、車速の検知手段と、検知した車速が
予め設定した基準車速以下の場合に、前記操舵補助条件
を充足しなくても電動アクチュエータを介してポンプを
操舵補助速度に増速すると共に前記第1操舵補助解除条
件を充足しても操舵補助速度に保持する手段とを備える
ことを特徴とする。
【0009】検知した車速が前記基準車速以下の場合
に、前記第1操舵補助解除条件と異なる第2操舵補助解
除条件の充足により電動アクチュエータを介してポンプ
を減速すると共に、前記操舵補助条件の充足時まで待機
速度に保持する手段を備え、その第2操舵補助解除条件
は、操舵状態になく、且つ、第1操舵補助解除条件の充
足時よりも操舵頻度が少ないことの判断基準を満たすこ
とで充足されるものであるのが好ましい。
【0010】操舵角度と操舵角速度の少なくとも一方を
検知する手段を備え、その第1操舵補助解除条件は、操
舵角度と操舵角速度の少なくとも一方が、設定された時
間だけ継続して設定された値以下の時に充足され、その
第2操舵補助解除条件は、操舵角度と操舵角速度の少な
くとも一方が、設定された時間だけ継続して設定された
値以下の時に充足され、その第2操舵補助解除条件につ
き設定された操舵角度および操舵角速度の少なくとも一
方の値は、その第1操舵補助解除条件につき設定された
値未満とされ、その第2操舵補助解除条件につき設定さ
れた時間は、その第1操舵補助解除条件につき設定され
た時間よりも長くされているのが好ましい。
【0011】
【発明の作用および効果】本発明が適用されるパワース
テアリング装置は、電動アクチュエータによってポンプ
を操舵時のみ操舵補助速度にまで増速し、直進時すなわ
ち舵角中点近傍においては待機速度まで減速することで
省エネルギー性を向上する。また、その操舵補助速度を
低車速では大きくし、高車速では小さくすることで、低
車速において操舵補助力を大きくして車庫入れや据え切
り時の旋回性を向上し、高車速において操舵補助力を小
さくして走行安定性を向上する。その操舵補助条件は、
操舵状態にあることの判断基準、例えば、操舵角度が予
め設定した値を超えた場合、および操舵角速度が予め設
定した値を超えた場合の少なくとも一方の基準、あるい
は方向指示器が作動すること等、を満たすことで充足さ
れるものとすることができる。その第1操舵補助解除条
件は、操舵状態にないことの判断基準、例えば、操舵角
度が予め設定した値以下になった場合、および操舵角速
度が予め設定した値以下になった場合の少なくとも一方
の基準を満たしている時間が、予め設定した時間を経過
すること等、を満たすことで充足されるものとすること
ができる。
【0012】本発明の構成によれば、そのようなパワー
ステアリング装置において、検知した車速が基準車速以
下の場合、前記操舵補助条件を充足しなくても電動アク
チュエータを介してポンプを増速すると共に前記第1操
舵補助解除条件を充足しても操舵補助速度に保持するこ
とで、低車速時において操舵補助状態に保持できる。こ
れにより、操舵時に操舵補助の遅れが生じるのを防止で
きる。その基準車速は、操舵力が大きくなる車庫入れ時
や据え切り時等の車速よりも小さくなく、高速走行時の
ように大きな操舵補助力を必要としない場合の車速より
も小さくなるように定めればよい。
【0013】また、基準車速以下であっても、例えば渋
滞中の道路を走行するような場合の操舵頻度は小さい。
このような場合に操舵補助を行なうのはエネルギーの無
駄になる。そこで、基準車速以下であっても、操舵頻度
の小さい場合はポンプを待機速度に減速することが考え
られる。そこで、車速が基準車速以下の場合、第1操舵
補助解除条件とは異なる第2操舵補助解除条件を充足す
ることで、電動アクチュエータによってポンプを減速
し、操舵補助条件の充足時まで待機速度に保持すること
で、基準車速以下であっても操舵頻度の小さい状況にお
いて省エネルギー性を向上することが可能になる。
【0014】操舵角度あるいは操舵角速度が設定値以下
である状態が、設定された時間だけ継続することは、操
舵状態にないことの判断基準となる。その場合、第2操
舵補助解除条件において設定された操舵角度あるいは操
舵角速度の値が、第1操舵補助解除条件において設定さ
れた値未満であること、及び、その設定値以下である継
続時間が第2操舵補助解除条件における方が第1操舵補
助解除条件におけるよりも長いことは、第2操舵補助解
除条件の充足時の方が第1操舵補助解除条件の充足時よ
りも操舵頻度の少ないことの判断基準になる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。
【0016】図1に示すラックピニオン式パワーステア
リング装置1は、ステアリングホイールHに連結される
入力軸2と、この入力軸2にトーションバー3を介し連
結される出力軸4とを備えている。そのトーションバー
3はピン5を介し入力軸2に連結され、また、セレーシ
ョン6を介し出力軸4に連結されている。その出力軸4
にピニオン7が形成され、このピニオン7に噛み合うラ
ック8が操舵用車輪(図示省略)に連結されている。そ
の入力軸2はベアリング9を介しバルブハウジング10
aに支持され、また、ブッシュ11を介し出力軸4に支
持されている。その出力軸4はベアリング12、13を
介しラックハウジング10bに支持されている。これに
より、操舵による入力軸2の回転がトーションバー3を
介しピニオン7に伝達されてラック8が車両幅方向に移
動し、このラック8の移動により車輪が操舵される。な
お、その入出力軸2、4とバルブハウジング10aとの
間にオイルシール14、15が設けられている。また、
そのラック8を支持するサポートヨーク16が設けら
れ、このサポートヨーク16はバネ17の弾性力により
ラック8に押し付けられている。
【0017】操舵補助力を付与する油圧アクチュエータ
として油圧シリンダ18が設けられている。その油圧シ
リンダ18はラックハウジング10bにより構成される
シリンダチューブと、ラック8に一体に形成されたピス
トン20とを備え、そのピストン20により仕切られる
一対の油室21、22が形成されている。各油室21、
22にロータリー式油圧制御弁23が接続されている。
その制御弁23は、筒状の第1バルブ部材24と、この
第1バルブ部材24に相対回転可能に挿入される第2バ
ルブ部材25とを備えている。その第1バルブ部材24
は出力軸4にピン26を介し同行回転可能に取り付けら
れている。その第2バルブ部材25は入力軸2の外周に
一体に形成されている。
【0018】図2に示すように、第1バルブ部材24の
内周と第2バルブ部材25の外周とに軸方向に沿う複数
の凹部が周方向等間隔に形成されている。その第1バル
ブ部材側凹部は、互いに周方向等間隔に位置する4つの
右操舵用凹部27と、互いに周方向等間隔に位置する4
つの左操舵用凹部28とで構成される。その第2バルブ
部材側凹部は、互いに周方向等間隔に位置する4つの圧
油供給用凹部29と、互いに周方向等間隔に位置する4
つの圧油排出用凹部30とで構成される。各右操舵用凹
部27と各左操舵用凹部28とは周方向に交互に配置さ
れ、各圧油供給用凹部29と各圧油排出用凹部30とは
周方向に交互に配置される。各右操舵用凹部27は、第
1バルブ部材24に形成された第1流路31およびバル
ブハウジング10aに形成された第1ポート32を介
し、図1に示すように油圧シリンダ18の一方の油室2
1に通じ、各左操舵用凹部28は、第1バルブ部材24
に形成された第2流路33およびバルブハウジング10
aに形成された第2ポート34を介し油圧シリンダ18
の他方の油室22に通じる。各圧油供給用凹部29は、
第1バルブ部材24に形成された第3流路35およびバ
ルブハウジング10aに形成された入口ポート36を介
し、図1に示すようにポンプ37に通じる。そのポンプ
37は、モータ(電動アクチュエータ)50により駆動
され、例えば、回転速度に応じた流量の圧油を吐出する
ベーンポンプにより構成できる。各圧油排出用凹部30
は、第2バルブ部材25に形成された第1排出路38、
入力軸2とトーションバー3の内外周間の通路47、図
1に示す入力軸2に形成された第2排出路39、及びバ
ルブハウジング10aに形成された排出ポート40を介
しタンク41に通じる。これにより、そのポンプ37、
タンク41、及び油圧シリンダ18の各油室21、22
が第1バルブ部材24と第2バルブ部材25の内外周間
の弁間流路42を通じ連通する。その弁間流路42にお
ける第1バルブ部材側凹部と第2バルブ部材側凹部の間
は、両バルブ部材24、25の相対回転により開度が変
化する絞り部A、B、C、Dとされ、その絞り部A、
B、C、Dの開度変化により油圧シリンダ18に作用す
る油圧が制御される。
【0019】図2は、操舵が行なわれていない舵角中点
での両バルブ部材24、25の相対位置を示しており、
この状態においては各圧油供給用凹部29と各圧油排出
用凹部30とが全絞り部A、B、C、Dを介し連通する
ため、ポンプ37から供給された圧油は直接タンク41
へ還流し操舵補助力は発生せず、そのため、ポンプ37
を操舵補助に必要な操舵補助速度で駆動する必要はな
い。舵角中点から右方へ操舵すると、操舵トルクに応じ
トーションバー3は捩じれ、両バルブ部材24、25は
相対回転する。その結果、各右操舵用凹部27と各圧油
供給用凹部29との間の絞り部Aの開度および各左操舵
用凹部28と各圧油排出用凹部30との間の絞り部Bの
開度が大きくなり、各左操舵用凹部28と各圧油供給用
凹部29との間の絞り部Cの開度および各右操舵用凹部
27と各圧油排出用凹部30との間の絞り部Dの開度が
小さくなる。これにより、ポンプ37から油圧シリンダ
18の一方の油室21へ圧油が供給され、油圧シリンダ
18の他方の油室22からタンク41へ圧油が還流さ
れ、車両の右方への操舵補助力がラック8に作用する。
舵角中点から左方へ操舵すると、各絞り部A、B、C、
Dの開度は右方へ操舵した場合と逆に変化するので、車
両の左方への操舵補助力がラック8に作用する。
【0020】図1に示すように、ステアリングホイール
Hの操舵角度を検出するセンサ51が、コンピュータに
より構成される制御装置52に接続されている。そのセ
ンサ51は、ステアリングホイールHの回転角度に応じ
た信号を制御装置52に送るもので、例えばロータリー
エンコーダによりステアリングホイールHの回転角度に
応じたパルス信号を制御装置52に送るものや、ポテン
ショメータを介して得られるステアリングホイールHの
回転角度に応じた電気信号を、A/D変換器によりデジ
タル信号に変換して制御装置52に送るものにより構成
できる。なお、操舵角度は舵角中点を基準とする角度で
あるので、ロータリーエンコーダ等によってステアリン
グホイールHの回転角度に応じたパルス信号から操舵角
度を検知する場合は、制御装置52により舵角中点の決
定を行ない、その決定を行なうまではポンプ37を常に
操舵補助速度で駆動する。そのような舵角中点の決定の
ため、例えば特開平2‐197465号公報に開示され
ているように、操舵トルクは舵角中点において小さくな
ることを利用し、操舵トルクを検出するセンサを設け、
操舵トルクが設定値よりも小さくなる時を舵角中点と決
定することができる。また、特公平6‐43188号公
報に開示されているように、検出されるセンサからのパ
ルス信号の出現頻度の統計的分布は舵角中点において最
大になるような正規分布になることを利用し、そのパル
ス信号の出現頻度の統計的分布に基づき舵角中点を決定
してもよく、その決定手段は特に限定されない。また、
ポテンショメータを介して得られるステアリングホイー
ルHの回転角度に応じた電気信号から操舵角度を検知す
る場合は、パワーステアリング装置の組み立て時に舵角
中点に対応する電気信号の基準値を設定することで、そ
の基準値からの変化に応じて操舵角度を検知できる。
【0021】その制御装置52に、車速センサ53と、
前記ポンプ駆動用モータ50とが接続される。その制御
装置52は、モータ50の制御プログラムを記憶する。
その制御プログラムの一部として、操舵角度の第1設定
値、操舵角度の第2設定値、操舵角速度の第1設定値、
操舵角速度の第2設定値、第1設定時間、第2設定時間
および基準車速を記憶する。また、その制御装置52は
制御プログラムに従い、センサ51によって検知される
ステアリングホイールHの操舵角度を時系列に読み込
み、その操舵角度の変化に要する時間から操舵角速度を
演算することで、操舵角速度を検知する。
【0022】制御装置52は、検知した操舵角度が第1
設定値を超えるか、検知した操舵角速度が第1設定値を
超えるかの何れか一方の条件を満たした場合に、操舵補
助条件を充足したと判断する。その操舵補助条件の充足
により、制御装置52は操舵補助信号をモータ50にパ
ワーアンプ(図示省略)を介して送り、これにより、モ
ータ50を操舵補助信号に応じた制御電圧で駆動し、ポ
ンプ37を待機速度から操舵補助速度まで増速する。そ
のモータ50の駆動用電源として、車両に搭載されるバ
ッテリーが用いられる。図3の操舵角度と時間との関係
において破線Aは操舵角速度の第1設定値を示し、その
第1設定値よりも操舵角速度が実線Bで示すように小さ
い場合は、操舵角度が一点鎖線で示す第1設定値θaを
超えた時点(Ta)で、モータ50によってポンプ37
の増速を開始する。また、その第1設定値よりも操舵角
速度が実線Cで示すように大きい場合は、その操舵角速
度が第1設定値を超えていることを制御装置52が検知
した時点(Tb)で、モータ50によってポンプ37の
増速を開始する。その操舵角度の第1設定値θaは、例
えば、ステアリングホイールHの舵角中点からの遊び角
度とされる。その操舵角速度の第1設定値は、例えば、
操舵角度が第1設定値θaを超えてからポンプ37の増
速を開始した場合に、操舵補助の遅れが問題にならない
操舵角速度に基づき設定できる。
【0023】制御装置52は、車速センサ53により検
知される車速に応じ、操舵補助時のモータ50の制御電
圧を変化させる。すなわち、操舵補助時におけるモータ
50の制御電圧に対応するポンプ37の操舵補助速度
は、図4において実線Kで示すように車速に比例して減
少し、車速が零において最大値Nmaxとされ、予め設
定した車速Va以上では最小値Nminとされる。これ
により、ポンプ37の操舵補助速度を車速に応じ変化さ
せ、低車速では操舵補助力を大きくして車両の旋回性能
を向上し、高速では操舵補助力を小さくして車両の走行
安定性を向上している。また、待機時におけるモータ5
0の制御電圧に対応するポンプ37の待機速度は、図4
において一点鎖線Lで示すように操舵補助時における最
小値Nminとされる。
【0024】制御装置52は、操舵角度が前記第1設定
値θa以下になり、且つ、操舵角速度が前記第1設定値
以下になった後に、前記第1設定時間が経過すると、後
述の基準車速以下である場合を除き、第1操舵補助解除
条件を充足したと判断する。その第1操舵補助解除条件
の充足により、制御装置52はモータ50に送る操舵補
助信号を解除し、モータ50によってポンプ37を操舵
補助速度から待機速度まで減速する。その第1設定時間
は、無駄なポンプ37の増速を可及的に少なくできるよ
うに経験的に判断して設定でき、例えば1秒とされる。
【0025】制御装置52は、車速センサ53により検
知される車速が前記基準車速以下になると、前記操舵補
助条件を充足しなくてもモータ50を介してポンプ37
を増速すると共に、前記第1操舵補助解除条件を充足し
ても操舵補助速度に保持する。その基準車速は、操舵力
が大きくなる車庫入れ時、据え切り時等の車速よりも小
さくなく、高速走行時のように大きな操舵補助力を必要
としない場合の車速よりも小さくなるように定めればよ
く、例えば10km/時とされる。
【0026】制御装置52は、検知した車速が基準車速
以下の場合に、操舵角度が前記第2設定値以下になり、
且つ、操舵角速度が前記第2設定値以下になった後に、
前記第2設定時間が経過すると、第2操舵補助解除条件
を充足したと判断する。その第2操舵補助解除条件の充
足により、制御装置52はモータ50に送る操舵補助信
号を解除してポンプ37を減速し、前記操舵補助条件が
充足されない限り待機速度に保持する。図3において一
点鎖線で示すように、その操舵角度の第2設定値θbは
第1設定値θa未満とされ、例えば、第1設定値が左右
各操舵方向に関して舵角中点から15度で第2設定値が
左右各操舵方向に関して舵角中点から5度とされる。図
3において二点鎖線bで示すように、その操舵角速度の
第2設定値は第1設定値未満とされ、例えば、第1設定
値が左右各操舵方向に関して舵角中点から90度/秒で
第2設定値が左右各操舵方向に関して舵角中点から10
度/秒とされる。その第2設定時間は前記第1設定時間
よりも長く、例えば、第1設定時間1秒で第2設定時間
が30秒とされる。
【0027】図5、図6のフローチャートを参照し、ポ
ンプ37の制御手順を説明する。なお、舵角中点は定ま
っているものとする。
【0028】まず、エンジンを始動し(ステップ1)、
車速を検知し(ステップ2)、その検知した車速が基準
車速Vb以下か否かを判断する(ステップ3)。検知し
た車速が基準車速Vb以下であれば、その検知した車速
に応じた操舵補助速度にモータ50によってポンプ37
を増速し、操舵補助を行なう(ステップ4)。次に、操
舵角度を検知し(ステップ5)、その検知した操舵角度
が第2設定値θb以下か否かを判断する(ステップ
6)。第2設定値θb以下でなければステップ2に戻
り、第2設定値θb以下であれば時系列に検知した操舵
角度から操舵角速度を検知し(ステップ7)、その検知
した操舵角速度が第2設定値以下か否かを判断する(ス
テップ8)。第2設定値以下でなければステップ2に戻
り、第2設定値以下であれば、そのステップ8において
第2設定値以下であると判断された時から第2設定時間
が経過したか否かを判断する(ステップ9)。なお、そ
の第2設定時間が経過したか否かを判断する計時の進行
途中に、ステップ3において車速が基準車速Vb以下で
ないと判断された場合、ステップ6において操舵角度が
第2設定値θb以下でないと判断された場合、ステップ
8において操舵角速度が第2設定値以下でないと判断さ
れた場合、の何れかに該当すると、その計時の進行はキ
ャンセルされ、再度ステップ8において操舵角速度が第
2設定値以下であると判断されてから新たに計時が進行
する。その第2設定時間が経過していなければステップ
2に戻り、第2設定時間が経過していれば第2操舵補助
解除条件を充足したと判断し、モータ50によってポン
プ37を待機速度に減速して操舵補助を解除する(ステ
ップ10)。
【0029】ステップ3において車速が基準車速Vb以
下でないと判断された場合、および、ステップ10にお
いて第2操舵補助解除条件の充足により操舵補助が解除
された場合は、操舵角度を検知し(ステップ11)、そ
の検知した操舵角度が第1設定値θa以下か否かを判断
する(ステップ12)。第1設定値θa以下でなければ
操舵補助条件を充足したと判断し、車速を検知し(ステ
ップ13)、その検知した車速に応じた操舵補助速度に
モータ50によってポンプ37を増速し、操舵補助を行
なう(ステップ14)。次に、その検知した車速が基準
車速Vb以下か否かを判断し(ステップ15)、基準車
速以下でなければステップ11に戻る。ステップ12に
おいて検知した操舵角度が第1設定値θa以下であれ
ば、時系列に検知した操舵角度から操舵角速度を検知し
(ステップ16)、その検知した操舵角速度が第1設定
値以下か否かを判断する(ステップ17)。第1設定値
以下でなければ操舵補助条件を充足したと判断し、操舵
補助を行なうためにステップ13に戻る。第1設定値以
下であれば、そのステップ17において第1設定値以下
であると判断された時から第1設定時間が経過したか否
かを判断する(ステップ18)。なお、その第1設定時
間が経過したか否かを判断する計時の進行途中に、ステ
ップ12において操舵角度が第1設定値θa以下でない
と判断された場合、ステップ17において操舵角速度が
第1設定値以下でないと判断された場合、の何れかに該
当すると、その計時の進行はキャンセルされ、再度ステ
ップ17において操舵角速度が第1設定値以下であると
判断されてから新たに計時が進行する。その第1設定時
間が経過していなければステップ11に戻り、第1設定
時間が経過していれば第1操舵補助解除条件を充足した
と判断し、ポンプ37を待機速度に減速して操舵補助を
解除し(ステップ19)、ステップ11に戻る。ステッ
プ15において検知した車速が基準車速Vb以下であれ
ば、ステップ5に戻る。
【0030】上記構成によれば、検知した車速が基準車
速Vb以下の場合、操舵補助条件を充足しなくてもモー
タ50を介してポンプ37を増速すると共に第1操舵補
助解除条件を充足しても操舵補助速度に保持すること
で、低車速時において操舵補助状態に保持できる。これ
により、操舵時に操舵補助の遅れが生じるのを防止でき
る。また、基準車速以下であっても、第2操舵補助解除
条件を充足することでモータ50によってポンプ37を
減速し、操舵補助条件が充足されない限り待機速度に保
持するので、渋滞中の道路を走行するような操舵頻度の
小さい状況において、ポンプ37を減速して省エネルギ
ー性を向上できる。なお、第2操舵補助解除条件の充足
によりポンプ37が待機速度に減速された場合、その後
の操舵補助速度への第1回目の増速時が基準車速以下で
ある可能はあるが、そのような事態が生じる頻度は小さ
く現実的には問題にならない。
【0031】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、操舵補助条件を、操舵角度のみが
設定値を超えることで充足されるものとしたり、方向指
示器の作動により充足されるものとしてもよい。また、
第1操舵補助解除条件や第2操舵補助解除条件を、操舵
角度のみが設定された時間だけ継続して設定された値以
下の時に充足されるものとしてもよい。また、各操舵補
助条件につき設定された操舵角度および操舵角速度の値
と、各操舵補助解除条件につき設定された操舵角度およ
び操舵角速度の値とを相異なるものとしてもよい。ま
た、上記実施例では、本発明をラックピニオン式パワー
ステアリング装置に適用したが、ボールスクリュー式パ
ワーステアリング装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の油圧パワーステアリング装置
の縦断面図
【図2】図1のII‐II線断面図
【図3】実施例のパワーステアリング装置の操舵角度と
時間との関係を示す図
【図4】実施例のパワーステアリング装置のポンプ速度
と車速との関係を示す図
【図5】実施例のパワーステアリング装置のポンプの制
御手順を示すフローチャート
【図6】実施例のパワーステアリング装置のポンプの制
御手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1 パワーステアリング装置 18 油圧シリンダ 37 ポンプ 50 ポンプ駆動用モータ 51 舵角センサ 52 制御装置 53 車速センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−206572(JP,A) 特開 平6−263046(JP,A) 特開 平5−270424(JP,A) 特開 平3−112776(JP,A) 特開 平3−132474(JP,A) 特開 昭56−99859(JP,A) 特開 平2−197465(JP,A) 特公 平6−43188(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 5/00 - 6/06

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電動アクチュエータにより駆動されるポン
    プからの圧油によって操舵補助力を発生させる油圧アク
    チュエータと、そのポンプを電動アクチュエータにより
    操舵補助条件の充足時に操舵補助速度に増速すると共に
    第1操舵補助解除条件の充足時に待機速度に減速する手
    段と、その操舵補助速度を車速に応じ変化させる手段と
    を備えるパワーステアリング装置において、車速の検知
    手段と、検知した車速が予め設定した基準車速以下の場
    合に、前記操舵補助条件を充足しなくても電動アクチュ
    エータを介してポンプを操舵補助速度に増速すると共に
    前記第1操舵補助解除条件を充足しても操舵補助速度に
    保持する手段とを備えるパワーステアリング装置。
  2. 【請求項2】検知した車速が前記基準車速以下の場合
    に、前記第1操舵補助解除条件と異なる第2操舵補助解
    除条件の充足により電動アクチュエータを介してポンプ
    を減速すると共に、前記操舵補助条件の充足時まで待機
    速度に保持する手段を備え、その第2操舵補助解除条件
    は、操舵状態になく、且つ、第1操舵補助解除条件の充
    足時よりも操舵頻度が少ないことの判断基準を満たすこ
    とで充足されるものである請求項1に記載のパワーステ
    アリング装置。
  3. 【請求項3】操舵角度と操舵角速度の少なくとも一方を
    検知する手段を備え、その第1操舵補助解除条件は、操
    舵角度と操舵角速度の少なくとも一方が、設定された時
    間だけ継続して設定された値以下の時に充足され、その
    第2操舵補助解除条件は、操舵角度と操舵角速度の少な
    くとも一方が、設定された時間だけ設定された値以下の
    時に充足され、その第2操舵補助解除条件につき設定さ
    れた操舵角度および操舵角速度の少なくとも一方の値
    は、その第1操舵補助解除条件につき設定された値未満
    とされ、その第2操舵補助解除条件につき設定された時
    間は、その第1操舵補助解除条件につき設定された時間
    よりも長くされている請求項2に記載のパワーステアリ
    ング装置。
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