JPH06106188A - 無機系凝集剤添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法 - Google Patents
無機系凝集剤添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法Info
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- JPH06106188A JPH06106188A JP27914392A JP27914392A JPH06106188A JP H06106188 A JPH06106188 A JP H06106188A JP 27914392 A JP27914392 A JP 27914392A JP 27914392 A JP27914392 A JP 27914392A JP H06106188 A JPH06106188 A JP H06106188A
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Abstract
馴養・増殖及び還元性硫黄化合物を含む廃水を高効率で
生物学的に処理する。 【構成】 下水、産業排水を処理する活性汚泥を曝気槽
に投入する。曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に、
また、ORPを還元性硫黄化合物を化学的に硫酸化合物
に酸化する時の自由エネルギー変化量ΔG0より計算で
求めたORPに管理・制御しながら還元性硫黄化合物を
含む廃水と無機系凝集剤を供給して硫黄酸化細菌を馴養
・増殖する。この後、この硫黄酸化細菌を用いて還元性
硫黄化合物を含む排水の処理を行う。 【効果】 硫黄酸化細菌の馴養・増殖が短期間で完了
し、また、排水のpH制御などの複雑な処理を必要とせ
ず、また、廃水処理設備も耐酸性仕様を必要としないの
で、処理設備の建設費、処理コストの大幅な低減が可能
になった。
Description
より詳細には還元性硫黄化合物を含む排水の処理に適し
た硫黄酸化細菌の迅速馴養、増殖方法及び還元性硫黄化
合物を含む排水の生物学的処理方法に関する。
業、石油精製工業、化学工業、金属精練工業、鉱山など
から発生し、これらの排水に含まれている還元性硫黄化
合物は、硫化物(S2-)、チオ硫酸化合物(S
2O3 2-)、ポリチオン酸化合物(S3O6 2-)などであ
り、これらの還元性硫黄化合物を含む排水は、還元性硫
黄化合物に起因するCOD(化学的酸素要求量)値が高
く、このまゝ公共用水域に放流することができない。
法として還元性硫黄化合物を次亜塩素酸ソーダ等の酸化
剤を用いて酸化する方法が知られている。
物を微生物、いわゆる硫黄酸化細菌により酸化してCO
Dを除去する方法がある。
昭57―4296号、特開平3―296497号に記載
の方法がある。
S2O3 2-、S3O6 2-、S4O8 2-またはこれに類するポリ
チオン酸を含有する工場排水に、家庭用浄化槽えつ流
水、下水処理場のエアレーションタンク水、または金属
鉱山排水の1種又は2種以上を添加して酸素を吹き込ん
で該硫黄化合物を硫酸に酸化して排水のCODを除去す
る方法である。
チオ硫酸、ポリチオン酸、ジチオン酸またはこれらに類
する硫黄酸化物に起因する各種排水中のCODを除去す
る際に発生する石膏を硫黄酸化細菌の担体物質として使
用し、同時に培養増殖した菌を該石膏に吸着させ濃縮し
た後、繰り返し使用して排水中のCODを生物学的に除
去する方法である。
中等には、チオシアンやチオ硫酸を分解する硫黄酸化細
菌が多種類存在していることが良く知られており、特開
昭56―67589号、特開昭57―4296号に記載
されている硫黄酸化細菌は、これらの明細書の実施例等
に記述されているようにpHが1.9〜2.0と著しく
低いところでチオ硫酸、ポリチオン酸、ジチオン酸また
はこれらに類する硫黄酸化物を硫酸まで酸化して排水の
CODを除去している。このような低いpHで棲息ある
いは活性な硫黄酸化細菌は、成書(例えば、今井 和民
著化学同人発行“独立栄養細菌”の63〜67頁)に
記載されているようにThiobacillus属の硫
黄酸化細菌と推定される。
は、高炉スラグ浸漬水を硫黄細菌を含む活性汚泥の入っ
た槽中に供給し、この時に硫黄細菌を含む活性汚泥の入
った槽のpHを4〜5に維持して好気的条件で高炉スラ
グ浸漬水のCODを生物学的に処理する方法である。
に酸素ガスを吹き込む指標として酸化還元電位(OR
P)を用いる方法が特開昭58―122093号により
公知になっている。
は水硫化ソーダ等の硫化物を含む廃水に分子状酸素を含
有するガス又は過酸化水素を接触させ、排水中の硫化ソ
ーダ及び/または水硫化ソーダをチオ硫酸ソーダとした
後、白色硫黄細菌により微生物処理する際に、排水中の
硫化ソーダ及び/または水硫化ソーダを分子状酸素を含
有するガス又は過酸化水素を接触させ、排水中の硫化ソ
ーダ及び/または水硫化ソーダをチオ硫酸ソーダに化学
的に酸化する過程で、ORPが−550mV以上(基準
電極不明)、好ましくは、−500mV(基準電極不
明)以上になるまで分子状酸素を含有するガス又は過酸
化水素を供給するものである。
的処理の段階では本発明のようにORPを指標にして空
気等を曝気していない。
して硫黄酸化細菌の凝集性、沈降性を向上させて処理水
への流出を抑制して、曝気槽の硫黄酸化細菌の濃度を高
める方法は、知られていない。
ダなどの酸化剤を用いて還元性硫黄化合物を酸化して処
理する方法は、処理技術が十分に確立していないため処
理水質が安定せず、また、処理コストが高いという致命
的欠点がある。
学的処理方法は、低いpHで棲息或は活性な硫黄酸化細
菌を用いているため処理プロセスが複雑になり、また、
処理設備も耐酸性仕様にするため処理のランニングコス
ト、設備費が高くなる欠点がある。
酸化細菌により還元性硫黄化合物を含むアルカリ性の排
水を処理する場合、例えば、特開昭57―4296号公
報に記載されている方法によりpHの高い高炉スラグ浸
漬水を処理する場合、低いpHで棲息あるいは活性な硫
黄酸化細菌が存在する曝気槽のpHを、この硫黄酸化細
菌に適したpHに維持する必要があり、このため、この
高アルカリ性の排水のpHを硫黄酸化細菌に適したpH
に調整し、また、処理水のpHが1.9〜2.0のよう
に低いと、これを公共用水域に放流するためには、再度
pHを調整する必要があり、pH調整用の設備、薬品等
のコストがかなりかゝる問題点がある。
活性な硫黄酸化細菌を排水処理に用いると、排水処理設
備を耐酸性仕様にする必要があり、このため排水処理設
備の建設費が非常に高くなる致命的な欠点がある。
排水処理を行っても生物学的処理過程の曝気量の指標が
明確でないので、処理時間が著しく長くなり、このため
処理設備が大型になる欠点がある。
の方法では実施例に記載されているように、硫黄細菌が
存在する生物反応槽に吹き込む空気量の指標を何ら決め
ずに、ただ5m3/分と一定にしている。
く、処理設備が著しく大きくなり処理設備の建設費に莫
大な費用がかゝる問題点がある。
硫黄化合物を含む排水を生物学的に処理する場合、生物
反応槽に吹き込む空気量の指標を何ら決めずに行ってお
り、このため多くの問題点がある。
黄化合物の酸化が不十分で、処理水に未反応の還元性硫
黄化合物が流出して、処理水のCODを高める懸念があ
る。
黄酸化細菌のフロックが機械的に破壊され、このため硫
黄酸化細菌が処理水に流出し、曝気槽の硫黄酸化細菌濃
度の低下、処理水質の悪化等を招く問題点がある。
め、また、凝集性に乏しいので曝気槽の硫黄酸化細菌を
高濃度に維持できないので、高効率で、また、処理性能
の優れた処理ができないという問題点がある。
題点として、硫黄酸化細菌は還元性硫黄化合物を酸化し
て、その酸化エネルギーを利用して曝気に用いた空気の
二酸化炭素を固定化して細胞合成行って増殖するので、
増殖速度が著しく遅く、更に、硫黄酸化細菌のような独
立栄養細菌は、有機物を栄養源にしていないため凝集作
用のある糖、タンパク質などの高分子化合物をあまり生
成しないので、この細菌自体が凝集性が少ない。
集性が乏しいため曝気槽で曝気により細分化され易く、
このため汚泥沈降槽で硫黄酸化細菌が処理水に流失し易
く、曝気槽の硫黄酸化細菌を高濃度に維持できず、高効
率処理、或いは処理水質の優れた処理が困難である。
ろは、(1)還元性硫黄化合物を含む排水を生物学的に
処理する装置の曝気槽に下水、産業排水などの活性汚泥
混合液を入れ、この曝気槽に還元性硫黄化合物を含む排
水と無機系凝集剤を供給し、排水に含まれている還元性
硫黄化合物を化学的に硫酸化合物に酸化した時の自由エ
ネルギー変化量(ΔG0)より計算で求めた酸化還元電
位(ORP)を指標にして曝気槽の曝気を管理・制御
し、また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に管理
・制御することを特徴とする下水、産業排水の活性汚泥
に棲息する還元性硫黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌の
馴養・増殖方法、
増殖した還元性硫黄化合物を酸化する微生物が存在する
曝気槽に、還元性硫黄化合物を含む排水を供給し、前記
(1)の方法により求めたORP値に維持できるように
曝気槽の曝気を管理・制御し、また、曝気槽のpHを
4.0〜7.5の範囲に管理・制御することを特徴とす
る還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
方法において無機系凝集剤として塩化鉄を供給すること
を特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性
硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
(3)に記載の還元性硫黄化合物を含む排水が鉱石より
金属を精錬する際に発生するスラグに起因する排水であ
ることを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は
還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
(3)に記載の還元性硫黄化合物を含む排水が製鐵所の
高炉から発生する高炉スラグに起因する排水であること
を特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性
硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
無機系凝集剤として塩化鉄を供給し、曝気槽のORPを
0〜+150mV(銀/塩化銀電極基準)になるように
曝気を行い、また、曝気槽のpHを5.0〜7.0の範
囲に管理・制御することを特徴とする硫黄酸化細菌の馴
養・増殖方法又は及び還元性硫黄化合物を含む排水の生
物学的処理方法、にある。
いる活性汚泥に、pH4.0〜7.5で還元性硫黄化合
物を酸化する硫黄酸化細菌が棲息していることを見いだ
した。
うに、本発明は、後述する本発明の硫黄酸化細菌を馴
養、増殖方法により、これらの活性汚泥からpH4.0
〜7.5で硫黄酸化細菌を優先的に馴養・増殖し、この
硫黄酸化細菌を用いて還元性硫黄化合物を含む排水を連
続的に処理するものである。
合物を酸化する硫黄酸化細菌の馴養・増殖を促進する方
法について説明する。
合物まで酸化される反応を仮定し、この反応に於ける自
由エネルギー変化量を便覧、成書、文献などから求め、
次に、この自由エネルギー変化量から計算により、これ
らの反応が起こるための酸化還元電位(ORP)を求め
る。
装置の曝気槽(3)に下水或は産業排水の処理を行って
いる活性汚泥処理装置の曝気槽より採取した活性汚泥混
合液を入れ、この曝気槽(3)のORP値を、0mVか
ら廃水に含まれている還元性硫黄化合物が酸化反応を起
こしたと仮定した時の自由エネルギー変化量より計算で
求めたORP値の範囲、例えば、還元性硫黄化合物がチ
オ硫酸化合物の場合は、0〜+150mV(Ag/Ag
Cl電極基準)に設定する。
的反応の場合、例えば、還元性硫黄化合物が硫酸に酸化
される反応は、計算で求めたORP値でないと起こらな
いということでは無く、計算で求めたORP値よりも低
い所でも還元性硫黄化合物が完全に酸化されないが、か
なり高い酸化率で酸化反応が起こっており、計算で求め
たORP値に近くなる程、酸化率が高くなり、計算値に
なると酸化率が完全に100%に達するという観察結果
に基づくものである。
する場合、計算で求めたORP値は、約+150mVで
あるが、排水処理として機能するORPの下限値は、実
験的に約0mVである。
学的に処理をする場合、曝気槽のORP制御は、0〜+
150mVの範囲が好ましい。
を生物学的に処理する場合、曝気槽のORP制御値は、
還元性硫黄化合物のなかで酸化反応が起こるORPが最
も高いものに設定すれば良い。
化合物などを含む排水の場合、酸化反応が起こるORP
は、チオ硫酸化合物が最も高いので、チオ硫酸化合物の
ORP、具体的には0〜+150mVに設定すれば良
い。
硫黄化合物の酸化率が最高なので、これ以上に高い所に
設定しても意味がない。
性硫黄化合物としてチオ硫酸化合物、硫化物等の還元性
硫黄化合物を含有する排水を処理時間が8時間になるよ
うに供給する。
しないが、徐々に上昇し約3〜5日間で設定値に上昇
し、ORP制御が行われる。
Pが約0mV以上になると、ほとんど検出されなくな
り、また、処理水のCODも著しく低下する。
〜10日間毎に処理時間が6時間→4時間→3時間→2
時間になるように排水の供給量を徐々に増加する。
につれて還元性硫黄化合物の酸化が進み硫酸を生成する
ため曝気槽のpHは低下し、なんら対策をうたないと特
開昭56―67589号、特開昭57―4296号に記
載されているようにpH1.9〜2.0まで低下する。
殖した硫黄酸化細菌は、強酸性で活性なThiobac
illus属が優先種となり、先に説明したような問題
点が発生する。
増殖した硫黄酸化細菌のチオ硫酸化合物、硫化物などの
還元性硫黄化合物を酸化する機能が低下し、処理水にこ
れらの還元性硫黄化合物が検出される。
5、好ましくは、5.5〜6.5の範囲になるようにア
ルカリ剤により管理・制御する必要がある。
とpH4.0〜7.5の範囲で活性で、還元性硫黄化合
物を酸化する硫黄酸化細菌を馴養・増殖することができ
る。
ば、塩化鉄、ポリ塩化アルミニウムなど、好ましくは塩
化鉄を添加する。
性硫黄化合物を酸化して、その酸化エネルギーを利用し
て曝気に用いた空気の二酸化炭素を固定化して細胞合成
を行って増殖するので、増殖速度が著しく遅く、また、
栄養源に有機物を用いていないので凝集効果がある高分
子量の糖類、タンパク質の生成が少ない。
菌を高濃度に維持することは困難であり、このため硫黄
酸化細菌の馴養・増殖の促進及び凝集性を向上させる必
要がある。
凝集剤の添加が効果がある。即ち、硫黄酸化細菌の馴養
・増殖中に無機系凝集剤、例えば塩化鉄、ポリ塩化アル
ミニウム(PAC)、ポリ鉄などを添加すると、硫黄酸
化細菌の凝集性が向上して大きな硫黄酸化細菌のフロッ
クを形成する。
フロックが曝気により壊れにくゝなり、また、沈降性が
良好になり、汚泥沈降槽で硫黄酸化細菌が処理水への浮
上流出が抑制され、このため硫黄酸化細菌を短期間で高
濃度に維持することができ、また、硫黄酸化細菌が処理
水に流出しないので処理水質も向上する。
コストなどを考慮すると塩化鉄が最適である。特に、塩
化鉄は、硫黄酸化細菌の無機系栄養剤としての作用があ
り、塩化鉄を添加すると硫黄酸化細菌の馴養・増殖が促
進される。
として5〜200mg/l程度が最適で、これ以下だと
効果がほとんど無く、また、これ以上添加してもこれ以
上の効果が期待できない。
分子凝集剤を用いても良いが、この高分子系凝集剤のな
かには、硫黄酸化細菌の機能を阻害する毒性のあるもの
あり、このため毒性の無い高分子系凝集剤を選択する必
要がある。
について説明する。この排水処理において、曝気槽
(3)への曝気は、暖気槽(3)のORPが設定値より
低下するとORPセンサー(金―銀/塩化銀複合電極)
(10)がキャッチし、ORP制御装置(11)により
ルーツブロアー(12)の回転数をアップして曝気量を
増やし、設定値に回復したらルーツブロアー(12)の
回転数を下げて、曝気量を低減する比例制御方式による
ORP制御である。
ー(8)、pH制御装置(9)によりpHが4.0〜
7.5、好ましくは、5.5〜6.5の範囲になるよう
にアルカリ剤、酸により管理・制御する。
泥返送率は、本発明の場合、20%未満では汚泥沈降槽
の汚泥を十分に返送できず、また、30%超では返送汚
泥濃度が薄いので、効率的な汚泥返送を行うためには汚
泥返送率は20〜30%程度が最適で、また、廃水の連
続処理の進行に伴い還元性硫黄化合物が増殖するが、こ
れは適時余剰汚泥(14)として抜き取り処分する。
黄酸化細菌の性状について説明する。
所のコークス炉から発生するガス廃液、魚加工工場、写
真フイルム工場、石油精製工場等の各工場の排水の活性
汚泥、或は、製鐵所の高炉徐冷スラグ置き場の溜まり水
のヘドロ、旧硫黄鉱山の廃水のヘドロ等から上記方法に
基づいて硫黄酸化細菌の馴養・培養を行った。
なる液体Starkey培地に植種して、振盪培養器を
用いて20℃で、Starkey培地のチオ硫酸イオン
濃度が2200mg/lから50mg/l以下になる日
数を測定した。その結果が、図3である。なお、液体S
tarkey培地の組成は、次の通りである。
て、pHの異なるStarkeyの液体培地を作成し
た。
Hが2〜3.5及び8.0〜10の範囲では、20日以
上振盪してもチオ硫酸イオンが殆ど減少しないが、pH
が4.0〜7.5の範囲では振盪日数12日以下で、特
に、pH5.0〜6.5では10日以下でチオ硫酸イオ
ンが50mg/l以下になることが明らかになった。
性汚泥から馴養・培養した硫黄酸化細菌は、pH4.0
〜7.5の範囲で還元性硫黄化合物を酸化する能力を有
していることが明らかになった。
y and A.P.Harrisonの分類によって
も明白で、即ち、彼らの分類によると、本発明の方法で
馴養・増殖したpH4.0〜7.5の範囲で活性な硫黄
酸化細菌は、Group―2に、また、特開昭53―5
9254号、特開昭56―67589号記載の硫黄酸化
細菌は、pH1.9〜2.0で活性なのでGroup―
5に属することが明らかである(書名:Bergey’
s Manual of Systematic Ba
cteriology Vol.3,著者:James
T.Staley,発行元:Williams &
Wilkins,記載箇所:1843頁のFig.2
0.47)。
硫黄化合物を含む排水を生物学的方法により処理を行う
方法、例えば、特開昭53―59254号、特開昭56
―67589号記載の方法で用いている硫黄酸化細菌
は、pH1.9〜2.0で、還元性硫黄化合物を酸化し
ている。
酸化細菌はこのような低pHでは、還元性硫黄化合物を
酸化する能力を有していない。
した硫黄酸化細菌は、従来の排水処理に用いられている
硫黄酸化細菌とは異なることが明らかになった。
化鉄の添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖の促進、ま
た、曝気槽の硫黄酸化細菌の高濃度化について説明す
る。
剤、或いは、硫黄酸化細菌の固定化担体を添加しない
で、また、曝気槽のORP制御・管理を行わないでpH
制御・管理のみを行って下水、産業排水の活性汚泥から
硫黄酸化細菌の馴養・増殖を行った。
〜7.5で活性な硫黄酸化細菌が得られるが、この硫黄
酸化細菌を馴養・増殖するのに10〜30日以上の長期
間を要し、また、還元性硫黄化合物を含む排水を処理し
た場合、曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥濃度が徐々に
減少し、3〜6ケ月後には500mg/l以下になり、
還元性硫黄化合物の酸化が進まなくなり、ついには活性
汚泥処理が不可能になる。
期間要したのは、塩化鉄などの無機系凝集剤を添加して
いないので、先に説明したように硫黄酸化細菌のフロッ
クが壊されて細分化し、処理水に流出したのが原因であ
る。
を添加して、曝気槽のORP、及びpH制御・管理を行
いながら下水、産業排水の活性汚泥から硫黄酸化細菌の
馴養・増殖を行うと、実施例に説明しているように硫黄
酸化細菌の馴養・増殖期間が著しく短縮され、また、硫
黄酸化細菌の活性汚泥のフロックが曝気により壊れにく
ゝなり、沈降性が良好になるので、汚泥沈降槽から処理
水に流出することが無い。
を高濃度に維持でき、高効率で処理性能が優れた還元性
硫黄化合物を含む排水の処理が可能になった。
細菌の栄養塩としての作用があり、これらの相乗作用に
より馴養・増殖期間が著しく短縮され、また、曝気槽の
硫黄酸化細菌の濃度が低下しないものと思われる。
ジングヤードなどから発生するチオ硫酸化合物、硫化物
等の還元性硫黄化合物を高濃度に含有し、また、pHが
12〜14と高アルカリ性で、CODが300〜600
mg/lと高い排水(以下、高炉スラグ排水と述べる)
の処理に適用した実施例を説明する。
槽(3)及び汚泥沈降槽(5)に下水の処理を行ってい
る活性汚泥混合液(活性汚泥濃度:1524mg/l)
を入れる。
(Ag/AgCl電極基準)に設定し、また、pHを
6.0〜6.5に制御しながら、第1表に性状の1例を
示すpHが13〜14と高い高炉スラグ排水を、曝気槽
(3)における滞留時間が8時間になるように供給す
る。
槽に第二鉄イオンとして曝気槽に対して1日に50mg
/lになるように添加した。なお、汚泥沈降槽(5)か
ら曝気槽(3)への汚泥の返送率は、約25%である。
後に、処理水にチオ硫酸化合物、硫化物が検出されなく
なり、CODが約50mg/l程度に低下する。
6時間→4時間→3時間→2時間と短縮すると、処理水
のCODは、10mg/l以下に除去され、硫黄酸化細
菌の馴養が短期間で完了する。
どの還元性硫黄化合物が検出されない。
間が2〜3時間になるように高炉スラグ排水を供給して
連続処理を行うことができる。
酸)は、硫黄酸化細菌の馴養が段々進むに連れて、消費
量が減少し、硫黄酸化細菌の馴養が完了して、高炉スラ
グ排水の連続処理の段階では殆ど消費しなくなる。
元性硫黄化合物が硫酸に酸化され、この硫酸により曝気
槽のpHが、外部から酸を添加する事なく適性値に維持
することができるためである。
例と硫黄酸化細菌の馴養期間の処理時間とその後の処理
時間が2〜3時間の連続処理を行ったときの処理水質を
第1表に、曝気槽の活性汚泥濃度の例を第2表にまとめ
て示す。
化合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されず、
CODが10mg/l以下で、pHも6.0〜6.5な
ので、このまゝ公共用水域に放流することができる。
当初の下水の活性汚泥が1524mg/lで、硫黄酸化
細菌の馴養期間、即ち、8時間処理の時に1280mg
/lに低下したが、その後、硫黄酸化細菌の増殖期間、
即ち、処理時間を7〜10日毎に8時間→6時間→4時
間→3時間→2時間と短縮した期間は、活性汚泥濃度が
徐々に増加し、3時間処理に時には2680mg/lに
増加し、2〜3時間処理で高炉スラグ排水の連続処理を
行っても硫黄酸化細菌の活性汚泥濃度は低下せず、曝気
槽の活性汚泥濃度を2800〜3200mg/lに維持
できるように余剰汚泥の引き抜きをおこなって管理し
た。
活性汚泥から高炉スラグ排水を用いて硫黄酸化細菌の馴
養を3〜5日で完了した。
化合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されなく
なった段階で、馴養が完了した考え、その後は、還元性
硫黄化合物の処理負荷量を増加し、即ち、処理時間を6
〜7日毎に8時間→6時間→4時間→3時間と逐次短縮
して硫黄酸化細菌の増殖を計った。
還元性硫黄化合物が検出されず、CODが10mg/l
以下と良好であり、曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥も
順調に増殖した。
水を、処理時間が2〜3時間の高効率処理を行っても、
処理水に還元性硫黄化合物が検出されず、また、処理水
のCODが10mg/l以下と良好であり、硫黄酸化細
菌の活性汚泥の処理水の流出もほとんど無く、処理水の
SS濃度も全期間通じて、10〜20mg/l以下であ
った。
は、硫黄酸化細菌の固定化担体を添加しないで、また、
曝気槽のORP制御・管理を行わないでpH制御・管理
のみを行って、上記方法で下水の活性汚泥から硫黄酸化
細菌の馴養・増殖を行った所、本願発明の方法で得られ
れたpH4〜7.5で活性な硫黄酸化細菌が得られた。
るのに10〜30日以上の長期間を要し、また、還元性
硫黄化合物を含む排水を処理した場合、曝気槽の硫黄酸
化細菌の活性汚泥濃度が徐々に減少し、3〜6ケ月後に
は500mg/l以下になり、還元性硫黄化合物の酸化
が進まなくなり、ついには活性汚泥処理が不可能にな
る。
有し、また、pHが10〜11のアルカリ性で、COD
が500〜800mg/lと高い化学工場排水の処理に
適用した実施例を説明する。
泥処理設備の曝気槽より採取した活性汚泥混合液(汚泥
濃度:2000〜3200mg/l)を、図2に示す曝
気槽に入れる。
(Ag/AgCl電極基準)に設定し、また、予めこの
排水のpHを8〜8.5に硫酸により調整した後、曝気
槽のpHを6.0〜6.5に制御しながら、この排水を
曝気槽における滞留時間が8時間になるように供給す
る。
AC)の水溶液をアルミニウムイオンとして200mg
/lになるように曝気槽に添加した。
への汚泥の返送率は、約25%である。
処理水に亜硫酸ソーダが検出されなくなり、CODが約
25mg/l程度に低下する。
50mVに達し、ORP制御が可能になった。
6時間→4時間→3時間→2時間と短縮すると、処理水
のCODは、10mg/l以下に除去され、硫黄酸化細
菌の馴養が短期間で完了する。
い。硫黄酸化細菌の馴養が完了したら、処理時間が2〜
3時間になるようにこの排水を供給して連続処理を行
う。
工場排水を用いて産業排水の処理を行っている活性汚泥
からも亜硫酸ソーダを酸化する硫黄酸化細菌を馴養・増
殖することができ、また、この硫黄酸化細菌を用いてこ
の工場排水を容易に処理することができた。
っている活性汚泥より還元性硫黄化合物をpH4.0〜
7.5近辺で酸化する硫黄酸化細菌の馴養・増殖が著し
く促進され、この硫黄酸化細菌の馴養・増殖が短期間で
行うことが可能になった。
り還元性硫黄化合物を含む排水の処理が容易になり、ま
た、処理設備、処理コストの低減が可能になった。
排水の処理に用いるORP制御活性汚泥処理装置の一例
の説明図。
酸イオンの酸化速度(活性度)とpHとの関係を示した
図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 還元性硫黄化合物を含む排水を生物学的
に処理する装置の曝気槽に下水、産業排水などの活性汚
泥混合液を入れ、この曝気槽に還元性硫黄化合物を含む
排水と無機系凝集剤を供給し、排水に含まれている還元
性硫黄化合物を化学的に硫酸化合物に酸化した時の自由
エネルギー変化量(ΔG0)より計算で求めた酸化還元
電位(ORP)を指標にして曝気槽の曝気を管理・制御
し、また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に管理
・制御することを特徴とする下水、産業排水の活性汚泥
に棲息する還元性硫黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌の
馴養・増殖方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法により馴養・増殖し
た還元性硫黄化合物を酸化する微生物が存在する曝気槽
に、還元性硫黄化合物を含む排水を供給し、請求項1の
方法により求めたORP値に維持できるように曝気槽の
曝気を管理・制御し、また、曝気槽のpHを4.0〜
7.5の範囲に管理・制御することを特徴とする還元性
硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の方法にお
いて無機系凝集剤として塩化鉄を供給することを特徴と
する硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化合
物を含む排水の生物学的処理方法。 - 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
の還元性硫黄化合物を含む排水が鉱石より金属を精錬す
る際に発生するスラグに起因する排水であることを特徴
とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化
合物を含む排水の生物学的処理方法。 - 【請求項5】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
の還元性硫黄化合物を含む排水が製鐵所の高炉から発生
する高炉スラグに起因する排水であることを特徴とする
硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化合物を
含む排水の生物学的処理方法。 - 【請求項6】 請求項5に記載の方法において、無機系
凝集剤として塩化鉄を供給し、曝気槽のORPを0〜+
150mV(銀/塩化銀電極基準)になるように曝気を
行い、また、曝気槽のpHを5.0〜7.0の範囲に管
理・制御することを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増
殖方法又は及び還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的
処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27914392A JP2618164B2 (ja) | 1992-09-25 | 1992-09-25 | 無機系凝集剤添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP27914392A JP2618164B2 (ja) | 1992-09-25 | 1992-09-25 | 無機系凝集剤添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06106188A true JPH06106188A (ja) | 1994-04-19 |
JP2618164B2 JP2618164B2 (ja) | 1997-06-11 |
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ID=17607043
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27914392A Expired - Fee Related JP2618164B2 (ja) | 1992-09-25 | 1992-09-25 | 無機系凝集剤添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2618164B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002176970A (ja) * | 2000-12-13 | 2002-06-25 | Bicom:Kk | 高濃度硫黄酸化細菌、及び硫黄酸化細菌の高濃度培養方法 |
EP1270518A1 (de) * | 2001-06-27 | 2003-01-02 | Ulrich Kubinger | Verfahren zur biologischen Reinigung kommunaler Abwässer |
JP2008194610A (ja) * | 2007-02-13 | 2008-08-28 | Jfe Steel Kk | 硫黄系cod成分を含有する廃水の処理方法及び処理設備 |
JP2016078021A (ja) * | 2014-10-15 | 2016-05-16 | アクアサービス株式会社 | 水質浄化方法および水質浄化システム |
-
1992
- 1992-09-25 JP JP27914392A patent/JP2618164B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JP2618164B2 (ja) | 1997-06-11 |
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