JPH06106187A - 有機化合物添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法 - Google Patents

有機化合物添加による硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法と還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法

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JPH06106187A
JPH06106187A JP27914292A JP27914292A JPH06106187A JP H06106187 A JPH06106187 A JP H06106187A JP 27914292 A JP27914292 A JP 27914292A JP 27914292 A JP27914292 A JP 27914292A JP H06106187 A JPH06106187 A JP H06106187A
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reducing sulfur
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Masahiro Fujii
正博 藤井
Osamu Miki
理 三木
Yasushi Kamori
裕史 嘉森
Kazuhisa Fukunaga
和久 福永
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 還元性硫黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌の
馴養・増殖及び還元性硫黄化合物を含む排水を高効率で
生物学的に処理する。 【構成】 下水、産業排水を処理する活性汚泥を曝気槽
に投入する。曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に、
また、ORPを還元性硫黄化合物を化学的に硫酸化合物
に酸化する時の自由エネルギー変化量ΔG0より計算で
求めたORPに管理・制御しながら還元性硫黄化合物を
含む排水と有機化合物又は有機物を含む排水を供給して
硫黄酸化細菌の馴養・増殖を促進する。この後、この硫
黄酸化細菌を用いて還元性硫黄化合物を含む排水の処理
を行う。 【効果】 硫黄酸化細菌の馴養・増殖が短期間で完了
し、また、廃水のpH制御などの複雑な処理を必要とせ
ず、また、廃水処理設備も耐酸性仕様を必要としないの
で、処理設備の建設費、処理コストの大幅な低減が可能
になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排水の生物学的処理、
より詳細には還元性硫黄化合物を含む排水の処理に適し
た硫黄酸化細菌の迅速馴養、増殖方法及び還元性硫黄化
合物を含む排水の生物学的処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】還元性硫黄化合物を含む排水は、写真工
業、石油精製工業、化学工業、金属精練工業、鉱山など
から発生し、これらの排水に含まれている還元性硫黄化
合物は、硫化物(S2-)、チオ硫酸化合物(S
23 2-)、ポリチオン酸化合物(S36 2-)などであ
り、これらの還元性硫黄化合物を含む排水は、還元性硫
黄化合物に起因するCOD(化学的酸素要求量)値が高
く、このまゝ公共用水域に放流することができない。
【0003】この還元性硫黄化合物を含む排水の処理方
法として還元性硫黄化合物を次亜塩素酸ソーダ等の酸化
剤を用いて酸化する方法が知られている。
【0004】また、化学的方法に代わり還元性硫黄化合
物を微生物、いわゆる硫黄酸化細菌により酸化してCO
Dを除去する方法がある。
【0005】例えば、特開昭56―67589号、特開
昭57―4296号、特開平3―296497号に記載
の方法がある。
【0006】特開昭56―67589号記載の方法は、
23 2-、S36 2-、S48 2-またはこれに類するポリ
チオン酸を含有する工場排水に、家庭用浄化槽えつ流
水、下水処理場のエアレーションタンク水、または金属
鉱山排水の1種又は2種以上を添加して酸素を吹き込ん
で該硫黄化合物を硫酸に酸化して排水のCODを除去す
る方法である。
【0007】特開昭57―4296号に記載の方法は、
チオ硫酸、ポリチオン酸、ジチオン酸またはこれらに類
する硫黄酸化物に起因する各種排水中のCODを除去す
る際に発生する石膏を硫黄酸化細菌の担体物質として使
用し、同時に培養増殖した菌を該石膏に吸着させ濃縮し
た後、繰り返し使用して排水中のCODを生物学的に除
去する方法である。
【0008】下水もしくはし尿汚泥中及び金属鉱山廃水
中等には、チオシアンやチオ硫酸を分解する硫黄酸化細
菌が多種類存在していることが良く知られており、特開
昭56―67589号、特開昭57―4296号に記載
されている硫黄酸化細菌は、これらの明細書の実施例等
に記述されているようにpHが1.9〜2.0と著しく
低いところでチオ硫酸、ポリチオン酸、ジチオン酸また
はこれらに類する硫黄酸化物を硫酸まで酸化して排水の
CODを除去している。このような低いpHで棲息ある
いは活性な硫黄酸化細菌は、成書(例えば、今井 和民
著化学同人発行“独立栄養細菌”の63〜67頁)に
記載されているようにThiobacillus属の硫
黄酸化細菌と推定される。
【0009】特開平3―296497号に記載の方法
は、高炉スラグ浸漬水を硫黄細菌を含む活性汚泥の入っ
た槽中に供給し、この時に硫黄細菌を含む活性汚泥の入
った槽のpHを4〜5に維持して好気的条件で高炉スラ
グ浸漬水のCODを生物学的に処理する方法である。
【0010】次に、硫黄化合物を含む排水を処理する際
に酸素ガスを吹き込む指標として酸化還元電位(OR
P)を用いる方法が特開昭58―122093号により
公知になっている。
【0011】即ち、この方法は、硫化ソーダ及び/また
は水硫化ソーダ等の硫化物を含む廃水に分子状酸素を含
有するガス又は過酸化水素を接触させ、排水中の硫化ソ
ーダ及び/または水硫化ソーダをチオ硫酸ソーダとした
後、白色硫黄細菌により微生物処理する際に、排水中の
硫化ソーダ及び/または水硫化ソーダを分子状酸素を含
有するガス又は過酸化水素を接触させ、排水中の硫化ソ
ーダ及び/または水硫化ソーダをチオ硫酸ソーダに化学
的に酸化する過程で、ORPが−550mV以上(基準
電極不明)、好ましくは、−500mV(基準電極不
明)以上になるまで分子状酸素を含有するガス又は過酸
化水素を供給するものである。
【0012】この方法は、白色硫黄細菌を用いた生物学
的処理の段階では本発明のようにORPを指標にして空
気等を曝気していない。
【0013】なお、硫黄酸化細菌を用いた還元性硫黄化
合物を含む排水の処理に本発明のように、有機化合物又
は有機化合物を含む排水を曝気槽に添加して硫黄酸化細
菌の馴養・増殖性、凝集性を促進する方法は、知られて
いない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来の次亜塩素酸ソー
ダなどの酸化剤を用いて還元性硫黄化合物を酸化して処
理する方法は、処理技術が十分に確立していないため処
理水質が安定せず、また、処理コストが高いという致命
的欠点がある。
【0015】また、従来の硫黄化合物を含む排水の生物
学的処理方法は、低いpHで棲息或は活性な硫黄酸化細
菌を用いているため処理プロセスが複雑になり、また、
処理設備も耐酸性仕様にするため処理のランニングコス
ト、設備費が高くなる欠点がある。
【0016】このような低いpHで棲息或は活性な硫黄
酸化細菌により還元性硫黄化合物を含むアルカリ性の排
水を処理する場合、例えば、特開昭57―4296号公
報に記載されている方法によりpHの高い高炉スラグ浸
漬水を処理する場合、低いpHで棲息あるいは活性な硫
黄酸化細菌が存在する曝気槽のpHを、この硫黄酸化細
菌に適したpHに維持する必要があり、このため、この
高アルカリ性の排水のpHを硫黄酸化細菌に適したpH
に調整し、また、処理水のpHが1.9〜2.0のよう
に低いと、これを公共用水域に放流するためには、再度
pHを調整する必要があり、pH調整用の設備、薬品等
のコストがかなりかゝる問題点がある。
【0017】更に、このような低いpHで棲息あるいは
活性な硫黄酸化細菌を排水処理に用いると、排水処理設
備を耐酸性仕様にする必要があり、このため排水処理設
備の建設費が非常に高くなる致命的な欠点がある。
【0018】仮にpHが中性近辺で硫黄酸化細菌による
排水処理を行っても生物学的処理過程の曝気量の指標が
明確でないので、処理時間が著しく長くなり、このため
処理設備が大型になる欠点がある。
【0019】例えば、特開平3―296497号に記載
の方法では実施例に記載されているように、硫黄細菌が
存在する生物反応槽に吹き込む空気量の指標を何ら決め
ずに、ただ5m3/分と一定にしている。
【0020】このため処理時間が約40時間と著しく長
く、処理設備が著しく大きくなり処理設備の建設費に莫
大な費用がかゝる問題点がある。
【0021】また、従来の硫黄酸化細菌を用いて還元性
硫黄化合物を含む排水を生物学的に処理する場合、生物
反応槽に吹き込む空気量の指標を何ら決めずに行ってお
り、このため多くの問題点がある。
【0022】例えば、曝気量が不足の場合は、還元性硫
黄化合物の酸化が不十分で、処理水に未反応の還元性硫
黄化合物が流出して、処理水のCODを高める懸念があ
る。
【0023】また、曝気量が過剰の場合は、曝気槽の硫
黄酸化細菌のフロックが機械的に破壊され、このため硫
黄酸化細菌が処理水に流出し、曝気槽の硫黄酸化細菌濃
度の低下、処理水質の悪化等を招く問題点がある。
【0024】更に、硫黄酸化細菌は、増殖速度が遅いた
め、また、凝集性に乏しいので曝気槽の硫黄酸化細菌を
高濃度に維持できないので、高効率で、また、処理性能
の優れた処理ができないという問題点がある。
【0025】即ち、硫黄酸化細菌の有している特有の問
題点として、硫黄酸化細菌は還元性硫黄化合物を酸化し
て、その酸化エネルギーを利用して曝気に用いた空気の
二酸化炭素を固定化して細胞合成行って増殖するので、
増殖速度が著しく遅く、更に、硫黄酸化細菌のような独
立栄養細菌は、有機物を栄養源にしていないため凝集作
用のある糖、タンパク質などの高分子化合物をあまり生
成しないので、この細菌自体が凝集性が少ない。
【0026】硫黄酸化細菌は、増殖速度が遅いのと、凝
集性が乏しいため曝気槽で曝気により細分化され易く、
このため汚泥沈降槽で硫黄酸化細菌が処理水に流失し易
く、曝気槽の硫黄酸化細菌を高濃度に維持できず、高効
率処理、或いは処理水質の優れた処理が困難である。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、(1)還元性硫黄化合物を含む排水を生物学的に
処理する装置の曝気槽に下水、産業廃水などの活性汚泥
混合液を入れ、この曝気槽に還元性硫黄化合物を含む排
水と有機化合物を供給し、排水に含まれている還元性硫
黄化合物を化学的に硫酸化合物に酸化した時の自由エネ
ルギー変化量(ΔG0)より計算で求めた酸化還元電位
(ORP)を指標にして曝気槽の曝気を管理・制御し、
また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に管理・制
御することを特徴とする下水、産業排水の活性汚泥に棲
息する還元性硫黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌の馴養
・増殖方法、
【0028】(2)前記(1)記載の方法により馴養・
増殖した硫黄酸化細菌が存在する曝気槽に、還元性硫黄
化合物を含む排水を供給し、前記(1)の方法により求
めたORP値に維持できるように曝気槽の曝気を管理・
制御し、また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に
管理・制御することを特徴とする還元性硫黄化合物を含
む排水の生物学的処理方法、
【0029】(3)前記(1)又は前記(2)に記載の
方法において酢酸及び酢酸塩の1種以上の有機化合物を
供給することを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方
法又は還元性硫黄化合物を含む排水の処理方法、
【0030】(4)前記(1)、前記(2)又は前記
(3)に記載の還元性硫黄化合物を含む排水が鉱石より
金属を精錬する際に発生するスラグに起因する排水であ
ることを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は
還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
【0031】(5)前記(1)、前記(2)又は前記
(3)に記載の還元性硫黄化合物を含む排水が製鐵所の
高炉から発生する高炉スラグに起因する排水であること
を特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性
硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法、
【0032】(6)前記(5)に記載の方法において、
有機化合物として酢酸を用い、曝気槽のORPが0〜+
150mV(銀/塩化銀電極基準)になるように曝気を
行い、また、曝気槽のpHを5.0〜7.0の範囲に管
理・制御することを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増
殖方法又は還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理
方法、
【0033】(7)前記(5)に記載の方法において、
有機化合物を含む排水がコークス炉から発生するガス廃
液で、曝気糟のORPが0〜+150mV(銀/塩化銀
電極基準)になるように曝気を行い、また、曝気槽のp
Hを5.0〜7.0の範囲に管理・制御することを特徴
とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化
合物を含む排水の生物学的処理方法、にある。
【0034】
【作用】本発明者らは、下水、産業廃水の処理を行って
いる活性汚泥に、pH4.0〜7.5で還元性硫黄化合
物を酸化する硫黄酸化細菌が棲息していることを見いだ
した。
【0035】即ち、図1に本発明の処理フローを示すよ
うに、本発明は、後述する本発明の硫黄酸化細菌を馴
養、増殖方法により、これらの活性汚泥からpH4.0
〜7.5で硫黄酸化細菌を優先的に馴養・増殖し、この
硫黄酸化細菌を用いて還元性硫黄化合物を含む排水を連
続的に処理するものである。
【0036】最初にpH4.0〜7.5で還元性硫黄化
合物を酸化する硫黄酸化細菌の馴養・増殖を促進する方
法について説明する。
【0037】まず、還元性硫黄化合物が化学的に硫酸化
合物まで酸化される反応を仮定し、この反応に於ける自
由エネルギー変化量を便覧、成書、文献などから求め、
次に、この自由エネルギー変化量から計算により、これ
らの反応が起こるための酸化還元電位(ORP)を求め
る。
【0038】次に、図2に示すORP制御活性汚泥処理
装置の曝気槽(3)に下水或は産業排水の処理を行って
いる活性汚泥処理装置の曝気槽より採取した活性汚泥混
合液を入れ、この曝気槽(3)のORP値を、0mVか
ら廃水に含まれている還元性硫黄化合物が酸化反応を起
こしたと仮定した時の自由エネルギー変化量より計算で
求めたORP値の範囲、例えば、還元性硫黄化合物がチ
オ硫酸化合物の場合は、0〜+150mV(Ag/Ag
Cl電極基準)に設定する。
【0039】これは、発明者らの研究によると、生物学
的反応の場合、例えば、還元性硫黄化合物が硫酸に酸化
される反応は、計算で求めたORP値でないと起こらな
いということでは無く、計算で求めたORP値よりも低
い所でも還元性硫黄化合物が完全に酸化されないが、か
なり高い酸化率で酸化反応が起こっており、計算で求め
たORP値に近くなる程、酸化率が高くなり、計算値に
なると酸化率が完全に100%に達するという観察結果
に基づくものである。
【0040】例えば、チオ硫酸化合物を含む排水を処理
する場合、計算で求めたORP値は、約+150mVで
あるが、排水処理として機能するORPの下限値は、実
験的に約0mVである。
【0041】従って、チオ硫酸化合物を含む排水を生物
学的に処理をする場合、曝気槽のORP制御は、0〜+
150mVの範囲が好ましい。
【0042】なお、複数の還元性硫黄化合物を含む排水
を生物学的に処理する場合、曝気槽のORP制御値は、
還元性硫黄化合物のなかで酸化反応が起こるORPが最
も高いものに設定すれば良い。
【0043】例えば、チオ硫酸化合物、硫化物、亜硫酸
化合物などを含む排水の場合、酸化反応が起こるORP
は、チオ硫酸化合物が最も高いので、チオ硫酸化合物の
ORP、具体的には0〜+150mVに設定すれば良
い。
【0044】なお、ORPの上限値は、この時の還元性
硫黄化合物の酸化率が最高なので、これ以上に高い所に
設定しても意味がない。
【0045】このようにORPを設定した曝気槽に還元
性硫黄化合物としてチオ硫酸化合物、硫化物等の還元性
硫黄化合物を含有する排水を処理時間が8時間になるよ
うに供給する。
【0046】排水供給当初は、ORPが設定値まで上昇
しないが、徐々に上昇し約3〜5日間で設定値に上昇
し、ORP制御が行われる。
【0047】なお、処理水の還元性硫黄化合物は、OR
Pが約0mV以上になると、ほとんど検出されなくな
り、また、処理水のCODも著しく低下する。
【0048】ORPが0〜+150mVに達したら、7
〜10日間毎に処理時間が6時間→4時間→3時間→2
時間になるように排水の供給量を徐々に増加する。
【0049】この際、硫黄酸化細菌の馴養・増殖が進む
につれて還元性硫黄化合物の酸化が進み硫酸を生成する
ため曝気槽のpHは低下し、なんら対策をうたないと特
開昭56―67589号、特開昭57―4296号に記
載されているようにpH1.9〜2.0まで低下する。
【0050】このようにpHが低下した状態で馴養・増
殖した硫黄酸化細菌は、強酸性で活性なThiobac
illus属が優先種となり、先に説明したような問題
点が発生する。
【0051】また、pHが7.5以上であると、馴養・
増殖した硫黄酸化細菌のチオ硫酸化合物、硫化物などの
還元性硫黄化合物を酸化する機能が低下し、処理水にこ
れらの還元性硫黄化合物が検出される。
【0052】このため、曝気槽のpHは、4.0〜7.
5、好ましくは、5.5〜6.5の範囲になるようにア
ルカリ剤により管理・制御する必要がある。
【0053】このように曝気槽のpHを管理・制御する
とpH4.0〜7.5の範囲で活性で、還元性硫黄化合
物を酸化する硫黄酸化細菌を馴養・増殖することができ
る。
【0054】それと同時に、硫黄酸化細菌の馴養・増殖
を促進するために曝気槽に有機化合物、又は、有機化合
物を含む排水を添加する。
【0055】本発明で用いる有機化合物は、酢酸及び又
は酢酸塩が、また、有機化合物を含む排水としては、コ
ークス炉から発生するガス廃液が適切である。
【0056】次に、硫黄酸化細菌の馴養・増殖に有機化
合物又は有機化合物を含む排水を曝気槽に添加すると効
果があることについて説明する。
【0057】硫黄酸化細菌は、先に説明したように還元
性硫黄化合物を酸化して、その酸化エネルギーを利用し
て曝気に用いた空気の二酸化炭素を固定化して細胞合成
を行って増殖するので、増殖速度が著しく遅く、また、
栄養源に有機物を用いていないので凝集効果がある高分
子量の糖類、タンパク質の生成が少ない。
【0058】従って、通常の方法で曝気槽の硫黄酸化細
菌を高濃度に維持することは困難であり、このため硫黄
酸化細菌の馴養・増殖の促進及び凝集性を向上させる必
要がある。
【0059】そこで、発明者らは、有機化合物をほとん
ど資化しない鉄酸化細菌、硫黄酸化細菌のような完全独
立栄養細菌の有機化合物の資化性について研究した結
果、これらの独立栄養細菌は、微量の有機化合物を資化
して細胞内に取り込むことを見いだした。
【0060】即ち、硫黄酸化細菌が存在する曝気槽に有
機化合物、例えば、酢酸、酢酸カルシウムなどを添加す
ると、硫黄酸化細菌は炭素源として利用し、これらの有
機化合物を添加していない場合に比べて硫黄酸化細菌の
増殖が明らかに促進されると共に凝集性が向上すること
が明らかになった。
【0061】また、酢酸、酢酸カルシウムの代わりにコ
ークス炉において石炭を乾留してコークスを製造するさ
いに発生するガス廃液を用いると、硫黄酸化細菌の馴養
・増殖を促進する他に別の効果があることが明らかにな
った。
【0062】ガス廃液は、硫黄酸化細菌の馴養・増殖を
促進する以外に、糸状性細菌の発生をほゞ完全に抑制す
ることができる。
【0063】即ち、硫黄酸化細菌を下水、産業排水の活
性汚泥から馴養・増殖する際、原因不明であるが時々馴
養・増殖した硫黄酸化細菌の活性汚泥に糸状性細菌が大
量に発生してバルキングが発生し、処理水に硫黄酸化細
菌の活性汚泥が流出して処理水質が悪化し、また、曝気
槽の硫黄酸化細菌活性汚泥を高濃度に維持できないとい
う問題点がある。
【0064】しかし、ガス廃液を曝気槽に添加すると糸
状性細菌の発生をほゞ完全に抑制することができ、バル
キングによる問題点を解決することができる。
【0065】この理由は、ガス廃液に含まれているフェ
ノール、クレゾールなどがこれらの糸状性細菌増殖を抑
制するものと思われる。
【0066】なお、酢酸カルシウムは、炭素源の供給効
果の他に、還元性硫黄化合物の酸化によって生成した硫
酸根とカルシウムとが反応して水にほとんど溶解しない
硫酸カルシウム(石膏)を生成し、これに硫黄酸化細菌
が固定化されて硫黄酸化細菌の凝集性、沈降性が良好に
なり、沈降槽での処理水への硫黄酸化細菌の浮上流出が
抑制されるので、硫黄酸化細菌の増殖速度の促進、凝集
性、沈降性の改善などの相乗効果により曝気槽の硫黄酸
化細菌を高濃度に維持することができる。
【0067】この有機化合物、又は有機化合物を含む排
水の暖気槽への添加量は、暖気槽に1日当たり全有機性
炭素(TOC)として0.01〜0.2Kg/m3・日
程度が良く、これを化合物に換算すると、曝気槽1m3
当たり1日に、例えば、酢酸で0.025〜0.5Kg
/m3・日程度、酢酸カルシウムで0.033〜0.6
6Kg/m3・日程度である。
【0068】また、TOCが約2000mg/l程度の
ガス廃液は、曝気槽1m3当たり1日に、5〜100l
程度が最適である。
【0069】なお、この有機化合物又は有機化合物を含
む排水の曝気槽への添加量の範囲は、曝気槽に1日当た
りTOCとして0.01Kg/m3・日以下の添加量で
は増殖効果が顕著に認められず、また、0.25Kg/
3・日以上添加すると、これらの有機化合物を分解す
る微生物が増殖し、硫黄酸化細菌の馴養・増殖を阻害す
ることがある。
【0070】次に、本発明の重要な要素である曝気方法
について説明する。
【0071】この排水処理において、曝気槽(3)への
曝気は、曝気槽(3)のORPが設定値より低下すると
ORPセンサー(金―銀/塩化銀複合電極)(10)が
キャッチし、ORP制御装置(11)によりルーツブロ
アー(12)の回転数をアップして曝気量を増やし、設
定値に回復したらルーツブロアー(12)の回転数を下
げて、曝気量を低減する比例制御方式によるORP制御
である。
【0072】また、曝気槽(3)のpHは、pHセンサ
ー(8)、pH制御装置(9)によりpHが4.0〜
7.5、好ましくは、5.5〜6.5の範囲になるよう
にアルカリ剤、酸により管理・制御する。
【0073】汚泥沈降槽(5)から曝気槽(3)への汚
泥返送率は、本発明の場合、20%未満では汚泥沈降槽
の汚泥を十分に返送できず、また、30%超では返送汚
泥濃度が薄いので、効率的な汚泥返送を行うためには汚
泥返送率は20〜30%程度が最適で、また、廃水の連
続処理の進行に伴い還元性硫黄化合物が増殖するが、こ
れは適時余剰汚泥(14)として抜き取り処分する。
【0074】次に、このような方法で馴養・増殖した硫
黄酸化細菌の性状について説明する。
【0075】上記の方法で、下水、産業排水として製鐵
所のコークス炉から発生するガス廃液、魚加工工場、写
真フイルム工場、石油精製工場等の各工場の排水の活性
汚泥、或は、製鐵所の高炉徐冷スラグ置き場の溜まり水
のヘドロ、旧硫黄鉱山の廃水のヘドロ等から上記方法に
基づいて硫黄酸化細菌の馴養・培養を行った。
【0076】この硫黄酸化細菌の活性汚泥を、pHの異
なる液体Starkey培地に植種して、振盪培養器を
用いて20℃で、Starkey培地のチオ硫酸イオン
濃度が2200mg/lから50mg/l以下になる日
数を測定した。その結果が、図3である。なお、液体S
tarkey培地の組成は、次の通りである。
【0077】〇チオ硫酸ナトリウム:5000mg/l 〇塩化マグネシウム:100mg/l ○第1リン酸カリウム:3000mg/l ○塩化アンモニウム:100mg/l 〇塩化カルシウム:250mg/l 〇pH:2.0〜10.0
【0078】各pHの緩衝液1lに上記試薬を溶解し
て、pHの異なるStarkeyの液体培地を作成し
た。
【0079】図3の結果から、Starkey培地のp
Hが2〜3.5及び8.0〜10の範囲では、20日以
上振盪してもチオ硫酸イオンが殆ど減少しないが、pH
が4.0〜7.5の範囲では振盪日数12日以下で、特
に、pH5.0〜6.5では10日以下でチオ硫酸イオ
ンが50mg/l以下になることが明らかになった。
【0080】従って、本発明の方法により各種排水の活
性汚泥から馴養・培養した硫黄酸化細菌は、pH4.0
〜7.5の範囲で還元性硫黄化合物を酸化する能力を有
していることが明らかになった。
【0081】この事は、図4に示したD.P.Kell
y and A.P.Harrisonの分類によって
も明白で、即ち、彼らの分類によると、本発明の方法で
馴養・増殖したpH4.0〜7.5の範囲で活性な硫黄
酸化細菌は、Group―2に、また、特開昭53―5
9254号、特開昭56―67589号記載の硫黄酸化
細菌は、pH1.9〜2.0で活性なのでGroup―
5に属することが明らかである(書名:Bergey’
s Manual of Systematic Ba
cteriology Vol.3,著者:James
T.Staley,発行元:Williams &
Wilkins,記載箇所:1843頁のFig.2
0.47)。
【0082】一方、従来の硫黄酸化細菌を用いて還元性
硫黄化合物を含む排水を生物学的方法により処理を行う
方法、例えば、特開昭53―59254号、特開昭56
―67589号記載の方法で用いている硫黄酸化細菌
は、pH1.9〜2.0で、還元性硫黄化合物を酸化し
ている。
【0083】なお、本発明の方法で馴養・培養した硫黄
酸化細菌はこのような低pHでは、還元性硫黄化合物を
酸化する能力を有していない。
【0084】このことから、本発明の方法で馴養・培養
した硫黄酸化細菌は、従来の排水処理に用いられている
硫黄酸化細菌とは異なることが明らかになった。
【0085】次に、本発明の酢酸、酢酸カルシウムなど
の有機化合物、又は、有機化合物を含む排水、例えば、
ガス廃液の添加、及び曝気槽のORP、pH制御の効果
について説明する。
【0086】有機化合物、又は、有機化合物を含む排水
或いは、硫黄酸化細菌の固定化担体を添加しないで、ま
た、曝気槽のORP制御・管理を行わないでpH制御・
管理のみを行って下水、産業排水の活性汚泥から硫黄酸
化細菌の馴養・増殖を行った。
【0087】その結果、本願発明の方法で得られれたp
H4〜7.5で活性な硫黄酸化細菌が得られるが、馴養
・増殖に10〜30日以上の長期間を要し、また、還元
性硫黄化合物を含む排水を処理した場合、曝気槽の硫黄
酸化細菌の活性汚泥濃度が徐々に減少し、3〜6ケ月後
には500mg/l以下になり、還元性硫黄化合物の酸
化が進まなくなり、ついには活性汚泥処理が不可能にな
った。
【0088】このように硫黄酸化細菌の馴養・増殖に長
期間を要したのは、硫黄酸化細菌の細胞合成に必要な炭
素源が十分に供給されないため増殖速度が遅く、また、
硫黄酸化細菌の増殖量よりも処理水への流出が多く、こ
のため曝気槽の硫黄酸化細菌の濃度が低下したのが原因
である。
【0089】一方、本発明の方法、即ち、酢酸、酢酸カ
ルシウムなどの有機化合物、又は、ガス廃液などの有機
化合物を含む排水を添加して、曝気槽のORP、pH制
御・管理を行いながら下水、産業排水の活性汚泥から硫
黄酸化細菌の馴養・増殖を行うと、実施例に説明してい
るように硫黄酸化細菌の馴養・増殖期間が著しく短縮さ
れ、また、硫黄酸化細菌の活性汚泥のフロックは、凝集
性が向上したため曝気により壊れにくゝなり、沈降性が
良好になるので、汚泥沈降槽から処理水に流出すること
が無い。
【0090】このため曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥
を高濃度に維持でき、高効率で処理性能が優れた還元性
硫黄化合物を含む排水の処理が可能になった。
【0091】なお、本発明の方法に塩化鉄、ポリ塩化ア
ルミニウム(PAC)などの無機系凝集剤、高分子凝集
剤などを併用しても良い。
【0092】また、本発明の方法は、チオ硫酸イオン、
硫化イオン、亜硫酸イオン、ポリチオン酸イオン、ジチ
オ酸イオンなどの還元性硫黄化合物を含む排水の処理に
適用することができる。
【0093】なお、本発明の方法による還元性硫黄化合
物を含有する排水の生物学的処理方法については、実施
例で具体的に説明する。
【0094】
【実施例1】次に、本発明の方法を製鐵所のスラグエー
ジングヤードなどから発生するチオ硫酸化合物、硫化物
などの還元性硫黄化合物を高濃度に含有し、また、pH
が12〜14と高アルカリ性で、CODが300〜60
0mg/lと高い排水(高炉スラグ排水という)の処理
に適用した実施例を説明する。
【0095】図2のORP制御活性汚泥処理装置の曝気
槽(3)及び汚泥沈降槽(5)に下水の処理を行ってい
る活性汚泥混合液(活性汚泥濃度:1130mg/l)
を入れる。
【0096】次に、曝気槽(3)のORPを約+150
mV(Ag/AgCl電極基準)に設定し、また、pH
を6.0〜6.5に制御しながら、第1表に性状の1例
を示す高炉スラグ排水を、曝気槽(3)における滞留時
間が8時間になるように供給する。
【0097】このとき同時に酢酸を曝気槽に曝気槽に1
日当たりTOC量として0.1Kg/m3・日(酢酸と
して0.25Kg/m3・日)程度になるように添加し
た。なお、汚泥沈降槽(5)から曝気槽(3)への汚泥
の返送率は、約25%である。
【0098】高炉スラグ排水を供給してから約3〜5日
後に、処理水にチオ硫酸化合物、硫化物が検出されなく
なり、CODが約50mg/l程度に低下する。
【0099】次に、処理時間を7〜10日毎に8時間→
6時間→4時間→3時間→2時間と短縮すると、処理水
のCODは、10mg/l以下に除去され、硫黄酸化細
菌の馴養が短期間で完了する。
【0100】なお、処理水にチオ硫酸化合物、硫化物な
どの還元性硫黄化合物は、検出されない。
【0101】硫黄酸化細菌の馴養が完了したら、処理時
間が2〜3時間になるように高炉スラグ排水を供給し
て、連続処理を行うことができる。
【0102】曝気槽のpH制御に用いる硫酸(10%硫
酸)は、硫黄酸化細菌の馴養が段々進むに連れて、消費
量が減少し、硫黄酸化細菌の馴養が完了して、高炉スラ
グ排水の連続処理の段階では殆ど消費しなくなる。
【0103】これは、チオ硫酸化合物、硫化物などの還
元性硫黄化合物が硫酸に酸化され、この硫酸により曝気
槽のpHが、外部から酸を添加する事なく適性値に維持
することができるためである。
【0104】なお、処理を行った高炉スラグ排水の水質
例と硫黄酸化細菌の馴養期間の処理時間とその後の処理
時間が2〜3時間の連続処理を行ったときの処理水質を
第1表に、曝気槽の活性汚泥濃度の例を第2表にまとめ
て示す。
【0105】この結果、連続処理の処理水は、チオ硫酸
化合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されず、
CODが10mg/l以下で、pHも6.0〜6.5な
ので、このまゝ公共用水域に放流することができる。
【0106】曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥濃度は、
当初の下水の活性汚泥が1650mg/lで、硫黄酸化
細菌の馴養期間、即ち、8時間処理の時に1220mg
/lに低下したが、その後、硫黄酸化細菌の増殖期間、
即ち、処理時間を7〜10日毎に8時間→6時間→4時
間→3時間→2時間と短縮した期間は、活性汚泥濃度が
徐々に増加し、3時間処理に時には2410mg/lに
増加し、2〜3時間処理で高炉スラグ排水の連続処理を
行っても硫黄酸化細菌の活性汚泥濃度は低下せず、曝気
槽の活性汚泥濃度を2000〜2500mg/lの範囲
に維持できるように余剰汚泥の引き抜きを行って管理し
た。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】本発明の方法は、下水の処理を行っている
活性汚泥から高炉スラグ排水を用いて硫黄酸化細菌の馴
養を3〜5日で完了した。
【0110】即ち、硫黄酸化細菌は、処理水にチオ硫酸
化合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されなく
なった段階で、馴養が完了した考え、その後は、還元性
硫黄化合物の処理負荷量を増加し、即ち、処理時間を6
〜7日毎に8時間→6時間→4時間→3時間と逐次短縮
して硫黄酸化細菌の増殖を計った。
【0111】この硫黄酸化細菌の増殖期間でも処理水に
還元性硫黄化合物が検出されず、CODが10mg/l
以下と良好であり、曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥も
順調に増殖した。
【0112】硫黄酸化細菌の増殖完了後、高炉スラグ排
水を、処理時間が2〜3時間の高効率処理を行っても、
処理水に還元性硫黄化合物が検出されず、また、処理水
のCODが10mg/l以下と良好であり、硫黄酸化細
菌の活性汚泥の処理水の流出もほとんど無く、処理水の
SS濃度も全期間通じて、10〜20mg/l以下であ
った。
【0113】なお、酢酸、酢酸カルシウムなどの有機化
合物、ガス廃液などの有機化合物を含む排水を添加しな
いで、また、曝気槽のORP制御・管理を行わないでp
H制御・管理のみを行って下水の活性汚泥から硫黄酸化
細菌の馴養・増殖を行った。
【0114】その結果、本発明の方法で得られたpH4
〜7.5で活性な硫黄酸化細菌が得られるが、馴養・増
殖に10〜30日以上の長期間を要した。
【0115】また、高炉スラグ排水を処理した結果、曝
気槽のORPは、ORP制御を行っていないので−15
0mVから+200mVの範囲に変動し、ORPが約−
50mV以下になると、処理水にチオ硫酸イオンが10
〜250mg/lも検出され、このため処理水のCOD
が非常に高くなり、安定した処理が不可能であった。
【0116】また、曝気槽の硫黄酸化細菌の活性汚泥濃
度が徐々に減少し、3〜6ヶ月後には500mg/l以
下になり、還元性硫黄化合物の酸化がほとんど進まなく
なり、ついには活性汚泥処理が不可能になった。
【0117】
【実施例2】実施例1と全く同じ方法で、酢酸の代わり
にコークス炉から発生するガス廃液を用いて都市下水の
活性汚泥からpH4.0〜7.5で活性な硫黄酸化細菌
の馴養・増殖を行った。その結果を、第3表及び第4表
に示す。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】処理水質は、ガス廃液を用いたCODが酢
酸を用いた場合に比べて約5mg/l程度、高い。これ
は、ガス廃液の難分解性有機物に起因すためとおもわれ
る。
【0121】なお、還元性硫黄化合物の処理性は、酢酸
を用いた場合とほゞ同じである。
【0122】硫黄酸化細菌の馴養・増殖性は、酢酸を用
いた場合とほゞ同じである。
【0123】
【発明の効果】本発明により下水、産業排水の処理を行
っている活性汚泥より還元性硫黄化合物をpH4.0〜
7.5近辺で酸化する硫黄酸化細菌の馴養・増殖が著し
く促進され、この硫黄酸化細菌の馴養・増殖が短期間で
おこなうことが可能になった。
【0124】また、この硫黄酸化細菌を用いることによ
り還元性硫黄化合物を含む排水の処理が容易になり、ま
た、処理設備、処理コストの低減が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理フローを示す図である。
【図2】硫黄酸化細菌を用いて還元性硫黄化合物を含む
排水の処理に用いるORP制御活性汚泥処理装置の一例
である説明図。
【図3】本発明の方法で馴養した硫黄酸化細菌のチオ硫
酸イオンの酸化速度(活性度)とpHとの関係を示した
図である。
【図4】硫黄酸化細菌の分類を示す図である。
【符号の説明】
1 廃水タンク 2 廃水供給ポンプ 3 曝気槽 4 散気管 5 汚泥沈降槽 6 レーキ 7 処理水 8 pHセンサー 9 pH制御装置 10 ORPセンサー 11 ORP制御装置 12 ルーツブロアー 13 汚泥返送ポンプ 14 余剰汚泥 15 酢酸またはガス廃液貯蔵タンク 16 酢酸またはガス廃液供給ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福永 和久 富津市新富20―1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性硫黄化合物を含む排水を生物学的
    に処理する装置の曝気槽に下水、産業廃水などの活性汚
    泥混合液を入れ、この曝気槽に還元性硫黄化合物を含む
    排水と有機化合物を供給し、排水に含まれている還元性
    硫黄化合物を化学的に硫酸化合物に酸化した時の自由エ
    ネルギー変化量(ΔG0)より計算で求めた酸化還元電
    位(ORP)を指標にして曝気槽の曝気を管理・制御
    し、また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に管理
    ・制御することを特徴とする下水、産業排水の活性汚泥
    に棲息する還元性硫黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌の
    馴養・増殖方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により馴養・増殖し
    た硫黄酸化細菌が存在する曝気槽に、還元性硫黄化合物
    を含む排水を供給し、請求項1の方法により求めたOR
    P値に維持できるように曝気槽の曝気を管理・制御し、
    また、曝気槽のpHを4.0〜7.5の範囲に管理・制
    御することを特徴とする還元性硫黄化合物を含む排水の
    生物学的処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1、又は請求項2に記載の方法に
    おいて酢酸及び酢酸塩の1種以上の有機化合物を供給す
    ることを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は
    還元性硫黄化合物を含む排水の処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    の還元性硫黄化合物を含む排水が鉱石より金属を精錬す
    る際に発生するスラグに起因する排水であることを特徴
    とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化
    合物を含む排水の生物学的処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、請求項2又は請求項3に記載
    の還元性硫黄化合物を含む排水が製鐵所の高炉から発生
    する高炉スラグに起因する排水であることを特徴とする
    硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化合物を
    含む排水の生物学的処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法において、有機化
    合物として酢酸を用い、曝気槽のORPが0〜+150
    mV(銀/塩化銀電極基準)になるように曝気を行い、
    また、曝気槽のpHを5.0〜7.0の範囲に管理・制
    御することを特徴とする硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法
    又は還元性硫黄化合物を含む排水の生物学的処理方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の方法において、有機化
    合物を含む排水がコークス炉から発生するガス廃液で、
    曝気槽のORPが0〜+150mV(銀/塩化銀電極基
    準)になるように曝気を行い、また、曝気槽のpHを
    5.0〜7.0の範囲に管理・制御することを特徴とす
    る硫黄酸化細菌の馴養・増殖方法又は還元性硫黄化合物
    を含む排水の生物学的処理方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002176970A (ja) * 2000-12-13 2002-06-25 Bicom:Kk 高濃度硫黄酸化細菌、及び硫黄酸化細菌の高濃度培養方法
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CN110240271A (zh) * 2018-04-28 2019-09-17 华东理工大学 一种处理含磷酸三乙酯废水的生物反应器的启动方法
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