JP3460745B2 - 生物学的硝化脱窒素方法と装置 - Google Patents
生物学的硝化脱窒素方法と装置Info
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Description
方法に係り、特にし尿等のアンモニア性窒素を含む窒素
化合物を含有する汚水の生物学的硝化脱窒素方法に関す
る。
富栄養化を解決するために、例えば、最近、水素生産菌
と水素資化性細菌の共働作用による窒素(硝酸塩)の除
去、化学的方法によるリンの除去技術が研究開発されつ
つあり、窒素(硝酸塩)の除去に関しては評価に値する
研究成果を上げている。しかしながら、現在研究されて
いる多くの処理技術は、既に希釈された水中の窒素の除
去に限定されており、高度の富栄養化ポテンシアルを持
っている底泥からの窒素及びリンの除去、及び此等の有
効利用、処理、処分に関しては追究されていないため
に、これらの処理技術が成功したとしても、単なる対症
療法的な効果しか期待できない。水質汚染を抜本的に解
決するためには、発生源対策が最も効果的であり、経済
効果も顕著であることは万人が認めるところである。こ
のような観点から、発生源対策としての生物学的硝化脱
窒素法が研究開発、商品化され、昭和50年代になって
主として窒素、リン負荷が極めて大きいし尿処理場に適
用され、十分に評価に耐える成果を上げている。
全てが、次に示すような技術的問題を抱えており、発生
源対策技術として、より一層の技術的改善が強く要望さ
れている。 生物学的硝化脱窒素法はプロセス内に生物学的特
性、機能が全て異なる自栄養性硝化菌と従属栄養性脱窒
素菌を遅退なく増殖させ、機能を発揮させる必要がある
ために、プロセス構成が複雑であり、運転条件の設定幅
が狭い。 従属栄養性脱窒素菌が硝酸塩及び/又は亜硝酸塩を
還元するエネルギーを獲得するための水素供与体(電子
供与体)が不足する廃水が通常殆どを占め、処理コスト
が高価となる。 処理対策となる各種廃水のアンモニア濃度、及び廃
水自身のpH緩衝能力によっては、自栄養性硝化菌によ
るアンモニアの硝化により混合培養液のpHが低下し、
プロセス内での硝化、脱窒素能力が共に阻害されるの
で、通常、pH調整が必要であり、この手段は当然コス
ト・アップ要因となる。
術の問題点を解決し、プロセス構成が簡単で、水素供与
体やpH調整のための薬剤が必要ない低コストで効率的
な生物学的な硝化脱窒素方法と装置を提供することを課
題とする。
に、本発明では、アンモニア性窒素を含む窒素化合物を
含有する汚水を生物学的に硝化脱窒素する方法におい
て、前記汚水を好気的条件下で自栄養性硝化菌により部
分的に硝化する部分硝化工程と、前記部分硝化工程の流
出液をNO2やNO3等の酸化物中の結合酸素を利用可
能な自栄養性脱窒素菌群の優占下で、該流出液中のNH
4−NとNO2−N及び/又はNO3−NとをN2ガス
として脱窒素する結合酸素脱窒素工程とで処理すること
としたものである。本発明の生物学的硝化脱窒素方法に
おいて、結合酸素脱窒素工程は、NH4−NとNO2−
N及び/又はNO3−Nとが混在する液体を微嫌気乃至
嫌気条件下で水温20〜30℃、pH7.0〜8.0の
条件下に置くことにより前記自栄養性脱窒素菌群を優占
させるか、又は前記条件下で増量培養した前記自栄養性
脱窒素菌群を添加するのがよく、また、部分硝化工程
は、NH4−Nを部分硝化して、NH4−N/NO2−
N比を1.0近傍又はNH4−N/NO3−N比を1.
5近傍とするのがよい。
む窒素化合物を含有する汚水を生物学的に硝化脱窒素す
る装置において、前記汚水を処理する好気的条件下で自
栄養性硝化菌により部分的に硝化する部分硝化装置と、
前記部分硝化装置と接続され、該硝化装置の流出液を結
合酸素を利用可能な自栄養性脱窒素菌群の優占下で、該
流出液中のNH 4 −NとNO 2 −N及び/又はNO 3 −
NとをN 2 ガスとして脱窒素する結合酸素脱窒素装置と
で構成されることを特徴とする生物学的硝化脱窒素装置
としたものである。 本発明において、前記部分硝化工程
と結合酸素脱窒素工程との間にpH調整工程を設け、前
記結合酸素脱窒素工程から流出する処理液の一部を、前
記部分硝化工程及び/又はpH調整工程に循環してpH
調整することができ、更に前記結合酸素脱窒素工程から
の流出水から菌体を分離し、分離された菌体の一部を前
記部分硝化工程及び/又はpH調整工程へ返送するのが
よい。また、本発明の生物学的硝化脱窒素方法とメタン
発酵工程及び/又は水素発酵工程とを組合せ、該発酵工
程で生じたNH4−Nを前記結合酸素脱窒素工程で脱窒
素することもできる。
と結合酸素を利用できる自栄養性脱窒素菌群(以下、結
合酸素脱窒素菌という)のそれぞれの機能をプロセス内
で合理的に組合せた方法であり、上記の結合酸素脱窒素
菌とは、NO2 やNO3 態の窒素化合物に含まれる結合
性の酸素を利用して脱窒素を行う微生物をいう。本発明
の特徴は、結合酸素脱窒素菌の作用を利用し、水中の還
元態窒素(NH3 )と酸化態窒素(NO2 、NO3 )を
相互利用させて脱窒素を行う点、即ちNOx の結合酸素
によりNH3 を酸化して脱窒素を行う点にあり、それを
可能とし、スムーズに進行させるための諸条件を備えた
方法を提供するものである。
は、まず、処理対策となるアンモニア含有廃水を、図1
の処理系統図に示してあるように部分硝化槽に導入し、
通常、活性汚泥などの混合培養系に野性的に生息してい
る自栄養性硝化菌により部分的に硝化し、次いで、この
槽に連通されているpH調整槽によって、酸性剤及び/
又はアルカリ剤を添加することなく、結合酸素脱窒素処
理水及び菌体分離器によって分離された活性菌体を循環
返送することにより結合酸素脱窒素菌の至適pH範囲と
なるように反応系内の液の循環により自然調整し、同時
に結合酸素脱窒素菌の増殖を促進させることができる。
槽に連通されている結合酸素脱窒素槽に導入され、野性
的に生息している結合酸素脱窒素菌によりアンモニアを
硝酸及び/又は亜硝酸の窒素と結合している窒素により
酸化して、窒素ガスとして脱窒素するプロセス構成とな
っている。このようなプロセス構成と手段を講ずること
により、自栄養性硝化菌による部分硝化が希望する範囲
で行なわれ、この生物反応の結果としてNH4 −NとN
Ox −Nが同時に存在する混合培養液がpH調整槽を経
由して結合酸素脱窒素槽に連続的に供給され、結合酸素
脱窒素菌の基質として利用され、その生物反応の結果と
してアンモニアと酸化窒素が同時に除去される。以上の
ように、本発明プロセスはその構成が単純であり、ま
た、pH調整用の薬剤(主としてアルカリ剤)を必要と
せず、さらに、反応系外から有価な水素供与体を添加す
る必要もなく、従って、極めて運転管理が容易で、高効
率、経済的な生物学的硝化脱窒素法である。
効果を図1を用いて説明する。ただし、本発明は以下の
説明によって制限されるものではない。また、本発明の
機能、作用効果を説明するにあたり、現在、通常の自栄
養性硝化菌及び従属栄養性脱窒素菌の機能を組合せた生
物学的脱窒素法が最も多用されているし尿処理場を想定
し、基質としてし尿を選定したが、本発明はこれに限定
されるものではなく、アンモニア性窒素等の窒素化合物
を含む各種の汚水にも当然適用される。図1において、
まず、含アンモニア廃水1としてし尿を用いた場合につ
いて説明する。ここではし尿の汚濁負荷は厚生省のし尿
処理施設構造指針に示された表1の数値と推定値を用い
て説明する。
明プロセスの最前部の工程である部分硝化工程を行う部
分硝化槽2に導入される。この槽2には基質として無希
釈し尿1のBOD(低級脂肪酸を含めて)、NH4−N
及び還元型硫黄である硫化水素、硫酸塩などが導入され
る。この槽2にはブロワー5により空気(酸素)が供給
され、所謂、好気的条件下で無希釈し尿1に含まれる有
機性汚濁物質が通常の従属栄養性細菌類により分解除去
されると同時に、本発明の脱窒素の対象となるNH4−
Nが亜硝酸菌及び硝酸菌の機能により亜硝酸性窒素及び
/又は硝酸性窒素にまで酸化される。無希釈し尿の硝化
は、初発アンモニア濃度、及びそのpH緩衝能の関係か
ら、通常、その硝化型式は硝酸型で安定するので、酸化
窒素の形態はNO3−Nとして説明する。無希釈し尿の
NH4−Nは構造指針によれば3,200mg/リット
ルであるが、同時に有機性窒素が1,000mg/リッ
トル含まれているので、これらの有機性窒素の約80%
は生物学的に脱アミノされ、NH4−Nに転換される。
従って、硝化の対象となるNH4−Nは約4,000m
g/リットルとして説明する。
より混合培養液に水素イオンが放出されるので、混合培
養液のpHは必然的に低下するが、無希釈し尿の場合に
は亜硝酸菌及び硝酸菌が部分硝化槽2での菌体滞留時間
(以下、汚泥令と表現する)として7〜11日の範囲に
維持されていれば、硝酸化は遅退なく進行する。このよ
うな条件下で硝酸化率を支配する因子は混合培養液のp
Hだけであり、循環液により流入NH4 −N濃度が40
0mg/リットル程度に希釈されていれば、硝酸化率を
自由に調整することが可能である。NH4 −NをNO3
−Nの結合酸素により酸化し、窒素ガスとするのに必要
な硝酸化率は約40%であり、この硝酸化率を達成する
に必要なpHは図2からも分かるように大凡6.0近傍
であり、し尿に関しては、特に人為的操作、薬剤添加な
どを加えなくてもpH6.0前後で動的平衡に達する。
要なpH調整の調整幅はNH4 −N濃度が希薄なほど拡
大されるので、無希釈し尿の高濃度のNH4 −Nを希釈
する目的で結合酸素脱窒素槽4の流出混合培養液の一部
7を、し尿処理量の5〜10倍循環するように考慮され
ている。部分硝化槽2からのpH値が低く、かつ、NH
4 −NとNO3 −Nを含む混合培養液は次のpH調整槽
3に導入される。このpH調整槽3には、pH値が7.
0〜8.0の範囲にある結合酸素脱窒素槽4の流出混合
培養液6が適量循環返送され、プロセス内での液の循環
混合により、アルカリ剤を添加することなく、結合酸素
脱窒素槽4への流出水のpHを7.0〜7.5の範囲と
なるように調整する。
結合酸素脱窒素菌を適切なpH条件で増量培養し、結合
酸素脱窒素槽4に送り込む役割を兼ねている。また、処
理水15と分離された濃縮菌体は、菌体返送管16から
分岐されている汚泥分岐管17を経由してpH調整槽3
に適量返送され、的確なpH条件下で馴養されてから結
合酸素脱窒素槽4に導入され、結合酸素脱窒素菌の増殖
を促進する役割を持っている。結合酸素脱窒素槽4で
は、pH条件、基質条件、その他の環境条件が結合酸素
脱窒素菌の増殖に適切に維持されており、この槽での混
合培養系には結合酸素脱窒素菌が可成りの数に達してい
る。この工程で行なわれる結合酸素脱窒素菌による生物
反応が順調に進行するための基質条件、及び環境条件は
前記した通りであるが、大気中から混合培養液に酸素が
混入するとアンモニアの酸化・脱窒素反応が著しく阻害
される。従って、結合酸素脱窒素槽4には酸素の導入を
防止するために密閉式タンクとするか、覆蓋が設けられ
ていることが望ましい。
酸素脱窒素菌とを十分に接触させるために槽4から発生
する脱窒素ガス8を発生ガス循環ブロワー9により槽底
部に循環する機構が設けられている(発生した余剰の窒
素ガス10は系外に放出される)。この結合酸素脱窒素
槽4の混合培養液には、基本的には溶存酸素が存在して
はならないが、部分硝化槽2の流出混合液により酸素が
持ち込まれるチャンスがあり、その対応としてpH調整
槽3を経由する方策が講じられているが、それでも酸素
流入の可能性が皆無とは言えない。その対策の一つとし
て、本発明の生物学的硝化脱窒素法と水素発酵法を組合
せた方法を採用する場合には、発生した水素ガス19の
一部を分岐して脱窒素ガス循環経路に導入し、結合酸素
脱窒素槽4内に溶存する酸素を系外に確実に排除する方
法が考慮される。
pH=6.0近傍で約40%部分硝化され、流入アンモ
ニア濃度を4,000mg/リットルとすると、NH4
−N2,400mg/リットル、NO3 −N1,600
mg/リットルの混合基質を含む混合培養液が流入す
る。後述する式2の硝酸塩の結合酸素によるアンモニア
の酸化・脱窒素の反応式からNH4 −N/NO3 −Nは
1.5であるから、この濃度比で両基質が結合酸素脱窒
素槽4に流入してくれば、化学量論的に過不足なく消費
され、完全に脱窒素されることになる。完全脱窒素され
た結合酸素脱窒素槽4から流出する混合培養液には、溶
存酸素が存在しないことは当然であり、このように無酸
素状態の処理水が外界にそのまま放流されると、自然水
中の溶存酸素を消費し、環境に好ましくない影響を与え
ることが考えられる。従って、結合酸素脱窒素槽4の混
合培養液を、曝気装置を備えた再曝気槽13で一定時間
曝気し、溶存酸素を与えたのちに菌体分離器14に導入
することが良い。この曝気装置は型式を特定しない。
処理液と有効菌体とに分離し、脱窒素処理液は処理水1
5として自然水系に放流し、有効菌体は菌体返送管16
を経由して部分硝化槽2、及びpH調整槽3に循環返送
し、繰り返し利用される。本発明の生物学的硝化脱窒素
プロセスから発生する余剰菌体(余剰汚泥)18は反応
系から外部に取出し、処理・処分される。また、本発明
で使用される結合酸素脱窒素菌は下記の培養方法により
得られる。即ち、NH4 −NとNO3 −Nを培地組成の
主成分とした人工培地を使用し、一定温度で、かつ、外
気との接触を断ち、30〜40日放置しておくと培地が
次第に白濁し、微生物の増殖が認められた。この微生物
が結合酸素脱窒素菌であることは、次の様に確認され
た。
の円形リアクターであり、外気との接触を遮断するため
に覆蓋を設け、中心部にパドル式の緩衝攪拌装置を取り
付けた。また、窒素ガス及び炭酸ガスの発生が考えられ
るので、覆蓋から発生ガスを取り出せるようにガス取出
しチューブを取り付け、末端を水封式のガス計量器に挿
入して発生ガス量を測定した。この実験に使用した基礎
培地の成分組成は下記表2に示してあるが、下記表3の
実験条件に示してあるように、有機物を含んだ基礎培
地、及び有機物である酢酸とメタノールを除外した完全
な無機性培地の2種類について、硝酸塩の結合酸素によ
るアンモニアの酸化・脱窒素実験を行なった。また、従
来の生物学的硝化脱窒素法を採用しているし尿処理場、
及び下水処理場の濃縮活性汚泥を、1リットルの培地当
たり固形物重量で2〜3%添加し、当初の実験では培養
液のpHを7.5の一定として、表3に要約してあるよ
うに5種類の実験を行なった。
ンモニアと硝酸の除去)に関しては表3、及びこれに付
属して記載してあるが、実験条件によってアンモニアの
酸化速度の遅速、及び除去率に格差はあるが、対照実験
(溶存酸素の存在する好気的条件)以外は確実に結合酸
素脱窒素菌群が増殖し、アンモニアを結合酸素により酸
化していることが確認された。ところで、し尿は、本来
濃厚な有機物を含み、この有機物を対象としてメタン発
酵、或いは水素発酵によりメタン、或いは水素など有用
なエネルギーを回収できる。然し、従来の生物学的脱窒
素法はNOx −Nを還元するために多量の水素供与体を
必要とするので、エネルギー回収にメタン発酵法を適用
する場合には、有機物/窒素の比率が極端に大きくなけ
れば、従来の発酵硝化液の生物学的脱窒素法との組合せ
方式は経済的に成り立たない。
する場合にも、従属栄養性脱窒素菌は水素供与体として
水素を直接利用できないために、メタン発酵法の適用と
同様に、発酵消化液中に残留している有機物質だけで
は、し尿中に含まれる窒素量に対して水素供与体が絶対
量として不足するために経済的に実用性がない。これに
対して、本発明の自栄養性硝化菌+結合酸素脱窒素菌の
機能の組合せによる生物学的硝化脱窒素法は酸化還元反
応であり、NH4 + の水素が水素供与体となり、NO
x の酸素が電子受容体となり完結するので、水素供与体
としての有機物を必要としない。従って、本発明方法を
前記のメタン発酵法又は水素発酵法と組合せることによ
り、エネルギー回収が可能なプロセスを構成することが
できる。
の各構成要因、及び手段の役割について説明する。 (a)部分硝化工程 自然界には、亜硝酸菌、硝酸菌などの自栄養性硝化菌が
ごく一般的に生息しており、窒素化合物を含む廃水の生
物学的水処理プラントの混合培養系にも多数生息してい
る。これらの硝化菌はアンモニアを酸化して硝酸塩及び
/又は亜硝酸塩を生成することによりエネルギーを獲得
しているが、生物反応の結果として酸が生成されるため
に生活環境のpHは低下し、極端な場合にはpH4.0
以下まで低下する。現行の生物学的硝化脱窒素法は、こ
の生物反応により混合培養系のpHが低下し、硝化率が
低減するのを防止するために、アルカリ剤の添加や脱窒
素液を硝化槽に循環する方策が講じられている。
は、この硝化反応によるpH低下を人為的に制御するこ
となく、逆にpH低下による硝化率の低減を有効に利用
して、混合培養液にNH4 −NとNOx −Nを意識的に
混在せしめ、本発明の最終工程の結合酸素脱窒素工程で
結合酸素によるアンモニアの酸化・脱窒素反応を進行さ
せることを企図したものである。硝化反応の結果として
の混合培養液のpHと硝化率(亜硝酸化率、及び硝酸化
率)の関係は、対象廃水のアンモニア濃度と廃水自身の
pH緩衝能に支配されるが、希釈し尿(アンモニア濃度
400〜600mg/リットル)について、混合培養液
のpHと硝化率の関係、及びアンモニア濃度をパラメー
ターとした両者の関係を示すと図2、図3の通りであ
る。硝化菌でも亜硝酸菌(Nitrosomonas) と硝酸菌 (Ni
trobacter)では増殖に至適なpH値には若干の偏差があ
り、図2に示されるように亜硝酸菌はpH=8.0近
傍、硝酸菌はpH=7.0近傍にあり、従って、混合培
養液のpHと硝化率の関係も当然両者では偏差してく
る。また、混合培養液のpHと硝化率の関係は、アンモ
ニア初濃度によって至適pH範囲の幅が拡大され、例え
ば、図3に示したように希釈し尿の硝酸化率が100%
となるpH範囲は、アンモニア濃度が希薄なほど至適p
H範囲の幅が広くなる。
関係は、亜硝酸菌と硝酸菌によって、また幾つかの操作
因子によって偏差してくるが、両硝化形式とも菌体の汚
泥令がある一定値以上であれば、共に100%の硝化率
が得られる。従って、本発明の部分硝化工程における意
識的、人為的な硝化率は、両型式について汚泥令が満足
されていれば、硝化の進行による混合培養液のpH値の
低下が決定因子となる。この関係は前述の通り、必然的
に脱窒素の対象となる廃水のアンモニア濃度とpH緩衝
能に支配されるので、特定の処理すべき廃水について混
合培養液のpHと硝化率の関係を把握し、設定すべき硝
化率に対応するpH値となるうように運転条件を調整す
ればよい。このため、本発明では、部分硝化工程で設定
すべきpH値をより的確とするために、pH値が高い
(通常7.0〜7.5近傍)結合酸素脱窒素槽の混合培
養液を、必要に応じてpH調整とアンモニア濃度を希釈
する目的のために循環返送する方策が講じられている。
に進行させるために、前記部分硝化槽と結合酸素脱窒素
槽の間に配備することが好ましい。このpH調整工程
は、次の工程の結合酸素脱窒素槽の混合培養液pHを結
合酸素脱窒素菌が増殖するに必要な最適pH値に出来る
だけ接近させるために設けられた工程である。結合酸素
脱窒素菌の至適pH値は7.0〜8.0の範囲にある。
この工程で結合酸素脱窒素が行なわれると、槽出口での
混合培養液のpH値は前記の数値に到達しているので、
これを前段のpH調整槽に適量循環返送することによ
り、最前部の部分硝化槽から流入してくるpH値の低い
硝化液を中和し、結合酸素脱窒素槽への流入水のpH値
を可及的7.0近傍に調整することを目的とする機能を
この槽に付与している。さらに、このpH調整槽の別の
重要な役割は、結合酸素脱窒素菌が優占種となっている
分離菌体を菌体分離器から適量循環返送し、この槽を経
由して結合酸素脱窒素槽に流下させることにより該菌の
増殖を促進させる効果を助長させることである。このp
H調整槽は、廃水の種類、アンモニア濃度、廃水のpH
緩衝能によっては必ずしも必要不可欠の構成要素ではな
く、場合によっては省略することが出来る。
入水のアンモニアが部分的に硝化されてNH4 −NとN
Ox −Nが同時存在する工程流出水が、場合により別途
設けられたpH調整槽により、pHを7.0〜8.0に
調整される工程を経由して導入される。この工程に用い
る結合酸素脱窒素槽は、内溶液である混合培養液に大気
から飛沫同伴により酸素が混入しないように覆蓋を設け
てあり、さらに、混合培養液と流入水を十分に攪拌・混
合するために、この槽で脱窒素反応により発生した窒素
ガスを循環する機構を備えているが、攪拌機及び/又は
攪拌機構は特にガス攪拌に限定されるものではなく、通
常の機械攪拌方式でもその目的は十分に達成される。結
合酸素脱窒素槽における生物反応に関しては後述する
が、ここで行なわれている生物反応が遅退なく進行する
ためには、次の条件が満足されていなければならないこ
とが確認された。
好ましくは7.0〜7.5の範囲に維持されているこ
と。 流入水にNH4 −N、NOx −Nが同時に存在する
こと。 混合培養液に溶存酸素が含まれず、所謂、anox
icな生活環境であること。 本発明方法では、プロセスの最前部の部分硝化槽で自栄
養性硝化菌により溶存アンモニアを好気的条件下で酸化
するために、部分硝化槽と結合酸素脱窒素槽を直結する
と、多分に溶存酸素が流入する危険性がある。pH調整
槽は、この危険性を防除する機能をも具備しており、さ
らに、本発明の生物学的硝化脱窒素法を水素発酵と組合
せてエネルギー回収を企図するような事例では、発生し
た水素ガスを結合酸素脱窒素槽の攪拌のための窒素ガス
循環経路に一部導入し、溶存酸素をパージさせる方法も
効果的である。結合酸素脱窒素工程において脱窒素のた
めに行なわれる生物反応は次に示す通りであると考えら
れる。
−Nの酸化脱窒素反応 亜硝酸の結合酸素による酸化脱窒素反応 NH4 + +NO2 - → N2 +2H2 O ・・・・(式1) NH4 −N/NO2 −N=1.0 硝酸の結合酸素による酸化脱窒素反応 6NH4 + +4NO3 - → 5N2 +12H2 O ・・・・(式2) NH4 −N/NO3 −N=1.5 上記の生物反応式から容易に理解できるように、NH4
−Nの生物酸化に利用される結合酸素が亜硝酸の場合に
は化学量論的に同量の、硝酸の結合酸素の場合には1.
5倍のNH4 −Nを酸化して窒素ガスに転換することが
出来る。このNH4 −Nの酸化に利用される結合酸素は
何れも部分硝化槽で供給された酸素が窒素に固定され、
この固定された酸素を結合酸素脱窒素槽で再利用するも
のであり、本発明方法のプロセスは極めて合理的、かつ
経済的である。
酸(NO2 −N)の結合酸素によって酸化されること、
即ち、両物質を混合し、100℃以上の熱エネルギーを
加えるとアンモニアは酸化され、窒素ガスとなることが
従来から公知の技術である。然し、前記したように莫大
な熱エネルギーを必要とするので、廃水処理にこの技術
を適用するとしても、化学的脱窒素の対象となるNH4
−N、NOx −Nの濃度が通常希薄なこと、さらに熱容
量の大きい大量の廃水を100℃以上に加熱しなければ
ならないことが最大の障害となり、実用性は全く期待で
きない。本発明者は、たまたま電子工業の生産工場から
排出される下記の廃水についての硝化脱窒素に関する研
究中に、前記の結合酸素による酸化脱窒素が特定の微生
物及び/又は微生物群によって生物学的に行なわれてい
ることを偶然に発見した。
に放置していたところ、廃水が可成り白濁し、微生物の
増殖が認められた。そこで、硝化脱窒素実験開始に先立
って化学組成を再測定したところ、当初の測定値に対し
てNH4 −NとNO3 −Nの濃度が約40〜45%減少
していた。そこで、この電子工業廃水中のアンモニアと
硝酸塩の消失が生物反応によるものであるかどうかを確
認するための実験を行なった。
SolutionDをそれぞれ1ml/リットル、0及び0.5
ml/リットル添加したものを基礎培地とした。上記の
基礎培地を用いて、5種類の確認実験を行なった結果、
培地中における下記の脱窒素反応は生物反応によるもの
であることが確認された。 6NH4 + +4NO3 - ─────5N2 +12H2 O
よそ次の通りである。 実験1〜実験5の結果から、NH4 −N、NOx −
Nが培養液(廃水)に同時存在し、溶存酸素が存在しな
ければ、NH4 −Nは硝酸塩及び/又は亜硝酸塩の結合
酸素によって生物学的に酸化され、窒素ガスとなり、脱
窒素される。 前記の基礎培地から酢酸及びメタノールなどの有機
物を削除しても、結合酸素によるアンモニアの酸化反応
は進行する。 以上の事実より、この反応に関与するアンモニア酸化菌
は自栄養性細菌であり、この反応から生活エネルギー
(異化作用)と増殖エネルギー(同化作用)を獲得して
いると考えられる。
明者の仮称)は、NH4 −N、NOx−Nが液体中に混
在し、その他の必須元素が存在すれば自然環境中に野性
菌として生息しているものと考えられる(ただし、溶存
酸素が存在しない環境)。 基礎培地から成分Xを除外した培地(無機性培地)
に、現在稼働中の生物学的脱窒素法を採用しているし尿
処理場及び/又は下水処理場の濃縮活性汚泥を重量とし
て2〜3%添加すると、アンモニアと硝酸塩は急速に消
失した。この事実から、結合酸素脱窒素菌は現行の生物
学的硝化脱窒素法の混合培養系に他の自栄養性硝化菌、
従属栄養性硝化・脱窒素菌(チオスファエラ・パントト
ロファ)(thiosphaera pantotropha))、従属栄養性脱
窒素菌及びその他のBOD酸化菌と共存して脱窒素の一
端を担っていることは確実であると考えられる。
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 (a)結合酸素脱窒素菌の増殖とpHとの関係。 本発明では、結合酸素脱窒素菌が増殖するに適したpH
範囲を確認しておく必要がある。表2に示す基礎培地を
用い、し尿系硝化脱窒素汚泥を3g/リットル添加し、
培養液のpHをそれぞれ6.0、7.0、7.5、8.
0及び9.0にリン酸緩衝液で調整し、前記の実験方法
に準じて発生ガス量(N2 +CO2 )を測定し、pH=
7.0に調整した実験でのガス発生量(℃)に対するそ
れぞれの実験でのガス発生量(Gx )の比率を求め、結
合酸素脱窒素菌群の増殖とpHとの関係を求めた。実験
結果を図4に示した。
素菌群の増殖に適するpH範囲を、ガス発生量を指標と
して表現してみると、混合培養液のpHが7.5近傍が
最適であり、大凡7.0〜8.0の範囲にあれば許容範
囲であるが、pHが中性から酸性側及びアルカリ性側に
偏差すると可成りの増殖阻害を受けることが理解でき
る。この実験結果は、装置設計上、及び処理条件設定上
に重要な知見である。 (b)本発明による結合酸素脱窒素菌群によるアンモニ
アの酸化・脱窒実験。 供試し尿の一般的理化学的性状は表4の通りである。菌
体当たりの窒素負荷は現在の生物学的脱窒素法の標準値
と同等の負荷となるように菌体濃度を調整した。なお、
本試料は変質を防止するために、実験期間中5℃以下の
冷蔵庫に保管した。
能な部分硝化槽、pH調整槽、及び結合酸素脱窒素槽
(密閉式構造)より構成されたアクリル製の角型実験装
置を製作した。この直列に連結した本体装置に、さらに
菌体の濃縮分離を目的とした円形の重力式沈殿槽を連結
し、沈殿槽から濃縮菌体を部分硝化槽とpH調整槽に循
環する返送経路を設け、連続処理による結合酸素脱窒素
の実験を行なった。また、流入水のNH4 −N濃度の希
釈と結合酸素脱窒素槽のpHを調整することを目的とし
て、結合酸素脱窒素槽から流出する混合培養液を前記の
2工程に循環するために、それぞれに塩化ビニール配管
を取り付けた。
液に酸素が侵入しないように覆蓋を設け、さらに槽内部
の混合培養液を緩衝攪拌するために発生ガスを引き出
し、ブロワーにより槽底部に導入してガス攪拌を行い、
余剰ガスは系外に排出するよう配慮した。また、結合酸
素脱窒素槽の最前部にpH検知器(部分硝化槽にも監視
を目的としてpH検知器を取り付けた)を取り付け、結
合酸素脱窒素槽内溶液のpHを監視すると同時に、混合
培養液循環ポンプと連動させ、混合培養液のpH値が
7.0以下になると循環液量を自動的に調整する機構を
設けた。さらに、結合酸素脱窒素槽内の混合培養液に酸
素が導入されることを監視する目的で、低レベルの溶存
酸素の測定が可能なDOメーターを取り付けたが、部分
硝化槽の曝気ブロワーと連動した自動制御の機構は設け
ず、単に監視に止めた。
運転した。 *無希釈し尿注入量(処理量): Q=1リットル/日、 *個々の実験装置、及び実験条件 ・部分硝化槽容積: 2Q=2リットル、 ・pH調整槽: 0.2Q=0.2リットル、 ・結合酸素脱窒素槽: 5Q=5リットル、 ・実験装置の総容積: 7.2Q=7.2リットル、 ・重力沈殿槽容積: 2Q=2リットル、 ・総容積に対するBOD負荷: 約1.2kg/m3 ・日、 ・全汚泥量に対するBOD汚泥負荷: 約0.15kg/kg・日、 ・全汚泥量に対するNH4 −N汚泥負荷: 約0.05kg/kg・日、 ただし、槽内汚泥濃度: 約8,000mg/リットル、 沈殿槽濃縮汚泥濃度: 約15,000mg/リットル、
し尿の好気性硝化+結合酸素脱窒素の検証実験の結果を
表6に示した(運転を開始してから約50日後、定常状
態に達してから約1ヵ月間の平均値)。
酸素脱窒素菌の共働作用による硝化脱窒素検証実験の結
果を要約すると次の通りである。 (1)無希釈し尿に含まれるNH4 −N(循環水で希釈
されている)を本発明プロセスにより自栄養性硝化菌と
結合酸素脱窒素菌の共働作用により硝化脱窒素した結
果、表6に示した検証実験結果からも容易に理解できる
ように、従来の自栄養性硝化菌と従属栄養性脱窒素菌の
共働作用による脱窒素機能に十分に比肩し得る処理性能
が得られることが実証された。 (2)部分硝化槽に結合酸素脱窒素槽からの流出混合液
を循環し、流入水のNH4 −Nを400〜600mg/
リットルの濃度範囲となるように希釈することにより、
部分硝化槽流出混合液のpHは5.9〜6.3の範囲で
安定し、NH4 −Nの硝化率はおおよそ40%となり、
結合酸素による脱窒素に好適なNH4 −N/NO3 −N
比となった。し尿の自栄養性硝化菌による硝化形式は硝
酸型で安定した。 (3)結合酸素脱窒素槽のpHは、流出混合液のpH調
整槽への循環で結合酸素脱窒素菌の増殖に好適なpH範
囲となり、かつ、沈殿槽での濃縮汚泥を一部pH調整槽
に循環返送することにより結合酸素脱窒素菌は順調に増
殖して、当初予想した生物反応が行なわれ、アンモニア
の硝酸塩結合酸素による酸化・脱窒素は化学量論的に妥
当な値を示した。
の硝酸塩結合酸素による酸化・脱窒素反応は、槽内液に
実質的に有機物などの水素供与体が存在しなくても順調
に進行する。この事実は、結合酸素脱窒素菌は自栄養性
脱窒素菌の範疇に属することの証左であり、さらに前記
のアンモニアの酸化反応が発エルゴン反応であることか
ら、該菌はこの反応から生活エネルギーと増殖エネルギ
ーの両方を獲得して生活・増殖することができる。以上
より、本発明プロセスでは脱窒素反応のために有価な有
機物を系外から添加する必要がなく、極めて経済的な生
物学的硝化脱窒素法である。 (5)結合酸素脱窒素槽からの総発生ガス量は可成り変
動したが、大凡4.8〜5.3リットル/日であり、ガ
ス組成は炭酸ガスが15〜18%(最高21%)、残余
は窒素ガスによって占められていた。このことからも、
結合酸素脱窒素槽においては、前記の生物反応式に示し
た生物反応が確実に行なわれていることが証明された。
硝化・脱窒素実験。工場廃水にはNH4 −Nは濃厚に含
んでいるが、従属栄養性脱窒素菌が必要とする水素供与
体(有機物)が全く存在しない廃水が比較的多い。この
ような廃水から、本発明方法で硝化と結合酸素脱窒素を
行なう場合には、プロセスをより簡潔化するために、自
栄養性硝化菌による硝化を浮遊菌体法ではなく、硝化菌
を特定の付着媒体に担持させる充填塔方式が考えられ
る。この方式は、本来、廃水中に有機物(BOD)が含
まれると、増殖速度の遅速の関係からBOD酸化菌が硝
化菌よりも優先的に付着媒体に付着し、硝化菌の菌体濃
度の維持に負の影響を与えるので充填塔方式の採用は好
ましくないが、BOD成分が存在しない廃水に関しては
この方式を適用することにより装置は簡略化され、かつ
運転管理上も有利である。
の部分硝化を充填塔方式で行ない、結合酸素脱窒素を菌
体浮遊法で行なうプロセスを実験装置として組みあげ、
連続式の酸化・脱窒素実験を行なった。基本的なプロセ
スの構成は図1のとおりである。以下に、実験条件を示
す。 *適用培地 表2に示した電子工業廃水の廃水成分から有機物の培地
成分X、及び硝酸カリウムを除外し、一方、窒素成分と
して硫酸アンモニウムをNH4 −Nとして実施例1
(b)のアンモニア性窒素濃度と同じ2,800mg/
リットルとなるように加えた。この培養液のpHは7.
5となるように調整したが、それ以外の成分は表2の培
地成分と全く同じである。
を、本発明方法により処理した検証実験の結果を要約す
ると次の通りである。 (1)充填塔方式による自栄養性硝化菌の硝化は可成り
高い窒素容積負荷でも順調に行なわれ、硝化によるpH
低下による硝化率はほぼ40%近傍で、実施例1と実質
的に同レベルであった。また硝化形式は硝酸型で安定し
た。 (2)pH調整槽、及び結合酸素脱窒素槽におけるpH
の挙動、NH4 −N、及びNO3 −Nの挙動も実施例1
と実質的に同じであり、特記すべき新たな知見はなかっ
た。最終処理水の水質もほとんど近似しており、そのま
ま外界への放流が可能である。 (3)以上より、本発明プロセスにおける部分硝化槽は
充填塔方式で代替することが可能であり、無機性廃水に
ついては、充填塔方式の適用が経済性、運転操作上から
むしろ好ましい結果を与える。 (4)完全な無機性廃水に関しても、結合酸素脱窒素菌
はNH4 −NをNO3 −Nの結合酸素により抵抗なく酸
化・脱窒素する事実から、結合酸素脱窒素菌は明らかに
自栄養性脱窒素菌であり、水素供与体を必要としないの
で大なる経済効果が期待できる。
く異なる視点、思想からの発想による革新的な生物学的
硝化脱窒素技術であり、次のような作用効果を有する。 (1)アンモニア性窒素と亜硝酸塩、硝酸塩が混在し、
かつ、溶存酸素が存在しない水環境では、自然の生態系
に野性的に生息している結合酸素脱窒素菌(仮称)が次
第に増殖し、水素供与体が存在しなくても、結合酸素を
有効に利用してアンモニア性窒素を酸化し、脱窒素する
ことが実証された。この結合酸素脱窒素菌の機能を自栄
養性硝化菌の硝化機能と合理的に組合わせることによ
り、従来の硝化菌と従属栄養性脱窒素菌との共働作用に
よる硝化脱窒素に対して、より簡単で、かつ経済的な硝
化脱窒素プロセスを構築することができる。
窒素のために外部からpH調整剤を添加する必要はな
く、また、水素供与体の添加も必要としない、極めて経
済効果の高い処理技術であり、閉鎖水域、停滞水域の富
栄養化防止に貢献することができる。 (3)本発明の主役を演じている細菌は全て自栄養性細
菌であり、有機物を含まない無機性廃水から富栄養化原
因物質である窒素化合物を効果的、経済的に除去するこ
とができる。また、有機物(BOD)を含む廃水であっ
ても、これらの汚濁成分は部分硝化槽において、自然発
生的なBOD酸化菌により好気的条件下で完全に除去さ
れる。
図。
関係を示すグラフ。
液のpHと硝酸化率との関係を示すグラフ。
を示すグラフ。
槽、4:結合酸素脱窒素槽、5:空気吹込みブロワー、
6:pH調整用混合液循環管、7:希釈用混合液循環
管、8:脱窒素ガス、9:循環ブロワー、10:排出窒
素ガス、11:空気吹込管、12:ガス循環管、13:
再曝気槽、14:菌体分離、15:処理水、16:菌体
返送管、17:分岐管、18:余剰菌体、19:水素ガ
ス。
Claims (7)
- 【請求項1】 アンモニア性窒素を含む窒素化合物を含
有する汚水を生物学的に硝化脱窒素する方法において、
前記汚水を好気的条件下で自栄養性硝化菌により部分的
に硝化する部分硝化工程と、前記部分硝化工程の流出液
を結合酸素を利用可能な自栄養性脱窒素菌群の優占下
で、該流出液中のNH4−NとNO2−N及び/又はN
O3−NとをN2 ガスとして脱窒素する結合酸素脱窒素
工程とで処理することを特徴とする生物学的硝化脱窒素
方法。 - 【請求項2】 前記結合酸素脱窒素工程は、NH4−N
とNO2−N及び/又はNO3−Nとが混在する液体を
微嫌気乃至嫌気条件下で水温20〜30℃、pH7.0
〜8.0の条件下に置くことにより前記自栄養性脱窒素
菌群を優占させるか、又は前記条件下で増量培養した前
記自栄養性脱窒素菌群を添加することを特徴とする請求
項1記載の生物学的硝化脱窒素方法。 - 【請求項3】 前記部分硝化工程は、NH4−Nを部分
硝化して、NH4−N/NO2−N比を1.0近傍又は
NH4−N/NO3−N比を1.5近傍とすることを特
徴とする請求項1又は2記載の生物学的硝化脱窒素方
法。 - 【請求項4】 前記部分硝化工程と結合酸素脱窒素工程
との間にpH調整工程を設け、前記結合酸素脱窒素工程
から流出する処理液の一部を、前記部分硝化工程及び/
又はpH調整工程に循環してpH調整することを特徴と
する請求項1、2又は3記載の生物学的硝化脱窒素方
法。 - 【請求項5】 前記結合酸素脱窒素工程からの流出水か
ら菌体を分離し、分離された菌体の一部を前記部分硝化
工程及び/又は前記pH調整工程へ返送することを特徴
とする請求項1〜4のいずれか1項記載の生物学的硝化
脱窒素方法。 - 【請求項6】 前記生物学的硝化脱窒素方法とメタン発
酵工程及び/又は水素発酵工程とを組合せ、該発酵工程
で生じたNH4−Nを前記結合酸素脱窒素工程で脱窒素
することを特徴とする請求項1又は2記載の生物学的硝
化脱窒素方法。 - 【請求項7】 アンモニア性窒素を含む窒素化合物を含
有する汚水を生物学的に硝化脱窒素する装置において、
前記汚水を処理する好気的条件下で自栄養性硝化菌によ
り部分的に硝化する部分硝化装置と、前記部分硝化装置
と接続され、 該硝化装置の流出液を結合酸素を利用可能
な自栄養性脱窒素菌群の優占下で、該流出液中のNH 4
−NとNO 2 −N及び/又はNO 3 −NとをN 2 ガスと
して脱窒素する結合酸素脱窒素装置とで構成されること
を特徴とする生物学的硝化脱窒素装置。
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