JP3184947B2 - 還元性硫黄化合物含有排水の処理方法 - Google Patents

還元性硫黄化合物含有排水の処理方法

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  • Activated Sludge Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下水や排水の生物学的
処理、より詳細には還元性硫黄化合物を含む排水を硫黄
酸化細菌を用いて生物学的に処理する方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】還元性硫黄化合物を含む排水は、写真工
業、石油精製工業、化学工業、金属精錬工業、鉱山など
から発生し、これらの排水に含まれている還元性硫黄化
合物は、硫化物(S2-) 、チオ硫酸(S2 3 2-)、ジ
チオン酸(S2 6 2-)、ポリチオン酸(Sn 6 2-
n=3〜6)、チオシアン(SCN)などであり、これ
らの還元性硫黄化合物を含む排水は、還元性硫黄化合物
に起因するCOD(化学的酸素要求量)が高く、このま
ま公共用水域に放流することはできない。産業排水ばか
りでなく、下水を嫌気性処理した場合にも、硫酸イオン
の還元によって還元性硫黄化合物が処理水中に発生し、
酸化処理が必要となる。
【0003】このような排水や下水中の還元性硫黄化合
物の除去方法には、大きく分けて物理化学的方法と生物
学的方法とがある。
【0004】まず、物理化学的方法であるが、曝気によ
って硫化物を揮散または酸化する方法がある。さらに、
排水や下水に含まれている還元性硫黄化合物を次亜塩素
酸ソーダや過酸化水素などの薬剤で酸化する方法も知ら
れている。
【0005】また、還元性硫黄化合物を含む排水を化学
的に処理する際の酸素ガスを吹き込む指標として、酸化
還元電位(ORP)を用いる方法が、特開昭58−12
2093号公報に記載されている。すなわち、この方法
は、硫化ソーダおよび/または水硫化ソーダなどの硫化
物を含む排水に、分子状酸素を含有するガスまたは過酸
化水素を接触させ、排水中の硫化ソーダおよび/または
水硫化ソーダなどの硫化物をチオ硫酸ソーダに酸化する
過程でORPが−550mV以上(基準電極不明)、好
ましくは−500mV以上(基準電極不明)になるま
で、分子状酸素を含有するガスまたは過酸化水素を供給
する方法である。この方法では、さらに化学処理の後段
に次に述べるような硫黄酸化細菌を用いた生物学的方法
を付加している。なお、この生物学的処理の段階では、
ORPを指標にして空気などを曝気していない。
【0006】次に、生物学的方法であるが、これは地球
上の硫黄循環に関わっている多種多様な微生物群を利用
する方法である。この微生物群の一群に硫黄酸化細菌が
あり、例えば「土壌微生物実験法」、養賢堂、pp32
2、1975で主として化学合成硫黄酸化細菌(Thi
obachillus属)、化学合成糸状酸化細菌(B
eggiatoaなど)、光合成硫黄酸化細菌などが広
く知られている。例えば、特開昭57−4296号公報
に記載されている硫黄酸化細菌を用いる方法は、下水も
しくはし尿汚泥および金属鉱山廃水中に存在しているS
2 3 2-やSCNを分解する硫黄酸化細菌を石膏などの
担体に付着させ、濃縮し、還元性硫黄化合物を酸化分解
し、排水中のCODを除去する方法である。この方法で
用いられる硫黄酸化細菌は、例えば「独立栄養細菌」、
今井和民、化学同人、pp63〜67記載のようにpH
が1.9〜2.0と著しく活性があり、チオ硫酸、ジチ
オン酸、ポリチオン酸を分解していることから、Thi
obachillus属の硫黄酸化細菌と考えられる。
また、特開平3−296497号公報に記載されている
硫黄酸化細菌を用いる方法では、pHを4〜5の微酸性
に維持し、50時間程度の処理時間で還元性硫黄化合物
を酸化分解し、排水中のCODを除去している。
【0007】さらに、特開平4−310295号公報、
特開平5−269487号公報には、中性近辺で活性の
あるpH=4〜7.5、好ましくは5.5〜6.5の硫
黄酸化細菌を下水の活性汚泥から馴養し、還元性硫黄化
合物を含む排水をHRTが2時間程度の条件で、曝気槽
のORPを指標にして管理・制御する生物学的処理方法
が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の還元性硫黄化合
物を含む排水、下水の処理方法は、以下のような課題を
有している。
【0009】まず、物理化学的方法であるが、曝気によ
って硫化物を揮散または酸化する方法は処理速度が極め
て遅く、また、イオウコロイドまでしか酸化されないの
で、処理水が白濁してしまう。また、例えば「バイオテ
クノロジーを活用した新排水処理システムの開発報告
書」、建設省、pp278〜279記載のように、産業
廃水のように多量の硫化物を含む排水からH2 Sガスと
して揮散するのはかなり困難である。さらに、排水に含
まれている還元性硫黄化合物を次亜塩素酸ソーダや過酸
化水素などの薬剤で酸化する方法は、酸化剤の添加量の
制御が難しくて処理水質が安定せず、また、酸化剤の処
理コストが極めて高い欠点がある。
【0010】次に、硫黄酸化細菌を用いる生物学的方法
であるが、低pHで凄息あるいは活性のある硫黄細菌に
より還元性硫黄化合物を含む排水を処理する場合、硫黄
酸化細菌が存在する曝気槽のpHをこの硫黄酸化細菌に
適した低pHに硫酸や塩酸などを用いて調整する必要が
あり、さらに、処理水を公共水域に放流する場合、水酸
化ナトリウムなどを用いて中性に再調整する必要があ
り、pH調整用の薬品コストが高くなる欠点がある。さ
らに、排水処理設備を耐酸仕様にする必要があり、排水
処理設備の建設費が高騰する欠点もある。
【0011】また、pHが中性近辺で活性のある硫黄酸
化細菌を用いる生物学的方法においても、有機物を分解
するような従属栄養細菌と比較すると硫黄酸化細菌の増
殖速度は極めて小さく、また、フロック形成能力が小さ
いため、曝気槽へのエアレーション量管理が極めて重要
である。すなわち、エアレーション量が過大であると硫
黄酸化細菌がSSとして処理水に流出してしまい、曝気
槽の濃度が急速に低下し、処理不能となる。また、エア
レーション量が小さすぎると処理水質が安定せずまた悪
化しやすく、さらに処理設備が過大となる。例えば、特
開平3−296497号公報記載の方法では、曝気槽へ
のエアレーション量を5m3 /分と一定にしているた
め、HRTが50時間と極めて長く、このため処理設備
が著しく大きくなり、処理設備の建設費が膨大になるも
のと考えられる。
【0012】これに対し、特開平4−310295号公
報、特開平5−269487号公報記載の方法を用いれ
ば、処理設備の建設費が小さく、pH調整用の薬品コス
トも極めて小さくなり、また、処理水質も安定化する。
【0013】しかし、このような還元性硫黄化合物を含
む産業排水や下水は、多量のCa2+を含有する場合があ
る。このような場合、炭酸カルシウム化合物や硫酸カル
シウム化合物を形成しやすく、散気管の閉塞が生じやす
い。散気管の閉塞が生じると、エアー不足により曝気槽
のORP管理が不安定となり、この結果、処理水質が悪
化してしまう。産業排水や下水の還元性硫黄化合物濃度
が高い場合、酸素供給能力を増加させるため微細気泡を
生じさせる散気管を用いる場合が多くなり、この場合さ
らに散気管の閉塞が生じやすく、処理が不可能となる。
また、先に述べたように、硫黄酸化細菌を曝気槽で高濃
度に維持するため、石膏などの担体を用いて担体表面に
硫黄酸化細菌を付着させることがあるが、このように意
図的に担体をリアクターに添加する場合も散気管の閉塞
が生じやすく、散気管の閉塞対策が必須であると考えら
れる。
【0014】さらに、曝気槽のエアレーション制御方法
については、すでに、特開平4−310295号公報、
特開平5−269487号公報に、曝気槽のORPを指
標にして曝気槽へのエアレーション量を管理・制御する
高効率生物学的処理方法が記載されている。しかし、硫
黄酸化細菌の馴養期やトラブル発生時には硫黄酸化細菌
の活性が低下しているため曝気槽のORPが上昇しにく
く、所定のORPを維持するのはかなり困難となる。
【0015】本発明の目的は、還元性硫黄化合物を含む
排水を硫黄酸化細菌を用いて生物学的に高効率に安定し
て処理することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下の
〜の通りである。
【0017】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化
細菌を用いて生物学的に処理する際、硫黄酸化細菌を都
市下水の活性汚泥から馴養する時期に、空気または酸素
による曝気槽へのエアレーション量を曝気槽の溶存酸素
(DO)が1〜3mg/lになるように制御し、馴養完
了後、エアレーション量を曝気槽の酸化還元電位(OR
P)が0〜+150mV(銀/塩化銀電極基準)になる
ように制御することを特徴とする還元性硫黄化合物含有
排水の処理方法。
【0018】 曝気槽下部に設置した水添式散気管内
部のカルシウム化合物を処理水および/または水道水に
よって洗浄することを特徴とする前記の還元性硫黄化
合物含有排水の処理方法。
【0019】 曝気槽下部に設置した水添式散気管お
よび/または水添式散気管上部に微細気泡を発生させる
水中攪拌機により曝気槽を攪拌することを特徴とする前
記またはの還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0020】 水添式散気管へ空気または酸素を導入
するブロアの回転数および/または水中攪拌機のインペ
ラの回転数を調節して曝気槽のORPおよび/またはD
Oを設定値に維持することを特徴とする前記の還元性
硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0021】 曝気槽下部に設置した水添式散気管内
部を洗浄する処理水および/または水道水に、酸および
/またはアルカリを添加し、曝気槽のpHを4〜7.5
に保持することを特徴とする前記〜のいずれかの還
元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0022】
【作用】以下、本発明の作用を詳細に説明する。
【0023】下水や産業廃水の処理を行っている活性汚
泥には、pHが4.0〜7.5で還元性硫黄化合物を酸
化する硫黄酸化細菌が凄息している。
【0024】最初に、pHが4.0〜7.5で還元性硫
黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌を馴養、増殖する方法
について説明する。まず、還元性硫黄化合物を化学的に
硫酸化合物まで酸化する反応を仮定し、この反応におけ
る自由エネルギーを便覧、成書、文献などから求め、次
に、この自由エネルギー変化量から計算により、この反
応が起こるためのORPを求める。例えば、還元性硫黄
化合物がチオ硫酸化合物の場合、ORPは約+150m
V(Ag/AgCl電極基準)となる。したがって、曝
気槽のORPは高くても約+150mV(Ag/AgC
l電極基準)あれば十分であり、曝気槽のORPを+1
50mV以上に維持することはエアレーション量が過大
となり、不経済となる。
【0025】次に、図1に示す活性汚泥処理装置の曝気
槽3に、下水あるいは産業廃水の処理を行っている活性
汚泥処理装置の曝気槽から採取した活性汚泥混合液を入
れ、還元性硫黄化合物を含有する排水を曝気槽3の水理
学的滞留時間(HRT)が8時間になるように供給す
る。排水供給当初は曝気槽3のORPは0mV以下(A
g/AgCl電極基準)であり、0mVに維持するのが
かなり困難であるため、曝気槽3のDOを指標として、
曝気槽3のDOが1〜3mg/lに維持されるように運
転する。曝気槽3のDOが1〜3mg/l程度であれ
ば、DO不足により活性汚泥が阻害を受けることはな
い。DOが1mg/l未満では酸素不足で、微生物が活
動できない。また、曝気槽3のDOを3mg/l超に維
持することはエアレーション量が過大となり、不経済と
なる。この段階で曝気槽3のORPを急激に上昇させよ
うとするとエアレーション量が増大し、活性汚泥のフロ
ックを破壊する結果を招きやすいので、曝気槽のDOを
指標とする方法が望ましい。
【0026】排水の供給開始後、曝気槽のORPが徐々
に上昇し、ORP制御が可能となる。処理水の還元性硫
黄化合物は、曝気槽のORPが0mVになるとほとんど
検出されなくなり、また、処理水のCODも著しく低下
する。先に述べたように、還元性硫黄化合物がチオ硫酸
化合物の場合、計算上のORPは約+150mV(Ag
/AgCl電極基準)となるが、排水処理として機能す
るORPの下限値は約0mVである。ORPが0mV未
満では酸化雰囲気でないと判断する。したがって、還元
性硫黄化合物がチオ硫酸化合物の場合、曝気槽のORP
を0mV(Ag/AgCl電極基準)から+150mV
(Ag/AgCl電極基準)に制御することが望まし
い。曝気槽のORPが0mV〜+150mVに達し、維
持が可能な状態になれば、曝気槽のHRTが8時間→6
時間→4時間→3時間→2時間となるように、7〜10
日毎に排水の供給量を増加させる。
【0027】この際、硫黄酸化細菌の馴養・増殖が進む
につれて硫酸が生成するため曝気槽のpHは低下し、p
H調整を行わないと特開昭56−67589号公報、特
開昭57−4296号公報に記載されているように、p
Hが1.9〜2.0まで低下する。このようにpHが4
未満に低下した状態で馴養・増殖した硫黄酸化細菌は、
強酸性で活性なThiobacillus属が優先種と
なる。また、処理水のpHが4未満では公共水域にその
まま放流できないため、水酸化ナトリウムなどを用いて
中性に再調整する必要があり、pH調整用の薬品コスト
が高くなる欠点がある。また、排水処理設備を耐酸性に
する必要があり、排水処理設備の建設費が高騰する問題
がある。また、pHが7.5以上になると、馴養・増殖
した硫黄酸化細菌がチオ硫酸化合物や硫化物などの還元
性硫黄化合物を酸化する機能が低下し、処理水にこれら
の還元性硫黄化合物が検出され、処理水のCODが上昇
する。このため、曝気槽のpHは4.0〜7.5、好ま
しくは5.5〜6.5になるように、硫酸、塩酸などの
酸や水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどのアルカ
リ溶液によって制御する必要がある。
【0028】このように、曝気槽のpHを管理・制御す
ると、pHが4.0〜7.5の範囲で活性で、還元性硫
黄化合物を迅速に酸化できる硫黄酸化細菌を馴養・増殖
することができる。
【0029】次に、このようにして馴養・増殖させた硫
黄酸化細菌の濃度を維持する曝気槽の散気装置および散
気方法について説明する。
【0030】硫黄酸化細菌の大半は還元性硫黄化合物を
酸化し、その酸化エネルギーを利用し、空気中のCO2
を固定化して細胞合成を行い、増殖する。このような硫
黄酸化細菌は、還元性硫黄化合物を酸化する際に酸素を
消費するため、曝気を効率的に行う必要がある。曝気を
効率的に行うためには、酸素移動効率の高い微細気泡を
生じることが可能な気孔径が0.1〜0.5mm程度の
散気管を用いることが望ましい。しかし、このような微
細気泡型散気管を用いると、還元性硫黄化合物を含む排
水の場合、カルシウム化合物による気孔の閉塞がきわめ
て生じやすい。そこで、処理水および/または水道水に
よって微細気泡型散気管の内部を定期的に洗浄する水添
式散気管を曝気槽下部に設置することにした。そして、
タイマー付き洗浄ポンプによって処理水および/または
水道水を微細気泡型散気管内部に1時間に15秒〜1分
程度通水する。散気管への通水量は排水の種類によって
異なるが、処理水量の1%以下である。また、水添式散
気管を用いたエアレーションは、曝気槽のDOおよび/
またはORPを指標にして水添式散気管へエアーを導入
するためのブロアの回転数の手動および/または自動制
御によって行われる。ブロアは回転数を制御するため
に、例えばルーツブロアを使用することが好ましい。
【0031】さらに、カルシウム化合物による閉塞が非
常に生じやすい場合には、水添加を伴う気孔径が1〜5
mm程度の粗気泡性散気管と水中エアレーターを併用す
ると効果的である。粗気泡性散気管は気孔径がかなり大
きいため閉塞がさらに生じにくいが、酸素移動効率が低
下する欠点がある。このため、粗気泡性散気管上部に水
中エアレーターを設置し、水中エアレーターのインペラ
の回転によって粗気泡性散気管から生じる粗気泡を微細
気泡化する。このような水中エアレーターを併用する
と、カルシウム化合物による気孔の閉塞がさらに少なく
なると同時に酸素移動効率が高まるため粗気泡性散気管
単独の場合より曝気量が小さくてすむし、フロックの破
壊を防ぐこともできる。水添加を伴う気孔径が1〜5m
m程度の粗気泡性散気管を用いたエアレーションは、曝
気槽のDOおよび/またはORPを指標にしてブロアの
回転数の手動および/または自動制御によって行う。な
お、水中エアレーターのインペラの回転数を増加させす
ぎると硫黄酸化細菌のフロックの破壊が生じやすいの
で、水中エアレーターのインペラの回転数はDOおよび
/またはORPで制御できるようにすることが望まし
い。
【0032】散気管の閉塞防止対策としては、散気管に
処理水および/または水道水を単独で添加するのではな
く、曝気槽pHを4〜7.5の中性に維持するための酸
および/またはアルカリを処理水および/または水道水
と併用して添加し、酸気管の閉塞を防止することも効果
的である。これは、たとえば閉塞の原因物質が酸および
/またはアルカリに溶解しやすい場合、処理水および/
または水道水の場合より閉塞がさらに生じにくくなる。
酸および/またはアルカリを単独で添加することも考え
られるが、曝気槽のpH制御が主目的であるため、曝気
槽のpHによっては添加ポンプが作動しないことがある
ので、単独での使用はかなり困難と考えられる。
【0033】
【実施例1】本発明の方法を、製鉄所から発生するチオ
硫酸化合物や硫化物などの還元性硫黄化合物を高濃度に
含有し、また、pHが12〜14と高アルカリ性で、C
ODが300〜600mg/l、また、Ca2+濃度が5
00〜1000mg/lと高い工場排水の処理に実施し
た例について説明する。
【0034】図1の活性汚泥処理装置の曝気槽3および
汚泥沈降槽5に、都市下水の処理を行っている下水処理
場の活性汚泥混合液(活性汚泥濃度:1500mg/
l)を投入した。まず、硫黄酸化細菌を馴養するため、
曝気槽3のHRTが8時間になるように工場排水を供給
した。
【0035】曝気槽3の下部には、気孔径が0.5mm
のセラミックス製の水添式散気菅4を設置し、洗浄ポン
プ18によってタイマーによって1時間に30秒間、処
理水で洗浄した。洗浄水量は総処理水量の1%に設定し
た。
【0036】曝気槽3には、ORPセンサー10とDO
センサー12を設置し、硫黄酸化細菌の馴養期は、曝気
槽3のDOを3mg/lと設定し、DOによってブロア
14の回転数を制御してエアレーションを行い、1週間
後、曝気槽3のORP(Ag/AgCl基準)が+10
0mV以上に上昇したことを確認後、ORP(Ag/A
gCl基準)を+150mVに設定し、ORP(Ag/
AgCl基準)によってブロア14の回転数を制御し、
エアレーションを行った。また、曝気槽3のpHは、1
0%硫酸および10%NaOH水溶液によって6.0〜
7.0に制御した。
【0037】工場排水を供給してから3〜5日後に曝気
槽3のORPが0mV以上となり、処理水にチオ硫酸化
合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されなくな
り、CODが50mg/l以下に低下した。次に、曝気
槽3のHRTを7日毎に8時間→6時間→4時間→3時
間となるように短縮した。いずれの条件においても、表
1に示すように処理水のCODは15mg/l以下に除
去されており、硫黄酸化細菌の馴養が完了したと判断さ
れた。さらに、硫黄酸化細菌の馴養が完了すると、曝気
槽3のHRTが3時間の条件で工場排水を供給し、約1
年間連続処理を行った。工場排水の水質および馴養期間
と連続処理期間の処理水質も表1に示す。この結果、連
続処理の処理水からはチオ硫酸化合物、硫化物などの還
元性硫黄化合物が検出されず、CODが15mg/l以
下と良好であり、また、pHも6.0〜7.0であるの
で、そのまま公共水域に放流することができた。
【0038】
【表1】
【0039】散気管の閉塞状況は、ブロア14の吐出し
口に設置した圧力計によって判断できる。すなわち、散
気管の閉塞時には吐出し圧力が上昇し、安全弁が開放し
て曝気槽3へのエアレーションが不可能となるが、水洗
を実施した散気管の閉塞は1年間全く観測されなかっ
た。一方、水洗を実施しない場合、送水開始後約1〜2
ケ月で散気管の閉塞が生じ、曝気槽3へのエアレーショ
ンがかなり困難となり、酸素供給量が不足することによ
りORPが低下し、還元性硫黄化合物の酸化が進まなく
なり、処理水質が悪化した。
【0040】
【実施例2】実施例1と同様に、化学工場から発生する
硫化物などの還元性硫黄化合物を高濃度に含有し、ま
た、pHが10〜11と高アルカリ性で、CODが10
00〜1500mg/l、また、Ca2+濃度が800〜
1200mg/lと高い化学工場排水の処理に実施した
例について説明する。
【0041】図1の活性汚泥処理装置の曝気槽3および
汚泥沈降槽5に、化学工場排水の処理を行っている処理
場の活性汚泥混合液(活性汚泥濃度:2500mg/
l)を投入した。まず、硫黄酸化細菌を馴養するため、
曝気槽3のHRTが8時間になるように化学工場排水を
供給した。
【0042】曝気槽3の下部には、気孔径が2mmのプ
ラスチックス製の水添式散気管4と水中エアレーターを
併設し、洗浄ポンプ18によってタイマーにより1時間
に60秒間、処理水で洗浄した。洗浄水量は総処理水量
の1%に設定した。さらに、pH調整用の硫酸の一部を
水添式散気管4内部に添加する構造とした。
【0043】曝気槽3には、ORPセンサー10とDO
センサー12を設置し、硫黄酸化細菌の馴養期は、曝気
槽3のDOを3mg/lと設定し、DOによってブロア
14の回転数を制御してエアレーションを行い、1週間
後、曝気槽3のORP(Ag/AgCl基準)が+10
0mV以上に上昇したことを確認後、ORPを+150
mVに設定し、ORPによってブロア14の回転数をP
ID自動制御し、エアレーションを行った。水中エアレ
ーターのインペラの回転数は、手動で周波数を30Hz
に制御することによって調節した。また、曝気槽3のp
Hは、10%硫酸および10%NaOH水溶液によって
6.0〜7.0に制御した。
【0044】化学工場排水を供給してから3〜5日後に
曝気槽3のORPが0mV以上となり、処理水に硫化物
などの還元性硫黄化合物が検出されなくなり、CODが
50mg/l以下に低下した。次に、曝気槽3のHRT
を7日毎に8時間→6時間→4時間となるように短縮し
た。いずれの条件においても、処理水のCODは15m
g/l以下に除去されており、硫黄酸化細菌の馴養が完
了したと判断された。さらに、硫黄酸化細菌の馴養が完
了すると、曝気槽3のHRTが4時間の条件で工場排水
を供給し、連続処理を行った。この結果、連続処理の処
理水からは硫化物などの還元性硫黄化合物が検出され
ず、CODが15mg/l以下と良好であった。前述し
たように、散気管の閉塞状況は、ブロア14の吐出し口
に設置した圧力計によって判断できるが、処理水および
硫酸を添加しているため、散気管の閉塞は2年間全く観
測されなかった。さらに、水中エアレーターを粗気泡生
成型散気管と併設しているため、粗気泡生成型散気管単
独の場合と比較して曝気量を50%以上削減できた。
【0045】
【発明の効果】本発明により、還元性硫黄化合物含有排
水を下水や産業排水の活性汚泥から馴養・増殖させた硫
黄酸化細菌を用いて処理する場合、水添式散気管による
洗浄により散気管の閉塞が生じなくなるため、メンテナ
ンスが容易となり、また、処理水質が向上、安定化す
る。さらに、曝気量の削減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための活性汚泥処理装置の例
を示す図である。
【図2】粗気泡生成型散気管と水中エアレーターの例を
示す図である。
【符号の説明】
1 排水タンク 2 排水供給ポンプ 3 曝気槽 4 水添式散気管 5 汚泥沈降槽 6 レーキ 7 処理水 8 pHセンサー 9 pH制御装置 10 ORPセンサー 11 ORP制御装置 12 DOセンサー 13 DO制御装置 14 ブロア 15 汚泥返送ポンプ 16 タイマー 17 処理水タンク 18 洗浄ポンプ 19 硫酸タンク 20 NaOHタンク 21 硫酸ポンプ 22 NaOHポンプ 23 水中駆動機 24 インペラ 25 微細気泡混合液 26 水添式粗気泡生成型散気管 27 ORP制御装置 28 DO制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−269487(JP,A) 特開 平4−300697(JP,A) 特公 平2−9793(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/12 - 3/34 C12N 1/00 - 7/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化細
    菌を用いて生物学的に処理する際、硫黄酸化細菌を都市
    下水の活性汚泥から馴養する時期に、空気または酸素に
    よる曝気槽へのエアレーション量を曝気槽の溶存酸素
    (DO)が1〜3mg/lになるように制御し、馴養完
    了後、エアレーション量を曝気槽の酸化還元電位(OR
    P)が0〜+150mV(銀/塩化銀電極基準)になる
    ように制御することを特徴とする還元性硫黄化合物含有
    排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 曝気槽下部に設置した水添式散気管内部
    のカルシウム化合物を処理水および/または水道水によ
    って洗浄することを特徴とする請求項1記載の還元性硫
    黄化合物含有排水の処理方法。
  3. 【請求項3】 曝気槽下部に設置した水添式散気管およ
    び/または水添式散気管上部に微細気泡を発生させる水
    中攪拌機により曝気槽を攪拌することを特徴とする請求
    項1または2記載の還元性硫黄化合物含有排水の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 水添式散気管へ空気または酸素を導入す
    るブロアの回転数および/または水中攪拌機のインペラ
    の回転数を調節して曝気槽のORPおよび/またはDO
    を設定値に維持することを特徴とする請求項3記載の還
    元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 曝気槽下部に設置した水添式散気管内部
    を洗浄する処理水および/または水道水に、酸および/
    またはアルカリを添加し、曝気槽のpHを4〜7.5に
    保持することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載
    の還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
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