JPH07251195A - 還元性硫黄化合物含有排水の処理方法 - Google Patents

還元性硫黄化合物含有排水の処理方法

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JPH07251195A
JPH07251195A JP6070181A JP7018194A JPH07251195A JP H07251195 A JPH07251195 A JP H07251195A JP 6070181 A JP6070181 A JP 6070181A JP 7018194 A JP7018194 A JP 7018194A JP H07251195 A JPH07251195 A JP H07251195A
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JP
Japan
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sulfur
aeration tank
wastewater
oxidizing bacteria
tank
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JP6070181A
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Osamu Miki
理 三木
Yasushi Kamori
裕史 嘉森
Masahiro Fujii
正博 藤井
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化細菌を
用いて生物学的に高効率で安定して処理する。 【構成】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化細菌を
用いて生物学的に処理する際、排水の流入停止期間中、
あるいはさらに排水の流入期間中、硫黄酸化細菌の有機
栄養源としてフイチン酸またはフイチン酸含有有機化合
物を定期的に曝気槽3に添加する。曝気槽3へのエアレ
ーション量は、曝気槽3の酸化還元電位(ORP)を指
標にして0〜+150mV(Ag/AgCl基準)の範
囲に管理・制御する。 【効果】 排水の流入停止期間中も曝気槽の硫黄酸化細
菌の高濃度維持が可能なため、設備の維持・管理が容易
となり、また、設備の再立ち上げが容易となるため、処
理水質が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、還元性硫黄化合物を含
む排水を硫黄酸化細菌を用いて生物学的に安定して処理
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】還元性硫黄化合物を含む排水は、写真工
業、石油精製工業、化学工業、金属精錬工業、鉱山など
から発生し、これらの排水に含まれている還元性硫黄化
合物は、硫化物(S2-) 、チオ硫酸(S2 3 2-)、ジ
チオン酸(S2 6 2-)、ポリチオン酸(Sn 6 2-
n=3〜6)、チオシアン(SCN)などであり、これ
らの還元性硫黄化合物を含む排水は、還元性硫黄化合物
に起因するCOD(化学的酸素要求量)が高く、このま
ま公共用水域に放流することはできない。産業排水ばか
りでなく、下水を嫌気性処理した場合にも、硫酸イオン
の還元によって還元性硫黄化合物が処理水中に発生し、
酸化処理が必要となる。
【0003】このような排水や下水中の還元性硫黄化合
物の除去方法には、大きく分けて物理化学的方法と生物
学的方法とがある。
【0004】まず、物理化学的方法であるが、曝気によ
って硫化物を揮散または酸化する方法がある。さらに、
排水や下水に含まれている還元性硫黄化合物を次亜塩素
酸ソーダや過酸化水素などの薬剤で酸化する方法も知ら
れている。
【0005】また、還元性硫黄化合物を含む排水を化学
的に処理する際の酸素ガスを吹き込む指標として、酸化
還元電位(ORP)を用いる方法が、特開昭58−12
2093号公報に記載されている。すなわち、この方法
は、硫化ソーダおよび/または水硫化ソーダなどの硫化
物を含む排水に、分子状酸素を含有するガスまたは過酸
化水素を接触させ、排水中の硫化ソーダおよび/または
水硫化ソーダなどの硫化物をチオ硫酸ソーダに酸化する
過程でORPが−550mV以上(基準電極不明)、好
ましくは−500mV以上(基準電極不明)になるま
で、分子状酸素を含有するガスまたは過酸化水素を供給
する方法である。この方法では、さらに化学処理の後段
に次に述べるような硫黄酸化細菌を用いた生物学的方法
を付加している。なお、この生物学的処理の段階では、
ORPを指標にして空気などを曝気していない。
【0006】次に、生物学的方法であるが、これは地球
上の硫黄循環に関わっている多種多様な微生物群を利用
する方法である。この微生物群の一群に硫黄酸化細菌が
あり、例えば「土壌微生物実験法」、養賢堂、pp32
2、1975で主として化学合成硫黄酸化細菌(Thi
obachillus属)、化学合成糸状酸化細菌(B
eggiatoaなど)、光合成硫黄酸化細菌などが広
く知られている。例えば、特開昭57−4296号公報
に記載されている硫黄酸化細菌を用いる方法は、下水も
しくはし尿汚泥および金属鉱山廃水中に存在しているS
2 3 2-やSCNを分解する硫黄酸化細菌を石膏などの
担体に付着させ、濃縮し、還元性硫黄化合物を酸化分解
し、排水中のCODを除去する方法である。この方法で
用いられる硫黄酸化細菌は、例えば「独立栄養細菌」、
今井和民、化学同人、pp63〜67記載のようにpH
が1.9〜2.0と著しく活性があり、チオ硫酸、ジチ
オン酸、ポリチオン酸を分解していることから、Thi
obachillus属の硫黄酸化細菌と考えられる。
また、特開平3−296497号公報に記載されている
硫黄酸化細菌を用いる方法では、pHを4〜5の微酸性
に維持し、50時間程度の処理時間で還元性硫黄化合物
を酸化分解し、排水中のCODを除去している。
【0007】これに対して、特開平4−310295号
公報、特開平5−269487号公報には、中性近辺で
活性のあるpH=4〜7.5、好ましくは5.5〜6.
5の硫黄酸化細菌を下水の活性汚泥から馴養し、還元性
硫黄化合物を含む排水をHRTが2〜3時間程度の条件
で、曝気槽のORPを指標にして管理・制御する生物学
的処理方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の還元性硫黄化合
物を含む排水、下水の処理方法は、以下のような課題を
有している。
【0009】まず、物理化学的方法であるが、曝気によ
って硫化物を揮散または酸化する方法は処理速度が極め
て遅く、また、イオウコロイドまでしか酸化されないの
で、処理水が白濁してしまう。また、例えば「バイオテ
クノロジーを活用した新排水処理システムの開発報告
書」、建設省、pp278〜279記載のように、産業
廃水のように多量の硫化物を含む排水からH2 Sガスと
して揮散するのはかなり困難である。さらに、排水に含
まれている還元性硫黄化合物を次亜塩素酸ソーダや過酸
化水素などの薬剤で酸化する方法は、酸化剤の添加量の
制御が難しくて処理水質が安定せず、また、酸化剤の処
理コストが極めて高い欠点がある。
【0010】次に、硫黄酸化細菌を用いる生物学的方法
であるが、低pHで凄息あるいは活性のある硫黄細菌に
より還元性硫黄化合物を含む排水を処理する場合、硫黄
酸化細菌が存在する曝気槽のpHをこの硫黄酸化細菌に
適した低pHに硫酸や塩酸などを用いて調整する必要が
あり、さらに、処理水を公共水域に放流する場合、水酸
化ナトリウムなどを用いて中性に再調整する必要があ
り、pH調整用の薬品コストが高くなる欠点がある。さ
らに、排水処理設備を耐酸仕様にする必要があり、排水
処理設備の建設費が高騰する欠点もある。
【0011】また、pHが中性近辺で活性のある硫黄酸
化細菌を用いる生物学的方法においても、有機物を分解
するような従属栄養細菌と比較すると硫黄酸化細菌の増
殖速度は極めて小さく、また、フロック形成能力が小さ
いため、曝気槽へのエアレーション量管理が極めて重要
である。すなわち、エアレーション量が過大であると硫
黄酸化細菌がSSとして処理水に流出してしまい、曝気
槽の濃度が急速に低下し、処理不能となる。また、エア
レーション量が小さすぎると処理水質が安定せずまた悪
化しやすく、さらに処理設備が過大となる。例えば、特
開平3−296497号公報記載の方法では、曝気槽へ
のエアレーション量を5m3 /分と一定にしているた
め、HRTが50時間と極めて長く、このため処理設備
が著しく大きくなり、処理設備の建設費が膨大になるも
のと考えられる。
【0012】これに対し、特開平4−310295号公
報、特開平5−269487号公報記載の方法を用いれ
ば、処理設備の建設費が小さく、pH調整用の薬品コス
トも極めて小さくなり、また、処理水質も安定化する。
しかし、この方法においても、都市下水処理の活性汚泥
のように有機物を分解するような従属栄養細菌と比較す
ると、硫黄酸化細菌の増殖速度は極めて小さく、また、
フロック形成能力が小さいため、曝気槽での硫黄酸化細
菌の濃度管理が極めて重要な課題となっていた。
【0013】本発明の目的は、還元性硫黄化合物含有排
水を硫黄酸化細菌を用いて処理する場合、安定して低コ
ストで活性のある硫黄酸化細菌を曝気槽に維持すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は以下の
〜の通りである。
【0015】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化
細菌を用いて生物学的に処理する際、排水の流入停止期
間中および/または排水の流入期間中、硫黄酸化細菌の
有機栄養源として米糠またはフイチン酸含有有機化合物
を定期的に曝気槽に添加することを特徴とする還元性硫
黄化合物含有排水の処理方法。
【0016】 曝気槽へのエアレーション量を曝気槽
の酸化還元電位(ORP)を指標にして0〜+150m
V(Ag/AgCl基準)の範囲に管理・制御するとと
もに、曝気槽のpHを4.0〜7.5に制御することを
特徴とする前記の還元性硫黄化合物含有排水の処理方
法。
【0017】 曝気槽に設置した水添式散気管および
/または水添式散気管上部に微細気泡を発生させる水中
エアレーターで曝気槽を攪拌することを特徴とする前記
またはの還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0018】 硫黄酸化細菌として有機性廃水を処理
する活性汚泥から馴養、増殖させた通性独立の硫黄酸化
細菌を用いることを特徴とする前記、、またはの
還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0019】 硫黄酸化細菌を増殖させた曝気槽に、
有機栄養源とともに無機系固定化担体および/または凝
集剤を定期的に添加することを特徴とする前記〜の
いずれかの還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
【0020】
【作用】以下、本発明の作用を詳細に説明する。
【0021】下水や産業廃水の処理を行っている活性汚
泥には、pHが4.0〜7.5で還元性硫黄化合物を酸
化する硫黄酸化細菌が凄息している。
【0022】最初に、pHが4.0〜7.5で還元性硫
黄化合物を酸化する硫黄酸化細菌を馴養、増殖する方法
について説明する。まず、還元性硫黄化合物を化学的に
硫酸化合物まで酸化する反応を仮定し、この反応におけ
る自由エネルギーを便覧、成書、文献などから求め、次
に、この自由エネルギー変化量から計算により、この反
応が起こるためのORPを求める。例えば、還元性硫黄
化合物がチオ硫酸化合物の場合、ORPは約+150m
V(Ag/AgCl電極基準)となる。したがって、曝
気槽のORPは高くても約+150mV(Ag/AgC
l電極基準)あれば十分であり、曝気槽のORPを+1
50mV(Ag/AgCl電極基準)以上に維持するこ
とはエアレーション量が過大となり、不経済となる。
【0023】次に、図1に示す活性汚泥処理装置の曝気
槽3に、下水あるいは産業廃水の処理を行っている活性
汚泥処理装置の曝気槽から採取した活性汚泥混合液を入
れ、還元性硫黄化合物を含有する排水を曝気槽3の水理
学的滞留時間(HRT)が8時間になるように供給す
る。排水供給当初は曝気槽3のORPは0mV以下(A
g/AgCl電極基準)であり、0mVに維持するのが
かなり困難であるため、曝気槽3のDOを指標として、
曝気槽3のDOが1〜3mg/lに維持されるように運
転する。曝気槽3のDOが1〜3mg/l程度であれ
ば、DO不足により活性汚泥が阻害を受けることはな
い。DOが1mg/l未満では酸素不足で、微生物が活
動できない。また、曝気槽3のDOを3mg/l以上に
維持することはエアレーション量が過大となり、不経済
となる。この段階で曝気槽3のORPを急激に上昇させ
ようとするとエアレーション量が増大し、活性汚泥のフ
ロックを破壊する結果を招きやすいので、曝気槽のDO
を指標とする方法が望ましい。
【0024】排水の供給開始後、曝気槽のORPが徐々
に上昇し、ORP制御が可能となる。処理水の還元性硫
黄化合物は、曝気槽のORPが0mVになるとほとんど
検出されなくなり、また、処理水のCODも著しく低下
する。先に述べたように、還元性硫黄化合物がチオ硫酸
化合物の場合、計算上のORPは約+150mV(Ag
/AgCl電極基準)となるが、排水処理として機能す
るORPの下限値は約0mVである。ORPが0mV未
満では酸化雰囲気でないと判断する。したがって、還元
性硫黄化合物がチオ硫酸化合物の場合、曝気槽のORP
を0mV(Ag/AgCl電極基準)から+150mV
(Ag/AgCl電極基準)に制御することが望まし
い。曝気槽のORPが0mV〜+150mVに達し、維
持が可能な状態になれば、曝気槽のHRTが8時間→6
時間→4時間→3時間→2時間となるように、7〜10
日毎に排水の供給量を増加させる。
【0025】この際、硫黄酸化細菌の馴養・増殖が進む
につれて硫酸が生成するため曝気槽のpHは低下し、p
H調整を行わないと特開昭56−67589号公報、特
開昭57−4296号公報に記載されているように、p
Hが1.9〜2.0まで低下する。このようにpHが4
未満に低下した状態で馴養・増殖した硫黄酸化細菌は、
強酸性で活性なThiobacillus属が優先種と
なる。また、処理水のpHが4未満の状態ではそのまま
公共水域に放流できないため、水酸化ナトリウムなどを
用いて中性に再調整する必要があり、pH調整用の薬品
コストが増大してしまう。また、排水処理設備を耐酸性
にする必要があり、排水処理設備の建設費が高騰する。
また、pHが7.5以上になると、馴養・増殖した硫黄
酸化細菌がチオ硫酸化合物や硫化物などの還元性硫黄化
合物を酸化する機能が低下し、処理水にこれらの還元性
硫黄化合物が検出され、処理水のCODが上昇する。こ
のため、曝気槽のpHは4.0〜7.5、好ましくは
5.5〜6.5になるように、硫酸、塩酸などの酸や水
酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ溶液
によって制御する必要がある。
【0026】このように、曝気槽のpHを管理・制御す
ると、pHが4.0〜7.5の範囲で活性で、還元性硫
黄化合物を迅速に酸化できる硫黄酸化細菌を馴養・増殖
することができる。
【0027】次に、このようにして馴養・増殖させた硫
黄酸化細菌の濃度を、排水の通水停止時に曝気槽で維持
・増殖させる方法について説明する。
【0028】下水の活性汚泥から馴養・増殖させたpH
が中性で活性のある硫黄酸化細菌は還元性硫黄化合物を
酸化し、その酸化エネルギーを利用して空気中のCO2
を固定化して細胞合成を行い増殖する独立栄養細菌ばか
りでなく、有機物を炭素源として利用できる硫黄酸化細
菌を含んだ混合微生物集団である。すなわち、寒天倍地
により炭素源の利用可能性を検討したところ、寒天の分
解、すなわち有機物の分解が可能な細菌と不可能な細菌
が存在し、また、この寒天の分解が可能な硫黄酸化細菌
の増殖をチオ硫酸ソーダ倍地によって検討したところ、
チオ硫酸ソーダを分解し、空気中のCO2 を固定化して
細胞合成を行い増殖することを確認した。すなわち、下
水の活性汚泥から馴養・増殖させたpHが中性で活性の
ある硫黄酸化細菌は、偏性独立栄養細菌ばかりではな
く、独立栄養性のかなり弱まった通性独立の硫黄酸化細
菌を含んだ混合微生物集団である。このような独立栄養
性のかなり弱まった通性独立の硫黄酸化細菌は、還元性
硫黄化合物を酸化するばかりでなく、グルコースなどの
有機物を分解、同化することができる。
【0029】偏性独立の硫黄酸化細菌のみであれば、増
殖速度が極めて小さく、また、フロック形成能力が小さ
いため、還元性硫黄化合物含有排水の発生が一時的に停
止したり、また、工事などにより排水処理を一ケ月以上
停止せざるをえないときに曝気槽での硫黄酸化細菌の濃
度維持がかなり困難であった。しかし、独立栄養性のか
なり弱まった通性独立の硫黄酸化細菌の場合、グルコー
ス、酢酸などの有機物や食品工業などの有機性排水を曝
気槽に添加すれば、増殖を維持することが可能と考えら
れる。しかし、グルコース、酢酸などの有機物や食品工
業などの有機性排水を添加すると、硫黄を酸化する機能
をもったベギアトアなどの糸状細菌の発生を伴いやす
く、糸状細菌が発生すると汚泥沈降槽での硫黄酸化細菌
の沈降性が悪化(バルキング)するため、排水の通水を
再開すると処理水に硫黄酸化細菌が流出する可能性が大
きい。
【0030】曝気槽に添加する有機物としては、フイチ
ン酸および/またはフイチン酸を含有する有機化合物で
ある米糠などが適当である。すでに、例えば、特公平2
−42560号公報には、フイチン酸やフイチン酸を含
有する有機化合物である米糠などが、製鉄所のコークス
工場から発生する安水の活性汚泥の処理不調を改善する
のに効果があることが記載されている。すなわち、フイ
チン酸やフイチン酸を含有する有機化合物である米糠、
フスマ、トウモロコシ殻、植物油絞りかすなどは、活性
汚泥のバルキングなどの処理不調を改善する効果が著し
いことは明らかである。このように、フイチン酸やフイ
チン酸を含有する有機化合物である米糠などは、活性汚
泥のバルキングの発生を抑制する効果があるため、酢酸
などの有機物と比較すると、通性独立の硫黄酸化細菌の
増殖促進剤として適当な有機物質である。特に米糠はフ
イチン酸の含有量が約4〜7%と高く、また、フイチン
酸以外に微生物の活性維持に効果があるビタミンなどを
含有しており、さらに、安価に、大量に、しかも容易に
入手できるため、通性独立の硫黄酸化細菌の増殖促進剤
としての有機物として最適である。有機物の添加量は、
フイチン酸の場合、曝気槽1m3 あたり1日に1〜10
gであり、米糠などのフイチン酸を含有する有機化合物
の場合、曝気槽1m3 あたり1日に10〜100g程度
である。フイチン酸や米糠などのフイチン酸を含有する
有機化合物数種を混合して曝気槽に添加してもかまわな
い。
【0031】また、還元性硫黄化合物含有排水の通水再
開後も、米糠などのフイチン酸を含有する有機化合物の
曝気槽への添加を継続しても問題はない。特に、還元性
硫黄化合物含有排水が硫黄酸化細菌の増殖を阻害する成
分を含んでいる場合や硫化物が主体の場合は、硫黄酸化
細菌の増殖速度が著しく小さいため、米糠などのフイチ
ン酸を含有する有機化合物の添加を継続することが望ま
しい。この場合、増殖した硫黄酸化細菌の沈降性を改善
するために、硫黄酸化細菌を増殖させた曝気槽に、有機
栄養源とともに砂、高炉水砕スラグ、プラスチックスな
どの無機系固定化担体、および/または、鉄塩などの凝
集剤を定期的に添加することも可能である。
【0032】さらに、還元性硫黄化合物含有排水の通水
停止時、および通水再開時には、曝気槽のpH調整が必
須の条件である。曝気槽のpHが4未満または7.5超
になると、馴養・増殖させた硫黄酸化細菌がチオ硫酸化
合物や硫化物などの還元性硫黄化合物を酸化する機能が
低下してしまうため、通水再開時に処理水に還元性硫黄
化合物が検出され、処理水のCODが上昇する。そこ
で、還元性硫黄化合物含有排水の通水停止時にも、曝気
槽のpHは微生物の活性を維持するため4.0〜7.
5、好ましくは5.5〜6.5になるように、硫酸や塩
酸などの酸や水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムなど
のアルカリ溶液によって制御する必要がある。このよう
に、米糠などの有機物を添加するとともに、曝気槽のp
Hを4.0〜7.5の範囲に管理・制御しておくと、還
元性硫黄化合物を迅速に酸化できる通性硫黄酸化細菌を
曝気槽に維持・増殖させておくことができる。
【0033】また、還元性硫黄化合物含有排水流入停止
時にも、添加した米糠などの有機物を酸化する必要があ
るため、曝気槽の曝気を適切に行う必要がある。曝気を
効率的に行うためには、酸素移動効率の高い微細気泡を
生じることが可能な気孔径が0.1〜0.5mm程度の
散気管を用いることが望ましい。しかし、このような微
細気泡型散気管を用いると、添加した固定化担体や米糠
またはカルシウム化合物によって、微細気泡型散気管の
気孔の閉塞がきわめて生じやすい。したがって、処理水
および/または水道水によって微細気泡型散気菅の内部
を定期的に洗浄する水添式散気菅を曝気槽下部に設置す
るのが好ましい。すなわち、タイマー付き洗浄ポンプに
よって、処理水および/または水道水を微細気泡型散気
菅内部に1時間に15秒〜1分程度、通水する散気菅で
ある。散気菅への通水量は排水の種類によって異なる
が、処理水量の1%以下である。水添式散気菅を用いた
エアレーションは、曝気槽のORPを指標にして、水添
式散気菅へエアーを導入するためのブロアの回転数の手
動および/または自動制御によって運転する。さらに、
水添加を伴う気孔径が1〜5mm程度の粗気泡性散気菅
と水中エアレーターを併用することも望ましい。粗気泡
性散気菅は気孔径がかなり大きいため閉塞がさらに生じ
にくいが、酸素移動効率が低下する欠点があるため、粗
気泡性散気菅上部に水中エアレーターを設置し、水中エ
アレーターのインペラの回転によって粗気泡性散気菅か
ら生じる粗気泡を微細気泡化する。このような水中エア
レーターを併用すると、気孔の閉塞がさらに少なくなる
と同時に酸素移動効率が高まるために、粗気泡性散気菅
単独の場合より曝気量が小さくてすむ。
【0034】
【実施例】本発明の方法を、製鉄所から発生するチオ硫
酸化合物や硫化物などの還元性硫黄化合物を高濃度に含
有し、また、pHが12〜14と高アルカリ性で、CO
Dが300〜600mg/l、また、Ca2+濃度が50
0〜1000mg/lと高い工場排水の処理に実施した
例について説明する。
【0035】図1の活性汚泥処理装置の曝気槽3および
汚泥沈降槽5に、都市下水の処理を行っている下水処理
場の活性汚泥混合液(活性汚泥濃度:1500mg/
l)を投入した。まず、硫黄酸化細菌を馴養するため、
曝気槽3のHRTが8時間になるように工場排水を供給
した。
【0036】曝気槽3の下部には、気孔径が0.5mm
のセラミックス製の水添式散気菅4を設置し、タイマー
付き洗浄ポンプ18によって、毎日、1時間ごとに30
秒間、処理水で洗浄した。洗浄水量は総処理水量の1%
に設定した。
【0037】曝気槽3には、ORPセンサー10とDO
センサー12を設置し、硫黄酸化細菌の馴養期は、曝気
槽3のDOを3mg/lと設定し、DOによってブロア
14の回転数を制御してエアレーションを行い、1週間
後、曝気槽3のORP(Ag/AgCl基準)が+10
0mV以上に上昇したことを確認後、ORP(Ag/A
gCl基準)を+150mVに設定し、ORP(Ag/
AgCl基準)によってブロア14の回転数を制御し、
エアレーションを行った。また、曝気槽3のpHは、1
0%硫酸および10%NaOH水溶液によって6.5に
制御した。
【0038】硫黄酸化細菌の沈降性を改善するため、塩
化第2鉄を排水量1m3 あたり30cc、また、高分子
凝集剤を1mg/排水・L、曝気槽3出口に連続添加し
た。
【0039】工場排水を供給してから3〜5日後に曝気
槽3のORPが0mV以上となり、処理水にチオ硫酸化
合物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されなくな
り、CODが50mg/l以下に低下した。次に、曝気
槽3のHRTを7日毎に8時間→6時間→4時間→3時
間となるように短縮した。いずれの条件においても、処
理水のCODは15mg/l以下に除去されており、硫
黄酸化細菌の馴養が完了したと判断された。さらに、硫
黄酸化細菌の馴養が完了すると、曝気槽3のHRTが3
時間の条件で工場排水を供給し、約1年間連続処理を行
った。この結果、連続処理の処理水からはチオ硫酸化合
物、硫化物などの還元性硫黄化合物が検出されず、CO
Dが15mg/l以下と良好であり、また、pHも6.
0〜7.0であるので、そのまま公共水域に放流するこ
とができた。
【0040】さらに、工場排水の流入を停止し、米糠を
曝気槽3に50g/m3 ・日添加し、曝気槽3内での硫
黄酸化細菌の濃度変化を計測した結果を図2に示す。M
LVSSで表示される硫黄酸化細菌の濃度は、約1か月
間工場排水の流入を停止してもほとんど低下せず、25
00〜3000mg/lの間に維持されていた。比較の
ため、米糠を添加しない場合の硫黄酸化細菌の濃度変化
も図2に示す。
【0041】停止期間中も、曝気槽のpHは10%硫酸
および10%NaOH水溶液によって6.0〜7.0に
制御した。また、曝気槽のORP(Ag/AgCl基
準)は有機物分解に適した+50mVに設定し、ORP
(Ag/AgCl基準)によってブロアの回転数を制御
し、エアレーションを行った。1か月間の排水流入停止
期間の後、排水の処理を曝気槽3のHRTが3時間の条
件で再開した。曝気槽3のORP(Ag/AgCl基
準)を+150mVに設定し、ORP(Ag/AgCl
基準)によってブロアの回転数を制御し、エアレーショ
ンを行った。曝気槽3のpHは10%硫酸および10%
NaOH水溶液によって6.5に制御した。さらに、硫
黄酸化細菌の沈降性を改善するため、塩化第2鉄を排水
量1m3 あたり30cc、また、高分子凝集剤を1mg
/l、曝気槽3出口に連続添加した。
【0042】排水の水質および通水再開後の処理水質を
表1に示す。これから明らかなように、通水再開後、約
1日で処理水からはチオ硫酸化合物、硫化物などの還元
性硫黄化合物が検出されず、CODが15mg/l以下
と良好になり、また、pHも6.0〜7.0であるの
で、そのまま公共水域に放流することができた。
【0043】
【表1】
【0044】
【発明の効果】本発明により、還元性硫黄化合物含有排
水を下水や産業排水の活性汚泥から馴養、増殖させた硫
黄酸化細菌を用いて処理する場合、排水の停止期間中も
安定して低コストで簡易に活性のある硫黄酸化細菌を曝
気槽に維持することが可能になる。そして、曝気槽に高
濃度の硫黄酸化細菌を維持できるため、装置のメンテナ
ンスが容易となり、また、処理効率、処理水質が向上
し、安定した運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための活性汚泥処理装置の例
を示す図である。
【図2】実施例における米糠の添加と硫黄酸化細菌の濃
度の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 排水タンク 2 排水供給ポンプ 3 曝気槽 4 水添式散気菅 5 汚泥沈降槽 6 レーキ 7 処理水 8 pHセンサー 9 pH制御装置 10 ORPセンサー 11 ORP制御装置 12 DOセンサー 13 DO制御装置 14 ブロア 15 汚泥返送ポンプ 16 タイマー 17 処理水タンク 18 タイマー付き洗浄ポンプ 19 硫酸タンク 20 NaOHタンク 21 硫酸ポンプ 22 NaOHポンプ 23 鉄塩タンク 24 高分子凝集剤タンク 25 鉄塩ポンプ 26 高分子凝集剤ポンプ 27 米糠自動添加装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 還元性硫黄化合物含有排水を硫黄酸化細
    菌を用いて生物学的に処理する際、排水の流入停止期間
    中および/または排水の流入期間中、硫黄酸化細菌の有
    機栄養源として米糠またはフイチン酸含有有機化合物を
    定期的に曝気槽に添加することを特徴とする還元性硫黄
    化合物含有排水の処理方法。
  2. 【請求項2】 曝気槽へのエアレーション量を曝気槽の
    酸化還元電位(ORP)を指標にして0〜+150mV
    (Ag/AgCl基準)の範囲に管理・制御するととも
    に、曝気槽のpHを4.0〜7.5に制御することを特
    徴とする請求項1記載の還元性硫黄化合物含有排水の処
    理方法。
  3. 【請求項3】 曝気槽に設置した水添式散気管および/
    または水添式散気管上部に微細気泡を発生させる水中エ
    アレーターで曝気槽を攪拌することを特徴とする請求項
    1または2記載の還元性硫黄化合物含有排水の処理方
    法。
  4. 【請求項4】 硫黄酸化細菌として有機性廃水を処理す
    る活性汚泥から馴養、増殖させた通性独立の硫黄酸化細
    菌を用いることを特徴とする請求項1、2、または3記
    載の還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
  5. 【請求項5】 硫黄酸化細菌を増殖させた曝気槽に、有
    機栄養源とともに無機系固定化担体および/または凝集
    剤を定期的に添加することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか記載の還元性硫黄化合物含有排水の処理方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006095478A (ja) * 2004-09-30 2006-04-13 Nippon Steel Corp 硫黄化合物を含む廃水の処理方法
JP2014171964A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Nippon Steel & Sumitomo Metal 還元性硫黄化合物含有排水の処理方法

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