JP2002018479A - 水からの窒素の除去方法 - Google Patents

水からの窒素の除去方法

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JP2002018479A
JP2002018479A JP2000201636A JP2000201636A JP2002018479A JP 2002018479 A JP2002018479 A JP 2002018479A JP 2000201636 A JP2000201636 A JP 2000201636A JP 2000201636 A JP2000201636 A JP 2000201636A JP 2002018479 A JP2002018479 A JP 2002018479A
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sulfur
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oxidizing
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Osamu Miki
理 三木
Toshiro Kato
敏朗 加藤
Kimio Ito
公夫 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水からの窒素の除去方法を提供する。 【解決手段】 水から窒素を無酸素槽で除去する窒素の
除去方法であって、無酸素槽の微生物として通性独立栄
養の硫黄酸化細菌または通性独立栄養の硫黄酸化細菌と
従属栄養細菌との混合物を用いることを特徴とする窒素
の除去方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中に含まれる窒
素を安定的、効率的に除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒素の除去に関する従来技術を説明す
る。
【0003】水中の窒素は、アンモニア性窒素、又は、
硝酸性窒素や亜硝酸性窒素の形で含有されることが多
い。アンモニア性窒素を含有する排水は、都市下水、屎
尿、製鉄所コークス工場排水、肥料工場排水、半導体工
場排水、皮革工場排水などがある。特に、製鉄所コーク
ス工場から発生するアンモニア性窒素含有排水は、安水
とも呼ばれ、アンモニア性窒素を数百〜数千mg/l程
度も含有している。また、硝酸性窒素を含有する例とし
ては、ステンレス鋼板洗浄排水や農薬で汚染された地下
水などがある。
【0004】水からの窒素の除去方法としては、生物学
的硝化−脱窒素法が広く知見されている。これは、絶対
好気性・絶対独立栄養細菌(ニトロソモナス(Nitrosom
onas)、ニトロバクター(Nitrobacter)等の硝化細
菌)による生物学的酸化反応と通性嫌気性・従属栄養細
菌(シュードモナス(Pseudomonas)等)などによる生
物学的還元反応の組み合わせから成っているまず、硝化
工程について説明する。
【0005】硝化工程は以下の2段の反応から成ってお
り、関与する硝化細菌の種類は異なっている。
【0006】
【化1】
【0007】(1)式に示す反応は、ニトロソモナスを
代表種とするアンモニア酸化細菌によってもたらされ、
(2)式に示す反応は、ニトロバクターを代表種とする
亜硝酸酸化細菌によってもたらされる。
【0008】硝化に関与する細菌は、絶対独立栄養細菌
であり、炭酸ガスのみを資化できる。有機物が過剰に存
在すると生育が阻害を受けることは広く知られている。
【0009】次に脱窒工程を説明する。
【0010】通常、亜硝酸性窒素並びに硝酸性窒素は、
シュードモナスなどの通性嫌気性・従属栄養細菌を用い
て、無酸素の条件下で、以下のように還元されて酸化窒
素ガス(N2O)あるいは窒素ガス(N2)となり大気中
に放散される。
【0011】
【化2】
【0012】通性嫌気性・従属栄養細菌は、水素供与体
が必要であり、水素供与体として有機物が通常利用され
る。都市下水などでは、下水中の有機物がそのまま用い
られ、有機物を含まない排水ではメタノールなどが添加
されることが多い。
【0013】さらに、脱窒性能を有する細菌は、従属栄
養細菌に限らない。有機物では無く、炭酸ガスを資化し
て増殖する水素細菌や硫黄酸化細菌などの独立栄養細菌
も、酸素の無い状態で脱窒素機能を有する種類があるこ
とが知られている。特に硫黄酸化細菌についてはチオバ
チラス属の硫黄酸化細菌13種が知られており、絶対独
立栄養(硫黄化合物のみをエネルギ-源として利用し、
炭酸ガスのみを資化)と通性独立栄養(硫黄化合物ばか
りでなく有機物もエネルギ-源として利用可能、有機物
の資化も可能)の硫黄酸化細菌が存在する。絶対独立栄
養の硫黄酸化細菌として、チオバチラス チオオキシダ
ンス(Thiobacillus tiooxidans)、チオバチラス デ
ニトリフィカンス(Thiobacillus denitrificans)など
が記載されている。しかし、嫌気性条件下で脱窒素機能
を持つと明確に記載されているのは、絶対独立栄養の硫
黄酸化細菌であるチオバチラス デニトリフィカンスで
ある(例えば、山中健生、独立栄養細菌の生化学、48
−50)。更に、このような純粋なチオバチラス デニ
トリフィカンスを用いた脱窒方法としては、橋本(特願
昭59−64359あるいは水質汚濁研究、第12巻、
第7号、431〜440)や古米(水環境学会誌、第1
9巻、第9号、715〜723)らの報告例がある。こ
れらは、チオバチラス デニトリフィカンス用の培地を
用いてチオバチラス デニトリフィカンスを集積培養
し、集積したチオバチラス デニトリフィカンスによっ
て窒素の除去を検討したものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来の脱窒技術の課題
について説明する。
【0015】まず、従属栄養細菌を用いた脱窒法は、下
水や工場排水の分野で広く用いられている。また、河
川、湖沼、地下水などの浄水用原水からの窒素除去の研
究事例も数多く報告されている。反応槽の型式は流動
床、固定床、自己造粒法などがある。この方法は反応速
度が早い利点はあるものの、余剰汚泥が多量に発生する
課題がある。特に窒素濃度が高くなると、脱窒のための
有機物量が多量に必要となり、この結果、余剰汚泥が多
量に発生し、さまざまな課題が生じやすい。さらに、排
水中に有機物が少ない場合、メタノールなどの有機物を
添加する必要がある。このため、ランニングコストが増
大するとともに、余剰のメタノールの分解効率は必ずし
も高くないため、残留メタノール処理用の設備コストも
増大しやすい。
【0016】また、水中に亜硝酸性窒素が含まれる場
合、亜硝酸性窒素は従属栄養細菌に対して毒性が強く、
処理水質が悪化しやすいことは広く知られている(例え
ば、遠矢泰典、下水道協会誌、VOL7、NO74、1
970)。この結果、脱窒素に用いられている細菌が従
属栄養細菌の場合、蓄積した亜硝酸性窒素によって脱窒
素反応の進行にも阻害が生じやすい。脱窒素反応の進行
が停止すると、亜硝酸性窒素が処理水に流出し、窒素規
制をクリアできないばかりか、亜硝酸性窒素起因のCO
D(化学的酸素要求量)も増大してしまう。
【0017】一方、絶対独立栄養の硫黄酸化細菌である
チオバチラス デニトリフィカンスを用いた脱窒素法
は、反応速度が小さい(増殖速度が小さい)ことやフロ
ック形成能力が弱い等の課題がある。さらに、実際の排
水に適用する場合、実際の排水中には、窒素ばかりでな
く、有機物および硫黄化合物が大量に含まれる場合があ
る。例えばコークス工場排水は、有機物としてフェノー
ルを、硫黄化合物としてチオ硫酸、チオシアンを高濃度
に含有している。このように、排水中に有機物が大量に
存在していると、絶対独立栄養の純粋なチオバチラス
デニトリフィカンスを植種・適用しようとしても、従属
栄養の脱窒細菌が優占種となってしまうと考えられる。
すなわち、無酸素槽においては、呼吸源である硝酸性窒
素をめぐり、従属栄養細菌との競合が生じるが、有機物
が大量に存在する場合、増殖速度の早い従属栄養細菌が
優先的に増加し、絶対独立栄養の純粋なチオバチラス
デニトリフィカンスの増殖は抑制されてしまう。
【0018】最後に、硝化技術の課題について述べる。
【0019】硝化細菌は、絶対独立栄養・絶対好気性の
細菌であり、有機物や溶存酸素の影響を受けやすく、細
菌の増殖速度も遅い課題がある。また、アンモニア性窒
素濃度が100mg/lを超えると、硝化工程におい
て、ニトロバクターが阻害を受け、アンモニア性窒素の
酸化が硝酸性窒素まで進行せず、処理水中の亜硝酸性窒
素が蓄積しやすいことが知見されている。この原因とし
て、遊離のアンモニウムイオンのニトロバクターへの阻
害が知られている。特に、pHが高い場合遊離のアンモ
ニウムイオンが発生しやすいため、阻害が大きくなると
いわれている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく検討を重ねた結果、以下の方法により、
高濃度の窒素を含有する排水を安定して効率的に処理す
ることに成功した。本発明の要旨とするところは、次の
(1)〜(7)である。
【0021】(1)水から窒素を無酸素槽で除去する窒
素の除去方法であって、無酸素槽の微生物として通性独
立栄養の硫黄酸化細菌または通性独立栄養の硫黄酸化細
菌と従属栄養細菌との混合物を用いることを特徴とする
窒素の除去方法。
【0022】(2)通性独立栄養の硫黄酸化細菌を、有
機排水処理の活性汚泥から硝酸性窒素を含む排水を用い
て馴養することを特徴とする(1)に記載の窒素の除去
方法。
【0023】(3)硝酸性窒素及び/または亜硝酸性窒
素を含む水を、通性独立栄養の硫黄酸化細菌と従属栄養
細菌との混合物で無酸素槽中で処理した後、好気槽にお
いて通性独立栄養の硫黄酸化細菌または通性独立栄養の
硫黄酸化細菌と従属栄養細菌との混合物を連続して用い
て、または別途添加して、硫黄化合物及び/または有機
物を処理することを特徴とする(1)または(2)に記
載の窒素の除去方法。
【0024】(4)無酸素槽の酸化還元電位を0mVか
ら−200mV(銀/塩化銀基準)に維持するように、
硫黄化合物の添加量を調整することを特徴とする(1)
〜(3)のいずれか一項に記載の窒素の除去方法。
【0025】(5)硫黄と窒素の質量比が3.5〜4に
なるように、硫黄化合物および/または硫黄化合物含有
担体および/または硫黄化合物付着担体を無酸素槽に添
加することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項
に記載の窒素の除去方法。
【0026】(6)無酸素槽に有機物を添加することを
特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の窒素
の除去方法。
【0027】(7)アンモニア性窒素を含有する排水
を、微生物固定化担体を投入した好気槽において硝化細
菌によりアンモニア性窒素を硝酸性窒素及び/又は亜硝
酸性窒素に酸化した後、無酸素槽で処理することを特徴
とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の窒素の除
去方法。
【0028】
【発明の実施の形態】発明者らは、脱酸素下で有機物が
ある場合には有機物を利用し脱窒を行える通性独立栄養
の硫黄酸化細菌が存在し、有機物と窒素を同時に含む水
の場合でも、硫黄源を与えれば容易に増殖し、脱窒素が
十分に行われることを見出し、このような硫黄酸化細菌
を水からの窒素除去に適用することに成功した。対象と
する水は、工場排水、都市下水、屎尿、埋立地浸出水お
よび河川、湖沼、地下水等の浄水用原水である。
【0029】本発明の窒素除去方法について、従来法と
比較し詳細に説明する。
【0030】表1に本発明の方法と従来法のプロセス比
較を示す。これらは有機物と硝酸性窒素を含有する排水
を対象としており、プロセスはすべて無酸素槽と好気槽
から成っている。いずれも、無酸素槽で脱窒素を行い、
好気槽で残留する有機物や硫黄を酸化した後放流するこ
とは共通している。
【0031】
【表1】
【0032】従来法Iの無酸素槽では、通性嫌気性・従
属栄養細菌を用いて硝酸性窒素を窒素ガスまで還元す
る。排水中の有機物を用いて一部脱窒素が進行するが、
有機物が不足する場合、一般にメタノールを添加する。
ここでは以下のような反応が進行する。
【0033】
【化3】
【0034】しかし、実際には以下の問題がある。第1
点は、前述したように余剰汚泥の発生量が大きく、この
処理が煩雑なことである。2点目は排水中の有機物によ
って、従属栄養細菌が馴養されているため、メタノール
のような1炭素化合物を外部から添加しても迅速に資化
しにくいことである。この結果、メタノールを添加して
も脱窒素機能は発揮しにくく、無酸素槽での処理時間が
増大する。また、メタノールが大量に残留しやすいた
め、外部に流出しCOD(化学的酸素要求量)として計
測されやすい。これを防ぐためには、従属栄養細菌を用
いてメタノールを完全に分解する好気槽の必要容量をか
なり大きくとる必要がある。
【0035】従来法IIは、無酸素槽で純粋なチオバチラ
ス デニトリフィカンスを用いる脱窒方法である。反応
は以下の式で進行する。
【0036】
【化4】
【0037】しかし、チオバチラス デニトリフィカン
スは脱窒素機能を有する硫黄酸化細菌として広く知られ
ているが、これは絶対独立栄養の硫黄酸化細菌であり、
有機物を利用できない(例えば、独立栄養細菌の生化
学、山中健生、p34)。更に、有機物が存在すると増
殖阻害があるため、たとえ硫黄化合物を添加しても脱窒
素機能が低下してしまう。したがって、無酸素槽での処
理時間が従来法Iと比較して、3〜5倍もかかってしま
う。また、硫黄化合物が大量に残留しやすいため、外部
に流出し、COD(化学的酸素要求量)として計測され
やすい。これを防ぐためには、好気性硫黄酸化細菌を用
いて硫黄化合物を完全に分解する好気槽の必要容量をか
なり大きくとる必要がある。
【0038】次に本発明方法について詳細に説明する。
【0039】まず、無酸素槽では絶対独立栄養の硫黄酸
化細菌ではなく、有機物を資化しうる通性独立栄養の硫
黄酸化細菌を用いる点が従来法IおよびIIと根本的に異
なっている。これまで脱窒素機能を有する通性独立硫黄
酸化細菌を純粋培養した報告事例はなかったが、今回発
明者らは、有機排水の活性汚泥から通性独立栄養の硫黄
酸化細菌を容易に増殖させうることを見出した。例え
ば、都市下水処理場の曝気槽から活性汚泥(有機物を好
気性条件下で分解する従属栄養細菌の塊といえる)を採
取し、無酸素槽に投入し、硝酸性窒素を含有する排水を
通水するとともに、硫黄と硝酸性窒素(硝酸性窒素およ
び亜硝酸性窒素の和)の質量比(以降、S/N比とす
る)がS/N=3.5〜4倍となるようにチオ硫酸、硫
黄等の硫黄化合物を添加すれば、馴養開始後、約2週間
ではほぼ100%の窒素除去率が得ることができる。S
/N比が3.5以下では窒素が残留しやすく、4以上に
なると硫黄が過剰に残留することになり好ましくない。
また、硫黄源として硫黄化合物を含有もしくは付着させ
た担体を用いてもかまわない。このような微生物固定化
担体を用いることで、担体表面に硫黄酸化細菌を増殖さ
せる効果もある。ここで使用しうる担体の材質として、
ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコールスポンジ、ポリウレタンフォーム、ケイ砂、
スラグ微粉、活性炭多孔性セラミックス、セルロース等
が選択されることができ、これらの形状は球形、角形、
中空円筒形、サドル型等が選択される。これら担体の大
きさは、槽内で流動させるタイプのものとして、20μ
mから1cm程度、また槽内で固定させるタイプとし
て、1cm〜20cm程度まで、様々なものが選択され
うる。なお、本発明で用いられ得る具体的な担体とし
て、流動させるタイプはポリプロピレン製中空円筒形担
体(内径3mm、外径4mm、長さ5mm)または高炉
スラグ微粉(20〜100μm)であり、固定させるタ
イプはポリプロピレン製球形担体またはサドル型多孔性
セラミックス(いずれも5〜20cm程度)を用いるこ
とができる。
【0040】本発明のプロセスにおいて、無酸素槽の酸
化還元電位を、通性嫌気性である本細菌の脱窒機能が適
正に発揮される0mV〜−200mV(銀/塩化銀基
準)の範囲に維持するように、硫黄化合物の添加量を調
整してもかまわない。この範囲をはずれると脱窒機能の
低下が生じやすい。
【0041】ここで図1を参照する。図1は本発明の窒
素の除去方法による硫黄(S)、硝酸性窒素(NO3
N)、有機物(例としてBOD表示)の分解の経時変化
を示すグラフである。すなわち、その後に有機物と硝酸
性窒素を含む排水を無酸素槽に通水しても、図1に示す
ように窒素、硫黄、有機物はほぼ同時に除去される。す
なわち無酸素槽において、有機物を資化し脱窒素を行う
従属栄養細菌と脱窒素機能を有する通性独立硫黄酸化細
菌が、共存可能であると考えられる。さらに、発明者ら
は、有機物の添加量を増大させると窒素除去性能も高ま
ることを新たに知見した。例えば、馴養した硫黄酸化細
菌に、酢酸を100〜500mg/l添加したが、添加
しても窒素除去性能は低下せず、添加量を増やすに従い
硫黄酸化細菌の増殖速度も増大することが確かめられ
た。酢酸以外の有機物、例えばフェノールや都市下水の
BODでも同様の結果が得られた。このようなことか
ら、本発明の通性独立栄養の硫黄酸化細菌の場合、有機
物を添加することにより、脱窒素速度が増加するため、
無酸素槽の滞留時間を従来法Iの1/2から1/3程度
と短縮することが可能となる。
【0042】また、たとえ無酸素槽で処理した後に有機
物や硫黄化合物が残留したとしても、通性独立栄養の硫
黄酸化細菌であれば、好気槽において、容易に有機物お
よび硫黄化合物を分解できる。通性独立の硫黄酸化細菌
と従属栄養細菌との混合物を用いることも全く問題無
い。
【0043】さらに、アンモニア性窒素を含有する排水
の場合は、無酸素槽の前段に好気槽を設け、微生物固定
化担体を5%〜20%(v/v、容積基準)投入し、硝
化細菌によりアンモニア性窒素を硝酸性窒素及び/又は
亜硝酸性窒素に効率的に酸化する。投入した微生物固定
化担体上に硝化細菌が増殖するため、処理が効率化され
る。ここで担体の投入量が5%未満では顕著な効果が得
られず、また20%を越えて投入してもかまわないが、
担体のコストが上昇し実用的では無い。好気槽での硝化
の後、無酸素槽に通水すれば容易に窒素を除去できる。
【0044】このように本発明は、従来法Iおよび従来
法IIと比較して、有機物と窒素を含む水からの窒素除去
方法として、極めて有効な処理方法である。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0046】<実施例1:硝酸性窒素と有機物を含有す
る工場排水からの窒素除去>本発明の方法を工場排水処
理に適用した。用いた工場排水は、硝酸性窒素を100
〜500mg/l程度含有しているとともに酢酸を10
0〜300mg/l含有している。従来は、通性従属栄
養細菌を利用して、外部からメタノールを硝酸性窒素に
対し2〜3倍程度添加し、窒素を除去している。しかし
このような方法は、外部からのメタノール添加量が多く
なるため余剰汚泥が大量に発生し、そのため無酸素槽で
の充填材の目詰まりや余剰汚泥処理費が増大するという
課題がある。
【0047】そこで、このような工場酸洗排水処理に本
発明を適用した。この処理フローを図2に示す。また本
実施例は、上述の固定させるタイプの微生物固定化担体
を用いたものである。
【0048】まず、図2の無酸素槽(1)には微生物固
定化担体(16)をリアクター容積あたり70%充填
し、ここに下水処理場から採取した活性汚泥を投入し
た。該微生物固定化担体とは、微生物を保持するための
もので、その表面に微生物が付着増殖することができ
る。工場排水(5)を、滞留時間が8時間の条件で通水
し、硫黄酸化細菌を馴養した。各槽において酸化還元電
位(ORP)計(10)、pH計(11)、および溶存
酸素(DO)計(12)を用いて処理水の酸化還元電
位、pHおよび溶存酸素濃度の計測を行った。無酸素槽
(1)は、硫酸および水酸化ナトリウムによってpHを
6〜8に制御するとともに、無酸素槽出口の硝酸性窒素
濃度を測定し、硫黄源としてチオ硫酸ナトリウム(6)
をS/N比が3.5になるように添加した。さらに、徐
々に滞留時間を短縮したところ、4時間の条件で処理水
(7)の窒素濃度は平均10mg/l以下となった。さ
らに排水中の酢酸も検出限界以下まで除去されていた。
該固定化担体の表面に、通性化学独立栄養の硫黄酸化細
菌が従属栄養細菌と混合して存在し、かつ増殖している
ことも確認できた。
【0049】無酸素槽(1)の後段に、処理水中に残留
するチオ硫酸ナトリウムを生物酸化する好気槽(2)を
設置した。微生物固定化担体をリアクター容積あたり7
0%投入し、下水処理場から採取した活性汚泥を投入し
た。無酸素槽(1)からポンプ(8)を用いて本工場排
水(5)を当初滞留時間が8時間の条件で通水し、硫黄
酸化細菌を馴養した。好気槽(2)は、ブロア(9)に
よる曝気によって溶存酸素(以降DOと記載)を2mg
/l以上に維持した。好気槽(2)の滞留時間が30分
の条件で、処理水中に残留するチオ硫酸ナトリウムは硫
酸イオンまで完全に酸化し、CODも20mg/l以下
であった。
【0050】さらに、好気槽(2)の後段に、浮遊性の
プラスチックスろ材(サイズ:10mm)を充填したろ
過装置(3)を設置した。ろ過速度を200m/日で運
転したところ、処理水(7)のSS(浮遊性物質)は、
5mg/l以下であった。
【0051】<実施例2:都市下水からの窒素除去>本
発明の方法を都市下水処理へ適用し、広く適用されてい
る従来法である図3の無酸素−好気法(循環式硝化脱窒
法)における改善を検討した。図3に示すように、前段
に無酸素槽(1)をおき、後段に好気槽(2)を置くプ
ロセスを用いた。各槽において酸化還元電位(ORP)
計(10)、pH計(11)、および溶存酸素(DO)
計(12)を用いて処理水の酸化還元電位、pHおよび
溶存酸素濃度の計測を行った。無酸素槽(1)では、好
気槽(2)から循環されてくる硝化循環液(15)に、
都市下水(13)中の有機物(BOD)を用いて脱窒を
行う。好気槽(2)では、余剰の有機物の除去とアンモ
ニア性窒素の酸化(硝化)を行っている。このプロセス
は下水中の有機物を有効に利用できる利点があるが、窒
素除去率に限界があり、硝化循環液(15)から無酸素
槽(1)に溶存酸素の持ち込みが生じやすく、処理性能
が悪化する課題がある。
【0052】都市下水(13)の水質は、BODが平均
160mg/l、T−Nが平均40mg/l(大半が有
機性窒素とアンモニア性窒素)程度である。
【0053】そこで発明者らは、循環式硝化脱窒法の改
善に本法を適用した事例を述べる。また本実施例は、上
述の流動させるタイプの微生物固定化担体を用いたもの
である。
【0054】図3の好気槽(2)でアンモニア性窒素を
硝酸性窒素まで迅速に酸化するために以下の運転条件で
好気槽(2)を運転した。好気槽(2)には、浮遊性で
円筒型の微生物固定化担体(内径3mm、長さ4mm)
を好気槽(2)の容積あたり25%投入した。好気槽
(2)は、硫酸および水酸化ナトリウムによって、pH
を7〜8に制御するとともに、空気および/または酸素
により、DOを2mg/l以上、ORPを+150mV
(銀/塩化銀基準)以上に維持するように運転した。好
気槽(2)において、アンモニア性窒素のほぼ100%
が硝酸性窒素となった。
【0055】無酸素槽(1)は、下水処理場の活性汚泥
と循環硝化液から馴養した通性嫌気性・通性化学独立の
硫黄酸化細菌を用いた脱窒方法を採用した。硫黄源とし
て、チオ硫酸ナトリウム(6)を無酸素槽(1)のOR
Pが−150mV(銀/塩化銀基準)に維持できるよう
に添加した。硫酸および水酸化ナトリウムによって、p
Hを6〜8に制御した。
【0056】硝化循環液(15)の循環率150%(原
水量に対して)、返送汚泥(14)量50%の条件で運
転した結果、処理水中の窒素濃度は、年間を通じ10〜
12mg/l程度と70%以上の安定した窒素除去率が
得られた。
【0057】一方、従来法のままでは、降水期等に無酸
素槽(1)のORPが、0mV以上にしばしば上昇し、
この結果、脱窒能力が50%以下に悪化した。
【0058】これらの結果から発明法は、広く適用され
ている従来法である図3の無酸素−好気法(循環式硝化
脱窒法)の改善に顕著な効果があることがわかった。
【0059】
【発明の効果】本発明により、窒素を含有する下水・排
水から、安定して窒素を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒素の除去方法による硫黄、窒素、有
機物の分解の経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明の通性独立栄養の硫黄酸化細菌を利用し
た固定床型脱窒プロセスの模式図である。
【図3】本発明の通性独立栄養の硫黄酸化細菌を利用し
た循環式硝化脱窒プロセスの模式図である。
【符号の説明】
1・・・無酸素槽 2・・・好気槽 3・・・ろ過装置 4・・・沈殿池 5・・・工場排水 6・・・チオ硫酸ナトリウム添加装置 7・・・処理水 8・・・ポンプ 9・・・ブロア 10・・・酸化還元電位(ORP)計 11・・・pH計 12・・・溶存酸素(DO)計 13・・・都市下水 14・・・返送汚泥 15・・・硝化循環液 16・・・微生物固定化担体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12M 1/00 C12M 1/00 H (C12N 1/20 (C12N 1/20 D C12R 1:01) C12R 1:01) (72)発明者 伊藤 公夫 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4B029 AA02 AA21 BB02 CC01 CC02 CC13 DA04 DA05 DB11 DF02 DF03 DF04 DF05 DG06 4B065 AA01X AC20 BA30 BB01 BC02 BC12 BC13 BC14 BC41 BC50 CA56 4D040 BB07 BB24 BB42 BB65 BB92 DD03 DD14 DD16 DD31

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水から窒素を無酸素槽で除去する窒素の
    除去方法であって、無酸素槽の微生物として通性独立栄
    養の硫黄酸化細菌または通性独立栄養の硫黄酸化細菌と
    従属栄養細菌との混合物を用いることを特徴とする窒素
    の除去方法。
  2. 【請求項2】 通性独立栄養の硫黄酸化細菌を、有機排
    水処理の活性汚泥から硝酸性窒素を含む排水を用いて馴
    養することを特徴とする請求項1に記載の窒素の除去方
    法。
  3. 【請求項3】 硝酸性窒素及び/または亜硝酸性窒素を
    含む水を、通性独立栄養の硫黄酸化細菌と従属栄養細菌
    との混合物で無酸素槽中で処理した後、好気槽において
    通性独立栄養の硫黄酸化細菌または通性独立栄養の硫黄
    酸化細菌と従属栄養細菌との混合物を連続して用いて、
    または別途添加して、硫黄化合物及び/または有機物を
    処理することを特徴とする請求項1または2に記載の窒
    素の除去方法。
  4. 【請求項4】 無酸素槽の酸化還元電位を0mVから−
    200mV(銀/塩化銀基準)に維持するように、硫黄
    化合物の添加量を調整することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の窒素の除去方法。
  5. 【請求項5】 窒素に対する硫黄の質量比であるS/N
    値が、3.5〜4になるように、硫黄化合物、および/
    または硫黄化合物含有もしくは付着担体を無酸素槽に添
    加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に
    記載の窒素の除去方法。
  6. 【請求項6】 無酸素槽に有機物を添加することを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒素の除去
    方法。
  7. 【請求項7】 アンモニア性窒素を含有する排水を、微
    生物固定化担体を投入した好気槽において硝化細菌によ
    りアンモニア性窒素を硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒
    素に酸化した後、無酸素槽で処理することを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒素の除去方法。
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