JPH0598233A - 熱圧着可能なフイルム状接着剤 - Google Patents

熱圧着可能なフイルム状接着剤

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JPH0598233A
JPH0598233A JP26467391A JP26467391A JPH0598233A JP H0598233 A JPH0598233 A JP H0598233A JP 26467391 A JP26467391 A JP 26467391A JP 26467391 A JP26467391 A JP 26467391A JP H0598233 A JPH0598233 A JP H0598233A
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直滋 竹田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 4,4'-オキシジフタル酸二無水物Aモル及び
他の酸二無水物成分Bモルを含む酸成分と、式(1)で
表わされるシリコーンジアミンCモル 【化1】 及び他のジアミン成分Dモルを含むアミン成分とを、シ
リコーンジアミン又はこれと4,4'-オキシジフタル酸二
無水物とを必須成分とし、(A+C)/(A+B+C+
D)が0.5〜1.0、(A+B)/(C+D)が0.8〜1.2の
範囲で反応させ、少なくとも80%以上がイミド化されて
いるポリイミドシロキサンからなる熱圧着可能なフィル
ム状接着剤。 【効果】 耐熱性に優れ、低温、低圧、短時間で熱圧着
作業性が良好な、銅、シリコンなどの金属、セラミック
スへの接着性に優れ、室温だけでなく、260℃のような
半田溶融温度でも充分な接着強度を有するフィルム状接
着剤を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性に優れ、熱圧着
して用いることのできるフィルム状接着剤に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、耐熱性の熱圧着可能なフィルム状
接着剤はいくつか知られている。例えば、特開平1-2822
83号公報には、ポリアミドイミド系やポリアミド系のホ
ットメルト接着剤、特開昭58-157190号公報には、ポリ
イミド系接着剤によるフレキシブル印刷回路基板の製造
法、特開昭62-235382号及び特開昭62-235383号公報に
は、熱硬化性のポリイミド系フィルム状接着剤に関する
記述がなされている。ところが、ポリアミド系やポリア
ミドイミド系樹脂は、アミド基の親水性のために吸水率
が大きくなるという欠点を有し、信頼性を必要とするエ
レクトロニクス用途としての接着剤に用いるには限界が
あった。またその他の公報に記載されているフィルム状
接着剤の熱圧着条件は、275℃、50kgf/cm2、30分間が
標準であり、熱や圧力に鋭敏な電子部品や、量産性を必
要とされる用途のフィルム状接着剤としては必ずしも有
利であるとは言えなかった。
【0003】一方で、従来用いられているエポキシ系、
フェノール系、アクリル系等の接着剤は、比較的低温、
低圧で熱圧着できるという利点を有するが、熱硬化型で
あるため、ある程度硬化時間を長く設ける必要があっ
た。また熱可塑性樹脂をホットメルト型接着剤として用
いることもよく行なわれるが、耐熱性に乏しい欠点を有
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、耐熱性
に優れ、低温、低圧、短時間で熱圧着可能なフィルム状
接着剤を得んとして鋭意研究を重ねた結果、特定の構造
を有するポリイミドシロキサンをフィルム化した接着剤
が上記の目標を達成し得ることが判り、本発明を完成す
るに至ったものである。その目的とするところは、耐熱
性と熱圧着作業性を両立させたフィルム状接着剤を提供
するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、4,4'-オキシ
ジフタル酸二無水物Aモル及び他の酸二無水物成分Bモ
ルを含む酸成分と、式(1)
【0006】
【化1】
【0007】で表わされるシリコーンジアミンCモル及
び他のジアミン成分Dモルを含むアミン成分とを、4,4'
-オキシジフタル酸二無水物又はシリコーンジアミンの
少なくともどちらか一方を必須成分とし、(A+C)/
(A+B+C+D)が0.5〜1.0、(A+B)/(C+
D)が0.8〜1.2の範囲で反応させ、少なくとも80%以上
がイミド化されているポリイミドシロキサンからなる熱
圧着可能なフィルム状接着剤である。
【0008】本発明において用いられる酸二無水物は、
4,4'-オキシジフタル酸二無水物(以下ODPAと略
す)と他の酸二無水物であるが、ODPA以外の酸二無
水物の例を挙げると、ピロメリット酸二無水物、3,3',
4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2',
3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,
3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ナフ
タレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレ
ン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,
2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,4,5,8
-テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン-1,2,6,7-テト
ラカルボン酸二無水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘ
キサヒドロナフタレン-1,2,5,6-テトラカルボン酸二無
水物、4,8-ジメチル-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロナフタ
レン-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロ
ロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7
-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水
物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラ
カルボン酸二無水物、1,4,5,8-テトラクロロナフタレン
-2,3,6,7-テトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ジフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ジフェニ
ルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ジフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、3,3",4,4"-p-テルフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,2",3,3"-p-テルフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,3,3",4"-p-テルフェニルテ
トラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシ
フェニル)-プロパン二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボ
キシフェニル)-プロパン二無水物、ビス(2,3-ジカルボ
キシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3-ジカルボキ
シフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフ
ェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニ
ル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニ
ル)スルホン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェ
ニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェ
ニル)エタン二無水物、ペリレン-2,3,8,9-テトラカルボ
ン酸二無水物、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二
無水物、ペリレン-4,5,10,11-テトラカルボン酸二無水
物、ペリレン-5,6,11,12-テトラカルボン酸二無水物、
フェナンスレン-1,2,7,8-テトラカルボン酸二無水物、
フェナンスレン-1,2,6,7-テトラカルボン酸二無水物、
フェナンスレン-1,2,9,10-テトラカルボン酸二無水物、
シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、
ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ピロリ
ジン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、チオフェン-
2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物などがあげられる
が、これらに限定されるものではない。
【0009】本発明において用いられるジアミン成分
は、シリコーンジアミンと他のジアミンである。他のジ
アミンは、特に限定されるものではないが、例を具体的
に挙げると、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニ
ル、4,6-ジメチル-m-フェニレンジアミン、2,5-ジメチ
ル-p-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノメシチレン、
4,4'-メチレンジ-o-トルイジン、4,4'-メチレンジ-2,6-
キシリジン、4,4'-メチレン-2,6-ジエチルアニリン、2,
4-トルエンジアミン、m-フェニレン-ジアミン、p-フェ
ニレン-ジアミン、4,4'-ジアミノ-ジフェニルプロパ
ン、3,3'-ジアミノ-ジフェニルプロパン、4,4'-ジアミ
ノ-ジフェニルエタン、3,3'-ジアミノ-ジフェニルエタ
ン、4,4'-ジアミノ-ジフェニルメタン、3,3'-ジアミノ-
ジフェニルメタン、4,4'-ジアミノ-ジフェニルスルフィ
ド、3,3'-ジアミノ-ジフェニルスルフィド、4,4'-ジア
ミノ-ジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノ-ジフェニル
スルホン、4,4'-ジアミノ-ジフェニルエーテル、3,3'-
ジアミノ-ジフェニルエーテル、ベンジジン、3,3'-ジア
ミノ-ビフェニル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノ-ビフ
ェニル、3,3'-ジメトキシ-ベンジジン、4,4"-ジアミノ-
p-テルフェニル、3,3"-ジアミノ-p-テルフェニル、ビス
(p-アミノ-シクロヘキシル)メタン、ビス(p-β-アミノ-
t-ブチルフェニル)エーテル、ビス(p-β-メチル-δ-ア
ミノペンチル)ベンゼン、p-ビス(2-メチル-4-アミノ-ペ
ンチル)ベンゼン、p-ビス(1,1-ジメチル-5-アミノ-ペン
チル)ベンゼン、1,5-ジアミノ-ナフタレン、2,6-ジアミ
ノ-ナフタレン、2,4-ビス(β-アミノ-t-ブチル)トルエ
ン、2,4-ジアミノ-トルエン、m-キシレン-2,5-ジアミ
ン、p-キシレン-2,5-ジアミン、m-キシリレン-ジアミ
ン、p-キシリレン-ジアミン、2,6-ジアミノ-ピリジン、
2,5-ジアミノ-ピリジン、2,5-ジアミノ-1,3,4-オキサジ
アゾール、1,4-ジアミノ-シクロヘキサン、ピペラジ
ン、メチレン-ジアミン、エチレン-ジアミン、プロピレ
ン-ジアミン、2,2-ジメチル-プロピレン-ジアミン、テ
トラメチレン-ジアミン、ペンタメチレン-ジアミン、ヘ
キサメチレン-ジアミン、2,5-ジメチル-ヘキサメチレン
-ジアミン、3-メトキシ-ヘキサメチレン-ジアミン、ヘ
プタメチレン-ジアミン、2,5-ジメチル-ヘプタメチレン
-ジアミン、3-メチル-ヘプタメチレン-ジアミン、4,4-
ジメチル-ヘプタメチレン-ジアミン、オクタメチレン-
ジアミン、ノナメチレン-ジアミン、5-メチル-ノナメチ
レン-ジアミン、2,5-ジメチル-ノナメチレン-ジアミ
ン、デカメチレン-ジアミン、1,10-ジアミノ-1,10-ジメ
チル-デカン、2,11-ジアミノ-ドデカン、1,12-ジアミノ
-オクタデカン、2,12-ジアミノ-オクタデカン、2,17-ジ
アミノ-アイコサン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベ
ンゼンなどが挙げられる。
【0010】本発明における酸二無水物とジアミンの反
応は、公知の方法で行なうことができる。予め、酸二無
水物成分あるいはジアミン成分の何れか一方を有機溶剤
中に溶解あるいは懸濁させておき、他方の成分を粉末又
は液状あるいは有機溶剤に溶解した状態で徐々に添加す
る。反応は発熱を伴うため、望ましくは冷却しながら反
応系の温度を室温付近に保って実施する。
【0011】酸二無水物成分とジアミン成分のモル比
(A+B)/(C+D)は、当量付近、特に0.8〜1.2の
範囲にあるのが望ましい。何れか一方が多くなり過ぎる
と、分子量が高くならず、耐熱性、機械特性が低下する
ので好ましくない。室温付近で反応させ、ポリアミド酸
を合成した後、加熱あるいは無水酢酸/ピリジン系触媒
を用いる等公知の方法によりイミド化を実施することが
できる。イミド化率は少なくとも80%以上であることが
望ましい。イミド化率が80%よりも低いと後にフィルム
化して熱圧着する際にイミド化が進行して水分が発生
し、ボイドの原因となって接着強度の低下を招くので好
ましくない。
【0012】(A+C)/(A+B+C+D)の値は、
0.5〜1.0であることが必要であり、0.5以下であると熱
溶融性が低下してしまい、少なくとも300℃以上、ある
いは50kgf/cm2以上の熱圧着条件が必要となり、量産性
の点で好ましくない。0.5以上であれば、250℃以下の温
度で、しかも20kgf/cm2以下の圧力下、10分以内の短時
間で熱圧着でき、良好な接着強度を達成することができ
る。
【0013】本発明においては、ODPA又はシリコー
ンジアミンの少なくともどちらか一方が必須成分として
含まれていることが必要である。ODPAとシリコーン
ジアミンは、その構造上の特徴により、ポリイミド中に
少なくともそのどちらか一方が上述のモル比を満たすよ
うに含まれることによって、熱溶融性に優れ、接着強度
も良好であり、耐熱性とのバランスにも優れたフィルム
状接着剤を得ることができる。
【0014】本発明において用いられる有機溶剤は特に
限定されるものではないが、均一溶解可能なものなら
ば、一種類或いは二種類以上を併用した混合溶媒であっ
ても差し支えない。この種の溶媒として代表的なもの
は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトア
ミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセト
アミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチル
スルホキシド、ヘキサメチルフォスホアミド、N-メチル
-2-ピロリドン、ピリジン、ジメチルスルホン、テトラ
メチルスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン、γ
-ブチロラクトン、ジグライム、テトラヒドロフラン、
塩化メチレン、ジオキサン、シクロヘキサノン等があ
り、均一に溶解できる範囲で貧溶媒を揮散調節剤、皮膜
平滑剤などとして使用することもできる。
【0015】本発明の熱圧着可能なフィルム状接着剤の
使用方法としては、特に限定されるものではないが、通
常充分にイミド化されたワニスを、テフロン等の離型性
に優れた基材に塗布した後、加熱処理によって溶剤を揮
散させてフィルム化し、基材から剥がして単独のフィル
ムを得る。これを被接着体間に挟んだ後、熱圧着する。
または予め被着体の上に塗布した後、加熱処理を施して
充分に溶剤を揮散させた後、一方の被着体と合わせて熱
圧着することもできる。
【0016】また本発明の接着剤のベース樹脂であるポ
リイミドシロキサンには、必要に応じて各種添加剤を加
えることができる。例えば、基材に塗布する際の表面平
滑剤、濡れ性を高めるためのレベリング剤や各種界面活
性剤、シランカップリング剤、また接着剤の熱圧着後の
耐熱性を高めるための各種架橋剤などの添加剤である。
これらの添加剤は、フィルム状接着剤の特性を損わない
程度の量で使用することができる。
【0017】以下に実施例を以て本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0018】
【実施例】
(実施例1)温度計、撹拌機、原料投入口、乾燥窒素ガ
ス導入管を備えた四つ口のセパラブルフラスコ中に、1,
3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン(APB)8.77g
(0.03モル)及び下記式のシリコーンジアミン 58.94g
(0.07モル)
【0019】
【化2】
【0020】を300gのN-メチル-2-ピロリドン(NM
P)に溶解させ、4,4'-オキシジフタル酸二無水物(O
DPA)31.02g(0.1モル)を30分間かけて粉状のまま
徐々に添加した後2時間撹拌を続けた。この間ずっと乾
燥窒素ガスを流しておき、更にODPAを添加する前か
ら氷浴で冷却し、系を反応の間ずっと20℃に保っておい
た。
【0021】次いで、この系にキシレン60gを添加し、
乾燥窒素導入管を外して、代りにディーンスターチ還流
冷却管を取付け、氷浴を外してオイルバスで加熱して系
の温度を上昇させる。イミド化に伴って生じる水をトル
エンとの共沸により系外へ除去しながら加熱を続け、15
0〜160℃でイミド化を進めて水が発生しなくなった5時
間後に反応を終了させた。このポリイミドワニスを30リ
ットルのメタノール中に撹拌しながら1時間かけて滴下
し、樹脂を沈澱させ、濾過して固形分のみを回収した
後、真空乾燥機中にて減圧下50℃で5時間乾燥させた。
このようにして得られたポリイミドシロキサンのFT-IR
スペクトルを測定し、1650cm-1に現れるイミド化前のア
ミド結合に基づく吸収と、1780cm-1に現れるイミド環に
基づく吸収からイミド化率を求めたところ、100%イミ
ド化されていることが判った。
【0022】このポリイミドシロキサンをジエチレング
リコールジメチルエーテル(ジグライム)に溶解させ、
濃度20%に調整した。アプリケータを用いてこのワニス
を表面研磨されたテフロン板の上にキャストし、乾燥機
中で120℃、5時間加熱処理をすることによって溶剤を
揮散させ、テフロン基板から剥がして、厚み25μmのフ
ィルムを作成した。このフィルムから、3mm×3.5mm角の
大きさを切出し、銅製のリードフレームと、3mm×3.5mm
角の大きさのシリコンチップの間に挟み、100℃のホッ
トプレート上で500gの荷重をかけ(約4.76kgf/c
m2)、2秒で熱圧着した後、室温まで冷却してプッシュ
プルゲージで剪断強度を測定したところ、10kgf以上の
値のところでシリコンチップが破壊して正確な剪断強度
が得られない程、強固に接着していた。次に、260℃の
ホットプレート上に10秒間、同様の接着サンプルを置い
て剪断強度を測定したところ、0.5kgfの強度が得られ
た。破壊のモードは凝集破壊であり、リードフレームに
もチップにもフィルムの一部が残っていた。またフィル
ムにはボイドは全く認められなかった。
【0023】(実施例2)酸無水物成分として、ODP
A18.61g(0.06モル)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸二無水物(BTDA)12.89g(0.04モ
ル)及びジアミン成分として、実施例1で用いたシリコ
ーンジアミン33.68g(0.04モル)、2,4-ジアミノトル
エン6.11g(0.05モル)、1,3-ビス(3-アミノプロピル)
テトラメチルジシロキサン(APDS)2.49g(0.01モ
ル)を用いた以外は実施例1と同様の方法によってポリ
イミドシロキサンを得、イミド化率を測定したところ、
100%であった。この樹脂をジグライムとブチルセルソ
ルブアセテート(BCA)の1対1混合溶媒で溶解し、
濃度25%に調整した。
【0024】このワニスを用いて、宇部興産(株)製ポリ
イミド、ユーピレックスSの50μm厚のフィルムの両面
に実施例1と同様の加熱処理を施して厚み10μmとなる
ように塗膜を形成した。3mm×3.5mm角の大きさに切出し
た両面塗布サンプルを、銅製のリードフレームと、シリ
コンチップの間に挟み、250℃のホットプレート上で500
gの荷重を2秒かけ接着した。室温で剪断強度を測定し
たところ、10kgf以上でシリコンチップが破壊した。次
に、260℃のホットプレート上に10秒間、同様の接着サ
ンプルを置いて剪断強度を測定したところ、1.2kgfであ
った。接着フィルム面にはボイドは全く認められなかっ
た。
【0025】(実施例3〜5及び比較例1〜4)ポリイ
ミドシロキサンの組成、イミド化時間以外は全て実施例
1の方法と同様に行ない、表1の結果を得た。
【0026】
【表1】
【0027】実施例1、2並びに表1の実施例3〜5の
ように、ODPAとシリコーンジアミンが全体の樹脂組
成のうち、モル数の割合で0.5〜1.0であり、酸無水物と
ジアミンのモル比が0.8〜1.2の範囲にあり、イミド化率
が80%以上のポリイミドシロキサンを用いてフィルム化
したものは、250℃以下の比較的低い温度で、しかも5kg
f/cm2以下という比較的低い圧力で、10秒間以内という
短時間の熱圧着条件で強固な接着強度が得られ、さらに
260℃という高温においても0.5kgf以上の接着強度を有
していた。
【0028】一方、比較例1及び3のようにODPA、
シリコーンジアミンの全体の樹脂組成に占める割合がモ
ル比で0.5未満となると、250℃、5kgf/cm2、10秒の熱
圧着条件では充分な接着強度が得られなかった。また、
350℃、10kgf/cm2、1800秒でも、充分な高温時におけ
る接着強度が得られなかった。比較例2のようにイミド
化率が80%未満であると、熱圧着後のフィルム面にボイ
ドが発生してしまうため、充分な接着強度が得られなか
った。比較例4のようにポリイミドシロキサンの原料で
ある酸二無水物とジアミンのモル比が0.8〜1.2の範囲か
ら外れると、得られる樹脂の分子量が低下し、機械強度
が極端に下がって接着フィルム自体の強度がないので、
充分な接着強度が得られなかった。以上のように本発明
の条件以外では良好な結果を得ることができなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明の熱圧着可能なフィルム状接着剤
は、銅、シリコンなどの金属、セラミックスへの接着性
に優れており、室温だけでなく、260℃のような半田溶
融温度でも充分な接着強度を有する耐熱性に優れたもの
である。しかも従来にない、低温、低圧、短時間で熱圧
着できる量産性の点においても有利な耐熱性フィルム状
接着剤を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年11月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【化2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】
【表1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】で表わされるシリコーンジアミンCモル及
び他のジアミン成分Dモルを含むアミン成分とを、シリ
コーンジアミン又はこれと4,4'-オキシジフタル酸二無
水物とを必須成分とし、(A+C)/(A+B+C+
D)が0.5〜1.0、(A+B)/(C+D)が0.8〜1.2の
範囲で反応させ、少なくとも80%以上がイミド化されて
いるポリイミドシロキサンからなる熱圧着可能なフィル
ム状接着剤である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】本発明においては、シリコーンジアミン又
はこれとODPAとが必須成分として含まれていること
が必要である。シリコーンジアミンとODPAは、その
構造上の特徴により、ポリイミド中に少なくともそのど
ちらか一方が上述のモル比を満たすように含まれること
によって、熱溶融性に優れ、接着強度も良好であり、耐
熱性とのバランスにも優れたフィルム状接着剤を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 敏夫 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 住 友ベークライト株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 4,4'-オキシジフタル酸二無水物Aモル
    及び他の酸二無水物成分Bモルを含む酸成分と、式
    (1)で表わされるシリコーンジアミンCモル及び他の
    ジアミン成分Dモルを含むアミン成分とを、4,4'-オキ
    シジフタル酸二無水物又はシリコーンジアミンの少なく
    ともどちらか一方を必須成分とし、(A+C)/(A+
    B+C+D)が0.5〜1.0、(A+B)/(C+D)が0.
    8〜1.2の範囲で反応させ、少なくとも80%以上がイミド
    化されているポリイミドシロキサンからなる熱圧着可能
    なフィルム状接着剤。 【化1】
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