JPH0597937A - ポリオレフイン系樹脂用コーテイング組成物の製造方法 - Google Patents

ポリオレフイン系樹脂用コーテイング組成物の製造方法

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JPH0597937A
JPH0597937A JP3292405A JP29240591A JPH0597937A JP H0597937 A JPH0597937 A JP H0597937A JP 3292405 A JP3292405 A JP 3292405A JP 29240591 A JP29240591 A JP 29240591A JP H0597937 A JPH0597937 A JP H0597937A
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propylene
dicarboxylic acid
polyolefin
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茂樹 日笠
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逸男 木村
Yoshitatsu Nishijima
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリオレフィン系樹脂の塗装性や接着性を改
善できるコーティング組成物。 【構成】 プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重
合体をラジカル発生剤で減成し、その後これにα、β−
不飽和ジカルボン酸またはその誘導体を、 0.1ないし15
重量%グラフトさせた樹脂であって、その分子量が3000
ないし 70000である樹脂からなる組成物。 【効果】 ポリオレフィン系樹脂に対する接着性や有機
溶剤への溶解性が優れているほか、ゴム成分の多い樹脂
への密着性や低温特性が改善され、さらに高固形分濃度
化が可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系樹脂成
形品の表面を塗装する場合や、ポリオレフィン系樹脂に
他の基材を接着する場合にポリオレフィン系樹脂の密着
力を向上させ目的で使用する有機溶剤に溶解させたコー
ティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹
脂は価格が安く優れた性質を持っていることから、家庭
電化製品や自動車部品等に多量に使用されている。しか
し、ポリオレフィン系樹脂は無極性であるため、塗装や
接着が困難であるという欠点を有している。
【0003】このような欠点を解決するために、従来、
ポリオレフィン系樹脂成形品の塗装や接着の前にポリオ
レフィン系樹脂成形品表面に火災処理、コロナ放電処理
やプラズマ処理等の処理を施し付着性を向上させること
が行われていた。しかし、処理操作が煩雑な上複雑な形
状の物では均一な処理が難しく実用性に欠けていた。
【0004】そのため、塩素化変性ポリオレフィンを主
成分とするプライマー組成物が提案されており、例えば
特公昭50-10916号公報、特開昭57-36128号公報、特公昭
63-36624号公報に開示されている。しかし、これらの塩
素化物からなるプライマーは、ポリオレフィンに対する
付着性は優れているものの耐候性や耐溶剤性に劣るとい
う共通した欠点があり、その用途が限定される場合があ
る。
【0005】一方、ポリオレフィンに付着性のある塩素
化物ではない各種のプライマー組成物も提案されてい
る。例えば、特公昭62-21027号公報にはプロピレン−エ
チレン共重合体にマレイン酸またはその無水物をグラフ
ト共重合したプライマー組成物が開示されている。しか
し、このものは溶剤に対する溶解性が劣るため保存時に
粒状の非溶解物が生成し、これが原因となって塗装した
塗膜に凹凸が生じ外観を著しく損じたり付着性にバラツ
キが生じたり、スプレー塗布性が極端に悪化したりする
という欠点がある。
【0006】また特開昭 58-185655号公報にはプロピレ
ン−α−オレフィン共重合体にα、β−不飽和ジカルボ
ン酸をグラフト共重合したものを含有する塗料用組成物
が開示されているが、その実施例にはプロピレン−エチ
レン共重合体の例しか示されておらず前記のものと同様
の欠点がある上に、他の樹脂と相溶性に欠けるため実用
性はほとんど無いのが実状である。
【0007】また、特開平2-6513号にプロピレン−エチ
レン−α−オレフィン共重合体に不飽和カルボン酸また
はその誘導体をグラフト重合させた変性重合体が開示さ
れているが、これは有機溶剤への溶解性がほとんど無
く、本発明の用途のコーティング組成物には使えないも
のである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにポリオレ
フィンに塗装や接着を行うためにはプライマー処理を施
すことが現実的ではあるが、現存の技術はいずれも欠点
を有しており、ポリオレフィンに対する密着性、耐候
性、樹脂の溶剤への溶解性、保存安定性、スプレー塗布
性等の要求性能をバランス良く満たすものは無かった。
【0009】そこで、本発明者らは特願平 02-234848号
においてこのような問題点を解決しポリオレフィン系樹
脂の塗装性や接着性を改善でき、かつトルエン,キシレ
ン等の有機溶剤への溶解性のよいコーティング組成物を
提案した。又、特願平03-113876 号において、低温に於
ける耐衝撃性を改善し、ポリオレフィンへの密着性をさ
らに向上させたものを提案した。しかし、これらには有
機溶剤に溶解させたときの透明性や、長期間保存したと
きの安定性など改善の余地があることが分かった。ま
た、今後、塗料分野に於ける揮発成分の規制の可能性が
考えられ、高濃度のコーティング剤が求められてもい
る。
【0010】そこで、本発明はこのような問題点を解決
し、ポリオレフィン系樹脂の塗装性や接着性さらに保存
安定性などを改善でき、高固形分濃度化が可能なコーテ
ィング組成物を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
種々研究の結果本発明に到達した。すなわち、プロピレ
ン−エチレン−α−オレフィン共重合体をラジカル発生
剤で減成し、その後、α、β−不飽和ジカルボン酸また
はその誘導体を0.1ないし15重量%グラフトさせた樹脂
を含有するポリオレフィン系樹脂用コーティング組成物
により前記目的は達成された。
【0012】
【作用】本発明のコーティング組成物の原料であるプロ
ピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体は、プロピ
レンを主成分にエチレン及び他のα−オレフィンを共重
合したものであり、ブロック共重合体よりランダム共重
合体が望ましい。原料中のプロピレン成分の割合は55な
いし85モル%が望ましく、55モル%未満ではポリオレフ
ィンへの付着性が低下し、85モル%を超えると得られた
樹脂の溶剤への溶解性が劣るようになる。ブテンなどの
炭素数4以上のα−オレフィン成分の割合は5ないし40
%が望ましく、5モル%未満でも40モル%を超えても得
られた樹脂の溶剤への溶解性が劣るようになる。エチレ
ン成分の割合は1モル%以上10モル%以下が望ましい。
なぜなら、1モル%未満では得られた樹脂の透明性が悪
くなって沈澱物が生成しやすくなるからであり、10モル
%を超えると得られた樹脂が粘着性を持つようになり、
又、架橋反応が起こり易くなって溶剤への溶解性が劣る
からである。
【0013】プロピレン−エチレン−α−オレフィン共
重合体の減成に用いるラジカル発生剤は公知のものの中
から適宜選択することができるが、特に有機過酸化物が
好ましい。有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパ
ーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)−ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオ
キサイド等が挙げられる。ラジカル発生剤を添加する量
は0.1ないし5重量%が望ましい。 0.1重量%未満では
減成の効果が少なく得られた樹脂の溶解性が悪くなり、
溶液中に粒が見られるようになる。又、5重量%を超え
ると樹脂の架橋などが起こり、やはり溶解性が低下す
る。特に好ましくは 0.5ないし2重量%である。
【0014】プロピレン−エチレン−α−オレフィン共
重合体にラジカル発生剤を添加する方法は、プロピレン
−エチレン−α−オレフィン共重合体をキシレン等の有
機溶剤に加熱溶解させラジカル発生剤を加える方法(溶
液法)や、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重
合体を融点以上に加熱溶融させてラジカル発生剤を加え
る方法(溶融法)等、公知の方法によって行なうことが
できる。
【0015】溶液法では有機溶剤としてトルエン、キシ
レン等の芳香族系溶剤を使うことが好ましく、反応温度
は 100ないし 250℃で行なう。この方法は副反応が少な
く均一な生成物を得ることができるという特徴がある。
溶融法の場合にはバンバリーミキサー、ニーダー、押出
し機等を使用し、原料樹脂の融点以上 300℃以下の温度
で反応させる。この方法は操作が簡単である上短時間で
反応を終了させることができる。ラジカル発生剤の添加
方法は一括添加でも逐添でもよいが、逐添の方が反応を
均一に行うことが出来て望ましい。
【0016】ラジカル発生剤の添加終了後、反応系を減
圧にしてラジカル発生剤由来の低沸点成分やポリオレフ
ィンの分解による低分子量成分を除去すること( 500mm
Hg以下で5分以上)により反応の再現性が向上し、製品
品質が安定する。
【0017】このラジカル発生剤による減成によってプ
ロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体の分子量
を調節できるのみでなく、ラジカル発生剤断片の付加反
応なども期待できる。また、減成時、ラジカル発生剤に
よってプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体
上に炭素−炭素二重結合が生成する。この炭素−炭素二
重結合によって、次のα、β−不飽和ジカルボン酸また
はその誘導体のグラフト反応での反応性が向上する。
【0018】以上のようにして得られたプロピレン−エ
チレン−α−オレフィン共重合体にα、β−不飽和ジカ
ルボン酸またはその誘導体をグラフトさせる。この際、
この2つの反応は連続して行なっても良いし、ラジカル
発生剤での減成の段階で一度止めてもよい。
【0019】プロピレン−エチレン−α−オレフィン共
重合体にグラフトさせるα、β−不飽和ジカルボン酸ま
たはその誘導体とは、α、β−不飽和ジカルボン酸の他
にα、β−不飽和ジカルボン酸の酸無水物やそのエステ
ル等のことをいい、例えばマレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、
アコニット酸、これらの酸無水物、またはこれらのアル
キルエステルが挙げられる。α、β−不飽和ジカルボン
酸またはその誘導体をグラフトされる量は、 0.1ないし
15重量%が好ましく、 0.1重量%未満では得られた樹脂
の上塗り塗料に対する密着性が悪く、15重量%を超える
とポリオレフィンに対する密着性が悪くなるばかりかグ
ラフト反応の効率が悪くなって不経済である。又、樹脂
を有機溶剤に溶解させた時に沈澱物が発生し易くなる。
特に好ましいα、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘
導体のグラフト量は1ないし10重量%である。
【0020】又、このグラフト反応時のα、β−不飽和
ジカルボン酸またはその誘導体とラジカル発生剤との比
は10/1〜1/10(モル比)が好ましい。なぜなら、10
/1を超えると溶液が濁りやすくなり、又、未反応の
α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が樹脂中
に混入する恐れがある。一方1/10未満では樹脂の架橋
反応が起き易くなりゲル化したり粘度が以上に上昇した
りする。特に好ましいα、β−不飽和ジカルボン酸また
はその誘導体とラジカル発生剤との比は5/1〜1/5
である。
【0021】プロピレン−エチレン−α−オレフィン共
重合体にα、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体
をグラフトさせる方法は、プロピレン−エチレン−α−
オレフィン共重合体をキシレン等の有機溶剤に加熱溶解
させラジカル発生剤の存在下に反応させる方法(溶液
法)や、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合
体を融点以上に加熱溶融させてラジカル発生剤の存在下
で反応させる方法(溶融法)等、公知の方法によって行
なうことができる。
【0022】上記溶液法では有機溶剤としてトルエン、
キシレン等の芳香族系溶剤を使うことが好ましく、反応
温度は 100ないし 250℃で行なう。この方法は副反応が
少なく均一なグラフト共重合体を得ることができるとい
う特徴がある。一方溶融法の場合にはバンバリーミキサ
ー、ニーダー、押出し機等を使用し、原料樹脂の融点以
上 300℃以下の温度で反応させる。この方法は、操作が
簡単である上短時間で反応を終了させることができる。
α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体とラジカ
ル発生剤との添加方法は逐添でも一括添加でも良いが、
逐添の方が反応が均一になって望ましい。
【0023】反応に用いるラジカル発生剤は公知のもの
の中から適宜選択することができるが、特に有機過酸化
物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば前記のよ
うなベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ク
メンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。このラジ
カル発生剤は前述の減成時に用いたものと同じであって
も異なっていてもよい。
【0024】この付加反応に於いては、先ほどのラジカ
ル発生剤での減成の際にプロピレン−エチレン−α−オ
レフィン共重合体上に生成した炭素−炭素二重結合が反
応性の向上に寄与している。
【0025】α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘
導体をグラフトさせた樹脂の分子量は3000ないし 70000
が好ましい。3000以下にすることは非常に困難であり工
業的な価値を有しない。又、 70000以上では溶剤に対す
る溶解性が悪くなり、さらに他樹脂との相溶性が悪くな
ってやはり好ましくない。更に好ましくは8000以上、特
に好ましくは 16000以上 50000以下である。分子量をこ
の範囲にすることは、原料の分子量、ラジカル発生剤に
より減成時の反応条件、さらにグラフト反応を行なうと
きの反応条件をコントロールすることで可能である。な
お、ここで分子量とは重量平均分子量のことをいい、G
PC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測
定しポリスチレン換算で表した値である。
【0026】α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘
導体をグラフトさせたプロピレン−エチレン−α−オレ
フィン共重合体はコーティング組成物として使用するた
めにトルエン、キシレン、MEK、酢酸エチル、ヘキサ
ン等の有機溶剤あるいはこれらの混合溶剤に溶解させて
使用に供する。有機溶剤としてはトルエン、キシレン等
の芳香族系溶剤を使用することが好ましい。その場合、
有機溶剤に10重量%以上の固形分濃度で溶解させて用い
ることが作業性の面から不可欠であり、本発明のコーテ
ィング組成物は有機溶剤に対する溶解性が優れているの
で30重量%以上の固形分濃度でも何等問題なく使用する
ことができる。また有機溶剤の使用量を減らせるので安
全衛生上好ましく、今後予想される有機溶剤等の揮発性
成分の規制にも有利である。
【0027】本発明において得られた樹脂はポリオレフ
ィンに対する密着性、耐候性、耐溶剤性、有機溶剤に対
する溶解性、保存安定性、スプレー塗布性、他樹脂との
相溶性が良好であり、ポリオレフィン系樹脂成型品の塗
装や接着の際のプライマーとして好適である。
【0028】使用方法としては、本発明の組成物の有機
溶剤溶液をそのまま用いても良く、また公知の方法によ
り顔料と混練して用いることもできる。さらに、本発明
の組成物と塗料用樹脂と顔料を練り合わせて塗料を調製
し、ポリオレフィン系樹脂成型品にプライマー無しで直
接塗装することも可能である。又、透明性に優れ、保存
時に沈澱物をほとんど発生しないという特徴を持ってい
るので、ポリオレフィンフィルムに対するコーティング
剤として優れており、インキ用樹脂として用いることも
できる。
【0029】また、オレフィン系樹脂、アクリル系樹
脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂
等の他の樹脂を添加しても良く、必要に応じて紫外線吸
収剤、酸化防止剤等の添加剤を加えることも差し使えな
い。なお、本発明におけるポリオレフィン系樹脂とはポ
リエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共
重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等をい
うが、本発明のコーティング組成物はポリオレフィン系
樹脂以外のプラスチックに適用することも可能である。
【0030】以上述べたように本発明のポリオレフィン
系樹脂用コーティング組成物は特定のプロピレン−エチ
レン−α−オレフィン共重合体を原料にして、ラジカル
発生剤による減成の後、α、β−不飽和ジカルボン酸ま
たはその誘導体をグラフトさせているので、ポリオレフ
ィンに対する密着性が良く、低温における耐衝撃性にも
優れている。また、本発明の変性により有機溶剤に耐す
る溶解性が向上し、高濃度化が可能になった。さらに、
透明性が向上しておりコーティング組成物として要求さ
れる性能を満たすことができた。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが本発明はこれによって限定されるものではない。
【0032】(実施例1)攪拌機、冷却管および滴下ロ
ートを取り付けた四口フラスコ中で、プロピレン−エチ
レン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル
%、ブテン成分24モル%、エチレン成分8モル%、重量
平均分子量 68000) 100gをキシレン 400gに加熱溶解
させた後、系の温度を 140℃に保って攪拌しながらジク
ミルパーオキサイド1gを1時間かけて滴下させ、その
後1時間反応させた。その後、無水マレイン酸10gとジ
クミルパーオキサイド3gをそれぞれ3時間かけて滴下
させ、その後さらに1時間反応させた。反応後室温まで
冷却した後、反応物を大量のアセトン中に投入して精製
し、付加量 5.1%の共重合体を得た。GPCにより分子
量を測定すると重量平均分子量は 31000であった。これ
をトルエンに30重量%の濃度で溶解し液の性状と貯蔵安
定性をみた。結果を表1に示した。
【0033】重量平均分子量の測定は東ソー(株)製
HLC-8020にカラム TSK-GELを付け、試料をTHF(テト
ラヒドロフラン)に溶解して40℃で測定し、ポリスチレ
ン標準試料で作成した検量線から分子量を求めた。また
貯蔵安定性は30%トルエン溶液を3ヵ月間室温で放置し
溶液の状態を観察した。
【0034】(実施例2)攪拌機、冷却管および滴下ロ
ートを取り付けた四口フラスコ中で、プロピレン−エチ
レン−α−オレフィン共重合体(プロピレン成分68モル
%、ブテン成分24モル%、エチレン成分8モル%、重量
平均分子量 68000)1000gを加熱溶解させた後、系の温
度を 200℃に保って攪拌しながらジ−t−ブチルパーオ
キサイド5gを30分かけて滴下させ、その後20分間反
応させ、その後、300mmHg で10分間、低沸点成分を留去
した。次に、無水マレイン酸40gとジ−t−ブチルパー
オキサイド30gをそれぞれ1時間かけて滴下させ、その
後さらに30分反応させた。反応後室温まで冷却した後、
反応物を大量のアセトン中に投入して精製し、付加量3.
1%の共重合体を得た。GPCにより分子量を測定する
と重量平均分子量は25000であった。これをトルエンに3
0重量%の濃度で溶解し液の性状と貯蔵安定性をみた。
結果を表1に示した。
【0035】(実施例3)無水マレイン酸の量を4gに
変えた他は実施例1と同様な操作を行なって変性樹脂を
得た。得られた樹脂のトルエン溶液の性状と貯蔵安定性
を表1に示した。
【0036】(実施例4〜9)実施例1と同様にしてプ
ロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体へのα、
β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体のグラフト反
応を行ないコーティング組成物用樹脂を得た。原料の組
成、α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体の種
類と量、得られた樹脂のトルエン溶液の性状と貯蔵安定
性を表1に示した。
【0037】(比較例1〜4)表1に示した原料と条件
で実施例2と同様にして変性樹脂を得た。得られた樹脂
のトルエン溶液の性状と貯蔵安定性を表1に示した。
【0038】(比較例5)最初に加えるジ−t−ブチル
パーオキサイドの量を100gに変えた他は実施例2と同
様な操作を行なった。得られた樹脂の重量平均分子量は
150000であり、30%トルエン溶液を作成出来なかった。
【0039】
【表1】
【0040】(実施例10〜18)実施例1〜9で得た樹脂
350g(20重量%トルエン溶液)と酸化チタン30gを混
合しサンドミルにて1時間顔料を分散させた後、トルエ
ンで適当な粘度に希釈して、トルエンで表面の脱脂を行
ったポリプロピレン系樹脂板にスプレー塗布した。約10
分間室温で放置乾燥した後、二液型ウレタン系塗料をス
プレー塗布し、10分間室温で放置した。次に、熱風乾燥
器を用いて80℃で30分間強制乾燥した。得られた塗装板
を室温で7日間放置した後、下記のように塗膜の試験を
行った。結果を表2に示した。
【0041】(比較例6〜9)比較例1〜4で得た樹脂
(10重量%トルエン溶液)を用いて実施例10〜18と同様
な方法で塗装板を作成し、下記のように塗膜の試験を行
い、結果を表2に示した。
【0042】なお、塗膜の試験項目とその方法は次の通
りである。
【0043】塗膜の外観 塗膜の外観を目視にて観察した。
【0044】付着性 塗膜表面にカッターで素地に達する切れ目を入れて1mm
間隔で 100個のゴバン目を作り、その上にセロハン粘着
テープを密着させて 180度方向に引き剥し、残存するゴ
バン目の数を数えた。
【0045】耐ガソリン性 塗膜表面に素地に達する切れ目を入れ、レギュラーガソ
リンに4時間浸漬後、塗膜の状態を目視にて観察した。
【0046】耐湿性 50℃、相対湿度95%以上の雰囲気に10日間放置した後、
塗膜の状態を目視にて観察した。
【0047】耐水性 50℃の温水に10日間浸漬した後、塗膜の状態を目視にて
観察した。
【0048】耐衝撃性 デュポン式衝撃試験機で 0.5kgの荷重を50cmの高さから
落下させ塗膜の状態を観察した。温度−20℃。
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明において得られた樹脂はポリオレ
フィンに対する密着性が優れているのはもちろんのこ
と、有機溶剤に対する溶解性が良好であり、特にトルエ
ンやキシレン等の芳香族系溶剤に対しては室温で30重量
%以上の溶解性を示す。このような溶解性が良好な樹脂
をコーティング組成物とすることにより、保存時に粒状
の非溶解物が生成することがなく塗料として使用した場
合に平滑な塗膜を得ることができる。
【0051】また、スプレー塗布性が良好であるので均
一に塗布される結果付着性のバラツキが無く安定した性
能を得ることができる。
【0052】さらに、ゴム成分が多量に配合されたポリ
プロピレン系樹脂に対する密着性や低温における対衝撃
性が改善され、自動車の部品の塗装等のプライマーとし
て優れている。また、他樹脂との相溶性が良好であり、
コーティング組成物として応用範囲が広い。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年1月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系樹脂成
形品の表面を塗装する場合や、ポリオレフィン系樹脂に
他の基材を接着する場合にポリオレフィン系樹脂の密着
力を向上させる目的で使用する有機溶剤に溶解させたコ
ーティング組成物に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】このような欠点を解決するために、従来、
ポリオレフィン系樹脂成形品の塗装や接着の前にポリオ
レフィン系樹脂成形品表面に火炎処理、コロナ放電処理
やプラズマ処理等の処理を施し付着性を向上させること
が行われていた。しかし、処理操作が煩雑な上複雑な形
状の物では均一な処理が難しく実用性に欠けていた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】また特開昭58−185655号公報には
プロピレン−α−オレフィン共重合体にα、β−不飽和
ジカルボン酸をグラフト共重合したものを含有する塗料
用組成物が開示されているが、その実施例にはプロピレ
ン−エチレン共重合体の例しか示されておらず前記のも
のと同様の欠点がある上に、他の樹脂との相溶性に欠け
るため実用性はほとんど無いのが実状である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】プロピレン−エチレン−α−オレフィン共
重合体にグラフトさせるα、β−不飽和ジカルボン酸ま
たはその誘導体とは、α、β−不飽和ジカルボン酸の他
にα、β−不飽和ジカルボン酸の酸無水物やそのエステ
ル等のことをいい、例えばマレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、
アコニット酸、これらの酸無水物、またはこれらのアル
キルエステルが挙げられる。α、β−不飽和ジカルボン
酸またはその誘導体をグラフトさせる量は、0,1ない
し15重量%が好ましく、0.1重量%未満では得られ
た樹脂の上塗り塗料に対する密着性が悪く、15重量%
を超えるとポリオレフィンに対する密着性が悪くなるば
かりかグラフト反応の効率が悪くなって不経済である。
又、樹脂を有機溶剤に溶解させた時に沈殿物が発生し易
くなる。特に好ましいα、β−不飽和ジカルボン酸また
はその誘導体のグラフト量は1ないし10重量%であ
る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】又、このグラフト反応時のα、β−不飽和
ジカルボン酸またはその誘導体とラジカル発生剤との比
は10/1〜1/10(モル比)が好ましい。なぜな
ら、10/1を超えると溶液が濁りやすくなり、又、未
反応のα、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体が
樹脂中に混入する恐れがある。一方1/10未満では樹
脂の架橋反応が起き易くなりゲル化したり粘度が異常に
上昇したりする。特に好ましいα、β−不飽和ジカルボ
ン酸またはその誘導体とラジカル発生剤との比は5/1
〜1/5である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘
導体をグラフトさせた樹脂の分子量は3000ないし7
0000が好ましい。3000以下にすることは非常に
困難であり工業的な価値を有しない。又、70000以
上では溶剤に対する溶解性が悪くなり、さらに他樹脂と
の相溶性が悪くなってやはり好ましくない。更に好まし
くは8000以上、特に好ましくは16000以上50
000以下である。分子量をこの範囲にすることは、原
料の分子量、ラジカル発生剤による減成時の反応条件、
さらにグラフト反応を行なうときの反応条件をコントロ
ールすることで可能である。なお、ここで分子量とは重
量平均分子量のことをいい、GPC(ゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー)で測定しポリスチレン換算で
表した値である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン−エチレン−α−オレフィン
    共重合体を 0.1ないし5%のラジカル発生剤で減成し、
    その後α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体と
    ラジカル発生剤とを同時に加える事によってα、β−不
    飽和ジカルボン酸またはその誘導体を 0.1ないし15重量
    %グラフトさせ、かつグラフト反応時に添加するα、β
    −不飽和ジカルボン酸またはその誘導体とラジカル発生
    剤との比率を10/1ないし1/10(モル比)とするポリ
    オレフィン変性物の製造方法。
  2. 【請求項2】 プロピレン−エチレン−α−オレフィン
    共重合体のプロピレン成分が55ないし85モル%である請
    求項1記載のポリオレフィン変性物の製造方法。
  3. 【請求項3】 プロピレン−エチレン−α−オレフィン
    共重合体の炭素数4以上のオレフィン成分が5ないし40
    モル%、エチレン成分が1ないし10モル%である請求項
    1ないし2記載のポリオレフィン変性物の製造方法。
  4. 【請求項4】 プロピレン−エチレン−α−オレフィン
    共重合体を 0.1ないし5%のラジカル発生剤で減成し、
    その後α、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体と
    ラジカル発生剤とを同時に加える事によってα、β−不
    飽和ジカルボン酸またはその誘導体を 0.1ないし15重量
    %グラフト反応させた樹脂であって、グラフト反応時に
    添加するα、β−不飽和ジカルボン酸またはその誘導体
    とラジカル発生剤との比率が10/1ないし1/10(モル
    比)である樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂用コー
    ティング組成物。
  5. 【請求項5】 分子量が16,000〜70,000である請求項4
    記載の樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂用コーティ
    ング組成物。
  6. 【請求項6】 グラフト反応をさせた樹脂を有機溶剤に
    10重量%以上溶解させてなることを特徴とする請求項4
    又は5記載のポリオレフィン系樹脂用コーティング組成
    物。
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