JPH0597720A - 炭化水素混合物から芳香族化合物を分離する方法 - Google Patents

炭化水素混合物から芳香族化合物を分離する方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 エネルギコストを節約した、選択的溶剤を用
いて任意の芳香族化合物含量の炭化水素混合物から抽出
蒸留により芳香族化合物を分離する方法を提供する。 【構成】 該方法は、溶剤の一部のみを、完全な芳香族
化合物の蒸留分離に必要な高い温度でストリッピング塔
の底部から取り出し、一方溶剤の残りを一定の芳香族化
合物含量および低い温度で側流としてストリッピング塔
から取り出し、その際該側流を還流で運転される抽出蒸
留塔に、ストリッピング塔の底部から生じる溶剤流の流
入位置の下方6〜10棚段目に相当する位置から再導入
することよりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、装入物質として使用さ
れる炭化水素混合物の非芳香族成分を抽出蒸留塔の頭部
を介して留去し、一方芳香族化合物を使用溶剤と一緒に
抽出蒸留塔の底部から取り出し、かつ後続のストリッピ
ング塔内で溶剤を蒸留により分離し、その際芳香族化合
物を頭部生成物としておよび溶剤を底部生成物としてス
トリッピング塔から取り出し、次いで溶剤を抽出蒸留塔
に再導入することにより、選択的溶剤を用いて任意の芳
香族化合物含量の炭化水素混合物から抽出蒸留により芳
香族化合物を分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】前記方法を使用する場合に、実際には2
つの条件を守ることが不可欠である。一方では、得られ
た芳香族化合物中の非芳香族化合物含量は一定の最高値
を越えてはならない、かつ他方では、芳香族化合物損失
はできるだけ少なくかつ同時に収率はできるだけ高くあ
るべきである。しかしながら、これらの条件を満たすこ
とは一定のエネルギ費用と結び付き、しかもこの種の抽
出蒸留法ではエネルギ担体として常用の中圧および高圧
蒸気が使用される。その際、中圧蒸気は第一に抽出蒸留
塔を加熱するために利用され、一方著しく費用のかかる
高圧蒸気はストリッピング塔内で芳香族化合物から溶剤
を蒸留分離するために必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の事情から、冒頭
に記載の形式の方法を実施する際に、全工程のエネルギ
需要の補填のために、従来必要とされた高圧蒸気の一部
の代わりに比較的安価な中圧蒸気を使用できれば、エネ
ルギコストの節約することができる。従って、本発明の
課題は、該目的を実現することであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題は、冒頭に記載
の形式の方法において、本発明により、溶剤の一部のみ
を、完全な芳香族化合物の蒸留分離に必要な高い温度で
ストリッピング塔の底部から取り出し、一方溶剤の残り
を一定の芳香族化合物含量および低い温度で側流として
ストリッピング塔から取り出し、その際該側流を還流で
運転される抽出蒸留塔に、ストリッピング塔の底部から
生じる溶剤流の流入位置の下方6〜10棚段目に相当す
る位置から再導入することにより解決される。
【0005】すなわち、本発明にもとづく方法を実施す
る際に、異なる温度および異なる芳香族化合物含量を有
する2つの溶剤循環流が形成される。この場合、本発明
は、ストリッピング塔の底部から高い温度を有する全部
の溶剤を取り出す際に、実際に取り出した溶剤の熱含量
の一部のみを全工程内での熱交換処理により利用できる
という認識から出発する。しかしながら、熱含量の一部
は、常に抽出蒸留塔に溶剤を再導入する前に冷却により
利用されずに周囲に排出しなければならない。ところで
本発明で提案するように、高い温度を有する溶剤の一部
のみをストリッピング塔の底部から取り出す場合は、利
用されずに周囲に排出しなければならない残留熱の割合
も相当して減少する。同時に、それによりストリッピン
グ塔の加熱に必要な高圧蒸気の需要も減少する。
【0006】本発明にもとづく方法を実施する際には、
側流としてストリッピング塔から取り出される溶剤の温
度と芳香族化合物含量はもちろん取り出し位置に依存
し、この場合にストリッピング塔の取り出し位置を高く
配置するほど、温度は低くなり、かつ芳香族化合物含量
は多くなる。温度自体はまた、取得すべき芳香族化合物
の沸点ならびに使用溶剤の沸点に依存する。たとえば、
溶剤としてN−ホルミルモルホリンを用いて抽出蒸留に
よりベンゼンを取得する際に、側流の取り出しをストリ
ッピング塔の上から29段目から行う場合は、溶剤の側
流温度は149℃であり、ベンゼン含量は2.78重量
%である。これに対して、ストリッピング塔からの取り
出しを上から22段目から行う場合は、側流温度は13
4.4℃であり、ベンゼン含量は3.67重量%であ
る。
【0007】2つの溶剤循環流の分配は、全溶剤量の5
5〜60重量%を底部から、および残りを側流としてス
トリッピング塔から取り出すように行うのが有利であ
る。ストリッピング塔の底部から取り出した溶剤分流
は、それを抽出蒸留塔に再導入する前に常法で冷却する
が、ストリッピング塔から側流として取り出した溶剤流
ではこのような冷却は行わない。しかしながらこのこと
は、この第2の分流とともに抽出蒸留塔の付加的な熱量
が該塔の上側の部分に供給されることを意味する。従っ
て、本発明にもとづく方法を適用する場合には、良好な
分離結果に関しては、従来のしばしば実施されたものと
は異なり、抽出蒸留塔を外部還流で運転するのが有利で
ある。この第2の溶剤分流の熱含量を利用するために、
本発明にもとづく方法の有利な実施態様では、更に、抽
出蒸留塔は溶剤供給口の上方に、溶剤残部から非芳香族
化合物を分離するための付加的な塔部分を有する。
【0008】
【実施例】次に図面に示した系統図につき本発明による
方法を更に詳細に説明する。この場合、系統図には、本
発明の方法を説明するために不可欠の装置部分のみが示
されており、他方補助装置、たとえばポンプ、循環煮沸
器、熱交換器、測定および制御装置等は示されていな
い。
【0009】本発明による方法を実施する際には、装入
物質として使用される芳香族化合物含有の炭化水素混合
物を、導管1を介して棚段が設けられた抽出蒸留塔2の
中央部分に導入する。必要な選択的溶剤は、導管3を介
して抽出蒸留塔2の頭部に供給する。溶剤供給口の上方
に、抽出蒸留塔2は、この場合に付加的な塔部分4を有
し、該部分は溶剤残部を非芳香族化合物から分離するた
めに役立つ。抽出蒸留塔2内で、溶剤を作用させて常法
で装入物質の分離を行う。すなわち、供給された溶剤
は、該塔の棚段を介して下に流れ、その際蒸気状芳香族
化合物を吸収する。溶剤および該溶剤中に溶解した芳香
族化合物からなる液状の底部生成物は、導管5を介して
抽出蒸留塔2から取り出し、かつストリッピング塔6に
導入し、該塔内でしばしば抽出物とも称される底部生成
物をその成分に分解する。その間に、ラフィネート相を
形成する装入炭化水素混合物の非芳香族炭化水素は、抽
出蒸留塔2内を蒸気状で上昇する。この非芳香族炭化水
素から溶剤残部を除去できるように、抽出蒸留塔2は溶
剤供給口の上方、すなわち該塔への導管3の入口の上方
に、付加的な塔部分4を有する。この棚段またはその他
のバッフルが設けられていてもよい塔部分4は、抽出蒸
留塔2と一緒に1つの構造ユニットを構成する。図1で
は、塔部分4は他の抽出蒸留塔2の直径よりいくらか小
さい直径を有する。しかしながら、実際には、両者の部
分はまた同じ直径を有していてもよい。溶剤残部を除い
た非芳香族炭化水素は、塔部分4の頭部を介して蒸気状
で流出し、かつ導管7を介して冷却器8に至り、該冷却
器内で炭化水素は凝縮される。引き続き、液状非炭化水
素の大部分は導管9を介して該工程から取り出し、別の
使用に供給し、一方分流は導管10を介して還流として
頭部から塔部分4に再導入する。その際、還流量は得ら
れる非芳香族化合物が所望の純度を有するよう調整す
る。
【0010】本発明にもとづき、棚段が設けられたスト
リッピング塔6の底部から、芳香族化合物の完全な蒸留
分離のために必要な高い温度を有する溶剤の分流のみ
を、導管11を介して取り出す。すでに述べたように、
この分流の熱含量の一部は、全工程の内部で熱交換処理
により利用できる。このための例として、図1では、導
管11の途中に配置され、かつストリッピング塔6から
の底部生成物の加熱に利用される底部循環煮沸器12が
設けられている。この場合、底部生成物の底部循環煮沸
器12への供給は導管13を介して、該生成物の取り出
しは導管14を介して行う。もちろん全工程内で、高温
の溶剤の熱含量を利用するためのなお別の熱交換処理も
原則的に可能である。しかしながら、このことは本発明
の目的ではないので、これに関して詳細に述べる必要は
ない。しかし、この方法では常に熱含量の一部のみを利
用できるにすぎない。なお存在する熱含量は、導管11
からの溶剤を空気冷却器15に導入し、該冷却器内で、
該溶剤を導管3を介して抽出蒸留塔2に再び導入できる
温度にまで冷却することにより、利用せずに導出しなけ
ればならない。本発明によれば、全溶剤量の55〜60
重量%を導管11を介してストリッピング塔6から取り
出すにすぎないので、利用せずに空気冷却器15を介し
て導出されねばならない熱含量も、もちろん相当して減
少する。
【0011】残りの溶剤は、導管16を介して側流とし
てストリッピング塔6から取り出し、かつ導管3の入口
位置の下方6〜10段目から抽出蒸留塔2に導出する。
全部で75の棚段を有するストリッピング塔の場合に
は、この側流の取り出し位置はたとえば上から16段目
と24段目の間にあってよい。すでに断言したように、
この場合には、ストリッピング塔6の取り出し位置を高
く配置するほど、側流の温度は低くなり、芳香族化合物
含量は多くなる。導管16を介して取り出された溶剤分
流は、それを抽出蒸留塔2に再導入する前に冷却しない
ので、本発明による方法の有利な実施態様によれば、抽
出蒸留塔2は、すでに述べたような付加的塔部分4を備
えており、該部分内で導管16を介して供給された溶剤
分流の熱含量をラフィネートから残留溶剤を除去するた
めに利用する。溶剤を除いた芳香族化合物は、導管17
を介してストリッピング塔6から取り出す。
【0012】本発明による方法の効果は、以下の実験結
果により立証される。この場合、選択溶剤としてN−ホ
ルミルモルホリンを用いた抽出蒸留によるベンゼンの分
離を行った。この場合、装入物質として粗製ベンゼンフ
ラクションを使用した。この実験列の第1の部分では、
従来の一般的条件下で抽出蒸留を実施した。該抽出蒸留
では、抽出蒸留塔は中圧蒸気で、ストリッピング塔は高
圧蒸気で加熱した。すなわち、芳香族化合物を除いた溶
剤を全部ストリッピング塔の底部から取り出し、相当す
る冷却後、還流を使用せずに運転する抽出蒸留塔に戻し
た。この場合に得られたベンゼンの非芳香族化合物含量
は170ppmであり、ベンゼン収率は99.1%であ
った。
【0013】この実験列の第2の部分では、他は変更し
ない操作条件で、本発明にもとづき2つの溶剤循環流で
作業した。その際、ストリッピング塔6から導管11を
介して溶剤約57重量%だけを取り出した。残りの溶剤
に関しては、導管16を介して側流としての取り出しを
行った。この場合に、まず全部で31の棚段を有するス
トリッピング塔6の上から29番目の棚段から、この側
流の取り出しを行った。その際、該側流の温度は149
℃であり、ベンゼン含量は2.78重量%であった。該
側流を導管3の入口の下方7番目の棚段から抽出蒸留塔
2に導入した。抽出蒸留塔2における還流比が2.3
で、この場合、得られたベンゼン中の非芳香族化合物1
70ppmの比較値が得られた。更に、還流比2.0で
は比較値は低くなった。
【0014】別の実験では、溶剤側流をストリッピング
塔6の上から22番目の棚段から取り出し、導管3の入
口位置の下方7番目から抽出蒸留塔2に導入した。この
場合、該側流の温度は134.3℃であり、ベンゼン含
量は3.67重量%であった。この場合、得られたベン
ゼン中の非芳香族化合物170ppmの比較値は、還流
比1.8の抽出蒸留においてすでに達成された。
【0015】この実験結果により、本発明による抽出蒸
留は2つの溶剤循環流で実施可能であり、かつ従来の一
般的な操作方法に少なくとも同じ良好な結果を生じるこ
とが確かめられた。その際、実施した計測値により、本
発明にもとづく操作方法を使用した場合の全工程のエネ
ルギ需要は、従来の技術水準による操作方法の場合より
著しくは減少しないことが判明した。しかしながら、本
発明にもとづく操作方法を使用した場合に、ストリッピ
ング塔6から抽出蒸留塔2への熱供給の変位が行われ、
このことが高圧蒸気需要の減少と同時に中圧蒸気需要の
増加を引き起こす。たとえばストリッピング塔6の29
番目の棚段から溶剤側流を取り出す場合は、高圧蒸気需
要は、なお実験列の第1の部分で実施した比較実験値の
約75%にすぎない。しかも、ストリッピング塔6の2
2番目の棚段から溶剤側流を取り出す場合は、該値は、
更に比較実験値の約55%に低下させることができた。
高圧蒸気と中圧蒸気との間に存在する費用の関係のため
に、このことは運転費用の明らかな節約を生じる。
【0016】上記実験結果は、一方では本発明による操
作方法では、溶剤の一部だけを芳香族化合物の完全な分
離に必要な高い温度に加熱することを明らかにしてい
る。他方では、この場合に、ストリッピング塔の底部
で、ストリッピング塔の下側部分の内部還流に必要であ
る、著しく少ない溶剤を蒸発させなければならないこと
を考慮すべきである。その際、溶剤中の芳香族化合物含
量が少ないほど、溶剤は多く蒸発しなければならず、こ
のことはもちろん同様に高圧蒸気需要を高める。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法を実施する装置の系統図であ
る。
【符号の説明】
2 抽出蒸留塔、 4 付加的塔部分、 6 ストリッ
ピング塔、 8 冷却器、 12 底部循環煮沸器、
15 空気冷却器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンス−ユルゲン フオルマー ドイツ連邦共和国 エツセン ダーリエン ホーフ 13 (72)発明者 ハンス−クリストフ シユナイダー ドイツ連邦共和国 ハツテインゲン ロー ゼンタール 8

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装入物質として使用される炭化水素混合
    物の非芳香族成分を抽出蒸留塔の頭部を介して留去し、
    一方芳香族化合物を使用溶剤と一緒に抽出蒸留塔の底部
    から取り出し、かつ後続のストリッピング塔内で溶剤を
    蒸留により分離し、その際芳香族化合物を頭部生成物と
    しておよび溶剤を底部生成物としてストリッピング塔か
    ら取り出し、次いで溶剤を抽出蒸留塔に再導入すること
    により、選択的溶剤を用いて任意の芳香族化合物含量の
    炭化水素混合物から抽出蒸留により芳香族化合物を分離
    する方法において、溶剤の一部のみを、完全な芳香族化
    合物の蒸留分離に必要な高い温度でストリッピング塔の
    底部から取り出し、一方溶剤の残りを一定の芳香族化合
    物含量および低い温度で側流としてストリッピング塔か
    ら取り出し、その際該側流を還流で運転される抽出蒸留
    塔に、ストリッピング塔の底部から生じる溶剤流の流入
    位置の下方6〜10棚段目に相当する位置から再導入す
    ることを特徴とする、炭化水素混合物から芳香族化合物
    を分離する方法。
  2. 【請求項2】 全溶剤量の55〜60重量%を底部か
    ら、および残りを側流としてストリッピング塔から取り
    出す請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 ストリッピング塔の底部から取り出した
    溶剤分流を、それを抽出蒸留塔に再導入する前に常法で
    冷却し、一方側流としてストリッピング塔から取り出し
    た溶剤分流においては、抽出蒸留塔内に再導入する前に
    冷却を行わない請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 抽出蒸留を還流比1.5〜2.5で実施
    する請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 溶剤供給口の上方に、溶剤残部を得られ
    た非芳香族化合物から分離するための付加的な塔部分を
    有する塔内で、抽出蒸留を実施する請求項1から4まで
    のいずれか1項記載の方法。
JP04064701A 1991-03-23 1992-03-23 炭化水素混合物から芳香族化合物を分離する方法 Expired - Fee Related JP3091010B2 (ja)

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