JPH0595226U - 移植機の苗供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 小型化及び軽量化が容易であり、且つ、移
植ユニットと苗供給器とを同期させて苗供給器の回転軸
に効率良く動力を伝達し、苗供給器を一定角度づつ間歇
的に回転する移植機の苗供給装置を提供する。 【構 成】 苗供給器10は回転体10ｂに所定の位置で底
10ｃを開いて苗を落下させるポット10ａを取付け、移植
ユニット12は苗供給器10から落下する苗を受け取る位置
と、受け取った苗を移植する位置との間を往復し、苗供
給器10に回転を伝達する動力伝達軸20ｂと苗供給器10の
回転軸10ｃとの間に間歇駆動手段22（つめ車等）を取付
け、移植ユニット12が苗供給器10から苗を受け取る際に
苗供給器10を一時停止させるように構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えばさつきなどの苗を圃場に移植する際に使用する移植機の苗供 給装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

例えばさつきなどの苗の移植は、農業用トラクターなどの走行機体に取り付け た移植機により行なわれることは知られている。この移植機の移植操作は、移植 ユニットで行うものであり、移植ユニットが移植単位ごとに分けた苗を苗供給器 から１個受けると、下降して先端にあるホッパで耕土に穴を開け、上昇する際に ホッパが開いて穴内に苗を落とす仕組みのものである。この操作を極めてゆっく り走行しながら行い、一定間隔ごとに圃場に移植することができ、苗供給器に苗 を補給する作業は、作業員が移植機に乗り込んで行うようにしている。また、移 植作業を能率的に行うために、通常、同時に複数条に苗を移植することが行われ る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、前記苗供給器は、複数の苗を保持し、回転しながら移植ユニットに 苗を１個づつ供給するようにして、作業能率を図ることができる。この際、作業 員が苗供給器に苗を補給したり、回転する苗供給器から苗を移植ユニットに供給 する際には回転が一時停止することが好ましいので、苗供給器は間欠的に回転さ せることが要求される。

【０００４】 しかも、回転伝達手段として、ペペルギヤなどの歯車を使用する手段は、苗供 給器を一定角度づつ間欠的に回転させる機構が複雑になり、バックラッシュによ り位置決め精度が低下するばかりでなく、複数状に苗を移植する場合の移植機に 適用するには、軽量化及び小型化が困難になるという問題がある。 本考案は、前記問題点を解決するためになされたものであり、移植ユニットと 苗供給器とを同期させて、苗供給器の回転軸に効率よく動力を伝達すると共に、 苗供給器を一定角度づつ間欠的に回転させることができ、しかも、小型化及び軽 量化が容易な移植機の苗供給装置を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記目的を達成するための本考案の移植機の苗供給装置は、苗供給器と移植ユ ニットとを設けた移植機において、苗供給器は、底を開閉自在とし、該底部から 苗を落下させるポットを回転体に取り付け、所定位置で前記底が開くように形成 し、移植ユニットは、苗供給器から落下する苗を受け取る位置と、受け取った苗 を移植する位置との間を往復動し、苗供給器に回転を伝達する動力伝達軸と苗供 給器の回転軸との間に間歇駆動手段を設けて間欠的に回転を伝達し、移植ユニッ トが苗供給器から苗を受け取る際に苗供給器を一時停止させるようにする構成と した。

【０００６】 間歇駆動手段にはつめ歯車、ピン歯車、回転カム、回転ローラー等、回転軸の 間に間欠的に動力を伝達できるものであれば、従来から使用されている構造のも のを適宜使用することができる。 複数の移植ユニットを並列して設ける場合、各苗供給器の全てにつめ歯車等の 間歇駆動手段を取り付ける必要はなく、少なくとも１個、好ましくは少なくとも ２個の苗供給器には、つめ歯車を介して動力を伝達し、残りの苗供給器は、前記 苗供給器からチェーンなど、スリップを起こすおそれのない動力伝達手段を介し て回転させることができる。

【０００７】

【作 用】

動力伝達軸の回転を苗供給器の回転軸に、間歇駆動手段によって間欠的に回転 を伝達するようにした前記手段は、簡単な構造で、しかも、バックラッシュなど のガタがなく間欠的に回転を伝達できるので、作業員が苗供給器に取り付けたポ ットに苗を補給したり、ポットから移植ユニットに苗を供給する際の操作性を大 幅に改善する。

【０００８】

【実 施 例】

以下図面を参照して本考案の実施例を説明する。 図１〜３において、トラクターなどの走行機体１の後部に、１本の上側リンク 腕２ａ及び２本の下側リンク腕２ｂからなる牽引手段２を介して移植機４を接続 している。前記リンク腕2a,2b は、移植機４の縦枠部材６ａに軸支している。縦 枠部材６ａは、移植機４のフレーム６の一部をなしており、該フレーム６に、給 苗作業員の座席８、苗供給器10、移植ユニット12及びゲージ輪４ａを取り付けて いる。なお、図１の符号Ｇは車輪1a,1b,4aの通る通路であり、Ｎは畝の上面であ る。また、移植機４には、必要に応じ、移植前に畝の高さを調整するバーや、移 植した苗の周りに土を寄せ、鎮圧する補助機をフレーム６に取り付けることがで きる。

【０００９】 苗供給器10は４個並列的に設けており、移植単位ごとに分けた苗を入れるロー タリーポット10ａを複数個（図では６個）を、カバーを兼ねた回転体10b に等間 隔で取り付けたものであり、落下位置Ａにロータリーポット10ａが達すると、該 ロータリーポット10ａの底蓋10ｃが開いて内容物を落下させるように、横枠部材 ６ａに固定したガイド10ｄ（図２、但し一部省略記載している）を設けている。 なお、図に示した符号10ｅは回転軸である。

【００１０】 また、移植ユニット12は、苗供給器10に対応して４個並列的に設けており、リ ンク14によって揺動自在に支持され、ピン12ａ（図３）を軸に白抜き矢印の方向 に開くことができるホッパ12ｂと、ロータリーポット10ａから落下する苗を受け る取る受け部12ｃとからなり、ホッパ12ｂが土中に入り、上昇を開始するとカム （図示せず）によってホッパ12ｂを開き、苗を穴内に移植する。

【００１１】 前記リンク14を揺動させる駆動部16は、移植機４の後部に設けている。該駆動 部16は、カウンター軸16ａの両端に設けた左駆動部16L,右駆動部16R と、中間部 分に設けた中駆動部16C とからなっており、駆動部16L,16R,16C は、それぞれチ ェーン16b,16c,16d によって駆動される。駆動部16L は左端に設けた移植ユニッ ト12を、駆動部16R は右端に設けた移植ユニット12を、また、駆動部16C は中間 の２個の移植ユニット12を１個のリンク14でそれぞれ揺動させる。

【００１２】 移植ユニット12は、移植している間は地面に対し停止させる必要があるのに対 し、移植機４は、走行機体１に牽引されて連続的に走行している。したがって、 移植ユニット12は、苗供給器10と土との間を上下動可能に支持するだけでなく、 進行方向に対し、前後動可能に支持する必要がある。駆動部16はこのような要求 を満たすように構成しており、その詳細を、左駆動部16L によって説明する。

【００１３】 即ち、チェーン16ｂによってクランク軸16ｃが回転する。なお、チェーン16ｄ は駆動部16C に駆動力を伝達するチェーンである。クランク腕16ｅが回転し、腕 16ｆが駆動される。該腕16ｆは、ブラケット18ａに軸支された腕16ｇに中間部を 軸支され、反対側にリンク14の上側リンク腕14ａを軸支している。リンク14は上 側リンク腕14ａと下側リンク腕14ｂとの一端を、支持板16ｈに軸支し、他端を受 け部12ｃに軸支してリンクを構成しており、該支持板16ｈは、リンクを形成する 腕16ｉによってブラケット18ａに揺動自在に支持されている。したがって、リン ク14は、カウンター軸16ａの回転によって、リンク14の姿勢を変えることなく、 上下と前後とに揺動し、移植ユニット12及び駆動部16に、前記土の抵抗による荷 重を吸収することができる。なお、図の符号18ｂは、カウンター軸16ａ及びクラ ンク軸16ｃを軸支するブラケットである。また、左右駆動部16L,16R と中央駆動 部16C とのクランク腕16e は互いに１８０°位相をずらせ、内側の２個の移植ユ ニット12と外側の２個の移植ユニット12との動作が反対になるようにしている。

【００１４】 次に、本実施例の要部である苗供給器10を間欠的に、且つ、移植ユニット12と 同期させて回転させる間歇駆動手段について説明する。 この手段は４系列ある苗供給器10のうち、内側にある２個の苗供給器10に適用 しているものであり、外側の２個の苗供給器10には適用していない。即ち、前記 内側の２個の苗供給器10の駆動手段は、チェーン20で回転するスプロケット20ａ のカム軸20ｂの両端に取り付けたアーム22ａに、１８０°位相をずらせて２本の アームピン22ｂを取り付け、回転体10ｂの回転軸10ｅに取り付けたカム22ｃに１ ２本のカムピン22ｄを取り付けたピン歯車からなるつめ歯車22によって形成して いる。カム22ｃの位置決めは図示しないブラケットに取り付けた位置決め軸22ｅ に軸支した位置決めアーム22ｆに取り付けた位置決めローラ22ｇを図示しない戻 しスプリングによってカムピン22ｄに押し当てて行い、また、カム軸20ｂとクラ ンク軸16ｃとの回転比は１：１としている。

【００１５】 外側の苗供給器10を駆動する手段は、内側の苗供給器10の回転をチェーン20ｃ を用いて行ったが、前記と同じ手段を用いることもできる。なお、スプロケット 20ｆ（図２）は、落下位置Ａとの干渉を避けるためのものである。 カム22ｃは、アーム22ａが半回転するごとに３０°回転して停止し、６０°回 転するごとに、落下位置Ａ（図２）に達したロータリーポット10ａの底蓋10ｃが 開いて、苗が移植ユニット12内に落下する。ところで、外側に配置された２個の 苗供給器10は、図２から理解されるように３０°の位相をずらせて配置されてい る。したがって、内側の苗供給器10が苗を移植ユニット12に供給行程にあるとき には、外側の移植ユニット12は苗を移植行程にあり、一方の移植ユニット12が上 昇しているときは、他方の移植ユニット12は下降させることによって、負荷を左 右対称にすると共に、１８０°位相をずらすことによって負荷を分散して駆動系 に掛かる負担を軽くするようにしている。

【００１６】 以上によって、苗供給器10及び移植ユニット12とは、チェーン20によって動力 を伝達することによって滑りをなくし、同期させることができる。また、間歇駆 動手段の一種としてつめ歯車22を用いたことにより、ベベルギヤなどの歯車によ る駆動力伝達と異なりバックラッシュによるガタを完全になくし、苗供給器10を 間欠的に、正確に位置決めしながら回転させることができる。

【００１７】 ところで、チェーン駆動は、複数の部材を同期させて回転させることができる 反面、何らかの原因で泥や砂利などがチェーン20,20cとスプロケット22との間に 侵入するなど、円滑な回転ができないと過大な荷重が駆動系に掛かり、故障の原 因になる。したがって、駆動軸24とカウンター軸16ｆとの間には、ベルト駆動手 段26を設けて、過大な荷重が掛かった際に、ベルト26ａをスリップさせて吸収で きるようにしている。なお、図に示した符号26ｂはギヤボックスであり、また、 図３にはベルト26ａの張力調整プーリーの記載を省略した。

【００１８】 次に、移植器４を作動させる駆動軸24に動力を伝達する手段についての概要を 以下に説明する。図１において、エンジン28の回転は減速器28ａで減速され、駆 動輪１ｂに推進軸28ｂを介して伝達される。ところで、前記したように、移植機 ４を作動させる際には、低速で走行機体１を走行させる必要がある。そこで、推 進軸28ｂと駆動輪１ｂとの間に移植作業用減速器30を取り付け、本実施例では、 移植作業時には減速比を１／６に減速するようにし、通常走行の際には減速比を １：１となるようにした。そして、通常走行の際には、作業機４に駆動力が伝達 されないように移植作業用クラッチ（図示せず）をカウンターケース内のＰＴＯ に設け、移植作業時のみ移植機４側に駆動力が伝達されるようにしている。

【００１９】 移植作業用減速器30を操作する移植走行操作レバーは作業用クラッチ32を操作 するクラッチ操作レバー32ｂ（図１）と同軸的に取り付け（図示せず）ている。 そしてクラッチ操作レバー32ｂを「切」側に倒すと、作業機４側には駆動力が伝 達されない。また、「入」側に倒すと作業機４側に駆動力が伝達される。なお、 図示を省略したが、クラッチ操作レバー32ｂに移植走行操作レバーを「入」側に 押す係合腕を取り付け、クラッチ操作レバー32ｂを「入」側に倒すと、この係合 腕が移植走行操作レバーを「入」側に從動させることができ、また、移植走行操 作レバーを「切」側に倒すと、係合腕がクラッチ操作レバー32ｂを「切」側に從 動させるようにして、誤操作による移植機４に過大な負荷が掛ることを防止して いる。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明した本考案の移植機の苗供給装置は、駆動伝達軸と苗供給器の回転軸 に駆動力を伝達する手段して間歇駆動手段を採用しているので、簡単な装置で、 苗供給器の位置決めを正確に行わせることができ、しかも、苗を苗供給器に補給 したり、苗供給器から移植ユニットに苗を移動させる際に苗供給器を停止させる 間欠的回転を容易に行わせることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例による移植器の苗供給装置の側
面図である。

【図２】図１の要部を拡大して示した平面図である。

【図３】図１の要部を拡大して示した側面図である。

【符号の説明】

１ 走行機体 ４ 移植機 10 苗供給器 10a ロータリーポ
ット 10b 回転体 10c 底蓋 10d ガイド 10e 回転軸 12 移植ユニット 12b ホッパ 12c 受け部 14 リンク 16 駆動部 20 チェーン 20b カム軸（カウンター軸） 22 つめ車 22a アーム 22b アームピン 22c カム 22d カムピン 22e 位置決め軸 22f 位置決めアー
ム 22g 位置決めローラ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 苗供給器と移植ユニットとを設けた移植
   機において、苗供給器は、底を開閉自在とし、該底部か
   ら苗を落下させるポットを回転体に取り付け、所定位置
   で前記底が開くように形成し、移植ユニットは、苗供給
   器から落下する苗を受け取る位置と、受け取った苗を移
   植する位置との間を往復動し、苗供給器に回転を伝達す
   る動力伝達軸と苗供給器の回転軸との間に間歇駆動手段
   を設けて間欠的に回転を伝達し、移植ユニットが苗供給
   器から苗を受け取る際に苗供給器を一時停止させるよう
   にした移植機の苗供給装置。