JPH0594031U - 自動車のエアバッグ装置取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 インフレータ３とエアバッグ４とを内部に収
納したエアバッグ収納体２と、エアバッグ収納体２の上
部開口部を覆うリッド５とからなるエアバッグ装置１に
おいて、エアバッグ収納体の後部に後側ブラケット２１
を固着し、前部に前側ブラケット２２を前後に回動可能
に軸着し、ステアリングサポートビーム７のビームブラ
ケット７１に上記後側ブラケット２１を固定し、フロン
トバルク８のブラケット８１に上記前側ブラケット２２
を固定してエアバッグ装置１を取付けた。 【効果】 エアバッグ装置の作動反力に対するステアリ
ングサポートビーム７の分担荷重が小さくなり、ステア
リングサポートビーム７の小型化，構造の簡素化をはか
ることができる。又衝突時フロントバルク８が後方変位
した場合は、前側ブラケットがその軸着部回りに後方へ
回動し、エアバッグ装置１の位置はほとんど動かないの
で、エアバッグ装置の安定作動に悪影響を与えない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は自動車のエアバッグ装置取付構造、特に助手席用のエアバッグ装置取 付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車の衝突に対する安全対策の一つとして、衝突時インフレータが作動して エアバッグが膨張し、衝突によって前倒してくる乗員の頭部をこの膨張したエア バッグにて受けるようにしたエアバッグ装置が従来より種々開発されている。

【０００３】 助手席用のエアバッグ装置は助手席前方のインストルメントパネル部に搭載さ れるのが一般的であり、従来は図２に示すように、インストルメントパネルｆに 大きな穴をあけ、この穴にエアバッグ装置ａ（エアバッグ収納体ｂ内にインフレ ータｃ，折り畳まれたエアバッグｄを収納し該エアバッグ収納体ｂの上部をリッ ドｅで覆った構造となっている）のリッドｅを合わせ、インストルメントパネル ｆの下方部を左右に通るステアリングサポートビームｇに上記エアバッグ収納体 ｂの底部付近をブラケットを介して固定するという取付構造を採っているものが 多い（例えば特開平３−１０９１５０号公報参照）。そして衝突時はエアバッグ 装置ａのインフレータｃが作動してエアバッグｄ内に発生ガスが流入し該エアバ ッグｄがリッドｅを押し開いてインストルメントパネルｆの上方に膨張突出する ようになっており、インフレータ作動によるエアバッグ膨張等の反力をビームｇ で受けるようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来のものは、エアバッグ装置をステアリングサポートビームｇに固定し て取付け、エアバッグ装置作動時の反力を全てステアリングサポートビームｇで 受ける構造となっているので、ステアリングサポートビームｇの剛性アップが必 要となり、又該ステアリングサポートビームｇのパイプ部にエアバッグ装置固定 用のブラケットをいくつもＣＳ溶接しなければならず、構造が複雑で高価となり 且つ精度も出しにくいといった課題を有している。

【０００５】 又ステアリングサポートビームｇの車幅方向のほぼ中央部をその前方のフロン トバルクｈに連結部材にて固定連結することにより、ステアリングサポートビー ムｇの支持剛性をアップさせることが考えられるが、このようにすると衝突時エ アバッグ装置の作動と共にフロントバルクが後方へ変位した場合、該フロントバ ルクの後方変位に伴いステアリングサポートビームとそれに固定したエアバッグ 装置が後方へ移動し、エアバッグ装置の安定作動に悪影響を与えることがあり、 又ステアリングサポートビームに取付支持されているステアリング装置の後方へ の突き出しといった問題も生じる。

【０００６】 本考案は上記従来の課題に対処することを主目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記のようなエアバッグ装置において、エアバッグ収納体の後部に 後側ブラケットを固着すると共にエアバッグ収納体の前部に前側ブラケットの基 端部を前後方向に回動可能に軸着し、後側ブラケットをステアリングサポートビ ームに固定すると共に前側ブラケットの先端部を車体構造部材であるフロントバ ルクに固定してエアバッグ装置を取付けたことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

上記により、エアバッグ装置はステアリングサポートビームとフロントバルク とで跨いで取付支持されているので、エアバッグ装置作動反力に対するステアリ ングサポートビームの分担荷重は小さくなり、ステアリングサポートビームのパ イプ部の断面積を特に大きくする必要はなくなり、ビームブラケットの数も少な くてすみ、構造の簡素化，小型化及び取付作業の容易化をはかり得る。又衝突に よってフロントバルクが後方へ変位した場合は、前側ブラケットが基端部の軸着 部を中心として後方へ回動するだけで、ステアリングサポートビーム及びエアバ ッグ装置はほとんど移動しないので、エアバッグ装置の安定作動に悪影響を与え ることはなく、又ステアリング装置の後方突き出しといった問題も生じない。

【０００９】

【実施例】

以下本考案の実施例を図１を参照して説明する。

【００１０】 図１において、１は助手席用のエアバッグ装置であり、このエアバッグ装置１ は、従来より公知のものと同様、上方が開口したエアバッグ収納体２内にインフ レータ３と折り畳まれたエアバッグ４とが収納され該エアバッグ収納体２の上部 開口をリッド５で閉塞した構造となっている。このエアバッグ装置１は、そのリ ッド５の周縁部をインストルメントパネル６の上面部に設けた穴６ａ周辺の座面 上に載置接合し、エアバッグ収納体２の底部付近の後部に固着した後側ブラケッ ト２１をインストルメントパネル６の下部を車幅方向に通るステアリングサポー トビーム７に固着したビームブラケット７１にボルト等により固定すると共に、 エアバッグ収納体２の底部付近の前部に前後方向に回動可能に軸着した前側ブラ ケット２２の先端部を車体構造部材であるフロントバルク８に固着したブラケッ ト８１にボルト等にて固定することにより取付けられる。

【００１１】 尚、上記後側ブラケット２１とビームブラケット７１との固定部は中間ブラケ ットを介して上下，前後に調整できる構造とすることが好ましい。又前側ブラケ ット２２とブラケット８１との固定部はボルト挿通穴を上下方向の長穴とし固定 位置を上下に調整できるようにしておくことが好ましい。

【００１２】 上記ステアリングサポートビーム７は、従来より公知のように、その左右両端 部を左右の車体構造部材（例えば左右のフロントピラー）に固定され、ステアリ ング装置のコラムシャフトを取付支持するものである。

【００１３】 上記において、図示しない衝突センサが衝突を検出すると、その検出信号によ ってインフレータ３が作動し、その発生ガスによって折り畳まれていたエアバッ グ４が膨張してリッド５を押し開きインストルメントパネル６の上方に膨張突出 し、前倒してくる乗員の頭部を受ける。

【００１４】 本考案ではエアバッグ装置の前側と後側とをフロントバルク８とステアリング サポートビーム７とで跨いで取付支持しているので、上記エアバッグ装置作動時 の反力はフロントバルク８とステアリングサポートビーム７とで分散して支持さ れることになり、ステアリングサポートビーム７の分担荷重は従来のものより大 幅に小となり、該ステアリングサポートビーム７のパイプ部を従来のものより細 くすることができると共にビームブラケット７１も最小限に少なくでき、構造の 簡素化，及びコストダウンをはかり得る。

【００１５】 更に、衝突時はエアバッグ装置の作動と共に車体前部構造体であるフロントバ ルク８の後方変位を伴うことがあるが、この場合前側ブラケット２２のエアバッ グ収納体２との結合がピン結合となっているので、図１（Ｂ）の鎖線示のように 前側ブラケット２２はエアバッグ装置作動反力とフロントバルク後方変位との圧 縮荷重を受けながらピン結合部を中心として図において反時計方向に回動してエ アバッグ装置作動反力線に近づき、インストルメントパネル６及びエアバッグ装 置１の後方変位はほとんどなく、エアバッグ装置の乗員保護機能に支障を来すよ うなことはない。又ステアリングサポートビーム７の後方への動きもほとんどな くステアリング装置の後方突き出しといった問題も生じることがない。

【００１６】 尚本考案においては、エアバッグ装置１自体の具体的構成は図示実施例のもの に限らず、従来より公知の任意の構造のものを採用できる。

【００１７】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、助手席用エアバッグ装置を、後側ブラケットと 前側ブラケットとでステアリングサポートビームとフロントバルクとに跨って取 付支持する構造としたことにより、エアバッグ装置作動時の作動反力は前後に分 散して伝えられ、ステアリングサポートビームの分担荷重が小さくなり、該ステ アリングサポートビームのパイプ部の断面積を特に大きくする必要はなく、ステ アリングサポートビームに溶接固着されるブラケットは必要最小限に少なくてす みその大きさも従来のものより小さくできるので、構成の簡素化，小型化及び取 付作業の容易化をはかり得る。又エアバッグ装置をフロントバルクと連結する前 側ブラケットとエアバッグ装置との結合を前後方向に回動できるピン結合とした ことにより、フロントバルクの後方変位を伴う衝突時、フロントバルクの後方変 位に伴い前側ブラケットは後方へ回動してエアバッグ装置作動反力線に近づくだ けで、ステアリングサポートビーム，それに固定されているエアバッグ装置を後 方へ動かすことがなく、エアバッグ装置の安定作動に悪影響を及ぼすことはなく 、ステアリング装置の後方突き出しもなく、乗員保護機能の向上をはかることが できるもので、コスト低廉なることと相俟って実用上多大の効果をもたらし得る ものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すもので、（Ａ）はエアバ
ッグ装置の断面斜視図、（Ｂ）はエアバッグ装置取付状
態の縦断側面図、（Ｃ）は（Ｂ）のＸ部の拡大斜視図で
ある。

【図２】従来のエアバッグ装置の取付構造の一例を示す
縦断側面図である。

【符号の説明】

１ エアバッグ装置 ２ エアバッグ収納体 ３ インフレータ ４ エアバッグ ５ リッド ６ インストルメントパネル ７ ステアリングサポートビーム ８ フロントバルク ２１ 後側ブラケット ２２ 前側ブラケット ７１ ビームブラケット ８１ ブラケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部にインフレータと折り畳まれたエア
   バッグとを収納したエアバッグ収納体と、該エアバッグ
   収納体の上部開口部を閉塞するリッドとからなり、イン
   ストルメントパネルに設けた穴に上記リッドを合わせて
   組付けられ、エアバッグ膨張時はリッドを押し開いてイ
   ンストルメントパネル上方へ膨張突出するようになって
   いるエアバッグ装置において、エアバッグ収納体の後部
   に後側ブラケットを固着すると共に前部に前側ブラケッ
   トの基端部を前後方向に回動可能に軸着し、上記後側ブ
   ラケットをステアリングサポートビームに固定し、前側
   ブラケットの先端部をフロントバルクに固定してエアバ
   ッグ装置を取付けたことを特徴とする自動車のエアバッ
   グ装置取付構造。