以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のエアバッグ装置M1は、図1〜3に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1の後側に隣接して配設される各フロントドア10に搭載されている。そして、左右の各フロントピラー1は、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を備えて構成されており、車両Vの構造体としての高い剛性を具備して、配設されている(図3参照)。図3の符号6で示す部材は、窓枠ゴムであり、符号7で示す部材は、フロントガラスであり、図1の符号8で示す部材は、フードパネル、図1の符号9で示す部材は、フロントバンパである。
なお、本明細書の前後・上下・左右の方向は、車両Vの直進時における車両Vの前後・上下・左右の各方向に対応するものである。
また、各実施形態では、車両Vの左側のフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置について説明するが、右側のフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグを備えた各エアバッグ装置は、左側の各エアバッグ装置と左右対称形としているだけであり、右側のフロントピラー1側の各エアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
そして、第1実施形態のエアバッグ装置M1が搭載されるフロントドア10は、フロントピラー1の後方に位置するサイドウインド11を備えて構成され、フロントドア10におけるベルトライン(サイドウインド11の下縁)13の上方のフロントピラー1近傍の部位に、エアバッグ30を、展開膨張可能に収納保持して、配設させている。
第1実施形態の場合、エアバッグ30の収納部位は、サイドウインド11の周縁の窓枠部14における前縁側の窓枠部位(前縁部16)としている。具体的に説明すれば、フロントドア10は、上部側に配設されたサイドウインド11の周縁に、窓枠部14としての上縁側の上縁部15、前縁側の前縁部16、後縁側の後縁部17、及び、下縁側の下縁部18を配設させて構成されている。さらに、窓枠部14を構成する強度を有した金属製のドアフレーム20としては、ベルトライン13の下方における下縁部18側の本体部24と、ベルトライン13の上方に位置して、ドアガラス12の周縁を摺動可能に嵌めるガラスラン26を内周側に配置させたサッシ部21と、を備えて構成されている。なお、図3に示す符号27の部材は、フロントドア10を閉めた際の車体(ボディ)BD(図1参照)側に圧接されるウェザストリップであり、このウェザストリップ27は、サッシ部21だけでなく、本体部24を含めたドアフレーム20の外周縁におけるボディBD側の全周に、配設されている。
そして、第1実施形態の場合には、図2,3に示すように、前縁部16の下部側に位置するサッシ部21の前部側に、折り畳んだエアバッグ30を収納する収納ケース42を取り付けて、エアバッグ30を搭載している。収納ケース42は、上下方向に長い略四角筒形状として、車外側Oの側壁を、エアバッグ30の膨張時に破断させて開く扉部43としている。扉部43は、サッシ部21の前部側に収納ケース42が配設された際に、車外側Oに露出されるように配設されて、収納ケース42の上下方向の略全域にわたる領域に配設されている。扉部43は、後縁側を、開き時のヒンジ部44としている。そして、扉部43は、開き時、前縁側を後斜め下方向の車外側Oに開かせることとなる。ヒンジ部44は、インテグラルヒンジから形成され、扉部43の前縁、上縁、及び、下縁は、エアバッグ30の膨張時に押されて破断する薄肉の破断予定部45としている。
なお、収納ケース42は、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂材料を、所定の板状に形成して、接着材等を利用する接着や、ボルト・ナット・リベット等を利用した組付等の結合により、箱形状に形成したり、あるいは、所定の立体形状に成形した後、所定の部位を結合させて、形成することができる。
そして、収納ケース42と扉部43とは、フロントピラー1の上下方向の長さ寸法の少なくとも1/3以上の長さ寸法として、配設されている。
エアバッグ30は、図4に示すように、略四角柱状に膨張する膨張本体部31と、膨張本体部31の下端から下方に筒状に延びる接続口部40と、を備えて構成されている。膨張本体部31は、歩行者を受け止める側の前面側の前壁部32と、フロントピラー1側となる後面側の後壁部33と、を備えて構成されて、後壁部33の車外側Oの部位が、収納ケース42とともに、サッシ部21に取り付けられる取付部34としている。取付部34には、ボルト等の取付具53が配設されて、取付具53が、収納ケース42を経て、サッシ部21に固着されることにより、エアバッグ30の取付部34と収納ケース42とが、前縁部16の前面側のサッシ部21に、取付固定されることとなる。
また、膨張本体部31の内部には、取付部34付近の後壁部33の部位とその部位の前方の前壁部32の部位とを連結する複数のテザー35が、上下に複数(実施形態では4個)配設されている。各テザー35は、前壁部32や後壁部33と同様に、可撓性を有した布材から形成されている。これらのテザー35は、エアバッグ30の膨張完了時に、前壁部32が、左右方向の断面形状として、半円弧状に前方側に突出することを抑えて、左右方向に沿った平らな面を広く確保するために、配設されている。
さらに、膨張本体部31は、膨張完了時の略水平方向の断面形状として、扉部43の開いた収納ケース42から前方側に突出して、フロントピラー1における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側を覆う側面膨張部37と、側面膨張部37の前端付近から車両Vの左右方向の中央側に突出してフロントピラー1の前面1a側を覆う正面膨張部38と、を備えて構成されている(図3の二点鎖線参照)。正面膨張部38は、フロントピラー1の下端からフロントピラー1の上下方向の長さ寸法の少なくとも1/3以上を覆えるように、配設されている。また、側面膨張部37は、下部側の後面における車外側Oの一部37aを、ドアミラー28のミラー本体28bにおける車内側Iの内側面28cに当接支持させるように、配設されている(図1,5参照)。
なお、ドアミラー28は、図1に示すように、サイドウインド11の前下隅のエリアFCのサッシ部21に、取付ブラケットを介在させて、ミラー本体28bを支持する取付ベース部28aが固定され、ミラー本体28bが、取付ベース部28aとの間に、空間Hを空けて、車内側Iの内側面28cを配置させるように、配設されている。そのため、図1,5に示すように、側面膨張部37は、空間Hに侵入して、その一部37aをミラー本体28bの内側面28cに当接させることとなる。
接続口部40は、収納ケース42から突出して下方に延び、インフレーター50から延びる金属パイプからなる供給路47の上端47aに、クランプ48を利用して、接続されている。
インフレーター50は、折り畳まれて収納されたエアバッグ30に膨張用ガスを供給するものであり、実施形態の場合、フロントドア10のベルトライン13より下方に配設されている。詳しくは、インフレーター50は、取付ブラケット51を利用して、ドアフレーム20の本体部24に取付固定されている。なお、インフレーター50や取付ブラケット51は、車内側を図示しないドアトリムに覆われて配設されている。そして、このインフレーター50は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスを、供給路47を経て、エアバッグ30に供給することとなる。なお、エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ9に配置されて歩行者との衝突を検知可能なセンサSE(図1参照)からの信号を入力した際、インフレーター50を作動させることとなる。
そして、この第1実施形態のエアバッグ装置M1では、車両Vに搭載された後、インフレーター50が作動されれば、インフレーター50からの膨張用ガスGが、供給路47を通過し、さらに、エアバッグ30の接続口部40を経て、エアバッグ30の膨張本体部31に流入することとなる(図4参照)。すると、膨張本体部31は、膨張して、周囲の破断予定部45を破断させて、収納ケース42の扉部43を開かせ、収納ケース42から前方側に突出して、展開膨張する(図3の二点鎖線参照)。そして、エアバッグ30の膨張本体部31は、側面膨張部37が、フロントピラー1における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側を覆い、そして、正面膨張部38が、側面膨張部37の前端付近から車両Vの左右方向の中央側に突出してフロントピラー1の前面1a側を覆うこととなり、歩行者がフロントピラー1の前面1a側に直接当たることを、正面膨張部38(若しくは膨張本体部31)が防止し、クッション性よく、歩行者を正面膨張部38(若しくは膨張本体部31)が受け止めることとなる。
すなわち、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、フロントピラー1の後方側に位置するフロントドア10におけるベルトライン13上方のフロントピラー1近傍の部位に、折り畳んだエアバッグ30を収納しており、ベルトライン13上方のフロントピラー1付近には、運転者や助手席乗員の視界を良好にするように、フロントピラー1自体やフロントドア10の窓枠部14やドアミラー28が存在するだけであり、展開膨張時のエアバッグ30の干渉する部品が少ない。そのため、エアバッグ30は、展開膨張時、フロントピラー1における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側から、車両Vの前方側に突出する部位(側面膨張部37)を有し、さらに、車両Vの左右方向の中央側に突出する部位(正面膨張部38)を有していれば、フロントピラー1の前面1a側を容易に覆うことができる。
そして勿論、フロントピラー1自体に、エアバッグ30を収納しておらず、フロントピラー1近傍のフロントドア10の部位にエアバッグ30を収納するだけであり、フロントピラー1の強度に影響を与えることなく、エアバッグ30を収納することができる。
したがって、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、フロントピラー1自体の強度に影響を与えずに、フロントピラー1の前面1aを覆い可能に、展開膨張したエアバッグ30を配置させることができる。
また、第1実施形態の場合、展開膨張完了時のエアバッグ30では、側面膨張部37が、下部側の後面における車外側Oの一部37aを、ドアミラー28のミラー本体28bの内側面28cに当接支持させることから、膨張本体部31の上端31a側が、左右方向に沿った車外側O方向へずれ移動することを、ミラー本体28bの支持により、規制できる。そして、膨張本体部31の上端31a側が左右方向に沿った車内側I方向へずれ移動する際には、取付部34がサッシ部21に取付固定されており、取付部34が、その動作を容易に規制できる。その結果、第1実施形態のエアバッグ装置M1では、膨張完了時のエアバッグ30の膨張完了時の上端31a側が、左右へずれ移動することを、極力、抑制することができる。勿論、上記の作用・効果を考慮しない場合には、エアバッグ30の側面膨張部37の容積を若干狭めて、側面膨張部37がドアミラー28に支持されないように構成してもよい。
さらに、第1実施形態では、エアバッグ30への膨張用ガスを供給するインフレーター50が、折り畳まれたエアバッグ30に膨張用ガスを供給する供給路47を設けて、フロントドア10におけるベルトライン13の下方のエリアに、搭載されている。そのため、このような構成では、嵩張って剛性の高いインフレーター50を、サッシ部21に比べて、広いスペースを確保し易いサイドウインド11の下方に、配置させることができて、容易に搭載することができる。
なお、エアバッグ30の収納保持部位を、サイドウインド11の周縁における窓枠部14の前縁部16とする場合には、第1実施形態のように、フロントドア10のドアフレーム20におけるサッシ部21の他、サッシ部21に固定されるサイドバイザーの部位に収納させるようにしてもよい。
また、図6〜8に示す第2実施形態のエアバッグ装置M2のように、エアバッグ70の収納保持部位は、ベルトライン13の上方におけるサイドウインド11の前下隅のエリアFCに搭載されたドアミラー58の部位として、構成してもよい。この第2実施形態のエアバッグ装置M2では、ドアミラー58の取付ベース部59に、折り畳んだエアバッグ70を収納した収納ケース82を配設させて構成されている。ドアミラー58は、取付ベース部59と、取付ベース部59に支持されて、取付ベース部59から車外側Oに延びるミラー本体63と、を備えて構成されている。取付ベース部59は、図8に示すように、フロントドア10Aのドアフレーム20Aのサッシ部21Aに固定された取付ブラケット22に、取り付けられ、取付ブラケット22は、サイドウインド11の前下隅のエリアFCに配置されている。ミラー本体63は、後方側の車内側I方向に倒れるように収納可能に(図7の二点鎖線参照)、取付ベース部59のヒンジ部61に対して回動可能に支持されている。
なお、第2実施形態では、エアバッグ70を収納した収納ケース82を、フロントドア10Aのドアフレーム20Aのサッシ部21Aでなく、サッシ部21Aに固定した取付ブラケット22に取り付けられているドアミラー58の部位に、搭載した点が、第1実施形態と相違しているだけであり、他の部位や部材は、第1実施形態と同様であって、第1実施形態と同様な部位・部材には、第1実施形態と同様の符号を付して、説明を省略する。
そして、第2実施形態の場合、取付ベース部59は、サイドウインド11の前下隅のエリアFCに固定された取付ブラケット22の車外側Oの位置に、取付固定され、ベルトライン13の上方におけるフロントピラー1の近傍の前縁側に、エアバッグ70を収納した収納ケース82を配設させている。
収納ケース82は、図6〜8に示すように、上下方向に延びた略三角筒形状として、車外側Oの側壁を、エアバッグ70の膨張時に破断させて開く扉部83としている。扉部83は、図7,8に示すように、取付ベース部59の前上部側に収納ケース82が配設された際に、取付ベース部59とミラー本体63との間の空間H側における車外側Oに露出されるように、配設され、後下縁側を、開き時のヒンジ部84としている。ヒンジ部84は、インテグラルヒンジから形成され、扉部83の前縁、上縁、及び、下縁は、エアバッグ70の膨張時に押されて破断する薄肉の破断予定部85としている。そして、扉部83は、開き時、前上縁側を斜め後下側の車外側Oに向けて、開くこととなる。
なお、収納ケース82は、第1実施形態の収納ケース42と同様に、熱可塑性エラストマー等の合成樹脂材料を、所定の板状に形成して、接着剤等を利用する接着や、ボルト・ナット・リベット等を利用した組付等の結合により、箱形状に形成したり、あるいは、所定の立体形状に成形した後、所定の部位を結合させて、形成することができる。
エアバッグ70は、図8,9に示すように、略四角柱状に膨張する膨張本体部71と、膨張本体部71の下部側から車外側Oに延びて膨張本体部71より小さな略四角柱状に膨張する支持膨張部76と、支持膨張部76の下面側から下方に延びる筒状の接続口部80と、を備えて構成されている。膨張本体部71は、歩行者を受け止める側の前面側の前壁部72と、フロントピラー1側となる後面側の後壁部73と、を備えて構成されている。膨張本体部71の内部には、後壁部73と前壁部72とを連結する複数のテザー74が、上下に複数(実施形態では4個)配設されている。各テザー74は、前壁部72や後壁部73と同様に、可撓性を有した布材から形成されている。これらのテザー74は、エアバッグ70の膨張完了時に、前壁部72が、左右方向の断面形状として、半円弧状に前方側に突出することを抑えて、左右方向に沿った平らな面を広く確保するために、配設されている。
そして、エアバッグ70の膨張完了時、膨張本体部71は、支持膨張部76の前端付近から車両Vの左右方向の中央側に突出してフロントピラー1の前面1a側を覆うこととなる。また、膨張本体部71は、フロントピラー1の下端からフロントピラー1の上下方向の長さ寸法の少なくとも1/3以上を覆えるように、配設されている。
支持膨張部76は、エアバッグ70の膨張完了時、扉部83の開いた収納ケース82から斜め上方向に突出して、フロントピラー1の下部側における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側を覆うように配設されることとなる。また、支持膨張部76の後面側の部位は、収納ケース82とともに、取付ベース部59の取付座60に取り付けられる取付部77としている。取付部77には、ボルト等の取付具53が配設されて、取付具53が、収納ケース82を経て、取付座60に固着されることにより、エアバッグ70の取付部77と収納ケース82とが、取付ベース部59に、取付固定されることとなる。また、支持膨張部76は、膨張完了時における収納ケース82から突出した車外側Oの一部76aを、ドアミラー58のミラー本体63の車内側Iの内側面63aに当接支持させるように、配設されている(図6,10,11参照)。
接続口部80は、収納ケース82から突出して下方に延び、インフレーター50から延びる金属パイプからなる供給路87の上端87aに、クランプ88を利用して、接続されている。
なお、インフレーター50は、第1実施形態と同様なものが使用され、取付ブラケット51を利用して、フロントドア10Aのベルトライン13より下方のドアフレーム20Aの本体部24に取付固定されている(図6,11参照)。また、このインフレーター50も、所定のエアバッグ作動回路が、車両Vのフロントバンパ9に配置されて歩行者との接触を検知可能なセンサSEからの信号を入力した際、エアバッグ作動回路により、その作動を制御されることとなる。
この第2実施形態のエアバッグ装置M2においても、車両Vに搭載された後、インフレーター50が作動されれば、インフレーター50からの膨張用ガスGが、供給路87を通過し、さらに、エアバッグ70の接続口部80を経て、支持膨張部76に流入し、さらに、膨張本体部71に流入して、支持膨張部76と膨張本体部71とが膨張することとなる(図9参照)。そのため、図8の二点鎖線に示すように、支持膨張部76が、膨張して、周囲の破断予定部85を破断させて、収納ケース82の扉部83を開かせ、収納ケース82から斜め上前方向に突出し、フロントピラー1の下部側における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側を覆い、そして、膨張本体部71が、膨張して、支持膨張部76の前端付近から車両Vの左右方向の中央側に突出してフロントピラー1の前面1a側を覆うこととなり、歩行者がフロントピラー1の前面1a側に直接当たることを、膨張本体部71が防止し、クッション性よく、歩行者を膨張本体部71が受け止めることとなる。
すなわち、第2実施形態のエアバッグ装置M2でも、フロントピラー1の後方側に位置するフロントドア10Aにおけるベルトライン13の上方のフロントピラー1近傍の部位としたドアミラー58の部位(取付ベース部59の部位)に、折り畳んだエアバッグ70を収納しており、ベルトライン13上方のフロントピラー1付近には、運転者や助手席乗員の視界を良好にするように、フロントピラー1自体やフロントドア10Aの窓枠部14やドアミラー58が存在するだけであり、展開膨張時のエアバッグ70の干渉する部品が少ない。そのため、エアバッグ70は、展開膨張時、フロントピラー1における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側から、車両Vの前方側に突出する部位(支持膨張部76)を有し、さらに、車両Vの左右方向の中央側に突出する部位(膨張本体部71)を有していれば、フロントピラー1の前面側を容易に覆うことができる。
そして勿論、フロントピラー1自体に、エアバッグ70を収納しておらず、フロントピラー1近傍のフロントドア10Aにおけるドアミラー58の部位に、エアバッグ70を収納するだけであり、フロントピラー1の強度に影響を与えることなく、エアバッグ70を収納することができる。
したがって、第2実施形態のエアバッグ装置M2でも、フロントピラー1自体の強度に影響を与えずに、フロントピラー1の前面1aを覆い可能に、展開膨張したエアバッグ70を配置させることができる。
また、第2実施形態の場合、図6,10,11に示すように、展開膨張完了時のエアバッグ70では、支持膨張部76が、下部側の後面における車外側Oの一部76aを、ドアミラー58のミラー本体63の内側面63aに当接支持させることから、膨張本体部71の上端71a側が、左右方向に沿った車外側O方向へずれ移動することを、ミラー本体63の支持により、規制できる。そして、膨張本体部71の上端71a側が左右方向に沿った車内側I方向へずれ移動する際には、取付部77が取付ベース部59の取付座60に取付固定されており、取付部77が、その動作を容易に規制できる。その結果、第2実施形態のエアバッグ装置M2でも、膨張完了時のエアバッグ70の膨張完了時の上端71a側が、左右へずれ移動することを、極力、抑制することができる。勿論、上記の作用・効果を考慮しない場合には、エアバッグ70の支持膨張部76の容積を若干狭めて、支持膨張部76がドアミラー58のミラー本体63に支持されないように構成してもよい。
さらに、第2実施形態でも、嵩張って剛性の高いインフレーター50を、ドアミラー58やサッシ部21Aに比べて、広いスペースを確保し易いサイドウインド11(ベルトライン13)の下方に、配置させており、インフレーター50を容易に搭載することができる。
第2実施形態では、エアバッグ70をドアミラー58の取付ベース部59に搭載した場合を示したが、図12〜14に示す第3実施形態のエアバッグ装置M3のように、ドアミラー58Aのミラー本体63Aの部位をエアバッグ70Aの搭載部位としてもよい。すなわち、この第3実施形態では、ベルトライン13の上方におけるミラー本体63Aのサイドウインド11側となる内側面63aの部位に設けられた取付座64に、エアバッグ70Aを収納した収納ケース82Aが取り付けられて構成されている。
収納ケース82Aは、取付ベース部59A側に向かって配設されて前後両側に開く扉部83A,83Bを備え(図14,16参照)、ミラー本体63Aの取付座64に取り付けられる構成が、第2実施形態の収納ケース82と大きく相違しているだけであり、他の収納ケース82Aの構成は、第2実施形態と略同様であり、同様な部位には、第2実施形態と同様な符号を付して、説明を省略する。
また、エアバッグ70Aは、図15に示すように、支持膨張部76Aに設けられた取付部77を、支持膨張部76の車外側Oの部位に配設させている。また、接続口部80Aが、ヒンジ部61内を挿通する供給路87Aの上端87a側と接続されるように、短く構成されている。これらの構成が、第2実施形態のエアバッグ70と大きく相違しているだけであり、他のエアバッグ70Aの構成は、第2実施形態と略同様であり、同様な部位には、第2実施形態と同様な符号を付して、説明を省略する。
供給路87Aは、インフレーター50からの膨張用ガスGを上端87a側に供給可能に、屈曲されて配設されている。
なお、インフレーター50は、第2実施形態と同様に、ドアフレーム20Aの本体部24に配設されている。
この第3実施形態のエアバッグ装置M3においても、インフレーター50が作動されれば、インフレーター50からの膨張用ガスGが、供給路87Aを通過し、さらに、エアバッグ70Aの接続口部80Aを経て、支持膨張部76Aに流入し、さらに、膨張本体部71に流入して、支持膨張部76Aと膨張本体部71とが膨張することとなる(図15参照)。そのため、図14の二点鎖線に示すように、支持膨張部76Aが、膨張して、周囲の破断予定部85を破断させて、ヒンジ部84,84を回転中心として、収納ケース82Aの扉部83A,83Bを前後両側に開かせ、収納ケース82Aから斜め上前方向に突出し、フロントピラー1の下部側における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側を覆い、そして、膨張本体部71が、膨張して、支持膨張部76Aの前端付近から車両Vの左右方向の中央側に突出してフロントピラー1の前面1a側を覆うこととなり、歩行者がフロントピラー1の前面1a側に直接当たることを、膨張本体部71が防止し、クッション性よく、歩行者を膨張本体部71が受け止めることとなる。
すなわち、第3実施形態のエアバッグ装置M3でも、フロントピラー1の後方側に位置するフロントドア10Aにおけるベルトライン13上方のフロントピラー1近傍の部位としたドアミラー58Aの部位(ミラー本体63Aの部位)に、折り畳んだエアバッグ70Aを収納しており、ベルトライン13上方のフロントピラー1付近には、運転者や助手席乗員の視界を良好にするように、フロントピラー1自体やフロントドア10Aの窓枠部14やドアミラー58Aが存在するだけであり、展開膨張時のエアバッグ70Aの干渉する部品が少ない。そのため、エアバッグ70Aは、展開膨張時、フロントピラー1における車両Vの左右方向の車外側Oの端縁側から、車両Vの前方側に突出する部位(支持膨張部76A)を有し、さらに、車両Vの左右方向の中央側に突出する部位(膨張本体部71)を有していれば、フロントピラー1の前面1a側を容易に覆うことができる。
そして勿論、フロントピラー1自体に、エアバッグ70Aを収納しておらず、フロントピラー1近傍のフロントドア10Aにおけるドアミラー58Aの部位に、エアバッグ70Aを収納するだけであり、フロントピラー1の強度に影響を与えることなく、エアバッグ70Aを収納することができる。
そのため、第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、フロントピラー1自体の強度に影響を与えずに、フロントピラー1の前面1aを覆い可能に、展開膨張したエアバッグ70Aを配置させることができる。
また、第3実施形態では、展開膨張完了時のエアバッグ70Aでは、支持膨張部76Aの取付部77自体が、ドアミラー58Aのミラー本体63Aにおける内側面63a側の取付座64により、支持されることから、膨張本体部71の上端71a側が、左右方向に沿った車外側O方向へずれ移動することを、取付座64の支持により、規制できる。そして、膨張本体部71の上端71a側が左右方向に沿った車内側I方向へずれ移動する際にも、取付部77が、その動作を容易に規制できるため、第3実施形態のエアバッグ装置M3でも、膨張完了時のエアバッグ70の膨張完了時の上端71a側が、左右へずれ移動することを、極力、抑制することができる。
さらに、第3実施形態でも、嵩張って剛性の高いインフレーター50を、ドアミラー58やサッシ部21Aに比べて、広いスペースを確保し易いサイドウインド11(ベルトライン13)の下方に、配置させており、インフレーター50を容易に搭載することができる。
なお、第3実施形態の場合、インフレーター50からの膨張用ガスをミラー本体63A側に供給し難い場合には、ミラー本体63Aにインフレーター50を収納させてもよい。
また、第2,3実施形態のように、ドアミラー58,58Aの部位をエアバッグ70,70Aの収納保持部位とする場合には、窓枠部位の窓枠部14における前縁部16を収納保持部位とする第1実施形態の場合に比べて、展開膨張させたエアバッグ70,70Aを、覆ったフロントピラー1の左右方向における車外側Oにずれた位置の取付座60,64で支持できることから(特に、ミラー本体63Aの取付座64では、車外側Oに大きくずれている)、左右方向における車外側O方向へのエアバッグ70,70Aのずれ移動に対して、対向するように、安定して支持することができる。