以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置Mは、図1〜3に示すように、車両Vの左右のフロントピラー1の後側に隣接して配設される各フロントドア13に、搭載されている。詳細には、実施形態のエアバッグ装置Mは、フロントドア13に設けられるドアミラー27の部位に搭載されている。左右の各フロントピラー1は、鋼板等からなるアウタパネル2、インナパネル3、及び、アウタパネル2とインナパネル3との間に配置されるリインホースメント4を、備えて構成されている(図16参照)。なお、図1の符号6で示す部材は、窓枠ゴムであり、図1〜3の符号7で示す部材は、フロントガラスである。また、図1〜3の符号8で示す部材は、フードパネルであり、図1〜3の符号9で示す部材は、フロントバンパである。
なお、本明細書において、前後・上下・左右の方向は、特に断らない限り、車両Vの前後・上下・左右の各方向に対応するものである。
また、実施形態では、車両Vの左側に位置するフロントピラー1の前面1a側を覆うエアバッグ42を備えたエアバッグ装置Mについて、詳細に説明する。右側のフロントピラーの前面側を覆うエアバッグを備えたエアバッグ装置は、左側のエアバッグ装置と左右対称形として、同一の構成であることから、右側のエアバッグ装置に関しては、説明を省略する。
実施形態のエアバッグ装置Mが搭載されるフロントドア13は、図1〜3に示すように、フロントピラー1の後側に隣接して配設されるもので、フロントピラー1の後方に位置するサイドウィンド14と、サイドウィンド14の下方のドア部18と、を有するとともに、サイドウィンド14の前側の下隅付近に、ドアミラー27を、配設させて構成されている。サイドウィンド14は、ドアガラス15と、ドアガラス15の周囲に配置される窓枠部16と、を備えている。実施形態の場合、窓枠部16の下縁部16aが、ベルトライン17を構成している(図2参照)。ドア部18は、図4に示すように、間にドアガラス15を収納可能な隙間を有して配置されて鋼板等からなるアウタパネル19及びインナパネル21と、インナパネル21の車内側を覆うように配置されるドアトリム23と、を備えており、アウタパネル19とインナパネル21との内側(ドアガラス15側)には、それぞれ、アウタリインホースメント20とインナリインホースメント22とが、配設されている。また、アウタパネル19の上端側には、窓枠部16を構成するアウタモール24が、配設され、アウタパネル19とインナパネル21との上端側には、ドアガラス15を摺動させるガラスウェザストリップ25が、配設されている。また、実施形態では、アウタリインホースメント20におけるエアバッグ装置Mが配置される領域の車内側Iに、エアバッグ装置M側への雨水や異物の進入を防止するシール部材32が、配設されている(図4参照)。
ドアミラー27は、図1〜3に示すように、窓枠部16における下縁部16a(ベルトライン17)の前縁16b近傍に取り付けられる取付ベース29と、取付ベース29の上面側に回動可能に取り付けられるミラー本体28と、を備えている。詳細には、取付ベース29は、フロントピラー1の下端側となる元部1bの下側に近接して配設されている(図1〜3参照)。実施形態の場合、取付ベース29は、後端側に、ミラー本体28を配設させるとともに、ミラー本体28を取り付けた部位の前方側の領域に、エアバッグ装置Mを配設させている構成である。
ミラー本体28は、元部28aにおける前端付近を、取付軸部29b(図3参照)を介して、取付ベース29に取り付けられるもので、使用時に、図3,18,19に示すように、軸支される元部28aから延びる先端28bを、車外側Oに突出させるように配置されることとなり、この使用状態において、車内側Iの端面(実施形態の場合、右端面28c)とサイドウィンド14との間に、正面視で上側を幅広とした略三角形状の隙間Hを有することとなる(図18参照)。また、実施形態の場合、ミラー本体28は、使用時における車内側Iの端面(右端面28c)を、後縁側を車外側Oに向けるように傾斜させて、構成されている。換言すれば、ミラー本体28における車内側Iの端面(右端面28c)は、前縁28d側を最も車内側Iに突出させるように、傾斜している(図19参照)。
取付ベース29は、図4に示すように、車内側I(右側)に配置されてアウタリインホースメント20に取り付けられる板金製の取付部材30と、取付部材30の車外側O(左側)を覆うように配置される合成樹脂製のカバー部材31と、を備えており、この取付部材30とカバー部材31とに囲まれた領域が、エアバッグ装置Mにおいて、折り畳まれたエアバッグ42を収納する収納部位Pを、構成している。具体的には、取付部材30が、折り畳まれたエアバッグ42を収納するケース部33を構成し、カバー部材31が、折り畳まれたエアバッグ42を覆うエアバッグカバー35を構成している。
エアバッグ装置Mは、図4に示すように、可撓性を有した袋状のエアバッグ42と、エアバッグ42に膨張用ガスを供給するインフレーター37と、を備えている。実施形態のエアバッグ装置Mでは、折り畳まれたエアバッグ42のみが、収納部位P(ケース部33)内に収納され、インフレーター37は、図2,4に示すように、収納部位P(ケース部33)の下方の領域に配置されている。折り畳まれたエアバッグ42を収納する収納部位Pは、ドアミラー27の前端付近である取付ベース29の前側の領域から、構成されている。そして、この取付ベース29の前側の領域において、取付部材30が、折り畳まれたエアバッグ42を収納するケース部33を構成し、取付部材30を覆うカバー部材31が、折り畳まれたエアバッグ42の車外側Oを覆うエアバッグカバー35を、構成している(図2,4参照)。
ケース部33は、図2,4に示すように、取付部材30から連なるように構成されるとともに、折り畳まれたエアバッグ42の車内側I(右方)と下方とを覆うように、内壁部33aと下壁部33bとを有した断面略L字形状として、車外側Oから上方にかけてを開口させるように、構成されている。このケース部33は、図4に示すように、内壁部33aの車内側面をアウタリインホースメント20に固着させて、車体側部材であるアウタリインホースメント20に取り付けられている。なお、実施形態では、ケース部33には、エアバッグ42において、テザー62の後述する内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67を除いた部位が、折り畳まれて収納されることとなり、これらの内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67は、先端65a,66a,67aを後方に向けつつ、ミラー本体28を取り付ける取付軸部29bを跨ぐように、カバー部材31の裏面側に配置されている。ケース部33における下壁部33bの前端近傍部位には、エアバッグ42のテザー62における後述する前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64を取り付けるための取付孔33cが、形成されている(図17参照)。ケース部33の下壁部33bには、エアバッグ42の後述するガス流入口部51を挿通可能な図示しない開口が、形成されている。また、取付部材30は、ケース部33の後方において、ケース部33の内壁部33aから連なるように形成される縦壁部30aを、備えている。この縦壁部30aにおいて、ドアミラー27におけるミラー本体28を取り付ける取付軸部29bの後側に配置される部位には、内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67を取り付けるための取付孔30bが、形成されている(図16参照)。
エアバッグカバー35は、カバー部材31から連なるように構成されるもので、折り畳まれたエアバッグ42の車外側Oから上方にかけてを覆うとともに、エアバッグ42の展開膨張時に開いて、エアバッグ42をケース部33から突出させる扉部35aを、有している。実施形態の場合、扉部35aは、図4の二点鎖線に示すように、開き時に、下端側を回転中心として、上端を車外側下方に向かって開かせるような下開きとして、構成されている。また、実施形態の場合、カバー部材31において、エアバッグカバー35の後方側における取付部材30の上面側を覆う部位(内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67の上方を覆う部位)は、エアバッグカバー35が開いてエアバッグ42が展開膨張する際に、内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67を突出可能に、構成されている(図16参照)。
インフレーター37は、図2,4に示すように、収納部位Pの下方となるケース部33における下壁部33bの下方の領域に、配置されるもので、実施形態の場合、軸方向を前後方向に略沿わせたシリンダタイプとされている。インフレーター37は、前端側に、図示しないガス吐出口を備える構成とされて、このガス吐出口付近の部位を、クランプ40を利用して、エアバッグ42のガス流入口部51に連結されている(図5の二点鎖線参照)。また、インフレーター37は、板金製のディフューザー38により周囲を保持されるもので、ディフューザー38に設けられるボルト38aを、アウタリインホースメント20にナット39止めすることにより、車体側部材であるアウタリインホースメント20に取り付けられている(図4参照)。なお、図示しないが、インフレーター37のボルト38aは、前後方向に沿った2箇所に、形成されている。また、このインフレーター37は、所定のエアバッグ作動回路からの作動信号を入力させて、膨張用ガスをエアバッグ42内に供給することとなる。エアバッグ作動回路は、車両Vのフロントバンパ9に配置されて、歩行者との衝突を検知可能なセンサSE(図1,2参照)からの信号を入力した際に、インフレーター37を作動させることとなる。
エアバッグ42は、図5〜9に示すように、内部に膨張用ガスを流入させて膨張可能な可撓性を有した袋状のバッグ本体43と、バッグ本体43内に配置されるインナチューブ60と、バッグ本体43から延びるテザー62と、を備えている。
バッグ本体43は、膨張完了時にフロントピラー1側に配置される車体側壁部44bと、車体側壁部44bと対向して配置される車外側壁部44aと、を有するとともに、膨張用ガスを流入させて車体側壁部44bと車外側壁部44aとを離すように膨張するガス流入部44と、車体側壁部44bと車外側壁部44aとを結合させるように形成されて膨張用ガスを流入させない非流入部53と、を備えて構成されている。実施形態の場合、バッグ本体43は、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布を所定形状に裁断して、外形形状を同一として構成される車体側壁部44bと車外側壁部44aとの外周縁及び所定箇所を、縫合糸を用いて縫着させることにより、袋状に形成されている。
ガス流入部44は、膨張完了時にフロントピラー1の前面1aを覆うように配置されるピラーカバー部45と、膨張完了時にピラーカバー部45の下方に配置される支持膨張部47と、ピラーカバー部45と支持膨張部47とに膨張用ガスを供給するガス供給路部50と、バッグ本体43の内部に膨張用ガスを流入させるガス流入口部51と、を備えている。
ピラーカバー部45は、膨張完了形状を、長手方向をフロントピラー1の軸方向(前後方向)に略沿わせた略棒状として、構成されている。詳細に説明すれば、ピラーカバー部45は、膨張完了時に、図1〜3の二点鎖線に示すように、フロントピラー1の前面1a側を、フロントピラー1の下端側となる元部1bから上下方向の中央付近にかけてを覆い、かつ、膨張完了時の後端45bを、ミラー本体28より後方に位置させるように、構成されている(図14参照)。また、実施形態の場合、ピラーカバー部45は、ガス供給路部50と連通される前端45a側から、内部に膨張用ガスを流入させる構成とされている。
支持膨張部47は、バッグ本体43の膨張完了時に、ピラーカバー部45の下方において、フロントピラー1の下方のサイドウィンド14の側面を覆うように配設されて、ピラーカバー部45を支持する部位である(図14〜16参照)。実施形態の場合、支持膨張部47は、膨張完了時にフロントピラー1に沿って後上がりに傾斜して配置されるピラーカバー部45の左縁45c(外縁)から下方に延びて、膨張完了時の下縁47d(平らに展開した状態における左縁)を水平方向(前後方向)に略沿わせるように、左右方向側から見た外形形状を、後端47b側を拡開させるような略台形状として、構成されている(図14参照)。また、支持膨張部47は、前後方向の長さ寸法を、ピラーカバー部45の前後方向の長さ寸法の半分程度として、前端47aを、ピラーカバー部45の前端45aと略一致させるように、構成されている。すなわち、支持膨張部47は、バッグ本体43の膨張完了時に、ピラーカバー部45の前側半分程度の領域の下方に配置されて、ピラーカバー部45の前端45a側(元部側)の下方を支持可能に、構成されている。この支持膨張部47は、非流入部53における後述する区画部55を介してピラーカバー部45と連結されており、換言すれば、後端47b側をピラーカバー部45に対して閉塞された状態で、前後の全域にわたって、バッグ本体43を平らに展開した状態でのピラーカバー部45の左縁45c(外縁)に連結されている(図5〜9参照)。この支持膨張部47は、ガス供給路部50と連通される前端47a側から、内部に膨張用ガスを流入させる構成とされている。
また、支持膨張部47は、その領域内に、後述する接合部57を配設されて構成されており、この接合部57は、支持膨張部47の下半分程度の領域を、前後で2分割するように、形成されている。すなわち、実施形態では、支持膨張部47におけるピラーカバー部45側となる上側部位48は、膨張完了形状を、ピラーカバー部45に略沿った棒状として、ピラーカバー部45の車外側下面を支持することとなり、ピラーカバー部45から離れた下側となる下側部位49は、接合部57により区画されて、膨張完了形状を、それぞれ、上下方向に略沿うような棒状の2つのセル49a,49bを前後で並設させたような形状とされている(図5,6,8参照)。
そして、この支持膨張部47は、エアバッグ42の膨張完了時において、前後の中央から後側にかけての部位を、ドアミラー27の上面側において、ドアミラー27のミラー本体28と、車両の側面であるサイドウィンド14と、の間の隙間Hに進入させるように、構成されている。詳細には、エアバッグ42の膨張完了時において、支持膨張部47の下側部位49における後側のセル49bが、ミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hにおいて、車外側の面である車外側壁部44aを、ミラー本体28における車内側Iの端面(右端面28c)に当接させるとともに、下縁47d側を、ドアミラー27における取付ベース29の上面29aに当接されるように、配置されることとなる(図18参照)。また、実施形態では、支持膨張部47において、下側部位49のセル49a,49b相互を区画している接合部57が、ミラー本体28の車内側Iの端面(右端面28c)において、最も車内側Iに突出している前縁28dの車内側に、配置されることとなる(図19参照)。そして、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部47における上側部位48は、側方側から見て、ミラー本体28より上方に位置して、サイドウィンド14の側面を覆うように、構成されている(図14参照)。実施形態の場合、支持膨張部47は、領域内に接合部57を配設させることにより、膨張完了形状を略板状とされることとなる。
ガス供給路部50は、バッグ本体43の前縁側において、ガス流入口部51から上方に延びるように、バッグ本体43の前縁に沿って略上下方向に沿うように配置されるもので、ガス流入口部51から流入する膨張用ガスを、ピラーカバー部45と支持膨張部47とに供給する部位であり、内部に、インナチューブ60を配設させている(図5,6参照)。ガス流入口部51は、バッグ本体43の前下端から下方に延びて先端側を後方に向けるように屈曲して構成される略筒状とされており、先端側(後端側)に、インフレーター37を挿入可能な開口51aを、備えている。このガス流入口部51は、エアバッグ42の膨張完了時には、ケース部33から上方に突出しているガス供給路部50から下方に延びて、先端側を、ケース部33の下方において、インフレーター37と連結されることとなる。また、このガス流入口部51の内部にもインナチューブ60が配設されており、実施形態の場合、ガス流入口部51は、開口51aから、インナチューブ60を介して内部にインフレーター37を挿入させた状態で、開口51a周縁に外装されるクランプ40を利用して、インフレーター37を連結させる構成である。
非流入部53は、実施形態の場合、車体側壁部44bと車外側壁部44aとを、縫合糸を用いて縫着させることにより、車体側壁部44bと車外側壁部44aとを結合させて構成されるもので、周縁部54と、区画部55と、接合部57と、を備えている。なお、実施形態の場合、非流入部53は、車体側壁部44bと車外側壁部44aとを縫合糸を用いて縫着させる縫合部位を、一筆書き状に形成するようにして、構成されている(図5参照)。
周縁部54は、バッグ本体43の外周縁を構成するもので、ガス流入口部51の開口51aを除いた全周にわたって、形成されている。区画部55は、ピラーカバー部45と支持膨張部47とを区画するためのもので、周縁部54から前方に延びて、フロントピラー1の軸方向(前後方向)に略沿うような直線状として、構成されている。実施形態の場合、区画部55は、ピラーカバー部45の右縁45d(車両搭載時における内縁であって、周縁部54の内側部位54cから構成される)に略沿うように形成されており、後端を周縁部54に連結させている。また、区画部55における先端(前端)側には、応力集中が生じないように、略円形に縫着された端末部55aが、形成されている。
接合部57は、支持膨張部47の領域内に形成されるもので、支持膨張部47の膨張完了形状を略板状として、この支持膨張部47の膨張完了時の厚さ寸法を、ドアミラー27のミラー本体28と、車両の側面を構成するサイドウィンド14と、の間の隙間Hに進入可能とするように、構成されている。詳細に説明すれば、接合部57は、支持膨張部47の領域内において上下方向に略沿って、配置されるもので、周縁部54における支持膨張部47の下縁47d側を構成する外側部位54dから、上方に延びる直線状として、先端(上端)側に、外形形状を略円形とした本体部57aを、配設させている。実施形態の場合、接合部57は、支持膨張部47の前後の略中間となる前後の中央よりやや前方となる位置において、周縁部54における支持膨張部47の下縁47d側を構成する外側部位54dと略直交するように、形成されている。また、接合部57は、実施形態の場合、上下方向の長さ寸法を、支持膨張部47の前後の中間部位の上下の幅寸法の2/5程度に、設定されて、支持膨張部47の下部側の領域に配設されている。略円形の本体部57aは、外径寸法を、接合部57全体の上下の長さ寸法の2/7程度として、構成されている。また、バッグ本体43の膨張完了時に、支持膨張部47の下縁47dは、水平方向(前後方向)に略沿って配置されることから、接合部57は、バッグ本体43の膨張完了時に、鉛直方向(上下方向)に略沿って、配置されることとなる。
この接合部57は、バッグ本体43の膨張完了時において、ミラー本体28と対応する位置に、形成されており、実施形態の場合、詳細に説明すれば、接合部57は、図19に示すように、バッグ本体43の膨張完了時に、ミラー本体28の車内側Iの端面(右端面28c)において、最も車内側Iに突出している前縁28dの車内側となる位置に、配置されることとなる。また、接合部57における本体部57aは、バッグ本体43の膨張完了時に、上端を、左右方向側から見て、ミラー本体28における前縁28dの上端よりも上方に突出させるように、形成されている(図14参照)。実施形態の場合、支持膨張部47において、ミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入するように配置される下側部位49の後側のセル49bは、膨張完了時の厚さ寸法を、この隙間Hの開口幅寸法より小さくして、形成されている(図18参照)。下側部位49の前側のセル49aは、ガス供給路部50から連なるように形成されることから、膨張完了時の厚さ寸法を、セル49bの厚さ寸法より大きくするように、構成されることとなる(図19参照)。
なお、実施形態のエアバッグ42では、区画部55における端末部55aの部位と、接合部57における本体部57aの部位と、に、表裏から補強用のパッチ(図符号省略)が、縫着されている(図5,6参照)。
インナチューブ60は、図5〜7に示すように、バッグ本体43におけるガス流入口部51からガス供給路部50にかけての内部に配置されるもので、両端側を開口させた略筒状として、インフレーター37から吐出される膨張用ガスを、ピラーカバー部45側に案内する構成とされている。換言すれば、インナチューブ60は、支持膨張部47の前方を横切って、先端60a側に形成される開口60bを、ピラーカバー部45の前端45a付近に配置させるように、構成されている。このインナチューブ60は、バッグ本体43と同様に、ポリエステル糸やポリアミド糸等からなる織布から形成されるもので、実施形態の場合、所定形状に裁断した2枚の基材を重ねて、短手方向側の両縁を縫着させることにより、筒状として構成されている(図7,8参照)。また、インナチューブ60は、ガス流入口部51からガス供給路部50にかけての内部に挿入可能に、平らに展開した状態の幅寸法を、全域にわたって、平らに展開した状態のバッグ本体43におけるガス流入口部51の幅寸法やガス供給路部50の幅寸法より小さく設定されている。
また、実施形態では、インナチューブ60の先端60aは、開口60bを区画部55における端末部55aの前端よりもピラーカバー部45の内方(後方)に入り込ませるように、区画部55における端末部55aの近傍に配置されており(図5,6参照)、端末部55aを迂回するように、後方側を円弧状に切り欠かれている(図8参照)。すなわち、実施形態では、インナチューブ60は、開口60bを、ピラーカバー部45の領域内に配置させるように、構成されている。このインナチューブ60は、バッグ本体43内に配置された状態で、この先端60aの近傍部位と、区画部55の端末部55aとの間に、僅かな隙間を設けるように、この湾曲している部位の平らに展開した状態の幅寸法W2を、ガス供給路部50における対応する部位の平らに展開した状態の幅寸法W1より小さく設定されて、構成されている(図8参照)。そして、実施形態では、インナチューブ60は、インフレーター37から吐出される膨張用ガスGを、支持膨張部47内への流入を抑制させた状態で、まず、開口60bからピラーカバー部45内に流入させ、その後、ピラーカバー部45内に充満された膨張用ガスGを、インナチューブ60における先端60aの近傍と端末部55aとの間の隙間から、支持膨張部47内に膨張用ガスGを流入させることとなる(図5参照)。
テザー62は、バッグ本体43から延びて、先端側を収納部位P(ケース部33)側に取り付けられて、バッグ本体43の膨張完了時の配置位置と膨張完了形状とを規制するためのもので、実施形態の場合、図5,6に示すように、5箇所に、形成されている。テザー62は、膨張完了時のエアバッグ42(バッグ本体43)において、支持膨張部47の前方側から延びる前側ストラップ部63と、ピラーカバー部45の前右隅付近(前内縁付近)から延びる前内側ストラップ部64と、ピラーカバー部45の右縁(内縁)45d側から延びる内側ストラップ部65と、支持膨張部47の下縁47d側から延びる下側ストラップ部66と、支持膨張部47の上縁47c側から延びて車体側壁部44b側に配置される裏側ストラップ部67と、を備えて構成されている。各前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64,内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67は、図8に示すように、それぞれ、バッグ本体43と別体とされるとともに、バッグ本体43と同様に、ポリアミド糸やポリエステル糸等からなる織布を帯状に裁断して形成され、それぞれ、元部側を、バッグ本体43に縫着されている。なお、実施形態の場合、各前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64,内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67は、バッグ本体43の製造時において、車外側壁部44aと車体側壁部44bとを、縫合糸を用いて縫着させ、周縁部54、区画部55、及び、接合部57を形成する際に、共縫いされて、元部側をバッグ本体43に縫着されている。
前側ストラップ部63は、実施形態の場合、支持膨張部47の前方(ガス供給路部50の前縁側)となる周縁部54の前外側部位54aにおいて、区画部55の端末部55aの前方側となる位置(前外側部位54aにおける右端近傍)から、延びるように構成されるもので、先端63a側に、ボルト69を挿通可能な挿通孔63bを有している。実施形態の場合、前側ストラップ部63は、バッグ本体43とテザー62とを平らに展開した状態で、周縁部54の前外側部位54aに対して略直交して、前方に延びるように、形成されている(図5参照)。この前側ストラップ部63は、先端63a側を、収納部位Pを構成するケース部33の前端付近における下壁部33bの領域に形成される取付孔33cの部位に、ボルト69止めして、収納部位P側に取り付けられている(図17参照)。
この前側ストラップ部63は、エアバッグ42の膨張完了時に、図17に示すように、支持膨張部47の前方側となるガス供給路部50の前縁の略直下となる下方に延びるように、配設されることとなる。この前側ストラップ部63は、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部47が前方移動することを防止可能とし、かつ、膨張初期における支持膨張部47の迅速な展開(斜め左上方側への突出)を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。そして、この前側ストラップ部63により、支持膨張部47が、エアバッグ42の膨張完了時に、前方側へ移動することを抑制されることとなる。
前内側ストラップ部64は、周縁部54において、ピラーカバー部45の前右隅付近(前内縁付近)から延びるように構成されている。実施形態の場合、前内側ストラップ部64は、バッグ本体43とテザー62とを平らに展開した状態で、周縁部54において前外側部位54aの右側(内側)に配置される前内側部位54bの右端近傍から、前内側部位54bに対して略直交して、前方に延びるように形成されている(図5参照)。前内側ストラップ部64の先端64a側には、ボルト69を挿通可能な挿通孔64bが、形成され、前内側ストラップ部64は、先端64a側を、前側ストラップ部63の先端63a側とともに、ケース部33の取付孔33cの部位にボルト69止めされて、収納部位P側に取り付けられている(図17参照)。
この前内側ストラップ部64は、エアバッグ42の膨張完了時に、図15に示すように、斜め左下方(外下方)に向かって延びるように配設されるもので、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、ピラーカバー部45の前端45a側がフロントピラー1から浮き上がることを防止可能として、かつ、ピラーカバー部45の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。そして、この前内側ストラップ部64により、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部45が、前端45a側をフロントピラー1から浮き上がらせるように、フロントピラー1の軸方向に沿った前後方向側で揺動することを抑制されることとなる。
内側ストラップ部65は、ピラーカバー部45の内縁(右縁45d)側となる周縁部54の内側部位54cから延びるように構成されるもので、実施形態の場合、ピラーカバー部45の後端45b近傍の部位に、配設されている。内側ストラップ部65は、先端65a側に、ボルト70を挿通可能な挿通孔65bを有している。実施形態の場合、内側ストラップ部65は、バッグ本体43とテザー62とを平らに展開した状態で、周縁部54の内側部位54c(平らに展開した状態の右側)に対して略直交して、右側に延びるように、形成されている(図5参照)。この内側ストラップ部65は、先端65a側を、ドアミラー27における取付部材30の縦壁部30aにおいて、ミラー本体28を取り付ける取付軸部29bの後側の領域に形成される取付孔30bの部位に、ボルト70止めされて、収納部位P側に取り付けられている(図16参照)。
この内側ストラップ部65は、エアバッグ42の膨張完了時に、図14〜16に示すように、バッグ本体43の裏面側(車体側壁部44b側)において、斜め左下方(車外側下方)に向かって延びるように、配設されることとなる。内側ストラップ部65は、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、ピラーカバー部45の右縁45d(内縁)側(後端45b付近)が、フロントピラー1から浮き上がることを防止可能として、かつ、ピラーカバー部45の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。そして、この内側ストラップ部65により、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部45における支持膨張部47から離れた側となる内縁(右縁45d)側が、フロントピラー1から浮き上がることを抑制することができて、ピラーカバー部45を、エアバッグ42の膨張完了時に、フロントピラー1に略沿う(フロントピラー1側に倒す)ように、配置させることができる。
下側ストラップ部66は、支持膨張部47の下縁47d側となる周縁部54の外側部位54dから延びるように構成されるもので、実施形態の場合、支持膨張部47における後端47b近傍となるセル49bの領域に、配設されている。この下側ストラップ部66は、バッグ本体43とテザー62とを平らに展開した状態で、周縁部54の外側部位54d(平らに展開した状態の左側)に対して略直交して、右側に延びるように、形成されている(図5参照)。詳細に説明すれば、下側ストラップ部66は、周縁部54の外側部位54dにおいて、接合部57の後方となる位置(セル49bの下側)から延びるように、形成されている。下側ストラップ部66の先端66a側には、ボルト70を挿通可能な挿通孔66bが、形成され、下側ストラップ部66は、先端66a側を、内側ストラップ部65の先端65a側とともに、取付部材30の縦壁部30aに形成される取付孔30bの部位にボルト70止めされて、収納部位P側に取り付けられている(図16参照)。
この下側ストラップ部66は、エアバッグ42の膨張完了時に、図16に示すように、右側(内側)に向かって延びるように配設されるもので、長さ寸法を、エアバッグ42の膨張完了時に、図14に示すように、ミラー本体28を取り付ける取付軸部29bより後方に突出している支持膨張部47の後端47b側の部位を、収納部位P側(車体側)となる内側に引っ張って、かつ、支持膨張部47の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。そして、この下側ストラップ部66により、エアバッグ42の膨張完了時に、収納部位P(ケース部33)から車外側Oに突出している支持膨張部47の後端47b側の部位が、収納部位P(ケース部33)よりも車外側Oの下方に落ち込むように移動することを抑制できる。
裏側ストラップ部67は、エアバッグ42(バッグ本体43)の膨張完了時に、裏面側となる車体側壁部44b側に配置されるもので、支持膨張部47の上縁47c側となる区画部55から延びるように構成されている。この裏側ストラップ部67は、バッグ本体43とテザー62とを平らに展開した状態で、区画部55に対して略直交して、左斜め後方に延びるように、形成されている(図6参照)。詳細に説明すれば、裏側ストラップ部67は、バッグ本体43を平らに展開した状態で、支持膨張部47に形成される接合部57の右側(膨張完了時における接合部57の直上)から延びるように、形成されている。裏側ストラップ部67の先端67a側には、ボルト70を挿通可能な挿通孔67bが、形成され、裏側ストラップ部67は、先端67a側を、内側ストラップ部65,下側ストラップ部66の先端65a,66a側とともに、取付部材30の縦壁部30aに形成される取付孔30bの部位にボルト70止めされて、収納部位P側に取り付けられている(図16参照)。
この裏側ストラップ部67は、エアバッグ42の膨張完了時に、図14〜16に示すように、下方に向かって延びるように配設されるもので、長さ寸法を、エアバッグ42の展開膨張時に、支持膨張部47をミラー本体28の車内側Iの端面(右端面28c)側に圧接し、かつ、支持膨張部47及びピラーカバー部45の迅速な展開を阻害しないような長さ寸法に、設定されている。そして、この裏側ストラップ部67により、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部47が、ミラー本体28側に圧接されて、裏側ストラップ部67とミラー本体28の右端面28cとによって支持膨張部47を挟持させることができ、また、ピラーカバー部45における左縁45cの前後の中央付近の部位を、収納部位P側に引っ張ることができて、ピラーカバー部45の上方への大きな突出や、フロントピラー1の軸回り方向側での揺動も、抑制できる。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42は、バッグ本体43におけるガス流入口部51を除いた領域を、車外側壁部44aと車体側壁部44bとを平らに展開して重ねた状態から、ケース部33内に収納可能な形状に、折り畳まれることとなる。実施形態の場合、エアバッグ42は、上下方向の幅寸法を縮めるような上下縮小折りと、前後方向の幅寸法を縮めるような前後縮小折りと、を経て、折り畳まれている。
上下縮小折りは、バッグ本体43を、車外側壁部44aと車体側壁部44bとを平らに展開して重ねた状態から、膨張完了時の上端側となるピラーカバー部45の後端45b側(詳細に説明すれば、右縁45dの後端側)を、支持膨張部47の下縁47d側に接近させるように、前後方向に略沿うような折目を付けて、折り畳むことにより、形成される。実施形態では、まず、図10に示すように、車外側壁部44aと車体側壁部44bとを平らに展開して重ねた状態のバッグ本体43において、支持膨張部47の上端付近となる部位(実施形態の場合、区画部55より上方となるピラーカバー部45の領域内であって、前内側ストラップ部64の上側を通る前後方向に略沿った基準線CL)より下方の領域73を、ガス流入口部51の領域を除いて、前後方向に略沿った複数の折目C1を付けて、上下方向の幅寸法を縮めつつ、車外側壁部44a側に載せるように蛇腹折りして、蛇腹折り部位74を形成する(図10及び図11のA参照)。その後、図11のA,Bに示すように、基準線CLより上方の領域76を、前後方向に略沿った複数の折目C2を付けて、上下方向の幅寸法を縮めつつ、ピラーカバー部45の後端45b側(詳細に説明すれば、右縁45dの後端側)を、車体側壁部44b側に向かって巻くように、ロール折りする。そして、このロール折りにより折り畳まれたロール折り部位77を、蛇腹折り部位74の上(車両搭載時における車外側)に載せれば、エアバッグ42のバッグ本体43を上下縮小折りすることができ、バッグ本体43が、上下方向の幅寸法を、ケース部33内に収納可能に縮められることとなる。
実施形態のエアバッグ42では、この上下縮小折りにおいて、前後方向に略沿うような蛇腹折り時の折目C1が、支持膨張部47の下縁47dと略沿うように形成されており、ピラーカバー部45は、この支持膨張部47の下縁47dに対して前下がりに傾斜して、配置されている。そして、実施形態のエアバッグ42では、蛇腹折りとロール折りとの境界となる基準線CLが、前内側ストラップ部64の上側を通って前後方向に略沿うように、配置されていることから、支持膨張部47とピラーカバー部45とを区画する区画部55を含めて、支持膨張部47の全域と、ピラーカバー部45における前半分程度の領域と、が、蛇腹折りされることとなる。また、実施形態のエアバッグ42では、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部47における上側部位48が、側方側から見て、ミラー本体28より上方に位置していることから(図14参照)、換言すれば、実施形態のエアバッグ42は、膨張完了時において、ドアミラー27のミラー本体28の高さを超える領域に、蛇腹折りとロール折りとの境界となる基準線CLを配置させ、ドアミラー27のミラー本体28の高さを超える領域まで、蛇腹折りにより折り畳まれている。
次いで、上下縮小折りバッグ79を、図11のB,Cに示すように、上下方向に略沿った折目C3を付けて、前後方向の幅寸法を縮めつつ、後端79a側の部位を上側(車両搭載時における車外側)に載せるように、蛇腹折りすれば、バッグ本体43を前後縮小折りすることができ、上下,前後方向の幅寸法を、ケース部33内に収納可能に縮められた折り完了体80を、形成することができる。このとき、各前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64,内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67は、それぞれ、挿通孔63b,64b,65b,66b,67bを露出させるように、先端63a,64a,65a,66a,67a側を折り完了体80から引き出しておく(図11のC参照)。実施形態のエアバッグ42では、前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67は、バッグ本体43において蛇腹折りされる領域に配置されていることから、蛇腹折り時に、容易に先端63a,64a,66a,67a側を蛇腹折り部位74から引き出しておくことができる(図11のB参照)。内側ストラップ部65のみ、ロール折りされる領域に配置されるが、この内側ストラップ部65は長尺状とされて、長さ寸法を、ロール折りされる領域の左右の幅寸法より大きく設定されていることから、ロール折り完了後に、先端65a側をロール折り部位77から突出させておくことができる(図11のB参照)。そして、折り完了体80の周囲に、折り崩れ防止可能なテープ材等からなる図示しないラッピング材を配置させれば、エアバッグ42の折り畳みを完了することができる。
次いで、折り完了体80を、ガス流入口部51を図示しない開口から下方に突出させるようにして、ケース部33内に収納させ、テザー62の先端(前側ストラップ部63,前内側ストラップ部64,内側ストラップ部65,下側ストラップ部66,裏側ストラップ部67の先端63a,64a,65a,66a,67a)を、取付部材30及びケース部33にボルト69,70止めする。その後、ケース部33から突出しているガス流入口部51を、クランプ40を利用して、インフレーター37に接続させ、インフレーター37をアウタリインホースメント20にボルト38a止めすれば、エアバッグ装置Mを、ドアミラー27の取付部材30に取り付けることができる。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、車両Vへの搭載後、インフレーター37が作動されれば、インフレーター37から吐出される膨張用ガスがエアバッグ42内に流入して、膨張するエアバッグ42が、エアバッグカバー35の扉部35aを押し開き、扉部35aを押し開いて形成される開口から突出して、図1〜3の二点鎖線、及び、図14〜16に示すように、膨張を完了させることとなる。
そして、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、上下方向の幅寸法を縮めるような上下縮小折りにおいて、支持膨張部47の上端付近より下方となる領域を、蛇腹折りにより、折り畳んでいることから、折りを迅速に解消しつつ展開させることができる。そのため、エアバッグ42の膨張初期に、図12のA,Bに示すように、この支持膨張部47の領域(蛇腹折り部位74)を、ピラーカバー部45をロール折りして構成されるロール折り部位77を上方に押し上げつつ、収納部位から上方に向かって突出させるように、迅速に展開させることができて、ロール折り部位77が、近接して配置されるドアミラー27のミラー本体28と干渉することを抑制することができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ピラーカバー部45を折り畳んで形成されるロール折り部位77が、ピラーカバー部45の後端45bを車体側壁部44b側に巻くようなロール折りにより、折り畳まれていることから、展開膨張時に、ピラーカバー部45が、内部に膨張用ガスを流入させて、フロントピラー1の前面1aに沿って折りを解消しつつ、展開することとなる(図13のA参照)。そのため、展開するピラーカバー部45が、フロントピラー1の前面1aから上方に離れるように展開することを抑制でき、ピラーカバー部45によって、迅速にフロントピラー1の前面1aを覆うことができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、ドアミラー27の上面側におけるドアミラー27のミラー本体28と、車両の側面を構成するサイドウィンド14と、の間の隙間Hに進入するように配置される支持膨張部47を有しており、この支持膨張部47は、少なくとも、車外側の面となる車外側壁部44aを、ミラー本体28の車内側Iの端面(右端面28c)に当接させるように配置される構成である。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の膨張完了時に、支持膨張部47が、ミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間H内において、車外側の面を、ミラー本体28により支持されることとなる。また、この支持膨張部47は、エアバッグ42の膨張完了時に、フロントピラー1の前面1aを覆うように配置されるピラーカバー部45の下方に配置されるとともに、前後の略全域にわたって、ピラーカバー部45の下縁(左縁45c)側に連結される構成である。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の膨張完了時に、ドアミラー27におけるミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入させるように配置されて車外側Oをミラー本体28に支持される支持膨張部47により、フロントピラー1の前面1a側を覆っているピラーカバー部45の車外側下面を、支持膨張部47の前後方向の長さ分の幅広いエリアで支持させることができる。実施形態の場合、支持膨張部47によって、ピラーカバー部45の前半分の領域の車外側下面が、支持されることとなる。その結果、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ピラーカバー部45が、歩行者の受け止め時において、歩行者によって強く押されることとなっても、車外側Oへ大きく横ずれすることを、防止することができる。
したがって、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ピラーカバー部45を、ドアミラー27との干渉を抑えて迅速に展開させることができ、かつ、エアバッグ42の膨張完了時に、歩行者を受け止めた際のピラーカバー部45の横ずれを的確に抑制することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42を、膨張完了時において、ドアミラー27におけるミラー本体28の高さを超える領域まで、蛇腹折りにより折り畳んでいることから、エアバッグ42の膨張初期に、ロール折り部位77がドアミラー27のミラー本体28と干渉することを一層的確に防止できる。勿論、このような点を考慮しなければ、エアバッグを、膨張完了時に、ロール折りと蛇腹折りとの境界となる基準線を、ミラー本体の上面より下方に位置させるように、膨張完了時にミラー本体の上面より下方に位置することとなる下側の領域のみを蛇腹折りにより折り畳む構成としてもよい。
さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42を、上下縮小折りと、前後方向の幅寸法を縮めるような前後縮小折りと、により、折り畳んで、収納部位P(ケース部33)内に収納させている。そのため、折り畳まれたエアバッグ42(折り完了体80)の外形形状をコンパクトにすることができ、ドアミラー27における取付ベース29からなる小さな収納部位P内に、収納させることができる。勿論、このような点を考慮せず、エアバッグを前後に長い領域で収納させることが可能なタイプの車両に搭載する場合には、エアバッグを、前後縮小折りを経ず、上下縮小折りのみによって折り畳んで、収納部位に収納させる構成としてもよい。
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42が、車体側壁部44b側に配置されるとともに、支持膨張部47の上縁47c側から延びて、先端67aを収納部位P側に取り付けられる裏側ストラップ部67を、備えている。そのため、エアバッグ42の展開膨張時に、支持膨張部47の車体側壁部44b側(裏面側)に配置される裏側ストラップ部67が、支持膨張部47を、ドアミラー27におけるミラー本体28の右端面28c側に押し付けるような態様となる。換言すれば、エアバッグ42の展開膨張時に、支持膨張部47の左右両側を、図16に示すように、ドアミラー27のミラー本体28と裏側ストラップ部67とによって挟持するようにして、安定して支持させることができる。また、裏側ストラップ部67が、支持膨張部46の上縁47c側と収納部位Pとを連結させていることから、バッグ本体43の膨張初期に、ピラーカバー部45において、支持膨張部46との境界部位付近となる外縁(左縁45c)側が、上方に向かって大きく突出することも、抑制することが可能となって、ピラーカバー部45によって、フロントピラー1の前面1aを迅速に覆うことができる。さらに、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42を、上下縮小折り後に、前後縮小折りさせていることから、支持膨張部47の上縁47c側、換言すれば、支持膨張部47とピラーカバー部45との境界部位から延びるような裏側ストラップ部67を有していても、エアバッグ42を折り畳んだ後、裏側ストラップ部67の先端67aを、挿通孔67bを露出させるように、折り完了体80から引き出しておくことができ、エアバッグ42(折り完了体80)を車両に搭載させる際に、裏側ストラップ部67の先端67aを収納部位P側に取り付ける取付作業性が良好である。
さらにまた、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42内に、先端60a側を開口されて、膨張用ガスを供給するインフレーター37から吐出される膨張用ガスを案内するインナチューブ60を配設させ、このインナチューブ60を、開口60bをピラーカバー部45の領域内に配置させて、まず、ピラーカバー部45内に膨張用ガスを流入させ、その後、支持膨張部47内に膨張用ガスを流入させるように、構成している。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42は、インフレーター37から吐出される膨張用ガスを内部に流入させると、まず前後縮小折りによる折りを解消され、前後に広く展開した状態で、上下縮小折りによる折りを解消されるように展開膨張することとなるが、この前後縮小折りの解消時には、インナチューブ60内にのみ膨張用ガスが流入していることから、内部に膨張用ガスを殆ど流入させない薄い状態で、バッグ本体43を前後に広く展開させることができる。
そして、蛇腹折り部位74の折りの解消時にも、支持膨張部47の前方に配置されるガス供給路部50のみが、インナチューブ60内に膨張用ガスを流入させて厚く膨張し、膨張用ガスは、インナチューブ60を経てピラーカバー部45内に流入することから、蛇腹折りされている支持膨張部47の領域は、内部に殆ど膨張用ガスを流入させない状態で、折りを解消されるように展開することとなる(図12のB,図13のA参照)。そのため、支持膨張部47を、内部にあまり膨張用ガスを流入させていない薄い状態で、ミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入させることができ、仮に、ミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hが狭い場合にも、この狭い隙間Hに、支持膨張部47を円滑に進入させることができる。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、図13のBに示すように、ピラーカバー部45が、内部に膨張用ガスを流入させて、フロントピラー1の前面1aを覆うように膨張を略完了させた後に、支持膨張部47が、インナチューブ60と区画部55の端末部55aとの間の隙間から内部に膨張用ガスを流入させて、膨張することとなる。
すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の展開膨張時に、ピラーカバー部45が、支持膨張部47に先行して膨張を完了させる構成であることから、ピラーカバー部45の膨張途中に、膨張する支持膨張部47がピラーカバー部45を上方に押し上げるような挙動を抑制することができる。そのため、ピラーカバー部45が、このような支持膨張部47の挙動を受けて左右方向(車内外方向)側へぶれることも抑制されることから、膨張するピラーカバー部45によって、フロントピラー1の前面1aを迅速かつ円滑に広く覆うことができる。また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、ピラーカバー部45の膨張が完了して、安定してフロントピラー1の前面1aを覆うように配置された後に、支持膨張部47が内部に膨張用ガスを流入させて膨張することから、支持膨張部47を、安定して、円滑にミラー本体28の右端面28cとサイドウィンド14との間の隙間Hに進入させるように膨張させることができる。そして、このように支持膨張部47内への膨張用ガスの流入が遅くとも、実施形態では、支持膨張部47の領域内に接合部57を設けて、支持膨張部47の容積を小さくしていることから、支持膨張部47を迅速に膨張させることができる。
なお、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42の膨張完了時において、実際にミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入して配置される支持膨張部47のセル49bの部位は、支持膨張部47の領域内に接合部57を配置させることにより、厚さを、隙間Hの開口幅寸法より小さくして(図18参照)、薄く形成されるものの、このセル49bの裏面側(車体側壁部44b側)に配置される裏側ストラップ部67が、このセル49bを、ミラー本体28の右端面28c側に押し付けるような態様となることから、支持膨張部47の車外側Oを、ミラー本体28に支持させることができ、支持膨張部47(セル49b)が、ミラー本体28とサイドウィンド14との間で、車内外方向にぶれることを、的確に防止できる。
なお、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部47の領域内に、接合部57を配設させて、実際にミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入して配置されるセル49bの部位の厚さが薄いものの、支持膨張部47の領域内に形成される接合部57は、支持膨張部47の下側の領域において、周縁部54の外側部位54dから上方に延びるように形成されている。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部47が、ピラーカバー部45側となる上部側の領域(上側部位48)を、エアバッグ42の膨張完了時において、ピラーカバー部45に略沿った棒状として厚く膨張させるとともに、ピラーカバー部45から離れた下側となる下側部位49を、接合部57により区画させて、それぞれ、上下方向に略沿うような棒状の2つのセル49a,49bを前後で並設させた構成としている。すなわち、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部47が、上側部位48によって、ピラーカバー部45の車外側下面を、広いエリアで安定して支持することができ、かつ、下端側の部位(下側部位49)に前後で並設される上下方向に沿うような棒状の2つのセル49a,49bにより、上下方向側で屈曲され難い。そのため、実施形態のエアバッグ装置Mでは、実際にミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入して配置されるセル49bの部位の厚さが薄くとも、剛性を高められた支持膨張部47によって、ピラーカバー部45の車外側下面を、広く安定して、かつ、強固に支持することができる。
また、実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部47は、下縁47d側も、ドアミラー27における取付ベース29の上面29aと当接されている(図18参照)。すなわち、支持膨張部47は、膨張完了時に、ドアミラー27の取付ベース29によって下方を支持されることから、後端47b付近(セル49bの下方)に配置される下側ストラップ部66とともに、支持膨張部47自体の車外側下方への落ち込みを防止することができ、支持膨張部47によって、ピラーカバー部45の車外側下面を的確に支持することができる。
実施形態のエアバッグ装置Mでは、支持膨張部47の領域に接合部57を配置させることにより、エアバッグ42の膨張完了時において、実際にミラー本体28とサイドウィンド14との間の隙間Hに進入して配置される支持膨張部47のセル49bの部位が、厚さを、隙間Hの開口幅寸法より小さくして、薄く形成されているが、勿論、エアバッグとして、支持膨張部の領域に接合部を配設させない構成のものを使用してもよい。支持膨張部に接合部を配設させない構成のエアバッグの場合、支持膨張部においてミラー本体とサイドウィンドとの間の隙間に配置される部位を、膨張完了時の厚さ寸法を隙間の開口幅寸法より大きくして、この隙間に嵌合されるように配置させることも可能となる。支持膨張部をこのような構成とする場合、エアバッグに裏側ストラップ部を形成しなくともよい。また、支持膨張部の膨張完了時の下縁側を、必ずしもドアミラーにおける取付ベースの上面と当接させなくともよく、逆に、膨張した支持膨張部が、隙間に嵌合されている部位の上側となる一部を、ミラー本体の車内側面より車外側に突出させて、ミラー本体自体の車内側の上面に載置させるような構成としてもよい。
なお、実施形態のエアバッグ装置Mでは、エアバッグ42を、車外側壁部44aと車体側壁部44bとの所定箇所を縫合糸を用いた縫着によって接合させることにより、袋状としているが、車体側壁部及び車外側壁部の結合手段はこれに限られるものではなく、接着剤等を使用して基布相互を接着させてもよく、さらには、袋織りによりエアバッグを製造してもよい。
また、実施形態では、エアバッグ装置Mは、ドアミラー27における取付ベース29の部位に、搭載されているが、エアバッグ装置の搭載位置はこれに限られるものではなく、ドアミラーの前側付近のフロントドアや、ドアミラーの前側付近であってフロントドアの前方に位置する車両のボディ側の部位に、エアバッグ装置を搭載させてもよい。