JPH059215A - ポリオレフインの製造方法 - Google Patents

ポリオレフインの製造方法

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JPH059215A
JPH059215A JP3187083A JP18708391A JPH059215A JP H059215 A JPH059215 A JP H059215A JP 3187083 A JP3187083 A JP 3187083A JP 18708391 A JP18708391 A JP 18708391A JP H059215 A JPH059215 A JP H059215A
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    • C08F10/00Homopolymers and copolymers of unsaturated aliphatic hydrocarbons having only one carbon-to-carbon double bond

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Abstract

(57)【要約】 【構成】金属Mgと水酸化有機化合物、およびMgの酸
素含有有機化合物から選ばれた少なくとも1員、少なく
とも1種以上のTiの酸素含有有機化合物と、少なくと
も1種以上のSi化合物とを含有する均一溶液に、少な
くとも1種以上のハロゲン化有機Al化合物を反応させ
て得られる固体複合体と、更に、周期律表のIa,II
a,IIb,IIIbおよびIVb族金属から選ばれた
少なくとも1種以上の有機金属化合物との存在下で、少
なくとも1種のα−オレフィンを予備重合させて調製し
た触媒成分と、周期律表のIa,IIa,IIb,II
IbおよびIVb族金属の有機金属化合物から選ばれた
少なくとも1種以上からなる触媒系の存在下で、少なく
とも1種のα−オレフィンを重合させることを特徴とす
るポリオレフィンの製造方法。 【効果】密度範囲および重合方法に依存することなく一
つの触媒系で高い生産性と高活性で生産できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な触媒系の存在下
に少なくとも1種のオレフィンを重合させるポリオレフ
ィンの製造方法に関する。さらに詳しくは、優れた品質
のポリオレフィンを密度範囲および重合方法に依存する
ことなく一つの触媒系で高い生産性と高活性で生産でき
るポリオレフィンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オレフィンの低圧重合に、遷移金属化合
物と有機金属化合物からなる触媒系を用いることは既に
知られており、工業的に広く使用されている。
【0003】このオレフィン低圧重合で得られるポリオ
レフィンは、密度を制御することにより比較的低密度で
透明性や柔軟性などに優れるもの、例えば線状低密度ポ
リエチレン、から高密度で剛性などに優れるもの、例え
ば高密度ポリエチレンやアイソタクチックポリプロピレ
ンなど、まで幅広く製造できることも知られている。こ
れらに適した触媒系については産学において多方面から
研究されており数多くの提案がなされている。
【0004】一方、上記触媒系を用いた低圧重合の方法
は、溶媒を使用することにより副生物の除去を溶媒で行
うことができる利点を持つ方法、例えばスラリー重合法
など、や溶媒を使用せずエネルギー的に有利な気相重合
法などが知られている。各重合方法における工業的生産
性は、得られるポリオレフィンの品質に加えてポリオレ
フィン粒子の性状が大きく関与する。より具体的には、
得られるポリオレフィン粒子の嵩密度、平均粒径、粒度
分布、微細粒子割合などが良好でないとプロセス的にト
ラブルを引き起こし生産性を低下させる原因となる。従
って、各重合方法に適した触媒系について粒子性状を良
くするために、既に数多くの提案がなされている。
【0005】しかしながら、従来の提案は特定の密度範
囲と特定の重合方法を組み合わせた技術に関しての提案
であった。このため、近年の市場におけるポリオレフィ
ンの多様性の対応するには、ポリオレフィン製造業者は
密度範囲と重合方法に応じてそれぞれに適した触媒系を
適宜選択・使用する必要があった。すなわち、このよう
な従来の技術では密度範囲の多様性と重合方法の多様性
に対し、多数の触媒系を保有しなければならず、工業的
に不利なものであった。
【0006】そこで、本発明者らは一つの触媒系で全て
の密度範囲のポリオレフィンを任意の重合方法で製造可
能とするため検討を加えてきた。
【0007】例えば、本発明者らは特公昭52−151
10号において、マグネシウム金属と水酸化有機化合物
またはマグネシウムの酸素含有有機化合物、遷移金属の
酸素含有有機化合物、およびアルミニウムハロゲン化物
を反応させて得られる触媒成分(A)と有機金属化合物
の触媒成分(B)とからなる活性の高い触媒系を開示し
た。しかしながら、これらの触媒系をスラリー重合法や
気相重合法に適用した場合、得られる重合体粒子は、平
均粒径が小さかったり粒度分布が広かったりして、重合
体粒子中に含まれる微細粒子の割合が多く、粉体特性の
点ではいまだ不十分なものであった。
【0008】さらに、本発明者らは特公昭52−151
10号などに開示された触媒成分(A)の原料にケイ素
化合物を加えて使用することにより、重合体の粒径を大
きくできることを見い出し、特公昭62−58367号
として提案したが、粒度分布の改善までには至らなかっ
た。
【0009】また、特公昭52−15110号などに開
示した触媒成分(A)の原料を、有機アルミニウム化合
物で部分的に還元を行い、次いでケイ素化合物を反応さ
せ、さらにハロゲン化アルミニウム化合物で反応させる
ことにより、粒度分布の改善を果たすことを見い出し、
特許出願した。(特開昭60−262802号)しかし
ながら、この方法では粒径が充分に大きくなく、また触
媒粒子が輸送段階や重合段階において崩壊し易いもので
あった。加えて、気相重合においては重合体が微粉体に
なるだけでなく活性も低下し改良の余地が残された。
【0010】ところで、この粉体特性を改善する解決策
もいくつか提案されている。例えば、特公昭52−49
026号は、3価のチタンのハロゲン化物を有機アルミ
ニウム化合物で活性化し、炭素数2から6のオレフィン
で処理する、いわゆる予備重合を行うことを提案してい
る。しかしながら、この方法では触媒活性が不十分であ
り、またポリオレフィン粒子の性状も不満足なものであ
る。
【0011】そこで、本発明者らは、この予備重合の技
術を前述した特開昭60−262802号に開示した触
媒に施して気相重合を行ってみたが、比較例に示す通り
活性および粉体特性、共に満足のいくものではなかっ
た。
【0012】すなわち、予備重合の技術は、任意の触媒
系に対して有効なものとは考えにくい。このことに関し
て、例えば特開昭59−219311号は、マグネシウ
ム、遷移金属およびハロゲンを必須成分とする固体状遷
移金属触媒をα−オレフィンで予備重合させることで触
媒が微粒化され、得られる重合体も微粉体になることを
開示しており、予備重合技術が特定の触媒に対して特定
の効果を発現することを示すものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一つ
の触媒系で全ての密度範囲のポリオレフィンを任意の重
合方法により高い生産性で製造可能とすることである。
さらに詳しくは、スラリー重合法および気相重合法にお
いて、高密度から低密度までのポリオレフィンを高い触
媒活性でしかも嵩密度が高く、粒度分布が狭く、粒径が
大きいという良好なポリオレフィン粒子を製造する方法
を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明者らが
前記の目的を達成するために鋭意検討を行った結果、特
定の成分を持つ固体複合体を少なくとも1種のα−オレ
フインで予備重合して得られる固体触媒成分と有機金属
化合物を組み合わせることによりスラリー重合法および
気相重合において、嵩密度、粒度分布、粒径の粉体特性
に優れた重合体が得られることを見い出し、本発明を完
成させるに至った。
【0015】すなわち、本発明は、 (A)成分として(i)金属マグネシウムと水酸化有機
化合物、およびマグネシウムの酸素含有有機化合物から
選ばれた少なくとも1員、(ii)少なくとも1種以上
のチタンの酸素含有有機化合物と、(iii)少なくと
も1種以上のケイ素化合物とを含有する均一溶液に、
(iv)少なくとも1種以上のハロゲン化有機アルミニ
ウム化合物を反応させて得られる固体複合体と、更に、
(v)周期律表の第Ia,IIa,IIb,IIIbお
よびIVb族金属から選ばれた少なくとも1種以上の有
機金属化合物との存在下で、(vi)少なくとも1種の
α−オレフィンを予備重合させて調製した触媒成分、 (B)成分として周期律表の第Ia,IIa,IIb,
IIIbおよびIVb族金属の有機金属化合物から選ば
れた少なくとも1種以上からなる触媒系の存在下で、少
なくとも1種のα−オレフィンを重合させることを特徴
とするポリオレフィンの製造方法である。
【0016】
【作用】本発明において固体触媒成分(A)の調製に用
いる反応剤である前記(i)の金属マグネシウムと水酸
化有機化合物およびマグネシウムの酸素含有有機化合物
としては、以下のものがあげられる。
【0017】まず、金属マグネシウムと水酸化有機化合
物とを使用する場合において、金属マグネシウムとして
は各種の形状、すなわち粉末,粒子,箔またはリボンな
どのいずれの形状のものも使用でき、また水酸化有機化
合物としては、アルコール類,有機シラノール,フェノ
ール類が適している。
【0018】アルコール類としては、1〜18個の炭素
原子を有する直鎖または分岐鎖脂肪族アルコール,脂環
式アルコールまたは芳香族アルコールが使用できる。例
としては、メタノール,エタノール,n−プロパノー
ル,i−プロパノール,n−ブタノール,i−ブタノー
ル,n−ヘキサノール,2−エチルヘキサノール,n−
オクタノール,i−オクタノール,n−ステアリルアル
コール,シクロペンタノール,シクロヘキサノール,エ
チレングリコールなどがあげられる。
【0019】また、有機シラノールとしては少なくとも
1個のヒドロキシル基を有し、かつ、有機基は1〜12
個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する
アルキル基,シクロアルキル基,アリールアルキル基,
アリール基,アルキルアリール基および芳香族基から選
ばれる。例えば、トリメチルシラノール,トリエチルシ
ラノール,トリフェニルシラノール,t−ブチルジメチ
ルシラノールなどがあげられる。
【0020】さらに、フェノール類としてはフェノー
ル,クレゾール,キシレノール,ハイドロキノンなどが
あげられる。
【0021】これらの水酸化有機化合物は、単独または
2種類以上の混合物として使用される。単独で使用する
ことはもちろん良いが、2種類以上の混合物として使用
すると、重合体の粉体特性などに特異な効果を醸し出す
ことがある。
【0022】加うるに、金属マグネシウムを使用して本
発明で述べる固体複合体を得る場合、反応を促進する目
的から、金属マグネシウムと反応したり、付加化合物を
生成したりするような物質、例えばヨウ素,塩化第2水
銀,ハロゲン化アルキル,有機酸エステルおよび有機酸
などのような極性物質を、単独または2種類以上添加す
ることが好ましい。
【0023】次に、マグネシウムの酸素含有有機化合物
に属する化合物としては、マグネシウムアルコキシド
類、例えば、メチレート,エチレート,イソプロピレー
ト,デカノレート,メトキシエチレートおよびシクロヘ
キサノレート,マグネシウムアルキルアルコキシド類、
例えばエチルエチレート,マグネシウムヒドロアルコキ
シド類、例えばヒドロキシメチレート,マグネシウムフ
ェノキシド類、例えばフェネート,ナフテネート,フェ
ナンスレネートおよびクレゾレート,マグネシウムカル
ボキシレート類、例えばアセテート,ステアレート,ベ
ンゾエート,フェニルアセテート,アジペート,セバケ
ート,フタレート,アクリレートおよびオレエート,オ
キシメート類、例えばブチルオキシメート,ジメチルグ
リオキシメートおよびシクロヘキシルオキシメート,ヒ
ドロキサム酸塩類、ヒドロキシルアミン塩類、例えばN
−エトロソ−N−フェニル−ヒドロキシルアミン誘導
体,エノレート類、例えばアセチルアセトネート,マグ
ネシウムシラノレート類、例えばトリフェニルシラノレ
ート,マグネシウムと他の金属との錯アルコキシド類、
例えばMg[Al(OCがあげられる。
これらの酸素含有有機マグネシウム化合物は、単独また
は2種類以上の混合物として使用される。
【0024】前記(ii)の反応剤であるチタンの酸素
含有有機化合物としては、一般式〔TiO(OR
で表される化合物が使用される。ただし、該一般
式においてRは炭素数1〜20、好ましくは1〜10
の直鎖または分岐鎖アルキル基,シクロアルキル基,ア
リールアルキル基,アリール基およびアルキルアリール
基などの炭化水素基を表わし、aとbとは、a≧0でb
>0でチタンの原子価と相容れるような数を表わし、m
は整数を表わす。なかんずく、aが0≦a≦1でmが1
≦m≦6であるような酸素含有有機化合物を使うことが
望ましい。
【0025】具体的な例としては、チタンテトラエトキ
シド,チタンテトラ−n−プロポキシド,チタンテトラ
−i−プロポキシド,チタンテトラ−n−ブトキシド,
ヘキサ−i−プロポキシジチタネートなどがあげられ
る。いくつかの異なる炭化水素基を有する酸素含有有機
化合物の使用も、本発明の範囲に入る。これらのチタン
の酸素含有有機化合物は単独または2種類以上の混合物
として使用する。
【0026】前記(iii)の反応剤であるケイ素化合
物としては、次に示すポリシロキサンおよびシラン類が
用いられる。
【0027】ポリシロキサンとしては、下記一般式 −(Si(R)(R)−O)p − (式中、RおよびRは炭素数1〜12のアルキル
基、アリール基などの炭化水素基、水素、ハロゲン、炭
素数1〜12のアルコキシ基、アリロキシ基、脂肪酸残
基などのケイ素に結合しうる原子または残基を表わし、
およびRは同種、異種のいずれでもよく、pは通
常2〜10、000の整数を表わす)で表わされる繰返
し単位の1種または2種以上を、分子内に種々の比率、
分布で有している鎖状、環状あるいは三次元構造を有す
るシロキサン重合物(ただし、すべてのRおよびR
が、水素あるいはハロゲンである場合は除く)があげら
れる。
【0028】具体的には、鎖状ポリシロキサンとして
は、例えばヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルト
リシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリ
シロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルヒド
ロポリシロキサン、エチルヒドロポリシロキサン、ブチ
ルヒドロポリシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサ
ン、オクタフェニルトリシロキサン、ジフェニルポリシ
ロキサン、フェニルヒドロポリシロキサン、メチルフェ
ニルポリシロキサン、1,5−ジクロロヘキサメチルト
リシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシ
ロキサン、ジメトキシポリシロキサン、ジエトキシポリ
シロキサン、ジフェノキシポリシロキサンなどがあげら
れる。
【0029】環状ポリシロキサンとしては、例えばヘキ
サメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテ
トラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、
2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,
4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン、ト
リフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、テトラフ
ェニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフ
ェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテ
トラシロキサンなどがあげられる。
【0030】三次元構造を有するポリシロキサンとして
は、例えば上記の鎖状または環状のポリシロキサンを加
熱などにより架橋構造を持つようにしたものなどをあげ
ることができる。
【0031】これらのポリシロキサンは、取扱上液状で
あることが望ましく、25℃における粘度が1〜100
00センチトークス、好ましくは、1〜1000センチ
トークスの範囲であることが望ましい。しかし、液状に
限る必要はなく、シリコングリースと総括的に呼ばれる
ような固形物であってもさしつかえない。
【0032】シラン類としては、一般式HSi
(式中Rは、炭素数1〜12のアルキル基、ア
リール基等の炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ
基、アリロキシ基、脂肪酸残基などのケイ素に結合しう
る基を表わし、各Rは互いに異種または同種であって
もよく、Xは互いに異種または同種のハロゲン原子を示
し、q、sおよびtは0以上の整数、rは自然数であっ
てq+s+t=2r+2または2rである)で表わされ
るケイ素化合物があげられる。
【0033】具体的には、例えばトリメチルフェニルシ
ラン、ジメチルジフェニルシラン、アリルトリメチルシ
ランなどのシラ炭化水素、ヘキサメチルジシラン、オク
タフェニルシクロテトラシランなどの鎖状および環状の
有機シラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチ
ルシランなどの有機シラン、四塩化ケイ素、四臭化ケイ
素などのハロゲン化ケイ素、ジメチルジクロロシラン、
ジエチルジクロロシラン、n−ブチルトリクロロシラ
ン、ジフェニルジクロロシラン、トリエチルフルオロシ
ラン、ジメチルジブロモシランなどのアルキルおよびア
リールハロゲノシラン、トリメチルメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジフェ
ニルジエトキシシラン、テトラメチルジエトキシジシラ
ン、ジメチル・テトラエトキシジシランなどのアルコキ
シシラン、ジクロロジエトキシシラン、ジクロロジフェ
ニルシラン、トリブロモエトキシシランなどのハロアル
コキシおよびフェノキシシラン、トリメチルアセトキシ
シラン、ジエチルジアセトキシシラン、エチルトリアセ
トキシシランなどの脂肪酸残基を含むシラン化合物など
があげられる。
【0034】好ましくは、ジメチルポリシロキサン、メ
チルヒドロポリシロキサンなどの鎖状ポリシロキサン
や、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシランなどのアルコキシシランなど
である。
【0035】上記の有機ケイ素化合物は単独で用いても
よく、また2種以上を混合あるいは反応させて使用する
こともできる。
【0036】前記(iv)の反応剤であるハロゲン化有
機アルミニウム化合物としては、一般式R AlX
3−zで示されるものが使用される。ただし、該一般式
においてRは1〜20個、好ましくは1〜8個の炭素
原子を有する炭化水素基を表わし、Xはハロゲン原子を
表わし、zは0<z<3の数、好ましくは0<z≦2の
数を表わす。またR5は直鎖または分岐鎖アルキル基、
シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基お
よびアルキルアリール基から選ばれることが好ましい。
【0037】ハロゲン化有機アルミニウム化合物の具体
例としては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライ
ド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミ
ニウムブロマイド、ジプロピルアルミニウムクロライ
ド、エチルアルミニウムジクロライド、i−ブチルアル
ミニウムジクロライド、メチルアルミニウムセスキクロ
ライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、i−ブ
チルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニ
ウムと三塩化アルミニウムの混合物などがあげられる。
【0038】上記ハロゲン化有機アルミニウム化合物
は、単独または2種類以上の混合物として使用すること
ができる。粉体性状を良くするためには2種類以上の混
合物を用いることが好ましい。
【0039】本発明の固体触媒を製造する場合の反応剤
(i)、(ii)、(iii)の反応順序は、化学反応
を生じる限り任意の順序で有り得る。たとえば、マグネ
シウム化合物とチタン化合物の混合物にケイ素化合物を
加える方法、マグネシウム化合物、チタン化合物、ケイ
素化合物を同時に混合する方法、マグネシウム化合物と
ケイ素化合物に、チタン化合物を加える方法等が挙げら
れる。このような方法によりケイ素化合物を含有する均
一なMg−Ti溶液を得ることができる。
【0040】次いで、このMg−Ti溶液に反応剤(i
v)を加えることで本発明において用いられる固体複合
体を得ることができる。
【0041】これらの反応は、液体媒体中で行うことが
好ましい。そのため特にこれらの反応剤自体が操作条件
で液状でない場合、または液状反応剤の量が不十分な場
合には、不活性有機溶媒の存在下で行うべきである。不
活性有機溶媒としては、当該技術分野で通常用いられる
ものはすべて使用できるが、脂肪族、脂環族もしくは芳
香族炭化水素類またはそれらのハロゲン誘導体あるいは
それらの混合物があげられ、例えば、イソブタン、ヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、モノクロロベンゼンなどが好ましく用い
られる。
【0042】本発明で用いる反応剤の使用量は特に制限
されないが、前記(i)のマグネシウム化合物中のMg
のグラム原子と前記(ii)のチタン化合物中のTiの
グラム原子との原子比は、1/20≦Mg/Ti≦10
0、好ましくは、1/5≦Mg/Ti≦ 10である。
この範囲をはずれてMg/Tiが大きすぎると、触媒調
製の際に均一なMg−Ti溶液を得ることが困難になっ
たり、重合の際に触媒の活性が低くなるおそれがある。
逆に小さすぎても触媒の活性が低くなる傾向があり、製
品が着色するなどの問題を生ずることがある。
【0043】前記(iii)のケイ素化合物中のSiの
グラム原子と前記(i)のマグネシウム化合物中のMg
のグラム原子との原子比は、1/20≦Mg/Si≦1
00、好ましくは1/10≦Mg/Si≦10の範囲に
なるように使用量を選ぶことが好ましい。この範囲をは
ずれてMg/Siが大きすぎると粉体特性の改良が十分
なされないことがある。逆に小さすぎると触媒の活性が
低くなるおそれがある。 本発明においては、前記(i
v)のハロゲン化有機アルミニウムの種類及び使用量が
適切に選択され、均一なMg−Ti溶液から固体複合体
を析出させるにあたり、特に反応初期に生成する結晶核
の制御が適宜行なわれる。Mg−Ti溶液と反応剤
(iv)との1段階の反応で行なうこともできるが、2
段階に分けることが特に好ましい。すなわち、2段階に
分けた場合、前段では結晶核の析出反応を、後段では前
段で析出した結晶核の成長反応を行う。このためには前
段と後段で用いる反応剤(iv)の種類及び使用量をそ
れぞれの段階に適したものとすることが必要である。よ
り具体的には、前段の反応においては、R AlX
3−zのZは1≦Z≦2、Mgに対する使用量(モル
比)は0.1〜2.5、後段の反応においては各々0<
Z<2、0.5〜20とすることが特に好ましい。
【0044】各段階の反応条件は特に限定的ではない
が、−50〜300℃、好ましくは0〜200℃なる範
囲の温度で、0.5〜50時間、好ましくは1〜6時
間、不活性ガス雰囲気中で常圧または加圧下で行われ
る。
【0045】かくして得た固体複合体は、残存する未反
応物および副生成物を除去することなく、または濾過や
傾斜法により除去してから、不活性有機溶媒中に懸濁し
た後に予備重合を行う。
【0046】予備重合は100℃以下の温度で固体複合
体と有機金属化合物の存在下でα−オレフィンを接触さ
せて行う。固体複合体を予備重合させるα−オレフイン
としては、エチレン,プロピレン,1−ブテン,1−ペ
ンテン,3−メチル−1−ペンテン,2−メチル−1−
ペンテン,4−メチル−1−ペンテン,1−オクテンな
どがあげられる。固体複合体の予備重合にはこれらのα
−オレフィンを単独、または2種類以上用いても良い。
【0047】前記(v)の周期律表の第Ia,IIa,
IIb,IIIb,IVb族金属の有機金属化合物とし
ては、リチウム,マグネシウム,亜鉛,スズまたはアル
ミニウムなどの金属と有機基とからなる有機金属化合物
があげられる。
【0048】上記の有機基としては、アルキル基を代表
としてあげることができる。このアルキル基としては直
鎖または分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基が用いら
れる。具体的には、例えばn−ブチルリチウム,ジエチ
ルマグネシウム,ジエチル亜鉛,トリメチルアルミニウ
ム,トリエチルアルミニウム,トリ−i−ブチルアルミ
ニウム,トリ−n−ブチルアルミニウム,トリ−n−デ
シルアルミニウム,テトラエチルスズあるいはテトラブ
チルスズなどがあげられる。なかんずく、直鎖または分
岐鎖の炭素数1〜10のアルキル基を有するトリアルキ
ルアルミニウムの使用が好ましい。
【0049】有機金属化合物としては、このほか炭素数
1〜20のアルキル基を有するアルキル金属水素化物を
使用することができる。このような化合物としては、具
体的には、ジイソブチルアルミニウム水素化物,トリメ
チルスズ水素化物などをあげることができる。また炭素
数1〜20のアルキル基を有するアルキル金属ハライ
ド、例えばエチルアルミニウムセスキクロライド,ジエ
チルアルミニウムクロライド,ジイソブチルアルミニウ
ムクロライドあるいはアルキル金属アルコキシド、例え
ばジエチルアルミニウムエトキシドなども使用できる。
【0050】なお、炭素数1〜20のアルキル基を有す
るトリアルキルアルミニウムあるいはジアルキルアルミ
ニウム水素化物と炭素数4〜20のジオレフィンとの反
応により得られる有機アルミニウム化合物、例えばイソ
プレニルアルミニウムのような化合物を使用することも
できる。
【0051】上記の有機金属化合物は単独で用いてもよ
く、また2種以上を混合あるいは反応させて使用するこ
ともできる。また、分子量、立体規則性制御の目的で電
子供与性化合物を用いても良い。
【0052】電子供与性化合物を用いる場合、その化合
物としては、有機酸エステル,ケイ素の酸素含有有機化
合物,窒素含有有機化合物などが適当である。具体的に
は、安息香酸エチル,トルイル酸エチル,テトラエトキ
シシラン,ジフェニルジメトキシシラン,ジフェニルア
ミンなどがあげられる。
【0053】予備重合により用いるα−オレフィンの総
量は、好ましくは固体複合体1重量部当り0.001〜
20重量部以下であり、特に好ましくは0.01〜10
重量部の範囲である。α−オレフィンの吸収量が少なす
ぎると触媒の粒径が十分でなくなる傾向があり、多いと
固体複合体粒子が互着することがある。この接触処理は
気相中または無溶媒で、あるいは不活性有機溶媒の存在
下で行うことができる。不活性有機溶媒の存在下で行う
場合、該有機溶媒は、固体複合体の製造に用いたものと
同様なものが用いられる。
【0054】接触条件は特に限定されないが、酸素、水
分などが実質的にない状態で行う必要がある。一般的
に、この接触処理は−50〜100℃、好ましくは0〜
50℃の温度範囲で、常圧下または加圧下にて実施する
ことができ、気相中で処理する場合には流動状況下で、
液相中で処理する場合には撹拌下で、十分接触させるこ
とが好ましい。
【0055】固体複合体の使用量は特に限定されない
が、好ましくは溶媒1l当りあるいは反応器1l当り
0.1〜500gなる量で使用される。有機金属化合物
の使用量は固体複合体中のTi1mol当たり0.1〜
200mol、電子供与性化合物を使用する場合のその
使用量は有機金属化合物1mol当たり0.1〜10m
olの範囲から選ばれる。
【0056】予備重合後は、得られた触媒成分を不活性
有機溶媒で洗浄を行っても、あるいは洗浄を省略しても
よい。
【0057】かくして得た触媒成分(A)は、そのまま
懸濁状態で重合に供することができるが、場合によって
は、溶媒から分離してもよく、さらには常圧あるいは減
圧下で加熱して溶媒を除去し乾燥した状態で使用するこ
ともできる。
【0058】本発明において、触媒成分(B)である有
機金属化合物としては、前記(v)の有機化合物と同様
のものがあげられる。
【0059】本発明によるオレフィンの重合は、いわゆ
るチーグラー法の一般的な反応条件で行うことができ
る。すなわち、連続式またはバッチ式で20〜 110
℃の温度で重合を行う。重合圧としては特に限定はない
が、加圧下特に1.5〜50kg/cmGの使用が適
している。重合を不活性溶媒の存在下に行う場合には、
不活性溶媒としては、通常使用されているいかなるもの
も使用しうる。特に4〜20個の炭素原子を有するアル
カンまたはシクロアルカン、例えばイソブタン,ペンタ
ン,ヘキサン,シクロヘキサンなどが適している。
【0060】重合を気相中で行う場合は、重合工程にお
いて使用する反応器としては、流動床型重合器、撹拌槽
型重合器など当該技術分野で通常用いられるものであれ
ば適宜使用することができる。流動床型重合器を用いる
場合は、ガス状のオレフィンおよび/または不活性ガス
を該系に吹き込むことにより、該反応系を流動状態に保
ちながら行われる。撹拌槽型重合器を用いる場合撹拌機
としては、イカリ型撹拌機、スクリュー型撹拌機、リボ
ン型撹拌機など種々の型の撹拌機を用いることができ
る。
【0061】本発明の重合はα−オレフィンの単独重合
のみならず2種以上のα−オレフィンの共重合も含む。
重合に用いるα−オレフィンとしては、エチレン,プロ
ピレン,1−ブテン,1−ペンテン,1−ヘキセン,1
−オクテン,4−メチル−1−ペンテンなどがあげられ
る。また、重合体中に二重結合を導入する為にα−オレ
フィンとブタジエン,イソプレンなどのジエン類との混
合物を使用して共重合を行うこともできる。共重合に用
いるα−オレフィンの使用量は、目的重合体の密度に合
わせて選ぶことが必要である。本発明による重合体の密
度は0.890〜0.970g/cmの範囲で製造が
可能である。
【0062】本発明の重合操作は通常の一つの重合条件
で行う1段重合のみならず、複数の重合条件で行う多段
階重合において行うことができる。
【0063】本発明の実施にあたり、触媒成分(A)の
使用量は、溶媒1l当たり、または反応器1l当たり、
チタン原子0.001〜2.5ミリモルに相当する量で
使用することが好ましく、条件により一層高い濃度で使
用することもできる。
【0064】成分(B)の有機金属化合物は溶媒1l当
たり、または反応器1l当たり、0.02〜50ミリモ
ル、好ましくは0.2〜5ミリモルの濃度で使用する。
【0065】本発明において生成重合体の分子量は公知
の手段、すなわち適当量の水素を反応系内に存在させる
などの方法により調節することができる。
【0066】
【発明の効果】本発明の効果は、第1に、一つの触媒系
で全ての密度範囲のポリオレフィンを任意の重合方法で
高い生産性で製造可能となることである。すなわち、ス
ラリー重合法および気相重合法において、高密度から低
密度までのポリオレフィンを高い触媒活性でしかも嵩密
度が高く、粒度分布が狭く、粒径が大きいという良好な
ポリオレフィン粒子を製造することができる。そのた
め、重合工程においては、重合装置内での付着物の生成
が阻止され、また、移送工程においては、サイロ内でブ
リッジなどの発生がなく、移送上の、トラブルが解消さ
れ、さらに、造粒もきわめて円滑に行われる。また、重
合体の粒度分布が狭いと、特に多段重合法によって、よ
り分子量分布の広い重合体を得る場合に粒子の分級が起
きにくく、均質な粒子がえられるので、成形物中にブツ
やムラ等が生じない。
【0067】本発明の第2の効果は、粉体特性を損なう
ことなく触媒活性が高いこと、すなわち、触媒成分
(A)の単位重量当たりに得られる重合体の重量が著し
く多いことである。したがって重合体から特別の手段を
講じて触媒残査を除去する必要がなく、かつ重合体の成
型時の劣化や着色などの問題を避けることができる。
【0068】
【実施例】以下に本発明を実施例により示すが、本発明
はこれらの実施例によってなんら限定されるものではな
い。なお、実施例および比較例において、HLMI/M
Iは高負荷メルトインデックス(HLMI,ASTMD
−1238条件Fによる)とメルトインデックス(M
I,ASTMD−1238条件Eによる)との比であ
り、分子量分布の尺度である。HLMI/MI値が小さ
いと分子量分布が狭いと考えられる。
【0069】活性は、固体複合体1g当たりの重合体生
成量(g)を表わす。重合体粒子の粒径分布の広狭は重
合体粒子を篩によって分級した結果を確率対数紙にプロ
ットし、近似した直線より公知の方法で幾何標準偏差を
求め、その常用対数(以下、σという)で表わした。ま
た、平均粒径は前記の近似直線の重量積算値50%に対
応する粒径を読み取った値である。
【0070】実施例1 (イ)〔固体複合体の調製〕撹拌装置を備えた1lのガ
ラスフラスコに、金属マグネシウム粉末7.0g(0.
288mol)およびチタンテトラブトキシド49.0
g(0.144mol)を入れ、ヨウ素0.35gを溶
解したn−ブタノール44.8g(0.60mol)を
90℃で2時間かけて加え、さらに発生する水素ガスを
排除しながら窒素シール下で140℃で2時間撹拌し
た。これを110℃とした後に、テトラエトキシシラン
18g(0.086mol)とテトラメトキシシラン1
3.2g(0.086mol)を加え、さらに140℃
で2時間撹拌した。次いで、ヘキサン490mlを加え
て、Mg−Ti溶液を得た。
【0071】このMg−Ti溶液96.8g(Mgとし
て0.058mol相当)を別途用意した500mlガ
ラスフラスコに入れ、次いで、i−ブチルアルミニウム
ジクロライド0.17molを含むヘキサン溶液63m
lを加え、70℃で1時間撹拌を行った。生成物にヘキ
サンを加え、傾斜法で7回洗浄を行った。かくして、ヘ
キサンに懸濁した固体複合体のスラリーを得た。その一
部を採取し、上澄液を除去して窒素雰囲気下で乾燥し、
元素分析したところ、Tiは11.1重量%であった。
【0072】(ロ)〔触媒成分(A)の調製〕内容積2
lのステンレススチ−ル製電磁撹拌式オ−トクレ−ブ内
を十分窒素で置換し、前記で得られた固体複合体3.2
4gを400mlのヘキサンに懸濁して入れた。続い
て、触媒成分(B)としてトリエチルアルミニウム8.
56g(75.0mmol)を順次添加した。その後、
オ−トクレ−ブの内温を30℃、圧力を1〜2kg/c
Gに保ちながらエチレンを供給し、エチレン28.
5gを反応させて、固体複合体をエチレンにて予備重合
した。この操作により、固体複合体1g当り10.0g
のエチレンを吸収させたことになる(以後、これら固体
複合体当りのオレフィンを吸収量(g/g)を吸収比と
呼ぶ)。また、生成物にヘキサンを加え、傾斜法で7回
洗浄を行った。かくして、ヘキサンに懸濁した触媒成分
(A)を得た。
【0073】〔エチレンの重合〕内容積2lのステンレ
ススチ−ル製電磁撹拌式オ−トクレ−ブ内を十分窒素で
置換し、ヘキサン1.2lを仕込、内温を80℃に調節
した。その後、触媒成分(B)としてトリ−i−ブチル
アルミニウム0.23g(1.2mmol)および前記
で得た触媒成分(A)78.1mg(固体複合体を7.
1mg含む)を含有するスラリーを順次添加した。オー
トクレーブ内圧を1kg/cmGに調節した後、水素
を4kg/cm加え、次いでオートクレーブ内圧が1
1.0kg/cmGになるように、連続的にエチレン
を加えながら1.5時間重合を行った。重合終了後冷却
し、未反応ガスを追い出してポリエチレンを取り出し、
濾過により溶媒から分離して乾燥した。
【0074】その結果、メルトインデックスは0.8g
/10分,HLMI/MIは34,嵩密度は0.46g
/cmのポリエチレン273gが得られた。固体複合
体1g当りの生成量(以下、活性という)は38400
g/gに相当する。また平均粒径は400μであり、粒
径が105μ以下の微細粒子の割合(以下、微細粒子含
量という)は0.6重量%、σは0.15であった。
【0075】実施例2 実施例1で調製した触媒成分(A)を用いて気相法によ
りエチレンの重合を行った。すなわち、内容積2lのス
テンレス製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置
換し、200℃で30時間乾燥した食塩200gを触媒
の分散媒として入れ内温を80℃に調節した。その後、
成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム0.19
mg(0.9mmol)および実施例1で得られた触媒
成分(A)71.5mg(固体複合体を6.5mg含
む)を順次添加した。重合器内を窒素によって1kg/
cmGに調製した後、水素を6.0kg/cm
え、オートクレーブ内圧が21.0kg/cmGにな
るように、連続的にエチレンを加えながら1.5時間重
合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出し
て生成ポリマーと食塩の混合物を取出した。この混合物
を純水で洗浄し食塩を溶解した後に乾燥し、ポリマーを
得た。
【0076】その結果、メルトインデックスは0.2g
/10分,HLMI/MIは30,嵩密度は0.48g
/cmのポリエチレン222gが得られた。活性は3
4200g/gに相当し、また平均粒径は660μであ
り、微細粒子含量は0.1重量%、σは0.12であっ
た。
【0077】実施例3 (イ)〔固体複合体の調製〕実施例1で調製したMg−
Ti溶液94.2g(Mgとして0.057mol相
当)を別途用意した500mlガラスフラスコに入れ、
45℃でジエチルアルミニウムクロライド0.07mo
lとi−ブチルアルミニウムジクロライド0.023m
olを含むヘキサン溶液67mlを加え、さらに1時間
撹拌した。次いで、i−ブチルアルミニウムジクロライ
ド0.17molを含むヘキサン溶液61mlを加え、
70℃で1時間撹拌を行った。生成物にヘキサンを加
え、傾斜法で7回洗浄を行った。かくして、ヘキサンに
懸濁した固体複合体のスラリーを得た。その一部を採取
し、上澄液を除去して窒素雰囲気下で乾燥し、元素分析
したところ、Tiは12.6重量%であった。
【0078】(ロ)〔触媒成分(A)の調製〕内容積2
lのステンレススチ−ル製電磁撹拌式オ−トクレ−ブ内
を十分窒素で置換し、前記で得られた固体複合体2.7
5gを400mlのヘキサンに懸濁して入れた。続い
て、電子供与体としてジフェニルジメトキシシラン0.
52g(2.17mmol)を加え、ついで触媒成分
(B)としてトリエチルアルミニウム8.25g(7
2.3mmol)を順次添加した。その後、オ−トクレ
−ブの内温を30℃、圧力を1〜2kg/cmGに保
ちながらプロピレンを供給し、プロピレン27.5gを
反応させて、固体複合体をプロピレンにて予備重合し
た。この操作により、固体複合体1g当り10.0gの
プロピレンを吸収させたことになる。かくして、ヘキサ
ンに懸濁した触媒成分(A)を得た。
【0079】〔エチレンの重合〕実施例1と同様の方法
によりエチレンのスラリー重合を実施した。すなわち、
触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミニウム
0.23g(1.2mmol)および前記で得た触媒成
分(A)66mg(固体複合体を6.0mg含む)を用
いて80℃で重合を行った。
【0080】その結果、メルトインデックスは0.7g
/10分,HLMI/MIは30,嵩密度は0.48g
/cmのポリエチレン265gが得られた。固体複合
体1g当りの活性は44200g/gに相当する。また
平均粒径は460μであり、微細粒子含量は0.3重量
%、σは0.12であった。
【0081】実施例4 実施例3で調製した触媒成分(A)を用いて、実施例2
と同様の方法によりエチレンの気相重合を実施した。す
なわち、触媒成分(B)としてトリ−i−ブチルアルミ
ニウム0.23g(1.2mmol)および前記で得た
触媒成分(A)83.6mg(固体複合体を7.6mg
含む)を用いて80℃で重合を行った。
【0082】その結果、メルトインデックスは0.3g
/10分,HLMI/MIは36,嵩密度は0.52g
/cmのポリエチレン288gが得られた。活性は3
7900g/gに相当し、また平均粒径は550μであ
り、微細粒子含量は0.8重量%、σは0.14であっ
た。
【0083】実施例5 実施例3で調製した触媒成分(A)を用いて気相法によ
りエチレンと1−ブテンの共重合を行った。すなわち、
内容積2lのステンレススチール製電磁撹拌式オートク
レーブ内を十分窒素で置換し、200℃で30時間乾燥
した食塩200gを触媒の分散媒として入れ内温を80
℃に調節した。その後、成分(B)としてトリイソブチ
ルアルミニウム0.25g (1.26mmol)および
実施例1で得られた触媒成分(A)95.7mg(固体
複合体を8.7mg含む)を順次添加した。重合器内を
窒素によって1kg/cmGに調製した後、水素を
2.0kg/cm加え、次いで気相中のブテン−1/
エチレン(mol比)を0.35になるように調整しつ
つ、オートクレーブ内圧が19.0kg/cmGにな
るように、連続的にエチレンと1−ブテンを加えながら
1.5時間重合を行った。重合終了後冷却し、未反応ガ
スを追い出して生成ポリマーと食塩の混合物を取出し
た。この混合物を純水で洗浄し食塩を溶解した後に乾燥
し、ポリマーを得た。
【0084】その結果、メルトインデックスは0.1g
/10分,HLMI/MIは32,嵩密度は0.50g
/cmのポリエチレン338gが得られた。活性は3
8900g/gに相当し、また平均粒径は460μであ
り、微細粒子含量は0.5重量%、σは0.12であっ
た。また、密度は0.923g/cmであった。
【0085】比較例1 実施例3(イ)で調製した固体複合体11.0mgを触
媒成分(A)の代わりに用いて、実施例2と同様の方法
によりエチレンの気相重合を行った。
【0086】その結果、メルトインデックスは0.2g
/10分,HLMI/MIは35,嵩密度は0.12g
/cmのポリエチレン20gが得られた。活性は18
00g/gに相当し、また平均粒径は300μであり、
微細粒子含量は17.2重量%、σは0.41であっ
た。
【0087】比較例2 実施例3(イ)で調製した固体複合体10.5mgを触
媒成分(A)の代わりに用いて、実施例5と同様の方法
によりエチレンと1−ブテンの共重合を行った。その結
果、メルトインデックスは0.1g/10分,HLMI
/MIは35,嵩密度は0.14g/cmのポリエチ
レン28gが得られた。活性は2700g/gに相当
し、また平均粒径は320μであり、微細粒子含量は
6.6重量%、σは0.37であった。また、密度は
0.930g/cmであった。
【0088】実施例6 実施例3で調製した触媒成分(A)91.5mg(固体
複合体を8.3mg含む)を用いて気相法によりエチレ
ンと1ーブテンの共重合を行った。触媒成分(B)をか
えること以外、実施例5と同様の方法により重合した。
すなわち、実施例6では触媒成分(B)としてトリイソ
ブチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライド
を用いて共重合を行った。
【0089】その結果、メルトインデックスは0.1g
/10分,HLMI/MIは29,嵩密度は0.48g
/cmのポリエチレン168gが得られた。活性は2
0200g/gに相当し、また平均粒径は400μであ
り、微細粒子含量は1.2重量%、σは0.12であっ
た。また、密度は0.927g/cmであった。
【0090】実施例7 実施例3で調製した触媒成分(A)89.1mg(固体
複合体を8.1mg含む)を用いて気相法によりエチレ
ンと1ーブテンの共重合を行った。触媒成分(B)をか
えること以外、実施例5と同様の方法により重合した。
すなわち、実施例7では触媒成分(B)としてジエチル
アルミニウムクロライドとジエチルアルミニウムエトキ
シドを用いて共重合を行った。
【0091】その結果、メルトインデックスは0.1g
/10分,HLMI/MIは30,嵩密度は0.48g
/cmのポリエチレン177gが得られた。活性は2
1800g/gに相当し、また平均粒径は460μであ
り、微細粒子含量は0.7重量%、σは0.13であっ
た。また、密度は0.922g/cmであった。
【0092】実施例8〜12 触媒成分(A)の製造に際し、予備重合条件を表1に示
したようにした以外は、実施例3と同様に触媒成分
(A)の調製を行った。また、エチレンの重合は実施例
2と同条件で行った。その結果を表2に示す。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】 実施例13〜20、比較例3〜4 触媒成分(A)の製造に際し、反応剤(iii)(i
v)の種類・量を表3に示したようにした以外は、実施
例3と同様に触媒成分(A)の調製を行った。また、エ
チレンの重合は実施例2と同条件で行った。その結果を
表4に示す。これらの結果から、本発明によるポリエチ
レンの粒子性状が嵩密度、平均粒径、σにおいて優れて
いることがわかる。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】 比較例5 実施例4と対比して実施例3で得られた固体複合体に予
備処理を施して気相重合を行った。すなわち、内容積2
lのステンレススチ−ル製電磁撹拌式オ−トクレ−ブ内
を十分窒素で置換し、実施例3で得られた固体複合体
5.01gを400mlのヘキサンに懸濁した。続い
て、オ−トクレ−ブの内温を30℃、圧力を1〜2kg
/cmGに保ちながらプロピレンを供給し、プロピレ
ン15.0gを反応させて、固体複合体をプロピレンに
て予備処理し、実施例2と同様の方法でエチレンの気相
重合を行った。
【0097】その結果、メルトインデックスは0.2g
/10分,HLMI/MIは28,嵩密度は0.46g
/cmのポリエチレン189gが得られた。活性は2
1500g/gに相当し、また平均粒径は380μであ
り、微細粒子含量は2.1重量%、σは0.11であっ
た。
【0098】比較例6 特開昭60−262802号で開示した触媒を予備重合
して気相重合を行った。すなわち、撹拌装置を備えた
1.6lのオートクレーブに、n−ブタノール70g
(0.94mol)を入れ、これにヨウ素0.55g、
金属マグネシウム粉末11g(0.45mol)および
チタンテトラブトキシド61g(0.18mol)を加
えさらにヘキサン450mlを加えた後80℃まで昇温
し、発生する水素ガスを排除しながら窒素シール下で1
時間撹拌した。引き続き120℃まで昇温して1時間反
応を行い、Mg−Ti溶液を得た。
【0099】内容積500mlのフラスコにMg−Ti
溶液のMg換算0.048molを加え45℃に昇温し
てトリ−i−ブチルアルミニウム(0.048mol)
のヘキサン溶液を1時間かけて加えた。すべてを加えた
後60℃で1時間撹拌した。次にメチルヒドロポリシロ
キサン(25℃における粘度約30センチストークス)
2.8ml(ケイ素0.048グラム原子)を加え、還
流下に1時間反応させた。45℃に冷却後、i−ブチル
アルミニウムジクロライドの50%ヘキサン溶液82m
l(0.63mol)を2時間かけて加えた。すべてを
加えた後、70℃で1時間撹拌を行った。生成物にヘキ
サンを加え、傾斜法で15回洗浄を行った。かくして、
ヘキサンに懸濁した固体複合体のスラリーを得た。
【0100】このようにして得た固体複合体を実施例3
と同様の方法により予備重合を行い、触媒成分(A)を
調製し、実施例2と同様の方法によりエチレンの気相重
合を行った。
【0101】その結果メルトインデックスは0.5g/
10分,HLMI/MIは37,嵩密度は0.17g/
cmのポリエチレン56gが得られた。活性は800
0g/gに相当し、また平均粒径は380μであり、微
細粒子含量は6.8重量%、σは0.41であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における触媒調製フローチャート図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】また、有機シラノールとしては少なくとも
1個のヒドロキシル基を有し、かつ、有機基は1〜12
個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する
アルキル基,シクロアルキル基,アリールアルキル基,
アリール基およびアルキルアリール基から選ばれる。例
えば、トリメチルシラノール,トリエチルシラノール,
トリフェニルシラノール,t−ブチルジメチルシラノー
ルなどがあげられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正内容】
【0072】(ロ)〔触媒成分(A)の調製〕内容積2
lのステンレススチール製電磁撹拌式オートクレーブ内
を十分窒素で置換し、前記で得られた固体複合体3.2
4gを400mlのヘキサンに懸濁して入れた。続い
て、触媒成分()としてトリエチルアルミニウム8.
56g(75.0mmol)を順次添加した。その後、
オートクレーブの内温を30℃、圧力を1〜2kg/c
Gに保ちながらエチレンを供給し、エチレン28.
5gを反応させて、固体複合体をエチレンにて予備重合
した。この操作により、固体複合体1g当り10.0g
のエチレンを吸収させたことになる(以後、これら固体
複合体当りのオレフィンを吸収量(g/g)を吸収比と
呼ぶ)。また、生成物にヘキサンを加え、傾斜法で7回
洗浄を行った。かくして、ヘキサンに懸濁した触媒成分
(A)を得た。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】実施例2 実施例1で調製した触媒成分(A)を用いて気相法によ
りエチレンの重合を行った。すなわち、内容積2lのス
テンレス製電磁撹拌式オートクレーブ内を十分窒素で置
換し、200℃で30時間乾燥した食塩200gを触媒
の分散媒として入れ内温を80℃に調節した。その後、
成分(B)としてトリイソブチルアルミニウム0.19
(0.9mmol)および実施例1で得られた触媒成
分(A)71.5mg(固体複合体を6.5mg含む)
を順次添加した。重合器内を窒素によって1kg/cm
Gに調製した後、水素を6.0kg/cm加え、オ
ートクレーブ内圧が21.0kg/cmGになるよう
に、連続的にエチレンを加えながら1.5時間重合を行
った。重合終了後冷却し、未反応ガスを追い出して生成
ポリマーと食塩の混合物を取出した。この混合物を純水
で洗浄し食塩を溶解した後に乾燥し、ポリマーを得た。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】遷移金属化合物および有機金属化合物から
    なる触媒の存在下、ポリオレフィンを製造するにあたっ
    て、 (A)成分として (i)金属マグネシウムと水酸化有機化合物、およびマ
    グネシウムの酸素含有有機化合物から選ばれた少なくと
    も1員、 (ii)少なくとも1種以上のチタンの酸素含有有機化
    合物と、 (iii)少なくとも1種以上のケイ素化合物とを含有
    する均一溶液に、 (iv)少なくとも1種以上のハロゲン化有機アルミニ
    ウム化合物を反応させて得られる固体複合体と、更に、 (v)周期律表の第Ia,IIa,IIb,IIIbお
    よびIVb族金属から選ばれた少なくとも1種以上の有
    機金属化合物との存在下で、 (vi)少なくとも1種のα−オレフィンを予備重合さ
    せて調製した触媒成分、 (B)成分として周期律表の第Ia,IIa,IIb,
    IIIbおよびIVb族金属の有機金属化合物から選ば
    れた少なくとも1種以上からなる触媒系の存在下で、少
    なくとも1種のα−オレフィンを重合させることを特徴
    とするポリオレフィンの製造方法。
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