JPH0586262A - 注型用樹脂組成物及びそれを使用してなる絶縁スペーサ - Google Patents

注型用樹脂組成物及びそれを使用してなる絶縁スペーサ

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JPH0586262A
JPH0586262A JP3099221A JP9922191A JPH0586262A JP H0586262 A JPH0586262 A JP H0586262A JP 3099221 A JP3099221 A JP 3099221A JP 9922191 A JP9922191 A JP 9922191A JP H0586262 A JPH0586262 A JP H0586262A
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俊之 中野
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雅文 武井
Ichirou Ichikawa
以知郎 市川
Yasuhisa Kanezashi
康寿 金指
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 注型用樹脂組成物を改善することにより、耐
熱性(高温クリープ特性)と耐クラック性の高いレベル
での両立を果たしながら、しかも、誘電率が低く、製品
段階での機械的強度に優れ、作業性が良好であるよう
な、優れた絶縁スペーサを提供する。 【構成】 (A)少なくとも1分子中に2つ以上のエポ
キシ基を有するエポキシ化合物99〜60重量部、
(B)不飽和カルボン酸及び酸無水物並びにこれらのエ
ステルよりなる群から選ばれた少なくとも一種の不飽和
カルボン酸誘導体を低分子量ポリオレフィンにグラフト
共重合して得られる変性低分子量ポリオレフィン1〜4
0重量部、(C)エポキシ樹脂用硬化剤、を含んでなる
組成物に、粒子状または繊維状の充填剤を単独または複
合で配合してなる注型用樹脂組成物を使用して、例え
ば、通電部材4aを配してなる絶縁スペーサ4を作製す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器や部品の絶縁
材料あるいは構造材料として好適な注型用樹脂組成物に
関するものであり、特に、ガス絶縁開閉装置、管路気中
送電装置、またはその他の電気機器に使用される絶縁ス
ペーサへの使用に最適な注型用樹脂組成物及びそれを使
用してなる絶縁スペーサに関する。
【0003】
【従来の技術】近年、変電所を構成する高電圧回路の開
閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管路
気中送電装置が多く使用されている。これらのガス絶縁
開閉装置及び管路気中送電装置においては、その接地金
属容器内に高電圧導体を絶縁支持するために絶縁スペー
サが使用されている。
【0004】このような絶縁スペーサとしては、例え
ば、特公昭54−44106号公報及び特開昭55−1
55512号公報に示すような技術が提案されている。
すなわち、これらの公報に示される絶縁スペーサにおい
ては、エポキシ樹脂などの合成樹脂からなる絶縁スペー
サ本体によって、高電圧導体が支持され、この絶縁スペ
ーサのフランジ部には接地金属容器に絶縁スペーサを固
定するための金属フランジ部が形成されている。また、
接地金属容器内に封入されるSF6 ガスは、電界が不均
一であると、その絶縁性能が低下する傾向にあるので、
その対策として、高電圧導体の周りに接地シールドを一
体に埋め込み、前記金属フランジ部によってその電位を
確保している。
【0005】図1は、以上のような一般的な構成を有す
るコーン形状の絶縁スペーサの一例を示す縦断面図であ
る。この図1に示すように、高電圧導体1a,1bは、
SF6 ガスなどの絶縁ガス2が封入された接地金属容器
3内に、コーン形状の絶縁スペーサ4によって絶縁支持
されている。この絶縁スペーサ4には、隣接する高電圧
導体1a,1bを接合するための通電部材4aが一体に
注型されている。一方、接地金属容器3には、隣接する
接地金属容器3相互を連結するための連結フランジ5が
設けられている。これに対して、絶縁スペーサ4の外縁
部には、金属フランジ6が一体に注型されており、この
金属フランジ6が、接地金属容器3に形成された連結フ
ランジ5に挟持され、取り付けボルト7によって固定さ
れることにより、絶縁スペーサ4が接地金属容器3に固
定されている。また、絶縁スペーサ4には、前述の接地
シールドに相当する導電性リング8が一体に注型されて
おり、この導電性リング8が、常時接地されることによ
り、接地金属容器3と絶縁スペーサ4との結合部の電界
が緩和され、絶縁性能の向上が図られている。なお、図
中9は、絶縁スペーサ4と接地金属容器3との接続部に
介在させられたOリングであり、このOリング9によっ
て、気密シールがなされている。
【0006】以上のような構成を有する絶縁スペーサ4
の本体部の絶縁注型材料としては、化学的安定性、機械
的強度などから、一般に、酸無水物を硬化剤として用い
たエポキシ樹脂がベース材料として使用されている。そ
して、特に、SF6 ガスなどを絶縁媒体とするガス絶縁
開閉装置用の絶縁スペーサとしては、(1)材料コスト
を下げる、(2)弾性率を上げて製品の剛性を増す、
(3)機械的強度を改善する、(4)線膨脹係数を下げ
て成形性を改善する、などの目的のために、前述のエポ
キシ樹脂にアルミナを充填することが一般的に行われて
いる。
【0007】一方、機器の縮小化の目的から導体通電部
の温度上昇の許容値は上昇しており、絶縁スペーサ用樹
脂の耐熱性(高温クリープ特性)の改善が要求されてい
る。耐熱性(高温クリープ特性)の改善には、樹脂のガ
ラス転移温度を上昇させる方法が一般的に用いられる
が、ガラス転移温度の上昇に伴って樹脂の脆性が大きく
なり、さらに、埋め込み金属部材との線膨脹係数差に基
づく熱応力が増大するため、耐クラック性が著しく低下
する。これに対し、樹脂自体の耐衝撃性を向上させる方
法としては、国際公開番号W087/07900公報記
載の変性低分子量ポリオレフィンやポリブタジエン、シ
リコンゴムなどの耐衝撃性付与成分をエポキシ樹脂に変
性または配合するなどの方法が存在している。しかしな
がら、これらの従来方法においては、絶縁スペーサなど
の大型高電圧部品の構造材料用としては十分な検討がな
されていないため、特に、高電圧用の注型用エポキシ樹
脂においては、樹脂組成面で開発の余地が残されてい
る。
【0008】このため、SF6 ガスなどを絶縁媒体とす
るガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用され
る絶縁スペーサにおいては、アルミナなどの無機充填剤
を樹脂に対して高充填することにより、線膨脹係数を埋
め込み金属部材の線膨脹係数に近づけて熱応力を低減
し、樹脂のガラス転移温度を維持し、耐熱性(高温クリ
ープ特性)を維持したまま耐クラック性を改善する方法
が一般的に用いられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ように、ガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使
用される絶縁スペーサにおいて、アルミナなどの無機充
填剤を樹脂に対して高充填した場合には、次のような欠
点が生じていた。すなわち、アルミナの誘電率は大きい
ため、アルミナの高充填は、樹脂の誘電率を増大させ、
絶縁設計上不利であった。また、アルミナの高充填は、
樹脂の弾性率を上昇させるため、機械的特性面では破壊
時の歪みが小さくなり、製品段階での破壊値が低下して
しまうという欠点があった。さらに、アルミナの高充填
は、注型時の樹脂粘度を増大させるため、ポットライフ
が短くなり、作業性が低下するという問題もあった。加
えて、従来の樹脂は、埋め込み金属部材との接着力があ
まり大きくないことから、十分な接着力を確保するため
に、一般的に、金属部材のプライマー処理を行うことが
必要であり、このことも、作業性を低下させていた。
【0010】このように、従来の絶縁スペーサにおいて
は、アルミナを樹脂中に高充填することにより、耐熱性
(高温クリープ特性)と耐クラック性の高いレベルでの
両立を図っていたが、その反面、このような従来技術に
は、誘電率の増大、製品段階での機械的強度の低下、作
業性の低下などの問題点が存在していた。
【0011】なお、以上のような各種の問題点は、ガス
絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用される絶縁
スペーサに限らず、同様の樹脂組成物を使用してなる各
種の大型注型物や半導体封止材料などの他の電気機器や
部品の絶縁材料あるいは構造材料においても、同様に存
在していた。
【0012】本発明は、このような従来技術の課題を解
決するために提案されたものであり、その第1の目的
は、ガス絶縁開閉装置や管路気中送電装置などに使用さ
れる絶縁スペーサにおいて、その注型用樹脂組成物を改
善することにより、耐熱性(高温クリープ特性)と耐ク
ラック性の高いレベルでの両立を果たしながら、しか
も、誘電率が低く、製品段階での機械的強度に優れ、作
業性が良好であるような、優れた絶縁スペーサを提供す
ることである。
【0013】また、本発明の第2の目的は、絶縁スペー
サだけでなく、各種の大型注型物や半導体封止材料など
の他の電気機器や部品の絶縁材料あるいは構造材料とし
ても好適であるような、優れた注型用樹脂組成物を提供
することである。
【0014】[発明の構成]
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による注型用樹脂
組成物は、(A)少なくとも1分子中に2つ以上のエポ
キシ基を有するエポキシ化合物99〜60重量部;
(B)不飽和カルボン酸及び酸無水物並びにこれらのエ
ステルよりなる群から選ばれた少なくとも一種の不飽和
カルボン酸誘導体を低分子量ポリオレフィンにグラフト
共重合して得られる変性低分子量ポリオレフィン1〜4
0重量部;(C)エポキシ樹脂用硬化剤;を含んでなる
組成物に、粒子状または繊維状の充填剤を単独または複
合で配合してなることを特徴としている。
【0016】そして、本発明による絶縁スペーサは、ガ
ス絶縁開閉装置、管路気中送電装置、またはその他の電
気機器に使用され、金属容器内に高電圧導体を絶縁支持
するかまたはその他の部材間の絶縁を行う絶縁スペーサ
において、前記の注型用樹脂組成物を使用してなること
を特徴としている。
【0017】また、本発明の注型用樹脂組成物として
は、具体的に、以下に示すような各種成分を使用するこ
とが可能である。
【0018】まず、本発明に使用するエポキシ化合物
(A)としては、少なくとも1分子中に2つ以上のエポ
キシ基を有するエポキシ化合物であれば、適宜使用可能
であり、その種類は限定されるものではないが、例え
ば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネー
トやヒダントインエポキシのような複素環式エポキシ樹
脂などが挙げられ、これらの化合物は、単独または2種
以上の混合物として使用される。
【0019】次に、変性低分子量ポリオレフィン(B)
の原料に使用される低分子量ポリオレフィンとしては、
エチレン成分30〜75モル%と炭素数3〜20のα−
オレフィン成分25〜70モル%から構成され、数平均
分子量が400〜2000のエチレン系ランダム共重合
体(エチレン・プロピレンランダムコポリマー)を使用
することが望ましい。特に、エチレン/プロピレンの比
は、絶縁スペーサ(またはその他の硬化物)の耐熱特性
及び機械的特性のバランス上、約50/50とすること
が望ましい。
【0020】また、変性低分子量ポリオレフィン(B)
としては、低分子量ポリオレフィン100重量部に対
し、炭素数3〜10の不飽和カルボン酸及びその酸無水
物並びにこれらのエステルよりなる群から選ばれた少な
くとも一種の不飽和カルボン酸誘導体成分5〜20重量
部をグラフト共重合してなる材料を使用することが望ま
しい。この場合、不飽和カルボン酸としては、無水マレ
イン酸、アクリル酸などが望ましい。
【0021】そして、以上のようなエポキシ化合物
(A)と変性低分子量ポリオレフィン(B)は、エポキ
シ樹脂用硬化剤(C)と反応させる前に物理的混合を行
うか、または、変性低分子量ポリオレフィン(B)中の
グラフト重合成分である酸無水物環、カルボキシル基を
予めエポキシ化合物(A)のエポキシ基と反応して使用
される。この場合、変性低分子量ポリオレフィン(B)
の配合量が、1重量部以下であると、特性改善の効果が
十分でなく、40重量部以上配合すると、粘度上昇が大
きいため、作業性の面で好ましくない。このような理由
により、本発明においては、前述の通り、変性低分子量
ポリオレフィン(B)の配合量を、1〜40重量部とし
ている。
【0022】さらに、本発明に使用するエポキシ樹脂用
硬化剤(C)としては、一般的に、エポキシ樹脂用化合
物として使用されている脂肪族あるいは芳香族の酸無水
物、カルボン酸、アミン、フェノール類を単独もしくは
2種類以上の混合物の形で使用することができる。特
に、ポットライフが長く、硬化時の発熱の少ない無水フ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル酸ヘキサヒ
ドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル
テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、メチル無
水ナジック酸などの酸無水物類が望ましく、中でも、無
水フタル酸とメチル無水ナジック酸は、ポットライフが
長く、且つ硬化が速いため、作業性の面から有利であ
り、また、その硬化物特性も、他の硬化剤を使用した場
合よりも優れている。これらのエポキシ樹脂用硬化剤の
配合量は、エポキシ1当量に対して、0.7〜0.9当
量の範囲であることが好ましく、この範囲より少ない場
合には、絶縁スペーサ(またはその他の硬化物)の耐熱
性と耐湿性などの耐環境性が著しく低下する。また、配
合量が、この範囲よりも多い場合には、絶縁スペーサ
(またはその他の硬化物)の化学的耐熱性や、電気的特
性が低下してしまう。
【0023】一方、本発明の注型用樹脂組成物において
は、作業性に支障のない限り、いかなる種類の充填剤を
も配合可能である。例えば、粒子状充填剤として、シリ
カ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミ
ニウム、カオリン、クレー、ドロマイト、雲母粉、炭化
ケイ素、ガラス粉、カーボン、グラファイト、硫酸バリ
ウム、二酸化チタン、ボロンナイトライド、窒化ケイ素
などが使用可能である。また、繊維状充填剤としては、
ウォーラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、ガ
ラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊
維、カーボン繊維、アラミッド繊維、フェノール繊維、
金属ウィスカーなどが使用可能である。これらの充填剤
は、単独または2種以上の混合物として使用される。中
でも、アルミナは、本発明のエポキシ樹脂、すなわち、
変性低分子量ポリオレフィン(B)により改質されたエ
ポキシ樹脂との接着性に優れており、特に、平均粒径
1.0〜20μmのアルミナを充填剤に用いることによ
り、耐SF6 分解ガス性、熱伝導性、及び機械的強度に
優れた絶縁スペーサ(またはその他の硬化物)が得られ
る。この充填剤の総配合量は、組成物全体に対して、3
5容量%以上55容量%以下で必要に応じて配合するこ
とが望ましい。これは、充填剤の相配合量が35容量%
に満たないと、構造物として必要な弾性率を得ることが
できなくなり、また、充填剤の総配合量が55容量%を
越えた場合には、粘度上昇が著しくなり、注型作業が困
難になるという理由による。
【0024】なお、本発明の注型用樹脂組成物において
は、必要に応じて各種の添加剤を配合することも可能で
ある。例えば、難燃剤、酸化防止剤、顔料、染料などの
添加剤を配合することが可能である。
【0025】
【作用】以上のような組成を有する本発明の注型用樹脂
組成物を使用すれば、通常の絶縁スペーサの製造方法
で、容易に優れた絶縁スペーサを製造することが可能で
ある。すなわち、エポキシ化合物(A)と変性低分子量
ポリオレフィン(B)とを、万能混合機を使用して、通
常の方法で充填剤と十分に真空混合した後、エポキシ樹
脂用硬化剤(C)と混合し、金型に注入するというよう
な、通常の絶縁スペーサ注型用エポキシ樹脂を使用した
場合と同様の製造方法によって、容易に製造することが
できる。
【0026】また、本発明の注型用樹脂組成物は、以上
のような組成を有することにより、アルミナのような誘
電率及び弾性率の大きい無機充填剤の充填率を低く維持
したまま、耐熱性(高温クリープ特性)と耐クラック性
を高いレベルで両立することができる。従って、耐熱性
(高温クリープ特性)と耐クラック性を高いレベルで両
立しながら、しかも、誘電率を低減でき、製品段階での
機械的強度を向上できる。この場合、ポットライフを長
くできるため、作業性を向上できるという利点もある。
【0027】さらに、本発明の注型用樹脂組成物を使用
して、絶縁スペーサを構成した場合には、埋め込み金属
部材との接着力が大きいため、絶縁信頼性を向上でき
る。この場合、注型用樹脂組成物と埋め込み金属部材と
の接着力を確保するために一般的に行われている金属部
材のプライマー処理を省略することができるため、作業
性の一層の向上に貢献できる。
【0028】なお、本発明の注型用樹脂組成物は、絶縁
スペーサだけでなく、各種の大型注型物や半導体封止材
料などの他の電気機器や部品の絶縁材料あるいは構造材
料としても好適であり、同様に、優れた特性を発揮する
ことができる。
【0029】
【実施例】以下には、本発明の注型用樹脂組成物を使用
してなる絶縁スペーサの実施例及び従来技術による比較
例を示し、これらの実施例及び比較例の絶縁スペーサの
対照評価により、本発明の作用効果についてさらに詳細
に説明する。なお、全ての実施例及び比較例において試
作した絶縁スペーサは、図1に示すようなコーン形状
で、中心部にアルミニウム製の通電部材4aを配してな
る同一構成を有し、直径650mm、本体樹脂部分の最
大厚さ90mmの寸法を有する絶縁スペーサ4(モデル
スペーサ)とした。
【0030】(実施例1)変性低分子量ポリオレフィン
(B)として、無水マレイン酸グラフトエチレンプロピ
レンランダムコポリマー(無水マレイン酸含有10重量
%、エチレン/プロピレン組成比=50/50、数平均
分子量900)を用い、エポキシ化合物(A)として、
ビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
O−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用して、
これらの変性低分子量ポリオレフィン(B)とエポキシ
化合物(A)との縮合反応により調整してなるエポキシ
当量270の変性エポキシ樹脂を得た。次に、このエポ
キシ当量270の変性エポキシ樹脂100重量部に、エ
ポキシ樹脂用硬化剤(C)として無水フタル酸45重量
部、充填剤として粒子状アルミナ(平均粒径12μm)
280重量部を配合し、万能混合機にて110〜120
℃で真空混合して樹脂組成物を得た。さらに、この樹脂
組成物を、120℃に予熱した金型中で注型し、一次硬
化120℃×15時間、二次硬化150℃×15時間の
条件で硬化させ、モデルスペーサを作製した。なお、本
実施例においては、モデルスペーサ中心部に配したアル
ミニウム製の通電部材に対してプライマー処理を行わな
かった。
【0031】(実施例2)変性低分子量ポリオレフィン
(B)として、無水マレイン酸グラフトエチレンプロピ
レンランダムコポリマー(無水マレイン酸含有10重量
%、エチレン/プロピレン組成比=50/50、数平均
分子量900)を用い、エポキシ化合物(A)として、
ビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を
使用して、これらの変性低分子量ポリオレフィン(B)
とエポキシ化合物(A)との縮合反応により調整してな
るエポキシ当量390の変性エポキシ樹脂を得た。次
に、このエポキシ当量390の変性エポキシ樹脂100
重量部に、エポキシ樹脂用硬化剤(C)として無水フタ
ル酸30重量部、充填剤として粒子状アルミナ(平均粒
径12μm)250重量部を配合し、万能混合機にて1
10〜120℃で真空混合して樹脂組成物を得た。さら
に、この樹脂組成物を、120℃に予熱した金型中で注
型し、一次硬化120℃×10時間、二次硬化130℃
×15時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製し
た。なお、本実施例においては、モデルスペーサ中心部
に配したアルミニウム製の通電部材に対してプライマー
処理を行わなかった。
【0032】(実施例3)樹脂組成及び硬化条件は、実
施例2と全く同様に行い、モデルスペーサを作製した。
但し、本実施例においては、モデルスペーサ中心部に配
したアルミニウム製の通電部材に対してプライマー処理
を行った。
【0033】一方、上記のような本発明に従う実施例に
対し、大型の注型絶縁物用樹脂として一般的に使用され
ている注型用樹脂組成物を、従来技術による比較例とし
て採用し、以下の各条件でモデルスペーサを作製した。
【0034】(比較例1)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量390)85
重量部、及び、脂環式エポキシ樹脂15重量部を用い、
硬化剤として無水フタル酸35重量部、充填剤として粒
子状アルミナ(平均粒径12μm)320重量部を配合
し、万能混合機にて110〜120℃で真空混合して樹
脂組成物を得た。そして、この樹脂組成物を、120℃
に予熱した金型中で注型し、一次硬化120℃×15時
間、二次硬化150℃×15時間の条件で硬化させ、モ
デルスペーサを作製した。なお、本比較例においては、
モデルスペーサ中心部に配したアルミニウム製の通電部
材に対して、実施例3と同様にプライマー処理を行っ
た。
【0035】(比較例2)エポキシ樹脂として、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量390)10
0重量部を用い、硬化剤として無水フタル酸30重量
部、充填剤として粒子状アルミナ(平均粒径12μm)
300重量部を配合し、万能混合機にて110〜120
℃で真空混合して樹脂組成物を得た。そして、この樹脂
組成物を、120℃に予熱した金型中で注型し、一次硬
化120℃×15時間、二次硬化130℃×15時間の
条件で硬化させ、モデルスペーサを作製した。なお、本
比較例においては、モデルスペーサ中心部に配したアル
ミニウム製の通電部材に対して、実施例3と同様にプラ
イマー処理を行った。
【0036】(比較例3)樹脂組成及び硬化条件は、比
較例2と全く同様に行い、モデルスペーサを作製した。
但し、本比較例においては、モデルスペーサ中心部に配
したアルミニウム製の通電部材に対してプライマー処理
を行わなかった。
【0037】前記実施例1〜3及び比較例1〜3にて作
製したモデルスペーサの評価結果を表1に示す。この表
1に示す各種特性のうち、破壊応力は、所定の試験装置
に組み込んだモデルスペーサに段階的に内圧を負荷し、
歪ゲージにより測定した負荷圧力に伴う表面歪の最大値
から算出した。また、破壊の起点は、いずれのモデルス
ペーサにおいても、通電部材と樹脂の界面であった。一
方、ガラス転移温度Tgは、モデルスペーサから切り出
した試料を示差走査熱量計(DSC)により測定し、そ
の比熱変化から求めた。また、耐熱衝撃性としては、使
用した各樹脂のM20平ワッシャー法による耐クラック
指数を記した。
【0038】
【表1】
【0039】以上の表1から明らかなように、本発明の
実施例においては、従来技術による比較例に比べて、ガ
ラス転移温度及び耐熱衝撃性について、いずれも優れて
おり、従って、耐熱性(高温クリープ特性)と耐クラッ
ク性の高いレベルでの両立を果たしている。しかも、本
発明の実施例において、従来技術による比較例に比べ
て、比誘電率が低く、製品段階での破壊応力に優れてい
ることは明らかである。
【0040】さらに、従来技術による比較例2及び比較
例3においては、プライマー処理の有無による破壊応力
の格差を生じているのに対し、本発明による実施例2及
び実施例3においては、プライマー処理の有無に拘ら
ず、安定した高い破壊応力が得られている。このこと
は、本発明の注型用樹脂組成物を使用して絶縁スペーサ
を製造した場合には、プライマー処理が不要であり、そ
の分だけ作業性を向上できることを実証している。
【0041】なお、本発明による注型用樹脂組成物は、
前記実施例に限定されるものではなく、課題を解決する
ための手段の欄に記載した通り、多種多様な材料を選択
的に使用可能であり、その場合にも、前記実施例と同様
に優れた作用効果を得られるものである。また、本発明
による注型用樹脂組成物の用途は、絶縁スペーサに限定
されるものではなく、前述した通り、各種の大型注型物
や半導体封止材料などの他の電気機器や部品の絶縁材料
あるいは構造材料としても好適である。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の注型用樹脂
組成物は、エポキシ樹脂に、一定の変性低分子量ポリオ
レフィンを混合してなる新規の樹脂組成物であり、この
ような注型用樹脂組成物を使用して絶縁スペーサを製造
した場合には、従来の一般的な注型用エポキシ樹脂組成
物を用いた絶縁スペーサに比べて、耐熱性(高温クリー
プ特性)と耐クラック性の高いレベルでの両立を果たし
ながら、しかも、誘電率が低く、製品段階での機械的強
度に優れ、作業性が良好であるような、優れた絶縁スペ
ーサを提供することができる。
【0043】また、本発明の注型用樹脂組成物は、絶縁
スペーサだけでなく、各種の大型注型物や半導体封止材
料などの他の電気機器や部品の絶縁材料あるいは構造材
料としても好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による絶縁スペーサの適用対象例とし
て、一般的な構成を有するコーン形状の絶縁スペーサを
示す縦断面図。
【符号の説明】
1a,1b 高電圧導体 2 絶縁ガス 3 接地金属容器 4 絶縁スペーサ 4a 通電部材 5 連結フランジ 6 金属フランジ 7 取り付けボルト 8 導電性リング 9 Oリング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 以知郎 神奈川県横浜市鶴見区寛政町21−4 東芝 ケミカル株式会社入舟事業所内 (72)発明者 金指 康寿 神奈川県横浜市鶴見区寛政町21−4 東芝 ケミカル株式会社入舟事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)少なくとも1分子中に2つ以上のエ
    ポキシ基を有するエポキシ化合物99〜60重量部、 (B)不飽和カルボン酸及び酸無水物並びにこれらのエ
    ステルよりなる群から選ばれた少なくとも一種の不飽和
    カルボン酸誘導体を低分子量ポリオレフィンにグラフト
    共重合して得られる変性低分子量ポリオレフィン1〜4
    0重量部、 (C)エポキシ樹脂用硬化剤 を含んでなる組成物に、粒子状または繊維状の充填剤を
    単独または複合で配合してなることを特徴とする注型用
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ガス絶縁開閉装置、管路気中送電装置、
    またはその他の電気機器に使用され、金属容器内に高電
    圧導体を絶縁支持するかまたはその他の部材間の絶縁を
    行う絶縁スペーサにおいて、 請求項1に記載の注型用樹脂組成物を使用してなること
    を特徴とする絶縁スペーサ。
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