JPH1160912A - 注型用樹脂組成物およびこの樹脂組成物からなる絶縁スペーサ - Google Patents

注型用樹脂組成物およびこの樹脂組成物からなる絶縁スペーサ

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JPH1160912A
JPH1160912A JP23104097A JP23104097A JPH1160912A JP H1160912 A JPH1160912 A JP H1160912A JP 23104097 A JP23104097 A JP 23104097A JP 23104097 A JP23104097 A JP 23104097A JP H1160912 A JPH1160912 A JP H1160912A
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epoxy
resin composition
casting
sodium chloride
resin
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JP23104097A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Nakano
俊之 中野
Yasuhisa Kanezashi
康寿 金指
Masafumi Takei
雅文 武井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化時の低い体積収縮率と硬化後の高いガラ
ス転移温度を保持しながら、誘電率が低く、弾性率が低
く、またポットライフの長い注型用樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】 1分子中に2個以上のエポキシ基を有す
るエポキシ化合物と、エポキシ化合物を硬化させるため
のエポキシ用硬化剤と、充填剤とを含む注型用樹脂組成
物において、数平均粒径が600nm以下である塩化ナ
トリウム微粒子からなる硬化促進剤が分散されているこ
とを特徴とする注型用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器や電気部
品で用いられる絶縁材料および構造材料に使用される注
型用樹脂組成物、特に管路気中送電装置もしくはガス絶
縁開閉装置で用いられる絶縁スペーサに使用される注型
用樹脂組成物および注型用樹脂組成物から製造される絶
縁スペーサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、変電所に用いられる高電圧回路の
送電装置および開閉装置として、管路気中送電装置およ
びガス絶縁開閉装置が用いられている。管路気中送電装
置およびガス絶縁開閉装置においては、絶縁スペーサに
よって絶縁支持された高電圧導体が、SF6 などの絶縁
ガスが封入された接地金属容器内に配置される。
【0003】このような絶縁スペーサとしては、例えば
特公昭54−44106号公報および特開昭55−15
5512号公報に示す構成のものが知られている。すな
わち、エポキシ樹脂などの合成樹脂からなる絶縁スペー
サの周囲に金属フランジ部が形成され、この金属フラン
ジ部を介して絶縁スペーサは接地金属容器に気密に固定
される。絶縁スペーサの中心部に、高電圧導体が支持さ
れる。
【0004】絶縁スペーサは、注型用樹脂組成物を注型
用金型内で硬化させることにより製造される。注型用樹
脂組成物は、多官能エポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂
またはナフタレン環などの剛直な構造が導入されたエポ
キシ樹脂からなるエポキシ化合物、および酸無水物から
なるエポキシ用硬化剤を含む樹脂組成物に、アルミナな
どの無機物からなる充填剤を高充填することにより形成
される。
【0005】上述のエポキシ化合物を使用することによ
り、化学的安定性および機械的強度が得られるだけでな
く、硬化した後の注型用樹脂組成物のガラス転移温度が
上昇し、そのため製造された絶縁スペーサの高温クリー
プ特性が改善される。
【0006】アルミナなどの無機物からなる充填剤は、
材料コストを下げる、弾性率を上げて製品の剛性を増
す、機械的強度を改善する、および線膨張係数を下げて
成形性を改善するという目的のために、注型用樹脂組成
物に充填される。
【0007】特に、アルミナなどからなる充填剤は、注
型用樹脂組成物全体に対して37容量%以上の高充填率
にて充填されることにより、樹脂組成物が硬化時に収縮
するのを抑制する。つまり、上述のエポキシ化合物は、
平均エポキシ当量が低いため硬化時の体積収縮量が大き
く、またガラス転移温度が高いために硬化時の体積収縮
率が大きい。そのため、樹脂組成物を金型内で硬化させ
て絶縁スペーサを製造する際に、クラックが発生しやす
い。さらに、製造された絶縁スペーサは、内部に大きな
残留応力を有するために機械的強度が低い。
【0008】硬化時における樹脂の体積収縮率を低減さ
せる方法としては、スピロオルソエステル類樹脂のよう
に開環重合時の体積収縮が小さい樹脂を用いる等、マト
リックス樹脂自体の硬化体積収縮率を低減する方法があ
る。しかしながら、これらの方法では、絶縁スペーサな
どの大型高電圧部品の構造材料としては十分な検討がな
されていないため、特に高電圧用の注型用エポキシ樹脂
においては、樹脂組成面で開発の余地が残されている。
【0009】そのため、注型用樹脂組成物にアルミナな
どの無機物を高充填することにより、金型内で樹脂組成
物が占める体積比率を下げ、樹脂組成物が硬化する際の
体積収縮率を下げる。その結果、硬化後の樹脂組成物が
有する高いガラス転移温度は保持されたまま、樹脂組成
物が硬化する時の体積収縮率が下がる。そのため、製造
された絶縁スペーサの有する良好な高温クリープ特性が
保持されたまま、絶縁スペーサを製造する際の金型内で
のクラック発生が防止される。また、製造された絶縁ス
ペーサの残留応力が低下して機械的強度が向上する。
【0010】しかしながら、アルミナなどの無機充填剤
を注型用樹脂組成物に高充填した場合には、製造された
絶縁スペーサに以下のような問題点が生じていた。 (1)アルミナの誘電率はエポキシ化合物の誘電率より
も大きいため、アルミナの高充填により注型用樹脂組成
物の誘電率が増大する。その結果、製造された絶縁スペ
ーサの絶縁特性が低下する。 (2)アルミナの高充填により注型用樹脂組成物の弾性
率が上昇するため、硬化後の注型用樹脂組成物が機械的
に破壊する際の歪が小さくなる。その結果、製造された
絶縁スペーサの機械的強度が低下する。 (3)アルミナの高充填により注型時の注型用樹脂組成
物の樹脂粘度が増大する。その結果、注型用樹脂組成物
が硬化を開始してから、注型用樹脂組成物の樹脂粘度が
上昇して注型用樹脂組成物が取り扱えなくなるまでの時
間(可使時間:ポットライフ)が短くなるため、絶縁ス
ペーサを製造するための注型作業性が低下する。
【0011】特に、平均エポキシ当量350〜550の
ビスフェノ一ルAジグリシジルエ一テル(DGBA)型
のエポキシ樹脂は、強靭で絶縁特性が優れていることか
ら大型の電気部品や構造物用の注型用樹脂組成物として
長期の実績があるが、室温で固形であるため、アルミナ
などの充填剤や硬化剤を配合して加熱混合しながら注型
する必要があり、注型時のポットライフが短い。そのた
め、DGBA型のエポキシ樹脂から絶縁スペーサを製造
する際の注型作業性が低く、注型システムの自動化が困
難であるという問題点を有していた。
【0012】なお、以上の問題点は、管路気中送電装置
もしくはガス絶縁開閉装置に使用される絶縁スペーサに
限らず、注型用樹脂組成物を使用する各種の大型注型
物、半導体封止材料などの電気機器および電気部品に用
いられる絶縁材料および構造材料などにおいても同様に
存在していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、硬化
時の低い体積収縮率と硬化後の高いガラス転移温度を保
持しながら、誘電率が低く、弾性率が低く、またポット
ライフの長い注型用樹脂組成物を提供することである。
【0014】また、注型用樹脂組成物を硬化することに
より製造される、金型内でのクラック発生の防止と良好
な高温クリープ特性を保持しながら、誘電率が低く、機
械的強度が高く、また注型時の作業性が良好な、管路気
中送電装置もしくはガス絶縁開閉装置に使用される絶縁
スペーサを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明に係る注型用樹脂組成物は、1分子中に2
個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物、前記エポ
キシ化合物を硬化させるための硬化剤、および充填剤を
含む注型用樹脂組成物において、数平均粒径が600n
m以下である塩化ナトリウム微粒子からなる硬化促進剤
が分散されていることを特徴とするものである。
【0016】本発明においては、前記硬化促進剤はエポ
キシ樹脂と反応性を有する有機物に分散された形態で配
合されていることが好ましい。本発明においては、前記
エポキシ樹脂と反応性を有する有機物は、グリシジルエ
ーテルビスフェノールA型エポキシ樹脂であることが好
ましい。
【0017】本発明においては、前記エポキシ樹脂と反
応性を有する有機物は、脂環式エポキシ樹脂であること
が好ましい。本発明においては、前記塩化ナトリウム微
粒子は、固体状の塩化ナトリウムを含む前記エポキシ化
合物と、前記充填剤との混合物を攪拌することにより形
成されたことが好ましい。
【0018】本発明においては、前記塩化ナトリウム微
粒子は、塩化ナトリウムと前記エポキシ化合物からなる
懸濁液を微細な通路に通過させ、前記懸濁液同志を高速
に衝突させることにより形成されたことが好ましい。
【0019】本発明においては、前記エポキシ化合物
は、低分子量エポキシとビスフェノールAとからナトリ
ウム系触媒を用いて二段法により合成された、エポキシ
当量350〜550の固形エポキシ樹脂であり、前記塩
化ナトリウム微粒子は、前記固形エポキシ樹脂が合成さ
れる際に生成された塩化ナトリウムを微粒子化すること
により形成されたことが好ましい。
【0020】(2)本発明に係るガス絶縁開閉器もしく
は管路気中送電装置に使用される絶縁スペーサは、
(1)に記載のいずれか1つの注型用樹脂組成物から形
成されたことを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る注型用樹脂組
成物について、詳細に説明する。本発明に係る注型用樹
脂組成物は、エポキシ化合物、エポキシ用硬化剤、およ
び充填剤を含む樹脂組成物に、硬化促進剤を分散させた
ものである。
【0022】エポキシ化合物は、1分子中に2つ以上の
エポキシ基を有するものであればよい。このようなエポ
キシ化合物としては、例えばビスフェノ一ルA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノ一ルF型エポキシ樹脂、脂環式エポ
キシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノ
一ルA型エポキシ樹脂、および複素環式エポキシ樹脂な
どが挙げられる。複素環式エポキシ樹脂としては、たと
えばトリグリシジルイソシアネートまたはヒダントイン
エポキシなどが挙げられる。これらエポキシ樹脂は単独
で、または2種類以上を混合して使用することができ
る。このようなエポキシ化合物を使用することにより、
硬化後の注型用樹脂組成物のガラス転移温度を、硬化前
と比較して上昇させることができる。
【0023】本発明に係る注型用樹脂組成物において、
エポキシ用硬化剤としては、たとえばエポキシ用硬化剤
として一般に用いられる脂肪族または芳香族の酸無水
物、カルボン酸、アミン、フェノ一ル類などを例示する
ことができる。これらの化合物は単独で、または2種類
以上を混合して使用することができる。硬化剤として
は、フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メ
チルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル
酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ナジッ
ク酸無水物、メチルナジック酸無水物等の酸無水物類が
好ましい。これら酸無水物類をエポキシ用硬化剤として
含む注型用樹脂組成物は、ポットライフが長く、また硬
化時の発熱が少ないという利点を有する。上述の酸無水
物類のうち、フタル酸無水物およびメチルナジック酸無
水物がより好ましい。その理由は、フタル酸無水物およ
びメチルナジック酸無水物をエポキシ用硬化剤として含
む注型用樹脂組成物は、ポットライフが特に長くかつ硬
化が速いために樹脂注型作業性が高く、また硬化した後
の注型用樹脂組成物の機械的特性および電気的特性が、
他の酸無水物類からなるエポキシ用硬化剤を含む注型用
樹脂組成物の機械的特性および電気的特性よりも優れて
いるからである。
【0024】上述のエポキシ用硬化剤の配合量として
は、エポキシ1当量に対して0.7〜0.9当量の範囲
であることが好ましい。配合量が0.7当量より少ない
場合には、注型用樹脂組成物を硬化して製造される絶縁
スペーサの耐熱性および耐湿性などの耐環境性が著しく
低下する。また配合量が0.9当量より多い場合には、
絶縁スペーサの化学的耐熱性および電気的特性が低下す
る。
【0025】本発明に係る注型用樹脂組成物において、
充填剤としては、粒子状の充填剤もしくは繊維状の充填
剤またはこれらの複合物からなる充填剤を使用すること
ができる。粒子状または繊維状の充填剤としては、注型
用樹脂組成物を生成する作業に支障のない限り、いかな
る種類の充填剤でも良い。粒子状充填剤としては、たと
えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、水
酸化アルミニウム、カオリン、クレー、ドロマイ卜、雲
母粉、炭化ケイ素、ガラス粉、カーボン、グラファイ
ト、硫酸バリウム、ニ酸化チタン、ボロンナイトライ
ド、窒化ケイ素、などが挙げられる。繊維状充填剤とし
ては、たとえばウォーラストナイト、チタン酸カリウム
ウィスカー、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊
維、ボロン繊維、カーボン繊維、アラミッド繊維、フエ
ノ一ル繊維などが挙げられる。これらの充填剤は単独で
使用する、または2種類以上を混合して使用すことがで
きる。
【0026】上述した充填剤の総配合量としては、エポ
キシ樹脂組成物全体に対して35容量%〜55容量%の
範囲内であることが好ましい。総配合量が35容量%よ
り少ない場合には、製造された絶縁スペーサに構造物と
して必要な弾性率を与えることができない。また、総配
合量が55容量%より多い場合には、注型時の注型用樹
脂組成物の粘度が増大するためにポットライフが短くな
り、その結果、絶縁スペーサを製造するための樹脂注型
作業性が低下する。
【0027】本発明の注型用樹脂組成物において、硬化
促進剤は、数平均粒径が600nm以下からなる塩化ナ
トリウムを使用する。このような粒径の塩化ナトリウム
を注型用樹脂組成物内に分散させることにより、注型用
樹脂組成物が硬化する際の体積収縮率を、分散させた塩
化ナトリウムの数平均粒径に比例して低下させることが
できる。通常、エポキシ樹脂が硬化する時の体積収縮率
は、エポキシ樹脂を構成する材料の化学構造と、硬化前
のエポキシ樹脂オリゴマーのエポキシ当量に依存する
が、前述のように、所定の粒径の塩化ナトリウムを使用
することにより、硬化後の注型用樹脂組成物が有する高
いガラス転移温度を保持しながら、金型内で注型用樹脂
組成物が硬化する際の体積収縮率を下げることができ
る。
【0028】さらに、塩化ナトリウムの誘電率は、前述
のエポキシ化合物の誘電率に近いため、塩化ナトリウム
を注型用樹脂組成物に分散させても、注型用樹脂組成物
の誘電率は増大しない。また、塩化ナトリウムを注型用
樹脂組成物に分散させても、注型用樹脂組成物の弾性率
は上昇しないため、硬化した後の注型用樹脂組成物が機
械的に破壊する際の歪みは小さくならない。また、塩化
ナトリウムを注型用樹脂組成物に分散させても、注型用
樹脂組成物の樹脂粘度は増大しないため、注型用樹脂組
成物のポットライフは短くならない。
【0029】なお、上述の硬化促進剤は、エポキシ樹脂
と反応性を有する有機物からなる分散媒中で、塩化ナト
リウムを数平均粒径が600nm以下になるように微粒
子化し、この微粒子化され分散媒中に分散された形態
で、塩化ナトリウムを配合することができる。通常、エ
ポキシ樹脂の合成では、特公昭47−32838号公報
や特開昭54−90400号公報、特公昭52−138
40号公報、特開昭53−65835号公報、特公昭5
2−12701号公報に記載されているように、合成過
程で生成する塩化ナ卜リウムを水洗処理にて除去するた
め、所定の粒径の塩化ナトリウムをエポキシ樹脂中に存
在させることは極めて困難である。しかし、あらかじめ
エポキシ樹脂と反応性を有する有機物からなる液体中
で、塩化ナトリウムを数平均粒径が600nm以下にな
るように微粒子化することで、容易に樹脂組成物に所望
の粒径の塩化ナトリウムを分散させることができる。
【0030】塩化ナトリウムを分散させるための分散媒
は、グリシジルエーテルビスフェノ一ルA型エポキシ樹
脂(以下DGEBA型エポキシ樹脂と呼ぶ)であること
が好ましい。特に、エポキシ当量が190前後のDGE
BA型エポキシ樹脂であることが好ましい。このような
エポキシ樹脂は、樹脂合成過程で生成する不純物を水洗
や有機溶剤により殆ど除去できるため高い純度を有す
る、また塩化ナトリウムを殆ど溶解しないために粒子形
状の塩化ナトリウムを保持する、さらに低粘度であると
いう理由により、塩化ナトリウムを微粒子化し分散させ
るための分散媒として非常に適している。
【0031】また、塩化ナトリウムを分散させるための
分散媒は、脂環式エポキシ樹脂であることも好ましい。
特に、化1および化2に示す化学構造を有する、エポキ
シ当量が130〜160の低粘度の脂環式エポキシ樹脂
が好ましい。このようなエポキシ樹脂は、樹脂合成過程
で生成する不純物を水洗や有機溶剤により殆ど除去でき
るため高い純度を有する、また塩化ナトリウムを殆ど溶
解しないために粒子形状の塩化ナトリウムを保持すると
いう理由により、塩化ナトリウムを微粒子化し分散させ
るための分散媒として非常に適している。
【0032】
【化1】
【0033】
【化2】
【0034】次に、数平均粒径が600nm以下の塩化
ナトリウム微粒子を、硬化促進剤として直接注型用樹脂
組成物中に分散させる方法について説明する。塩化ナト
リウム微粒子を、注型用樹脂組成物中に直接分散させる
方法としては、固体状の塩化ナトリウムをあらかじめ含
んだエポキシ化合物と充填剤からなる注型樹脂組成物
を、攪拌装置を用いて物理的に混合することにより、塩
化ナトリウムの数平均粒径を600nm以下に微粒子化
する方法が挙げられる。つまり、エポキシ化合物と、た
とえばアルミナまたはシリカなどからなる無機充填剤を
所定の時間真空混合する際、固体状の塩化ナトリウムを
あらかじめ含んだエポキシ化合物を使用することによ
り、エポキシ化合物中に含まれる固体状の塩化ナトリウ
ムを、無機充填剤との接触により微粒子化する。たとえ
ばタービン羽を攪拌装置の一部として含む市販の高速攪
拌装置を用いることにより、エポキシ化合物中に含まれ
る初期平均粒径が1μm程度の固体状の塩化ナトリウム
を、3時間程度で、600nm以下の数平均粒径を有す
る微粒子状にすることが可能である。なお、固体状の塩
化ナトリウムを微粒子化する程度は、塩化ナトリウム粒
子の初期平均粒径、エポキシ樹脂の粘度、無機充填剤の
含有率、および超微粒化装置の攪拌効率などによって、
制御することができる。
【0035】塩化ナトリウム微粒子を注型用樹脂組成物
中に、直接分散させる別の方法としては、塩化ナトリウ
ムとエポキシ化合物からなる懸濁液を微細な通路に通過
させることにより、懸濁液に最大流速を与えて懸濁液同
士を高速に衝突させ、それにより、塩化ナトリウムの数
平均粒径を600nm以下にする微粒子化する方法が挙
げられる。たとえば、この方法により懸濁液を乳化、分
散、破砕させてサブミクロンの粒子を連続的に作り出す
原理の超微粒化装置を用いて、たとえば、懸濁媒として
エポキシ化合物を用いた塩化ナ卜リウムの懸濁液を流速
200m/secで衝突させることによって、エポキシ
化合物中に含まれる初期平均粒径が1μm程度の塩化ナ
トリウムを、3時間程度で600nm以下の数平均粒径
を有する微粒子状にすることが可能である。なお、塩化
ナトリウムを微粒子化する程度は、塩化ナトリウム粒子
の初期平均粒径、エポキシ樹脂の粘度、無機充填剤の含
有の有無、無機充填剤の含有率、および超微粒化装置の
攪拌効率によって制御することができる。
【0036】また、これまで説明したように、硬化促進
剤として塩化ナトリウム微粒子を注型用樹脂組成物中に
別途分散させる以外に、塩化ナトリウム微粒子が予め配
合されたエポキシ化合物を使用することもできる。
【0037】すなわち、エポキシ化合物として、低分子
量エポキシとビスフェノ一ルAとから、ナトリウム系触
媒を用いて二段法により合成された、エポキシ当量35
0〜550のビスフェノ一ルAジグリシジルエ一テル
(DGBA)型の固形エポキシ樹脂を使用し、固形エポ
キシ樹脂を合成する際に触媒残さとして生成された塩化
ナトリウムから調製された、数平均粒径が600nm以
下の微粒子状の塩化ナトリウムを、固形エポキシ樹脂内
に分散させることができる。このようなエポキシ化合物
を使用することで、数平均粒径が600nm以下に制御
された塩化ナトリウムからなる硬化促進剤を別途配合す
る必要がなくなり、樹脂組成物を製造する工程が簡略化
される。
【0038】エポキシ当量350〜550のDGBA型
のエポキシ樹脂を合成する方法には、エピクロルヒドリ
ンとビスフェノ一ルAをアルカリの存在下で反応させる
一段法と、エピクロルヒドリンの代わりに低分子量エポ
キシ樹脂を用いて、ビスフェノ一ルAとナトリウム系触
媒の存在下で反応させる二段法とがある。二段法の場合
には、最初から液状エポキシ樹脂を使用するため生成樹
脂を精製する必要がなく、また、ナトリウム系触媒を用
いることで、塩化ナトリウムを副生物としてエポキシ樹
脂中に残存させることができる。
【0039】上述のナトリウム系触媒としては、たとえ
ば苛性ソーダを使用し、エポキシ樹脂を合成する際の反
応温度としては、たとえば170℃〜180℃の範囲が
好ましい。
【0040】触媒残さとして樹脂中に残存した塩化ナト
リウムを、数平均粒径が600nm以下に微粒子化する
方法としては、たとえば合成されたエポキシ樹脂溶液
を、反応終了後に室温まで急冷却する方法が挙げられ
る。このように急冷却する方法としては、たとえば水冷
の熱交換器を用いて、合成されたエポキシ樹脂溶液を急
冷却する方法が挙げられる。
【0041】また、上記塩化ナトリウムを微粒子化する
別の方法としては、塩化ナトリウムの結晶化を阻害する
ようなエポキシ樹脂合成反応を用いる方法、またはエポ
キシ樹脂の合成反応中に塩化ナトリウムの結晶化を阻害
するような添加物を加える方法が挙げられる。
【0042】なお、本発明に係る注型用樹脂組成物にお
いて、これまで述べてきたエポキシ化合物、エポキシ用
硬化剤、充填剤、および硬化促進剤以外に、必要に応じ
て難燃剤、酸化防止剤、顔料、染料などの添加剤を配合
しても良い。
【0043】次に、本発明に係る絶縁スペーサについ
て、詳述する。図1は、本発明に係る絶縁スペーサを使
用した管路気中送電装置の一例を示す断面図である。
【0044】金属からなる通電部材1は、中央部の外径
が両端部の外径よりも大きい円柱状をなしている。円柱
状をなす空洞部2が通電部材1の内部を、通電部材1と
同心に貫通している。空洞部2の中間には、隔壁3が通
電部材1と一体的に形成されている。パイプ状の高電圧
導体4および5が、通電部材1の両端部に、リング状の
通電接触子6を介して嵌合されている。
【0045】円錐形状の絶縁スペーサ7の頂点部に開け
られた円形状の穴に、通電部材1が挿入されている。通
電部材1の中央の側面において、通電部材1と絶縁スペ
ーサ7は一体的に形成されている。絶縁スペーサ7の外
周には、リング状の金属フランジ8が、一体的に形成さ
れている。また、絶縁スペーサ7の外周部近傍の表面お
よび裏面には、絶縁スペーサ7の外周に沿った円周状の
Oリング溝が対向して形成され、たとえばゴムからなる
Oリング9が両方のOリング溝にはめられている。
【0046】絶縁スペーサ7とほぼ同じ直径を有するパ
イプ状の接地金属容器10の両端開口部の外周に、リン
グ状の連結フランジ11が形成されている。接地金属容
器10と同じ形状を有する接地金属容器12の両端開口
部の外周にも、同形状の連結フランジ13が形成されて
いる。
【0047】対向させられた連結フランジ11、13よ
って、金属フランジ8および両方のOリング9が挟持さ
れることにより、絶縁スペーサ7が接地金属容器10、
12に気密に固定されている。複数の中空部が、連結フ
ランジ11、13、および金属フランジ8を貫通して形
成され、取付けボルト14が中空部に挿入されている。
連結フランジ11、13の両側に突出された取付けボル
ト14のネジ部分に、ワッシャー15を介して取付けナ
ット16が螺着されている。
【0048】絶縁スペーサ7の外周部近傍の内部には、
金属からなる導電性リング17が、絶縁スペーサ7の外
周に沿って埋め込まれている。導電性リング17は、金
属フランジ8と電気的に接続されることで常時接地され
ている。その結果、絶縁スペーサ7と接地金属容器1
0、12との接続部付近の電界が緩和されることで、接
地金属容器10、12内の電界が均一にされている。こ
のように電界が均一にされることで、接地金属容器1
0、12内に封入される、後述する絶縁ガスの絶縁性能
が低下するのを防止している。
【0049】複数の接地金属容器10、12が、複数の
連結フランジ11、13を介して隣接して連結されてい
る。各連結フランジ11、13ごとに、絶縁スペーサ7
が接地金属容器10、12に気密に固定されている。複
数の高電圧導体4、5が、絶縁スペーサ7と一体的に形
成された通電部材1を介して、隣接して連結されてい
る。接地金属容器10、12内部には、たとえばSF6
ガスからなる絶縁ガス18が封入されている。
【0050】このようにして、絶縁スペーサ7によって
絶縁支持された複数の高電圧導体4、5が接地金属容器
10、12内部に配置される、管路気中送電装置が構成
される。
【0051】絶縁スペーサ7は、前述した注型用樹脂組
成物を注型用金型の中で硬化させることにより製造され
る。前述したように、注型用樹脂組成物は硬化後の高い
ガラス転移温度を保持するため、製造された絶縁スペー
サ7は良好な高温クリープ特性を保持する。また、注型
用樹脂組成物は金型内で硬化する際の体積収縮率が小さ
いため、絶縁スペーサ7を製造する際に金型内でのクラ
ック発生は防止される。さらに、注型用樹脂組成物の硬
化時の体積収縮率が小さいため、絶縁スペーサ7の有す
る残留応力は低く抑えられ、その結果、絶縁スペーサ7
の機械的強度は保持される。また、樹脂組成物の誘電率
は増大しないため、製造された絶縁スペーサ7の誘電率
も増大せず、その結果、絶縁スペーサ7の絶縁特性は高
く保持される。また、硬化した後の樹脂組成物が機械的
に破壊する際の歪みは小さくならないため、製造された
絶縁スペーサ7の機械的強度は高く保持される。また、
樹脂組成物のポットライフは短くないため、絶縁スペー
サ7を製造するための注型作業性は良好に保持される。
【0052】以上、詳述したように、本発明に係る注型
用樹脂組成物によれば、硬化時の低い体積収縮率と硬化
後の高いガラス転移温度を保持しながら、誘電率が低
く、弾性率が低く、またポットライフが長く保持され
る。また、本発明に係る、管路気中送電装置に使用され
る絶縁スペーサによれば、注型時の金型内でのクラック
発生の防止と良好な高温クリープ特性を保持しながら、
誘電率が低く、機械的強度が高く、また注型時の作業性
が良好に保持される。
【0053】また、本発明に係る注型用樹脂組成物を使
用することにより、絶縁スペーサ7を製造する通常の製
造方法を用いて、本発明に係る優れた絶縁スペーサ7を
容易に製造することが可能である。すなわち、注型用樹
脂組成物を万能混合機を用いて十分に真空混合した後、
金型に注入するというような、エポキシ樹脂から絶縁ス
ペーサ7を注型する通常の製造方法によって、優れた絶
縁スペーサ7を容易に製造することができる。
【0054】また、本発明に係る注型用樹脂組成物を使
用することにより、管路気中送電装置もしくはガス絶縁
開閉装置に使用される絶縁スペーサ7に限らず、注型用
樹脂組成物を使用する各種の大型注型物、半導体封止材
料などの電気機器および電気部品に用いられる絶縁材料
および構造材料などにおいても、性能の優れた絶縁材料
および構造材料を提供することができる。
【0055】
【実施例】以下に、本発明の実施例を具体的に説明す
る。 (実施例1)以下に示す条件で作成した注型用樹脂組成
物を硬化させた時の、比体積収縮率およびTg(ガラス
転移温度)を測定した。
【0056】エポキシ化合物として、DGEBA型エポ
キシ樹脂(エポキシ当量:390)85重量部と、化1
に示す構造式の脂環式エポキシ樹脂(エポキシ当量:1
35)15重量部の混合物を使用した。DGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、所定の
数平均粒径に調製した塩化ナトリウム粒子をナ卜リウム
換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化剤とし
て、全エポキシ化合物100重量部に対して35重量部
の無水フタル酸を使用した。充填剤として、注型用樹脂
組成物全体に対して42体積%の粒子状電融アルミナ
(平均粒径:12μm)を使用した。
【0057】種々の異なる数平均粒径に調製した塩化ナ
トリウム粒子からなる硬化促進剤を用意し、それぞれの
硬化促進剤を用いて、上述の条件にて注型用樹脂組成物
を作成した。
【0058】このようにして作成したそれぞれの注型用
樹脂組成物について、一部を万能混合機を用いて120
℃にて真空混合した後、120℃に予熱したゲイリュサ
ックピクノメーター容器に注型して、120℃ー定の温
度で硬化させた。その後、硬化した各注型用樹脂組成物
の比体積収縮率を測定した。
【0059】また、各注型用樹脂組成物の残りを、DS
C(示差走査熱量計)測定用の複数の揮発試料用容器に
採取し、乾燥器中で120℃一定の温度で所定時間硬化
させた。その後、硬化した各樹脂組成物を逐次サンプリ
ングした後、Tgを測定した。
【0060】なお、エポキシ化合物中に存在する塩化ナ
トリウム粒子の数平均粒径の測定は、電気泳動光散乱光
度計ELS−800(大塚電子製)を用いて行った。測
定条件としては、光源:He−Neレーザー、測定手
法:ホモダイン法、データ解析:マルカット法、セル:
四面透過型10mm角セル、測定温度:25゜Cとし
た。また、試料の調製には、ガラスビンに採取した0.
6mgのエポキシ化合物に、10mlのクロロホルムを
分散媒として添加し、エポキシ化合物がクロロホルムに
溶解して透明になった溶液を、測定試料とする方法を用
いた。
【0061】(実施例2)以下に示す条件で作成した注
型用樹脂組成物を硬化させた時の、比体積収縮率および
Tgを測定した。
【0062】エポキシ化合物として、DGEBA型エポ
キシ樹脂(エポキシ当量:390)90重量部と、化2
に示す構造式の脂環式エポキシ樹脂(エポキシ当量:2
10)10重量部の混合物を使用した。DGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、所定の
数平均粒径に調整した塩化ナトリウム粒子をナトリウム
換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化剤とし
て、全エポキシ化合物100重量部に対して30重量部
の無水フタル酸を使用した。充填剤として、注型用樹脂
組成物全体に対して37体積%の溶融シリカ(平均粒
径:10μm)を使用した。
【0063】種々の異なる数平均粒径に調製した塩化ナ
トリウム粒子からなる硬化促進剤を用意し、それぞれの
硬化促進剤を用いて、上述の条件にて注型用樹脂組成物
を作成した。
【0064】このようにして作成した各注型用樹脂組成
物について、実施例1と同じ条件にて硬化させた時の、
各注型用樹脂組成物の比体積収縮率およびTgを測定し
た。なお、エポキシ化合物中に存在する塩化ナトリウム
粒子の数平均粒径の測定、および試料の調製は、実施例
1と同じ条件および同じ方法にて行った。
【0065】図2に、実施例1および実施例2にて測定
した、塩化ナトリウム粒子の数平均粒径と硬化した各注
型用樹脂組成物の比体積収縮率との関係を示す結果を示
す。図2では、測定した各比体積収縮率を、硬化後の樹
脂組成物のTgが100℃であるとした場合に換算して
示す。これは、エポキシ樹脂などのような同一の樹脂系
では、硬化時の温度によらずTgと比体積収縮率の関係
は一定になるため、この関係を用いて、各比体積収縮率
を同じTgでの値に換算することにより、同一の樹脂系
中の異なる樹脂間の比体積収縮率を比較することができ
るからである。図2における各比体積収縮率は、塩化ナ
トリウム粒子の数平均粒径が600nmの時の硬化体積
収縮率を1とした時の相対比率で示す。
【0066】図2から明らかなように、エポキシ中の塩
化ナトリウムの数平均粒子径が600nm以下の領域で
は、塩化ナトリウムの数平均粒子径に比例して、注型用
樹脂組成物が硬化する時の比体積収縮率が減少する。ま
た、この関係は、硬化させる注型樹脂組成物の種類によ
らない。なお、本発明の実施例1における、塩化ナトリ
ウム粒子の数平均粒子径が600nmの時の硬化体積収
縮率は、2.13%であつた。
【0067】(実施例3)硬化促進剤として数平均粒子
径が1000nmの塩化ナトリウム粒子をあらかじめ1
重量部含んだエポキシ化合物(エポキシ当量:190、
油化シェルエポキシ社製エピコート#828)100重
量部に、平均粒径12μmの電融アルミナ(太平洋ラン
ダム社製)300重量部からなる充填剤を混合してなる
樹脂組成物を、高速2軸攪拌装置(井上製作所製)を用
いて、樹脂組成物の温度が60℃にて3時間攪拌した。
その後、エポキシ化合物と充填剤とを遠心分離し、エポ
キシ化合物中の塩化ナトリウム粒子の数平均粒子径を測
定したところ、480nmであった。
【0068】(実施例4)硬化促進剤として数平均粒子
径が1000nmの塩化ナトリウム粒子をあらかじめ1
重量部含んだ、化1に示す化学構造式の脂環式エポキシ
化合物(エポキシ当量:135、チバガイギー社製、商
品名CY179)100重量部に、平均粒径2μmの電
融アルミナ(太平洋ランダム社製)200重量部からな
る充填剤が配合された懸濁液からなる樹脂組成物を、超
微粒化装置(商品名:ナノマイザー、ナノマイザ一
(株)製)を用いて、樹脂組成物の温度が60℃にて3
時間処理した。その後、エポキシ化合物と充填剤とを遠
心分離し、エポキシ化合物中の塩化ナトリウム粒子の数
平均粒子径を測定したところ、320nmであった。
【0069】(実施例5)以下に示す条件で作成した注
型用樹脂組成物を硬化させて、図1に示す形状の絶縁ス
ペーサ7を作製した。
【0070】エポキシ化合物として、エポキシ当量39
0のDGEBA型エポキシ樹脂90重量部と、エポキシ
当量190のDGEBA型エポキシ樹脂10重量部の混
合物を使用した。エポキシ当量390のDGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、350
nmの数平均粒子径に調製した塩化ナトリウム粒子をナ
トリウム換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化
剤として、全エポキシ化合物100重量部に対して30
重量部の無水フタル酸を使用した。充填剤として、30
0重量部の粒子状電融アルミナ(平均粒径:12μm)
を使用した。
【0071】このようにして作成した注型用樹脂組成物
を、万能混合機を用いて120℃にて真空混合した後、
120℃に予熱した金型中に注型した。その後、一次硬
化120℃×15時間、および二次硬化130℃×15
時間の条件下で、注型用樹脂組成物を硬化させることに
より、図1に示す形状の絶縁スペーサ7を作製した。絶
縁スペーサ7は、直径650mm、本体樹脂部分の最大
厚さ90mmの円錐形状をなし、中心部にアルミニウム
製の通電部材1が一体的に注型された構成をなす。
【0072】(実施例6)以下に示す条件で作成された
注型用樹脂組成物を、実施例5と同じ条件にて硬化させ
て、絶縁スペーサ7を作製した。
【0073】エポキシ化合物として、DGEBA型エポ
キシ樹脂(エポキシ当量:390)85重量部と、化1
に示す構造式の脂環式エポキシ樹脂(エポキシ当量:1
35)15重量部の混合物を使用した。DGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、200
nmの数平均粒径に調製した塩化ナトリウム粒子をナト
リウム換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化剤
として、全エポキシ化合物100重量部に対して35重
量部の無水フタル酸を使用した。充填剤として、320
重量部の粒子状電融アルミナ(平均粒径:12μm)を
使用した。
【0074】(実施例7)以下に示す条件で作成した注
型用樹脂組成物を、実施例5と同じ条件にて硬化させ
て、絶縁スペーサ7を作製した。
【0075】平均エポキシ当量190のDGEBA型エ
ポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート#82
8)100重量部からなる低分子量エポキシ樹脂と、2
8.3重量部のビスフェノ一ルAとから、苛性ソーダか
らなる触媒を用いて、二段法により平均エポキシ当量3
85のDGEBA型エポキシ樹脂を合成した。苛性ソー
ダからなる触媒の添加量は、反応系全体に対してナトリ
ウム換算で55ppmとした。また、合成中の反応温度
は170℃とした。合成反応終了後、合成したエポキシ
樹脂溶液を80℃の水が循環しているスパイラル管に接
触させることにより、エポキシ樹脂溶液を170℃から
80℃まで2分以内に急冷却した。その後、エポキシ樹
脂溶液中の塩化ナトリウムの数平均粒径を測定した所、
280nmであった。
【0076】このようにして調製された数平均粒径28
0nmの塩化ナトリウム粒子を含むエポキシ当量385
のDGEBA型エポキシ樹脂90重量部と、エポキシ当
量190のDGEBA型エポキシ樹脂10重量部の混合
物を、エポキシ化合物として使用した。エポキシ用硬化
剤として、全エポキシ化合物100重量部に対して30
重量部の無水フタル酸を使用した。充填剤として、30
0重量部の粒子状電融アルミナ(平均粒径:12μm)
を使用した。
【0077】(比較例1)以下に示す条件で作成した注
型用樹脂組成物を、実施例5と同じ条件にて硬化させ
て、絶縁スペーサ7を作製した。
【0078】エポキシ化合物として、エポキシ当量39
0のDGEBA型エポキシ樹脂9O重量部と、エポキシ
当量190のDGEBA型エポキシ樹脂10重量部の混
合物を使用した。エポキシ当量390のDGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、750
nmの数平均粒径に調製した塩化ナトリウム粒子をナト
リウム換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化剤
として、全エポキシ化合物100重量部に対して30重
量部の無水フタル酸を使用した。充填剤として、300
重量部の粒子状電融アルミナ(平均粒径:12μm)を
使用した。
【0079】(比較例2)以下に示す条件で作成した注
型用樹脂組成物を、実施例5と同じ条件にて硬化させ
て、絶縁スペーサ7を作製した。
【0080】エポキシ化合物として、エポキシ当量39
0のDGEBA型エポキシ樹脂85重量部と、エポキシ
当量190のDGEBA型エポキシ樹脂15重量部の混
合物を使用した。エポキシ当量390のDGEBA型エ
ポキシ樹脂には、あらかじめ硬化促進剤として、900
nmの数平均粒径に調製した塩化ナトリウム粒子をナト
リウム換算で53ppm分散させた。エポキシ用硬化剤
として、全エポキシ化合物100重量部に対して35重
量部の無水フタル酸を使用した。充填剤として、320
重量部の粒子状電融アルミナ(平均粒径:12μm)を
使用した。
【0081】実施例5〜実施例7、および比較例1〜2
の各条件にて作製した5種類の絶縁スペーサ7につい
て、破壊応力、Tg、および耐熱衝撃性を測定した。破
壊応力を測定することにより、絶縁スペーサの・機械的
強度を知ることができる。また、Tgおよび耐熱衝撃性
を測定することにより、絶縁スペーサ7の高温クリープ
特性を知ることができる。破壊応力は、所定の試験装置
に組み込んだ絶縁スペーサ7に段階的に内圧を負荷し、
歪みゲージより測定した負荷圧力に伴う表面歪みの最大
値から算出した。Tgは、絶縁スペーサ7から切り出し
た試料をDSC(示差走査熱量計)により測定し、その
比熱変化から求めた。また、耐熱衝撃性としては、各絶
縁スペーサ7のM20平ワッシャー法による耐クラック
指数を記した。下表1に、結果を示す。
【0082】
【表1】
【0083】表1から明らかなように、本発明の実施例
5〜実施例7によれば、破壊応力およびガラス転移温度
が両方とも高い値を示す絶縁スペーサ7が得られてお
り、比較例1〜2に比ぺて、機械的強度および高温クリ
ープ特性が格段に向上した絶縁スペーサ7が得られてい
る。
【0084】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
硬化時の低い体積収縮率と硬化後の高いガラス転移温度
を保持しながら、誘電率が低く、弾性率が低く、またポ
ットライフの長い注型用樹脂組成物を提供することがで
きる。また、注型用樹脂組成物を硬化することにより製
造される、金型内でのクラック発生の防止と良好な高温
クリープ特性を保持しながら、誘電率が低く、機械的強
度が高く、また注型時の作業性が良好な絶縁スペーサを
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁スペーサを使用した管路気中
送電装置の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る注型用樹脂組成物中に配合された
塩化ナトリウム粒子の数平均粒径に対する、樹脂組成物
が硬化する時の比体積収縮率を測定した結果を示す図。
【符号の説明】
1…通電部材、 4、5…高電圧導体、 6…通電接触子、 7…絶縁スペーサ、 8…金属フランジ、 9…Oリング、 10、12…接地金属容器、 11、13…連結フランジ、 17…導電性リング、 18…絶縁ガス。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1分子中に2個以上のエポキシ基を有す
    るエポキシ化合物、前記エポキシ化合物を硬化させるた
    めの硬化剤、および充填剤を含む注型用樹脂組成物にお
    いて、 数平均粒径が600nm以下である塩化ナトリウム微粒
    子からなる硬化促進剤が分散されていることを特徴とす
    る注型用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記硬化促進剤は、エポキシ樹脂と反応
    性を有する有機物に分散された形態で配合されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の注型用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記エポキシ樹脂と反応性を有する有機
    物は、グリシジルエーテルビスフェノールA型エポキシ
    樹脂であることを特徴とする請求項2記載の注型用樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記エポキシ樹脂と反応性を有する有機
    物は、脂環式エポキシ樹脂であることを特徴とする請求
    項2記載の注型用樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記塩化ナトリウム微粒子は、固体状の
    塩化ナトリウムを含む前記エポキシ化合物と前記充填剤
    との混合物を攪拌することにより形成されたことを特徴
    とする請求項1記載の注型用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記塩化ナトリウム微粒子は、塩化ナト
    リウムと前記エポキシ化合物からなる懸濁液を微細な通
    路に通過させ、前記懸濁液同志を高速に衝突させること
    により形成されたことを特徴とする請求項1記載の注型
    用樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記エポキシ化合物は、低分子量エポキ
    シとビスフェノールAとからナトリウム系触媒を用いて
    二段法により合成された、エポキシ当量350〜550
    の固形エポキシ樹脂であり、 前記塩化ナトリウム微粒子は、前記固形エポキシ樹脂が
    合成される際に生成された塩化ナトリウムを微粒子化す
    ることにより形成されたことを特徴とする請求項1記載
    の注型用樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか1項記載の
    注型用樹脂組成物から形成されたことを特徴とするガス
    絶縁開閉器もしくは管路気中送電装置に使用される絶縁
    スペーサ。
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