JP2001135144A - Sf6ガス絶縁機器用注型品およびその製造方法 - Google Patents

Sf6ガス絶縁機器用注型品およびその製造方法

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JP2001135144A
JP2001135144A JP31817699A JP31817699A JP2001135144A JP 2001135144 A JP2001135144 A JP 2001135144A JP 31817699 A JP31817699 A JP 31817699A JP 31817699 A JP31817699 A JP 31817699A JP 2001135144 A JP2001135144 A JP 2001135144A
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resin
gas
epoxy
curing
insulated
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JP31817699A
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Toshiyuki Nakano
俊之 中野
Yasuhisa Kanezashi
康寿 金指
Takahiro Imai
隆浩 今井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02GINSTALLATION OF ELECTRIC CABLES OR LINES, OR OF COMBINED OPTICAL AND ELECTRIC CABLES OR LINES
    • H02G5/00Installations of bus-bars
    • H02G5/06Totally-enclosed installations, e.g. in metal casings
    • H02G5/066Devices for maintaining distance between conductor and enclosure
    • H02G5/068Devices for maintaining distance between conductor and enclosure being part of the junction between two enclosures

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  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Insulating Bodies (AREA)
  • Installation Of Bus-Bars (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐弗化水素抵抗性に優れ、かつ誘電率が低く、
耐熱性および機械的強度に優れたSFガス絶縁高電圧
機器用注形品を得る。また、製造工程数を低減し、かつ
時間短縮を図ることで量産化できるSFガス絶縁高電
圧機器用注形品の製造方法を得る。 【解決手段】少なくとも1分子中に2つ以上のエポキシ
基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を硬
化させるエポキシ樹脂用硬化剤と、樹脂の絶縁性を保持
するシリカ充填剤と、樹脂強度を高めるゴム粒子とを配
合して調整した樹脂組成物を金型に注入した後、硬化反
応による樹脂の収縮がマトリックス樹脂およびゴム粒子
の体積膨張によって相殺される硬化条件下で硬化して成
形することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス絶縁開閉装置
および管路気中送電装置に適用され、絶縁ガスを封入し
た金属容器内に高電圧導体を絶縁支持するSFガス絶
縁機器用注型品およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、変電所に用いられる高電圧回路の
開閉装置及び送電装置として、ガス絶縁開閉装置及び管
路気中送電装置が広く用いられている。これらのガス絶
縁開閉装置及び管路気中送電装置では、その接地金属容
器内に高電圧導体を絶縁支持するためにエポキシ樹脂か
らなる注形品が用いられている。この注形品の代表的な
ものとして、絶縁スペーサが挙げられる。
【0003】絶縁スペーサは、例えば、特公昭54−4
4106号公報及び特開昭55−155512号公報に
掲載されている。すなわち、エポキシ樹脂等の合成樹脂
からなる絶縁スペーサ本体によって高電圧導体が支持さ
れており、この絶縁スペーサのフランジ部には接地金属
容器に絶縁スペーサを固定するための金属フランジ部が
形成されている。さらに、金属容器内に封入されるSF
ガスは、電界が不平等であるとその絶縁性能が低下す
る傾向にある。このため、その対策として、高電圧導体
の回りに接地シールドを一体に埋め込み、金属フランジ
部によってその電位を確保している。
【0004】従来における絶縁スペーサの断面構造を、
図3を用いて説明する。
【0005】図3に示すように、高電圧導体1a,1b
は、絶縁スペーサ2によって金属容器3に絶縁支持され
ている。この絶縁スペーサ2には、隣接する高電圧導体
1a,1bを接合するための通電部材4が一体に注型さ
れている。一方、金属容器3には隣接する容器相互を連
結するための連結フランジ5が設けられている。絶縁ス
ペーサ2の外縁部には金属容器3に形成された連結フラ
ンジ5に挟持され、取付けボルト6により金属容器3に
絶縁スペーサ4を固定するための金属フランジ7が一体
に注型されている。また、絶縁スペーサ2には導電性リ
ング8が一体に注型され、この導電性リング8は常時接
地され、金属容器3と絶縁スペーサ2との結合部の電界
を緩和し、絶縁性能の向上を図っている。このように構
成された絶縁スペーサ2がOリング9を介して金属容器
3の連結フランジ部10に取り付け固定されている。
【0006】ところで、絶縁スペーサ2の絶縁部の注型
材料としては、化学的安定性および機械的強度を有する
酸無水物を硬化剤に用いたエポキシ樹脂が、ベース材料
として一般的に用いられている。このエポキシ樹脂は、
種々の改良が行われており、例えば、SFガス絶縁開
閉装置用の絶縁スペーサ用としては、エポキシ樹脂にシ
リカ等の無機質充填材を充填することにより、機械的強
度を改善し、また、弾性率を上げて製品の剛性を増して
いる。さらに、無機質充填剤の充填により、材料コスト
を下げ、また線膨脹係数を下げて成形性を改善してい
る。
【0007】ガス絶縁機器では、絶縁ガスとして使用し
ている六弗化硫黄(SF)ガスが分解することがあ
り、この分解ガスは機器中の水分と反応して弗酸とな
る。弗酸は二酸化珪素を分解し、潮解性のHSiF
を生成するため、絶縁特性を大きく低下させる。その絶
縁抵抗低下の機構は次のとおりである。
【0008】まず、アークエネルギにより、六弗化硫黄
の分解ガス(SF)から化学式1に示す反応により、
弗化水素(HF)が生成する。
【0009】
【化1】
【0010】一方、水分と六弗化硫黄分解ガスとの反応
により生成した弗化水素(HF)とシリカ(シリカの主
成分+SiO)とは、化学式2に示す反応により、潮
解性のHSiFが生成する。
【0011】
【化2】
【0012】このように、六弗化硫黄(SF)が分解
した結果、エポキシ樹脂に充填したシリカとの反応によ
り、樹脂表面にHSiFが生成する。生成したH
SiFは潮解性を有するため、周囲の水分を吸収して
溶け易く、これにより樹脂に電導パスが形成され、その
結果、樹脂表面の絶縁抵抗が低下してしまう。従って、
無機質充填剤としてシリカを使用するのは、機器の絶縁
性における信頼性の問題を有していた。
【0013】このため、ガス絶縁機器に用いる注型樹脂
の無機質充填剤としては、シリカよりも耐弗酸性に優れ
たアルミナが一般に使用されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ナを充填したエポキシ樹脂絶縁物は、シリカ充填エポキ
シ樹脂絶縁物よりも高誘電率となることから、ガス絶縁
機器にアルミナ充填エポキシ樹脂絶縁物を使用すると、
シリカ充填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合よりも絶
縁ガス部分の分担電圧が上昇する。このため、アルミナ
充填エポキシ樹脂絶縁物を使用したガス絶縁機器は、シ
リカ充填エポキシ樹脂絶縁物を使用した場合に比べて絶
縁設計上不利である。
【0015】このため、アルミナと弗化物との混合物よ
り構成される無機質充填剤を用いる等の方法により、注
型樹脂を低誘電率化する開発がなされている。このよう
な低電率化の方法は、例えば、特開平03−20085
8号公報、特開昭58−18217号公報、特開昭57
−203511号公報、特開昭57−203510号公
報、特開昭57−203509号公報および特開昭52
−135400号公報に掲載されている。しかしなが
ら、無機質充填剤に弗化物を混合する方法では、低誘電
率化を図れるものの、充填剤として含まれる弗化物自体
の機械的強度が小さく、また、弗化物とエポキシ樹脂と
の接着力が小さいことが原因となり、硬化樹脂の機械的
特性が低下してしまう等という問題を有していた。この
ため、十分な機械的強度が要求される絶縁スペーサ等の
大型高電圧部品の構造材料として、このような樹脂を適
用することは困難であった。
【0016】一方、靭性および耐熱性を兼ね備え、それ
らの特性とともに機械的強度の高い絶縁スペーサを得る
方法が、例えば特開平9−22630号公報に開示され
ている。すなわち、ゴム粒子を均一に分散した熱硬化性
樹脂によって形成されていることを特徴とする絶縁スペ
ーサであり、具体的には、以下のように作製される。
【0017】まず、アクリル系ゴム粒子をエポキシ用酸
無水物硬化剤中で2軸撹拌装置を用いて撹拌する。その
後、静置してゴム微粒子間に硬化剤を浸透させて凝集力
を低減させる。その後、プラネタリーミキサに移してシ
リカ粒子と所定混合して得たゴム粒子分散硬化剤と、エ
ポキシ樹脂との混合物を金型に注入する。金型に注入
後、80℃の温度で一次硬化し、150℃の温度で二次
硬化させて絶縁スペーサを得る。
【0018】しかしながら、このような従来の方法で
は、ゴム粒子を均一に分散させるために多数の工程が必
要であり、製造工程が複雑で、かつ時間を要するなどの
問題から、量産化を図ることができなかった。
【0019】さらに、シリカ充填剤を用いたエポキシ注
形品の耐弗化水素については、電気学会絶縁材料研究会
報告(DEI−97−117)等で以下のような報告が
ある。この報告の中で、角のとれたシリカ充填剤を用い
たエポキシ樹脂は、角のあるシリカを用いたエポキシ樹
脂に比べて弗化水素蒸気暴露後の誘電特性の変化が少な
い傾向があることが示されている。しかしながら、SF
ガス絶縁高電圧機器に使用できるレベルの耐弗化水素
抵抗性を持つには至っていない。従って、シリカ充填エ
ポキシ樹脂については耐SF分解ガス特性についての
問題が依然として残されていた。
【0020】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、耐弗化水素抵抗性に優れ、かつ
誘電率が低く、耐熱性および機械的強度に優れたSF
ガス絶縁高電圧機器用注形品を提供することを目的とす
る。
【0021】また、製造工程数を減らし、かつ時間短縮
を図ることで量産化できるSFガス絶縁高電圧機器用
注形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、基材とな
る酸無水物エポキシ樹脂にシリカ充填剤とゴム粒子とを
添加した樹脂組成物を用いて、種々の構成材料の配合比
と硬化条件とを組み合わせて硬化樹脂を調製し、その耐
弗化水素特性を電気特性と機械的特性から評価した。そ
の結果、耐弗化水素抵抗性に優れ、かつ誘電率が低く、
耐熱性および機械的強度に優れた樹脂硬化物からなるS
ガス絶縁高電圧機器用注形品およびその製造方法を
得たものである。
【0023】すなわち、請求項1記載のSFガス絶縁
機器用注型品の製造方法は、少なくとも1分子中に2つ
以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と、このエポ
キシ化合物を硬化させるエポキシ樹脂用硬化剤と、樹脂
の絶縁性を保持するシリカ充填剤と、樹脂強度を高める
ゴム粒子とを配合して調整した樹脂組成物を金型に注入
した後、硬化反応による樹脂の収縮がマトリックス樹脂
およびゴム粒子の体積膨張によって相殺される硬化条件
下で硬化して成形することを特徴とする。
【0024】本発明によれば、酸無水物硬化エポキシ樹
脂からなるマトリックス樹脂中に生じるゲル化後の硬化
収縮が、樹脂の温度を上昇させることにより生じる体積
膨張によって相殺されるため、硬化収縮に基づく内部応
力増大によってマトリックス樹脂自身に生じる微小欠陥
やシリカ充填剤とマトリックス樹脂との接着界面の欠陥
の発生を著しく低減することができる。また、ゴム微粒
子は本来硬化収縮が無く温度上昇によって一方的に体積
膨張するため、マトリックス樹脂の反応収縮の補償に極
めて効果的に作用する。この結果、シリカ充填剤と弗化
水素との反応により生成する導電性物質がマトリックス
樹脂と充填剤の接着界面に浸透するのを防止でき、かつ
マトリックス樹脂に発生する内部欠陥発生が著しく低減
されているため、前述した界面間での導電性物質の移動
が防止される。以上のように、導電パスの形成が抑制さ
れる結果、ガス絶縁開閉装置の電流遮断に生じる程度の
SF分解ガス濃度では、絶縁抵抗の低下や誘電損失係
数の上昇が抑制され実用上問題の無い絶縁特性のシリカ
充填エポキシ注形樹脂からなるSFガス絶縁機器用注
形品を得ることができる。
【0025】請求項2記載の発明は、請求項1記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、硬化条
件は、一次硬化および二次硬化を有する硬化反応におけ
る前記一次硬化の温度を130℃以上としたことを特徴
とする。
【0026】本発明において、一次硬化温度を130℃
以上と規定したが、硬化温度が130℃よりも低い場合
には、樹脂の温度を上昇により生じる体積膨張が十分に
得られず、硬化収縮に基づく内部応力増大によってマト
リックス樹脂自身に生じる微小欠陥やシリカ充填剤とマ
トリックス樹脂との接着界面の欠陥の発生を防ぐことが
できない。
【0027】請求項3記載の発明は、請求項2記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、タンク
内に配置された高速で回転する中心軸に、低速で回転す
る回転筒を通して下方に延出し、前記中心軸の下端にタ
ービン羽根を有する円盤形状のロータを設け、かつ、前
記回転筒にタンク内壁に沿うブレードを設けて混合、攪
拌および分散する方式の攪拌装置を用いて、エポキシ化
合物、エポキシ樹脂用硬化剤、シリカ充填剤およびゴム
粒子を混合、攪拌および分散して樹脂組成物を調整する
ことを特徴とする。
【0028】本発明によれば、同一の攪拌装置内でゴム
粒子とシリカ充填剤の分散を連続的にかつ短時間で行う
ことができるため、製造工程数を減らし、かつSF
ス絶縁高電圧機器用注形品を量産化できる。
【0029】請求項4記載の発明は、請求項3記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、エポキ
シ樹脂用硬化剤中にゴム粒子の凝集体を室温にて全量添
加した後、前記エポキシ樹脂用硬化剤中にシリカ充填剤
を連続して添加した後混合し、凝集状態を形成するゴム
粒子を完全に分散状態としたエポキシ樹脂用硬化剤と、
少なくとも1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエ
ポキシ化合物とを混合して樹脂組成物を調整することを
特徴とする。
【0030】本発明によれば、従来提案されていたゴム
粒子の分散方法に比べて、ゴム粒子の凝集をより完全に
破壊し、樹脂中にほぼ完全な状態で均一に分散させるこ
とができる結果、マトリックス樹脂の内部応力の低減効
果を著しく高めることができる。また、イオン性物質の
導電パスとなるゴム粒子不連続相が生じないため、絶縁
特性と耐SF分解ガス特性とが良好なシリカ充填エポ
キシ注形樹脂からなるSFガス絶縁機器用注形品を得
ることができる。
【0031】請求項5記載の発明は、請求項3記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、少なく
とも1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ
化合物中にゴム粒子の凝集体を室温にて全量添加した
後、前記エポキシ化合物中にシリカ充填剤を連続して添
加して更に混合することにより凝集状態を形成するゴム
粒子を完全に分散状態にしたエポキシ化合物と、エポキ
シ樹脂用硬化剤とを混合し、樹脂組成物を調整すること
を特徴とする。
【0032】本発明において、エポキシ化合物として、
炭素原子2個と酸素原子1個からなる三員環を1分子中
に2個以上持った硬化しうる化合物であれば、適宜使用
可能であり、その種類は限定されるものではないが、例
えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹
脂、トリグリシジルイゾシアネートやヒダントイン型エ
ポキシ樹脂のような複素環式樹脂などヒダントイン型エ
ポキシ樹脂のような複素環式樹脂などが挙げられ、これ
らの化合物は、単独または2種以上の混合物として使用
される。そして、本発明のゴム粒子の分散方法によれ
ば、従来提案されていたゴム粒子の分散方法に比べて、
ゴム粒子の凝集をより完全に破壊し、樹脂中にほぼ完全
な状態で均一に分散させることができる結果、マトリッ
クス樹脂の内部応力の低減効果を著しく高めることがで
きる。また、イオン性物質の導電パスとなるゴム粒子不
連続相が生じないため、絶縁特性と耐SF分解ガス特
性が良好なシリカ充填エポキシ注形樹脂からなるSF
ガス絶縁機器用注形品を得ることができる。
【0033】請求項6記載の発明は、請求項1記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、エポキ
シ樹脂用硬化剤として、メチルテトラヒドロ無水フタル
酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジ
ック酸、水添無水メチルナジック酸またはその他の酸無
水物を用いることを特徴とする。
【0034】本発明における酸無水物硬化剤は、単一ま
たは混合して用いても良く粘度が小さくかつゴム粒子及
びシリカ充填剤との濡れ性が良い。このため、マトリッ
クス樹脂中にゴム粒子及びシリカ充填剤を容易に均一分
散することができ、絶縁特性と耐SF分解ガス特性と
が良好なシリカ充填エポキシ注形樹脂からなるSF
ス絶縁機器用注形品を得ることができる。本発明におい
て例示した酸無水物硬化剤の他に使用可能なものとして
は、ポットライフが長く、硬化時の発熱が小さい無水フ
タル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水
フタル酸、無水ナジック酸等があり、これらの酸無水物
は単一もしくは混合して用いることができる。
【0035】請求項7記載の発明は、請求項1記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、ゴム粒
子は、コアと、このコアを被覆するシェルとからなり、
前記コア部分がアクリルゴムからなり、前記シェルがエ
ポキシ基を有する熱可塑性樹脂からなることを特徴とす
る。
【0036】アクリルゴム粒子の中で、特にコア部分が
アクリルゴムで、外皮シェル部分としてエポキシ基を有
する熱可塑性樹脂からなるコア/シェル構造の含エポキ
シ基複合アクリルゴム粒子は、熱可塑性樹脂表面のエポ
キシ基の作用によってマトリックス樹脂とゴム粒子との
親和性が上がる。このため、マトリックス樹脂中に容易
に、ゴム粒子及びシリカ充填剤を均一に分散することが
でき、絶縁特性と耐SF分解ガス特性とが良好なシリ
カ充填エポキシ注形樹脂からなるSFガス絶縁機器用
注形品を得ることができる。含エポキシ基複合アクリル
ゴム粒子の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し
て7〜12重量部の範囲である。含有量が7重量部未満
である場合には、エポキシ樹脂組成物を硬化させた場合
の硬化収縮補償と内部欠陥防止に対する効果とが十分に
得られず、硬化物の耐弗化水素性が低下する。また、含
有量が12重量部を超える場合にはエポキシ樹脂組成物
の粘度が上昇して流動性が低下し、注形時の作業性が失
われたり、機械的特性を低下させるため7〜12重量部
の範囲とした。
【0037】請求項8記載の発明は、請求項1記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、形状が
球状であるシリカ充填剤を用いることを特徴とする。
【0038】本発明によれば、球状シリカ充填剤とマト
リックス樹脂界面に生じる応力集中による欠陥の発生が
低減されるが、球状シリカとゴム粒子を複合することで
ゴム粒子の変形による残留応力の緩和効果との相乗作用
により欠陥発生を抑制することができ、エポキシ樹脂組
成物を硬化させた場合の硬化収縮補償と内部欠陥防止に
対する効果が十分に得られ、絶縁特性と耐SF分解ガ
ス特性とが良好なシリカ充填エポキシ注形樹脂からなる
SFガス絶縁機器用注形品を得ることができる。
【0039】請求項9記載の発明は、請求項8記載のS
ガス絶縁機器用注型品の製造方法において、球状シ
リカ充填剤の表面をシランカップリング剤により表面改
質することを特徴とする。
【0040】本発明によれば、シランカップリング処理
により球状シリカとマトリクス樹脂との濡れ性が向上す
る。これにより、樹脂硬化物におけるシリカ充填剤とマ
トリックス樹脂との接着界面が強固なものとなり、イオ
ン性物質の界面への浸透を防止することができるため、
絶縁特性と耐SF分解ガス特性とが良好なシリカ充填
エポキシ注形樹脂からなるSFガス絶縁機器用注形品
を得ることができる。
【0041】請求項10記載の発明は、請求項4または
5記載のSFガス絶縁機器用注型品の製造方法におい
て、平均粒子径が1μm以下の単独粒子としてゴム粒子
を樹脂中に分散させたことを特徴とする。
【0042】ゴム粒子は粒子同士が凝集し、エポキシ樹
脂組成物に分散前の状態では100μm〜500μmの
凝集体となっている。本発明においては、エポキシ樹脂
組成物中にできるだけ細かく分散していることが好まし
く、分散後のゴム粒子の平均粒子径が1μm以下の場合
には、エポキシ樹脂組成物を硬化させた場合の硬化収縮
補償と内部欠陥防止に対する効果が十分に得られ、絶縁
特性と耐SF分解ガス特性とが良好なシリカ充填エポ
キシ注形樹脂からなるSFガス絶縁機器用注形品を得
ることができる。なお、平均粒子径が1μm以上になる
とイオン性物質の導電パスとなるゴム粒子不連続相が生
じる確率が急激に高くなるため好ましくない。
【0043】請求項11記載のSFガス絶縁機器用注
型品は、少なくとも1分子中に2つ以上のエポキシ基を
有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を硬化さ
せるエポキシ樹脂用硬化剤と、樹脂の絶縁性を保持する
シリカ充填剤と、樹脂強度を高めるゴム粒子とが配合さ
れた樹脂組成物が、硬化による樹脂の収縮が、マトリッ
クス樹脂とゴム粒子との体積膨張により相殺される条件
下で硬化され成形されたことを特徴とする。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図1、図2および表1〜表3を用いて説明する。
【0045】第1実施形態(表1、図1:試験片No.
1、No.2) 本実施形態は、硬化収縮を樹脂の温度上昇による体積膨
張で補償する効果を比較するため、実施例および比較例
を用いて調査したものである。本実施形態においては、
本発明の製造方法を用いて、硬化条件を変えてNo.1
およびNo.2の試験片を作製し、電気的特性及び機械
的特性の評価を行った。
【0046】実施例1(試験片No.1) エポキシ樹脂用硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フ
タル酸(新日本理化社製、商品名:MH700)90重
量部を、同芯二軸高速混合装置(株式会社井上製作所
製)で撹拌しながら、含エポキシ基複合アクリルゴム粒
子(呉羽化学工業株式会社製、商品名、EXL231
5)10重量部を投入し、室温下において回転速度、毎
分750回(r.p.m)で10分間撹拌した。なお、
攪拌を行う同芯二軸高速混合装置を図1に示す。図1
(a)に示すように、同芯二軸高速混合装置20は、タ
ンク21内に高速で回転する中心軸22と、この中心軸
22の外周に低速で回転する回転筒23とを有する。こ
の中心軸23の下端位置には、円盤形状のロータ24が
設けられている。そして、回転筒23の側面にはタンク
21内壁に沿うブレード25が配置される。
【0047】また、同芯二軸高速混合装置20内のロー
タ24は、図1(b)に示すように、円板26の外周
に、タービン羽根27が等間隔に複数個設置されてい
る。
【0048】次に、アクリル系ゴム粒子を混合した硬化
剤をこの同芯二軸高速混合装置内で50℃に昇温し、溶
融シリカ粒子充填剤(龍森製、商品名:RD8)160
重量部を投入し、真空状態において1時間混合して硬化
剤B液を得た。
【0049】一方、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
株式会社製、商品名:EP828)100重量部に対し
て、前述した溶融シリカ粒子充填剤200重量部を投入
し、真空状態において80℃で混合し主剤A液を得た。
【0050】次に、主剤A中のエポキシ成分に対して、
硬化剤B液中の酸無水物成分が、(酸無水物モル/エポ
キシ当量)=0.9になるように配合し、さらに硬化促
進剤としてトリス−2,4,6−ジメチルアミノメチル
フェノール(商品名:K−54、油化シェル社製)をエ
ポキシ成分100重量部に対して0.1重量部を添加し
た。その後、万能混合機を用いて真空状態において60
℃で10分間混合して樹脂組成物を得た。
【0051】得られた樹脂組成物を90℃に予熱した金
型中に注型し、表1に示す条件で硬化を行った。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示すように、硬化条件として、一次
硬化は、90℃から100℃までを4時間かけて等速昇
温させ、その後100℃から135℃迄を3時間かけて
等速昇温して行った。その後、二次硬化は150℃の温
度で15時間硬化させてものである。このようにして試
験片No.1を得た。
【0054】比較例1(試験片No.2) 本比較例では、実施例と全く同様の方法で調製した樹脂
組成物を用いた。この樹脂組成物を金型中に注型した
後、表1に示す硬化条件でこの樹脂組成物硬化した。硬
化条件として、一次硬化は100℃の温度で24時間、
二次硬化は150℃の温度で15時間とし、試験片N
o.2を得た。
【0055】実施例および比較例で得られたNo.1お
よびNo.2の試験片について、電気的特性および機械
的特性の評価を行った。その評価結果を表2に示す。な
お、表2に示す各種特性のうち、比誘電率は相互誘導ブ
リッジ法により測定(JISK6911)して求めた。
曲げ強さは、JIS K6911の方法に準じて行っ
た。また、耐熱衝撃性としては、使用した各樹脂の銅M
20平ワッシャー法による耐クラック指数を記した。ガ
ラス転移温度Tgは、樹脂板から切り出した試料を示差
走査熱量計(DSC)により測定し、その比熱変化から
求めた。また、硬化樹脂の耐六弗化硫黄分解ガス性を評
価するため、樹脂板の表面絶縁抵抗として、初期値およ
び弗化水素(HF)暴露後の2種類を測定した。なお、
弗化水素(HF)暴露後の絶縁抵抗は、濃度25%の弗
化水素水溶液を用いて一定の濃度に平衡させた弗化水素
雰囲気の容器中にて一定の濃度に平衡させた弗化水素雰
囲気の容器中に樹脂板を室温で24時間暴露した後、樹
脂板表面の絶縁抵抗を測定したものである。
【0056】
【表2】
【0057】表2に示すように、実施例および比較例を
比較すると、比誘電率、硬化度の指標となるガラス転移
温度および耐クラック指数等の諸特性については同等で
あった。一方、実施例は比較例に比べて曲げ強さが9M
Paも高く、機械的強度に優れていることが分かった。
また、実施例の樹脂表面の絶縁抵抗は、比較例に比べ
て、初期値から弗化水素(HF)雰囲気暴露後までの絶
縁抵抗の低下が少なかった。
【0058】次に、実施例における一次硬化中の体積収
縮率と樹脂温度との関係について調査した。図2は、そ
の関係を示すグラフである。なお、ここで用いた体積収
縮率は、本試験とは別に測定したものであり、90℃か
ら135℃までの所定の温度で等温硬化させた時の樹脂
組成物の硬化体積収縮率をディラトメーターにより測定
したものである。この樹脂組成物の硬化体積収縮率を〇
で示した。また、温度上昇による液体状樹脂の体積膨張
を●で示し、温度上昇によるゲル化後樹脂の体積膨張を
■で示した。
【0059】図2に示すように、硬化体積収縮が樹脂温
度上昇による体積膨張で補償されているのがわかる。な
お、本実施例に示した樹脂組成物の体積膨張率は、液体
状態で0.0712%/℃、ゲル化後で0.05%/℃
であった。
【0060】本実施形態によれば、酸無水物硬化エポキ
シ樹脂からなるマトリックス樹脂中に生じるゲル化後の
硬化収縮が、樹脂の温度を上昇させることにより生じる
体積膨張によって相殺されるため、硬化収縮に基づく内
部応力増大によってマトリックス樹脂自身に生じる微小
欠陥やシリカ充填剤とマトリックス樹脂との接着界面の
欠陥の発生を著しく低減することができる。また、ゴム
微粒子は本来硬化収縮が無く温度上昇によって一方的に
体積膨張するため、マトリックス樹脂の反応収縮の補償
に極めて効果的に作用する。この結果、シリカ充填剤と
弗化水素との反応により生成する導電性物質が、マトリ
ックス樹脂と充填剤との接着界面に浸透するのを防止で
き、かつマトリックス樹脂に発生する内部欠陥発生が著
しく低減されているため、界面間での導電性物質の移動
を防止することができる。この結果、硬化収縮を補償し
ない条件で硬化した比較例の樹脂に比べて、実施例の樹
脂は弗化水素雰囲気暴露後における樹脂表面の絶縁抵抗
の低下が少なかった。
【0061】第2実施形態(表3、図3) 本実施形態においては、本発明のSFガス絶縁機器用
注型品の代表例として絶縁スペーサを挙げ、その実施例
及び従来技術による比較例を示し、これらの実施例及び
比較例の絶縁スペーサの対照評価により、本発明の作用
効果についてさらに詳細に説明する。なお、実施例2〜
5及び比較例2〜3において試作した絶縁スペーサは、
従来例で示した図3に示すようなコーン形状で、中心部
にアルミニウム製の通電部材を配してなる同一構成を有
し、直径550mm、本体樹脂部分の最大厚さ80mm
の寸法を有する絶縁スペーサ(モデルスペーサ)とし
た。
【0062】実施例2 本実施例では、第1実施形態における実施例と全く同じ
方法で、硬化剤B液と主剤A液を得た。次に、主剤A中
のエポキシ成分に対して、硬化剤B液中の酸無水物成分
が、(酸無水物モル/エポキシ当量)=0.9になるよ
うに配合し、さらに硬化促進剤としてトリス−2,4,
6−ジメチルアミノメチルフェノール(商品名:K−5
4、油化シェル社製)をエポキシ成分100重量部に対
して0.8重量部を添加した後、万能混合機を用いて真
空状態において60℃で10分間混合して樹脂組成物を
得た。
【0063】さらに、この樹脂組成物を金型中に注型
し、一次硬化130℃×30分、二次硬化150℃×1
5時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製した。
【0064】実施例3 エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製、商品
名:EP828)92重量部を、同芯二軸高速混合装置
で撹拌しながら、含エポキシ基複合アクリルゴム粒子
(呉羽化学工業株式会社製、商品名、EXL2315)
8重量部を投入し、80℃において回転速度、毎分75
0回(r.p.m)で10分間撹拌した。
【0065】次に、アクリル系ゴム粒子を混合したエポ
キシ樹脂を同芯二軸高速混合装置内で120℃に昇温
し、溶融シリカ粒子充填剤(龍森製、商品名:RD8)
140重量部を投入し、真空状態において1時間混合し
て主剤A液を得た。
【0066】一方、エポキシ樹脂用硬化剤としてメチル
ヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製、商品名:
MH700)100重量部に対して、前述したシリカ粒
子220重量を添加し、真空状態において50℃で混合
し硬化剤B液を得た。
【0067】次に、主剤A中のエポキシ成分に対して、
硬化剤B液中の酸無水物成分が、(酸無水物モル/エポ
キシ当量)=0.9になるように配合し、さらに硬化促
進剤としてトリス−2,4,6−ジメチルアミノメチル
フェノール(商品名:K−54、油化シェル社製)をエ
ポキシ成分100重量部に対して0.8重量を添加した
後、万能混合機を用いて真空状態において60℃で10
分間混合して樹脂組成物を得た。
【0068】さらに、この樹脂組成物を金型中に注型
し、一次硬化130℃×30分、二次硬化150℃×1
5時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製した。
【0069】実施例4 本実施例では、実施例2の無機質充填剤の中で溶融シリ
カ粒子充填剤の代わりに、充填剤表面をシランカップリ
ング処理した球状溶融シリカ充填剤(龍森製、商品名:
MSR25、平均粒径13μm)160重量部を投入
し、その他の樹脂組成及び硬化条件は、実施例2と全く
同様として、モデルスペーサを作製した。
【0070】実施例5 本実施例では、実施例3の無機質充填剤の中で溶融シリ
カ粒子充填剤の代わりに、充填剤表面をシランカップリ
ング処理した球状溶融シリカ充填剤(龍森製、商品名:
MSR25、平均粒径13μm)160重量部を投入
し、その他の樹脂組成及び硬化条件は、実施例3と全く
同様として、モデルスペーサを作製した。
【0071】一方、上記のような本発明に従う実施例に
対し、SFガス絶縁機器注型品用樹脂として一般に使
用されている注型樹脂用組成物、及び低誘電率樹脂とし
て公知の注型用樹脂組成物を、従来技術による比較例と
して採用し、以下の各条件でモデルスペーサを作製し
た。
【0072】比較例2 本比較例では、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式
会社製、商品名:EP828)100重量部を、同芯二
軸高速混合装置(株式会社井上製作所製)で撹拌しなが
ら、溶融シリカ粒子充填剤(龍森製、商品名:RD8)
200重量部を投入し、真空状態において80℃で1時
間混合して主剤A液を得た。一方、エポキシ樹脂用硬化
剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化
社製、商品名:MH700)100重量部に対して、前
述したシリカ粒子220重量を添加し、真空状態におい
て50℃で1時間混合し硬化剤B液を得た。
【0073】次に、主剤A中のエポキシ成分に対して、
硬化剤B液中の酸無水物成分が、(酸無水物モル/エポ
キシ当量)=0.9になるように配合し、さらに硬化促
進剤としてトリス−2,4,6−ジメチルアミノメチル
フェノール(商品名:K−54、油化シェル社製)をエ
ポキシ成分100重量部に対して0.8重量部を添加し
た後、万能混合機を用いて真空状態において60℃で1
0分間混合して樹脂組成物を得た。
【0074】さらに、この樹脂組成物を金型中に注型
し、一次硬化130℃×30分、二次硬化150℃×1
5時間の条件で硬化させ、モデルスペーサを作製した。
【0075】比較例3 本比較例では、エポキシ化合物としてビスフェノールA
ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(チバガイギー社
製、商品名CT−200)88重量部、脂環式エポキシ
樹脂(チバガイキー社製、商品名CY−179)12重
量部、無機質充填剤としてアルミナ(太平洋ランダム社
製、LA1200:平均粒径12μmの電融アルミナ)
を樹脂組成物全体の42容量%を万能混合機を用いて1
20℃で3時間以上よく混合、脱泡した後、エポキシ樹
脂用硬化剤として無水フタル酸(チバガイキー社製、商
品名HT−901)を35重量部添加し、さらに120
℃で10分間真空混合して樹脂組成物を得た。さらに、
この樹脂組成物を金型中に注型し、一次硬化120℃×
15時間、二次硬化150℃×15時間の条件で硬化さ
せ、モデルスペーサを作製した。
【0076】このようにして得られた実施例2〜5およ
び比較例2〜3のモデルスペーサについて各種の評価を
行った。その結果を表3に示す。なお、比誘電率、耐ク
ラック指数、ガラス転移温度Tgおよび樹脂板表面の絶
縁抵抗は、第1実施形態と同様の試験条件を用いた。ま
た、破壊応力は、所定の試験装置に組み込んだモデルス
ペーサに段階的に内圧を負荷し、歪ゲージにより測定し
た負荷圧力に伴う表面歪の最大値から算出した。
【0077】
【表3】
【0078】表3に示すように、本発明の実施例2〜5
においては、比較例2に比べて弗化水素雰囲気暴露後に
おけるスペーサ表面の絶縁抵抗の低下は小さく、要求さ
れる耐弗化水素性のレベルを満たしている絶縁スペーサ
が得られる。更に本発明の実施例2〜5においては、従
来技術からの比較例3に対してもスペーサ破壊応力、耐
クラック性について高いレベルにあり、製品段階におい
て要求される諸特性を満足した低誘電率の絶縁スペーサ
が得られることが分かる。
【0079】本実施形態における実施例2ないし実施例
5では、130℃以上の温度に保持した金型で一次硬化
させることにより、硬化発熱により金型内樹脂の温度が
0.8℃/分程度の割合で上昇する。更に、硬化収縮が
無く温度上昇によって一方的に体積膨張するゴム粒子が
樹脂中に配合されているため、硬化収縮を補償するのに
充分な樹脂の体積膨張が生じる。
【0080】なお、本発明による注型用樹脂組成物は、
本実施形態の実施例に限定されるものではなく、課題を
解決するための手段の欄に記載した通り、多様な材料を
選択的に使用可能であり、その場合にも前記実施例と同
様に優れた作用効果が得られるものである。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
により作製されたSFガス絶縁機器用注型品は、従来
のガス絶縁機器用として用いられているアルミナ充填エ
ポキシ樹脂製の注形品に比べて、耐熱性、機械的特性は
同等またはそれ以上で、かつ耐六弗化硫黄分解ガス性に
優れ、低誘電率であるので、ガス絶縁機器の絶縁設計が
容易になり、機器の小型化と信頼性の向上を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における、同芯二軸混合装置
の構造を示す断面図。
【図2】本発明の実施形態における、樹脂組成物の硬化
収縮と体積膨張との関係を示すグラフ。
【図3】従来例における、本発明の注型用樹脂組成物か
らなる絶縁スペーサが適用されるコーン形状の絶縁スペ
ーサを示す縦断面図。
【符号の説明】
20 同芯二軸高速混合装置 21 タンク 22 中心軸 23 回転筒 24 ロータ 25 ブレード 26 円板 27 タービン羽根
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 17/56 H01B 17/56 D 19/00 331 19/00 331 (72)発明者 今井 隆浩 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 4J002 BG042 BN12X CD001 DJ016 EL137 FD016 FD147 GQ01 5G305 AA13 AA20 AB10 AB15 AB24 AB40 BA15 BA22 CA07 CA15 CA45 CA47 CB13 CB26 CC02 CD01 CD06 CD08 DA11 DA16 5G333 AA05 AA09 AA11 AB01 AB28 BA01 CA03 CB01 CB15 CC20 DA04 EA02 EB08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1分子中に2つ以上のエポキ
    シ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物を
    硬化させるエポキシ樹脂用硬化剤と、樹脂の絶縁性を保
    持するシリカ充填剤と、樹脂強度を高めるゴム粒子とを
    配合して調整した樹脂組成物を金型に注入した後、硬化
    反応による樹脂の収縮がマトリックス樹脂およびゴム粒
    子の体積膨張によって相殺される硬化条件下で硬化して
    成形することを特徴とするSFガス絶縁機器用注型品
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、硬化条件は、一次硬化および
    二次硬化を有する硬化反応における前記一次硬化の温度
    を130℃以上としたことを特徴とするSFガス絶縁
    機器用注型品の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、タンク内に配置された高速で
    回転する中心軸に、低速で回転する回転筒を通して下方
    に延出し、前記中心軸の下端にタービン羽根を有する円
    盤形状のロータを設け、かつ、前記回転筒にタンク内壁
    に沿うブレードを設けて混合、攪拌および分散する方式
    の攪拌装置を用いて、エポキシ化合物、エポキシ樹脂用
    硬化剤、シリカ充填剤およびゴム粒子を混合、攪拌およ
    び分散して樹脂組成物を調整することを特徴とするSF
    ガス絶縁機器用注型品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、エポキシ樹脂用硬化剤中にゴ
    ム粒子の凝集体を室温にて全量添加した後、前記エポキ
    シ樹脂用硬化剤中にシリカ充填剤を連続して添加した後
    混合し、凝集状態を形成するゴム粒子を完全に分散状態
    としたエポキシ樹脂用硬化剤と、少なくとも1分子中に
    2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物とを混合
    して樹脂組成物を調整することを特徴とするSFガス
    絶縁機器用注型品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、少なくとも1分子中に2つ以
    上のエポキシ基を有するエポキシ化合物中にゴム粒子の
    凝集体を室温にて全量添加した後、前記エポキシ化合物
    中にシリカ充填剤を連続して添加して更に混合すること
    により凝集状態を形成するゴム粒子を完全に分散状態に
    したエポキシ化合物と、エポキシ樹脂用硬化剤とを混合
    し、樹脂組成物を調整することを特徴とするSFガス
    絶縁機器用注型品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、エポキシ樹脂用硬化剤とし
    て、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒ
    ドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、水添無水メ
    チルナジック酸またはその他の酸無水物を用いることを
    特徴とするSFガス絶縁機器用注型品の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、ゴム粒子は、コアと、このコ
    アを被覆するシェルとからなり、前記コア部分がアクリ
    ルゴムからなり、前記シェル部分がエポキシ基を有する
    熱可塑性樹脂からなることを特徴とするSFガス絶縁
    機器用注型品の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、形状が球状であるシリカ充填
    剤を用いることを特徴とするSFガス絶縁機器用注型
    品の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のSFガス絶縁機器用注
    型品の製造方法において、球状シリカ充填剤の表面をシ
    ランカップリング剤により表面改質することを特徴とす
    るSFガス絶縁機器用注型品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項4または5記載のSFガス絶
    縁機器用注型品の製造方法において、平均粒子径が1μ
    m以下の単独粒子としてゴム粒子を樹脂中に分散させた
    ことを特徴とするSFガス絶縁機器用注型品の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 少なくとも1分子中に2つ以上のエポ
    キシ基を有するエポキシ化合物と、このエポキシ化合物
    を硬化させるエポキシ樹脂用硬化剤と、樹脂の絶縁性を
    保持するシリカ充填剤と、樹脂強度を高めるゴム粒子と
    が配合された樹脂組成物が、硬化による樹脂の収縮が、
    マトリックス樹脂とゴム粒子との体積膨張により相殺さ
    れる条件下で硬化され成形されたことを特徴とするSF
    ガス絶縁機器用注型品。
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