JP3389533B2 - エポキシ樹脂組成物及びモールドコイル - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及びモールドコイル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエポキシ樹脂組成物
及びモールドコイルに係り、特に、エポキシ樹脂成分と
硬化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物及び該エ
ポキシ樹脂組成物を用いたモールドコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、モールドコイルに使用するエポキ
シ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤等を所
定の割合で調合する一液型エポキシ樹脂組成物と、[a]
エポキシ樹脂、充填剤を含むエポキシ樹脂成分と[b]硬
化剤、充填剤を含む硬化剤成分とに各々分けて作製し、
使用直前に[a]エポキシ樹脂成分と[b]硬化剤成分を混合
してエポキシ樹脂組成物とする二液型エポキシ樹脂組成
物に大別される。
【0003】前者はエポキシ樹脂と硬化剤が混合される
ことで、調合時点から硬化反応が進行するため、ポット
ライフ(可使時間)の観点から、モールドコイルを作製
する際の注型作業に時間的制約を受け易い。これに対
し、後者は[a]エポキシ樹脂成分と[b]硬化剤成分を混合
しない限り、硬化反応が進行しないため、実質的にポッ
トライフは時間的制約を受けない利点がある。特に、硬
化剤成分に硬化促進剤を増量することで、エポキシ樹脂
成分と混合した際に速硬化を図ることが可能になる特長
を有する。
【0004】このように、二液型エポキシ樹脂組成物は
一液型エポキシ樹脂組成物に比べ、ポットライフに効果
がある反面、硬化剤成分において硬化剤が低粘度である
ため、充填剤が下部に沈降し易い欠点がある。この沈降
した充填剤は非常に堅くなった状態になり、再分散が非
常に困難で、二液混合注型装置の搬送トラブルの原因と
なる。
【0005】硬化剤成分の充填剤の沈降防止を図る方法
として、一般的には微粒子の無機粉末を沈降防止剤とし
て硬化剤成分中に添加する方法がある。例えば、特開平
5−86168号公報には、硬化剤成分として酸無水物
に平均粒径3〜10μmのシリカ充填剤を全シリカ充填
剤量の53〜60重量%配合し、沈降防止剤として平均
粒径0.5〜0.8μmの水酸化アルミニウムを全シリ
カ充填剤量の1〜3重量%を添加する方法が開示されて
いる。
【0006】硬化剤成分に水酸化アルミニウムを添加し
た場合、充填剤の沈降防止には効果があるが、エポキシ
樹脂成分と硬化剤成分を混合してエポキシ樹脂組成物と
した時に粘度が高くなる現象を生じる。エポキシ樹脂組
成物の粘度が上昇すると、モールドコイル作製時に巻線
等へ容易に浸透せずに注型作業性を著しく低下させ、さ
らには硬化後に巻線等の間にボイド(泡)が形成され、
絶縁信頼性が低下する等の問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は硬化剤成分に
おいてシリカ充填剤の沈降が少なく、且つエポキシ樹脂
成分を混合した場合に低粘度化が両立できるエポキシ樹
脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を用いたモールドコ
イルを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特定のシ
リカ充填剤と沈降防止剤とを組み合わせることによっ
て、シリカ充填剤の沈降防止とエポキシ樹脂組成物の低
粘度化を両立した。
【0009】すなわち、本発明は[a]エポキシ樹脂及び
シリカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と、[b]酸無水物
硬化剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含む硬
化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物において、
該シリカ充填剤は平均粒径2.5〜6.0μmであり、
該水酸化アルミニウムは最大粒径が2.31μm以下で
あって、シリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95
重量%添加したことを特徴とする。
【0010】また、電気絶縁物を導体に被覆した巻線に
前記のエポキシ樹脂組成物を注型後、加熱硬化したモー
ルドコイルにおいて、前記エポキシ樹脂組成物を注型
後、加熱硬化することにより達成することができた。
【0011】本発明に示すシリカ充填剤及び水酸化アル
ミニウムの平均粒径や最大粒径はレーザ回折粒度分布測
定装置MICROTRAC FRA型(日機装株式会社製)で粒度分
布(計測使用レンジを0.12〜704μm)を測定し
た結果(平均粒径は累積頻度が50%)から求めた。試
料はシリカ充填剤あるいは水酸化アルミニウム約1gを
ヘキサメタりん酸ナトリウムの0.2wt%水溶液約1
00mlに約1分間超音波分散して測定した。
【0012】本発明におけるシリカ充填剤は平均粒径が
2.5〜6.0μmであり、特に低粘度化、線膨張係数
の低減等の観点からエポキシ樹脂組成物中の添加量は7
4〜78重量%の範囲が好ましい。
【0013】本発明における水酸化アルミニウムは最大
粒径が2.31μm以下であり、エポキシ樹脂組成物中
のシリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95重量%
の範囲で添加される。
【0014】上記シリカ充填剤と水酸化アルミニウムを
組み合わせることにより、硬化剤成分中のシリカ充填剤
の沈降量が低減されると共に、エポキシ樹脂組成物の低
粘度化が可能になる。この理由は、水酸化アルミニウム
の板状微粒子がシリカ充填剤の沈降を抑制すると共に、
シリカ粒子間に流動性に対して効果的な隙間を有して混
合し合うため、シリカ充填剤の沈降と粘度の上昇が防止
できるものと推察する。
【0015】本発明に示すエポキシ樹脂は粘度、機械的
強度、耐熱性の観点から、例えば、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添
化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添化ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA及びビスフェノ
ールFとエピクロルヒドリンとの反応によって得られる
ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹
脂、ノボラックエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が用いら
れる。エポキシ樹脂は前記エポキシ樹脂を単独または2
種以上混合して用いることができる。
【0016】本発明に示す酸無水物硬化剤としては注型
性や硬化物物性等の観点から、例えば、無水フタル酸、
無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフ
タル酸等が挙げられる。前記エポキシ樹脂と酸無水物硬
化剤との配合割合は特に制限無いが、通常、当量比で
1:1前後が選択される。
【0017】硬化促進剤は本発明のエポキシ樹脂組成物
の用途、特性の向上あるいは改善等に応じて適宜使用さ
れ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−
メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミ
ダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メ
チルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチ
ルアミン、N−ベンジルジメチルアミン等の第三級アミ
ン類がある。これらの硬化促進剤は単独または2種以上
混合して用いても良い。また、硬化促進剤の配合量はエ
ポキシ樹脂組成物としてのゲル化時間やポットライフ
(可使時間)から適宜選択されるが、通常、エポキシ樹
脂と酸無水物硬化剤の総重量に対して0.1〜10重量
%添加される。
【0018】また、カップリング剤は、本発明のエポキ
シ樹脂組成物の用途、特性の向上あるいは改善等に応じ
て適宜使用され、(1)無機充填剤と化学結合する反応
性官能基、エポキシ樹脂/酸無水物硬化剤と化学結合す
る反応性官能基を有するカップリング剤、(2)無機充
填剤と化学結合し、エポキシ樹脂/酸無水物硬化剤と絡
み合う非反応性有機基を有するカップリング剤とを併用
することがより効果的である。
【0019】以上述べたエポキシ樹脂組成物は電気絶縁
物を導体に被覆した巻線に注型後、加熱硬化すること
で、巻線部にボイドが無く絶縁信頼性に優れたモールド
コイルが作製できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
【0021】
【実施例1〜3】及び
【比較例1〜2】平均粒径が2.5μmのシリカ充填剤
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭
チバ株式会社製、商品名AER−260)90重量部、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂10重量部(旭電化株
式会社製、商品名EP−4901)の混合物及びカップ
リング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM−40
3)2.7重量部添加し、約90℃に調節した万能混合
撹拌機(ダルトン株式会社製)を用いて真空脱泡(10
Pa)しながら、約30分間混合してエポキシ樹脂成分
を得た。
【0022】次に、上記シリカ充填剤335重量部に、
酸無水物硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸
(日立化成工業株式会社製、商品名HN−5500)8
8重量部、カップリング剤として(2−n−ブトキシカル
ボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン(日本曹
達株式会社製、商品名S−181)1.2重量部、硬化促
進剤として1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイ
ミダゾール(四国化成株式会社製、商品名2E4MZ-
CN)0.25重量部、沈降防止剤として最大粒径2.
31μmである水酸化アルミニウム(住友化学株式会社
製、商品名C-3005)を全シリカ充填剤量に対して
0.45〜1.00重量%(2.9〜6.3重量部)の
範囲で各々添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合
撹拌機を用いて硬化剤成分を得た。
【0023】これらエポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを
万能混合撹拌機で10分間混合し、二液化したエポキシ
樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の粘
度、注型時間及び硬化剤成分におけるシリカ充填剤の沈
降性及び沈降率を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】なお、エポキシ樹脂組成物の粘度の測定
は、BL型回転粘度計(東京計器株式会社製)を用い、
エポキシ樹脂組成物約80mlをサンプル瓶(35Φ、
110ml)に秤量し、90℃に調節したシリコーン油
浴に浸漬して行った。エポキシ樹脂組成物の注型時間の
測定は90℃に加熱したエポキシ樹脂組成物約400g
を容積500mlの分液ロート(コック穴径;1mm、
足径;7mm)に入れた後、コックを開放して容積20
0mlのメスシリンダーに注入し、150mlまで達す
る時間を計測して、この時間を注型時間とした。
【0026】更に、硬化剤成分中のシリカ充填剤の沈降
性は万能混合撹拌機で混合後、サンプル瓶(35φ、1
10ml)に高さ80mm(瓶下端から液面までの距
離)まで秤量した後、40℃で30日間放置し、サンプ
ル瓶に金尺を挿入してシリカ充填剤が沈降した高さを求
め、シリカ充填剤の沈降率(シリカ充填剤の沈降高さ/
80×100)が5%以下であれば「優」、沈降率が5
%以上であれば二液混合注型装置での搬送トラブルが発
生するため「劣」と判定した。
【0027】沈降防止剤である水酸化アルミニウム(最
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において6.5%を示し、沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が2.5μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
【0028】以上本実施例のエポキシ樹脂組成物は低粘
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
【0029】
【実施例4〜6】及び
【比較例3〜4】平均粒径が4.0μmのシリカ充填剤
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA/F型エポキシ樹脂
(チバガイギ株式会社製、商品名PY302−2)10
0重量部を添加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹
脂成分を得た。
【0030】次に、上記シリカ充填剤335重量部に、
酸無水物硬化剤として無水メチルハイミック酸(日立化
成工業株式会社製、商品名MHAC−P)95重量部、
硬化促進剤としてベンジルジメチルアミン(花王株式会
社製、商品名BDMA)0.25重量部、沈降防止剤と
して最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム
(住友化学株式会社製、商品名C-3005)を全シリ
カ充填剤量に対して0.45〜1.00重量%(2.9
〜6.3重量部)の範囲で各々添加し、エポキシ樹脂成
分と同様に万能混合撹拌機を用いて硬化剤成分を得た。
これらエポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを実施例1と同
様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ
樹脂組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成分におけるシ
リカ充填剤の沈降性及び沈降率を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】沈降防止剤である水酸化アルミニウム(最
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において、7.0%を示し沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が4.0μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
【0033】以上本実施例のエポキシ樹脂組成物は低粘
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
【0034】
【実施例7〜9】及び
【比較例5〜6】平均粒径が6.0μmのシリカ充填剤
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(A
ER-260)80重量部、脂環式エポキシ樹脂(チバ
ガイギ株式会社製、商品名CY-179)20重量部の
混合物を添加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹脂
成分を得た。
【0035】次に、上記シリカ充填剤335重量部に、
酸無水物硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸
(HN−5500)95重量部、硬化促進剤として1-
(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール
(2E4MZ−CN)0.25重量部、沈降防止剤とし
て最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム(C
−3005)を全シリカ充填剤量に対して0.45〜
1.00重量%(2.9〜6.3重量部)の範囲で各々
添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合撹拌機を用
いて硬化剤成分を得た。
【0036】これらエポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを
実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得ら
れたエポキシ樹脂組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成
分におけるシリカ充填剤の沈降性及び沈降率を表3に示
す。
【0037】
【表3】
【0038】沈降防止剤である水酸化アルミニウム(最
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において、7.0%を示し沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が6.0μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
【0039】以上本実施例のエポキシ樹脂組成物は低粘
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
【0040】
【比較例7〜12】平均粒径が2.0μm及び7.0μ
mのシリカ充填剤(龍森株式会社製、結晶質シリカ)各
300重量部に、エポキシ樹脂としてビスフェノールA/
F型エポキシ樹脂(PY302−2)100重量部を添
加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹脂成分を得
た。
【0041】次に、上記シリカ充填剤各335重量部
に、酸無水物硬化剤として無水メチルハイミック酸(M
HAC−P)95重量部、硬化促進剤としてベンジルジ
メチルアミン(BDMA)0.25重量部、沈降防止剤
として最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム
(C−3005)を全シリカ充填剤量に対して0.50
〜0.95重量%(3.2〜6.0重量部)の範囲で各
々添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合撹拌機を
用いて硬化剤成分を得た。これらエポキシ樹脂成分と硬
化剤成分とを実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物
を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の粘度、注型時間
及び硬化剤成分におけるシリカ充填剤の沈降性及び沈降
率を表4に示す。
【0042】
【表4】
【0043】シリカ充填剤の平均粒径が2.0μmであ
り、沈降防止剤である水酸化アルミニウム(最大粒径
2.31μm)の添加量が0.50〜0.95重量%の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.8Pa・s以上
と高く、注型時間も10分と長くなった。一方、シリカ充
填剤の平均粒径が7.0μmであり、沈降防止剤である
水酸化アルミニウム(最大粒径2.31μm)の添加量
が0.50〜0.95重量%の場合、エポキシ樹脂組成
物の粘度は2.2Pa・s以下と低粘度であり、注型時
間も5分と短時間を示すが、硬化剤成分における沈降率
は6.5〜7.5%を示し、沈降性はいずれも「劣」の
評価であり、沈降防止の効果が得られなかった。
【0044】
【比較例13〜18】実施例1〜3及び実施例7〜9で
使用した各素材のうち、硬化剤成分に添加した水酸化ア
ルミニウムの最大粒径を2.31μmから3.89μmに
替えて、実施例1と同様な方法で、比較例13〜15及
び比較例16〜18のエポキシ樹脂成分、硬化剤成分お
よびエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂
組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成分におけるシリカ
充填剤の沈降性及び沈降率を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】シリカ充填剤の平均粒径が2.5及び6.
0μm、水酸化アルミニウムの添加量が0.50〜0.
95重量%(全シリカ充填剤量に対して)と本発明の範
囲内であっても、沈降防止剤である水酸化アルミニウム
の最大粒径が3.89μmと本発明の範囲外である場
合、エポキシ樹脂組成物の粘度は約2.0Pa・sと低粘
度で、注型時間も5分と短時間を示すが、硬化剤成分に
おける沈降率は8〜20%を示し、沈降性はいずれも
「劣」の評価であり、沈降防止の効果が得られなかっ
た。
【0047】
【実施例10】本発明に示すエポキシ樹脂組成物を使用
してモールドコイルを作製した例について説明する。図
1は本実施例10のモールドコイルの構成を示す一部を
断面とした斜視図である。このモールドコイルは、内外
周をそれぞれプリプレグ絶縁物2a、3aでモールドして内
周絶縁層2、外周絶縁層3を形成し、コイル内部には実施
例1と同様なエポキシ樹脂組成物4を巻線1の内部にも含
浸注入した後、加熱硬化することにより作製される。
【0048】本実施例10におけるモールドコイルの製
造方法は、図2のように巻線機6の巻心8にプリプレグ絶
縁物2aをエポキシ樹脂組成物の漏れ止め用フランジ7に
密着するようにして巻回し、その上に巻線1を巻回す
る。巻線1は図3に示すように導体1aと層間絶縁物5とが
交互に巻回される。図2において巻線1の巻回後、更に
その上面にプリプレグ絶縁物3aを一方の端部がフランジ
7に密着するようにして巻回し、その後、170℃で4
時間加熱して巻線1の乾燥とプリプレグ絶縁物2a、3aの
硬化を行う。図3に示すように、フランジ7を下にして
内周絶縁層2と外周絶縁層3で囲まれた空間及び導体1aと
層間絶縁物5に囲まれた空間に、実施例1の[a]エポキシ
樹脂成分及び[b]硬化剤成分を自動計量吐出装置(ナカ
リキッドコントロール株式会社製、商品名トリスタンTV
E−EL)を用い、自動計量された各樹脂組成物をミキシ
ング部で混合したエポキシ樹脂組成物を約10分で含浸
注入し、100℃・5時間の加熱硬化した後にフランジ
7及び巻心8を取り外し、更に170℃・7時間の加熱硬
化後、約12時間かけて室温まで冷却してモールドコイ
ルを作製した。
【0049】本実施例のモールドコイルは低粘度のエポ
キシ樹脂組成物を用いているため、図3に示すように巻
線部にボイド(気泡)が無く、また、前記モールドコイ
ルに約10kVの電圧を印加し耐電圧試験を行った結果、
コロナの発生も無かった。
【0050】本実施例によれば、エポキシ樹脂組成物が
硬化前に低粘度であるため、コイル作製時の注型作業時
間が比較例19と比べ約15分から約10分に短縮できる
と共に、硬化後にモールドコイルの巻線部にボイドが形
成されず、コロナの発生を抑制できるため絶縁信頼性が
向上できた。
【0051】
【比較例19】同様に、モールドコイルは巻線に、比較
例2と同様な[a]エポキシ樹脂成分及び[b]硬化剤成分を
実施例10と同様に自動計量吐出装置で混合したエポキ
シ樹脂組成物を約15分で含浸注入し、実施例10と同様な
方法で作製した。これに対し、比較例19のモールドコイ
ルは粘度が高いエポキシ樹脂組成物を用いているため、
図4に示すように巻線部にボイド(気泡)が形成され、
本実施例10と同様に耐電圧試験を行った結果、コロナ
が発生した。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば[a]エポキシ樹脂及びシ
リカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と[b]酸無水物硬化
剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含む硬化剤
成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物において、該シ
リカ充填剤は平均粒径2.5〜6.0μmであり、該水
酸化アルミニウムの最大粒径が2.31μm以下であっ
て、更に水酸化アルミニウムの添加量をシリカ充填剤全
量に対して0.50〜0.95重量%とすることで、硬
化前に低粘度化が可能になるため、注型作業性を向上で
きると共に、[b]硬化剤成分のシリカ充填剤の沈降量が
低減できるため、二液混合注型装置の搬送トラブルが防
止できる。
【0053】以上述べたエポキシ樹脂組成物を用いて、
電気絶縁物を導体に被覆した巻線に注型した後、加熱硬
化することで絶縁信頼性に優れたモールドコイルを得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例10のモールドコイルの構成を示す一部
を断面とした斜視図である。
【図2】 実施例10及び比較例19において巻線機で作製
したコイルの側面図である。
【図3】 本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸注入後の
モールドコイルの断面図である。
【図4】 比較例19のモールドコイルの構成を示す一部
を断面とした側面図である。
【符号の説明】
1…巻線、 1a…導体、 2…内周絶縁物、 2a…プリプ
レグ絶縁物、 3…外周絶縁物、 3a…プリプレグ絶縁
物、 4…エポキシ樹脂組成物、 5…層間絶縁物、 6
…巻線機、 7…フランジ、 8…巻心、 9…ボイド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31 (72)発明者 海津 朋宏 新潟県北蒲原郡中条町大字富岡46番地1 株式会社 日立製作所 産業機器事業 部内 (56)参考文献 特開 平5−86168(JP,A) 特開2000−169678(JP,A) 特開 平4−345640(JP,A) 特開 平6−287409(JP,A) 特開 平2−18445(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 63/00 - 63/10 C08G 59/42 C08K 3/22 C08K 3/36 H01F 27/32 H01L 23/29

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[a]エポキシ樹脂及びシリカ充填剤を含む
    エポキシ樹脂成分と、[b]酸無水物硬化剤、シリカ充填
    剤及び水酸化アルミニウムを含む硬化剤成分とに二液化
    したエポキシ樹脂組成物において、前記シリカ充填剤は
    平均粒径2.5〜6.0μmであり、前記水酸化アル
    ミニウムはその最大粒径が2.31μm及びその添加量
    前記シリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95重
    量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】電気絶縁物を導体に被覆した巻線にエポキ
    シ樹脂組成物を注型後、加熱硬化したモールドコイルに
    おいて、前記エポキシ樹脂組成物は、[a]エポキシ樹脂
    及びシリカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と、[b]酸無
    水物硬化剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含
    む硬化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物であっ
    て、前記シリカ充填剤は平均粒径2.5〜6.0μm
    であり、前記水酸化アルミニウムはその最大粒径が2.
    31μm及びその添加量が前記シリカ充填剤全量に対し
    て0.50〜0.95重量%であることを特徴とするモ
    ールドコイル。
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