JP3389533B2 - エポキシ樹脂組成物及びモールドコイル - Google Patents
エポキシ樹脂組成物及びモールドコイルInfo
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Description
及びモールドコイルに係り、特に、エポキシ樹脂成分と
硬化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物及び該エ
ポキシ樹脂組成物を用いたモールドコイルに関する。
シ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填剤等を所
定の割合で調合する一液型エポキシ樹脂組成物と、[a]
エポキシ樹脂、充填剤を含むエポキシ樹脂成分と[b]硬
化剤、充填剤を含む硬化剤成分とに各々分けて作製し、
使用直前に[a]エポキシ樹脂成分と[b]硬化剤成分を混合
してエポキシ樹脂組成物とする二液型エポキシ樹脂組成
物に大別される。
ことで、調合時点から硬化反応が進行するため、ポット
ライフ(可使時間)の観点から、モールドコイルを作製
する際の注型作業に時間的制約を受け易い。これに対
し、後者は[a]エポキシ樹脂成分と[b]硬化剤成分を混合
しない限り、硬化反応が進行しないため、実質的にポッ
トライフは時間的制約を受けない利点がある。特に、硬
化剤成分に硬化促進剤を増量することで、エポキシ樹脂
成分と混合した際に速硬化を図ることが可能になる特長
を有する。
一液型エポキシ樹脂組成物に比べ、ポットライフに効果
がある反面、硬化剤成分において硬化剤が低粘度である
ため、充填剤が下部に沈降し易い欠点がある。この沈降
した充填剤は非常に堅くなった状態になり、再分散が非
常に困難で、二液混合注型装置の搬送トラブルの原因と
なる。
として、一般的には微粒子の無機粉末を沈降防止剤とし
て硬化剤成分中に添加する方法がある。例えば、特開平
5−86168号公報には、硬化剤成分として酸無水物
に平均粒径3〜10μmのシリカ充填剤を全シリカ充填
剤量の53〜60重量%配合し、沈降防止剤として平均
粒径0.5〜0.8μmの水酸化アルミニウムを全シリ
カ充填剤量の1〜3重量%を添加する方法が開示されて
いる。
た場合、充填剤の沈降防止には効果があるが、エポキシ
樹脂成分と硬化剤成分を混合してエポキシ樹脂組成物と
した時に粘度が高くなる現象を生じる。エポキシ樹脂組
成物の粘度が上昇すると、モールドコイル作製時に巻線
等へ容易に浸透せずに注型作業性を著しく低下させ、さ
らには硬化後に巻線等の間にボイド(泡)が形成され、
絶縁信頼性が低下する等の問題があった。
おいてシリカ充填剤の沈降が少なく、且つエポキシ樹脂
成分を混合した場合に低粘度化が両立できるエポキシ樹
脂組成物及び該エポキシ樹脂組成物を用いたモールドコ
イルを提供する。
リカ充填剤と沈降防止剤とを組み合わせることによっ
て、シリカ充填剤の沈降防止とエポキシ樹脂組成物の低
粘度化を両立した。
シリカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と、[b]酸無水物
硬化剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含む硬
化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物において、
該シリカ充填剤は平均粒径2.5〜6.0μmであり、
該水酸化アルミニウムは最大粒径が2.31μm以下で
あって、シリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95
重量%添加したことを特徴とする。
前記のエポキシ樹脂組成物を注型後、加熱硬化したモー
ルドコイルにおいて、前記エポキシ樹脂組成物を注型
後、加熱硬化することにより達成することができた。
ミニウムの平均粒径や最大粒径はレーザ回折粒度分布測
定装置MICROTRAC FRA型(日機装株式会社製)で粒度分
布(計測使用レンジを0.12〜704μm)を測定し
た結果(平均粒径は累積頻度が50%)から求めた。試
料はシリカ充填剤あるいは水酸化アルミニウム約1gを
ヘキサメタりん酸ナトリウムの0.2wt%水溶液約1
00mlに約1分間超音波分散して測定した。
2.5〜6.0μmであり、特に低粘度化、線膨張係数
の低減等の観点からエポキシ樹脂組成物中の添加量は7
4〜78重量%の範囲が好ましい。
粒径が2.31μm以下であり、エポキシ樹脂組成物中
のシリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95重量%
の範囲で添加される。
組み合わせることにより、硬化剤成分中のシリカ充填剤
の沈降量が低減されると共に、エポキシ樹脂組成物の低
粘度化が可能になる。この理由は、水酸化アルミニウム
の板状微粒子がシリカ充填剤の沈降を抑制すると共に、
シリカ粒子間に流動性に対して効果的な隙間を有して混
合し合うため、シリカ充填剤の沈降と粘度の上昇が防止
できるものと推察する。
強度、耐熱性の観点から、例えば、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添
化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添化ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA及びビスフェノ
ールFとエピクロルヒドリンとの反応によって得られる
ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹
脂、ノボラックエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が用いら
れる。エポキシ樹脂は前記エポキシ樹脂を単独または2
種以上混合して用いることができる。
性や硬化物物性等の観点から、例えば、無水フタル酸、
無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルヘキサヒドロフ
タル酸等が挙げられる。前記エポキシ樹脂と酸無水物硬
化剤との配合割合は特に制限無いが、通常、当量比で
1:1前後が選択される。
の用途、特性の向上あるいは改善等に応じて適宜使用さ
れ、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−
メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミ
ダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メ
チルイミダゾール等のイミダゾール類、ベンジルジメチ
ルアミン、N−ベンジルジメチルアミン等の第三級アミ
ン類がある。これらの硬化促進剤は単独または2種以上
混合して用いても良い。また、硬化促進剤の配合量はエ
ポキシ樹脂組成物としてのゲル化時間やポットライフ
(可使時間)から適宜選択されるが、通常、エポキシ樹
脂と酸無水物硬化剤の総重量に対して0.1〜10重量
%添加される。
シ樹脂組成物の用途、特性の向上あるいは改善等に応じ
て適宜使用され、(1)無機充填剤と化学結合する反応
性官能基、エポキシ樹脂/酸無水物硬化剤と化学結合す
る反応性官能基を有するカップリング剤、(2)無機充
填剤と化学結合し、エポキシ樹脂/酸無水物硬化剤と絡
み合う非反応性有機基を有するカップリング剤とを併用
することがより効果的である。
物を導体に被覆した巻線に注型後、加熱硬化すること
で、巻線部にボイドが無く絶縁信頼性に優れたモールド
コイルが作製できる。
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭
チバ株式会社製、商品名AER−260)90重量部、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂10重量部(旭電化株
式会社製、商品名EP−4901)の混合物及びカップ
リング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM−40
3)2.7重量部添加し、約90℃に調節した万能混合
撹拌機(ダルトン株式会社製)を用いて真空脱泡(10
Pa)しながら、約30分間混合してエポキシ樹脂成分
を得た。
酸無水物硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸
(日立化成工業株式会社製、商品名HN−5500)8
8重量部、カップリング剤として(2−n−ブトキシカル
ボニルベンゾイルオキシ)トリブトキシチタン(日本曹
達株式会社製、商品名S−181)1.2重量部、硬化促
進剤として1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイ
ミダゾール(四国化成株式会社製、商品名2E4MZ-
CN)0.25重量部、沈降防止剤として最大粒径2.
31μmである水酸化アルミニウム(住友化学株式会社
製、商品名C-3005)を全シリカ充填剤量に対して
0.45〜1.00重量%(2.9〜6.3重量部)の
範囲で各々添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合
撹拌機を用いて硬化剤成分を得た。
万能混合撹拌機で10分間混合し、二液化したエポキシ
樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の粘
度、注型時間及び硬化剤成分におけるシリカ充填剤の沈
降性及び沈降率を表1に示す。
は、BL型回転粘度計(東京計器株式会社製)を用い、
エポキシ樹脂組成物約80mlをサンプル瓶(35Φ、
110ml)に秤量し、90℃に調節したシリコーン油
浴に浸漬して行った。エポキシ樹脂組成物の注型時間の
測定は90℃に加熱したエポキシ樹脂組成物約400g
を容積500mlの分液ロート(コック穴径;1mm、
足径;7mm)に入れた後、コックを開放して容積20
0mlのメスシリンダーに注入し、150mlまで達す
る時間を計測して、この時間を注型時間とした。
性は万能混合撹拌機で混合後、サンプル瓶(35φ、1
10ml)に高さ80mm(瓶下端から液面までの距
離)まで秤量した後、40℃で30日間放置し、サンプ
ル瓶に金尺を挿入してシリカ充填剤が沈降した高さを求
め、シリカ充填剤の沈降率(シリカ充填剤の沈降高さ/
80×100)が5%以下であれば「優」、沈降率が5
%以上であれば二液混合注型装置での搬送トラブルが発
生するため「劣」と判定した。
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において6.5%を示し、沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が2.5μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA/F型エポキシ樹脂
(チバガイギ株式会社製、商品名PY302−2)10
0重量部を添加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹
脂成分を得た。
酸無水物硬化剤として無水メチルハイミック酸(日立化
成工業株式会社製、商品名MHAC−P)95重量部、
硬化促進剤としてベンジルジメチルアミン(花王株式会
社製、商品名BDMA)0.25重量部、沈降防止剤と
して最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム
(住友化学株式会社製、商品名C-3005)を全シリ
カ充填剤量に対して0.45〜1.00重量%(2.9
〜6.3重量部)の範囲で各々添加し、エポキシ樹脂成
分と同様に万能混合撹拌機を用いて硬化剤成分を得た。
これらエポキシ樹脂成分と硬化剤成分とを実施例1と同
様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ
樹脂組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成分におけるシ
リカ充填剤の沈降性及び沈降率を表2に示す。
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において、7.0%を示し沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が4.0μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
(龍森株式会社製、結晶質シリカ)300重量部に、エ
ポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(A
ER-260)80重量部、脂環式エポキシ樹脂(チバ
ガイギ株式会社製、商品名CY-179)20重量部の
混合物を添加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹脂
成分を得た。
酸無水物硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸
(HN−5500)95重量部、硬化促進剤として1-
(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール
(2E4MZ−CN)0.25重量部、沈降防止剤とし
て最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム(C
−3005)を全シリカ充填剤量に対して0.45〜
1.00重量%(2.9〜6.3重量部)の範囲で各々
添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合撹拌機を用
いて硬化剤成分を得た。
実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得た。得ら
れたエポキシ樹脂組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成
分におけるシリカ充填剤の沈降性及び沈降率を表3に示
す。
大粒径2.31μm)の添加量が0.95重量%以下の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.1Pa・s以下
と低粘度であり、注型時間も5分と短時間を示した。一
方、硬化剤成分における沈降率は水酸化アルミニウムの
添加量が0.45重量%において、7.0%を示し沈降
性は「劣」の評価であった。したがって、シリカ充填剤
の平均粒径が6.0μmの場合、沈降防止剤である水酸
化アルミニウム(最大粒径が2.31μm)の添加量が
全シリカ充填剤量に対し0.50〜0.95重量%にお
いて、エポキシ樹脂組成物の低粘度と硬化剤成分におけ
るシリカ充填剤の沈降性が両立した。
度であり、比較例と比べて注型時間が1/2に短縮でき
るため、注型作業性を向上すると共に、硬化剤成分のシ
リカ充填剤の沈降量が低減できるため、二液混合注型装
置での搬送トラブルを防止できる効果がある。
mのシリカ充填剤(龍森株式会社製、結晶質シリカ)各
300重量部に、エポキシ樹脂としてビスフェノールA/
F型エポキシ樹脂(PY302−2)100重量部を添
加し、実施例1と同様な方法でエポキシ樹脂成分を得
た。
に、酸無水物硬化剤として無水メチルハイミック酸(M
HAC−P)95重量部、硬化促進剤としてベンジルジ
メチルアミン(BDMA)0.25重量部、沈降防止剤
として最大粒径2.31μmである水酸化アルミニウム
(C−3005)を全シリカ充填剤量に対して0.50
〜0.95重量%(3.2〜6.0重量部)の範囲で各
々添加し、エポキシ樹脂成分と同様に万能混合撹拌機を
用いて硬化剤成分を得た。これらエポキシ樹脂成分と硬
化剤成分とを実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物
を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の粘度、注型時間
及び硬化剤成分におけるシリカ充填剤の沈降性及び沈降
率を表4に示す。
り、沈降防止剤である水酸化アルミニウム(最大粒径
2.31μm)の添加量が0.50〜0.95重量%の
場合、エポキシ樹脂組成物の粘度は2.8Pa・s以上
と高く、注型時間も10分と長くなった。一方、シリカ充
填剤の平均粒径が7.0μmであり、沈降防止剤である
水酸化アルミニウム(最大粒径2.31μm)の添加量
が0.50〜0.95重量%の場合、エポキシ樹脂組成
物の粘度は2.2Pa・s以下と低粘度であり、注型時
間も5分と短時間を示すが、硬化剤成分における沈降率
は6.5〜7.5%を示し、沈降性はいずれも「劣」の
評価であり、沈降防止の効果が得られなかった。
使用した各素材のうち、硬化剤成分に添加した水酸化ア
ルミニウムの最大粒径を2.31μmから3.89μmに
替えて、実施例1と同様な方法で、比較例13〜15及
び比較例16〜18のエポキシ樹脂成分、硬化剤成分お
よびエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂
組成物の粘度、注型時間及び硬化剤成分におけるシリカ
充填剤の沈降性及び沈降率を表5に示す。
0μm、水酸化アルミニウムの添加量が0.50〜0.
95重量%(全シリカ充填剤量に対して)と本発明の範
囲内であっても、沈降防止剤である水酸化アルミニウム
の最大粒径が3.89μmと本発明の範囲外である場
合、エポキシ樹脂組成物の粘度は約2.0Pa・sと低粘
度で、注型時間も5分と短時間を示すが、硬化剤成分に
おける沈降率は8〜20%を示し、沈降性はいずれも
「劣」の評価であり、沈降防止の効果が得られなかっ
た。
してモールドコイルを作製した例について説明する。図
1は本実施例10のモールドコイルの構成を示す一部を
断面とした斜視図である。このモールドコイルは、内外
周をそれぞれプリプレグ絶縁物2a、3aでモールドして内
周絶縁層2、外周絶縁層3を形成し、コイル内部には実施
例1と同様なエポキシ樹脂組成物4を巻線1の内部にも含
浸注入した後、加熱硬化することにより作製される。
造方法は、図2のように巻線機6の巻心8にプリプレグ絶
縁物2aをエポキシ樹脂組成物の漏れ止め用フランジ7に
密着するようにして巻回し、その上に巻線1を巻回す
る。巻線1は図3に示すように導体1aと層間絶縁物5とが
交互に巻回される。図2において巻線1の巻回後、更に
その上面にプリプレグ絶縁物3aを一方の端部がフランジ
7に密着するようにして巻回し、その後、170℃で4
時間加熱して巻線1の乾燥とプリプレグ絶縁物2a、3aの
硬化を行う。図3に示すように、フランジ7を下にして
内周絶縁層2と外周絶縁層3で囲まれた空間及び導体1aと
層間絶縁物5に囲まれた空間に、実施例1の[a]エポキシ
樹脂成分及び[b]硬化剤成分を自動計量吐出装置(ナカ
リキッドコントロール株式会社製、商品名トリスタンTV
E−EL)を用い、自動計量された各樹脂組成物をミキシ
ング部で混合したエポキシ樹脂組成物を約10分で含浸
注入し、100℃・5時間の加熱硬化した後にフランジ
7及び巻心8を取り外し、更に170℃・7時間の加熱硬
化後、約12時間かけて室温まで冷却してモールドコイ
ルを作製した。
キシ樹脂組成物を用いているため、図3に示すように巻
線部にボイド(気泡)が無く、また、前記モールドコイ
ルに約10kVの電圧を印加し耐電圧試験を行った結果、
コロナの発生も無かった。
硬化前に低粘度であるため、コイル作製時の注型作業時
間が比較例19と比べ約15分から約10分に短縮できる
と共に、硬化後にモールドコイルの巻線部にボイドが形
成されず、コロナの発生を抑制できるため絶縁信頼性が
向上できた。
例2と同様な[a]エポキシ樹脂成分及び[b]硬化剤成分を
実施例10と同様に自動計量吐出装置で混合したエポキ
シ樹脂組成物を約15分で含浸注入し、実施例10と同様な
方法で作製した。これに対し、比較例19のモールドコイ
ルは粘度が高いエポキシ樹脂組成物を用いているため、
図4に示すように巻線部にボイド(気泡)が形成され、
本実施例10と同様に耐電圧試験を行った結果、コロナ
が発生した。
リカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と[b]酸無水物硬化
剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含む硬化剤
成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物において、該シ
リカ充填剤は平均粒径2.5〜6.0μmであり、該水
酸化アルミニウムの最大粒径が2.31μm以下であっ
て、更に水酸化アルミニウムの添加量をシリカ充填剤全
量に対して0.50〜0.95重量%とすることで、硬
化前に低粘度化が可能になるため、注型作業性を向上で
きると共に、[b]硬化剤成分のシリカ充填剤の沈降量が
低減できるため、二液混合注型装置の搬送トラブルが防
止できる。
電気絶縁物を導体に被覆した巻線に注型した後、加熱硬
化することで絶縁信頼性に優れたモールドコイルを得る
ことができる。
を断面とした斜視図である。
したコイルの側面図である。
モールドコイルの断面図である。
を断面とした側面図である。
レグ絶縁物、 3…外周絶縁物、 3a…プリプレグ絶縁
物、 4…エポキシ樹脂組成物、 5…層間絶縁物、 6
…巻線機、 7…フランジ、 8…巻心、 9…ボイド。
Claims (2)
- 【請求項1】[a]エポキシ樹脂及びシリカ充填剤を含む
エポキシ樹脂成分と、[b]酸無水物硬化剤、シリカ充填
剤及び水酸化アルミニウムを含む硬化剤成分とに二液化
したエポキシ樹脂組成物において、前記シリカ充填剤は
平均粒径が2.5〜6.0μmであり、前記水酸化アル
ミニウムはその最大粒径が2.31μm及びその添加量
が前記シリカ充填剤全量に対して0.50〜0.95重
量%であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - 【請求項2】電気絶縁物を導体に被覆した巻線にエポキ
シ樹脂組成物を注型後、加熱硬化したモールドコイルに
おいて、前記エポキシ樹脂組成物は、[a]エポキシ樹脂
及びシリカ充填剤を含むエポキシ樹脂成分と、[b]酸無
水物硬化剤、シリカ充填剤及び水酸化アルミニウムを含
む硬化剤成分とに二液化したエポキシ樹脂組成物であっ
て、前記シリカ充填剤は平均粒径が2.5〜6.0μm
であり、前記水酸化アルミニウムはその最大粒径が2.
31μm及びその添加量が前記シリカ充填剤全量に対し
て0.50〜0.95重量%であることを特徴とするモ
ールドコイル。
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