JPH0585110A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ

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JPH0585110A
JPH0585110A JP3247347A JP24734791A JPH0585110A JP H0585110 A JPH0585110 A JP H0585110A JP 3247347 A JP3247347 A JP 3247347A JP 24734791 A JP24734791 A JP 24734791A JP H0585110 A JPH0585110 A JP H0585110A
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    • B60C11/124Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes with special arrangements in the tread pattern inclined with regard to a plane normal to the tread surface
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Abstract

(57)【要約】 【目的】副溝等、相対的に断面積が小さく浅い溝部分に
対しても有効に石噛みを防止することができ、同時に溝
の排水効果や操縦安定性、耐久性も良好とする。 【構成】トレッド表面に、隣接して互いに連続する相対
的に断面積が小さく浅い溝部分Aと断面積が大きく深い
溝部分Bにおいて、溝部分Aの溝底部6に、断面形状に
おいて溝部分Bに向かって上向きに傾斜するサイプ5を
複数個間隔をおいて形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は空気入りタイヤにおい
て、特にそのトレッド表面に形成された溝における石噛
み防止の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ、特にトラック・バス用タイヤで
は、走行中、トレッド表面に設けられた多数の溝が路面
から石を噛み込むことがある。この場合見掛け上見苦し
いのみならず、時にこの噛み込んだ石がタイヤ回転の遠
心力で溝から急激に外れると、車体や車軸近傍の物体等
を損傷する場合がある。また溝から外れない石は、タイ
ヤの回転により接地ごとに強く溝底に押し込まれる結
果、溝底を損傷するほか、さらに溝底部にまで食い込み
はじめると、タイヤの補強構成部材であるベルト、カー
カス等の繊維層に達し、これらを損傷せしめ、また水の
侵入を許して繊維の劣化を促進し、タイヤバーストに至
るなど重大な故障を生じる場合もある。
【0003】従来、かかる点に鑑み、トレッド表面の溝
が噛込んだ石を排除する技術が種々提案されている。例
えば、図11或は図12に示す様に、溝底部11に段状
の棚部12を形成すること、図13に示す様に、溝底部
13に溝底より盛り上がる台部14を設けること、或は
(溝幅/溝深さ)の値を1.0以上に大きくとることを
それぞれ提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし溝の底部に棚部
や台部を形成することは、この棚部や台部が溝内部に侵
入する石を効果的に排除する点で好ましいといえるが、
棚部や台部は一般にはいずれも溝底よりおよそ溝深さの
25〜50%隆起して形成しなければならないため、
(溝幅/溝深さ)の値が大きい溝には問題はないが、
(溝幅/溝深さ)の値が小さい副溝等に適用することは
構造上困難である場合が多く、石噛み対策の点では必ず
しも満足できるものではない。また、溝の底部に棚部や
台部を形成すると、タイヤの摩耗が経時的に進行してい
くに従い棚部や台部がタイヤの表面に現れてくる。この
際、溝幅は急に狭くなるため、溝の排水効果が実質的に
低下するばかりでなく、操縦安定性も低下し、更に構造
的にクラックの発生原因となり、耐久性の点で問題が生
じる。また見掛け上もドライバーに不安感を煽るため、
湿潤路での走行に支障が生じるほか、タイヤの早期取換
えを促し不経済でもある。この発明の目的は、(溝幅/
溝深さ)の値が小さい副溝など、相対的に断面積が小さ
く浅い溝部分に対しても有効に石噛みを防止することが
でき、また溝の排水効果や操縦安定性、さらには耐久性
の点でも支障がなく、見掛け上も良好な空気入りタイヤ
を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】ところでトレッド溝に噛
み込まれた石は、上述の通り、タイヤの回転に伴い一回
転ごとに溝底に強力な力で押し付けられる。すなわちタ
イヤ回転の接地圧力で溝の内部に押し込まれて移動して
いくものである。そこでこの接地圧力による石の移動
を、噛み込みを固定する溝底方向ではなく、噛み込みを
解放する方向、すなわち相対的に溝幅の大きなかつ溝深
さの浅い隣接の溝の方向に向かわせるようにすれば、石
噛みを排除し、その固定化を阻止することができる。
【0006】この発明は、かかる見地から、タイヤトレ
ッド表面に、トレッド溝として隣接して互いに連続する
相対的に断面積が小さく浅い溝部分Aと断面積が大きく
深い溝部分Bを有する空気入りタイヤにおいて、溝部分
Aの溝底部に、断面形状において溝部分Bに向かって上
向きに傾斜するサイプを複数個間隔をおいて形成する構
成を採用した。すなわち、溝部分Aの溝底部に上記サイ
プを形成することで溝底部を分断し、この分断された溝
底部により噛み込まれた石を押し込む接地圧力で前傾状
態に前倒し的に変形せしめる構成を採用したものであ
る。
【0007】上記のサイプが形成された溝底部が接地圧
力でより一層前傾するようにするには、さらに溝部分A
の断面幅を溝部分Bに向かって漸増する構成や溝部分A
の断面深さを溝部分Bに向かって漸増する構成を単独又
は組み合わせて採用することが望ましい。
【0008】なおここで、隣接して互いに連続する相対
的に断面積が小さく浅い溝部分Aと断面積が大きく深い
溝部分Bとは、いわゆる副溝と主溝との関係のみなら
ず、分岐した副溝同士や、分岐部と副溝、副溝とスリッ
ト、或いは異なる溝幅と溝深さを連続して有する単一の
溝など、広く断面幅と断面深さが相対的に異なる溝部分
同士の関係をすべて含むものである。従って例えば噛み
込んだ石を容易に解放し得る溝が主溝であれば、これに
開口する副溝は勿論、さらにこの副溝に対してこの副溝
から分岐する溝やスリット等が溝部分Bに対する溝部分
Aの関係にある場合はこれらの場合すべてにサイプを設
けることもできる。溝部分とは、溝全体を意味するほ
か、溝の一部分や分岐部分、溝の連結部分等でもよいこ
とを意味し、また溝の一部分の場合は溝部分Aの開口部
近傍や溝の内奥部等にだけサイプを形成してもよいこと
を意味している。また溝部分Aは一方側が閉塞する溝で
ある場合のほか、溝部分Aがその両側に隣接する溝部分
Bに両側とも開口する溝であっても適用し得る。溝部分
Aが両側の溝部分Bに開口する場合は、溝部分Aのほぼ
真中を境にいずれか近い溝部分Bの方向にサイプの傾斜
方向や溝幅、溝深さの漸増の方向を特定することが望ま
しい。
【0009】
【作用】この発明は、相対的に断面積が小さく浅い溝部
分Aが断面積が大きく深い溝部分Bに開口するトレッド
溝を有する空気入りタイヤにおいて、溝部分Aの溝底部
に、断面形状において溝部分Bに向かって上向きに傾斜
するサイプを複数個間隔をおいて形成したので、石が溝
部分Aに噛み込まれ、接地圧によりタイヤ一回転ごとに
溝底に強力な力によって押し込まれても、噛み込まれた
石が溝底部分Aの溝底部を押し付けはじめると、サイプ
により分断された溝底部がサイプの傾斜方向に順次傾倒
して変形し、これにより石は溝部分B方向に押し進めら
れる。そして噛み込まれた石が溝部分Aから溝部分Bに
移動し、溝部分Bが噛み込みを解放する溝であると、当
該噛み込まれた石は溝部分Bよりタイヤ外部に排出され
る。なお溝部分Aに噛み込まれた石は、一度の接地によ
り溝部分Bに一挙に移動する場合もあるが、大抵は何回
かの接地による変形により順次送り出される。従って一
旦噛み込まれた石は溝部分Bに至るまでには、タイヤの
回転に伴い接地領域から外れ、溝底部のゴム反力によっ
て噛み込まれた石が溝の上部開口部に押し上げられる
が、同時に溝の両壁からの締め付けがあるので、噛み込
まれた石が溝部分Aを後退することはない。
【0010】
【実施例】[実施例1]図1はこの発明に係る空気入り
タイヤの一実施例を示すトレッド表面における概略平面
図、図2は同要部II−II線拡大断面図であり、図3は図
2における III− III線断面図である。
【0011】図において、1はトレッドTの表面上に周
方向に2本形成された主溝であり、2は真中に溝拡大部
3を介して分岐状に形成され、上記両主溝1、1に対し
て開口している副溝である。4は各主溝1、1からショ
ルダー方向に形成された溝である。副溝2及び溝4は、
図示の通り、主溝1及び溝拡大部3に対して相対的に溝
幅が狭くかつ溝深さが浅い溝である。すなわち主溝1及
び溝拡大部3が相対的に断面積SB が大きく溝深さhB
が深い溝部分Bであるのに対し、副溝2及び溝4は相対
的に断面積SA が小さく溝深さhA が浅い溝部分Aであ
る。なお溝4は主溝1に開口する側に相対的に断面積S
A が小さく溝深さhA が浅い溝部分Aを有し、途中から
ショルダー側に向かって断面積SB が大きく溝深さhB
が深い溝部分Bを有している。
【0012】5は副溝2及び溝4の溝底部6に形成され
たサイプであり、図示の通り、断面形状において主溝
1、溝拡大部3及び溝4の溝部分Bに向かって上向きに
傾斜する状態で複数個間隔をおいて形成されている。
【0013】従って走行中、地面Gに接地した時に、例
えば溝部分Aである副溝2が石を噛み込み、接地圧によ
り溝底部6に強力な力によって押し込まれても、図4に
示す様に、噛み込まれた石7が溝底部6を押し付けはじ
めると、サイプ5により分断された溝底部6がサイプ5
の傾斜方向に順次傾倒して変形し、石7は図中矢印方向
すなわち溝部分Bである主溝1の方向に漸次押し進めら
れる。そして当該石7を噛み込んだ溝の部分がタイヤの
回転により接地領域外すなわち地面Gを離れた時は、図
5に示す様に、石7は溝底部6のゴムの反力により外側
に押し出されるが、この際石7は当初噛み込まれた位置
よりも前方に移動した状態で再び噛み込まれる。そして
また接地すると、再び噛み込まれた石7が溝底部6を押
し付け、溝底部6がサイプ5の傾斜方向に順次傾倒して
変形し、石7は溝部分Bである主溝1の方向に漸次押し
進められる。この繰り返しによって最終的には主溝1に
排出される。この繰り返しは石の大きさや形状、重さ等
によって異なり、大抵は何回かの後に排出されるが、場
合によっては1回で排出される場合もある。
【0014】[実施例2]一方、図6は本発明に係る他
実施例を示す要部拡大平面図、図7は図6における VII
− VII線断面図である。この実施例では上記実施例の構
成に加えてさらに溝部分Aである副溝2の断面幅が主溝
1である溝部分Bに向かって漸増する構成を採用してい
る。従って図8に示す様に、接地時、噛み込まれた石7
を溝壁面8が圧縮する力は、溝幅の張り出しにより、前
方開口部側の力fより後方反開口部側の力Fの方が大と
なる結果、溝壁面8は噛み込まれた石7の背後から閉じ
易くなるので、石7を前方開口部側に押し出す力が相対
的に発生する。また接地領域から外れたときは、噛み込
まれた石7に対し溝底部9のゴムの変形の回復に伴う押
し上げ力が作用するが、この際、噛み込まれた石7の後
方側の方が溝幅が狭いため、当該押し上げ力、すなわち
溝底部9のゴム反力は石7を前方開口部側に押しやる分
力の発生を促し、一層速やかに石7を移送し、溝部分B
である主溝1に排出する。
【0015】[実施例3]図9はさらに他実施例を示す
要部拡大断面図で、図示の通り、溝部分Aである副溝2
の断面深さが溝部分Bである主溝1に向かって漸増する
構成を採用している。従って溝底部10は主溝1である
溝部分Bに向かって下向きの勾配となっているので、石
噛みのある副溝2が接地したとき、図10に示す様に、
噛み込まれた石7を押し返す力fより前方開口部方向に
押し出す力Fの方が大きく、石7はサイプ5の前傾とと
もに抵抗の少ない前方側に転がり、移動排出する。また
接地領域から外れた時も、前方に分力が働くので、一層
速やかに移動排出できる。
【0016】次に上記実施例の各タイヤについて、図
2、図3、図6、図7、図8及び図9に示す様に、溝部
分Aの溝幅WA 5mm、溝深さhA 12mm、溝部分Bの溝
幅WB 14mm、溝深さhB 15mm、サイプの幅WS 0.
4mm、サイプの深さhS 5mm、サイプの傾斜角度45
°、溝幅WA13mm、溝幅WA26mm、溝深さhA19mm、溝
深さhA212mmとなるようにタイヤサイズ11R24.
5の空気入りタイヤを試作し、一般運送用トラックの後
輪に装着して、それぞれ10万マイル走行後の石噛みの
実際個数と石噛み痕(溝深くに入り込み傷痕として残っ
ているもの)の合計数を数えた。なお比較のため、溝幅
A 、溝深さhA 、溝幅WB 、溝深さhB がそれぞれ同
等で、サイプがなく、溝幅及び溝深さも漸増しない従来
のタイヤについても石噛みの数を数え、これを100と
して石噛み指数を評価した。その結果を表1に示す。な
お実施例4は溝幅及び溝深さ両方とも漸増したタイプの
ものである。
【0017】
【表1】
【0018】表1より、溝底部にサイプを形成した場
合、従来タイヤと比べ石噛みの発生が著しく抑えられて
いることが認められる。
【0019】なおこの発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、溝部分Aの溝幅WA 、溝深さ
A 、溝部分Bの溝幅WB、溝深さhB 、サイプの幅W
S 、サイプの深さhS 、サイプの傾斜角度、サイプ形成
の間隔、溝幅WA1、溝幅WA2、溝深さhA1、溝深さhA2
等も任意に設定できるものであり、またトレッドパター
ンも上記以外の種々のパターンが採用できる。サイプの
形成方法についてはタイヤモールドの溝形成用の突部先
端部にカーフを取り付ければ簡単に形成できるが、この
製法についても格別限定されない。
【0020】
【発明の効果】以上の通り、この発明は石噛み防止を溝
底部にサイプを形成することで達成しているので、溝幅
/溝深さの値が小さい副溝など、相対的に断面積が小さ
く浅い溝部分に対しても有効に石噛みを防止することが
できるほか、溝の排水効果や操縦安定性、さらには耐久
性の点でも問題がない。また使用に伴いたとえトレッド
表面が摩耗して溝が浅くなってきても従来の様に溝底に
形成した棚部が現れてくることもなく、見掛け上全く支
障がない空気入りタイヤである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る空気入りタイヤの一実施例を示
すトレッド表面の概略平面図である。
【図2】同要部II−II線拡大断面図である。
【図3】図2における III− III線断面図である。
【図4】同タイヤの接地時における石噛み状態を示す要
部拡大断面図である。
【図5】地面から離れた時の石噛み状態を示す要部拡大
断面図である。
【図6】本発明に係る他実施例を示す要部拡大平面図で
ある。
【図7】図6における VII− VII線断面図である。
【図8】同タイヤの接地時における石噛み状態を示す要
部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る他実施例を示す要部拡大断面図で
ある。
【図10】同タイヤの接地時における石噛み状態を示す
要部拡大断面図である。
【図11】従来タイヤの副溝における要部拡大断面図で
ある。
【図12】従来タイヤの副溝における要部拡大断面図で
ある。
【図13】従来タイヤの副溝における要部拡大断面図で
ある。
【符号の説明】
A 溝部分 B 溝部分 5 サイプ 6 溝底部 9 溝底部 10 溝底部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレッド表面に溝と凸部によって多数の繰
    り返し模様が形成された空気入りタイヤの隣接して互い
    に連続する相対的に断面積が小さく浅い溝部分Aと断面
    積が大きく深い溝部分Bにおいて、溝部分Aの溝底部
    に、断面形状において溝部分Bに向かって上向きに傾斜
    するサイプを複数個間隔をおいて形成したことを特徴と
    する空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】溝部分Aの断面幅が溝部分Bに向かって漸
    増する請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 【請求項3】溝部分Aの断面深さが溝部分Bに向かって
    漸増する請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
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