JPH0584759A - 型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物及び被覆成形品 - Google Patents

型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物及び被覆成形品

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JPH0584759A
JPH0584759A JP3251650A JP25165091A JPH0584759A JP H0584759 A JPH0584759 A JP H0584759A JP 3251650 A JP3251650 A JP 3251650A JP 25165091 A JP25165091 A JP 25165091A JP H0584759 A JPH0584759 A JP H0584759A
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JP
Japan
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thermosetting resin
coating layer
resin composition
unsaturated carboxylic
molding
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Application number
JP3251650A
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English (en)
Inventor
Natsuki Morishita
夏樹 森下
Kazuyoshi Yamamoto
和芳 山本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】被覆層の密着性に優れた被覆成形品を得ること
を可能とする、型内被覆成形法において基材に用いられ
る型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物、及びその型内被
覆成形用熱硬化性樹脂組成物を基材に用いた被覆成形
品。 【構成】型内被覆成形法において基材に用いられる熱硬
化性樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂を含む樹脂分中
に、不飽和カルボン酸(無水物)モノマー及び不飽和カ
ルボン酸の金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物
を含有する熱硬化性樹脂組成物、及びこの組成物を基材
に用いた被覆成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形型内にて基材上に
被覆層を形成する、いわゆる型内被覆成形法において基
材形成に用いられる型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成
物、及びその型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物を基材
に用いた被覆成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、熱硬化性材料よりなる成形品が、
金属部品等の代替部材として工業部品等に広く用いられ
ている。中でも、シート・モールディング・コンパウン
ド(以下、SMCと略す)またはバルク・モールディン
グ・コンバウンド(以下、BMCと略す)が凡用されて
いる。しかしながら、SMCまたはBMCを成形型内で
加熱・加圧により成形して得られた成形品では、表面
に、気孔、微小亀裂、ひけまたは起伏等の表面欠陥が発
生しがちであった。このような表面欠陥が存在している
場合、成形品に通常の方法により塗装を行っても、十分
な塗膜を形成することは難しい。
【0003】従って、上記のような表面欠陥を隠蔽する
ための方法として、いわゆる型内被覆成形法が提案され
ている。例えば、特開昭53−71167号には、金型
内で加熱・加圧してSMCを半硬化させた後、金型を開
いて被覆材料を注入することにより成形品に被覆層を設
ける方法が開示されている。他方、特開昭61−273
921号には、圧縮成形中に、成形圧力を超える注入圧
で被覆材料を注入し、硬化させることにより、成形品表
面に被覆層を形成する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た先行技術に記載されている型内被覆成形法では、SM
CまたはBMCからなる基材と、被覆層との密着性が十
分でないという問題点があった。
【0005】本発明の目的は、被覆層の密着性が良好な
被覆成形品を得ることを可能とする、型内被覆成形用の
基材に用いられる型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物、
及びその型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物を基材に用
いた被覆成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、成形
型内にて基材上に被覆層を形成する型内被覆成形用の基
材に用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、樹脂成分
中に、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和カルボン酸無
水物モノマー及び不飽和カルボン酸の金属塩から選ばれ
る少なくとも1種の化合物を含有する型内被覆成形用熱
硬化性樹脂組成物である。
【0007】請求項2の発明は、基材上に被覆層が形成
された被覆成形品において、請求項1の型内被覆成形用
熱硬化性樹脂組成物を基材に用いた被覆成形品である。
以下、請求項1,2に記載の各発明の詳細を説明する。
【0008】本発明にかかる型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物は、樹脂成分として、熱硬化性樹脂、重合性モ
ノマー及び必要に応じて低収縮剤としての熱可塑性樹脂
等を含有する 本発明において、上記樹脂成分中に含まれる不飽和カル
ボン酸(無水物)モノマーの種類としては、(メタ)ア
クリル酸モノマー、末端にカルボキシル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルモノマー、フマル酸モノマー、
無水マレイン酸モノマー、マレイン酸モノマー、イタコ
ン酸モノマー等が挙げられる。
【0009】上記末端にカルボキシル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、フ
タル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(CH2 =C
HCOOCH2 CH2 OCOC6 4 COOH)、フタ
ル酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(CH2 =C
CH3 COOCH2 CH2 OCOC6 4 COOH)、
コハク酸モノヒドロキシエチルアクリレート(CH2
CHCOOCH2 CH2OCOC2 4 COOH)、コ
ハク酸モノヒドロキシエチルメタクリレート(CH2
CCH3 COOCH2 CH2 OCOC2 4 COOH)
等が挙げられる。
【0010】本発明に用いられる不飽和カルボン酸の金
属塩としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタ
コン酸等の塩が挙げられる。金属の種類としては、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、マンガン、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、銀、亜鉛、アルミニウム等が挙げら
れ、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が好ましく用い
られる。
【0011】熱硬化性樹脂中に、上記不飽和カルボン酸
(無水物)モノマー又は不飽和カルボン酸の金属塩を含
有させるのは、後述のように基材用として用いた熱硬化
性樹脂と被覆層との密着性を高めるためであるが、本発
明で用いられる不飽和カルボン酸(無水物)モノマー又
は不飽和カルボン酸の金属塩の量は、上記樹脂成分中
0.1〜70重量%の範囲で含有させるのが好ましく、
より好ましい範囲は1〜50重量%である。
【0012】0.1重量%未満の場合には、被覆層との
密着性を改善する効果が十分ではなく、逆に70重量%
を越えて含有された場合には、熱硬化性樹脂組成物の粘
度が低くなるため、SMCまたはBMCの形態(すなわ
ち固形状)とすることが難しくなる傾向がある。
【0013】本発明における型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物に含有される熱硬化性樹脂としては、熱分解性
のラジカル触媒を用いて二重結合を開裂付加反応させ3
次元網目構造を形成することができる、分子内に反応性
二重結合を有する不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエス
テル(エポキシアクリレート)樹脂、ウレタンアクリレ
ート樹脂等が用いられる。
【0014】熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよ
く、複数種を混合して用いられてもよく、その含有量は
特に限定されるものではないが、通常、樹脂成分中の2
0〜80重量%とされる。
【0015】上記不飽和ポリエステル樹脂は、公知慣用
の方法により、通常、有機ポリオールと脂肪族不飽和ポ
リカルボン酸と、さらに必要に応じて脂肪族飽和ポリカ
ルボン酸及び/または芳香族ポリカルボン酸等とから製
造される。
【0016】他方、前記ビニルエステル樹脂も、公知慣
用の方法により、通常、エポキシ樹脂と、(メタ)アク
リル酸等の反応性二重結合を有するモノカルボン酸とか
ら製造される。
【0017】また、前記ウレタンアクリレート樹脂は、
通常、アルキレンジオール、アルキレンジオールエステ
ル、アルキレンジオールエーテル、ポリエーテルポリオ
ールまたはポリエステルポリオール等の有機ポリオール
に、有機ポリイソシアネートを反応させ、さらにヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートを反応させて製造さ
れるものであるが、一部末端に遊離イソシアネート基を
残しこれを上記ビニルエステル樹脂と化合させて用いる
こともできる。
【0018】前記不飽和ポリエステル樹脂の製造に用い
られる有機ポリオールとしては、ジオール、トリオー
ル、テトロールおよびこれらの混合物が挙げられるが、
主として脂肪族ポリオールと芳香族ポリオールとに分け
られる。
【0019】このうち脂肪族ポリオールとして代表的な
ものには、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ト
リエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジブ
ロムネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリットジアリルエーテ
ル、水素化ビスフェノールA等がある。
【0020】また芳香族ポリオールとして代表的なもの
としては、ビスフェノールAまたはビスフェノールSあ
るいはこれらのビスフェノールAまたはビスフェノール
Sにエチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくはブ
チレンオキシドのような脂肪族オキシラン化合物を、一
分子中に平均1〜20個の範囲で付加させて得られるポ
リオキシアルキレンビスフェノールAまたはポリオキシ
アルキレンビスフェノールS等がある。
【0021】また、前記不飽和ポリエステル樹脂の製造
に用いられる脂肪族不飽和ポリカルボン酸としては、
(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸等
が挙げられ、前記脂肪族飽和ポリカルボン酸としてはセ
バチン酸、アジピン酸、(無水)コハク酸等が挙げら
れ、前記芳香族ポリカルボン酸としては、(無水)フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテトラヒド
ロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタ
ル酸等が挙げられる。
【0022】また、前記ビニルエステル樹脂の製造に用
いられるエポキシ樹脂としては、これもまた公知慣用の
方法によりエピクロルヒドリンおよびビスフェノールA
から製造されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピ
クロルヒドリンおよび臭素化ビスフェノールAから製造
される臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノ
ールノボラックまたはオルトクレゾールノボラックをグ
リシジルエーテル化して製造されるノボラック型エポキ
シ樹脂、各種アミンとエピクロルヒドリンを反応させて
得られる、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テ
トラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサ
ン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグ
リシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m
−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシ
ジルオルトトルイジン等のグリシジルアミン化合物等が
挙げられる。
【0023】また、前記ウレタンアクリレート樹脂の製
造に用いられる有機ポリオールとしては、アルキレンジ
オールとして例えばエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、ジイソプロピレング
リコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ブタンジオール等のヒドロキシアルキルエー
テル等、ポリエーテルポリオールとしてはポリオキシメ
チレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキ
サイド等、ポリエステルポリオールとしては前述したよ
うな有機ポリオールおよびポリカルボン酸により製造さ
れた、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール
等が挙げられる。
【0024】また、前記ウレタンアクリレート樹脂の製
造に用いられる有機ポリイソシアネートとしては、トリ
レンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等が挙げら
れる。
【0025】また、前記ウレタンアクリレート樹脂の製
造に用いられるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレー
トとしては、通常ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、ヒドロ
キシル基は通常アルキル基のベータ位の炭素に結合して
いる。アルキル基は通常8個までの炭素原子を含むこと
ができる。
【0026】また、本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物には、スチレン、α─メチルスチレン、ジビニ
ルベンゼン、ビニルトルエン、ジアリルフタレート、各
種アクリレートモノマー、各種メタクリレートモノマー
等の重合性モノマーが、一般に、20〜80重量%の範
囲で含有される。
【0027】また、本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物には低収縮剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリメ
チル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、エチレン酢
酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−スチレン共重合体、ポ
リブタジエン、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル
類等のような熱可塑性樹脂を必要に応じて適当量用いる
ことができる。
【0028】さらに、本発明の型内被覆成形用熱硬化性
樹脂組成物には、目的及び用途に応じて、適当量の無機
充填剤を加えることができる。使用可能な無機充填剤と
しては、以下のようなものがある。
【0029】すなわち、硫黄、グラファイト、ダイヤモ
ンド等の元素鉱物、黄鉄鉱等の硫化鉱物、岩塩、カリ岩
塩等のハロゲン化鉱物、炭素カルシウム等の炭酸塩鉱
物、藍鉄鉱等のりん酸塩鉱物、カルノー石等のバナジン
酸塩鉱物、重晶石(硫酸バリウム)、石膏(硫酸カルシ
ウム)等の硫酸塩鉱物、ほう砂等のほう酸塩鉱物、灰チ
タン石等のチタン酸塩鉱物、雲母、タルク(滑石)、葉
ろう石、カオリン、石英、長石等のけい酸塩鉱物、酸化
チタン、鋼玉(酸化アルミニウム)、水酸化アルミニウ
ム等の金属(水)酸化物、(中空)ガラス球等のガラス
製品等を中心とした天然または人工の鉱物またはそれを
処理、精製あるいは加工したもの、およびそれらの混合
物が用いられる。
【0030】また、上記充填剤の添加量としては、熱硬
化性樹脂100重量部に対して0〜300重量部添加さ
れるのが好ましい。添加量が300重量部を超えると充
填剤を樹脂およびモノマーの中に均一に分散させること
が難しくなり、また粘度が高くなるため型内での流動が
悪くなり寸法安定性を得ることが難しくなる傾向があ
る。
【0031】また、本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物では、補強材として、各種補強繊維、すなわち
ガラス繊維、炭素繊維等を必要に応じて適当量加えるこ
とができる。
【0032】また、さらに本発明の型内被覆成形用熱硬
化性樹脂組成物には、必要に応じてケトンパーオキサイ
ド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサ
イド類、ジアルキルパーオキサイド類、アルキルパーエ
ステル類、パーカーボネート類、パーオキシケタール類
等の公知の重合開始剤、ジメチルアニリン、ナフテン酸
コバルト等の公知の硬化促進剤、パラベンゾキノン等の
重合禁止剤、カーボンブラックや酸化チタン、酸化鉄、
シアニン系顔料、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、
銀粉等の顔料、アゾ系染料やアントラキノン系、インジ
ゴイド系、スチルベン系等の染料、カーボンブラック等
の導電性付与剤、乳化剤、ステアリン酸亜鉛等の金属石
鹸類、脂肪族燐酸塩、レシチン等の離型剤等を用途、目
的に応じて適当量加えることができる。
【0033】また、本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹
脂組成物と組み合わされて用いられる被覆層形成用組成
物としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル
樹脂、ウレタンアクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂が用
いられ、必要に応じて各種充填剤、添加剤等を加えるこ
とができる。
【0034】上記のようにして得られた本発明の型内被
覆成形用熱硬化性樹脂組成物は、従来公知の方法によ
り、SMCあるいはBMCの形態を持つ型内被覆成形用
熱硬化性樹脂組成物とすることができ、被覆層形成用組
成物と共に、従来公知の型内塗装に用いられる。
【0035】例えば、130〜160℃に加熱された成
形金型内にSMCを入れて40〜120kg/cm2
圧力で30秒〜5分間加圧成形した後、金型をわずかに
開いて被覆層形成用組成物を注入し、次いで5〜120
kg/cm2 、130〜160℃で30秒〜5分間再加
熱再加圧することにより、成形されたSMCの表面全体
に被覆層形成用組成物を展延し、硬化させて被覆層を形
成することができる。
【0036】また、特開昭61−273921に開示さ
れているように、SMCを130〜160℃、40〜1
20kg/cm2 で数十秒〜数分間加圧成形した後圧力
を10〜30kg/cm2 に減圧した状態で高圧注入機
を用いて100〜300kg/cm2 の高圧で被覆層形
成用組成物を型内に注入して再び30〜100kg/c
2 に増圧して被覆層形成用組成物を展延硬化させると
いう方法もある。上記のような型内塗装方法に、本発明
の型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物を用いれば、容易
に密着性の良好な被覆成形品を成形することができる。
【0037】
【作用】本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物
は、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和カルボン酸無水
物モノマー及び不飽和カルボン酸の金属塩から選ばれる
少なくとも1種の化合物が樹脂成分中に含有されるた
め、加圧成形時にビニル基が熱硬化性樹脂等と共重合反
応し、その結果、熱硬化性樹脂表面にカルボキシル基が
形成される。従って、熱硬化性樹脂表面の極性が高めら
れることになるため、この熱硬化性樹脂を用いた基材と
被覆層形成用組成物中の樹脂との間の水素結合が増加
し、それによって、基材と被覆層との密着性が高められ
る。
【0038】本発明の被覆成形品は、基材用に、不飽和
カルボン酸モノマー、不飽和カルボン酸無水物モノマー
及び不飽和カルボン酸の金属塩から選ばれる少なくとも
1種の化合物が樹脂成分中に含有される型内被覆成形用
熱硬化性樹脂組成物を、用いているため、成形品基材に
被覆層が強固に密着されている。
【0039】
【実施例】実施例1 下記の組成を混合し、十分に攪拌した後、SMC含浸装
置によりガラス繊維(旭ファイバーグラス(株)製ロー
ビング、商品名:ER4630LBD166Wを長さ2
5mmに切断したもの)60重量部に含浸させ、型内被
覆成形用の基材に用いられる熱硬化性樹脂組成物を含浸
したSMCを得た。
【0040】組成 不飽和ポリエステル樹脂A(イソフタル酸系の不飽和ポ
リエステル樹脂約60重量%およびスチレンモノマー約
40重量%を含有)……70重量部 ポリスチレン樹脂B(ポリスチレン系樹脂約30重量%
およびスチレンモノマー約70重量%を含有)……30
重量部 不飽和カルボン酸モノマーとして、アクリル酸モノマー
(和光純薬工業(株)製)……5重量部 炭酸カルシウム粉末(日東粉化(株)製)……120重
量部 硬化剤(t−ブチルパーオキシベンゾエート含有率98
重量%)……1重量部 増粘剤(酸化マグネシウム粉末)……1重量部 次に、不飽和ポリエステル樹脂A100重量部、炭酸カ
ルシウム100重量部及び硬化剤(t−ブチルパーオキ
シベンゾエート)1重量部を混合し、十分に攪拌して、
被覆層形成用組成物を得た。
【0041】上記のようにして用意したSMCおよび被
覆層形成用組成物を用い、以下の要領で成形を行った。
まず、上型および下型を150℃に加熱した、30cm
×30cmの正方形の平板状の金型内に、上記SMCを
約700gチャージした(チャージされたSMCは、約
4mmの厚みを有していた)。次に、100kg/cm
2 の圧力で100秒間、加圧成形した後、金型をわずか
に開き上記被覆層形成用組成物を10ml注入し、再度
金型を閉め、80kg/cm2 で120秒間、再加熱再
加圧することにより、成形されたSMCの表面全体に被
覆層形成用組成物を展延し、硬化させ、被覆層を形成し
た。しかる後、金型を開いて脱型し、表面を厚み100
μmの被覆層で被覆された成形品を得た。
【0042】上記のようにして得られた成形品の被覆層
が形成されている表面に、カッターナイフを用い、成形
品の素地(熱硬化性樹脂よりなる基材)に達する直線を
2mmの間隔を隔てて平行に11本ひき、次に、該直線
に直交する11本の直線を同様にひいて碁盤目状部分を
形成した。さらに、上記碁盤目状部分に粘着テープ(積
水化学工業社製、商品名:セキスイテープ)を貼り付
け、しかる後剥がすことにより碁盤目のマスの残存数を
調べた(以下、碁盤目密着試験と称す)。その結果、被
覆層が残存していたマスの割合は、100個/100個
であった。すなわち、碁盤目密着試験において、被覆層
の剥離は認められなかった。
【0043】実施例2 不飽和カルボン酸モノマーとして、メタクリル酸モノマ
ー(和光純薬工業(株)製)5重量部を用いた以外は、
実施例1と同様にSMCを得た。
【0044】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例3 不飽和カルボン酸モノマーの代わりに、不飽和カルボン
酸無水物モノマーとして、無水マレイン酸モノマー(和
光純薬工業(株)製)5重量部を用いた以外は、実施例
1と同様にSMCを得た。
【0045】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例4 不飽和カルボン酸モノマーとして、マレイン酸モノマー
(和光純薬工業(株)製)5重量部を用いたこと以外
は、実施例1と同様にSMCを得た。
【0046】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例5 不飽和カルボン酸モノマーとして、イタコン酸モノマー
(和光純薬工業(株)製)5重量部を用いたこと以外
は、実施例1と同様にSMCを得た。
【0047】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例6 不飽和カルボン酸モノマーとして、フマル酸モノマー
(和光純薬工業(株)製)5重量部を用いたこと以外
は、実施例1と同様にSMCを得た。
【0048】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例7 不飽和カルボン酸モノマーとして、フタル酸モノヒドロ
キシエチルアクリレート(新中村化学工業(株)製)5
重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にSMCを
得た。
【0049】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例8 不飽和カルボン酸モノマーとして、フタル酸モノヒドロ
キシエチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
5重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にSMC
を得た。
【0050】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例9 不飽和カルボン酸モノマーとして、コハク酸モノヒドロ
キシエチルアクリレート(新中村化学工業(株)製)5
重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にSMCを
得た。
【0051】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例10 不飽和カルボン酸モノマーとして、コハク酸モノヒドロ
キシエチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
5重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にSMC
を得た。
【0052】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。実施例11 実施例1において不飽和カルボン酸モノマーの代わりに
不飽和カルボン酸の金属塩を用いた。即ち、アクリル酸
モノマー(和光純薬工業(株)製)5重量部の代わりに
アクリル酸亜鉛(浅田化学工業(株)製)5重量部を用
いた以外は、実施例1と同様にしてSMCを得た。
【0053】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、100個/100個であ
った。また、実施例1と同様に被覆成形品を得て、碁盤
目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥がれなか
ったマスの残存数は、100個/100個であった。
【0054】実施例12 不飽和ポリエステル樹脂Aの量を40重量部、アクリル
酸亜鉛の量を30重量部とした以外は、実施例11と同
様にしてSMCを得た。また、実施例1と同様に被覆成
形品を得て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被
覆層が剥がれなかったマスの残存数は、100個/10
0個であった。
【0055】実施例13 不飽和カルボン酸の金属塩としてアクリル酸亜鉛5重量
部の代わりにメタクリル酸ナトリウム(浅田化学工業
(株)製)3重量部を用いた以外は、実施例11と同様
にしてSMCを得た。また、実施例1と同様に被覆成形
品を得て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆
層が剥がれなかったマスの残存数は、100個/100
個であった。
【0056】実施例14 不飽和カルボン酸の金属塩としてアクリル酸亜鉛5重量
部の代わりにマレイン酸カルシウム(浅田化学工業
(株)製)1重量部を用いた以外は、実施例11と同様
にしてSMCを得た。また、実施例1と同様に被覆成形
品を得て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆
層が剥がれなかったマスの残存数は、100個/100
個であった。
【0057】比較例1 不飽和カルボン酸モノマー(無水物)や不飽和カルボン
酸の金属塩を用いなかったこと以外は、実施例1と同様
にSMCを得た。
【0058】また、実施例1と同様に被覆成形品を得
て、碁盤目密着試験を行い評価したところ、被覆層が剥
がれなかったマスの残存数は、31個/100個であっ
た。なお、上記実施例1〜14および比較例1の熱硬化
性樹脂組成物の配合割合及び碁盤目密着試験の結果を下
記の表1に、まとめて示す。碁盤目密着試験の結果は、
被覆層が剥がれなかったマスの残存数として記載した。
【0059】
【表1】
【0060】上記実施例1〜14、比較例1、及び表1
から明らかなように、不飽和カルボン酸モノマー(無水
物)や不飽和カルボン酸の金属塩を含有していない比較
例1では、被覆層の密着性がかなり低いのに対し、実施
例1〜14では、いずれも碁盤目密着試験では被覆層が
全く剥離されておらず、被覆層が基材に強固に密着され
ていることが分かる。
【0061】
【発明の効果】本発明の型内被覆成形用熱硬化性樹脂組
成物は、上記の如き構成とされており、基材用の熱硬化
性樹脂を含む樹脂成分中に、不飽和カルボン酸モノマ
ー、不飽和カルボン酸無水物及び不飽和カルボン酸の金
属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されて
いるため、加圧成形時にビニル基が熱硬化性樹脂等と共
重合反応を起こし、熱硬化性樹脂の表面にカルボキシル
基を形成し、及び/又は極性の高い金属元素を存在せし
める。従ってその熱硬化性樹脂を用いた基材と被覆層形
成用組成物中の樹脂との間の水素結合が増加するため、
基材と被覆層との密着性が効果的に高められる。
【0062】従って、請求項1記載の上記の型内被覆成
形用熱硬化性樹脂組成物を、型内被覆成形法において基
材として用いることにより、成形品基材に被覆層が強固
に密着された被覆層付き成形品を提供することが可能と
なる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 101:10 105:06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型内にて基材上に被覆層を形成する
    型内被覆成形用の基材に用いられる熱硬化性樹脂組成物
    であって、樹脂成分中に、不飽和カルボン酸モノマー、
    不飽和カルボン酸無水物モノマー及び不飽和カルボン酸
    の金属塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有す
    ることを特徴とする型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 基材上に被覆層が形成された被覆成形品
    において、請求項1の型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成
    物を基材に用いたことを特徴とする被覆成形品。
JP3251650A 1991-07-26 1991-09-30 型内被覆成形用熱硬化性樹脂組成物及び被覆成形品 Pending JPH0584759A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1994000284A1 (en) * 1992-06-30 1994-01-06 Matsushita Electric Works, Ltd. Resin mold-covering method for molded resin products, resin mold-covering apparatus employed in the same method, material used for the same cover-molding, and molded product formed by the same method
WO1996041827A1 (en) * 1995-06-09 1996-12-27 Sartomer Company, Inc. Amine curable epoxy coating compositions having an improved adhesion to substrates

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