JPH0581497B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜技術分野＞ 本発明は、シート部材を供給するシート部材供
給装置に関する。

＜従来技術＞ 静電複写機の如き複写機は、シート状複写紙を
シート部材搬送経路を通して所定の処理域に供給
するためのシート部材供給装置を備えている。か
かるシート部材供給装置は、一般に、シート部材
が装填されるシート部材装填部と、シート部材装
填部に配設されたシート部材送給機構を具備し、
シート部材送給機構はシート部材を送給するため
の送給ローラを有している。また、シート部材送
給機構からは所定の処理域に向つてシート部材搬
送経路が延びており、このシート部材搬送経路に
は、シート部材の搬送を制御するための搬送ロー
ラ対が配設されている。かかるシート部材供給装
置においては、シート部材は送給ローラの作用に
よつて搬送ローラ対まで供給され、非作動状態に
ある搬送ローラ対の作用によつて所要の通り姿勢
修正される。そして、露光行程の開始に関連して
搬送開始信号が生成されると、搬送開始信号に基
いて搬送ローラ対が作動状態となり、姿勢修正さ
れたシート部材は搬送ローラ対の作用によつて所
定の処理域に向けて搬送される。

かようなシート部材供給装置においては、搬送
開始信号に基いてシート部材の搬送を確実に行
い、シート部材搬送経路を通るシート部材の移動
を原稿像の露光或いは転写等の遂行に充分正確に
同期せしめることが重要である。

しかして、従来のシート部材送給装置において
は、後に詳細に説明する如く、搬送開始信号に基
いて搬送ローラ対が回動するとシート部材の搬送
が開始され、シート部材の先端部は所定の処理域
に向けて移動するが、一方このとき、シート部材
の後端部は停止している送給ローラの作用を受
け、送給ローラの回動速度がシート部材の移動速
度に達するまでは送給ローラはシート部材の移動
を阻止するように作用する。従つて、かかる場合
には、搬送ローラ対とシート部材の間及び／又は
送給ローラとシート部材の間にスリツプが生じ、
特に搬送ローラ対とシート部材の間にスリツプが
生じた場合にはシート部材の移動を原稿像の露光
或いは転写等の遂行に充分正確に同期せしめるこ
とができず、シート部材とそれに形成された複写
画像との間に所謂位置ずれが生じる。

かような不都合は、シート部材装填部が複数存
在する場合にも同様に生じる。

＜発明の目的＞ 本発明は上記事実に鑑みてなされたものであ
り、その主目的は、シート部材の搬送を開始せし
める搬送ローラ対とシート部材間のスリツプの発
生を防止してシート部材を充分正確に所定の処理
域に向けて供給することができるシート部材供給
装置を提供することである。

＜発明の要約＞ 本発明によれば、シート部材が装填されるシー
ト部材装填部と、該シート部材装填部に配設され
たシート部材送給機構と、該シート部材送給機構
の作用によつて送給されたシート部材を所定の処
理域に導くシート部材搬送経路と、該シート部材
搬送経路に配設された搬送ローラ対を具備し、該
シート部材送給機構はシート部材を該搬送ローラ
対に向けて送給するための送給ローラを有し、該
搬送ローラ対は搬送開始信号に基いて作動状態と
なつてシート部材の搬送を開始する形態のシート
部材供給装置において； 該送給ローラと該搬送ローラ対との間には、該
搬送ローラ対によつて搬送されるシート部材の移
動速度と該送給ローラの回転速度との相違に起因
してシート部材に作用する異常な力を緩衝するた
めの緩衝手段が配設され、該緩衝手段の抵抗力
は、シート部材の搬送時に該搬送ローラ対とシー
ト部材間のスリツプを実質上生じせしめないが、
シート部材を介して該送給ローラを回転せしめる
ように設定されている、ことを特徴とするシート
部材供給装置が提供される。

＜発明の好適具体例＞ 以下、添付図面を参照して更に詳細に説明す
る。

まず、第１図を参照して、従来のシート部材供
給装置について説明すると、図示のシート部材供
給装置は、３個のシート部材装填部、即ち第１の
シート部材装填部２ａ、第１のシート部材装填部
２ａの上方に配設された第２のシート部材装填部
２ｂ、及び第２のシート部材装填部２ｂの上方に
配設された第３のシート部材装填部２ｃを具備し
ている。尚、第１図においては、シート部材供給
装置を転写式静電複写機に適用している。第１の
シート部材装填部２ａ、第２のシート部材装置部
２ｂ及び第３のシート部材装填部２ｃには、
夫々、カセツト容器４ａ，４ｂ及び４ｃに収容さ
れている積層状態のシート部材６ａ，６ｂ及び６
ｃが着脱自在に装填されている。このシート部材
６ａ，６ｂ及び６ｃは、夫々、寸法が相互に異な
つていてもよい。更に、第１のシート部材装填部
２ａ、第２のシート部材装填部２ｂ及び第３のシ
ート部材装填部２ｃには、夫々、第１のシート部
材送給機構８ａ、第２のシート部材送給機構８ｂ
及び第３のシート部材送給機構８ｃが配設されて
いる。図示の第１のシート部材送給機構８ａは、
回転自在に装着された軸１０ａと、軸１０ａに装
着され矢印１２ａで示す方向に回動される送給ロ
ーラ１４ａを含んでいる。また、図示の第２のシ
ート部材送給機構８ｂは、回転自在に装着された
軸１０ｂと、軸１０ｂに装着され矢印１２ｂで示
す方向に回動される送給ローラ１４ｂと、シート
部材装填部２ｂから延びるシート部材導入路１６
を含んでおり、このシート部材導入路１６は案内
板１８と案内板２０及び２２、並びに送給ローラ
対２４及び２６によつて規定されている。更に、
図示の第３のシート部材送給機構８ｃは、回転自
在に装着された軸１０ｃと、軸１０ｃに装着され
矢印１２ｃで示す方向に回動される送給ローラ１
４ｃと、シート部材装填部２ｃから延びるシート
部材導入路２８を含んでおり、このシート部材導
入路２８は案内板対３０及び３２、送給ローラ対
３４及び３６、案内板１８及び２０と案内板２
２、並びに送給ローラ対２４及び２６によつて規
定され、その下流側は上記シート部材導入路１６
に合流している。

上述したシート部材供給装置は、第１のシート
部材送給機構８ａ（又は第２のシート部材送給機
構８ｂ、第３のシート部材送給機構８ｃ）の作用
によつて送給されたシート部材を所定の処理域、
即ち周面に感光体を有する回転ドラム３８の転写
域Ｔに導くシート部材搬送経路４０を備えてい
る。図示のシート部材搬送経路は案内板対４２及
び４４、並びに案内板対４６及び４８によつて規
定され、その上流側は案内板対４２及び４４間に
配設された案内板４９によつて分岐されている。
従つて、シート部材搬送経路の上流側の一方は第
１のシート部材装填部に向つて延び、その他方は
送給ローラ対２４及び２６に向つて延びている。
このシート部材搬送経路４０には、更に、案内板
対４２及び４４と案内板対４６及び４８の間に、
搬送ローラ対５０及び５２が配設されている。

かくの通りのシート部材供給装置においては、
第１のシート部材送給機構８ａが作動せしめられ
ると、送給ローラ１４ａが矢印１２ａで示す方向
に回動され、カセツト容器４ａ内のシート部材が
送給ローラ１４ａの作用によつてカセツト容器４
ａから送出され、送出されたシート部材はシート
部材搬送経路４０を通つて搬送ローラ対５０及び
５２に送給される。また、第２のシート部材送給
機構８ｂが作動せしめられると、送給ローラ１４
ｂが矢印１２ｂで示す方向に回動され、カセツト
容器４ｂ内のシート部材が送給ローラ１４ｂの作
用によつてカセツト容器４ｂから送出され、送出
されたシート部材はシート部材導入路１６を通
り、更に送給ローラ対２４及び２６の作用により
シート部材搬送経路４０を通つて搬送ローラ対５
０及び５２に送給される。更に、第３のシート部
材送給機構８ｃが作動せしめられると、送給ロー
ラ１４ｃが矢印１２ｃで示す方向に回動され、カ
セツト容器４ｃ内のシート部材が送給ローラ１４
ｃの作用によつてカセツト容器４ｃから送出さ
れ、送出されたシート部材は送給ローラ対３４及
び３６、並びに送給ローラ対２４及び２６の作用
によりシート部材導入路２８及びシート部材搬送
経路４０を通つて搬送ローラ対５０及び５２に送
給される。

シート部材が上述した如くして搬送ローラ対５
０及び５２に所要の通りに送給されると、シート
部材の前縁が非作動状態にある搬送ローラ対５０
及び５２のニツプ部に当接し、これによつてシー
ト部材の姿勢が修正される。また、かくの如くシ
ート部材の前縁が搬送ローラ対５０及び５２のニ
ツプ部に当接すると、シート部材の移動が阻止さ
れ、これによつてシート部材が湾曲せしめられ、
この湾曲の生成を検知することによつてシート部
材の送給が停止される。従つて、第１のシート部
材装填部２ａからシート部材が送給された場合に
は、送給ローラ１４ａの回動が停止され、第２の
シート部材装填部２ｂからシート部材が送給され
た場合には、送給ローラ１４ｂ並びに送給ローラ
対２４及び２６の回動が停止され、また、第３の
シート部材装填部２ｃからシート部材が送給され
た場合には、送給ローラ１４ｃ、送給ローラ対３
４及び３６、並びに送給ローラ対２４及び２６の
回動が停止される。

しかる後に、露光行程の開始に関連して搬送開
始信号が生成される（例えば、原稿像の露光のた
めに往復動される光学系（図示せず）或いは原稿
載置台（図示せず）が所定位置まで移動すると生
成される）と、搬送ローラ対５０及び５２が作動
状態となつて所定方向に回動され、かくしてシー
ト部材の移動が再開され、シート部材は所定の処
理域に向けてシート部材搬送経路を通して搬送さ
れる。シート部材の搬送が再開されると、シート
部材が第１のシート部材装填部２ａから送給され
た場合にあつては、シート部材の移動に伴なつて
送給ローラ１４ａが所定方向に従動され、シート
部材が第２のシート部材装填部２ｂから送給され
た場合にあつては、シート部材の移動に伴つて送
給ローラ１４ｂ並びに送給ローラ対２４及び２６
が所定方向に従動され、またシート部材が第３の
シート部材装填部２ｃから送給された場合にあつ
ては、シート部材の移動に伴つて送給ローラ１４
ｃ、送給ローラ対３４及び３６、並びに送給ロー
ラ対２４及び２６が所定方向に従動される。

かくの通りの従来のシート部材送給装置におい
ては、次の通りの解決すべき問題点が存在する。
第１図と共に第２図を参照して説明すると、ま
ず、第１のシート部材送給機構８ａからシート部
材が送給された場合には、搬送開始信号に基いて
シート部材の搬送が開始されるとシート部材の先
端部は所定の処理域に向けて移動するが、他方、
シート部材の後端部は非作用状態にある送給ロー
ラ１４ａの作用を受けることになる。それ故に、
シート部材の先端部の移動が開始されてシート部
材に生成された湾曲が消失する際には、シート部
材の先端部は所定の移動速度で移動しているが、
一方シート部材の後端部は送給ローラ１４ａの作
用によつて停止しており、従つて、このとき、シ
ート部材にはこれを破断しようとする力が作用す
る。かかる力は、一方において送給ローラ１４ａ
に伝達され、これを所定方向に従動せしめるよう
に作用する。しかし、送給ローラ１４ａは慣性モ
ーメントを有しており、その回転速度が瞬時に停
止状態からシート部材の移動速度に立上がること
はできず。送給ローラ１４ａはその回転速度がシ
ート部材の移動速度と実質上等しくなるまでシー
ト部材の移動を阻止するように作用する。かくの
通りであるので、容易に理解される如く、シート
部材の搬送開始時にシート部材に作用する力は、
シート部材の先端側においては搬送ローラ対５０
及び５２に伝達されると共にその後端側において
は送給ローラ１４ａに伝達され、送給ローラ１４
ａの回動速度が停止状態からシート部材の移動速
度に実質上等しくなる間においては、かかる力に
起因して搬送ローラ対５０及び５２とシート部材
の間及び／又は送給ローラ１４ａとシート部材の
間にスリツプが生じることになる。かかるスリツ
プが搬送ローラ対５０及び５２とシート部材の間
に生じた場合には、シート部材の先端部の移動速
度第２図に実線で示す如く変化し、シート部材と
それに形成された複写画像との間の位置ずれの原
因となる。即ち、搬送開始信号に基いて搬送ロー
ラ対５０及び５２が作動状態となると、搬送ロー
ラ対５０及び５２の回転速度は所定の加速度でも
つて短期間に速度Ｖとなり、t₁以降速度Ｖでシー
ト部材を所定の処理域に向けて搬送する。しかる
後、シート部材に生成された湾曲がt₂において消
失すると、シート部材に作用する力によつて搬送
ローラ対５０及び５２とシート部材の間にスリツ
プが生じ、シート部材の先端部の移動速度は搬送
ローラ対５０及び５２の回動速度より幾分低下せ
しめられ、第２図に実線で示す如く変化する。そ
して、かかるシート部材の移動速度の低下は、送
給ローラ１４ａの回動速度が停止状態からシート
部材の所定の移動速度Ｖに実質上等しくなるまで
生じる。送給ローラ１４ａの回動速度がシート部
材の移動に伴つてt₃において速度Ｖになると、搬
送ローラ対５０及び５２とシート部材の間のスリ
ツプがなくなり、シート部材は搬送ローラ対５０
及び５２の作用によつて再び速度Ｖで移動され
る。従つて、かかる場合においては、第２図の実
線と破線により囲まれる面積に相当する距離がシ
ート部材の移動遅れとなり、この移動遅れに起因
してシート部材とそれに形成された複写画像の間
に位置ずれが生じる。

上述した位置ずれは、また、シート部材が第２
のシート部材供給機構８ｂから送給された場合、
及び第３のシート部材供給機構８ｃから送給され
た場合にも同様に生じる。即ち、第２のシート部
材供給機構８ｂから送給された場合には、搬送開
始時にシート部材に作用する力が一方において送
給ローラ対２４及び２６並びに送給ローラ１４ｂ
に伝達され、送給ローラ対２４及び２６並びに送
給ローラ１４ｂの回動速度がシート部材の移動速
度に実質上等しくなるまで上述したスリツプが生
じ、これに起因して上記位置ずれの原因となる。
また、第３のシート部材供給機構８ｃから送給さ
れた場合には、搬送開始時にシート部材に作用す
る力が一方において送給ローラ対２４及び２６、
送給ローラ対３４及び３６、並びに送給ローラ１
４ｃに伝達され、上記送給ローラ対２４及び２
６、送給ローラ対３４及び３６、並びに送給ロー
ラ１４ｃの回動速度がシート部材の移動速度に実
質上等しくなるまで上述したスリツプが生じ、こ
れに起因して上記位置ずれの原因となる。

第１図に示す通りの複数個のシート部材装填部
２ａ，２ｂ及び２ｃを備えたシート部材供給装置
においては、更に、次の通りの不都合が存在す
る。即ち、例えば第１のシート部材供給機構８ａ
及び第２のシート部材供給機構８ｂに関連して、
搬送ローラ対５０及び５２の作用によつてシート
部材の搬送が開始される時に生ずる上述したスリ
ツプは、シート部材が第１のシート部材供給機構
８ａから送給された場合には送給ローラ１４ａの
慣性モーメントに影響され、シート部材が第２の
シート部材供給機構８ｂから送給された場合には
送給ローラ対２４及び２６並びに送給ローラ１４
ｂの慣性モーメントに影響される。従つて、容易
に理解される如く、シート部材が第２のシート部
材供給機構８ｂから送給された場合の方が第１の
シート部材供給機構８ａから送給された場合に比
して上述したスリツプがより生じやすく、これに
起因して第２のシート部材供給機構８ｂから送給
された場合の方が上述した位置ずれがより大きく
なる傾向にある。このことは、第２のシート部材
供給装填部８ｂ及び第３のシート部材供給機構８
ｃ、並びに第１のシート部材供給機構８ａ及び第
３のシート部材供給機構８ｃ間にも同様のことが
言える。従つて、図示のシート部材供給装置にお
いては、上述した位置ずれは、第１のシート部材
供給機構８ａから送給された場合より第２のシー
ト部材供給機構８ｂから送給された場合の方がよ
り大きくなり、また第２のシート部材供給機構８
ｂから送給された場合より第３のシート部材供給
機構８ｃから送給された場合の方がより大きくな
り、選択されるシート部材によつてシート部材と
それに形成された複写画像との位置関係が異なる
事態が生じる。

本発明は、上述した不都合を解消するために、
シート部材送給機構の送給ローラと搬送ローラ対
との間に、シート部材の搬送開始時にシート部材
に作用する上述した異常な力を緩衝するための緩
衝手段を配設したものである。

第３−４図及び第４図を参照して、第１図のシ
ート部材供給装置の第２のシート部材送給機構８
ｂに関連して更に説明すると、図示の緩衝手段５
４はシート部材を案内するための案内板５６を具
備している。案内板５６には全周部を除いてほぼ
全域に開口５８が形成され、この開口５８にはプ
レート状の弾性部材６０が配設されている。弾性
部材６０は例えば薄い板ばね部材から構成するこ
とができ、一端が案内板５６のシート部材の搬送
方向に見て上流側に存在する縁部の下面に固定さ
れている。弾性部材６０は上方に向つて凸状であ
り、案内板５６の上流側縁部に固定された一端か
ら開口５８の一端部を通して下流側に向つて上方
に傾斜し、しかる後下流側に向つて下方に開口５
８の他端部まで延びている。この弾性部材６０の
抵抗力は、第２のシート部材送給機構８ｂに関連
しては、後の記載から理解される如く、シート部
材の搬送時に搬送ローラ対５０及び５２とシート
部材間のスリツプを実質上生じせしめないが、シ
ート部材を介して送給ローラ対２４及び２６並び
に送給ローラ１４ｂ（第１図）を回動せしめる
（言い換えると、搬送ローラ対５０及び５２にシ
ート部材が当接してその移動が停止された状態に
おいて、このシート部材に作用する実質上全ての
送給ローラを回動せしめる）ように設定すること
が重要である。尚、具体例においては、緩衝手段
５４は第３のシート部材送給機構８ｃ（第１図）
に関連しても作用し、それ故に、弾性部材６０の
抵抗力は第３のシート部材送給機構８ｃから送給
されるシート部材を介して送給ローラ対２４及び
２６、送給ローラ対３４及び３６（第１図）、並
びに送給ローラ１４ｃ（第１図）を回動せしめる
ようにも設定されている。

かくの通りの緩衝手段５４は、第１図及び第３
−Ａ図を参照することによつて容易に理解される
如く、第１図の案内板４９に代えて案内板４２及
び４４間に配設される。

かかる緩衝手段５４を備えたシート部材供給装
置において、第２のシート部材装填部２ｂ（第１
図）からシート部材が送出され、このシート部材
が第２のシート部材送給機構８ｂの作用によつて
搬送ローラ対５０及び５２まで送給されると、シ
ート部材の先縁が非作動状態にある搬送ローラ対
５０及び５２のニツプ部に当接し、これによつて
シート部材の姿勢が修正される。また、かくの如
く当接すると、シート部材の移動が阻止され、こ
れによつてシート部材は第３−Ａ図に二点鎖線で
示す如く上方に向つて凸状に湾曲せしめられる。
そして、シート部材がかく湾曲せしめられると、
この湾曲の生成を検知することによつてシート部
材の送給が停止される。

しかる後に、搬送開始信号に基いて搬送ローラ
対５０及び５２が作動状態となつて所定方向に回
動されると、シート部材の先端部は、第３−Ｂ図
に示す如く、搬送ローラ対５０及び５２の作用に
よつて所定の処理域に向けて移動される（このと
き、送給ローラ対２４及び２６並びに送給ローラ
１４ｂは停止状態に保持されている）。

そして、シート部材の先端部の移動が開始され
て第３−Ｂ図に示す状態となると、シート部材に
生成された湾曲が厳分消失してその下面が弾性部
材６０の上端に当接し、以後緩衝手段５４の弾性
部材６０がシート部材に作用する。弾性部材６０
がかく作用すると、弾性部材６０の抵抗力が搬送
ローラ対５０及び５２とシート部材間のスリツプ
を実質上生じせしめないように設定されているた
め、シート部材の先端側においてはこの弾性部材
６０の影響はなく、シート部材は搬送ローラ対５
０及び５２の作用によつて所要の通り移動せしめ
られる。他方、上記抵抗力は、また、シート部材
を介して送給ローラ対２４及び２６並びに送給ロ
ーラ１４ｂを回動せしめるように設定されている
ため、シート部材の後端側においては弾性部材６
０の作用によつてシート部材を介して送給ローラ
対２４及び２６並びに送給ローラ１４ｂの所定方
向への従動が開始される。かくの通りであるの
で、シート部材を介して送給ローラ対２４及び２
６並びに送給ローラ１４ｂの回動速度がシート部
材の移動速度（即ち、搬送ローラ対５０及び５２
の回動速度）に達するまでは、第３−Ｂ図及び第
３−Ｃ図を参照することによつて理解される如
く、送給ローラ対２４及び２６並びに送給ローラ
１４ｂの回動速度とシート部材の移動速度の差に
起因するシート部材の先端部と後端部の移動差
は、弾性部材６０がその上流端を支点として上方
に回動されることによつて吸収され（言い換える
と、シート部材に生成された湾曲が消失すること
によつて吸収される）、シート部材の先端部と後
端部の移動差に起因してシート部材に作用する異
常な力は弾性部材６０によつて緩衝される。

シート部材の移動が開始されて第３−Ｃ図に示
す状態になると、上述した緩衝手段５４の作用に
よつて送給ローラ対２４及び２６並びに送給ロー
ラ１４ｂの回動速度が搬送ローラ対５０及び５２
の回動速度と実質上等しくなり、シート部材の先
端部及び後端部は実質上等しい速度で移動され
る。

以上記載した通りであるので、上述した緩衝手
段５４を備えたシート部材供給装置においては、
送給ローラ１４ｂ，２４及び２６の停止状態から
所定の回動状態への立上りが緩衝手段５４によつ
て補償され、シート部材に生成された湾曲が実質
上消失せしめられる間に送給ローラ１４ｂ，２４
及び２６の回動速度がシート部材の移動速度と実
質上等しくなく、搬送開始時にシート部材に作用
する異常な力が緩衝手段５４によつて緩衝され
る。そして、シート部材の先端部は第２図に破線
で示す如く、実質上スリツプすることなく所定の
処理域に向けて搬送される。

以上、第２のシート部材送給機構８ｂ（第１図）
に関連して説明したが、第３のシート部材送給機
構８ｃ（第１図）からシート部材が送給された場
合にも同様の作用効果が達成される。

また、第３−Ａ図乃至第３−Ｃ図においては、
比較的大きい慣性モーメントを有する第２のシー
ト部材送給機構８ｂ及び第３のシート部材送給機
構８ｃに関連して緩衝手段５４を配設している
が、同様に、第１のシート部材送給機構８ａ（第
１図）に関連して配設することもできる。

次いで、第５−Ａ図乃至第５−Ｃ図を参照し
て、緩衝手段の変形例について説明する。この変
形例においては、第１図のシート部材供給装置の
第３のシート部材送給機構８ｃに関連して説明す
る。主として第５−Ａ図を参照して、図示の緩衝
手段５４′はシート部材を搬送するための搬送ロ
ーラ対６２及び６４を含んでいる。搬送ローラ６
２は回転自在に支持され、また搬送ローラ６４は
回転自在に且つ上下方向に所定範囲に渡つて移動
自在に装着されている。かかる搬送ローラ対６２
及び６４は、第１図と第５−Ａ図を比較すること
によつて理解される如く、第１図における送給ロ
ーラ対２４及び２６に代えて送給ローラ対３４及
び３６と搬送ローラ対５０及び５２の間に配設さ
れる。従つて、この変形例においては、第３のシ
ート部材送給機構８ｃに関連して、送給ローラ１
４ｃ並びに送給ローラ対３４及び３６がシート部
材を搬送ローラ対５０及び５２に向けて送給する
ための送給ローラを構成し、シート部材搬送経路
４０は送給ローラ対３４及び３６から下流側に向
つて延びる（第２のシート部材送給機構８ｂに関
連しては、送給ローラ１４ｂがシート部材を搬送
ローラ対５０及び５２に向けて送給するための送
給ローラを構成する）。上記搬送ローラ６４の両
端部には、更に、ばね手段を構成する圧縮コイル
ばね６６（第５−Ａ図乃至第５−Ｃ図において片
方のみ示す）が配設されている。圧縮コイルばね
６６は搬送ローラ６４を搬送ローラ６２に向けて
弾性的に偏倚せしめ、両者を圧接状態に保持す
る。かかるコイルばね６６の抵抗力は、第３のシ
ート部材送給機構８ｃ（第１図）に関連しては、
シート部材の搬送時に搬送ローラ対５０及び５２
とシート部材間のスリツプを実質上生じせしめな
いが、シート部材を介して送給ローラ対３４及び
７６並びに送給ローラ１４ｃ（第１図）を回動せ
しめるように設定することが重要である。尚、変
形例においては、緩衝手段５４′は第２のシート
部材送給機構８ｂ（第１図）に関連しても作用し、
それ故に、コイルばね６６の抵抗力は第２のシー
ト部材送給機構８ｂから送給されたシート部材を
介して送給ローラ１４ｂを回動せしめるようにも
設定されている。

かかる変形例において、第３のシート部材装填
部２ｃ（第１図）からシート部材が送出され、こ
のシート部材が第３のシート部材送給機構８ｂ、
及び緩衝手段５４′を構成する搬送ローラ対６２
及び６４（変形例では搬送ローラ６２が所要の通
りに回転駆動される）の作用によつて搬送ローラ
対５０及び５２まで送給されると、シート部材の
先縁が非作動状態にある搬送ローラ対５０及び５
２のニツプ部に当接し、これによつてシート部材
の姿勢が修正される。また、かく当接すると、シ
ート部材の移動が阻止され、これによつてシート
部材は第５−Ａ図に二点鎖線で示す如く上方に向
つて凸状に湾曲せしめられる。そして、シート部
材がかく湾曲せしめられると、この湾曲の生成を
検出することによつてシート部材の送給が停止さ
れる。

しかる後に、搬送開始信号に基いて搬送ローラ
対５０及び５２が回動されると、シート部材の先
端部は、第５−Ｂ図に示す如く、搬送ローラ対５
０及び５２の作用によつて所定の処理域に向けて
移動される（このとき、搬送ローラ対６２及び６
４、送給ローラ対３４及び３６、並びに送給ロー
ラ１４ｃは停止状態に保持されている）。

そして、シート部材の先端部の移動が開始され
て第５−Ｂ図に示す状態になると、シート部材に
生成された湾曲が消失する。かくすると、シート
部材の先端部は所定の移動速度で移動している
が、シート部材の後端部は搬送ローラ対６２及び
６４、送給ローラ対３４及び３６、並びに送給ロ
ーラ１４ｃの作用によつて停止しているために、
シート部材にはこれを破断しようとする力が作用
し、かかる力がシート部材の後端側において主と
して搬送ローラ対６２及び６４に伝達される。か
く伝達されると、第５−Ｂ図及び第５−Ｃ図を参
照することによつて理解される如く、搬送ローラ
６４がコイルばね６６の弾性偏倚力に抗して上方
に移動せしめられ、シート部材に作用する異常な
力はコイルばね６６に吸収される。搬送ローラ６
４が上方に移動する間は、コイルばね６６の抵抗
力が搬送ローラ５０及び５２とシート部材間のス
リツプを実質上生じせしめないように設定されて
いるために、シート部材の先端側においてはコイ
ルばね６６の影響はなく、シート部材は所要の通
り移動せしめられるが、他方、上記抵抗力がシー
ト部材を介して送給ローラ対３４及び３６並びに
送給ローラ１４ｃを回動せしめるように設定され
ているため、シート部材の後端側においてはコイ
ルばねの作用によつてシート部材を介して送給ロ
ーラ３４及び３６並びに送給ローラ１４ｃの所定
方向の従動が開始される。かくの通りであるの
で、送給ローラ対３４及び３６並びに送給ローラ
１４ｃの回動速度がシート部材の移動速度（即
ち、搬送ローラ対５０及び５２の回動速度）に達
するまでは、送給ローラ対３４及び３６並びに送
給ローラ１４ｂの回動速度とシート部材の移動速
度の差に起因するシート部材の先端部と後端部の
移動差は、搬送ローラ６４が上方に移動されるこ
とによつて吸収され、シート部材の先端部と後端
部の移動差に起因してシート部材に作用する異常
な力はコイルばね６６によつて緩衝される。

シート部材の移動が開始されて第５−Ｃ図に示
す状態になると、上述した緩衝手段５４′の作用
によつて送給ローラ対３４及び３６並びに送給ロ
ーラ１４ｃの回転速度が搬送ローラ対５０及び５
２の回動速度と実質上等しくなり、シート部材の
先端部及び後端部は実質上等しい速度で移動され
る。

以上、第３のシート部材送給機構８ｃ（第１図）
に関連して説明したが、第２のシート部材送給機
構８ｂ（第１図）からシート部材が送給された場
合にも同様の作用効果が達成される。

尚、上述した緩衝手段５４′は、第２のシート
部材送給機構８ｂ及び第３のシート部材送給機構
８ｃと同様に、第１のシート部材送給機構８ａ
（第１図）に関連して配設することもできる。

以上、本発明に従つて構成されたシート部材供
給装置の具体例について説明したが、本発明はか
かる具体例に限定されるものではなく、本発明の
範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可
能である。

例えば、具体例においては、シート部材装填部
が３個設けられているシート部材供給装置に適用
して説明したが、本発明はかかる形態のものに限
定されるものではなく、シート部材装填部が１個
若しくは２個又は４個以上設けられているものに
も適用することができる。

＜発明の効果＞ 以上のように本発明によれば、送給ローラと搬
送ローラ対との間には、搬送ローラ対によつて搬
送されるシート部材の移動速度と送給ローラの回
転速度との相違に起因してシート部材に作用する
異常な力を緩衝するための緩衝手段が配設され、
該緩衝手段の抵抗力が、シート部材の搬送時に搬
送ローラ対とシート部材間のスリツプを実質上生
じせしめないが、シート部材を介して送給ローラ
を回転せしめるように設定されているので、搬送
ローラ対によつて搬送されるシート部材の移動速
度と送給ローラの回転速度とが実質上等しくな
り、搬送開始時にシート部材に作用する異常な力
は、緩衝手段によつて緩衝される。従つて、搬送
ローラ対とシート部材間のスリツプの発生を防止
することができ、シート部材を搬送ローラ対によ
つて正確に所定の処理域に供給することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のシート部材供給装置を備えた
静電複写機の一部を示す断面図。第２図は、従来
のシート部材供給装置におけるシート部材搬送開
始時の時間とシート部材の移動速度との関係を示
す図。第３−Ａ図乃至第３−Ｃ図は、夫々、本発
明に従つて構成されたシート部材供給装置におけ
るシート部材の搬送状態を説明するための概略
図。第４図は、本発明に従つて構成されたシート
部材供給装置の緩衝手段を示す斜視図。第５−Ａ
図乃至第５−Ｃ図は、夫々、変形例の緩衝手段を
備えたシート部材供給装置におけるシート部材の
搬送状態を説明するための概略図。 ２ａ，２ｂ及び２ｃ……シート部材装填部、８
ａ，８ｂ及び８ｃ……シート部材送給機構、１４
ａ，１４ｂ，１４ｃ……送給ローラ、２４，２
６，３４及び３６……送給ローラ、４０……シー
ト部材搬送経路、５０及び５２……搬送ローラ
対、５４及び５４′……緩衝手段、６０……弾性
部材、６６……圧縮コイルばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ シート部材が装填されるシート部材装填部
   と、該シート部材装填部に配設されたシート部材
   送給機構と、該シート部材送給機構の作用によつ
   て送給されたシート部材を所定の処理域に導くシ
   ート部材搬送経路と、該シート部材搬送経路に配
   設された搬送ローラ対を具備し、該シート部材送
   給機構はシート部材を該搬送ローラ対に向けて送
   給するための送給ローラを有し、該搬送ローラ対
   は搬送開始信号に基いて作動状態となつてシート
   部材の搬送を開始する形態のシート部材供給装置
   において； 該送給ローラと該搬送ローラ対との間には、該
   搬送ローラ対によつて搬送されるシート部材の移
   動速度と該送給ローラの回転速度との相違に起因
   してシート部材に作用する異常な力を緩衝するた
   めの緩衝手段が配設され、該緩衝手段の抵抗力
   は、シート部材の搬送時に該搬送ローラ対とシー
   ト部材間のスリツプを実質上生じせしめないが、
   シート部材を介して該送給ローラを回転せしめる
   ように設定されている、ことを特徴とするシート
   部材供給装置。 ２ 該緩衝手段は、シート部材を案内するための
   案内板と、該案内板に設けられたシート部材に作
   用する弾性部材を備えている、特許請求の範囲第
   １項記載のシート部材供給装置。 ３ 該緩衝手段は、シート部材を搬送するための
   搬送ローラ対と、該搬送ローラ対の片方を他方に
   向けて弾性的に偏倚せしめるばね手段を備えてい
   る、特許請求の範囲第１項記載のシート部材供給
   装置。