JPH0578810A - 水素分離膜の製造方法 - Google Patents

水素分離膜の製造方法

Info

Publication number
JPH0578810A
JPH0578810A JP31629091A JP31629091A JPH0578810A JP H0578810 A JPH0578810 A JP H0578810A JP 31629091 A JP31629091 A JP 31629091A JP 31629091 A JP31629091 A JP 31629091A JP H0578810 A JPH0578810 A JP H0578810A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
hydrogen
base material
alloy
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP31629091A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadato Shigemura
貞人 重村
Tetsuya Imai
哲也 今井
Toru Funada
徹 船田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Publication of JPH0578810A publication Critical patent/JPH0578810A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B3/00Hydrogen; Gaseous mixtures containing hydrogen; Separation of hydrogen from mixtures containing it; Purification of hydrogen
    • C01B3/50Separation of hydrogen or hydrogen containing gases from gaseous mixtures, e.g. purification
    • C01B3/501Separation of hydrogen or hydrogen containing gases from gaseous mixtures, e.g. purification by diffusion
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B2203/00Integrated processes for the production of hydrogen or synthesis gas
    • C01B2203/04Integrated processes for the production of hydrogen or synthesis gas containing a purification step for the hydrogen or the synthesis gas
    • C01B2203/0405Purification by membrane separation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 欠陥がなく水素透過性能に優れる水素分離膜
を簡易に製造できる方法を提供する。 【構成】 セラミック多孔体あるいは金属多孔体を基材
とし、この基材表面に減圧プラズマ溶射法によりパラジ
ウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形成する。ま
た、パラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形
成した後、当該膜の最表面をレーザビームにより加熱溶
融する。さらに、金属多孔体表面にセラミクスを溶射し
た後、パラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を
形成し、その後高温加熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水素分離膜の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、燃料電池の開発が盛んに行われて
おり、その中でも各種ガス、例えばCH4 等のガスから
触媒を用いた改質反応により水素ガスを製造し、このガ
スを燃料として発電するシステムが開発されている。そ
して、この様な炭化水素系ガスを改質して水素ガスを製
造する新しい方法として、反応管内に、水素のみを選択
的に透過するパラジウムあるいはパラジウム合金からな
るPd系膜を設置して、該Pd系膜を介して反応系外に
生成した水素を除去しながら反応させるメンブレンリア
クタが提案されている。そして、水素を分離する方法と
しては、セラミックあるいは金属製の多孔体チューブの
表面に上述したPd系膜をめっき法により形成し、多孔
体チューブ内側の混合ガスより水素を分離して多孔体チ
ューブ及びPd系膜を通過して水素を分離する方法が提
案されている。
【0003】また、省エネルギー形分離技術としても、
水素を含有する混合ガス中から水素を分離して99.9
9%以上の高純度の水素を得る方法が注目を集めてお
り、この方法にもPdを主体とする膜が使用される。
【0004】かかる膜は、従来、Pd,Pdを主体とす
る合金を伸延して薄膜とすることによって製造され、支
持枠で支持して使用されていた。しかし、かかる伸延法
によって得られる膜の厚みの下限には限界がある。ま
た、この膜は支持枠で支持して使用されるため、このよ
うな支持方法に耐えるだけの機械的強度を付与する必要
があり、あまり薄い膜を使用すると使用中に膜が破損し
易い。
【0005】また、水素分離膜として、セラミック等無
機質材料からなる多孔体の表面にPdを含有する薄膜を
形成させた膜が提案されている。
【0006】さらに、その他、セラミック等無機質材料
に代え、微細な孔を有する金属多孔体の表面にPdを含
有する薄膜を形成させた水素分離膜が提案されている。
【0007】そしてこの金属多孔体の製造方法として
は、 発泡(多孔質)金属をプレス成形し細孔径を制御し
たもの、 粒径の小さい金属微粉末を焼結成形したもの、 化学反応により除去可能な粉末を金属粉末に混合又
は溶融した金属に添加した後、粉末を化学反応により除
去し、細孔を生成させたもの、 等が提案,採用されている。
【0008】しかしながら、多孔体チューブにPd系膜
をめっき法により形成する場合には、以下のような問題
点がある。
【0009】(1)セラミックあるいは金属多孔体(主
としてステンレス鋼)へ、水素分離膜としてのPdある
いはPd合金をめっきするのに、非常に複雑な工程を必
要とする。
【0010】(2)無数の微細な穴を有する基材表面に
無欠陥のPd系膜を形成するのは非常に困難であり、且
つ不良品が出やすく歩留りが悪い。
【0011】(3)無欠陥のPd系膜を形成するために
は膜厚を厚くする必要があり、この結果、水素透過性能
が低下して十分な性能を発揮せず効率が非常に悪い。
【0012】(4)めっき法では湿式で且つ有害な処理
薬品を使用するため、公害対策を必要とする。
【0013】(5)Pd合金の場合、例えばPd−Cu
合金を例にとると、Pdめっき後Cuめっきを行うかC
uめっき後Pdめっきを行うかした後真空中で加熱拡散
処理を行って合金化する方法が採用される。この場合、
多孔体が金属の場合はPdとCuとの拡散合金と共に基
材の金属、例えばステンレス鋼の場合であれば、Fe,
Ni,Cr等の元素がPd,Cu等と一緒に拡散合金化
してしまい、水素分離性能が低下する。
【0014】(6)湿式法で行うため多孔体内の微細孔
に処理液が残留し触媒あるいは多孔体(金属)に悪影響
を与える可能性がある。
【0015】また、その他、従来の水素分離膜の製造方
法には次のような問題がある。
【0016】(a)Pdを伸延法により薄くする方法は
60〜100μm程度の比較的厚いものを使用せねばな
らず、高価なPdの使用量が増大し、また、水素の透過
速度が小さい。
【0017】(b)セラミック等無機質材料からなる多
孔体担体にPdを含有する薄膜を形成させた水素分離膜
は、担体が脆性材料であり、機械的強度,振動,衝撃
等に弱いため担体を破損しないように保持することが困
難であり、特別な容器や支持法の設計を必要とする、
高度が高いため加工性が悪く、長尺のパイプ状の担体を
得ることが難しく、設計の自由度も小さい、溶接がで
きないためシール部の構造が複雑になる、という欠点を
有する。
【0018】(c)セラミック等無機質材料にかえ、多
孔質金属の担体にPdを含有する薄膜を形成させてなる
水素分離膜は、提案されている多孔質金属担体の製造方
法として、前述した3つの方法が提案されているが何れ
も加工性が悪く薄肉で長尺のパイプを製造することが難
しく、製造できるとしても耐圧強度を大きくするために
は厚肉が必要で通気抵抗が大きくなり、水素分離膜の担
体として適さない。
【0019】(d)また、多孔質金属の担体に直接Pd
を含有する薄膜を形成させた水素分離膜は、500℃以
上の高温で長時間使用することによりPdを含有する薄
膜と多孔質金属担体との拡散反応により水素透過性が低
下するという問題がある。
【0020】(e)さらに、セラミック等無機質材料の
担体にPd合金膜、例えば、Pd−Ag合金膜等を容易
に形成させる方法として、担体の表面にPd,Agを別
々に形成後合金化処理、例えば、800℃×5時間の加
熱処理を行う方法があるが、多孔質金属を担体とした場
合には上記(d)項と同様の拡散反応により健全なPd
合金膜を形成することが困難である。
【0021】本発明はこのような事情に鑑み、欠陥がな
く、水素透過性能に優れる水素分離膜を簡易に製造でき
る方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明に係る水素分離膜の製造方法は、セラミック多孔体あ
るいは金属多孔体を基材とし、この基材表面に減圧プラ
ズマ溶射法によりパラジウムあるいはパラジウム合金か
らなる膜を形成することを特徴とする。
【0023】また、セラミック多孔体あるいは金属多孔
体を基材とし、この基材表面に減圧プラズマ溶射法によ
りパラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形成
した後、当該膜の最表面をレーザビームにより加熱溶融
させて無気孔膜を形成することを特徴とする。
【0024】さらに、金属多孔体を基材とし、この基材
表面にセラミックスを溶射した後、減圧プラズマ溶射法
によりパラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を
形成し、その後高温加熱処理して上記膜を無欠陥膜とす
ることを特徴とする。
【0025】
【作用】減圧プラズマ溶射法によると、使用する材料を
予め準備するので任意の組成を選定することができ、基
材との拡散合金層を形成しない。また、溶射前にスパッ
タクリーニングでき且つ高速で溶融粒子(液滴)が基材
に衝突するため、形成した膜と基材との密着性に優れ
る。また、無酸素雰囲気で溶射されるため、溶射材料の
酸化がなく、高純度の皮膜が形成でき且つ溶射粒子(液
滴)が高速なため気孔が発生しない。さらに、ドライプ
ロセスであるので、公害対策が不必要であり、微細孔中
への残留物による触媒性能劣化、金属多孔体の腐食等の
二次的課題がない。
【0026】前述した減圧プラズマ溶射法によっても、
ガス分離効率を向上させることにより発電能力を計るた
めに、チューブ内外の差圧を大きくする場合にはガス漏
れが生じることがある。そこで、レーザビームにより膜
表面を瞬間加熱することにより、基材と反応することな
くガス漏れのさらに生じにくい分離膜を形成するのが有
効である。この方法によると、最表層のみ溶融し、溶射
皮膜の大半は未溶融であるため、未溶融部の溶射皮膜そ
のものが多孔質であり、ガス透過性能が極めて優れてい
る。
【0027】金属多孔体上に水素分離膜を溶射する場
合、金属多孔体表面の細孔径が非常に小さい場合(10
μm以下)には、Pd及びPd合金を単に減圧プラズマ
溶射で被覆することにより作製可能であるが、金属多孔
体表面の細孔径が大きい場合又はこの上にバリアコーテ
ィングとしてセラミックスを溶射した場合には、薄膜で
無気孔の皮膜を得ることが困難である。しかし、本発明
では最終的に高温に加熱してシンター現象を生じさせ、
無気孔皮膜とすることができる。即ち、バリアーコーテ
ィングとしてセラミックスをアンダーコーティングした
後、減圧プラズマ溶射法によりPdあるいはPd合金の
膜を形成すると、当該膜の微小な欠陥を最加熱による溶
融あるいはシンター現象により無欠陥とすることができ
る。よって、多少水素分離膜として溶射した皮膜に欠陥
が存在しても加熱により欠陥を皆無とすることができる
ため膜の厚さが最小限にでき、水素透過性能を向上させ
ることができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0029】(実施例1)触媒を充填した金属多孔体チ
ューブ内にCH4 ガスを通し高温加熱によりH2 ガスを
製造するプロセス、即ちメンブレンリアクタにおける水
素分離膜作製にあたり本発明方法を採用した。外径20
mmφ(チューブ厚0.2mm)、長さ300mmのSUS3
16製金属多孔体(孔の平均径約5μm)外表面に水素
分離膜としてのPd膜を減圧プラズマ溶射により形成し
た。即ち、金属多孔体本体を真空チャンバ内の回転装置
に取付けた後チャンバ内を1×102 mbarまで真空引き
し、引き続きArを導入し100mbarにてスパッタクリ
ーニングを行い基材表面を清浄化した後、更にArを導
入して圧力60mbar、プラズマ出力35KwでPdを溶射
した。溶射膜厚としては、水素透過係数を考慮し目標を
10μmとした。
【0030】溶射後、試作Pdコーティングチューブに
ついて次の解析、評価を実施した。
【0031】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧3kg/cm2 をかけ気密試験を実施した結果、ガス漏れ
は全く生じなかった。
【0032】(2)水素透過性評価;各種膜の水素透過
性を評価した結果を図1に示す。同図より、実施例1の
膜の水素透過性は、従来より実施しているめっき法によ
る膜(比較例1)と比較して優れた透過性能を有するこ
とがわかる。
【0033】(3)皮膜調査;水素透過性試験実施後チ
ューブ断面組織を観察した結果、本実施例では、目標の
膜厚10μmに対し、基材表面に約8μmのPd膜が形
成されていた。すなわち、本発明方法では、Pd皮膜が
基材の表面を主体に形成され、基材内部には2〜3μm
程度しか浸透していないことがわかった。一方、従来の
めっき法では基材表面から10μm内部までPdが浸透
析出している。つまり、めっき法では目標10μmに対
し、表面のPd膜は10μmでも内部に更に約10μm
のPdが存在していることになるので、図1に示す如く
水素透過速度が低下する原因となる。
【0034】(実施例2)実施例1と同様に、水素分離
膜を製造するにあたり、本発明方法を採用した。外径2
0mmφ(チューブ厚0.2mm)、長さ300mmのSUS
316製金属多孔体(孔の平均径約5μm)外表面に水
素分離膜としての80Pd−20Ag合金膜を減圧プラ
ズマ溶射により形成した。即ち、金属多孔体本体を真空
チャンバ内の回転装置に取付けた後チャンバ内を1×1
2 mbarまで真空引きし、引き続きArを導入し100
mbarにてスパッタクリーニングを行い基材表面を清浄化
した後更にArを導入し圧力80mbar、プラズマ出力4
5Kwで80Pd−20Ag合金を溶射した。溶射膜厚と
しては、水素透過速度を考慮し目標を10μmとした。
【0035】溶射後、試作Pd−Ag合金膜コーティン
グチューブについて次の解析、評価を実施した。
【0036】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧3kg/cm2 をかけ気密試験を実施した結果、ガス漏れ
は全く生じなかった。
【0037】(2)水素透過性評価;本実施例の膜の水
素透過性は図1の実施例2に示すように、従来より実施
しているめっき法(比較例1)と比較すると優れた透過
性能を有することがわかる。
【0038】(3)皮膜調査;水素透過性試験実施後チ
ューブ断面組織を観察した結果、本実施例によるPd−
Ag合金膜は表面に目標の膜厚10μmに対し約8μm
であった。又、合金状態を確認するため、皮膜表面より
X線回析、断面EPMA解析を行った結果、PdとAg
は完全に合金化していると共に結晶構造からも固溶体構
造であることが確認された。なお、皮膜の生成状況につ
いては、実施例1と同様、基材表面への成膜が主体であ
り基材内部への浸透は極僅かであった。
【0039】(実施例3)実施例1と同様な金属多孔体
に同一の条件で、厚さ30μmのPd溶射膜を形成し
た。溶射膜厚を30μmとしたのは、ガス分離効率を向
上させるため、チューブ内外の差圧を上昇させる目的で
ある。溶射後、このPd溶射コーティングチューブにつ
いて通気性評価を行った。ガス分離効率の向上による発
電能力向上のため、チューブ内に窒素ガス圧5kg/cm2
をかけたところ、0.5〜1.0cm3 /cm2 /min.の漏
れがあった。このPdコーティングチューブ外表面を、
出力500W、ビーム径5mmφの炭酸ガス(CO2 )レ
ーザビームにより加熱溶融処理した。
【0040】加熱溶融処理後の試作Pdコーティングチ
ューブについて次の解析、評価を実施した。
【0041】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧5kg/cm2 をかけ気密試験を実施した結果、ガス漏れ
は全く生じなかった。
【0042】(2)水素透過性評価;比較材料として、
Pd合金を30μm減圧プラズマ溶射を行い800℃3
時間の拡散処理を行って封孔処理を行った分離膜を選定
した。この結果、図2に示す如く、上記実施例により製
作した分離膜は比較材(比較2)と比較して優れた水素
透過性能を有することがわかる。
【0043】(3)皮膜調査;水素透過性能試験実施
後、チューブ断面組織を観察した結果、上記実施例によ
るPd合金膜は総膜厚で28μmであり、その内、レー
ザビームにより完全に溶融した厚さは約5μmであり2
3μmはトンネル型の気孔を有していた。また、比較材
は膜厚約26μmでありほぼ全膜厚にわたって拡散現象
を生じていた。すなわち、本実施例の分離膜では、トン
ネル型の気孔を有している23μmは多孔体の一部で水
素分離膜としては5μmが有効に働いているものと思わ
れる。
【0044】(実施例4)実施例3と同様に水素分離膜
を製造するにあたり、本発明方法を採用した。外径20
mmφ(チューブ厚0.2mm)、長さ300mmのSUS3
16製金属多孔体(孔の平均径約5μm)外表面に水素
分離膜としての80Pd−20Ag合金膜を減圧プラズ
マ溶射により形成した。即ち、金属多孔体本体を真空チ
ャンバ内の回転装置に取付けた後チャンバ内を1×10
2 mbarまで真空引きし、引き続きArを導入し100mb
arにてスパッタクリーニングを行い基材表面を清浄化し
た後更にArを導入し圧力80mbar,プラズマ出力45
Kwで80Pd−20Ag合金を溶射した。溶射膜厚とし
ては、水素透過係数を考慮し目標を10μmとした。溶
射後、このPd−Ag合金膜コーティングチューブにつ
いて通気性評価を行った。即ち、チューブ内に窒素ガス
圧5kg/cm2 をかけ気密試験を実施した結果、1.5〜
3.0cm3 /cm2 /min.の漏れがあった。引き続き、こ
のPdコーティングチューブ外表面を出力300W,ビ
ーム径5mmφのCO2レーザビームにより表面を加熱溶
融処理した。
【0045】加熱溶融処理後の試作Pdコーティングチ
ューブについて次の解析,評価を実施した。
【0046】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧5kg/cm2 をかけ気密試験を実施した結果、ガス漏れ
は全く生じなかった。
【0047】(2)水素透過性評価;水素透過性を行っ
た結果、図2に示す如く実施例3の分離膜及び比較例2
の分離膜に比べてはるかに本実施例の分離膜が優れた透
過性能を有することがわかった。
【0048】(3)皮膜調査;水素透過性試験実施後の
チューブ断面組織を観察した結果、本実施例によるPd
−Ag合金膜は表面に目標の膜厚10μmに対し約8μ
mで、レーザビームによる溶融層の厚さは約3μmであ
った。又、合金状態を確認するため、皮膜表面よりX線
回析、断面EPMA解析を行った結果、PdとAgは完
全に合金化していると共に結晶構造からも固溶体構造で
あることが確認された。
【0049】(実施例5)外径20mmφ(肉厚1mm),
長さ300mmのSUS316金網焼結多孔体チューブの
外表面に無欠陥のPd水素分離膜を形成するにあたり、
本発明を採用した。最表層が目開き20μmの金網と
し、この内側に目開き53μm,150μm,最内層が
300μmの積層金網構造とした後、1380℃×3時
間の条件で焼結した金属多孔体チューブを基材とした。
この金属多孔体の表面をスパッタクリーニングした後、
バリアーコーティング及び最表層の開口径調整を目的と
して減圧プラズマ溶射装置を使用し、Al2 3 を約1
0μmコーティングした。このときの表面の開口径は約
5μmであった。引き続きこの表面に平均粒径20μm
のPd粉末を減圧プラズマ溶射装置を使用し、圧力15
0mbar,溶射距離270mbar,電流700Aで溶射し
た。溶射膜厚は10μmを目的とした。溶射後Ar雰囲
気中で800℃×3時間の加熱処理を行い皮膜中に存在
する微細な欠陥をなくするためシンター処理を実施し、
以下の評価を実施した。
【0050】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧3kg/cm2 をかけ通気性試験を実施した結果、漏れは
皆無であった。
【0051】(2)水素透過性評価;比較材料として従
来より実施している不織布製金属多孔体に無電解Pdめ
っきを20μm実施した水素分離膜を選定した。この結
果、図3に示す如く、本実施例により製作した分離膜は
比較例3と比較して優れた水素透過性能を有することが
わかった。
【0052】(3)皮膜調査;水素透過性能試験後、チ
ューブ断面組織を観察した結果、本実施例による皮膜構
成の内、バリアーコーティングとしてコーティングした
Al 2 3 の膜厚は約8μmであり、また、Al2 3
溶射表面の開口径は平均で6μmであった。そして、最
表層のPd皮膜の膜厚はほぼ目標通りの10μmであ
り、皮膜中には欠陥は全く認められず、また、基材との
反応も皆無でありAl2 3 がバリアーとして役目を十
分果たしていることが確認された。
【0053】(実施例6)実施例5と同様に外径20mm
φ、長さ300mmのSUS316金網焼結多孔体チュー
ブの外表面に無欠陥の水素分離膜を形成するにあたり、
本発明を採用した。使用した基材、即ち、金属多孔体チ
ューブは実施例5と全く同じとした。また、バリアーコ
ーティングについても同様とした。このバリアーコーテ
ィングの上に実施例5より更に水素透過性能を向上させ
る目的でPd−Ag合金の溶射を実施した。合金成分と
しては水素透過性の最も良いとされている77Pd−2
3Ag合金とし、平均粒径20μmの粉末を使用し圧力
160mbar,溶射距離260mm,プラズマ出力45KVA
で減圧プラズマ溶射を実施した。溶射膜厚は10μmを
目標とした。溶射後Ar雰囲気中で800℃×1時間の
加熱処理を行い皮膜中に存在する微細な欠陥をなくする
ためシンター処理を実施し、以下の評価を実施した。
【0054】(1)通気性評価;チューブ内に窒素ガス
圧3kg/cm2 をかけ通気性試験を実施した結果、漏れは
皆無であった。
【0055】(2)水素透過性評価;比較材料として従
来より実施している不織布製金属多孔体に無電解Pdめ
っきを20μm実施した水素分離膜を選定した。この結
果、図3に示す如く、本実施例により製作した分離膜は
比較例3及び実施例5に比較して優れた水素透過性能を
有することがわかった。
【0056】(3)皮膜調査;水素透過性能試験後、チ
ューブ断面組織を観察した結果、本実施例による皮膜構
成の内、バリアーコーティングとしてコーティングした
Al 2 3 の膜厚は約8μmであり、また、Al2 3
溶射表面の開口径は平均で6μmであった。そして、最
表層のPd皮膜の膜厚はほぼ目標通りの8μmであり皮
膜中には欠陥は全く認められず、また、基材との反応も
皆無でありAl2 3がバリアーとして役目を十分果た
していることが確認された。
【0057】以上説明したような本発明方法による製品
は、水素分離膜、各種触媒担体として使用でき、また、
本発明方法は無気孔で優れた密着力を有する触媒やガス
分離膜の製造にも応用できる。
【0058】ガス分離効率を向上させることにより発電
能力向上を図る場合、チューブ内外の差圧を大きくする
必要がある。このように差圧を大きくすると、実施例
1,2では、ガス漏れを生じることになるが、実施例
3,4によると大きな差圧においても、漏れを防止でき
る。なお、この場合、膜を形成後、最表面を瞬間に加熱
するのみであるので、基材成分との拡散層が生じず、水
素透過性能に優れるものである。
【0059】また、不織布金属多孔体のような表面細孔
径が小さい場合は、例えば10μm厚とすると、差圧2
kgにおいて使用に耐え得る程度のガス漏れとなるが、金
網のように細孔径の大きなもの、及びこの表面にセラミ
ックスをコーティングした場合は、10μm厚位では無
気孔のものが得られないが、実施例4,5のように表層
を再加熱してシンター現象により無気孔とすることがで
きる。したがって、この方法によると、細孔径が比較的
大きな金網を使用できる。これにより、一般に溶射前に
被溶射体の活性化のために行うスパッタクリーニングの
際に金網が焼損するおそれがなく、また、スパッタクリ
ーニングを行うことができるのでバリアコーティングと
してコーティングするセラミックスの密着性が向上する
という効果を奏する。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は水素分離
膜の製造に減圧プラズマ溶射法を採用しているので、次
のような効果を奏する。 (1)水素分離膜としての任意な膜組成(合金)が選定
できる。 (2)高速溶射であるため欠陥のない分離膜が薄膜で製
造可能である。 (3)膜を形成後加熱処理を実施しないため基材成分と
の拡散層が生じず、水素透過性能に優れる。 (4)表層のPd合金膜は真に必要な厚みのみで形成で
き基材への大きな拡散がないため水素透過性に対し効率
が良い。 (5)乾式プロセスであり公害に対する問題がない。 (6)工程が簡素であることより品質の安定性、量産
性、コスト低減が図れる。
【0061】また、ガス分離を向上させることにより発
電能力を図る場合、レーザビームにより膜の最表面を加
熱溶融させて無気孔膜とすればチューブ内外の差圧を大
きくしてもガス漏れを防止できる。このとき、加熱が瞬
間的であるので基材成分との拡散層も生じず、水素透過
性能に優れる。
【0062】さらに、金属多孔体にセラミックスを溶射
した後Pd系合金を溶射し、その後高温加熱処理して無
欠陥膜とすると、細孔径が比較的大きい金網を用いるこ
とができるので、安価であり、また、製造方法が容易で
あり、製造方法が容易で製造コストが易く量産性に優れ
ている。また、この場合、金属多孔体表面にバリア材と
してのセラミックスがコーティングされているため、高
温で長時間使用されても水素分離膜材料との反応が防止
できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1,2の水素透過試験結果を示
すグラフである。
【図2】本発明の実施例3,4の水素透過試験結果を示
すグラフである。
【図3】本発明の実施例4,5の水素透過試験結果を示
すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック多孔体あるいは金属多孔体を
    基材とし、この基材表面に減圧プラズマ溶射法によりパ
    ラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形成する
    ことを特徴とする水素分離膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミック多孔体あるいは金属多孔体を
    基材とし、この基材表面に減圧プラズマ溶射法によりパ
    ラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形成した
    後、当該膜の最表面をレーザビームにより加熱,溶融さ
    せて無気孔膜を形成することを特徴とする水素分離膜の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 金属多孔体を基材とし、この基材表面に
    セラミックスを溶射した後、減圧プラズマ溶射法により
    パラジウムあるいはパラジウム合金からなる膜を形成
    し、その後高温加熱処理して上記膜を無欠陥膜とするこ
    とを特徴とする水素分離膜の製造方法。
JP31629091A 1990-12-18 1991-11-29 水素分離膜の製造方法 Withdrawn JPH0578810A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP41130590 1990-12-18
JP2-411305 1990-12-18

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0578810A true JPH0578810A (ja) 1993-03-30

Family

ID=18520323

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31629091A Withdrawn JPH0578810A (ja) 1990-12-18 1991-11-29 水素分離膜の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0578810A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100312069B1 (ko) * 1999-11-03 2001-11-05 김충섭 수소기체 분리용 팔라듐 합금 복합막과 이의 제조방법
EP1663512A2 (en) * 2003-07-29 2006-06-07 Intelligent Energy, Inc. Methods for providing thin hydrogen separation membranes and associated uses
US7811529B2 (en) 2001-04-23 2010-10-12 Intelligent Energy, Inc. Hydrogen generation apparatus and method for using same

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100312069B1 (ko) * 1999-11-03 2001-11-05 김충섭 수소기체 분리용 팔라듐 합금 복합막과 이의 제조방법
US7811529B2 (en) 2001-04-23 2010-10-12 Intelligent Energy, Inc. Hydrogen generation apparatus and method for using same
EP1663512A2 (en) * 2003-07-29 2006-06-07 Intelligent Energy, Inc. Methods for providing thin hydrogen separation membranes and associated uses
EP1663512A4 (en) * 2003-07-29 2009-07-08 Intelligent Energy Inc METHODS FOR MAKING FINE HYDROGEN SEPARATION MEMBRANES AND USES THEREOF
US8075958B2 (en) 2003-07-29 2011-12-13 Intelligent Energy, Inc. Methods for providing thin hydrogen separation membranes and associated uses
EP2527046A1 (en) * 2003-07-29 2012-11-28 Intelligent Energy, Inc. Thin hydrogen separation membrane

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Nam et al. Hydrogen separation by Pd alloy composite membranes: introduction of diffusion barrier
JP2991609B2 (ja) ガス分離体と金属との接合体および水素ガス分離装置
US8119205B2 (en) Process for preparing palladium alloy composite membranes for use in hydrogen separation, palladium alloy composite membranes and products incorporating or made from the membranes
JP4250525B2 (ja) 分離拡散金属膜とその製造方法
JP4729755B2 (ja) 複合膜、その製造方法及び水素分離膜
US20020020298A1 (en) Supported metal membrane, a process for its preparation and use
JP2000093767A (ja) 管形の水素透過膜の製造方法、かかる膜およびその使用
US20040244589A1 (en) Composite structure for high efficiency hydrogen separation and its associated methods of manufacture and use
KR20020013767A (ko) 복합 금속 막의 제조방법, 이를 사용하여 제조된 복합금속 막 및 이의 용도
US7611565B1 (en) Device for hydrogen separation and method
JP2000005580A (ja) 耐圧性を有する複合水素透過膜とその製造方法及び補修方法
JPH0578810A (ja) 水素分離膜の製造方法
JPH0691144A (ja) 水素分離膜の製造方法
JP2002355537A (ja) 水素透過膜及びその製造方法
JP4759664B2 (ja) 水素分離膜及び水素分離方法
JPH04346824A (ja) 水素分離膜
JP2005262082A (ja) 水素分離膜、その製造方法並びに水素の分離方法
JP4064774B2 (ja) 水素透過体とその製造方法
JPH0585702A (ja) 水素分離膜の製造方法
JPH11276867A (ja) 水素透過膜の接合方法
JP3174668B2 (ja) 水素分離膜
JP2007038095A (ja) 水素分離膜及びその製造方法
JP2007509743A (ja) 高効率で水素を分離するための複合構造を有する水素ガス分離器、ならびにその製造および使用方法
JPH0576737A (ja) 水素分離膜の製造方法
JPH0352630A (ja) 水素分離膜

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 19990204