JPH0578772A - 強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及び製造方法 - Google Patents
強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及び製造方法Info
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- JPH0578772A JPH0578772A JP26881491A JP26881491A JPH0578772A JP H0578772 A JPH0578772 A JP H0578772A JP 26881491 A JP26881491 A JP 26881491A JP 26881491 A JP26881491 A JP 26881491A JP H0578772 A JPH0578772 A JP H0578772A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系
合金とその製造方法を提供する。 【構成】 Mg:4〜6%、Cu:0.04〜0.10%を含
有し、更にZr:0.05〜0.20%及びHf:0.05〜
0.20%の少なくとも1種を含有し、大きさ200〜
500ÅのZr系或いはHr系金属間化合物が分散粒子と
して体積分率で0.5〜2.0%含まれていることを特徴
としているAl−Mg系合金である。この合金は、400
〜550℃の温度で均質化熱処理を施し、熱間圧延と冷
間圧延を行った後、軟質化焼鈍を施し、次いで30%以
上の冷間圧延を行った後、450〜550℃の温度で高
温短時間の焼鈍を施し、その後80〜1000℃/min
の平均冷却速度で100℃以下まで冷却することによ
り、優れた強度と耐食性が得られる。ストレッチャー・
ストレインマークや肌荒れの発生もない。工業的製造が
容易である。
合金とその製造方法を提供する。 【構成】 Mg:4〜6%、Cu:0.04〜0.10%を含
有し、更にZr:0.05〜0.20%及びHf:0.05〜
0.20%の少なくとも1種を含有し、大きさ200〜
500ÅのZr系或いはHr系金属間化合物が分散粒子と
して体積分率で0.5〜2.0%含まれていることを特徴
としているAl−Mg系合金である。この合金は、400
〜550℃の温度で均質化熱処理を施し、熱間圧延と冷
間圧延を行った後、軟質化焼鈍を施し、次いで30%以
上の冷間圧延を行った後、450〜550℃の温度で高
温短時間の焼鈍を施し、その後80〜1000℃/min
の平均冷却速度で100℃以下まで冷却することによ
り、優れた強度と耐食性が得られる。ストレッチャー・
ストレインマークや肌荒れの発生もない。工業的製造が
容易である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形加工用のAl−Mg系
合金及びその製造方法に係り、より詳しくは、強度かつ
耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及びその製造方
法に関する。
合金及びその製造方法に係り、より詳しくは、強度かつ
耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に
展伸加工用Al−Mg系合金として知られている5182
合金(Al−4.5%Mg−0.35%Mn)は、伸びが軟質
材で26〜28%であるが、自動車外板等の高成形性を
要求される部材には、より高い伸びの得られる材料の開
発が要求されていた。
展伸加工用Al−Mg系合金として知られている5182
合金(Al−4.5%Mg−0.35%Mn)は、伸びが軟質
材で26〜28%であるが、自動車外板等の高成形性を
要求される部材には、より高い伸びの得られる材料の開
発が要求されていた。
【0003】そのため、本発明者らは、5182合金
の伸びを向上させる方法を開発し、先に特公昭59−3
9500号を提案した。しかし、その方法では、分散粒
子MnAl6のサイズが1000〜5000Å(体積分率
1.0〜1.5%)と大きく、この分散粒子の回りの応力
集中により伸びは28〜31%止まりであった。
の伸びを向上させる方法を開発し、先に特公昭59−3
9500号を提案した。しかし、その方法では、分散粒
子MnAl6のサイズが1000〜5000Å(体積分率
1.0〜1.5%)と大きく、この分散粒子の回りの応力
集中により伸びは28〜31%止まりであった。
【0004】そこで、本発明者らは、更に伸びを向上
させる方法の開発に取り組んだ結果、特願平2−110
971号に開示したように、更に分散粒子の形状をサイ
ズ200〜500Å(体積分率0.5〜2.0%)に制御す
ることによって、分散粒子回りの応力集中を緩和するこ
とにより、Al−4〜5%Mg系合金で伸び35〜36%
の高成形材を開発した。
させる方法の開発に取り組んだ結果、特願平2−110
971号に開示したように、更に分散粒子の形状をサイ
ズ200〜500Å(体積分率0.5〜2.0%)に制御す
ることによって、分散粒子回りの応力集中を緩和するこ
とにより、Al−4〜5%Mg系合金で伸び35〜36%
の高成形材を開発した。
【0005】ところで、このような高成形成材が実用
化を迎えつつある現在、次のような新たな問題が顕在化
してきた。すなわち、Al−Mg系アルミニウム合金材で
は、Mg量が多くなると(概略4%以上)、使用環境によ
り、結晶粒界上に固溶していたMgがβ′−Mg2Al3と
して析出してきて、応力腐食割れ(Stress Corrosion
Cracking:SCC)が発生し易くなり、SCCの恐れの
ある構造材では、通常は、Mg量を4%以下に規制され
ている。
化を迎えつつある現在、次のような新たな問題が顕在化
してきた。すなわち、Al−Mg系アルミニウム合金材で
は、Mg量が多くなると(概略4%以上)、使用環境によ
り、結晶粒界上に固溶していたMgがβ′−Mg2Al3と
して析出してきて、応力腐食割れ(Stress Corrosion
Cracking:SCC)が発生し易くなり、SCCの恐れの
ある構造材では、通常は、Mg量を4%以下に規制され
ている。
【0007】したがって、上記の高成形性の達成手段
及びと、耐食性の達成手段については、お互いに矛
盾する材料設計が要求されていた。
及びと、耐食性の達成手段については、お互いに矛
盾する材料設計が要求されていた。
【0008】本発明は、かゝる要請に応えるべくなされ
たものであって、その目的とするところは、Al−Mg系
アルミニウム合金材料において、強度と耐食性に優れた
高成形性Al−Mg系アルミニウム合金を提供し、並びに
その製造方法を提供することにある。
たものであって、その目的とするところは、Al−Mg系
アルミニウム合金材料において、強度と耐食性に優れた
高成形性Al−Mg系アルミニウム合金を提供し、並びに
その製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは、次の2点につき、鋭意研究開発に努
めた。
め、本発明者らは、次の2点につき、鋭意研究開発に努
めた。
【0010】(1)まず、耐食性を向上させるには、Mg量
を制限し、代わりに従来のジュラルミン系のAl−Cu−
Mg系合金でよく知られている固溶体→G.P.B.ゾーン
(T4状態)→S′−CuMgAl2(T6状態)の析出強化機
構を利用検討する。
を制限し、代わりに従来のジュラルミン系のAl−Cu−
Mg系合金でよく知られている固溶体→G.P.B.ゾーン
(T4状態)→S′−CuMgAl2(T6状態)の析出強化機
構を利用検討する。
【0011】(2)応力腐食割れは、結晶粒界と結晶粒内
との腐食電位の差により、電位的に卑な結晶粒界が優先
的に溶解するものであるから、粒内に析出し易い粒子を
検討し、粒界と粒内との電位差を小さくし、応力腐食割
れ感受性を低下させる。
との腐食電位の差により、電位的に卑な結晶粒界が優先
的に溶解するものであるから、粒内に析出し易い粒子を
検討し、粒界と粒内との電位差を小さくし、応力腐食割
れ感受性を低下させる。
【0012】その結果、Al−Mg系アルミニウム合金に
上記2点の効果を付与し、強度と耐食性に優れた高成形
性Al−Mg系アルミニウム合金を製造できる冶金学的手
段及び製造方法を見い出し、ここに発明をなしたもので
ある。
上記2点の効果を付与し、強度と耐食性に優れた高成形
性Al−Mg系アルミニウム合金を製造できる冶金学的手
段及び製造方法を見い出し、ここに発明をなしたもので
ある。
【0013】すなわち、本発明は、Mg:4〜6%及びC
u:0.04〜0.10%を含有し、更にZr:0.05〜0.
20%及びHf:0.05〜0.20%の少なくとも1種を
含有し、大きさ200〜500ÅのZr系或いはHr系金
属間化合物が分散粒子として体積分率で0.5〜2.0%
含まれていることを特徴とする強度かつ耐食性に優れた
高成形性Al−Mg系合金を要旨とするものである。
u:0.04〜0.10%を含有し、更にZr:0.05〜0.
20%及びHf:0.05〜0.20%の少なくとも1種を
含有し、大きさ200〜500ÅのZr系或いはHr系金
属間化合物が分散粒子として体積分率で0.5〜2.0%
含まれていることを特徴とする強度かつ耐食性に優れた
高成形性Al−Mg系合金を要旨とするものである。
【0014】また、その製造方法は、上記化学成分を有
するAl−Mg系合金につき、400〜550℃の温度で
均質化熱処理を施し、熱間圧延と冷間圧延を行った後、
軟質化焼鈍を施し、次いで30%以上の冷間圧延を行っ
た後、450〜550℃の温度で高温短時間の焼鈍を施
し、その後80〜1000℃/minの平均冷却速度で1
00℃以下まで冷却することを特徴とする強度かつ耐食
性に優れる高成形性Al−Mg系合金の製造方法を要旨と
するものである。
するAl−Mg系合金につき、400〜550℃の温度で
均質化熱処理を施し、熱間圧延と冷間圧延を行った後、
軟質化焼鈍を施し、次いで30%以上の冷間圧延を行っ
た後、450〜550℃の温度で高温短時間の焼鈍を施
し、その後80〜1000℃/minの平均冷却速度で1
00℃以下まで冷却することを特徴とする強度かつ耐食
性に優れる高成形性Al−Mg系合金の製造方法を要旨と
するものである。
【0015】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
【作用】まず、本発明におけるアルミニウム合金の化学
成分等の限定理由について説明する。
成分等の限定理由について説明する。
【0017】Mg:Mgはそれ自体の固溶体強化、及び後
述のCuと結合した時効析出物(G.P.Bゾーン或いは
S′−CuMgAl2)による析出硬化により強度を付与す
ると同時に、電位的に卑なS′−CuMgAl2が結晶粒界
に析出し、粒界と粒内との電位差を小さくし、応力腐食
割れ感受性を低下させる作用がある。しかし、4%未満
では十分な強度(少なくとも耐力110N/mm2程度)が
得られず、また6%を超えると、高い伸びは得られるも
のの、熱間圧延時に加工割れが発生し易く、製造が困難
になると共に、応力腐食割れ感受性が大きくなり、実用
に供しない。よって、Mg含有量は4〜6%の範囲とす
る。
述のCuと結合した時効析出物(G.P.Bゾーン或いは
S′−CuMgAl2)による析出硬化により強度を付与す
ると同時に、電位的に卑なS′−CuMgAl2が結晶粒界
に析出し、粒界と粒内との電位差を小さくし、応力腐食
割れ感受性を低下させる作用がある。しかし、4%未満
では十分な強度(少なくとも耐力110N/mm2程度)が
得られず、また6%を超えると、高い伸びは得られるも
のの、熱間圧延時に加工割れが発生し易く、製造が困難
になると共に、応力腐食割れ感受性が大きくなり、実用
に供しない。よって、Mg含有量は4〜6%の範囲とす
る。
【0018】Cu:Cuは時効析出物(G.P.Bゾーン或
いはS′−CuMgAl2)による析出硬化により強度を付
与すると同時に、応力腐食割れ感受性を低下させる作用
がある。しかし、0.04%未満では十分な強度と耐食
性が得られず、また0.10%を超えると、溶体化処理
後に過剰のS′−CuMgAl2が結晶粒内に析出し、一般
耐食性を損ねたり、鋳造時にCu2FeAl7が晶出し、伸
び、成形性が大きく低下する。よって、Cu含有量は0.
04〜0.10%の範囲とする。
いはS′−CuMgAl2)による析出硬化により強度を付
与すると同時に、応力腐食割れ感受性を低下させる作用
がある。しかし、0.04%未満では十分な強度と耐食
性が得られず、また0.10%を超えると、溶体化処理
後に過剰のS′−CuMgAl2が結晶粒内に析出し、一般
耐食性を損ねたり、鋳造時にCu2FeAl7が晶出し、伸
び、成形性が大きく低下する。よって、Cu含有量は0.
04〜0.10%の範囲とする。
【0019】Zr、Hf:Zr或いはHfは、鋳造後の均質
化熱処理時にAlと球状の金属間化合物(dispersoids)、
ZrAl3或いはHfAl3を成形し、一旦生成するとその後
のプロセスで熱を帯びても再固溶等が起こらず安定に存
在し、変形中に転移に切断されない形態(すなわち、直
径200Å以上)で存在すると、すべりの集中を妨げ、
他のすべり面でのすべりを誘発し、結果として材料全体
に均一な微細すべりを生じさせ、高い変形能を材料に付
与することができる。しかし、直径が500Åを超える
と、分散粒子の回りで応力集中によるマイクロボイド等
が発生し、伸びの低下を招く。このようなZrAl3或い
はHfAl3の最適分散状態は、直径が200〜500
Å、体積分率が0.5〜2.0%で実現することができ
る。そのためには、Zr量或いはHf量はそれぞれ0.0
5〜0.20%の範囲にする。なお、ZrとHfを複合添
加することができる。
化熱処理時にAlと球状の金属間化合物(dispersoids)、
ZrAl3或いはHfAl3を成形し、一旦生成するとその後
のプロセスで熱を帯びても再固溶等が起こらず安定に存
在し、変形中に転移に切断されない形態(すなわち、直
径200Å以上)で存在すると、すべりの集中を妨げ、
他のすべり面でのすべりを誘発し、結果として材料全体
に均一な微細すべりを生じさせ、高い変形能を材料に付
与することができる。しかし、直径が500Åを超える
と、分散粒子の回りで応力集中によるマイクロボイド等
が発生し、伸びの低下を招く。このようなZrAl3或い
はHfAl3の最適分散状態は、直径が200〜500
Å、体積分率が0.5〜2.0%で実現することができ
る。そのためには、Zr量或いはHf量はそれぞれ0.0
5〜0.20%の範囲にする。なお、ZrとHfを複合添
加することができる。
【0020】なお、Si、Feは元来不純物としてAl地
金に含有されるものであるが、多くなると成形性を劣化
させるので、Si量は0.15%以下、Fe量は0.20%
以下に規制するのが望ましい。また、Tiは鋳塊の組織
を微細化する効果があるため、0.005〜0.05%の
範囲で必要に応じて添加することができる。
金に含有されるものであるが、多くなると成形性を劣化
させるので、Si量は0.15%以下、Fe量は0.20%
以下に規制するのが望ましい。また、Tiは鋳塊の組織
を微細化する効果があるため、0.005〜0.05%の
範囲で必要に応じて添加することができる。
【0021】次に本発明の製造方法について説明する。
【0022】上記のとおり成分調整したAl−Mg系合金
は、常法により鋳造(通常はDC鋳造法)し、均質化熱処
理を施した後、熱間圧延を行う。
は、常法により鋳造(通常はDC鋳造法)し、均質化熱処
理を施した後、熱間圧延を行う。
【0023】但し、均質化熱処理温度は400℃以上で
ないと、材料中のMgのミクロ偏析の均一化、XAl
3(X=Zr或いはHf)の形成(=Zr或いはHfの拡散)、
鋳造中に晶出した不純物を核とする大きい金属間化合
物(晶出物、Constituents)の部分固溶、等が十分にで
きない。また、550℃以上ではバーニングが発生し易
い。したがって、均質化熱処理温度は400〜550℃
の範囲とする必要がある。
ないと、材料中のMgのミクロ偏析の均一化、XAl
3(X=Zr或いはHf)の形成(=Zr或いはHfの拡散)、
鋳造中に晶出した不純物を核とする大きい金属間化合
物(晶出物、Constituents)の部分固溶、等が十分にで
きない。また、550℃以上ではバーニングが発生し易
い。したがって、均質化熱処理温度は400〜550℃
の範囲とする必要がある。
【0024】なお、上記の目的のために、1段目:4
00℃(ZrAl3或いはHfAl3の微細析出)→2段目:5
00℃(ZrAl3或いはHfAl3のサイズの制御)の如く、
2段階で実施しても良い。また、熱間圧延は300〜5
00℃の温度で行うのが望ましい。
00℃(ZrAl3或いはHfAl3の微細析出)→2段目:5
00℃(ZrAl3或いはHfAl3のサイズの制御)の如く、
2段階で実施しても良い。また、熱間圧延は300〜5
00℃の温度で行うのが望ましい。
【0025】熱間圧延後、中間圧延、場合によっては焼
鈍との組み合わせで所定の板厚とし、軟質化焼鈍(通常
は350〜450℃)を施し、焼鈍材とする。
鈍との組み合わせで所定の板厚とし、軟質化焼鈍(通常
は350〜450℃)を施し、焼鈍材とする。
【0026】次いで、焼鈍材に対して30%以上の冷間
圧延を実施する。この場合、加工率が30%未満では最
終焼鈍(後述)時に再結晶の核成形が少なく、結果として
は結晶粒が粗大化し、成形加工時に肌荒れ(オレンジピ
ールの出現)を招き、表面品質を損ねるので好ましくな
い。
圧延を実施する。この場合、加工率が30%未満では最
終焼鈍(後述)時に再結晶の核成形が少なく、結果として
は結晶粒が粗大化し、成形加工時に肌荒れ(オレンジピ
ールの出現)を招き、表面品質を損ねるので好ましくな
い。
【0027】次に高温短時間焼鈍を450〜550℃の
温度で行う。450℃未満ではMg原子が十分固溶され
ず、伸びの低下やストレッチャー・ストレインの発生を
招き、また550℃を超える温度ではバーニングや結晶
粒の粗大化の点から好ましくない。したがって、加熱温
度は450〜550℃の範囲とする。なお、処理時間は
特に制限されないが、高温(500℃以上)では数秒〜6
0秒で十分であるが、低温ではより長時間が必要であ
る。
温度で行う。450℃未満ではMg原子が十分固溶され
ず、伸びの低下やストレッチャー・ストレインの発生を
招き、また550℃を超える温度ではバーニングや結晶
粒の粗大化の点から好ましくない。したがって、加熱温
度は450〜550℃の範囲とする。なお、処理時間は
特に制限されないが、高温(500℃以上)では数秒〜6
0秒で十分であるが、低温ではより長時間が必要であ
る。
【0028】高温短時間焼鈍後、80〜1000℃/mi
nの平均冷却速度で100℃以下まで冷却する。80℃
/min未満の冷却速度ではMg原子の固溶状態を十分に凍
結できず、ストレッチャー・ストレインの発生や伸びの
低下を招き、また、1000℃/minを超える冷却速度
(例えば、水冷等の数千℃/min)は焼入れ状態となり、
Mgの結晶粒界への拡散→Mg2Al3の析出を招き、応力
腐食割れの発生要因となるので避けるべきである。
nの平均冷却速度で100℃以下まで冷却する。80℃
/min未満の冷却速度ではMg原子の固溶状態を十分に凍
結できず、ストレッチャー・ストレインの発生や伸びの
低下を招き、また、1000℃/minを超える冷却速度
(例えば、水冷等の数千℃/min)は焼入れ状態となり、
Mgの結晶粒界への拡散→Mg2Al3の析出を招き、応力
腐食割れの発生要因となるので避けるべきである。
【0029】このようにして得られるAl−Mg系合金材
料は、高い強度と成形性に優れ、特に高い伸びを有する
ので、成形加工時にかなり複雑な加工が可能であり、し
かもストレッチャー・ストレインマークの発生もなく、
良好な表面品質を得ることができる。更に、耐応力腐食
割れ性にも優れる。
料は、高い強度と成形性に優れ、特に高い伸びを有する
ので、成形加工時にかなり複雑な加工が可能であり、し
かもストレッチャー・ストレインマークの発生もなく、
良好な表面品質を得ることができる。更に、耐応力腐食
割れ性にも優れる。
【0030】次に本発明の実施例を示す。
【0031】
【表1】 に示す化学成分(wt%)を有するAl合金鋳塊(厚さ50m
m)を面削し、均質化熱処理を施した後、300〜500
℃の温度で熱間圧延を行い、厚さ6mmの熱延板とした。
その後、400℃×2hrの焼鈍(荒焼鈍)を実施し、厚さ
1.3〜2mmの板に冷間圧延し、次いで400℃×2hr
の中間焼鈍を実施し、軟質材とした。更に、
m)を面削し、均質化熱処理を施した後、300〜500
℃の温度で熱間圧延を行い、厚さ6mmの熱延板とした。
その後、400℃×2hrの焼鈍(荒焼鈍)を実施し、厚さ
1.3〜2mmの板に冷間圧延し、次いで400℃×2hr
の中間焼鈍を実施し、軟質材とした。更に、
【表2】 に示す条件で仕上冷延を行い、最終板厚1.0mmの板材
とし、高温短時間の加熱処理を施し、供試材とした。
とし、高温短時間の加熱処理を施し、供試材とした。
【0032】供試材からJIS5号試験片を作製し、機
械的性質、ストレッチャー・ストレインマーク及び肌荒
れ状況を調べた結果を
械的性質、ストレッチャー・ストレインマーク及び肌荒
れ状況を調べた結果を
【表3】 に示す。また、曲げ半径15mmのU字曲げ試験片を作製
し、3.5%NaCl水溶液中の通電試験により1000
分間の試験を行い、応力腐食割れ試験を行った。その結
果も表3に示す。
し、3.5%NaCl水溶液中の通電試験により1000
分間の試験を行い、応力腐食割れ試験を行った。その結
果も表3に示す。
【0033】表2より明らかなように、本発明例はいず
れも、高い強度及び伸びを有すると共にストレッチャー
・ストレインマークが発生せず、肌荒れ発生も認められ
ない。また応力腐食割れの発生もなかった。一方、比較
例はいずれも、高い伸び或いは耐食性が得られていな
い。
れも、高い強度及び伸びを有すると共にストレッチャー
・ストレインマークが発生せず、肌荒れ発生も認められ
ない。また応力腐食割れの発生もなかった。一方、比較
例はいずれも、高い伸び或いは耐食性が得られていな
い。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
成形加工性の重要な1つの指標となる高い伸びを有する
高成形性と更に高耐食性のAl−Mg系アルミニウム合金
材料が得られ、しかも工業的製造が容易である。
成形加工性の重要な1つの指標となる高い伸びを有する
高成形性と更に高耐食性のAl−Mg系アルミニウム合金
材料が得られ、しかも工業的製造が容易である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、Mg:4〜6%及
びCu:0.04〜0.10%を含有し、更にZr:0.05
〜0.20%及びHf:0.05〜0.20%の少なくとも
1種を含有し、大きさ200〜500ÅのZr系或いは
Hr系金属間化合物が分散粒子として体積分率で0.5〜
2.0%含まれていることを特徴とする強度かつ耐食性
に優れた高成形性Al−Mg系合金。 - 【請求項2】 請求項1に記載の化学成分を有するAl
−Mg系合金につき、400〜550℃の温度で均質化
熱処理を施し、熱間圧延と冷間圧延を行った後、軟質化
焼鈍を施し、次いで30%以上の冷間圧延を行った後、
450〜550℃の温度で高温短時間の焼鈍を施し、そ
の後80〜1000℃/minの平均冷却速度で100℃
以下まで冷却することを特徴とする強度かつ耐食性に優
れる高成形性Al−Mg系合金の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26881491A JPH0578772A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26881491A JPH0578772A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及び製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0578772A true JPH0578772A (ja) | 1993-03-30 |
Family
ID=17463628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26881491A Pending JPH0578772A (ja) | 1991-09-20 | 1991-09-20 | 強度かつ耐食性に優れる高成形性Al−Mg系合金及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0578772A (ja) |
-
1991
- 1991-09-20 JP JP26881491A patent/JPH0578772A/ja active Pending
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