JPH0575543U - 車両用エンジンのマウント装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジン１のシリンダブロック２から突出す
るブラケットアーム部材７の先端部を、インシュレータ
９を介して車体フレーム１０に対して取付ける場合に、
前記ブラケットアーム部材７の先端部の振動に起因する
騒音を、ヘッドガスケット３のシール性を損なうことな
く低減する。 【構成】 前記ブラケットアーム部材７の先端部とシリ
ンダヘッド４との間に、薄い板ばね製の板状ステー１１
を装架する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、車両に搭載されるエンジンの上部を、車両における車体フレームに 対して支持するためのマウント装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術と考案が解決しようとする課題】

従来、この種のマウント装置は、例えば、実開昭６３−９５９２８号公報及び 実開昭６０−６４１２６号公報等に記載されているように、エンジンにおけるシ リンダブロック側からマウント用のブラケットアーム部材をエンジンにおけるシ リンダヘッドの方向に突出し、該ブラケットアーム部材の先端部を、インシュレ ータ等の防振ゴムを介して車体フレームに対して取付けるようにしている。

【０００３】 しかし、車両及びこれに搭載するエンジンの構造によっては、エンジンにおけ るシリンダブロック側から突出するブラケットアーム部材を長くしなければなら ない場合があり、このようにブラケットアーム部材をエンジン側から長く突出し た場合には、当該ブラケットアーム部材における剛性が低下することにより、こ のブラケットアーム部材の先端部における振動が大きくなり、比較的低い周波数 域において共振し、この共振によって騒音が大きくなると言う問題がある。

【０００４】 そこで、この問題を解消するために、前記実開昭６０−６４１２６号公報は、 シリンダブロック側からシリンダヘッド側の方向に突出したブラケットアーム部 材の先端部と、シリンダヘッドとの間を、別の棒状部材を介して連結するように している。 しかし、シリンダブロック側から突出したブラケットアーム部材の先端部と、 シリンダヘッドとの間を棒状部材にて連結するように構成することは、基端がシ リンダブロック側に取付くブラケットアーム部材の先端部とシリンダヘッドとの 間の寸法に、大きい寸法のバラツキが存在するから、前記棒状部材の長さは、一 々現物合わせにしなければならず、当該棒状部材による連結に多大の手数を必要 としてコストが可成りアップすると言う問題がある。

【０００５】 しかも、シリンダブロック側から突出したブラケットアーム部材の先端部と、 シリンダヘッドとの間を棒状部材にて連結する構成にすると、エンジンが、車両 の走行中に路面に対して衝突する等してシリンダブロック側に大きい衝撃力が作 用したとき、この大きい衝撃力が前記棒状部材を介してシリンダヘッド側に伝わ ることにより、シリンダブロックの上面とシリンダヘッドの下面との間に介挿し たシール用ヘッドガスケットに悪影響を及ぼして、そのシール性を低下すると言 う問題が発生する。

【０００６】 特に、このヘッドガスケットにおけるシール性の低下は、ブラケットアーム部 材の先端部とシリンダヘッドとの間を棒状部材にて連結する場合における前記寸 法のバラツキによって一層増大するのである。 本考案は、エンジンマウント用のブラケットアーム部材を、シリンダブロック 側からシリンダヘッドの方向に突出した場合において、当該ブラケットアーム部 材の先端部における振動を、コストの増大及びヘッドガスケットにおけるシール 性の低下を招来することなく、確実に低減できるようにすることを技術的課題と するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

この技術的課題を達成するため本考案は、エンジンマウント用のブラケットア ーム部材を、エンジンにおけるシリンダブロック側からシリンダヘッドの方向に 突出し、該ブラケットアーム部材の先端部を、インシュレータ等の防振ゴムを介 して車体フレーム側に取付けて成るマウント装置において、前記ブラケットアー ム部材の先端部と、前記シリンダヘッドとの間に、薄い板ばね製の板状ステーを 装架する構成にした。

【０００８】

【作 用】

このように、マウント用ブラケットアーム部材の先端部と、シリンダヘッドと の間に、薄い板ばね製の板状ステーを装架することにより、前記ブラケットアー ム部材の先端部における共振点を、前記薄い板ばね製の板状ステーのために高い 周波数域に移行することができる。

【０００９】 また、前記ブラケットアーム部材の先端部とシリンダヘッドとの間における寸 法のバラツキを、前記薄い板ばね製の板状ステーにおける弾性変形によって調節 することができる一方、エンジンが車両の走行中に路面に対して衝突する等して シリンダブロック側に大きい衝撃力が作用した場合に、この大きい衝撃力がシリ ンダヘッド側に伝わることを、前記薄い板ばね製の板状ステーにおける弾性変形 によって緩衝することができるのである。

【００１０】

【考案の効果】

従って、本考案によると、マウント用ブラケットアーム部材における先端部の 振動によって発生する騒音を大幅に低減できるのであり、しかも、前記ブラケッ トアーム部材の先端部をシリンダヘッド側に連結することに要するコストを大幅 に低減できる共に、ヘッドガスケットにおけるシール性が低下することを確実に 回避できる効果を有する。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面について説明する。 図において符号１は、シリンダブロック２の上面にシール用のヘッドガスケッ ト３を挟んでシリンダヘッド４を締結し、このシリンダヘッド４の上面にヘッド カバー５を取付けて成る車両用のエンジンを示し、このエンジン１のシリンダヘ ッド４における一方の長手側面４ａには、排気マニホールド６（又は、吸気マニ ホールド）が取付けられている。

【００１２】 符号７は、マウント用のブラケットアーム部材を示し、該ブラケットアーム部 材７は、その下端の基端部が前記シリンダブロック２における一方の長手側面に 対して複数本のボルト８にて締結され、その上端部が前記排気マニホールド６の 外側の通って上向きに延びるように構成されている。 そして、このブラケットアーム７における先端部は、インシュレータ９等の防 振ゴムを介して車体フレーム１０に連結されている。

【００１３】 符号１１は、板厚さｔを１．６ｍｍ、幅寸法Ｗを９ｍｍにした薄い板ばね製の 板状ステーを示し、この板状ステー１１を、その両端部に折り曲げ片１１ａ，１ １ｂを形成して、前記シリンダヘッド４における一方の長手側面と前記ブラケア ーム７の先端部との間に挿入したのち、その両端における折り曲げ片１１ａ，１ １ｂを、シリンダヘッド４及びブラケットアーム７の各々にボルト１２，１３に て締結する。

【００１４】 このように、マウント用ブラケットアーム部材７の先端部と、シリンダヘッド ４との間に、薄い板ばね製の板状ステー１１を装架することにより、前記ブラケ ットアーム部材７の先端部における共振点を、前記薄い板ばね製の板状ステー１ １のために高い周波数域に移行することができる。 また、前記板状ステー１１は、前記のように、板厚さｔを１．６ｍｍ、幅寸法 Ｗを９ｍｍにした薄い板ばね製であることにより、ブラケットアーム部材７の先 端部とシリンダヘッド４との間における寸法のバラツキを、当該板状ステー１１ における弾性変形によって調節することができる一方、エンジン１が車両の走行 中に路面に対して衝突する等してシリンダブロック２側に大きい衝撃力が作用し た場合に、この大きい衝撃力がシリンダヘッド４側に伝わることを、前記薄い板 ばね製の板状ステー１１における弾性変形によって緩衝することができる。

【００１５】 なお、前記板状ステー１１を、シリンダヘッド４とブラケットアーム７との間 に装架するに際しては、この装架前における板状ステー１１を、図３に二点鎖線 で示す装架時における形状よりも大きい角度に予め屈曲しておいて、これをその 弾性に抗して変形しながらシリンダヘッド４とブラケットアーム７との間に装架 するように構成する等して、ブラケットアーム７の先端部に対して、これをシリ ンダヘッド４側の方向に付勢するとか、或いはシリンダヘッド４から離れる方向 に付勢するばね力を付与するようにしても良いのであり、また、図４に示すよう に、板状ステー１１を、その長手方向の途中に湾曲部１１ｃを設けた形態に構成 しても良いのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す正面図である。

【図２】本考案の実施例を示す斜視図である。

【図３】分解した状態の正面図である。

【図４】板状ステーの別例を示す図である。

【符号の説明】

１ エンジン ２ シリンダブロック ３ ヘッドガスケット ４ シリンダヘッド ６ 排気マニホールド ７ ブラケットアーム ９ インシュレータ １０ 車体フレーム １１ 板状ステー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンマウント用のブラケットアーム部
   材を、エンジンにおけるシリンダブロック側からシリン
   ダヘッドの方向に突出し、該ブラケットアーム部材の先
   端部を、インシュレータ等の防振ゴムを介して車体フレ
   ーム側に取付けて成るマウント装置において、前記ブラ
   ケットアーム部材の先端部と、前記シリンダヘッドとの
   間に、薄い板ばね製の板状ステーを装架したことを特徴
   とする車両用エンジンのマウント装置。