JPH057197B2 - - Google Patents

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JPH057197B2
JPH057197B2 JP59136969A JP13696984A JPH057197B2 JP H057197 B2 JPH057197 B2 JP H057197B2 JP 59136969 A JP59136969 A JP 59136969A JP 13696984 A JP13696984 A JP 13696984A JP H057197 B2 JPH057197 B2 JP H057197B2
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JP
Japan
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heat
protective layer
resistant protective
metal salt
composition
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JP59136969A
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Mineo Yamauchi
Masanori Akata
Masaki Kutsukake
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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    • B41M5/44Intermediate, backcoat, or covering layers characterised by the macromolecular compounds

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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本考案は、耐熱保護層形成用組成物に関し、さ
らに詳しくは、熱転写シートなどの背面に設けら
れる耐熱保護層を形成するのに特に適した組成物
に関する。 〔発明の技術的背景ならびにその問題点〕 サーマルヘツドにより画像情報に応じて画像を
得るには、従来、主として感熱発色紙が用いられ
てきた。これらの感熱発色紙は、基紙上に設けら
れた常温で無色または炎色のロイコ染料と顕色剤
(例えばビスフエノールA)とが加熱時に接触反
応して発色画像が得られる。 ところが、上記のような感熱発色紙は、得られ
た画像を長期間保存すると消色してきたり、非画
像部が発色してきたりするという致命的な欠点が
ある。またカラー印字は2色までが限界であつて
連続的な階調を有するカラー画像を得ることは不
可能であつた。 一方、上記のような欠点を改良する記録方法と
して、シート状基体に、顔料または染料が分散さ
れてなる熱融解性ワツクス層を設けた熱融解転写
シートあるいは熱移行性染料がバインダー中に含
有された熱昇華転写層を設けた熱昇華転写シート
が近年用いられ始められている。 この熱融解転写シートと被転写シートとを重ね
合せて、熱転写シートの背面から加熱印字を行な
うと、顔料または染料が含まれた熱融解性ワツク
ス層が被熱転写シート上に移行して画像が得られ
る。このような印字方法によれば、感熱発色シー
トよりも耐久性のある画像が得られるとともに、
三原色の顔料または染料が含まれた熱転写シート
を順次印字することにより、多色画像が得られ
る。 一方、熱昇華転写シートは、熱移行性の染料が
含有されたバインダー層をシート状基体上に設け
て形成され、得られた熱転写シートと被転写シー
トとを重ね合せて、熱転写シートの背面から加熱
印字を行なうと、バインダー層中の染料のみが熱
昇華して被転写シート上に移行して画像が得られ
る。この印字方法によつても三原色の熱移行性染
料が含まれた熱昇華転写シートを順次印字するこ
とにより多色画像が得られる。 ところで近年、電気信号から直接カラー写真の
ような連続階調を有する画像を得たいという要求
が高まり種々の試みがなされている。 これらの試みの1つとして、CRT画面上から
直接銀塩カラー写真を得る方法がある。この方法
は、ランニングコストがかさむこと、また35mmフ
イルムである場合には撮影後現像処理が必要なた
め、即時性がないなどの欠点がある。 さらに別の方法として、インパクトリボン方式
あるいはインクジエツト方式も提案されている
が、画質が悪く画像処理が必要であり簡便には写
真のような画像を得ることができない欠点があ
る。 このような欠点を解決するため、前記した熱昇
華転写シートによる記録を行なうという試みがな
されている。この熱昇華転写シートを用いる方法
では、熱昇華転写層中の熱移行性染料が、熱転写
シートに加えられる熱エネルギー量に応じて被転
写シートに移行するという特徴があるため、連続
的な階調を有する画像が得られ、かつテレビ信号
から簡単な処理で記録が可能である。 このような熱転写シートの基体としてはコンデ
ンサーペーパー、ポリエステルフイルム、ポリプ
ロピレンフイルム、セロフアンおよびセルロース
アセテートフイルムなどが従来用いられており、
厚みとしては、10μ前後のものが使用されてい
る。 これら基体のうち、価格の面からはコンデンサ
ーペーパーが選択されるが、塗布加工時の破断防
止、プリンター内での操作の容易さおよび厚みの
均一性、表面の平滑性などの面を重視するなら
ば、プラスチツクフイルムが用いられ、プラスチ
ツクフイルムのうちで特に薄葉紙での強度などの
点でポリエステルフイルムが好ましく用いられて
きた。 ところで、このポリエステルフイルム上に、熱
昇華染料がバインダー中に含有されてなる熱昇華
転写層を設けて、該フイルムの熱昇華転写層の設
けられていない裏面からサーマルヘツドで加熱印
字を行なつた場合、充分な印字濃度を有する画像
を得るのに必要なエネルギーを該フイルム裏面に
加えると、基体シート自身がサーマルヘツドと融
着してしまう、いわゆるステイツキング現像が認
められ、熱転写シートが走行不能となつたり、著
しい場合にはその部分からシートが破断してしま
う。 これらの問題点を解決するため、熱融解転写シ
ートにおいては、基材シートの裏面に耐熱保護層
を設ける試みがいくつか提案されている。その例
をいくつか示すと、ベースの裏面に金属層あるい
は耐摩耗層として酸化ケイ素層を設ける方法(特
開昭54−143152号公報、特開昭57−74195号公
報)、シリコーンあるいはエポキシなどの耐熱樹
脂層を設ける方法(特開昭57−7467号公報)、常
温で固体または半固体の界面活性剤などを添加し
た樹脂層を設ける方法(特開昭57−12978号公報)
あるいは滑性無機顔料を耐熱性樹脂中に含有させ
た層を設ける方法(特開昭56−155794号公報)な
どが提案されている。 これらの熱融解転写シートで提案された耐熱保
護層を熱昇華転写シートの裏面に約3μ程度の膜
厚に設けてサーマルヘツドを用いて印字したとこ
ろ、いずれの場合においてもステイツキング現像
が認められ充分に保護層としての機能を果し得な
かつた。 この原因としては、上記の熱融解転写シートに
おける耐熱保護層は、あくまでも熱融解転写シー
トを対象にしており、この熱融解転写記録に必要
な熱エネルギーと、昇華性染料を用いた熱昇華記
録において充分な記録濃度を得るための熱エネル
ギーとを比較すると、熱昇華記録の場合には熱融
解転写記録の場合よりも約1.5倍以上の高いエネ
ルギーを必要とするという事実が挙げられる。 本発明者らは、これらの問題点を解決するため
さらに熱昇華転写シートなどにも用いうる耐熱性
樹脂ならびに該樹脂中に滑性な物質を添加した系
などを種々検討し、以下のような、傾向を見い出
した。 蒸着などの高価格になる工程ではなく、コーテ
イングなどの製造工程によつて、耐熱保護層が設
けられた熱昇華転写シートを製造するには、耐熱
性を備えた樹脂をベースとして用いることが必要
である。また6〜10μ程度のポリエステルフイル
ムに対して熱感度を劣化させないためには耐熱保
護層は約0.5〜3μの厚みが適当であり、この範囲
の厚みで、サーマルヘツドの熱転写シート上での
走行を可能にするためには、何らかの滑性物質を
前記樹脂ベースに添加することが必要である。し
かしこれらの活性物質としてタルク、雲母などの
従来公知の無機物質を多量に樹脂ベースに添加し
て耐熱保護層を形成すると、走行がなめらかでな
く、ベタ部がザラついたり、さらにはサーマルヘ
ツドにこの無機物が付着することがある。 また、熱転写シートは一般に巻取つて保存され
るため、熱転写シートの熱転写層と基材シート背
面とが接する。ところが基材シートの背面には前
述のように耐熱保護層が設けられているため、従
来既知の耐熱保護層では、熱転写層中に存在する
染料が耐熱保護層中に移行するという重大な問題
点が生じていた。 さらに、ある種の熱転写シートでは、熱転写シ
ートを印字移送装置などにより移送される際に、
熱転写シートと該装置内のロールなどとが付着す
ることがあり、熱転写シートの走行性が問題とな
ることがあつた。 本発明者らは、これらの実験事実を踏まえて、
さらに研究した結果、特定の成分からなる耐熱保
護層形成用組成物を熱転写シート背面に設け耐熱
保護層を形成することによつて、上記の問題点が
一挙に解決されることを見い出した。 〔発明の目的ならびにその概要〕 本発明は、上記のような従来技術に伴なう問題
点を解決しようとするものであつて、以下のよう
な目的を有する。 (a) サーマルヘツドなどによりかなりの高温に加
熱されても、サーマルヘツドなどと付着するこ
とがなく、したがつてサーマルヘツドなどの走
行性が妨げられることのない耐熱保護層を形成
するのに適した耐熱保護層形成用組成物を提案
すること。 (b) 耐熱保護層と熱転写シートの熱転写層とが接
しても、熱転写層中の染料が耐熱保護層中に移
行することがないような耐熱保護層を形成しう
る耐熱保護層形成用組成物を提供すること。 (c) 耐熱保護層が設けられた熱転写シートなど
を、印字移送装置などにより移送される際に、
該装置のロールと熱転写シートなどが付着する
ことがないような耐熱保護層を形成しうる耐熱
保護層形成用組成物を提供すること。 以上のような目的を達成しうる本発明に係る耐
熱保護層形成組成物は、(イ)ポリビニルブチラール
と、(ロ)イソシアネート類と、(ハ)リン酸エステルの
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含ん
でいることを特徴としている。 また本発明に係る別の態様の耐熱保護層形成用
組成物は、上記(イ)〜(ハ)の成分に加えて(ニ)充填剤を
含むことを特徴としている。 さらにまた、本発明に係るさらに別の態様の耐
熱保護層形成用組成物は、上記(イ)〜(ニ)の成分に加
えてさらに(ホ)塩形態にないリン酸エステルを含む
ことを特徴としている。 〔発明の具体的説明〕 以下に本発明に係る耐熱保護層形成用組成物
を、熱転写シートの背面に塗布して耐熱保護層を
形成する場合について詳細に説明するが、本発明
に係る耐熱保護層形成用組成物は、熱転写シート
の背面に塗布される場合に限らず、適度の耐熱性
が要求される物品の表面に広く適用しうる。 本発明に係る耐熱保護層形成用組成物は、熱転
写シート1を形成する際に特に好ましく用いら
れ、この熱転写シート1は、基体シート2の一面
に熱転写層3が設けられており、その熱転写層が
設けられていない面に耐熱保護層形成用組成物が
塗布されて耐熱保護層4が設けられている。 基体シート2としては、ポリエステルフイル
ム、ポリスチレンフイルム、ポリサルフオンフイ
ルム、ポリビニルアルコールフイルム、セロフア
ンなどのフイルムが用いられ、特に、耐熱性の点
からポリエステルフイルムが好ましい。その厚み
は、0.5〜50μm、好ましくは、3〜10μmである
ことが望ましい。 熱転写層3としては、昇華性の染料がバインダ
ー樹脂中に含有されてなる熱昇華転写層であつて
もよく、また染料または顔料がワツクス中に分散
されてなる熱融解転写層であつてもよい。 熱昇華転写層3は、昇華性の染料がバインダー
樹脂中に含有されて、この層の厚みとしては、
0.2〜5.0μm、好ましくは0.4〜2.0μm程度であるこ
とが望ましい。 昇華転写層3に含まれる染料としては、分散染
料であることが望ましく、この染料は約150〜400
程度の分子量を有することが望ましい。この染料
は、熱昇華温度、色相、耐候性、バインダー樹脂
中での安定性などを考慮して選択され、具体的に
は次のようなものが例示される。 Miketon Polyester Yellow−YL(三井東圧
製、C.I.Disperse Yellow−42)、Kayaset
Yellow−G(日本化薬製、C.I.Dispwerse
Yellow77)、PTY−52(三菱化成製、C.I.Solvent
Yellow14−1)、Miketon Polyester Red BSF
(三井東圧製、C.I.Disperse Red 111)、Kayaset
Red B(日本化薬製、C.I.Disperse Red B)、
PTR−54(三菱化成製、C.I.Disperse Red 50)、
Miketon Polyester Blue FBL(三井東圧製、C.
I.Disperse Blue 56)、PTB−67(三菱化成製、C.
I.Disperse Blue 241)、Kayaset Blue 906(日本
化薬製、C.I.Solvent 112)などである。 染料の昇華温度、発色した状態でのカバリング
パワーの大小にもよるが、染料は転写層中に通常
5〜70重量%好ましくは10〜60重量%程度の量で
存在する。 バインダー樹脂としては、通常耐熱性が高く、
しかも加熱された場合に染料の移行を妨げないも
のが選択され例えば以下のようなものが用いられ
る。 (1) セルロース系樹脂 エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セル
ロース、酢酪酸セルロースなど。 (2) ビニル系樹脂 ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ
エステル、ポリアクリルアミドなど。 このような熱転写層3を基材シート2上に設け
るには、溶剤に染料およびバインダー樹脂を溶解
するかあるいは染料だけは分散状態にして昇華転
写層形成用インキ組成物を調製し、これを適当な
印刷方法あるいは塗布方法により基材シート2上
に設けられば良い。なお、必要に応じて、昇華転
写層形成用インキには任意の添加剤を加えても良
い。 一方熱融解転写層3のバインダーは、カルナバ
ウワツクス、パラフインワツクス、アシドワツク
スあるいは適当な合成バインダーが用いられ、色
材としては、染料または顔料が用いられる。色材
は通常バインダーの5〜30%重量部に相当する量
で添加される。 耐熱保護層4は、第1の態様においては、(イ)ポ
リビニルブチラールと、(ロ)イソシアネート類と、
(ハ)リン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩とを含む耐熱保護層形成用組成物を
加熱して、ポリビニルブチラールとイソシアネー
ト類とを反応硬化させて形成されている。 また、第2の態様においては、上記(イ)〜(ハ)の成
分に加えて(ハ)充填剤が含まれた耐熱保護層形成用
組成物を用いて同様に形成されている。 さらにまた、第3の態様においては、上記(イ)〜
(ニ)の成分に加えて、(ホ)塩形態になりリン酸エステ
ルがさらに含まれた耐熱保護層形成用組成物を用
いて同様に形成されている。 ポリビニルブチラールは、イソシアネート類と
反応して耐熱性の良好な樹脂を形成する。ポリビ
ニルブチラールとしては、できるだけ高分子量で
ありかつイソシアネート類との反応サイトである
−OH基を多く含有するものが好ましい。特に好
ましいのは、ポリビニルブチラールのうち、分子
量が60000〜200000ガラス転移温度が60〜110℃、
含有するビニルアルコール部分の重量%が15〜40
%であるものである。 上記耐熱保護層を形成する際に用いられるイソ
シアネート類としては、ジイソシアネート、トリ
イソシアネートなどのポリイソシアネートが挙げ
られ、これらは単独でまたは混合して用いられ
る。具体的には、次のような化合物が例示され
る。パラフエニレンジイソシアネート、1−クロ
ロ−2,4−フエニルジイソシアネート、2−ク
ロロ−1,4−フエニルジイソシアネート、2,
4−トリエンジイソシアネート、2,6−トルエ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、4,4′−ビフエニレンジイソシアネー
ト、トリフエニルメタントリイソシアネート、
4,4′,4″−トリメチル−3,3′,2′−トリイソ
シアネート−2,4,6−トリフエニルシアヌレ
ートなど。 ポリビニルブチラールに対してイソシアネート
類は、通常1〜100重量%好ましくは、5〜60重
量%程度の量で用いられる。 リン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩は、耐熱保護層に滑性を与える働き
をしており、東邦化学製のガフアツクRD720な
どが用いられる。このリン酸エステルのアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩は、ポリビニル
ブチラールに対して1〜50重量%、好ましくは10
〜40重量%の量で用いられる。リン酸エステルの
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、バ
インダー中に分子状に溶解した状態で滑材として
添加した場合と比較して、印字部におけるザラつ
きが生じないという利点がある。 リン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩としては、リン酸エステルのナトリ
ウム塩が特に好ましく、その一例は以下の一般式
で示される。 (式中、Rは炭素数8〜30のアルキル基または
アルキルフエニル基であり、nは酸化エチレンの
平均付加モル数である。) リン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩は、対応するリン酸エステル(塩で
はないもの)と比較すると、前者が水に溶解させ
た場合にPH5〜7を示し、後者はPH2.5以下を示
すことからわかるように、対応するリン酸エステ
ルよりも酸性度が弱い。ところで、前述のように
ポリビニルブチラールとイソシアネート類とは反
応して耐熱保護層のベースを形成しているが、こ
の反応は強い酸性領域では進行しにくく、反応に
時間がかかるとともに、架橋度自体も低くなつて
しまう。したがつて、ポリビニルブチラールとイ
ソシアネート類との反応系に、リン酸エステル
(塩形態ではない)を添加した場合には、両者の
反応には著しく長時間を要し、しかも得られる反
応物の架橋度は低いものとならざるを得ない。こ
れに対して、ポリビニルブチラールとイソシアネ
ート類との反応系に、リン酸エステルのアルカリ
金属塩またはアルカリ土類金属塩を添加した場合
には、両者の反応が速やかに進行し、しかも架橋
度も大きいものが得られる。このため、ポリビニ
ルブチラールとイソシアネート類との反応系にリ
ン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカリ土
類金属塩を添加して得られた耐熱保護層を有する
熱転写シートは、巻取つて保存しても、熱転写層
中の染料が耐熱保護層中に移行することがないと
考えられる。 また、リン酸エステルのアルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩を耐熱保護層中で滑性付与剤
として用いると、熱転写層と耐熱保護層とが密接
しても、リン酸エステルのアルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩は熱転写層に全く移行せず、
熱転写層の汚染も認められないという利点もあ
る。 充填剤としては、クレー、ゼオライト、タル
ク、アルミノシリケート、炭酸カルシウム、テフ
ロンパウダー、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグ
ネシウム、シリカ、カーボン、ベンゾグアナミン
とホルムアルデヒドとの縮合物などの無機あるい
は耐熱性を有する有機充填剤が用いられうる。 この充填剤の平均粒径は、3μm以下望ましくは
0.1〜2μmであることが好ましい。また、充填剤
は、ポリビニルブチラールに対して、0.1〜25重
量%好ましくは1.0〜10重量%の量で用いられる。 このような充填剤を耐熱保護層中に用いること
によつて、サーマルヘツドと熱転写シートとの融
着が少なくなり、いわゆるステイツキング現象が
全く認められなくなる。 耐熱保護層4を基材シート2上に設けるには、
上記の成分を適当な溶剤に溶解して耐熱保護層形
成用インキとして、これを適切な印刷方法、塗布
方法により基材シート2上に形成し、次いで30〜
80℃の温度に加熱することによつて、乾燥すると
ともにポリビニルブチラールとイソシアネート類
とを反応させて耐熱性保護膜を形成すればよい。 この際、充填剤を予めリン酸エステルのアルカ
リ金属塩またはアルカリ土類金属塩によつて混練
して、充填剤混練分散組成物を調製しておくこと
が好ましい。 耐熱保護層4は0.5〜5μm、好ましくは、1〜
2μmの膜厚を有することが好ましい。この膜厚が
0.5μmより薄い場合は、耐熱保護層としての効果
が充分ではなく、また5μmより厚い場合は、昇華
転写層へのサーマルヘツドからの熱伝達が悪くな
り印字濃度が低くなるという欠点が生じる。 上記のように、耐熱保護層を(イ)ポリビニルブチ
ラールと(ロ)イソシアネート類と、(ハ)リン酸エステ
ルのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩お
よび必要によつて(ニ)充填剤により形成することに
よつて、充分優れた性能を有する耐熱保護層が得
られるが、場合によつては、このような耐熱保護
層を有する熱転写シートをたとえば印字移送装置
などの内部で移送させる際に、熱転写シートに加
わる張力あるいはサーマルヘツドの印字圧によつ
ては、熱転写シートの移送性に問題が生ずること
がある。このような場合には、耐熱保護層中に、
上記(イ)、(ロ)、(ハ)および(ニ)の成分に加えて、(ホ)
塩形
態にないリン酸エステルを添加することが好まし
い。塩形態にないリン酸エステルとしては、前述
のリン酸エステルのアルカリ金属塩またはアルカ
リ土類金属塩で示されたリン酸エステルの塩形態
にないものが用いられ、具体的には、第1工業製
薬製のプライサーフA2085、東邦化学製の
GAFACRS710などが用いられうる。 このような塩形態にないリン酸エステルは、ポ
リビニルブチラールに対して、1〜50重量%好ま
しくは1〜30重量%の量で用いられる。50重量%
を超える場合には、積み重ねたり巻取つた状態で
保存する際に、熱転写層中の染料または顔料特に
染料が耐熱保護層中に移行するため好ましくな
い。 耐熱保護層形成用組成物は、主として以上の成
分より構成にされるが、該組成物中に巻取り状態
でのブロツキングを防止するために、微量のタル
ク、シリカ、炭カル、テフロンパウダーなどの粒
状物質を添加しても良い。また、該組成物中に、
ポリビニルブチラールに対して1重量%程度のシ
リコーンオイルを添加することもできる。 なお、基材シート2上に転写層3および耐熱保
護層4を設ける順序は、ポリビニルブチラールと
イソシアネートとの反応を促進するために加熱す
ることが好ましく、この加熱に際して転写層に熱
の影響が及ぼされないようにするためには、耐熱
保護層4を基材シート2上に設けた後に、次いで
転写層3を設けることが好ましい。 〔発明の効果〕 本発明に係る耐熱保護層形成用組成物は、上記
のような特定成分を含んで形成されているため、
この組成物により形成された耐熱保護層は、次の
ような効果を有する。 (a) サーマルヘツドなどによりかなりの高温に加
熱されても、耐熱保護層とサーマルヘツドとが
付着することがなく、したがつてサーマルヘツ
ドの走行が妨げられることがない。 (b) 耐熱保護層と熱転写シートの熱転写層とが接
しても、熱転写層中の染料が耐熱保護層中に移
行することがない。 (c) 耐熱保護層と移行ロールとが接触しても、耐
熱保護層が移送ロールに付着することがない。 以下本発明を実施例により説明するが、本発明
はこれら実施例に限定されるものではない。 炭酸カルシウム(白艶華DD、白石カルシウム
製)40部とリン酸エステルのナトリウム塩
(GAFAC RD720、東邦化学製)60部を三本ロー
ルミルにてよく練り込んで充填剤混練分散組成物
を調製した後、この組成物を用いて下記の組成よ
りなる耐熱保護層形成用組成物を調製した。耐熱保護層形成用インキ組成物 ポリビニルブチラールBX−1(積水化学製)
:6重量部 トルエン :47重量部 メチルエチルケトン :47重量部 前記充填剤混練分散組成物 :1.2重量部 塩形態にないリン酸エステル(プライサーフ
A208S、第一工業製薬製) :1.2重量部 ジイソシアネート(コロネートL、75%酢酸エ
チル溶液、日本ポリウレタン製) :2.4重量部 アミン系触媒(NY3、日本ポリウレタン製、
10%エチレンジクロライド−酢酸エチル溶液)
:0.3重量部 実施例 2 実施例1において混練分散組成物の炭酸カルシ
ウムをタルク(ミクロエースL−1、日本タルク
製)に代えた以外は実施例1と同様にして耐熱保
護層形成用組成物を得た。 実施例 3 実施例1において混練分散組成物の炭酸カルシ
ウムをクレー(ASP170、土屋カオリン製)に代
えた以外は実施例1と同様にして耐熱保護層形成
用組成物を得た。 実施例 4 実施例1において混練分散組成物の炭酸カルシ
ウムをベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの
縮合物(エポスターS、日本触媒化学工業(株)製)
に代えた以外は実施例1と同様にして耐熱保護層
形成用組成物を得た。 比較例 1 実施例3において充填剤混練分散組成物の
GAFAC RD720(リン酸エステルのナトリウム
塩、東邦化学製)をプライサーフA208S(塩形態
にないリン酸エステル、第1工業製薬製)に代え
た以外は実施例3と同様にして耐熱保護層形成用
組成物を得た。 使用例 実施例1〜4の本発明の組成物および比較例1
の組成物をそれぞれ使用して、9μm厚のポリエチ
レンテレフタレートフイルム(東洋紡製S−
PET)上に、ワイヤーバー#16にて塗布した後、
温風乾燥し、さらに60℃のオーブンにて48時間加
熱硬化処理を行い、熱転写シートの耐熱保護層を
形成せしめた。この時乾燥塗布量は約1.8g/m2
あつた。次に下記組成の熱昇華転写層形成用組成
物を調製し、耐熱保護層とは反対側の前記フイル
ム上に、ミヤバー#10によりコーテイングし、温
風乾燥を行ない、熱転写シート材料を得た。この
転写層の塗布量は約1.2g/m2であつた。熱昇華転写層形成用組成物 分散染料 (日本化薬製、カヤセツトブルー814)
:4重量部 ポリビニルブチラール (積水化学製エスレツクBX−1) :4.3重量部 トルエン :40重量部 メチルエチルケトン :40重量部 イソブタノール :10重量部 次に、基材として150μm厚の合成紙(王子油化
製、YUPO−FPG150)を用い下記組成の受容層
成形用インキをワイヤーバー#36にて乾燥時塗布
量4.0g/m2となるように塗布し、被熱転写シート
とした。受容層形成用インキ バイロン103(東洋紡製、ポリエステル樹脂)
:8重量部 エルバロイ741P(三井ポリケミカル製、EVA系
高分子可塑剤) :2重量部 アミノ変性シリコーンオイル(信越シリコーン
製、KF−393) :0.125重量部 エポキシ変性シリコーンオイル(信越シリコー
ン製、X−22−343) :0.125重量部 トルエン :70重量部 メチルエチルケトン :10重量部 シクロヘキサノン :20重量部 上記のようにして得られた熱昇華転写シート
と、被熱転写シートとを熱転写層と受容層が接す
るように重ねて耐熱保護層側からサーマルヘツド
により、出力;1W/ドツト、パルス巾;0.3〜
4.5msec、ドツト密度;3ドツト/mmの条件で記
録を行い、下記第1表を得た。 さらに、該熱転写シートを紙管に巻き、熱転写
層と耐熱保護層とが密着する状態で、50℃オーブ
ン中にて14日間の経時変化促進試験を行つた結果
を第1表に示す。 【表】
【図面の簡単な説明】
図は本発明に係る耐熱保護層用形成用組成物を
熱転写シート上に設けて得られる熱転写シートの
断面図である。 1……熱転写シート、2……基体シート、3…
…熱転写層、4……耐熱保護層。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 (イ)ポリビニルブチラールと、(ロ)イソシアネー
    ト類と、(ハ)リン酸エステルのアルカリ金属塩また
    はアルカリ土類金属塩とを含むことを特徴とする
    耐熱保護層形成用組成物。 2 リン酸エステルのアルカリ金属塩がリン酸エ
    ステルのナトリウム塩である特許請求の範囲第1
    項に記載の組成物。 3 (イ)ポリビニルブチラールと、(ロ)イソシアネー
    ト類と、(ハ)リン酸エステルのアルカリ金属塩また
    はアルカリ土類金属塩と(ニ)充填剤とを含むことを
    特徴とする耐熱保護層形成用組成物。 4 リン酸エステルのアルカリ金属塩が、リン酸
    エステルのナトリウム塩である特許請求の範囲第
    3項に記載の組成物。 5 充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、アルミ
    ノシリケート、クレー、ゼオライト、テフロンパ
    ウダー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタ
    ン、シリカ、カーボン、ベンゾグアナミンとホル
    ムアルデヒドとの縮合物からなる群から選ばれる
    特許請求の範囲第3項に記載の組成物。 6 (イ)ポリビニルブチラールと、(ロ)イソシアネー
    ト類と、(ハ)リン酸エステルのアルカリ金属塩また
    はアルカリ土類金属塩と、(ニ)充填剤と、(ホ)塩形態
    にないリン酸エステルとを含むことを特徴とする
    耐熱保護層形成用組成物。 7 リン酸エステルのアルカリ金属塩が、リン酸
    エステルのナトリウム塩である特許請求の範囲第
    6項に記載の組成物。 8 充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、アルミ
    ノシリケート、クレー、ゼオライト、テフロンパ
    ウダー、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタ
    ン、シリカ、カーボン、ベンゾグアナミンとホル
    ムアルデヒドとの縮合物からなる群から選ばれる
    特許請求の範囲第6項に記載の組成物。
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