JPH0570419A - テアニンの製造法 - Google Patents

テアニンの製造法

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JPH0570419A
JPH0570419A JP26097791A JP26097791A JPH0570419A JP H0570419 A JPH0570419 A JP H0570419A JP 26097791 A JP26097791 A JP 26097791A JP 26097791 A JP26097791 A JP 26097791A JP H0570419 A JPH0570419 A JP H0570419A
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洋和 河岸
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公男 杉山
Ryosuke Katsumi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 テアニン、すなわちグルタミン酸 γエチル
アミドを、穏やかな反応条件下に、安全に、効率良く製
造する方法を提供する。 【構成】 L−グルタミン酸のγ−カルボキシル基をベ
ンジル化して保護し、かつ、アミノ基をトリチル化して
保護した後、好ましくは30〜100 %のエチルアミン又は
エチルアミン水溶液を作用させる。本発明の方法は、従
来のように、無水エチルアミンを使用し、加圧、加熱
に、激しく、危険を伴う反応をさせる必要がなく、高収
率で、テアニンを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安全で、効率的なテア
ニンの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】テアニン (Theanine)、すなわちグルタ
ミン酸 γエチルアミド( glutamicacid γ-ethylami
de)は、緑茶の旨味成分としてよく知られた化合物であ
る。その化学的合成法も知られており、これまでにいく
つか報告されている。例えば、特公昭 27-3417号には、
ピロリドンカルボン酸を無水エチルアミンに溶解し、加
圧、加熱下で数日間反応させる方法が開示されている。
また、特公昭 37-11661号には、ピログルタミン酸の金
属塩を、無水エチルアミンに溶解し、加圧、加熱下で反
応させる改良法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特公昭 2
7-3417号に開示された方法は、収率が低く、また無水エ
チルアミンを使用し、加圧、加熱下に反応させるため
に、反応が激しく危険を伴い、大量生産を行うのは困難
であった。また、特公昭 37-11661 号に開示された方法
は、収率は向上するものの、無水エチルアミンを使用
し、加圧、加熱下に行うという点は同様であり、危険を
伴う反応であった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、テアニン、すなわちグルタミン酸 γ
エチルアミドを、穏やかな反応条件下に、安全に、効率
良く製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、無水エチルアミンよ
り安全性の高い、70%程度のエチルアミン水溶液を用
い、穏やかな反応条件下に、テアニンを製造する方法を
見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明のテアニンの製造法は、
L−グルタミン酸のγ−カルボキシル基をベンジル化し
て保護し、かつ、アミノ基をトリチル化して保護した
後、エチルアミン又はエチルアミン水溶液を作用させる
ことを特徴とする。
【0007】以下、本発明について好ましい態様を挙げ
て詳細に説明する。
【0008】本発明においては、L−グルタミン酸を原
料とし、これをまず50〜70重量%の硫酸中で、L−グル
タミン酸に対して1.1 〜2.0 倍当量のベンジルアルコー
ルと、60〜80℃で、20分〜1時間反応させて、L−グル
タミン酸のγ−カルボキシル基をベンジル化して保護
し、下記化1で示されるL−グルタミン酸 γベンジル
エステルを得る。
【0009】
【化1】
【0010】次に、得られたL−グルタミン酸 γベン
ジルエステルを、ピリジンまたはピリジンとN,N−ジ
メチルアミノピリジンとの混合溶液に溶解し、L−グル
タミン酸 γベンジルエステルに対して1.1 〜2.0 倍当
量のトリフェニルクロロメタンを加え、室温〜50℃で、
10〜72時間反応させて、L−グルタミン酸のアミノ基を
トリチル化して保護し、下記化2で示されるN−トリチ
ル−L−グルタミン酸γベンジルエステルを得る。
【0011】
【化2】
【0012】反応後、減圧濃縮して溶媒を除去し、N−
トリチル−L−グルタミン酸 γベンジルエステルに対
して2〜20倍当量のエチルアミン水溶液を加え、室温〜
80℃で、2 〜50時間反応させて、下記化3で示されるN
−トリチル−L−グルタミン酸 γエチルアミドを得
る。なお、エチルアミン水溶液の濃度は、30〜100 %が
好ましく、70%程度が更に好ましい。エチルアミン水溶
液の濃度は、低いほど収率が低くなるので、30%以上と
することが好ましいが、濃度が高い場合には、前述した
ように反応が激しくなって危険を伴う。なお、本発明に
おいて、エチルアミン水溶液の濃度の%は、容量%を示
す。
【0013】
【化3】
【0014】次いで、得られた反応溶液を減圧濃縮して
未反応のエチルアミンを除去し、1〜3Nの酸を加え
て、沸騰湯浴中で5〜20分間加熱してトリチル基を脱離
させ、下記化4で示されるL−グルタミン酸 γエチル
アミド(テアニン)を得る。酸としては、50%酢酸、希
塩酸、希硫酸、p−トルエンスルホン酸等を使用するこ
とができる。また、酸濃度が濃いと、エチルアミドが分
解するので、1〜3Nのものを用いるのが好ましい。
【0015】
【化4】
【0016】得られたL−グルタミン酸 γエチルアミ
ド(テアニン)の精製は、再結晶、ゲル濾過、イオン交
換、吸着等のクロマトグラフィーなどによって行なうこ
とができる。具体的には、例えば、再結晶による場合、
粗テアニンに対して約4倍量の90〜99%エタノールを加
え、70℃に加温して溶解し、冷蔵庫に入れて結晶化させ
るのが好ましい。
【0017】
【作用】従来のテアニンの製造法においては、無水エチ
ルアミンを使用し、加圧、加熱下に反応させることか
ら、反応が激しく、危険を伴うものであったが、本発明
においては、L−グルタミン酸のγ−カルボキシル基を
ベンジル化して保護し、かつ、アミノ基をトリチル化し
て保護した後に、エチルアミン又はエチルアミン水溶液
を作用させるため、穏やかな反応条件下で、安全に、テ
アニンを得ることができる。また、エチルアミンは無水
のものでなくても十分反応し、無水エチルアミンと比較
するとかなり安全性の高い、例えば70%程度のエチルア
ミン水溶液を用いて、反応を行うこともできる。
【0018】
【実施例】以下に実施例を示して本発明をさらに具体的
に説明するが、かかる説明によって本発明は何ら限定さ
れるものではない。
【0019】濃硫酸 210mL(ミリリットル)と、水260m
L との混合液に、L−グルタミン酸588g(4.0 モル)
と、ベンジルアルコール460mL (4.4 モル)とを加え、
70℃で1時間攪拌した。次いで、3.2 モル/L (モル/
リットル)の炭酸水素ナトリウム溶液2.5Lで中和し、生
じた沈澱を濾取した。これを熱水から再結晶化し、L−
グルタミン酸 γベンジルエステル645g(68%)を得
た。
【0020】次に、得られたL−グルタミン酸 γベン
ジルエステル332g(1.4 モル)を、3Lのピリジンに溶解
し、トリフェニルクロロメタン500g(1.8 モル)を加
え、室温で攪拌しながら72時間反応させた。
【0021】その後、反応液を減圧濃縮してピリジンを
除去し、濃縮物に70%エチルアミン水溶液1、8Lを加え、
室温で攪拌しながら48時間反応させた。続いて、反応液
を減圧濃縮して未反応のエチルアミンを除去し、これに
50%酢酸1、2Lを加え、沸騰水中で5分間加熱し、トリチ
ル基を脱離させた。得られた反応液に、水1、2Lを加えた
後、室温まで冷却し、析出するトリフェニルカルビノー
ルを濾別した。
【0022】濾液を減圧濃縮し、99%エタノール600mL
を加えてよく攪拌した後、析出した結晶を濾取し、粗テ
アニン117g(34%)を得た。
【0023】この粗テアニンに、99%エタノールを加
え、70℃に加温して溶解させた後、冷蔵庫に入れて再結
晶化し、テアニン83g (34%)を得た。
【0024】得られたテアニンを、NMR、質量分析に
より分析した。その結果を下記表1に示す。
【0025】
【表1】 質量分析 :m/z 175 (M+ +1) 1H- NMR(400MHz、D2O ):1.11(t、 J=7.2Hz、 3H) 2.13(dd、 J=7.3Hz、 2H ) 2.39(m、 2H ) 3.20(dd、 J=7.2Hz、 2H ) 3.76(t、 J=6.0Hz、 1H)
【0026】なお、上記NMRにおいて、〜は、下
記化5に示す位置を表している。
【0027】
【化5】
【0028】上記質量分析及びNMRの結果から、得ら
れたテアニンは、標品と完全に一致し不純物の混入は認
められないことがわかった。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、テアニン、すなわちグルタミン酸 γエチルアミ
ドを、従来のように、無水エチルアミンを使用し、加
圧、加熱下に激しい反応させることによる危険を伴うこ
となく、穏やかな反応条件下に、安全に、効率良く製造
することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−グルタミン酸のγ−カルボキシル基
    をベンジル化して保護し、かつ、アミノ基をトリチル化
    して保護した後、エチルアミン又はエチルアミン水溶液
    を作用させることを特徴とするテアニンの製造法。
  2. 【請求項2】 前記エチルアミン水溶液の濃度が30%以
    上である請求項1記載のテアニンの製造法。
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