JPH0570116A - 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 - Google Patents

電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

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JPH0570116A
JPH0570116A JP3230001A JP23000191A JPH0570116A JP H0570116 A JPH0570116 A JP H0570116A JP 3230001 A JP3230001 A JP 3230001A JP 23000191 A JP23000191 A JP 23000191A JP H0570116 A JPH0570116 A JP H0570116A
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JP
Japan
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carbonaceous powder
tar
fluid
electroviscous fluid
weight
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Pending
Application number
JP3230001A
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English (en)
Inventor
Takuji Haraoka
卓司 原岡
Takayuki Torii
孝行 鳥居
Katsuhiro Nagayama
勝博 長山
Hitomi Hatano
仁美 羽多野
Noriyoshi Fukuda
典良 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石炭系タール等を原料として、熱処理し炭素
原子と水素原子の数の比(C/H)を調整し、粉砕、分
級した電気粘性流体用炭素質粉末は公知であるが、本発
明は、電場を印加したときの電流値がより低い炭素質粉
末の製造方法を提案する。 【構成】 熱処理し望ましいC/Hに調整した後の粉
砕、分級工程それぞれの雰囲気を酸素濃度10重量%以
下、水分濃度 0.1重量%以下に規制した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】電気粘性流体とは流体に電場を印
加することにより、流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的
に変化する現象を呈する流体であり、一般には電気絶縁
性の優れた油状媒体に誘電体である微粒子を分散させる
ことにより構成されている。この電気粘性流体の特徴は
古くから知られ、クラッチ、バルブ、衝撃吸収体等の低
い電気的出力により強力な力が必要な装置への応用が検
討されてきた。
【0002】本発明はかかる電気粘性流体、特に優れた
電気粘性効果を実現可能な誘電性を有する炭素質粉末の
製造方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】電気粘性効果の発現機構は充分には解明
されていない。しかし、一般には外部電場により微粒子
に分極が生じ、この分極した粒子が静電引力により相互
に結合し架橋を生じる結果、粘度が増大すると言われて
いる。これまでに検討された電気粘性流体としては、例
えば米国特許第 2886151号、第 3047507号あるいは特開
昭53-17585号公報、特開昭53-93186号公報、特開昭61-4
4998号公報、特開昭61−259752号公報、特開昭62-95397
号公報、特開平1−207396号公報等に開示されており、
それらはスピンドル油、トランス油、塩化パラフィン等
の電気絶縁性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプ
ン、セルロース等の吸水性固体微粒子を分散させたもの
であり、これらは、微粒子本体に吸着された水分子の分
極によって上記の効果を発現するものであるために、吸
着水によって粒子の電導度が高くなってしまい、電場を
印加した際に電流が流れすぎてエネルギー効率が低いこ
と、長期使用時には固体微粒子からの水の脱離による性
能の経時変化が起きること、温度変化に極めて不安定で
あること等、実用上の問題点が少ない。
【0004】こうした観点から、特開平3−157498号公
報には炭素質粉末が電気粘性流体用固体粒子として優れ
た性能を発揮できることが開示されている。すなわち、
これによれば当該炭素質粉末を使用することにより、電
場を印加した際の電流を低くすることが可能であり、特
性の経時変化が小さく、温度に対しても安定な電気粘性
流体を得ることができるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは当該炭素質粉末の製造方法に関して改良、検討し
た結果、電場を印加した際の電流をさらに低減させる方
法を見出し、本発明に至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、石
炭系タール、石油系タール及び樹脂類よりなる群より選
ばれる有機化合物を原料として用い、熱処理を行い炭素
原子と水素原子の数の比(C/H)の値を2.00〜3.50の
範囲に調整したものを粉砕、分級し平均粒径を2〜40μ
mに調整する電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法にお
いて、該粉砕、分級工程をそれぞれ酸素濃度が10重量%
以下、水分濃度が 0.1重量%以下の雰囲気中で行うこと
を特徴とする電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法であ
る。
【0007】
【作 用】本発明に係わる電気粘性流体用炭素質粉末
は、電気絶縁性に優れた油状媒体に誘電体微粒子を分散
せしめることにより得られる電気粘性流体において誘電
体微粒子として使用される炭素質粉末であって、その製
造時、特に粉砕、分級工程において酸素および水分との
接触を避けることを特徴とする。
【0008】一般に電気粘性流体に要求される特性とし
ては、外部電界下でより大きな粘性変化を示すこと、エ
ネルギー効率の関係から流れる電流が可能な限り少ない
こと、固体微粒子が油状媒体中で沈降しないこと、更に
長期的な使用や温度に対して安定であること、電界の印
加に対する応答性に優れること等があげられる。こうし
た電気粘性流体に要求される特性を満足するに必要な炭
素質粉末の製造方法について検討した結果、製造時にお
ける雰囲気中の酸素濃度および水分濃度を一定条件下と
することが電流値の低減に極めて有効であることが見出
された。
【0009】すなわち、炭素質粉末製造時の雰囲気中に
酸素もしくは水分が存在する場合、この状況で製造した
炭素質粉末を使用した電気粘性流体には過剰の電流が流
れエネルギー効率を低下させてしまい、良好な電気粘性
効果は得られない。本発明者らの研究によれば、炭素質
粉末を電気粘性流体用の固体微粒子として使用した場
合、炭素質粉末の酸化および水分吸着が電気粘性流体の
特性と密接に関係していることが明らかとなった。
【0010】すなわち、炭素質粉末に含まれる酸素およ
び水分の濃度が増加すると、電圧印加時の粘性変化が同
様であるにもかかわらず流体に流れる電流が増加するこ
とが発見された。酸素濃度の増加にともなって電流が増
加する理由は明瞭ではないが、炭素質粉末の表面および
内部に存在する炭素−酸素の結合が直接あるいは間接的
に電流を流しやすくするためと考えられる。水分の増加
にともなって電流が増加する理由は、炭素質粉末の表面
および内部に存在する水酸基、カルボニル基などの極性
をもった官能基によって吸着水がイオン化されることに
よると思われる。
【0011】電気粘性流体用の炭素質粉末の好ましい他
の特性として、炭素質粉末の炭素化の程度を表す、元素
分析による炭素原子と水素原子の比であるC/Hが2.00
〜3.50(より好ましくは2.20〜3.00)であることが望ま
しい。C/H値が2.00未満の時には炭素質粉末は誘電体
として機能を果たせず、結果として十分な電気粘性効果
を得ることができない。一方、C/H値が3.50を超える
場合、電気粘性流体に電流が流れ過ぎ、実用上エネルギ
ー効果を低下させるばかりでなく、ついには絶縁破壊を
もたらす。
【0012】また、他の特性として炭素質粉末の粒径も
挙げられる。使用する油状媒体にもよるが、通常油状媒
体中で粉末の沈降を防止するためには、炭素質粉末の平
均粒径は2〜40μmが望ましい。また、電気粘性流体の
高温時および長期的な安定性を確保するために、炭素質
粉末中の低沸点有機成分をできる限り除去することが望
ましい。特に、熱天秤(TGA)により窒素流通下10℃
/分で昇温した際の室温〜200 ℃の重量減少量が0.5重
量%以下、好ましくは 0.3重量%以下であることが望ま
しい。こうした低沸点有機成分は繰り返しの使用と高温
時に揮発するため、電気粘性流体の安定性を阻害すると
考えられる。
【0013】さらに、炭素質粉末の組成はできるだけ均
質であることが必要である。例えば、通常炭素質粉末の
原料として使用されるコールタールピッチ類は、シリ
カ、アルミナ等の不純物を含有している。こうした不純
物は事前に除去するのが好ましいことは言うまでもない
が、この他に元来コールタールピッチ等に含まれるフリ
ーカーボン(別名、遊離炭素)も予め除去することが望
ましい。フリーカーボンはコークス炉において発生する
タールが1000℃以上に加熱され、気相熱分解をうけて生
成すると言われている極めて炭素化の進んだ無定形の微
細炭素質粒子である。したがって、かかるフリーカーボ
ンが炭素質粉末中に含有されていると不均一性をもたら
し、期待される電気粘性効果を得ることができない。
【0014】かかる炭素質粉末の具体的製造方法につい
て更に詳細に説明する。原料は石炭系タール、石油系タ
ールあるいは樹脂類が使用される。石炭系タールを用い
る場合、タール中にフリーカーボンが含有される場合に
は必要に応じてこれを除去することが可能である。具体
的には、遠心分離法、各種の溶剤を添加することによる
静置分離法等、一般に工業的に実施されている方法が適
用可能である。
【0015】原料である石炭系、石油系タールあるいは
樹脂類は、最高温度が 300〜800 ℃の範囲内の熱処理に
より炭素化を進め、C/H値を制御することができる。
更に、炭素質粉末中の低沸有機点成分は熱処理・溶剤抽
出条件および乾燥工程等を新たに設けることによりC/
H値の制御と別途に制御可能である。こういった熱処理
もしくは乾燥工程はその雰囲気中の酸素濃度が1重量%
以下、水分濃度が0.01重量%以下であることが望まし
い。酸素濃度が1重量%を超える場合もしくは水分濃度
が0.01重量%を超える場合には炭素質の酸化を引き起こ
し、当該炭素質粉末を使用した流体への電圧印加時の電
流値は増加する。
【0016】次いで、粒子径の制御を行う。具体的に
は、目的とする粒子径より大きい粒子を粉砕、分級等に
よって除去することで粒子径を平均粒径が2〜40μmの
範囲内となるように制御する。粉砕および分級はジェッ
トミル、ボールミルおよび風力分級、篩分けなど一般に
工業的に行われている方法が利用できる。粉砕、分級時
は粒子の表面積が増加し、温度も上昇することから粉
砕、分級時の雰囲気中の酸素濃度、水分濃度を一定条件
に規定することが電気粘性流体用炭素質粉末の製造にお
いて重要となる。粉砕、分級工程における雰囲気中の酸
素濃度は10重量%以下、水分濃度は 0.1重量%以下、よ
り好ましくは0.01重量%以下に限定される。酸素濃度が
10重量%を超える場合には当該炭素質粉末の酸化によ
り、水分濃度が0.1重量%を超える場合には当該炭素質
粉末の吸着水分量の増加によりこれを使用した流体への
電圧印加時の電流値は増加する。
【0017】以下更に本発明を具体的な実施例で説明す
るが、本発明はこれのみに何ら制約されるものではな
い。
【0018】
【実施例】フリーカーボンを含有しないコールタールを
20lのオートクレーブを使用して酸素1重量%以下、水
分0.01重量%以下の窒素雰囲気下、 450℃で熱処理し
た。得られた熱処理物をタール系中油(沸点範囲 120〜
250 ℃)を使用し抽出・濾過した。かかる抽出・濾過残
留物を内容積35lのバッチ型の回転反応炉を使用し、温
度 490℃、 5.0l/分の窒素(酸素1重量%以下、水分
0.01重量%以下)気流下で再熱処理して、炭素質粉末を
得た。
【0019】かかる炭素質粉末をさらに、表1に示す酸
素重量%、水分重量%の窒素雰囲気中でジェットミル・
風力分級機を用い、粉砕・分級することによって平均粒
径 3.0μmに調整した。かかる炭素質粉末を電気絶縁性
油状媒体である室温で 0.1ポイズのシリコンオイルに約
36重量%均一に分散させ電気粘性流体を得た。この電気
粘性流体に室温で2kV/mmの電圧をかけ、このときの流
体の粘性変化と流体中を流れる電流値を測定し、その電
気粘性流体としての機能を評価した。粘度の測定は二重
円筒型回転粘度計を使用し、内外円筒間に直流電流を印
加した時の剪断速度366sec-1における見かけの粘度を測
定した。
【0020】表1にこのようにして得られた電気粘性流
体の室温における性能試験結果を併せて示した。
【0021】
【表1】
【0022】表1に示された結果から、炭素質粉末の粉
砕、分級工程において酸素および水分との接触を避ける
ことにより、同程度の粘性変化でより電流値を低くでき
ることがわかった。
【0023】
【発明の効果】本発明では、本発明の製造法による炭素
質微粒子を使用することにより極めて優れた電気粘性効
果を有し、電場を印加した際の電流値の低い電気粘性流
体を得ることを可能とした。本発明は、従来の電気粘性
流体の問題点を解決し、電気粘性流体のクラッチ、バル
ブ、衝撃吸収体等の産業上の応用を可能にする道を開く
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 70:00 8217−4H (72)発明者 羽多野 仁美 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内 (72)発明者 福田 典良 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究本部内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭系タール、石油系タール及び樹脂類
    よりなる群より選ばれる有機化合物を原料として用い、
    熱処理を行い炭素原子と水素原子の数の比(C/H)の
    値を2.00〜3.50の範囲に調整したものを粉砕、分級し平
    均粒径を2〜40μmに調整する電気粘性流体用炭素質粉
    末の製造方法において、該粉砕、分級工程をそれぞれ酸
    素濃度が10重量%以下、水分濃度が 0.1重量%以下の雰
    囲気中で行うことを特徴とする電気粘性流体用炭素質粉
    末の製造方法。
JP3230001A 1991-09-10 1991-09-10 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 Pending JPH0570116A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11174864B2 (en) 2017-02-01 2021-11-16 Piterburg Pump Technology Gmbh Vane-type gas pump

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US11174864B2 (en) 2017-02-01 2021-11-16 Piterburg Pump Technology Gmbh Vane-type gas pump

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