JPH06191811A - 電気粘性流体用炭素質粉末 - Google Patents

電気粘性流体用炭素質粉末

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JPH06191811A
JPH06191811A JP5049623A JP4962393A JPH06191811A JP H06191811 A JPH06191811 A JP H06191811A JP 5049623 A JP5049623 A JP 5049623A JP 4962393 A JP4962393 A JP 4962393A JP H06191811 A JPH06191811 A JP H06191811A
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carbonaceous powder
water
powder
electrorheological fluid
weight
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JP5049623A
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Inventor
Takuji Haraoka
岡 卓 司 原
Takayuki Torii
居 孝 行 鳥
Katsuhiro Nagayama
山 勝 博 長
Hitomi Hatano
仁 美 羽多野
香 ▲高▼木
Ko Takagi
Noriyoshi Fukuda
田 典 良 福
Takayuki Maruyama
山 隆 之 丸
Yuichi Ishino
野 裕 一 石
Tasuku Saito
藤 翼 斎
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Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】水分を実質的に含有しない電気粘性流体用炭素
質粉末。 【効果】本発明の炭素質粉末を利用することにより、電
場を印加した際の電流値のより低い電気粘性流体を得る
ことを可能とし、これにより、電気粘性流体を用いる各
種装置のエネルギー効率を大幅に向上できると共に、こ
の電気粘性流体を利用する装置のコンパクト化が可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気粘性流体に利用され
る電気粘性流体用炭素質粉末に関する。
【0002】電気粘性流体とは流体に電場を印加するこ
とにより、流体の見掛け粘度が迅速且つ可逆的に変化す
る現象を呈する流体であり、一般には電気絶縁性の優れ
た油状媒体に誘電体である微粒子を分散させることによ
り構成されている。この電気粘性流体の特徴は古くから
知られ、クラッチ、バルブ、衝撃吸収体等の低い電気的
出力により強力な力が必要な装置への応用が検討されて
きた。本発明はかかる電気粘性流体に使用する優れた電
気粘性効果を発現可能な誘電性を有する新規な微粒子に
関するものである。
【0003】
【従来の技術】電気粘性効果の発現機構は充分には解明
されていない。しかし、一般には外部電場により微粒子
に分極が生じ、この分極した粒子が静電引力により相互
に結合子架橋を生じる結果、粘度が増大すると言われて
いる。
【0004】これまでに検討された電気粘性流体として
は、例えば米国特許第2886151号、同30475
07号の各明細書や、特開昭53−17585号、同昭
53−93186号、同昭61−44998号、同昭6
1−259752号、同62−95397号、特開平1
−207396号の各公報等に開示されている。これら
の電気粘性流体はスピンドル油、トランス油、塩化パラ
フィン等の電気絶縁性の高い油状媒体中に、シリカゲ
ル、デンプン、セルロース等の吸水性固体微粒子を分散
させたものであり、これらは、微粒子本体に吸着された
水分子の分極によって上記の効果を発現するものであ
る。
【0005】しかしこれらの粉末体を用いた電気粘性流
体では、水分の蒸発や凍結を招かないための使用温度の
制限、温度上昇による著しい電流の増大、安定性の不足
あるいは高電圧印加時における電極金属の溶解など多く
の問題があり、電気粘性流体の実用性の上で大きな阻害
となっている。
【0006】このような観点から鋭意検討した結果とし
て、本発明者らは石炭、石炭系タールやピッチ、石炭液
化物、石油系タールやピッチ、および樹脂類等の有機化
合物を原料として用い、オートクレーブ、キルン、電気
炉等によって最高温度300〜800℃の熱処理で蒸留
あるいは熱重合させることにより、元素分析による炭素
と水素の原子の数の比(C/H)を1.70〜3.5
0、熱天秤による重量分析(TGA)による窒素雰囲気
下での450〜600℃の温度範囲における重量減少量
が0.5〜13重量%で、かつ室温〜200℃の温度範
囲における重量減少量を0.5重量%以下に制御、調整
した後、粒度調整を行う方法によって製造した炭素質粉
末が電気粘性流体用の固体微粒子として優れた特性を発
揮できることを見出し、先にこれを提案した(特開平3
−279206号公報参照)。
【0007】すなわち、上記炭素質粉末を使用すること
により、電場を印加した際の電流を低くすることが可能
であり、特性の経時変化が小さく、温度に対しても安定
な電気粘性流体を得ることができる。しかしながら、電
場を印加した際に電気粘性流体を流れる電流は、エネル
ギー効率上低ければ低いほど好ましく、また電流値が小
さい場合には電気粘性流体を作動させる電源関係の装置
を小さくできるため、装置のコンパクト化が達成可能で
ある等、各種のメリットがあるため、電気粘性流体にお
ける電場印加時の電流値低減方法はさらに検討すべき課
題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
特開平3−279206号公報で提案した炭素質粉末よ
りもより改良された炭素質粉末、すなわち油状媒体に炭
素質粉末を分散して電気粘性流体を調製したときに、電
圧の印加により流れる電流をさらに低減できる電気粘性
流体用の炭素質粉末を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、水
分が十分に除去され、実質的に含有しない電気粘性流体
用炭素質粉末によって達成される。
【0010】
【作用】一般に電気粘性流体に要求される特性として
は、外部電界下でより大きな粘性変化を示すこと、エネ
ルギー効率の関係から電気粘性流体に電圧を印加された
際に流れる電流が可能な限り少ないこと(以下、これら
の点については「電流値が少ない」等と表現する)、固
体微粒子が油状媒体中で沈降しないこと、さらに長期的
な使用や温度に対して安定であること、電圧の印加に対
する応答性に優れること等があげられる。
【0011】こうした電気粘性流体に要求される特性を
満足するに必要な炭素質粉末の特性について詳細に検討
した結果、本発明の非水系電気粘性流体においては、油
状媒体に分散させる炭素質粉末中に含まれる微量の水分
が電圧印加時の電流値に極めて大きな影響を与えること
が解り、電気粘性流体用の固体微粒子として、水分が十
分に除去された実質的に水分を含まない炭素質粉末を用
いることにより電流値を大巾に低減できることを見出し
本発明を完成するに到ったものである。
【0012】従来の電気粘性流体用の含水微粉体は前述
の如く水分子の分極を利用したものであって、水の存在
が必須であった。しかしながら、本発明の炭素質粉末は
むしろ水の非存在によりその性質が向上するという驚く
べき挙動を示している。
【0013】
【構成】以下に本発明の構成を詳述するが、本発明のよ
り好ましい態様およびそれに基づく利点が明かとなろ
う。
【0014】本発明の炭素質粉末の性質 本発明の電気粘性流体用炭素質粉末(以下、炭素質粉末
とする)は、水分含有量は少なければ少ない程優れた特
性を発揮する。従って、本発明の炭素質粉末において
は、含有水分量は0重量%であるのが理想的である。し
かしながら、炭素質粉末の製造工程や保存時等において
炭素質粉末への水分の混入を完全に防ぐことは実質上不
可能であり、得られた炭素質粉末には若干の水分は含ま
れてしまう。また、後述するが、水分による炭素質粉末
の特性低下は、炭素質粉末の原料や、元素分析による炭
素と水素の原子の数の比である炭素化(C/H)によっ
て異なる。従って、本発明においては、炭素質粉末の製
造方法および環境や使用する原料等に起因する不可避的
な水分の含有、さらにそれに伴う特性低下の極めて小さ
いことを含めて「実質的に水分を含有しない」とするも
のであり、水分含有量はより好ましくは0.1重量%以
下、特に0.05重量%以下であるのが好ましい。
【0015】電気粘性流体用の炭素質粉末の好ましい他
の特性として、炭素質粉末の炭素化の程度を表す、元素
分析による炭素原子と水素原子の数の比であるC/Hが
2.00〜3.50、特には2.20〜3.00である
ことが望ましい。C/H値がこの範囲であれば、小さな
電圧で優れた電気粘性効果が得られ、電場印加時の電流
も少い。
【0016】ここで、本発明者らは、特にC/Hが2.
00以上に炭素化が進んだ場合、炭素質粉末が微量の水
分を含有しても、電流値を大きく増加させるさせること
を見出した。
【0017】例えば、コールタール、タールピッチ、石
油タール、石油ピッチを原料とした炭素質粉末では、特
にC/Hが2.35以上の場合には大きな粘性変化が得
られる等優れた電気粘性効果が得られるが、この場合に
は微量の水分が電流値を大幅に増加させる。そのため、
電気粘性流体にこの炭素質粉末を配合した場合に、大き
な粘性変化で低電流値の両者を満足させるためには、好
ましくはC/Hを2.35〜3.50の範囲とし、水分
含有量が0.1重量%以下、より好ましくは水分が可能
な限り0重量%近くまで除去されているのが好ましい。
【0018】また、縮合芳香環化合物を重合して得られ
るピッチを原料とした炭素質粉末では、特にC/Hが
2.23以上の場合には大きな粘性変化が得られる等、
優れた電気粘性効果が得られるが、この場合には微量の
水分が電流値を大幅に増加させる。そのため、電気粘性
流体にこの炭素質粉末を配合した場合に、大きな粘性変
化で低電流値の両者を満足させるためには、好ましくは
C/Hを2.23〜3.50の範囲とし、水分含有量が
0.1重量%以下、より好ましくは水分が可能な限り0
重量%近くまで除去されているのが好ましい。
【0019】さらに、フェノール樹脂を原料とした炭素
質粉末では、特にC/Hが2.00以上の場合には大き
な粘性変化が得られる等優れた電気粘性効果が得られる
が、この場合には微量の水分が電流値を大幅に増加させ
る。そのため、電気粘性流体にこの炭素質粉末を配合し
た場合に、大きな粘性変化で低電流値の両者を満足させ
るためには、好ましくはC/Hを2.00〜3.50の
範囲とし、水分含有量が0.1重量%以下、より好まし
くは水分が可能な限り0重量%近くまで除去されている
のが好ましい。
【0020】また、油状媒体中での沈降の防止から、炭
素質粉末の平均粒度は0.5〜40μmが望ましい。さ
らに、電気粘性流体の高温時および長期的な安定性を確
保するために、炭素質粉末中の低沸点有機成分をできる
限り除去することが望ましく、熱天秤(TGA)により
窒素流通下10℃/分で昇温した際の室温〜200℃の
重量減少量が0.5重量%以下、好ましくは0.3重量
%以下であることが望ましい。低沸点有機成分は繰り返
し使用することによりさらには高温時に揮発するため、
電気粘性流体の安定性を阻害すると考えられる。
【0021】本発明の炭素質粉末の製法 以下に、本発明の炭素質粉末の製造方法の一例につい
て、詳細に説明する。
【0022】通常、本発明の炭素質粉末の原料として
は、石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系
タール、石油系ピッチ等や、ポリ塩化ビニル、ポリビニ
ルアルコール等の熱可塑性樹脂類や、フェノール樹脂等
の熱硬化性樹脂類等の有機化合物が使用できる。また、
別の原料として、アセナフチレン、ナフタレン、メチル
ナフタレン、アントラセン等の縮合芳香族化合物の重合
物等や、ナフタセン等のモノマーや重合物等を挙げるこ
とができる。また、アセナフチレン、水素化ピレン等を
熱処理によって重合した化合物も使用可能である。な
お、これらの重合物としては、例えばHF−BF3 等の
酸触媒を用いて製造された重合物が例示される。これら
の原料は、炭素質粉末の出発原料として単独で用いても
よく、あるいは2種以上の混合物として用いてもよい。
【0023】ここで、タール、ピッチ中にフリーカーボ
ン、灰分(Ash)が含有される場合には必要に応じて
これを除去することが好ましい。具体的には、遠心分離
法や各種の溶剤を添加することによる静置分離法等、一
般に工業的に実施されている方法が適用可能である。
【0024】原料をオートクレーブ、キルン、流動層、
電気炉などを単独あるいは併用して、最高温度300〜
800℃で熱処理し、C/Hの値および熱天秤による窒
素雰囲気下での室温〜200℃の重量減少量を目的とす
る値に調整する。
【0025】即ち、C/Hの値を好ましくは2.00〜
3.50、特には2.20〜3.00となるように調整
する。これは熱処理温度と処理時間を適切に設定するこ
とにより達成することができる。もちろん回分式、連続
式いずれの方法によっても実施することができる。また
この熱処理は適宜に複数回に分けて行うこともでき、必
要に応じてタール系中油等の各種溶剤による抽出工程を
併用してもよい。
【0026】このような熱処理工程によって得られた炭
素質粒子について粒度調整の工程に付すことにより、最
大粒径50μm以下、平均粒径が好ましくは0.5〜4
0μm、特には2〜10μmの微粒子を取得することが
できる。
【0027】この工程は、通常の粉砕、分級装置を用い
て行うことができ、例えば、ジェットミル、ボールミル
および風力分級機、篩分けなど一般に工業的に行われて
いる装置及び方法が利用できる。
【0028】この段階で得られる炭素質粉末は大気と接
触することによって吸湿し、通常0.1〜0.3重量%
の水分を含有している。
【0029】上記の如く電気粘性流体に使用される粒度
に調整された粉末を前記の熱処理工程における最高温度
以下の温度で、加熱処理および/または減圧処理を行う
ことにより水分を除去することができる。加熱処理にお
ける処理温度は50℃以上、好ましくは200℃以上、
減圧処理における処理温度は0℃以上、好ましくは10
0℃以上が望ましい。このような加熱処理または減圧処
理により粉末に存在する水分を効果的に、除去すること
ができる。
【0030】加熱処理工程はキルン、流動層電気炉など
の装置を用いて、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で
行うことができる。また、加熱温度にも依存するが、通
常30分以上の処理時間である。減圧で行う場合は0〜
760mmHg(絶対圧)、好ましくは0〜200mmHg(絶
対圧)の減圧下で行うことができる。
【0031】さらに必要に応じて、上記の加熱処理また
は減圧処理で得られた炭素質粉末を解砕処理を行い、再
加熱処理(減圧処理)前の粒度とほぼ同一の粒度に調整
することができる。この解砕処理はボールミル、ハンマ
ー式ミルなどの一般の粉砕機を用いることによって行う
ことができる。
【0032】以上説明した特性を有する炭素質粉末を、
シリコンオイル、スピンドル油、塩化パラフィン、トラ
ンス油等の電気絶縁性の油状媒体に分散することによ
り、電気粘性特性に優れた電気粘性流体を得ることがで
きる。このような電気粘性流体において、炭素質粉末の
含有量は、好ましくは1〜60重量%程度、より好まし
くは20〜50重量%程度であり、電気絶縁性油の含有
量は好ましくは99〜40重量%、より好ましくは80
〜50重量%である。電気粘性流体中の炭素質粉末の含
有量を上記範囲に設定することにより、良好な電気粘性
効果を得られると共に、非電圧印加時における粘度(初
期粘度)が小さく、また電圧印加時の粘度変化の大きな
電気粘性流体を実現することができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明の炭素質粉末について、具体的
実施例を挙げ本発明をより詳細に説明する。
【0034】[実施例1]フリーカーボンを含有しない
コールタールを20リットルのオートクレーブを使用し
て450℃で実質的に不活性雰囲気中で熱処理した。得
られた熱処理物をタール系中油(沸点範囲120〜25
0℃)を使用し抽出・濾過した。かかる抽出・濾過残留
物を内容積2リットルのバッチ型の回転反応炉を使用
し、温度510℃、2.0リットル/分の窒素気流下で
再熱処理して、炭素質粉末を得た。この炭素質粉末をさ
らに粉砕後、風力分級機を使用して平均粒径3.0μm
に調整した。こうして得られた炭素質粉末の水分濃度は
0.20重量%、C/H値は2.42であった。粒径の
測定はコールターカウンターを使用し、50μmのアパ
チャーチューブを用いて行った。また、TGA(熱天
秤)による測定の結果、200℃以下の低沸点成分は
0.22重量%であった。次に、こうして得られた炭素
質粉末を真空乾燥機を用い水分濃度0.03重量%まで
乾燥した。なお、含有水分量(濃度)の分析は、カール
フィッシャー水分計によって行った(以下の測定も同
様)。内部を窒素置換したグローブボックス(湿度<1
%)内で、かかる炭素質粉末36重量部を電気絶縁性油
状媒体である室温で0.1ポイズのシリコンオイル64
重量部と均一に分散し、電気粘性流体とした。この電気
粘性流体に室温で2kV/mm の電圧をかけ、このときの流
体の粘性変化と流体中を流れる電流値を測定し、その電
気粘性流体としての機能を評価した。粘度の測定は二重
円筒型回転粘度計を使用し、内外円筒間に直流電圧を印
加した時の剪断速度366sec-1における見かけの粘
度および電流値を測定した。
【0035】[比較例1]実施例1において真空乾燥を
行なう前の炭素質粉末36重量部を電気絶縁性油状媒体
である室温で0.1ポイズのシリコンオイル64重量部
と均一に分散し、電気粘性流体とし、実施例と同様に電
気粘性特性を測定した。なおこの時の粉末水分量は0.
2重量%であった。
【0036】第1表に、このようにして得られた電気粘
性流体の室温における性能結果を示した。本結果より水
分が十分に除去された炭素質粉末を用いることにより電
流値を大巾に低減できることがわかる。従って、エネル
ギー効率を考慮に入れると炭素質粉末に含まれる水分濃
度はできる限り低いほうがよい。
【0037】
【0038】[参考例]前記実施例1で製造した炭素質
粉末を、雰囲気湿度を変えて水分量が平衡になるまで放
置し、雰囲気湿度と炭素質粉末が含有する水分との関係
(25℃)を調べた。なお、この場合、水分量が平衡に
達する時間は10〜30分であった。結果を図1に示
す。
【0039】図1に示される結果より、炭素質粉末の水
分量は大気中の湿度程度(冬場の湿度:約20〜30
%、夏場の湿度:約50〜70%)でも大きく影響を受
けることが解る。従って、以上の結果から、電気粘性流
体用の炭素質粉末の水分量を規制することが重要である
ことが解る。
【0040】[実施例2]再熱処理の温度を変えてC/
Hを変えた以外は、前記実施例1と同様にして炭素質粉
末を得た。得られた炭素質粉末を雰囲気湿度の異なる環
境に保持することにより、含有水分量を調整し、C/H
および含有水分量の異なる炭素質粉末を各種作製した。
次いで、実施例1と同様にして電気粘性流体を調製し、
電気粘性特性を測定した。図2に、炭素質粉末のC/H
および含有水分量と、電気粘性特性との関係を示す。な
お、グラフ中の曲線およびそれに付随する数値はパラメ
ータとしての水分含有量(重量%)を示すものであり、
また、○はC/H=2.30のデータを、□はC/H=
2.40のデータを、△はC/H=2.45のデータを
それぞれ示す。
【0041】図2に示される結果より、コールタールピ
ッチを原料とした場合には、炭素質粉末のC/Hが2.
35以上で特に水分量の電流値に対する影響が大きく、
この場合、わずかな水分でも電値を大きく増加させてし
まい、水分量を0.1重量%以下に制御する必要があ
る。
【0042】
【発明の効果】本発明の炭素質粉末を使用することによ
り、電場を印加した際の電流値のより低い電気粘性流体
を得ることを可能にし、これにより、電気粘性流体を用
いる各種装置のエネルギー効率を大巾に向上して、電気
粘性流体を作動させる電源関係の装置を小さくできるた
め、装置のコンパクト化を可能にした。このような本発
明は、電気粘性流体のクラッチ、バルブ、衝撃吸収体等
の産業上の応用を可能にする道を開くものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気中の湿度と炭素質粉末の水分量との関係を
示すグラフである。
【図2】炭素質粉末のC/Hおよび水分含有量と、電気
粘性特性との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鳥 居 孝 行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 長 山 勝 博 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 羽多野 仁 美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 ▲高▼木 香 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 福 田 典 良 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 丸 山 隆 之 東京都小平市小川東町3−1−1 株式会 社ブリヂストン研究開発第二本部内 (72)発明者 石 野 裕 一 東京都小平市小川東町3−1−1 株式会 社ブリヂストン研究開発第二本部内 (72)発明者 斎 藤 翼 東京都小平市小川東町3−1−1 株式会 社ブリヂストン研究開発第二本部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分を実質的に含有しないことを特徴とす
    る電気粘性流体用炭素質粉末。
  2. 【請求項2】前記水分含量が0.1重量%以下である請
    求項1に記載の電気粘性流体用炭素質粉末。
  3. 【請求項3】炭素原子と水素原子の数の比(C/H)が
    2.0〜3.5である請求項1または2に記載の電気粘
    性流体用炭素質粉末。
  4. 【請求項4】平均粒径が0.5〜40μmである請求項
    1〜3いずれかに記載の電気粘性流体用炭素質粉末。
JP5049623A 1992-05-01 1993-03-10 電気粘性流体用炭素質粉末 Pending JPH06191811A (ja)

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