JPH069206A - 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 - Google Patents

電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

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JPH069206A
JPH069206A JP4329689A JP32968992A JPH069206A JP H069206 A JPH069206 A JP H069206A JP 4329689 A JP4329689 A JP 4329689A JP 32968992 A JP32968992 A JP 32968992A JP H069206 A JPH069206 A JP H069206A
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coal
particle size
powder
carbonaceous
particles
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JP4329689A
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Takayuki Torii
居 孝 行 鳥
Takuji Haraoka
岡 卓 司 原
Katsuhiro Nagayama
山 勝 博 長
Hitomi Hatano
仁 美 羽多野
Noriyoshi Fukuda
田 典 良 福
Yuichi Ishino
野 裕 一 石
Takayuki Maruyama
山 隆 之 丸
Tasuku Saito
藤 翼 斎
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JFE Steel Corp
Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電気粘性流体の誘電粒子として優れた炭素質粉
末の製法の提供。 【構成】電気絶縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散させ
てなる電気粘性流体の誘電体粒子として使用される電気
粘性流体用炭素質粉末の製造方法において、石炭、石炭
系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、コークス類、石
油、石油系タール、石油系ピッチ及び樹脂類よりなる群
より選ばれる有機原料に最高温度300〜800℃の熱
処理を施して炭素質粒子を取得し、得られた該炭素質粒
子を粒度調整して得られる最大粒径50μm以下、平均
粒径0.5〜40μmの粉末に、前記熱処理に於ける最
高温度以下の温度で加熱処理および/または減圧処理を
施した後、さらに必要により解砕処理を施すことを特徴
とする電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】電気粘性流体とは流体に電圧を印
加することで、流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的に変
化する流体、いわゆるウィンズロー効果を示す流体で、
一般には電気絶縁性に優れた油状媒体中に誘電体粒子を
分散させることにより得られる。この電気粘性流体の特
徴は古くから知られ、クラッチ、バルブ、振動吸収装置
等への応用が期待されている。本発明は優れた電気粘性
効果を発現する電気粘性流体において、誘電体粒子とし
て使用される炭素質粉末の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に電気粘性流体に要求される性能と
しては、電場印加に対してエネルギー効率上、低電圧で
より大きな粘性変化を発現すると同時に、その時に流れ
る電流が少ないことに加え、固体粒子が油状媒体中で沈
降しないこと、さらに長期使用時に特性が低下しない
(例えば粘性変化量の低下、電流値の上昇)こと、およ
び使用温度による特性変化の小さいこと、電圧印加に対
する応答性に優れること等が挙げられる。
【0003】従来このような電気粘性流体としては、ト
ランス油、スピンドル油、塩化パラフィン等の電気絶縁
性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプン、セルロー
ス等の水、アルコールなどの高誘電性の液体吸収性固体
粒子を分散させたもの(米国特許第2886151号、
第3047507号あるいは日本国公開特許昭53−1
7585、昭53−93186、昭61−44998、
昭61−259752、昭62−95397、平1−2
07396等)、あるいは吸水した固体粒子を使用する
ことからくる長期使用時における特性低下、高温での性
能低下等を改善すべく表面に種々の高分子を被覆させた
粒子を分散させたもの等(公開特許昭47−1767
4、昭63−97694)が開示されている。こうした
提案にも関わらず、実用可能に充分な性能を有する電気
粘性流体が開発されているとは言いがたい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、電気粘性流体に
要求される性能を満足しうる誘電体粒子として、炭化度
などを制御した水等の高誘電性液体を必要としない炭素
質粉末の適用が本発明者らによって提案されている。該
炭素質粉末としては、以下に記述される特性を有するも
のが望ましいことが本発明者らの研究努力の結果、既に
明らかにされている(特開平3−279206)。
【0005】即ち炭素質粉末の元素分析における炭素原
子と水素原子の数の比C/H値が1.70〜3.50
(好ましくは2.20〜3.00)あるいは熱天秤によ
る窒素雰囲気下での400〜600℃の範囲における重
量減少量が0.5〜13.0重量%であること、最大粒
径が50μm以下、平均粒径が0.5〜40μmである
ことが望ましい。ここで記述される粒径とはコールター
カウンターで50μmのアパチャーチューブを用いて測
定されるものである。
【0006】こうした特性を有する炭素質粉末は、原料
である石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油
系タール、石油系ピッチ、樹脂類等の有機化合物をオー
トクレーブ、キルン、電気炉等により最高温度が300
〜800℃の熱処理によって、熱処理、粉砕後のC/H
値および400〜600℃での熱天秤分析による重量減
少量を前述の数値に制御する。熱処理温度および時間は
原料によって異なるので適宜調整する。例えば、コール
タールピッチでは400〜600℃で5時間以上、フェ
ノール樹脂では500〜600℃で3時間以上である。
さらに必要に応じてボールミル、ジェットミル等で粉
砕、ふるい分け、風力分級機等で分級して粒度調整する
方法によって製造可能であることも、本発明者らによっ
て既に明らかにされている(特開平3−27920
6)。
【0007】しかし、上述の方法によって製造された炭
素質粉末を用いて調製した流体は、その粉体濃度にもよ
るが、より高電圧を印加するとしばしば粘度、電流が、
10分程度の短時間の間に乱れて変動し、不安定になる
傾向が認められた。このような性能の乱れ、不安定性は
実用上好ましくない性状であり、該流体の実用化のため
には、高電圧負荷時の性能安定化が不可欠であった。
【0008】かくして、本発明は本発明者らが先に提案
した電気粘性流体の誘電体粒子として用いられる優れた
炭素質粉末をさらに改良し、流体に高電圧を印加しても
粘度、電流が乱れることのない炭素質粉末の製法を提供
することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】電気粘性効果の発現機構
は充分には解明されていない。しかし、一般には外部電
場の印加により粒子表面で分極が生じ、この分極した粒
子が静電引力により相互に引き合う結果、見掛け粘度が
増大すると考えられている。したがって、絶縁性の油状
媒体に誘電体粒子を分散させてなる電気粘性流体の性能
には、界面となる粒子表面の性状が影響を及ぼすことは
明らかである。
【0010】こうした観点から上述した製造方法によっ
て得られた炭素質粉末を用いた流体の粘度、電流が不安
定になる原因として以下のことが考えられた。即ち、熱
処理により、C/Hの値及び400〜600℃の揮発分
すなわち熱天秤分析による重量減少量を前述の数値に制
御する。一方炭素質粉末中の低沸点成分の一部が拡散し
きれずに内部に残存する。これを粉砕して粒径の制御を
おこなうため、低沸点成分の残存する部分が粒子表面に
露出してしまう。したがって、このように製造された炭
素質粉末は、表面に存在する低沸点成分の分布が広くな
ってしまい、十分に均質とは言いがたく、ひいては電気
粘性流体の性能の安定性を阻害し、粘度や電流が短時間
のうちに変動するという乱れをもたらすこととなる。
【0011】以上のことから本発明者らは、この問題を
解決する方法として実際に使用される粒径つまり電気絶
縁性の油状媒体に分散させる粒径において、粉末表面の
低沸点成分を均質に制御することが流体性能の安定性向
上に有効であることを見出した。即ち、C/Hの値及び
400〜600℃の揮発分すなわち熱天秤分析による重
量減少量を前述の数値に制御する熱処理および粒度調整
のための粉砕、分級を行った後、得られた粉末を、さら
に、該熱処理時の最高熱処理温度以下の温度で再加熱処
理および/または減圧処理を施すことにより、表面に存
在する低沸点成分を効率的に制御、除去し、これによっ
て表面が十分に均質な炭素質粉末が得られ、該粉末を用
いた流体の性能は、より高電圧の印加においても極めて
安定であり、電場印加時の粘性変化量を電流値の増加を
ともなうことなく増加できることを見出した。また、こ
のような低沸点成分を表す値として、熱天秤での室温〜
200℃での重量減少量が利用可能であることも見出し
た。この工程は、粉砕、分級して電気粘性流体として使
用する粒径に調整した粒子、すなわち、所定の製造方法
で得られる最大粒径50μm 以下、平均粒径0.5〜4
0μm の炭素質粉末を再加熱処理および/または減圧処
理することに意義があり、粉砕・分級前で再加熱処理お
よび/または減圧処理を繰り返しても安定性の向上は期
待できない。
【0012】しかし、上述のように粒度調整後に再熱処
理を施した粉末を電気粘性流体に使用した場合、電圧無
印加時の見かけ粘度(以後初期粘度と記す)が再加熱処
理前に比べて増加し、実用上好ましくない流体となるこ
とがしばしば起こるという予測できない解決すべき課題
が存在することを知った。
【0013】これは、初期粘度が低い流体を達成する炭
素質粉末は、所定の初期粘度が要求される流体におい
て、初期粘度が高い流体の炭素質粉末に比し、炭素質粉
末の配合量を高めることができ、その結果高い電気粘性
変化が実現できるためである。すなわち、電気粘性流体
に用いられる粉末としては流体に混合して用いた場合の
初期粘度が低いことが要求される。
【0014】上記の再加熱処理において、急速な昇温あ
るいはより高温での処理を行った粉末の場合に初期粘度
の増加が起こる。この初期粘度の増加をもたらす原因と
して、以下のことが考えられる。即ち粒度調整後の再度
の熱処理あるいは減圧処理において、急速な昇温等によ
り粉末表面成分がその融点より高温にさらされた場合、
粉末表面が溶融し粉末同士が融着する。このような粉末
は粒径が大きくなり、沈降が早くなるばかりでなく、形
状が複雑かつ異形(例えば瓢箪型)になり流体の電圧無
印加時の粘度(初期粘度)の増加をまねく。この解決手
段として本発明者らは、融着をおこした粉末に解砕処理
を施すことで再度の熱処理あるいは減圧処理前の粒度お
よび初期粘度に戻すことが可能で、これにより初期粘度
の増加が防止できることを見いだした。従って、本発明
は本発明者らが先に提案した電気粘性流体の誘電粒子と
して用いられる優れた炭素質粉末を更に改良し、流体に
3kV/mm 程度の高電圧を印加しても粘性変化の変動値
{粘性変化の10分間の測定値で、(最大値−最小値)
/平均値×100%}、電流値の変動値{電流値の10
分間の測定値で、(最大値−最小値)/平均値×100
%}を、いづれも6%以内に制御可能で、しかも初期粘
度が増加することの無い炭素質粉末の製法を提供するこ
とを目的とする。
【0015】かくして、本発明の第1の態様によれば、
電気絶縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散させてなる電
気粘性流体の誘電体粒子として使用される電気粘性流体
用炭素質粉末の製造方法において、石炭、石炭系ター
ル、石炭系ピッチ、石炭液化物、コークス類、石油、石
油系タール、石油系ピッチ及び樹脂類よりなる群より選
ばれる有機原料に最高温度300〜800℃の熱処理を
施して炭素質粒子を取得し、得られた該炭素質粒子を粒
度調整して得られる最大粒径50μm以下、平均粒径
0.5〜40μmの粉末に、前記熱処理に於ける最高温
度以下の温度で加熱処理および/または減圧処理を施す
ことを特徴とする電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
が提供される。
【0016】また、本発明の第2の態様によれば電気絶
縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散させてなる電気粘性
流体の誘電体粒子として使用される電気粘性流体用炭素
質粉末の製造方法において、石炭、石炭系タール、石炭
系ピッチ、石炭液化物、コークス類、石油、石油系ター
ル、石油系ピッチ及び樹脂類よりなる群より選ばれる有
機原料に最高温度300〜800℃の熱処理を施して炭
素質粒子を取得し、得られた該炭素質粒子を粒度調整し
て得られる最大粒径50μm以下、平均粒径0.5〜4
0μmの粉末に、前記熱処理における最高温度以下の温
度で加熱処理および/または減圧処理を施した後、さら
に解砕処理を施すことを特徴とする電気粘性流体用炭素
質粉末の製造方法が提供される。
【0017】かかる炭素質粉末の具体的製造方法につい
て、更に詳細に説明する。通常原料は石炭系タール、石
炭系ピッチ、石炭液化物、石油系タール、石油系ピッ
チ、樹脂類等の有機化合物が使用できる。ここで、ター
ル、ピッチ中にフリーカーボン、アッシュ(Ash) が含有
される場合には必要に応じてこれを除去することが好ま
しい。具体的には、遠心分離法や各種の溶剤を添加する
ことによる静置分離法等、一般に工業的に実施されてい
る方法が適用可能である。
【0018】原料をオートクレーブ、キルン、流動層、
電気炉などを単独あるいは併用して、最高温度300〜
800℃で熱処理し、C/Hの値および熱天秤による窒
素雰囲気下での400〜600℃の重量減少量を目的と
する値に調整する。
【0019】即ち、C/Hの値を1.70〜3.50、
好ましくは2.00〜3.50、特には2.20〜3.
00となるように調整するか400〜600℃の温度範
囲における重量減少量(熱天秤(TGA)で測定)を
0.5〜13.0重量%、好ましくは0.5〜6.0重
量%の範囲となるように調整する。これは熱処理温度と
処理時間を適切に設定することにより達成することがで
きる。例えば、コールタールピッチでは400〜600
℃で5時間以上、フェノール樹脂では500〜600℃
で3時間以上である。勿論回分式、連続式いずれの方法
によっても実施することができる。またこの熱処理は適
宜に複数回に分けて行うこともできる。
【0020】このような熱処理工程によって得られた炭
素質粒子について粒度調整の工程に付し、最大粒径50
μm以下、平均粒径が0.5〜40μm、より好ましく
は平均粒径2〜40μm、特には平均粒径が2〜10μ
mの微粒子を取得する。
【0021】この工程は、通常の粉砕、分級装置を用い
て行うことができ、例えば、ジェットミル、ボールミル
および風力分級機、篩分けなど一般に工業的に行われて
いる装置及び方法が利用できる。
【0022】上記の如く電気粘性流体に使用される粒度
に調整された粉末を前記の熱処理工程(最大粒径50μ
m 以下、平均粒径を0.5〜40μm とする粒度調製の
前の熱処理工程)における最高温度以下の温度で、再加
熱処理および/または減圧処理を行う。このような再加
熱処理および/または減圧処理によって熱天秤での室温
〜200℃での重量減少量を0.01重量%未満(TG
Aでの検出限界)となるように処理条件を調整する。再
加熱処理における処理温度は50℃以上、好ましくは2
00℃以上、減圧処理における処理温度は0℃以上、好
ましくは50℃以上、特に好ましくは100℃以上が望
ましい。減圧処理工程は、0〜760mmHg(絶対圧)、
好ましくは0〜200mmHg(絶対圧)、さらに好ましく
は0〜20mmHg(絶対圧)で行うことができる。再加熱
処理工程と減圧処理工程は、それぞれ単独で行ってもよ
いし、同時に行ってもよいし、連続した工程として行っ
てもよい。このような再加熱処理または減圧処理により
粉末表面に存在する低沸点成分を効果的に制御、除去す
ることができ、C/H等の主特性を保持したまま、表面
の均質な炭素質粉末が製造される。このような炭素質粉
末を使用した電気粘性流体は、使用中の安定性の向上が
達成されているのみならず、電場印加時における電流値
を変えることなく、粘性変化量が再加熱処理および/ま
たは減圧処理前に比べて高くなる。また、このような炭
素質粉末を使用した電気粘性流体は、流体に3kV/mm 程
度の高電圧を印加しても前記粘性変化の変動値、電流値
の変動値を、いずれも6%以内に制御可能となる。再加
熱処理および/または減圧処理の温度が前記最高処理温
度をこえる場合、C/Hなどの炭素質粉末の主特性が変
わってしまい、使用中の安定性の向上は達成されるが、
粘性変化量、電流値は、ともに増加してしまう。
【0023】再加熱処理工程はキルン、流動層、電気炉
などの装置を用いて、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気
下で行われる。また、加熱温度にも依存するが、通常3
0分以上、より好ましくは1時間以上再加熱処理を行
う。減圧処理工程は、通常30分以上、より好ましくは
1時間以上減圧処理を行う。
【0024】本発明の第2の態様においては上記の再加
熱処理および/または減圧処理で得られた炭素質粉末を
解砕処理を行い再加熱処理前の粒度とほぼ同一の粒度に
調整する。本解砕処理により、再加熱処理後の炭素質粉
末の平均粒径を再加熱処理前の平均粒径の150%以
下、80%以上に調製する。150%超では、電気粘性
流体の初期粘度が高く、80%未満まで解砕処理を行な
うと、前記のように低沸点成分の残存する部分が粒子表
面に新たに露出してしまい粘度や電流値の変動が大とな
るため好ましくない。この解砕処理はボールミル、ハン
マー式ミルなどの一般の粉砕機を用いることによって行
うことができる。本第2の態様においても再加熱処理お
よび/または減圧処理における処理条件は、第1の態様
で説明したと同様である。
【0025】このようにして得られた炭素質粉末をトラ
ンス油、スピンドル油、塩化パラフィン、シリコンオイ
ルなどに配合することにより、高電圧の印加においても
粘度、電流が安定で、初期粘度が低く、電気粘性特性に
優れた極めて安定な流体を得ることができる。前記炭素
質粉末の含有量は1〜60重量%、好ましくは20〜5
0重量%であり、前記電気絶縁性油の含有量は99〜4
0重量%、好ましくは80〜50重量%である。炭素質
粉末の量が1重量%未満では電気粘性効果は小さく、6
0重量%を超えると電場がないときの初期粘度が著しく
大きくなり流動性が低下する。
【0026】本発明で用いる熱天秤分析(TGA)と
は、炭素材料の分析手段の一つであり、炭素材料を所定
の温度範囲で加熱し、この温度範囲における積算重量減
少量を測定するものであり、炭素材料の内部に存在する
揮発成分量の1つの指標として用いることができる。本
発明における分析条件は、 試料量 200mg 雰囲気 窒素 昇温条件 室温から1000℃の範囲、10℃/分 測定項目 重量変化
【0027】
【実施例】以下更に具体的な実施例で説明する。なお、
本発明は以下の実施例によって何ら制約されない。 (比較例1)フリーカーボン(QI:キノリン不溶分)
を含有しないコールタールを20リットルのオートクレ
ーブを使用して450℃で3時間窒素雰囲気中で第1回
目の熱処理を行った。得られた熱処理物をタール系中油
(沸点範囲120〜250℃)を用いて抽出、濾過し
た。この濾過残物を内容積35リットルのバッチ型回転
反応炉を使用し、温度490℃、3時間、5.0リット
ル/分の窒素気流下で第2回目の熱処理を行い、0.1
〜20mmの大きさの炭素質粉末を得た。かかる炭素質
粉末を更にジェットミルで粉砕後、風力分級機を使用し
て、平均粒径約3μmに調整した。粒径の測定は、コー
ルターカウンターを使用し50μmのアパチャーチュー
ブを用いて行った。250μm 径のアパチャーチューブ
を用いた測定では、粒径50μm を超える粒子は検出さ
れなかった。こうして得られた炭素質粉末のC/Hの値
は2.32であった。また、TGA(熱天秤)による測
定の結果、かかる炭素質粉末の400〜600℃および
室温〜200℃での重量減少はそれぞれ3.7重量%、
0.02重量%であった。かかる炭素質粉末を電気絶縁
性油状媒体である室温で10cpのシリコンオイルに3
6重量%分散させ電気粘性流体を得た。
【0028】この電気粘性流体に室温で2kV/mm の電圧
をかけ、流体の粘性変化と流体中を流れる電流値を測定
し、電気粘性流体としての性能を評価した。粘度の測定
は、二重円筒型回転粘度計を使用し、内外円筒間に直流
電圧を印加した時の剪断速度366/secにおける見掛け
粘度を測定した。その結果、室温における初期粘度(電
圧無印加時の見掛け粘度)は0.65ポイズ、2kV/mm 印加
時の室温における粘性変化は2.6ポイズ、電流値は
0.05mAであった。さらに、室温で流体に3kV/mm
の電圧を印加して保持したところ、表1に示すように粘
度、電流ともに変動して測定値が乱れ不安定となった。
【0029】(実施例1)比較例1で得られた炭素質粉
末を内容積35リットルのバッチ型の回転反応炉を使用
し、温度350℃、5.0リットル/分の窒素気流下で
6時間再加熱処理した。得られた炭素質粉末の平均粒径
は、5.0μm であり、粒径50μm を超える粒子は検
出されなかった、また、C/Hの値は2.32、熱天秤
による400〜600℃および室温〜200℃での重量
減少はそれぞれ3.7重量%、0.01重量%未満(検
出限界)であった。かかる炭素質粉末を用いて比較例1
と同様の方法で電気粘性流体を調製した。
【0030】この電気粘性流体の性能を比較例1と同様
の方法で評価した。その結果、室温における初期粘度は
0.90ポイズ、2kV/mm 印加時の粘性変化は5.5ポ
イズであり、電流値の増加を伴うことなく粘性変化を大
巾に増加できた。さらに3kV/mm 印加時でも粘度、電流
ともに安定で良好な電気粘性効果を示した。しかし、比
較例1に比べ再度の熱処理時に粒子同士が融着を起こし
たことで、流体の初期粘度が増加し電気粘性流体として
の性能が低下した。
【0031】(実施例2)実施例1で得られた炭素質粉
末をアトマイザー(ハンマー式ミル)で解砕し、実施例
1の再度の熱処理前の粒度と同じ平均粒径3μmの炭素
質粉末を得た。また、粒径50μm を超える粒子は検出
されなかった。かかる炭素質粉末を用いて比較例1と同
様の方法で電気粘性流体を調整した。
【0032】この電気粘性流体の性能を比較例1と同様
の方法で評価した。その結果、室温における初期粘度は
0.64ポイズ、2kV/mm 印加時の粘性変化は5.5ポ
イズであった。実施例1に比べ、解砕処理を施すことで
融着した粉末が分離し、より高電圧下での粘度、電流値
の安定性を維持したまま初期粘度の低い良好な電気粘性
流体が得られた。
【0033】(実施例3)比較例1で得られた粒度調製
後の炭素質粉末を温度200℃、圧力1mmHg(絶対圧)
で4時間減圧処理を行った。得られた炭素質粉末の平均
粒径は3.0μmであった。50μm を超える粒子は検
出されなかった。得られた炭素質粉末の熱天秤による室
温〜200℃での重量減少は、0.01重量%未満であ
った。かかる炭素質粉末を用いて比較例1と同様の方法
で電気粘性流体を調整した。
【0034】この電気粘性流体の性能を比較例1と同様
の方法で評価した。その結果、室温における2kV/mm 印
加時の粘性変化は5.5ポイズ、電流値は0.05mA
であった。さらに3kV/mm 印加時でも粘度、電流ともに
測定値に変動が見られず、極めて安定であった。粒度調
整後の炭素質粉末に減圧処理を施すことにより、炭素質
粉末表面の低沸点成分が除去され、表面が均質になった
ためと考えられる。表1にこれら電気粘性流体の室温に
おける性能試験結果を示す。
【0035】(実施例4)比較例1で得られた粒度調整
後の炭素質粉末を温度250℃、1mmHg(絶対圧)
以下で6時間減圧処理を行った。得られた炭素質粉末の
平均粒径は4.8μm であり、粒径50μm を超える粒
子は検出されなかった、また、C/Hの値は2.32、
熱天秤による400〜600℃および室温〜200℃で
の重量減少はそれぞれ3.7重量%、0.01重量%未
満であった。かかる炭素質粉末を用いて比較例1と同様
の方法で電気粘性流体を調整した。
【0036】この電気粘性流体の性能を比較例1と同様
の方法で評価した。その結果、室温における初期粘度は
0.87ポイズ、2kV/mm 印加時の粘性変化は5.4ポ
イズであり、電流値の増加を伴うことなく粘性変化を大
巾に増加できた。さらに3kV/mm 印加時でも粘度、電流
ともに安定で良好な電気粘性効果を示した。しかし、比
較例1に比べ加熱減圧処理時に粒子同士が融着を起こし
たことで、流体の初期粘度が増加し電気粘性流体として
の性能が低下した。
【0037】(実施例5)実施例4で得られた炭素質粉
末をアトマイザー(ハンマー式ミル)で解砕し、実施例
4の加熱減圧処理前の粒度と同じ平均粒径3μmの炭素
質粉末を得た。粒径50μm を超える粒子は検出されな
かった。かかる炭素質粉末を用いて比較例1と同様の方
法で電気粘性流体を調整した。
【0038】この電気粘性流体の性能を比較例1と同様
の方法で評価した。その結果、室温における初期粘度は
0.64ポイズ、2kV/mm 印加時の粘性変化は5.3ポ
イズで、3kV/mm 印加時の粘度、電流値も安定であっ
た。実施例4に比べ、解砕処理を施すことで融着した粉
末が分離し、より高電圧下での粘度、電流値の安定性を
維持したまま初期粘度の低い良好な電気粘性流体が得ら
れた。表1にこれら電気粘性流体の室温における性能試
験結果を示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明は、従来ほとんど検討されていな
かった炭素質粉末の電気粘性流体への適用を可能にした
もので、本製造方法による炭素質粉末を誘電体粉末とし
て使用することにより、電気粘性流体使用時の粘度、電
流値の安定性が優れ、電気粘性流体の初期粘度が低く、
電場印加時の粘性変化量が高く、電流値が低いという極
めて優れた電気粘性効果を有する電気粘性流体を製造可
能とした。この電気粘性流体は、従来の電気粘性流体の
最大の問題点とされていた吸水性固体粒子を使用するこ
とからくる長期的な使用に対する不安定性及び温度に対
する不安定性を解決し、電気粘性流体のクラッチ、バル
ブ、衝撃吸収等の産業上の応用を可能にする道を開くも
のである。
フロントページの続き (72)発明者 原 岡 卓 司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 長 山 勝 博 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 羽多野 仁 美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 福 田 典 良 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 石 野 裕 一 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 丸 山 隆 之 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 斎 藤 翼 東京都小平市小川東町3−1−1

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気絶縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散
    させてなる電気粘性流体の誘電体粒子として使用される
    電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法において、石炭、
    石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、コークス
    類、石油、石油系タール、石油系ピッチ及び樹脂類より
    なる群より選ばれる有機原料に最高温度300〜800
    ℃の熱処理を施して炭素質粒子を取得し、得られた該炭
    素質粒子を粒度調整して得られる最大粒径50μm以
    下、平均粒径0.5〜40μmの粉末に、前記熱処理に
    於ける最高温度以下の温度で加熱処理および/または減
    圧処理を施すことを特徴とする電気粘性流体用炭素質粉
    末の製造方法。
  2. 【請求項2】電気絶縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散
    させてなる電気粘性流体の誘電体粒子として使用される
    電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法において、石炭、
    石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、コークス
    類、石油、石油系タール、石油系ピッチ及び樹脂類より
    なる群より選ばれる有機原料に最高温度300〜800
    ℃の熱処理を施して炭素質粒子を取得し、得られた該炭
    素質粒子を粒度調整して得られる最大粒径50μm以
    下、平均粒径0.5〜40μmの粉末に、前記熱処理に
    於ける最高温度以下の温度で加熱処理および/または減
    圧処理を施した後、さらに解砕処理を施すことを特徴と
    する電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法。
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