JPH0718263A - 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 - Google Patents

電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

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JPH0718263A
JPH0718263A JP5162292A JP16229293A JPH0718263A JP H0718263 A JPH0718263 A JP H0718263A JP 5162292 A JP5162292 A JP 5162292A JP 16229293 A JP16229293 A JP 16229293A JP H0718263 A JPH0718263 A JP H0718263A
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carbonaceous powder
electrorheological fluid
tar pitch
heat treatment
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JP5162292A
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木 香 ▲高▼
Ko Takagi
Takuji Haraoka
岡 卓 司 原
Hitomi Hatano
仁 美 羽多野
Noriyoshi Fukuda
田 典 良 福
Takayuki Maruyama
山 隆 之 丸
Tasuku Saito
藤 翼 斎
Takao Ogino
野 隆 夫 荻
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電圧印加中の粘度が従来に比べ極めて安定して
いる、優れた電気粘性特性を有する電気粘性流体を実現
可能な炭素質粉末の製造方法を提供する。 【構成】軟化点80〜110℃のタールピッチを400
〜500℃で熱処理することにより光学的異方性を有す
る小球体を発生させ、この小球体を除去した残タールピ
ッチに、最高温度300〜800℃の熱処理を施した
後、粒度調整を行うことにより前記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】電気粘性流体とは流体に電圧を印
加することで、流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的に変
化する流体、いわゆるウィンズロー効果を示す流体で、
一般には電気絶縁性に優れた油状媒体中に誘電体粒子を
分散させることにより得られる。この電気粘性流体の特
徴は古くから知られ、クラッチ、バルブ、振動吸収装置
等への応用が期待されている。本発明は、優れた電気粘
性効果を発現する電気粘性流体を実現できる誘電体粒子
として使用される炭素質粉末の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般に電気粘性流体に要求される性能と
しては、エネルギー効率上、低電圧の印加でより大きな
粘性変化を発現すると同時に、その時に流れる電流が少
ないことに加え、固体粒子が油状媒体中で沈降しないこ
と、さらに長期使用時に特性が低下しない(例えば粘性
変化量の低下、電流値の上昇)こと、および使用温度に
よる特性変化の小さいこと、電圧印加に対する応答性に
優れること、電圧の印加中に粘度および電流値が経時的
に変動しないこと、電圧を印加しないときの流体の粘度
(以下、初期粘度とする)ができるだけ低いこと等が挙
げられる。
【0003】すなわち、低電流の外部電界下で大きな粘
性変化を実現できれば、電気粘性流体を用いる各種装置
のエネルギー効率を向上することが可能となる。また、
初期粘度が低い電気粘性流体を達成できる固体粒子は、
所定の初期粘度が要求される電気粘性流体において、初
期粘度が高い電気粘性流体の固体微粒子に比べて流体中
の固体粒子の配合量を高めることができ、その結果高い
電気粘性変化が実現できる。さらに電圧印加中の粘度お
よび電流値が変動すると、その電気粘性流体を利用する
デバイス(装置)の制御が困難となり、しかも十分な粘
度変化が得られず実用上問題となる。
【0004】従来このような電気粘性流体としては、ト
ランス油、スピンドル油、塩化パラフィン等の電気絶縁
性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプン、セルロー
ス等の水、アルコールなどの高誘電性の液体吸収性固体
粒子を分散させたもの(米国特許第2886151号、
第3047507号の各明細書や、特開昭53−175
85号、同53−93186号、同61−44998
号、同61−259752号、同62−95397号、
特開平1−207396号の各公報等)、あるいは吸水
した固体粒子を使用することからくる長期使用時におけ
る特性低下、高温での性能低下等を改善すべく、表面に
種々の高分子を被覆させた粒子を分散させたもの等(特
開昭47−17674号、同63−97694号の各公
報等)が開示されている。こうした提案にも関わらず、
実用可能で充分な性能を有する電気粘性流体が開発され
ているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、電気粘性流体に
要求される性能を満足しうる誘電体粒子として、水等の
高誘電性液体を必要としない、炭化度(元素分析におけ
る炭素原子と水素原子の数の比=C/H)などを制御し
た炭素質粉末の利用が特開平3−279206号公報に
開示されている。このような炭素質粉末は、基本的に、
石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系ター
ル、石油系ピッチ、樹脂類等の有機化合物を原料として
用い、この原料をオートクレーブ、キルン、電気炉等に
より最高温度が300〜800℃での熱処理を施した
後、熱処理によって得られたものを粉砕および分級する
ことによって製造される。
【0006】また、この炭素質粉末としては、以下に記
述される特性を有するものが望ましいことも前記特開平
3−279206号公報に開示されている。すなわち、
C/Hが1.70〜3.50、あるいはさらに熱天秤に
よる重量分析の結果(TGA)が窒素雰囲気下での40
0〜600℃の範囲における重量減少量が0.5〜1
3.0重量%であること、さらに最大粒径が50μm以
下で、平均粒径が0.5〜40μmであることが望まし
い。そのため、上記特性を実現するように、熱処理工程
や粉砕・分級工程が調整される。
【0007】ところが、上記炭素質粉末を用いて調製し
た電気粘性流体は、低電圧でより大きな粘性変化を発現
すると同時に、その時に流れる電流が少ない、吸水性固
体粒子を使用することからくる長期的な使用に対する不
安定性および温度に対する不安定性を解決した等の点で
は優れた電気粘性特性を発現するものの、製造方法や原
料の選択によっては、電場印加中に粘度の変動が発生し
て、十分な電気粘性効果を発現できない場合があり、こ
の点を改良した、さらに優れた電気粘性特性を発現する
電気粘性流体の出現が待ち望まれている。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、電圧印加中の粘度の変動が従来に
比べて小さく応答性に優れる、電圧印加時の電流値が小
さい等、優れた電気粘性特性を有する電気粘性流体を実
現できる電気粘性流体用炭素質粉末を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】電気粘性効果の発現機構
は充分には解明されていない。しかし、一般には外部電
場の印加により粒子表面で分極が生じ、この分極した粒
子が静電引力により相互に引き合う結果、見掛け粘度が
増大すると考えられている。ここで、本発明者の検討に
よれば、この分極の程度は、前述の炭素質粉末のC/H
やTGAによる重量減少量、すなわち炭素質粉末の成分
の変化による電気的特性の変化と大きな関連性を有す
る。
【0010】つまり、電気粘性流体においては、使用す
る炭素質粉末の個々の粒子の電気的特性が同一であるな
らば、誘電分極による静電引力も電気電導度も同一であ
るので、電気粘性流体の特性は安定しており、電圧の印
加中に粘度等が変化することはない。ところが、炭素質
粉末の個々の粒子に電気的特性のバラツキが存在する場
合には、分極による静電引力や電気電導度が粒子によっ
て異なる。そのため、引き合う相手粒子によって粒子間
に働く引力、また粒子間で流れる電流が異なってしま
い、その結果、電圧印加時の粘度や電流値に経時的な変
動が生じてしまう。また、このような場合には十分な電
気粘性効果を発現できなくなってしまう。
【0011】従って、炭素質粉末の電気的特性、特にC
/Hのバラツキがなければ、このような粘度の変動等を
生じることはない。ここで、本発明者らはさらに検討を
重ね、炭素質粉末のC/Hのバラツキを小さくするため
には、原料となるタールピッチに含有される、特定の熱
処理によって発生する光学的異方性を有する小球体(以
下、小球体とする)を取り除き、これらを取り除いたタ
ールピッチを熱処理および粒度調整して炭素質粉末を製
造するのが好適であり、これを原料として製造された炭
素質粉末を用いて調製された電気粘性流体は、電圧印加
時に粘度が安定していることを見出した。
【0012】本発明は、上記知見を得ることによって成
されたものであり、すなわち、軟化点80〜110℃の
タールピッチを400〜500℃で熱処理することによ
り光学的異方性を有する小球体を発生させ、この小球体
を除去した残タールピッチに、最高温度300〜800
℃の熱処理を施した後、粒度調整を行うことを特徴とす
る電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法を提供する。
【0013】また、得られた電気粘性流体用炭素質粉末
の炭素原子と水素原子の数の比が1.7〜3.5で、平
均粒径が0.5〜40μmとなるように前記熱処理およ
び粒度調整を行うのが好ましい。
【0014】
【構成】以下、本発明の電気粘性流体用炭素質粉末(以
下、炭素質粉末とする)の製造方法について詳細に説明
する。
【0015】本発明の炭素質粉末の製造方法は、タール
ピッチ(以下、便宜的に粗タールピッチと称する)を4
00〜500℃で熱処理し、この熱処理で発生した小球
体を取り除いて、小球体を取り除いた残タールピッチ
(同、原料タールピッチと称する)を、熱処理および粒
度調整して炭素質粉末を製造する。
【0016】利用可能な粗タールピッチには特に限定は
なく、石油系タール、石油系ピッチ、石炭系タール、石
炭系ピッチ等、軟化点が80〜110℃であれば、公知
のいわゆるコールタールピッチがいずれも利用可能であ
る。
【0017】本発明においては、このような粗タールピ
ッチを400〜500℃で熱処理することにより、(光
学異方性)小球体を生じさせ(以下、この小球体発生の
ための熱処理を、便宜的に「前熱処理」と称する)、こ
の小球体を取り除いて原料タールピッチとする。粗ター
ルピッチ中に含有される成分のうち、400〜500℃
の前熱処理によって小球体となる成分は、炭素質粉末の
製造工程における300〜800℃での熱処理で炭化が
進みやすい(C/Hが大きくなる)成分である。そのた
め、この小球体となる成分を含有した状態で300〜8
00℃での熱処理を行って炭素質粉末を製造すると、得
られた炭素質粉末の個々の粒子のC/Hにバラツキが生
じてしまい、これを用いた電気粘性流体が電圧印加中に
粘度に変動を生じてしまい、また、電圧印加時における
電流値の増大にもつながる。
【0018】本発明においては、粗タールピッチを40
0〜500℃で前熱処理して小球体を発生させ、これを
取り除いた原料タールピッチを300〜800℃で熱処
理することにより、炭素質粉末の個々の粒子のC/Hの
バラツキを小さくすることができ、電圧印加時に粘度変
動の小さい安定した電気粘性を発揮する電気粘性流体を
実現することができる。
【0019】しかも、本発明の製造方法においては、上
記小球体の除去工程において、Ashや重質分も同時に
除去することができるという利点も有する。ここで、炭
素質粉末に含有されるAsh(金属分)は、電気粘性流
体を調製して電圧を印加した際にスパークを起こし、こ
の電気粘性流体を使用する装置の電気系統に支障をきた
す恐れのある成分である。さらに、重質分はタールピッ
チ中におけるキノリン不溶分(QI)として定量される
フリーカーボンであって、炭素質粉末にこれが存在する
と、電気粘性流体に電圧を印加した際に流れる電流値が
大きくなってしまい、エネルギー効率上好ましくない。
【0020】従って、前記小球体(となる成分)のみな
らず、灰分や重質分をも取り除いた原料タールピッチを
300〜800℃で熱処理して粒度調整する、本発明の
製造方法による炭素質粉末を用いて電気粘性流体を調製
することにより、電圧印加中の粘度が安定している、危
険が少ない、電圧印加時の粘度変化が大きくかつ電流値
が小さい等、極めて優れた電気粘性特性を有する電気粘
性流体を実現することができる。
【0021】なお、本発明の製造方法において、小球体
を生成するための400〜500℃の前熱処理の時間は
10分程度である。
【0022】小球体が発生した粗タールピッチより小球
体を取り除く方法としては、各種の方法が利用可能であ
るが、溶媒抽出による方法や遠心分離による方法が好適
に例示される。
【0023】溶媒抽出による小球体の除去は、小球体が
発生した粗タールピッチと、芳香族系タール中油、軽
油、トルエン、ベンゼン等の抽出溶媒とを混合し、小球
体等の不要分を濾別除去し、溶液として得られたタール
ピッチを脱溶剤して、原料タールピッチとする。濾別後
の脱溶剤の温度は、使用した抽出溶媒に応じて適宜決定
すればよいのはもちろんである。
【0024】一方、遠心分離による小球体の除去は、小
球体が発生した粗タールピッチを遠心分離機に掛け、遠
心分離によって小球体を沈降させて分離して小球体を除
去し、原料タールピッチを得る。
【0025】次いで、得られた原料タールピッチを、オ
ートクレーブ、キルン、流動層、電気炉などを単独であ
るいは併用して、最高温度300〜800℃、好ましく
は300〜500℃で熱処理し、C/Hの値、好ましく
はさらにTGAによる窒素雰囲気下での400〜600
℃の重量減少量を前記の目的とする値に調整する。
【0026】この熱処理はオートクレーブ等を用いて窒
素気流下等の非酸化性雰囲気で最高温度300〜800
℃で行えばよい。なお、熱処理は1回で行ってもよく、
あるいは複数回で行ってもよい。また複数回の熱処理の
間には、必要に応じて、不要分を溶解して除去するため
溶剤抽出工程や粒度調整工程を設けてもよい。また、熱
処理は回分式、連続式いずれの方法で実施してもよい。
【0027】本発明においては、この熱処理によって得
られる炭素質粉末のC/Hの値を好ましくは1.70〜
3.50、より好ましくは2.00〜3.50、特には
2.20〜3.00となるように調整し、さらに好まし
くは、TGAによる窒素雰囲気下での400〜600℃
の温度範囲における重量減少量を0.5〜13.0重量
%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲となるよう
に調整する。これは熱処理温度と処理時間を適切に設定
することにより達成することができる。
【0028】C/Hを1.70〜3.50の範囲に調整
することにより、得られた炭素質粉末で電気粘性流体を
調製した際に、十分な電気粘性特性を得ることができ、
しかも、電圧を印加した際の電流値が小さいエネルギー
効率の良好な電気粘性流体を実現することができる。ま
た、C/Hを2.00〜3.50の範囲、さらに2.2
0〜3.00の範囲とすることにより、この特性はより
顕著になる。
【0029】このような熱処理工程によって得られた炭
素質粉末について、粉砕および分級を行って、好ましく
は平均粒径が0.5〜40μm、より好ましくは平均粒
径2〜40μm、特には平均粒径が2〜10μmの炭素
質粉末を取得する。炭素質粉末の平均粒径を上記範囲に
調整することにより、電気粘性流体を調製した際に炭素
質粉末が沈降することなく均一かつ良好に油状溶媒に分
散することができ、また、電気粘性流体の初期粘度を好
適に小さくできる等の点で、より良好な結果を得ること
ができる。
【0030】この工程は、通常の粉砕、分級装置を用い
て行うことができ、例えば、ジェットミル、ボールミ
ル、ハンマーミルおよび風力分級機、篩分けなど一般に
工業的に行われている装置及び方法が利用できる。
【0031】また、必要に応じて、粉砕および分級して
得られた炭素質粉末に、再加熱処理および/または減圧
処理を行ってもよい。この再加熱処理/減圧処理を行う
ことによって、粉末表面に存在する低沸点成分を効果的
に制御、除去することができ、C/H等の主特性を保持
したまま、表面が均質で、より優れた電気粘性特性を有
する電気粘性流体を実現できる炭素質粉末が製造可能と
なる。
【0032】再加熱処理および/または減圧処理をあま
り高温で行うと、炭素質粉末の主特性の変化や、電気粘
性流体とした時の電圧印加時の電流値の増加等が生じる
可能性があるので、再加熱処理および/または減圧処理
は、通常、粉砕・分級前の加熱処理の最高温度以下で行
われる。
【0033】このようにして得られた炭素質粉末をトラ
ンス油、スピンドル油、塩化パラフィン、シリコンオイ
ルなどの電気絶縁性油状媒体に配合することにより、高
電圧の印加においても粘度、電流が安定で、初期粘度が
低く、電気粘性特性に優れた極めて安定な電気粘性流体
を得ることができる。電気粘性流体における炭素質粉末
の含有量は1〜60重量%、好ましくは20〜50重量
%であり、前記電気絶縁性油状媒体の含有量は99〜4
0重量%、好ましくは80〜50重量%である。炭素質
粉末の量が1重量%未満では電気粘性効果は小さく、6
0重量%を超えると電場がないときの初期粘度が著しく
大きくなり流動性が低下する。
【0034】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
よって何ら制約されない。
【0035】[実施例1] (発明例1)軟化点86℃の粗タールピッチをオートク
レーブを使用して、450℃で10分間で前熱処理を行
い、光学異方性を有する小球体を発生させた。なお、前
熱処理を行う前の粗タールピッチ中には、700ppm
の灰分が含有されていた。小球体が発生したタールピッ
チと沸点範囲140〜270℃のタール中油とを重量比
で1:6に混合して、120℃で1時間抽出した後、濾
別して、小球体等の不要成分を除去した。溶液として得
られたタールピッチを脱溶剤して、原料タールピッチを
得た。なお、得られた原料タールピッチ中の灰分は、1
10ppmであった。
【0036】この原料タールピッチをオートクレーブを
使用して500℃で3時間、3リットル/分の窒素気流
下で第1回目の熱処理を行った。次いで、得られた熱処
理物をタール中油(沸点範囲120〜250℃)を用い
て抽出、濾過した。この濾過残物を、オートクレーブを
使用して温度485℃で3時間、10リットル/分の窒
素気流下で第2回目の熱処理を行い炭素質粉末を得た。
この炭素質粉末をジェットミルと風力分級機を用いて粉
砕・分級して、平均粒径3.4μmの炭素質粉末を得
た。炭素質粉末の平均粒径はコールターカウンターを使
用し50μm径のアパーチャーチューブを用いて測定し
た。得られた炭素質粉末のC/Hは2.3であった。
【0037】この炭素質粉末を粘度0.1ポイズ(P)
のシリコーン油に36重量%均一に分散させ、電気粘性
流体を得た。得られた電気粘性流体に、二重円筒型回転
粘度計を用いて、室温で2kV/mm の電圧を印加して、回
転粘度計で剪断速度366/sec下で5分間の流体の粘度
測定を行った。前記粘度測定において12秒毎の測定値
をとり、単回帰直線を算出して、各測定点の回帰からの
ズレ、すなわち偏差の平方和(σE )を求めることによ
り粘度の変動を測定した。結果を下記表1に示す。
【0038】(比較例1)小球体除去のための前熱処理
等を行わないで、第1回目の熱処理以降の工程のみで前
記実施例1と同様にして、C/Hが2.5、平均粒径
3.5μmの炭素質粉末を得た。この炭素質粉末を用
い、実施例1と同様にして電気粘性流体を調整し、粘度
の変動を計測した。結果を表1に併記する。
【0039】
【0040】上記表1に示される結果より、粗タールピ
ッチを前熱処理して小球体を取り除いた本発明の製造方
法にかかる炭素質粉末を用いた電気粘性流体は、小球体
の除去を行わない従来の製造方法による炭素質粉末を用
いた電気粘性流体に比べ、極めて良好な粘度安定性を有
するのが解る。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、軟化点80
〜110℃のコールタールピッチを400〜500℃で
熱処理(前熱処理)することにより光学的異方性を有す
る小球体を発生させ、この小球体を除去した残タールピ
ッチを熱処理する本発明によれば、電圧の印加中に粘度
の変動の小さい、優れた電気粘性特性を発揮する電気粘
性流体を実現できる炭素質粉末が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C10N 20:06 Z 40:14 70:00 (72)発明者 原 岡 卓 司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 羽多野 仁 美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 福 田 典 良 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 丸 山 隆 之 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 斎 藤 翼 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 荻 野 隆 夫 東京都小平市小川東町3−1−1

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟化点80〜110℃のタールピッチを4
    00〜500℃で熱処理することにより光学的異方性を
    有する小球体を発生させ、この小球体を除去した残ター
    ルピッチに、最高温度300〜800℃の熱処理を施し
    た後、粒度調整を行うことを特徴とする電気粘性流体用
    炭素質粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】得られた電気粘性流体用炭素質粉末の炭素
    原子と水素原子の数の比が1.7〜3.5で、平均粒径
    が0.5〜40μmとなるように前記熱処理および粒度
    調整を行う請求項1に記載の電気粘性流体用炭素質粉末
    の製造方法。
JP5162292A 1993-06-30 1993-06-30 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 Withdrawn JPH0718263A (ja)

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