JPH0718282A - 電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 - Google Patents
電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法Info
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- JPH0718282A JPH0718282A JP5162290A JP16229093A JPH0718282A JP H0718282 A JPH0718282 A JP H0718282A JP 5162290 A JP5162290 A JP 5162290A JP 16229093 A JP16229093 A JP 16229093A JP H0718282 A JPH0718282 A JP H0718282A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】優れた電気粘性特性を発現できる炭素質粉末を
利用した電気粘性流体であって、電圧印加中の粘度が従
来に比べ極めて安定している電気粘性流体、およびこの
電気粘性流体に用いられる炭素質粉末の製造方法を提供
する。 【構成】ピリジン不溶分を実質的に含有しないタールピ
ッチを熱処理および粒度調整して得られた炭素質粉末を
電気粘性流体の誘電体微粒子として用いることにより、
前記目的を達成する。
利用した電気粘性流体であって、電圧印加中の粘度が従
来に比べ極めて安定している電気粘性流体、およびこの
電気粘性流体に用いられる炭素質粉末の製造方法を提供
する。 【構成】ピリジン不溶分を実質的に含有しないタールピ
ッチを熱処理および粒度調整して得られた炭素質粉末を
電気粘性流体の誘電体微粒子として用いることにより、
前記目的を達成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】電気粘性流体とは流体に電圧を印
加することで、流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的に変
化する流体、いわゆるウィンズロー効果を示す流体で、
一般には電気絶縁性に優れた油状媒体中に誘電体粒子を
分散させることにより得られる。この電気粘性流体の特
徴は古くから知られ、クラッチ、バルブ、振動吸収装置
等への応用が期待されている。本発明は、優れた電気粘
性効果を発現する電気粘性流体、およびこの電気粘性流
体において、誘電体粒子として使用される炭素質粉末の
製造方法に関するものである。
加することで、流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的に変
化する流体、いわゆるウィンズロー効果を示す流体で、
一般には電気絶縁性に優れた油状媒体中に誘電体粒子を
分散させることにより得られる。この電気粘性流体の特
徴は古くから知られ、クラッチ、バルブ、振動吸収装置
等への応用が期待されている。本発明は、優れた電気粘
性効果を発現する電気粘性流体、およびこの電気粘性流
体において、誘電体粒子として使用される炭素質粉末の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に電気粘性流体に要求される性能と
しては、エネルギー効率上、低電圧の印加でより大きな
粘性変化を発現すると同時に、その時に流れる電流が少
ないことに加え、固体粒子が油状媒体中で沈降しないこ
と、さらに長期使用時に特性が低下しない(例えば粘性
変化量の低下、電流値の上昇)こと、および使用温度に
よる特性変化の小さいこと、電圧印加に対する応答性に
優れること、電圧の印加中に粘度および電流値が経時的
に変動しないこと、電圧を印加しないときの流体の粘度
(以下、初期粘度とする)ができるだけ低いこと等が挙
げられる。
しては、エネルギー効率上、低電圧の印加でより大きな
粘性変化を発現すると同時に、その時に流れる電流が少
ないことに加え、固体粒子が油状媒体中で沈降しないこ
と、さらに長期使用時に特性が低下しない(例えば粘性
変化量の低下、電流値の上昇)こと、および使用温度に
よる特性変化の小さいこと、電圧印加に対する応答性に
優れること、電圧の印加中に粘度および電流値が経時的
に変動しないこと、電圧を印加しないときの流体の粘度
(以下、初期粘度とする)ができるだけ低いこと等が挙
げられる。
【0003】すなわち、低電流の外部電界下で大きな粘
性変化を実現できれば、電気粘性流体を用いる各種装置
のエネルギー効率を向上することが可能となる。また、
初期粘度が低い電気粘性流体を達成できる固体粒子は、
所定の初期粘度が要求される電気粘性流体において、初
期粘度が高い電気粘性流体の固体微粒子に比べて流体中
の固体微粒子の配合量を高めることができ、その結果高
い電気粘性変化が実現できる。さらに電圧印加中の粘度
および電流値が変動すると、その電気粘性流体を利用す
るデバイス(装置)の制御が困難となり、しかも十分な
粘度変化が得られず実用上問題となる。
性変化を実現できれば、電気粘性流体を用いる各種装置
のエネルギー効率を向上することが可能となる。また、
初期粘度が低い電気粘性流体を達成できる固体粒子は、
所定の初期粘度が要求される電気粘性流体において、初
期粘度が高い電気粘性流体の固体微粒子に比べて流体中
の固体微粒子の配合量を高めることができ、その結果高
い電気粘性変化が実現できる。さらに電圧印加中の粘度
および電流値が変動すると、その電気粘性流体を利用す
るデバイス(装置)の制御が困難となり、しかも十分な
粘度変化が得られず実用上問題となる。
【0004】従来このような電気粘性流体としては、ト
ランス油、スピンドル油、塩化パラフィン等の電気絶縁
性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプン、セルロー
ス等の水、アルコールなどの高誘電性の液体吸収性固体
粒子を分散させたもの(米国特許第2886151号、
第3047507号の各明細書や、特開昭53−175
85号、同53−93186号、同61−44998
号、同61−259752号、同62−95397号、
特開平1−207396号の各公報等)、あるいは吸水
した固体粒子を使用することからくる長期使用時におけ
る特性低下、高温での性能低下等を改善すべく、表面に
種々の高分子を被覆させた粒子を分散させたもの等(特
開昭47−17674号、同63−97694号の各公
報等)が開示されている。こうした提案にも関わらず、
電気粘性流体に要求される種々の性能の面から、実用可
能に充分な性能を有する電気粘性流体が開発されている
とは言い難い。
ランス油、スピンドル油、塩化パラフィン等の電気絶縁
性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプン、セルロー
ス等の水、アルコールなどの高誘電性の液体吸収性固体
粒子を分散させたもの(米国特許第2886151号、
第3047507号の各明細書や、特開昭53−175
85号、同53−93186号、同61−44998
号、同61−259752号、同62−95397号、
特開平1−207396号の各公報等)、あるいは吸水
した固体粒子を使用することからくる長期使用時におけ
る特性低下、高温での性能低下等を改善すべく、表面に
種々の高分子を被覆させた粒子を分散させたもの等(特
開昭47−17674号、同63−97694号の各公
報等)が開示されている。こうした提案にも関わらず、
電気粘性流体に要求される種々の性能の面から、実用可
能に充分な性能を有する電気粘性流体が開発されている
とは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、電気粘性流体に
要求される性能を満足しうる誘電体粒子として、水等の
高誘電性液体を必要としない、炭化度(元素分析におけ
る炭素原子と水素原子の数の比=C/H)などを制御し
た炭素質粉末の利用が特開平3−279206号公報に
開示されている。このような炭素質粉末は、基本的に、
石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系ター
ル、石油系ピッチ、樹脂類等の有機化合物を原料として
用い、この原料をオートクレーブ、キルン、電気炉等に
より最高温度が300〜800℃での熱処理を施した
後、熱処理によって得られたものを粉砕および分級する
ことによって製造される。
要求される性能を満足しうる誘電体粒子として、水等の
高誘電性液体を必要としない、炭化度(元素分析におけ
る炭素原子と水素原子の数の比=C/H)などを制御し
た炭素質粉末の利用が特開平3−279206号公報に
開示されている。このような炭素質粉末は、基本的に、
石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系ター
ル、石油系ピッチ、樹脂類等の有機化合物を原料として
用い、この原料をオートクレーブ、キルン、電気炉等に
より最高温度が300〜800℃での熱処理を施した
後、熱処理によって得られたものを粉砕および分級する
ことによって製造される。
【0006】また、この炭素質粉末としては、以下に記
述される特性を有するものが望ましいことも前記特開平
3−279206号公報に開示されている。すなわち、
C/Hが1.70〜3.50、あるいはさらに熱天秤に
よる重量分析の結果(TGA)が窒素雰囲気下での40
0〜600℃の範囲における重量減少量が0.5〜1
3.0重量%であること、さらに最大粒径が50μm以
下で、平均粒径が0.5〜40μmであることが望まし
い。そのため、上記特性を実現するように、熱処理工程
や粉砕・分級工程が調整される。
述される特性を有するものが望ましいことも前記特開平
3−279206号公報に開示されている。すなわち、
C/Hが1.70〜3.50、あるいはさらに熱天秤に
よる重量分析の結果(TGA)が窒素雰囲気下での40
0〜600℃の範囲における重量減少量が0.5〜1
3.0重量%であること、さらに最大粒径が50μm以
下で、平均粒径が0.5〜40μmであることが望まし
い。そのため、上記特性を実現するように、熱処理工程
や粉砕・分級工程が調整される。
【0007】ところが、上記炭素質粉末を用いて調製し
た電気粘性流体は、低電圧でより大きな粘性変化を発現
すると同時に、その時に流れる電流が少ない等の点では
優れた電気粘性特性を発現するものの、製造方法や原料
の選択によっては、電場印加中に粘度の変動が発生し
て、安定した十分な電気粘性効果を発現できない場合が
あり、この点を改良した、さらに優れた電気粘性特性を
発現する電気粘性流体の出現が待ち望まれている。
た電気粘性流体は、低電圧でより大きな粘性変化を発現
すると同時に、その時に流れる電流が少ない等の点では
優れた電気粘性特性を発現するものの、製造方法や原料
の選択によっては、電場印加中に粘度の変動が発生し
て、安定した十分な電気粘性効果を発現できない場合が
あり、この点を改良した、さらに優れた電気粘性特性を
発現する電気粘性流体の出現が待ち望まれている。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、優れた電気粘性特性を発現できる
炭素質粉末を利用した電気粘性流体であって、電圧印加
中の粘度が従来に比べ経時的に極めて安定している電気
粘性流体、およびこの電気粘性流体に利用される炭素質
粉末の製造方法を提供することにある。
解決することにあり、優れた電気粘性特性を発現できる
炭素質粉末を利用した電気粘性流体であって、電圧印加
中の粘度が従来に比べ経時的に極めて安定している電気
粘性流体、およびこの電気粘性流体に利用される炭素質
粉末の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】電気粘性効果の発現機構
は充分には解明されていない。しかし、一般には外部電
場の印加により粒子表面で分極が生じ、この分極した粒
子が静電引力により相互に引き合う結果、見掛け粘度が
増大すると考えられている。本発明者らの検討によれ
ば、この分極の程度は、前述の炭素質粉末のC/HやT
GAによる重量減少、すなわち炭素質粉末の特性と大き
な関連性を有する。
は充分には解明されていない。しかし、一般には外部電
場の印加により粒子表面で分極が生じ、この分極した粒
子が静電引力により相互に引き合う結果、見掛け粘度が
増大すると考えられている。本発明者らの検討によれ
ば、この分極の程度は、前述の炭素質粉末のC/HやT
GAによる重量減少、すなわち炭素質粉末の特性と大き
な関連性を有する。
【0010】つまり、電気粘性流体においては、使用す
る炭素質粉末の個々の粒子の電気的特性が同一であるな
らば、誘電分極による静電引力も電気電導度も同一であ
るので、電気粘性流体の特性は安定しており、電圧の印
加中に粘度等が変動することはない。ところが、炭素質
粉末の個々の粒子に電気的特性のバラツキが存在する場
合には、分極による静電引力や電気電導度が粒子によっ
て異なる。そのため、引き合う相手粒子によって粒子間
に働く引力、また粒子間で流れる電流が異なってしま
い、その結果、電圧印加時の粘度や電流値に経時的変動
が生じてしまう。また、このような場合には十分な電気
粘性特性を発現できなくなってしまう。
る炭素質粉末の個々の粒子の電気的特性が同一であるな
らば、誘電分極による静電引力も電気電導度も同一であ
るので、電気粘性流体の特性は安定しており、電圧の印
加中に粘度等が変動することはない。ところが、炭素質
粉末の個々の粒子に電気的特性のバラツキが存在する場
合には、分極による静電引力や電気電導度が粒子によっ
て異なる。そのため、引き合う相手粒子によって粒子間
に働く引力、また粒子間で流れる電流が異なってしま
い、その結果、電圧印加時の粘度や電流値に経時的変動
が生じてしまう。また、このような場合には十分な電気
粘性特性を発現できなくなってしまう。
【0011】従って、個々の炭素質粉末の特性、特にC
/Hのバラツキがなければ、このような粘度の変動等を
生じることはない。ここで、本発明者らはさらに検討を
重ね、炭素質粉末の粒子間のC/Hのバラツキを少なく
するためには、原料におけるC/Hのバラツキを小さく
する必要があり、またそのためには、原料としてピリジ
ン不溶分の少ない、好ましくはピリジン不溶分が1.3
重量%以下の原料を用いて炭素質粉末を製造するのが好
適であり、これを原料として製造された炭素質粉末を用
いて調製された電気粘性流体は、電圧印加時に経時的に
粘度が安定していることを見出した。
/Hのバラツキがなければ、このような粘度の変動等を
生じることはない。ここで、本発明者らはさらに検討を
重ね、炭素質粉末の粒子間のC/Hのバラツキを少なく
するためには、原料におけるC/Hのバラツキを小さく
する必要があり、またそのためには、原料としてピリジ
ン不溶分の少ない、好ましくはピリジン不溶分が1.3
重量%以下の原料を用いて炭素質粉末を製造するのが好
適であり、これを原料として製造された炭素質粉末を用
いて調製された電気粘性流体は、電圧印加時に経時的に
粘度が安定していることを見出した。
【0012】本発明は、上記知見を得ることによって成
されたものであり、すなわち、本発明の電気粘性流体
は、電気絶縁性に優れた油状媒体に誘電体微粒子を分散
させることにより得られる電気粘性流体であって、ピリ
ジン不溶分を実質的に含有しないタールピッチを熱処理
および粒度調整して得られた炭素質粉末を前記誘電体微
粒子として油状媒体に分散することを特徴とする電気粘
性流体を提供する。
されたものであり、すなわち、本発明の電気粘性流体
は、電気絶縁性に優れた油状媒体に誘電体微粒子を分散
させることにより得られる電気粘性流体であって、ピリ
ジン不溶分を実質的に含有しないタールピッチを熱処理
および粒度調整して得られた炭素質粉末を前記誘電体微
粒子として油状媒体に分散することを特徴とする電気粘
性流体を提供する。
【0013】また、前記本発明の電気粘性流体におい
て、前記タールピッチに含有されるピリジン不溶分が
1.3重量%以下であるのが好ましい。
て、前記タールピッチに含有されるピリジン不溶分が
1.3重量%以下であるのが好ましい。
【0014】また、前記本発明の電気粘性流体において
前記炭素質粉末の炭素原子と水素原子の数の比が1.7
〜3.5で、平均粒径が0.5〜40μmであるのが好
ましい。
前記炭素質粉末の炭素原子と水素原子の数の比が1.7
〜3.5で、平均粒径が0.5〜40μmであるのが好
ましい。
【0015】また、前記本発明の電気粘性流体におい
て、ピリジン不溶分を実質的に含有しないタールピッチ
が、軟化点80〜110℃のタールピッチをタール中油
で抽出した可溶分より得られたものであるのが好まし
い。
て、ピリジン不溶分を実質的に含有しないタールピッチ
が、軟化点80〜110℃のタールピッチをタール中油
で抽出した可溶分より得られたものであるのが好まし
い。
【0016】さらに、本発明の電気粘性流体用炭素質粉
末の製造方法は、軟化点80〜110℃のタールピッチ
とタール中油とを混合して不溶分を分離し、得られた溶
液を脱溶剤して、ピリジン不溶分を1.3重量%以下と
したタールピッチに、最高温度300〜800℃の熱処
理を施した後、粒度調整を行うことを特徴とする電気粘
性流体用炭素質粉末の製造方法を提供する。
末の製造方法は、軟化点80〜110℃のタールピッチ
とタール中油とを混合して不溶分を分離し、得られた溶
液を脱溶剤して、ピリジン不溶分を1.3重量%以下と
したタールピッチに、最高温度300〜800℃の熱処
理を施した後、粒度調整を行うことを特徴とする電気粘
性流体用炭素質粉末の製造方法を提供する。
【0017】また、前記本発明の電気粘性流体用炭素質
粉末の製造方法において、得られた電気粘性流体用炭素
質粉末の炭素原子と水素原子の数の比が1.7〜3.5
で、平均粒径が0.5〜40μmとなるように前記熱処
理および粒度調整を行うのが好ましい。
粉末の製造方法において、得られた電気粘性流体用炭素
質粉末の炭素原子と水素原子の数の比が1.7〜3.5
で、平均粒径が0.5〜40μmとなるように前記熱処
理および粒度調整を行うのが好ましい。
【0018】
【構成】以下、本発明の電気粘性流体および電気粘性流
体用炭素質粉末(以下、炭素質粉末とする)の製造方法
について詳細に説明する。
体用炭素質粉末(以下、炭素質粉末とする)の製造方法
について詳細に説明する。
【0019】本発明においては、タールピッチ(以下、
便宜的に粗タールピッチと称する)をタール中油で抽出
して、得られた溶液を脱溶剤して得られた、ピリジン不
溶分を実質的に含有しないタールピッチ(同、原料ター
ルピッチと称する)を、炭素質粉末の原料として用い
る。
便宜的に粗タールピッチと称する)をタール中油で抽出
して、得られた溶液を脱溶剤して得られた、ピリジン不
溶分を実質的に含有しないタールピッチ(同、原料ター
ルピッチと称する)を、炭素質粉末の原料として用い
る。
【0020】利用可能な粗タールピッチには特に限定は
なく、石油タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッ
チ等、公知のタールピッチがいずれも利用可能である
が、好ましくは、これらのうち、軟化点が80〜110
℃のタールピッチが好適に用いられる。
なく、石油タール、石油ピッチ、石炭タール、石炭ピッ
チ等、公知のタールピッチがいずれも利用可能である
が、好ましくは、これらのうち、軟化点が80〜110
℃のタールピッチが好適に用いられる。
【0021】粗タールピッチとして、軟化点が80〜1
10℃のタールピッチを利用することにより、その後の
熱処理および粒度調整によって得られた炭素質粉末を用
いた電気粘性流体が、電圧印加時の粘度変化が大きく、
かつ電流値が小さい等の優れた電気粘性効果を有し、ま
た、粗タールピッチからの炭素質粉末の収率が高い等の
点で好ましい結果を得る。
10℃のタールピッチを利用することにより、その後の
熱処理および粒度調整によって得られた炭素質粉末を用
いた電気粘性流体が、電圧印加時の粘度変化が大きく、
かつ電流値が小さい等の優れた電気粘性効果を有し、ま
た、粗タールピッチからの炭素質粉末の収率が高い等の
点で好ましい結果を得る。
【0022】次いで、この粗タールピッチをピリジンと
同様の溶解力を有する溶媒、好ましくは(芳香族系)タ
ール中油、より好ましくは沸点範囲が170〜220℃
の(芳香族系)タール中油で溶媒抽出し、溶液部分より
ピリジン不溶分を実質的に含有しない、好ましくはピリ
ジン不溶分が1.3重量%以下の原料タールピッチとす
る。
同様の溶解力を有する溶媒、好ましくは(芳香族系)タ
ール中油、より好ましくは沸点範囲が170〜220℃
の(芳香族系)タール中油で溶媒抽出し、溶液部分より
ピリジン不溶分を実質的に含有しない、好ましくはピリ
ジン不溶分が1.3重量%以下の原料タールピッチとす
る。
【0023】このようなタール中油は、ピリジンとほぼ
同等の抽出能力を持つものであり、これを用いて抽出を
行うことにより、粗タールピッチよりピリジン不溶分を
除去することができる。また、本発明においては、ター
ル中油以外にもピリジンと同様の溶解力を有する溶剤が
各種利用可能であり、例えば、ピリジンよりも溶解力の
強いキノリンとピリジンよりも溶解力の弱いトルエン、
ベンゼン、テトラヒドロフラン等の溶剤とを混合して、
ピリジンと同等の溶解力に調整した溶剤等が利用可能で
ある。
同等の抽出能力を持つものであり、これを用いて抽出を
行うことにより、粗タールピッチよりピリジン不溶分を
除去することができる。また、本発明においては、ター
ル中油以外にもピリジンと同様の溶解力を有する溶剤が
各種利用可能であり、例えば、ピリジンよりも溶解力の
強いキノリンとピリジンよりも溶解力の弱いトルエン、
ベンゼン、テトラヒドロフラン等の溶剤とを混合して、
ピリジンと同等の溶解力に調整した溶剤等が利用可能で
ある。
【0024】粗タールピッチ中におけるピリジン不溶分
とは、粗タールピッチ中で炭素化の進んだ(すなわちC
/H値の高い)高分子量成分であり、粗タールピッチ中
に通常2.5〜5.0重量%程度存在する。このような
ピリジン不溶分は、後段の熱処理工程において容易にC
/Hが3.5を超えてしまう。そのため、これが原料タ
ールピッチに多量に存在すると、得られる炭素質粉末全
体のC/Hを調整しても、炭素質粉末個々の粒子のC/
Hにバラツキが生じてしまい、これを用いた電気粘性流
体が電圧印加中に粘度に変動を生じてしまい、また、電
圧印加時における電流値の増大にもつながる。
とは、粗タールピッチ中で炭素化の進んだ(すなわちC
/H値の高い)高分子量成分であり、粗タールピッチ中
に通常2.5〜5.0重量%程度存在する。このような
ピリジン不溶分は、後段の熱処理工程において容易にC
/Hが3.5を超えてしまう。そのため、これが原料タ
ールピッチに多量に存在すると、得られる炭素質粉末全
体のC/Hを調整しても、炭素質粉末個々の粒子のC/
Hにバラツキが生じてしまい、これを用いた電気粘性流
体が電圧印加中に粘度に変動を生じてしまい、また、電
圧印加時における電流値の増大にもつながる。
【0025】本発明においては、炭素質粉末の原料ター
ルピッチとしてピリジン不溶分が少ないタールピッチを
用いることにより、粘度変動のない安定した電気粘性を
発揮する電気粘性流体(これに用いる炭素質粉末)を実
現したものである。また、ピリジン不溶分が少ないター
ルピッチを用いることにより、炭素質粉末のC/Hの調
整をより容易にすることができる。
ルピッチとしてピリジン不溶分が少ないタールピッチを
用いることにより、粘度変動のない安定した電気粘性を
発揮する電気粘性流体(これに用いる炭素質粉末)を実
現したものである。また、ピリジン不溶分が少ないター
ルピッチを用いることにより、炭素質粉末のC/Hの調
整をより容易にすることができる。
【0026】本発明においては、原料タールピッチ中の
ピリジン不溶分は少ない程良好な電気粘性特性を得るこ
とができるが、1.3重量%以下であれば実用上なんら
問題はない。後の本発明の実施例でも述べるが、ピリジ
ン不溶分を1.3重量%以下とすることにより、この原
料タールピッチより製造した炭素質粉末を用いて調製し
た電気粘性流体は、電圧印加時における粘度の変動が小
さい(この例においては3.8×10-2P以下)安定し
たものとなり、優れた電気粘性特性を発現することがで
きる。また、ピリジン不溶分を1.0重量%以下とする
ことにより、この傾向はより顕著になる。
ピリジン不溶分は少ない程良好な電気粘性特性を得るこ
とができるが、1.3重量%以下であれば実用上なんら
問題はない。後の本発明の実施例でも述べるが、ピリジ
ン不溶分を1.3重量%以下とすることにより、この原
料タールピッチより製造した炭素質粉末を用いて調製し
た電気粘性流体は、電圧印加時における粘度の変動が小
さい(この例においては3.8×10-2P以下)安定し
たものとなり、優れた電気粘性特性を発現することがで
きる。また、ピリジン不溶分を1.0重量%以下とする
ことにより、この傾向はより顕著になる。
【0027】粗タールピッチをタール中油によって抽出
して、原料タールピッチを得る方法としては、例えば、
下記の方法が例示される。まず、タールピッチとタール
中油とを、重量比で、タールピッチ/タール中油=1/
1〜4/10程度の割合で混合し、溶解抽出する。次い
で、溶液と不溶分(つまりピリジン不溶分)とを濾別等
によって分離し、得られた溶液を280℃程度、常圧で
脱溶剤して、ピリジン不溶分の少ない、好ましくは1.
3重量%以下の原料タールピッチを得る。
して、原料タールピッチを得る方法としては、例えば、
下記の方法が例示される。まず、タールピッチとタール
中油とを、重量比で、タールピッチ/タール中油=1/
1〜4/10程度の割合で混合し、溶解抽出する。次い
で、溶液と不溶分(つまりピリジン不溶分)とを濾別等
によって分離し、得られた溶液を280℃程度、常圧で
脱溶剤して、ピリジン不溶分の少ない、好ましくは1.
3重量%以下の原料タールピッチを得る。
【0028】なお、タールピッチ中のピリジン不溶分の
含有量は、例えば、測定対象となるタールピッチ1gに
ピリジン10ミリリットルを加え、75±5℃で30分
間浸漬し、濾過ルツボ内で吸引濾過、乾燥、秤量するこ
とで測定すればよい。
含有量は、例えば、測定対象となるタールピッチ1gに
ピリジン10ミリリットルを加え、75±5℃で30分
間浸漬し、濾過ルツボ内で吸引濾過、乾燥、秤量するこ
とで測定すればよい。
【0029】また、原料タールピッチ(あるいは粗ター
ルピッチ)中にフリーカーボン、灰分(Ash) が含有され
る場合には必要に応じてこれを除去することが好まし
い。
ルピッチ)中にフリーカーボン、灰分(Ash) が含有され
る場合には必要に応じてこれを除去することが好まし
い。
【0030】次いで、このような原料タールピッチを、
オートクレーブ、キルン、流動層、電気炉などを単独あ
るいは併用して、最高温度300〜800℃、好ましく
は300〜500℃で熱処理し、C/Hの値、好ましく
は、さらにTGAによる窒素雰囲気下での400〜60
0℃の重量減少量を目的とする値に調整する。
オートクレーブ、キルン、流動層、電気炉などを単独あ
るいは併用して、最高温度300〜800℃、好ましく
は300〜500℃で熱処理し、C/Hの値、好ましく
は、さらにTGAによる窒素雰囲気下での400〜60
0℃の重量減少量を目的とする値に調整する。
【0031】熱処理は原料タールピッチをオートクレー
ブ等を用いて窒素気流下等の非酸化性雰囲気中で最高温
度300〜800℃で行う。なお、熱処理は一回でも複
数回で行ってもよく、複数回の熱処理を行う場合には必
要に応じて不要分を溶解除去するための溶剤抽出や粒度
調整等を行ってもよい。また、熱処理は回分式、連続式
いずれの方法で実施してもよい。
ブ等を用いて窒素気流下等の非酸化性雰囲気中で最高温
度300〜800℃で行う。なお、熱処理は一回でも複
数回で行ってもよく、複数回の熱処理を行う場合には必
要に応じて不要分を溶解除去するための溶剤抽出や粒度
調整等を行ってもよい。また、熱処理は回分式、連続式
いずれの方法で実施してもよい。
【0032】本発明においては、この熱処理によって、
得られる熱処理物のC/Hの値を好ましくは1.70〜
3.50、より好ましくは2.00〜3.50、特には
2.20〜3.00となるように調整し、さらに好まし
くは、TGAによる窒素雰囲気下での400〜600℃
の温度範囲における重量減少量を0.5〜13.0重量
%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲となるよう
に調整する。これは熱処理温度と処理時間とを適切に設
定することで達成できる。
得られる熱処理物のC/Hの値を好ましくは1.70〜
3.50、より好ましくは2.00〜3.50、特には
2.20〜3.00となるように調整し、さらに好まし
くは、TGAによる窒素雰囲気下での400〜600℃
の温度範囲における重量減少量を0.5〜13.0重量
%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲となるよう
に調整する。これは熱処理温度と処理時間とを適切に設
定することで達成できる。
【0033】C/Hを1.70〜3.50の範囲に調整
することにより、得られた炭素質粉末で電気粘性流体を
調製した際に、十分な電気粘性特性を得ることができ、
しかも、電圧を印加した際の電流値が小さいエネルギー
効率の良好な電気粘性流体を実現することができる。ま
た、C/Hを2.00〜3.50の範囲、さらに2.2
0〜3.00の範囲とすることにより、この特性はより
顕著になる。
することにより、得られた炭素質粉末で電気粘性流体を
調製した際に、十分な電気粘性特性を得ることができ、
しかも、電圧を印加した際の電流値が小さいエネルギー
効率の良好な電気粘性流体を実現することができる。ま
た、C/Hを2.00〜3.50の範囲、さらに2.2
0〜3.00の範囲とすることにより、この特性はより
顕著になる。
【0034】このような熱処理工程によって得られた炭
素質粉末について、粉砕および分級を行って、好ましく
は平均粒径が0.5〜40μm、より好ましくは平均粒
径2〜40μm、特には平均粒径が2〜10μmの炭素
質粉末を取得する。炭素質粉末の平均粒径を上記範囲に
調整することにより、電気粘性流体を調製した際に炭素
質粉末が沈降することなく均一かつ良好に油状媒体に分
散することができ、また、電気粘性流体の初期粘度を好
適に小さくできる等の点で、より良好な結果を得ること
ができる。
素質粉末について、粉砕および分級を行って、好ましく
は平均粒径が0.5〜40μm、より好ましくは平均粒
径2〜40μm、特には平均粒径が2〜10μmの炭素
質粉末を取得する。炭素質粉末の平均粒径を上記範囲に
調整することにより、電気粘性流体を調製した際に炭素
質粉末が沈降することなく均一かつ良好に油状媒体に分
散することができ、また、電気粘性流体の初期粘度を好
適に小さくできる等の点で、より良好な結果を得ること
ができる。
【0035】この工程は、通常の粉砕、分級装置を用い
て行うことができ、例えば、ジェットミル、ボールミ
ル、ハンマーミルおよび風力分級機、篩分けなど一般に
工業的に行われている装置及び方法が利用できる。
て行うことができ、例えば、ジェットミル、ボールミ
ル、ハンマーミルおよび風力分級機、篩分けなど一般に
工業的に行われている装置及び方法が利用できる。
【0036】また、必要に応じて、粉砕および分級して
得られた炭素質粉末を、再加熱処理および/または減圧
処理を行ってもよい。この再加熱処理/減圧処理を行う
ことによって、粉末表面に存在する低沸点成分を効果的
に制御、除去することができ、C/H等の主特性を保持
したまま、表面の均質で、より優れた電気粘性特性を有
する電気粘性流体を実現できる炭素質粉末が製造可能と
なる。
得られた炭素質粉末を、再加熱処理および/または減圧
処理を行ってもよい。この再加熱処理/減圧処理を行う
ことによって、粉末表面に存在する低沸点成分を効果的
に制御、除去することができ、C/H等の主特性を保持
したまま、表面の均質で、より優れた電気粘性特性を有
する電気粘性流体を実現できる炭素質粉末が製造可能と
なる。
【0037】再加熱処理および/または減圧処理をあま
り高温で行うと、炭素質粉末の主特性の変化や、電気粘
性流体とした時の電圧印加時の電流値の増加等が生じる
可能性があるので、再加熱処理および/または減圧処理
は、通常、粉砕・分級前の加熱処理より最高温度以下で
行われる。
り高温で行うと、炭素質粉末の主特性の変化や、電気粘
性流体とした時の電圧印加時の電流値の増加等が生じる
可能性があるので、再加熱処理および/または減圧処理
は、通常、粉砕・分級前の加熱処理より最高温度以下で
行われる。
【0038】このようにして得られた炭素質粉末をトラ
ンス油、スピンドル油、塩化パラフィン、シリコンオイ
ルなどの電気絶縁性油状媒体に配合することにより、高
電圧の印加においても粘度、電流が経時的に安定で、初
期粘度が低く、電気粘性特性に優れた極めて安定な電気
粘性流体を得ることができる。電気粘性流体における炭
素質粉末の含有量は1〜60重量%、好ましくは20〜
50重量%であり、前記電気絶縁性油含有量の含有量は
99〜40重量%、好ましくは80〜50重量%であ
る。炭素質粉末の量が1重量%未満では電気粘性効果は
小さく、60重量%を超えると電場がないときの初期粘
度が著しく大きくなり流動性が低下する。
ンス油、スピンドル油、塩化パラフィン、シリコンオイ
ルなどの電気絶縁性油状媒体に配合することにより、高
電圧の印加においても粘度、電流が経時的に安定で、初
期粘度が低く、電気粘性特性に優れた極めて安定な電気
粘性流体を得ることができる。電気粘性流体における炭
素質粉末の含有量は1〜60重量%、好ましくは20〜
50重量%であり、前記電気絶縁性油含有量の含有量は
99〜40重量%、好ましくは80〜50重量%であ
る。炭素質粉末の量が1重量%未満では電気粘性効果は
小さく、60重量%を超えると電場がないときの初期粘
度が著しく大きくなり流動性が低下する。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
よって何ら制約されない。
をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
よって何ら制約されない。
【0040】[実施例]軟化点95℃の粗タールピッチ
と沸点範囲170〜220℃の芳香族系タール中油とを
重量比で1:4、1:3、1:2および1:1に混合し
て、常温で溶媒抽出した後、濾別した。得られた濾液を
常圧で280℃に加熱して脱溶剤して、それぞれピリジ
ン不溶分が2.2重量%、1.6重量%、1.1重量%
および0.3重量%の原料タールピッチを得た。
と沸点範囲170〜220℃の芳香族系タール中油とを
重量比で1:4、1:3、1:2および1:1に混合し
て、常温で溶媒抽出した後、濾別した。得られた濾液を
常圧で280℃に加熱して脱溶剤して、それぞれピリジ
ン不溶分が2.2重量%、1.6重量%、1.1重量%
および0.3重量%の原料タールピッチを得た。
【0041】これらの原料タールピッチを20リットル
のオートクレーブを使用して、510℃で3時間、3リ
ットル/分の窒素気流下で第1回目の熱処理を行った。
次いで、得られた熱処理物をタール系中油(沸点範囲1
20〜250℃)を用いて抽出、濾過した。このように
して得られた熱処理物を、バッチ式の回転型仮焼炉を用
いて温度480℃で3時間、10リットル/分の窒素気
流下で第2回目の熱処理を行い、炭素質粉末を得た。こ
の炭素質粉末をジェットミルと風力分級機を用いて粉砕
・分級して、平均粒径3.5〜4.0μmの炭素質粉末
を得た。炭素質粉末の平均粒径はコールターカウンター
を使用し50μm径のアパーチャーチューブを用いて測
定した。得られた炭素質粉末のC/Hは2.3〜2.5
であった。
のオートクレーブを使用して、510℃で3時間、3リ
ットル/分の窒素気流下で第1回目の熱処理を行った。
次いで、得られた熱処理物をタール系中油(沸点範囲1
20〜250℃)を用いて抽出、濾過した。このように
して得られた熱処理物を、バッチ式の回転型仮焼炉を用
いて温度480℃で3時間、10リットル/分の窒素気
流下で第2回目の熱処理を行い、炭素質粉末を得た。こ
の炭素質粉末をジェットミルと風力分級機を用いて粉砕
・分級して、平均粒径3.5〜4.0μmの炭素質粉末
を得た。炭素質粉末の平均粒径はコールターカウンター
を使用し50μm径のアパーチャーチューブを用いて測
定した。得られた炭素質粉末のC/Hは2.3〜2.5
であった。
【0042】各炭素質粉末を粘度10cP(センチポイ
ズ)のシリコーン油に約36重量%均一に分散させ、そ
れぞれ電気粘性流体を調製した。これらの電気粘性流体
を、二重円筒型回転粘度計を用い、室温で2kV/mm の電
圧を印加して、回転粘度計によって剪断速度366/sec
下で5分間の流体の粘度測定を行った。この粘度測定に
おいて12秒毎の測定値をとり、単回帰直線を算出し
て、各測定点の回帰からのズレ、すなわち偏差の平方和
(σE )を求めることにより、粘度の変動を計測した。
ズ)のシリコーン油に約36重量%均一に分散させ、そ
れぞれ電気粘性流体を調製した。これらの電気粘性流体
を、二重円筒型回転粘度計を用い、室温で2kV/mm の電
圧を印加して、回転粘度計によって剪断速度366/sec
下で5分間の流体の粘度測定を行った。この粘度測定に
おいて12秒毎の測定値をとり、単回帰直線を算出し
て、各測定点の回帰からのズレ、すなわち偏差の平方和
(σE )を求めることにより、粘度の変動を計測した。
【0043】図1に、得られた電気粘性流体において、
原料タールピッチ中のピリジン不溶分量(PI量)と、
粘度の変動との関係を示す。また、下記表1に、調整し
た各電気粘性流体における粗タールピッチと芳香族系タ
ール中油との混合比(粗タールピッチ/タール中油)、
溶媒抽出後の原料タールピッチ中のピリジン不溶分量
(PI量)、および電気粘性流体の粘度の変動の関係を
示す。
原料タールピッチ中のピリジン不溶分量(PI量)と、
粘度の変動との関係を示す。また、下記表1に、調整し
た各電気粘性流体における粗タールピッチと芳香族系タ
ール中油との混合比(粗タールピッチ/タール中油)、
溶媒抽出後の原料タールピッチ中のピリジン不溶分量
(PI量)、および電気粘性流体の粘度の変動の関係を
示す。
【0044】
【0045】表1および図1に示される結果より、原料
タールピッチ中のピリジン不溶分が増加すると、これを
原料とした炭素質粉末を用いて調製した電気粘性流体の
粘度の変動が大きくなることが解る。特に原料タールピ
ッチ中のピリジン不溶分を1.3重量%以下とすること
により、粘度変動の小さい優れた特性を有する電気粘性
流体を得ることができる。
タールピッチ中のピリジン不溶分が増加すると、これを
原料とした炭素質粉末を用いて調製した電気粘性流体の
粘度の変動が大きくなることが解る。特に原料タールピ
ッチ中のピリジン不溶分を1.3重量%以下とすること
により、粘度変動の小さい優れた特性を有する電気粘性
流体を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、ピリジン不
溶分の少ない(実質的に含有しない)コールタールピッ
チを用いた炭素質粉末による本発明によれば、電圧の印
加中に粘度の変動の小さい、優れた電気粘性特性を発揮
する電気粘性流体を実現することができる。
溶分の少ない(実質的に含有しない)コールタールピッ
チを用いた炭素質粉末による本発明によれば、電圧の印
加中に粘度の変動の小さい、優れた電気粘性特性を発揮
する電気粘性流体を実現することができる。
【図1】原料タールピッチ中のピリジン不溶分量(PI
量)と粘度の変動との関係を示すグラフである。
量)と粘度の変動との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:02 40:14 50:00 70:00 (72)発明者 福 田 典 良 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 羽多野 仁 美 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 原 岡 卓 司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 丸 山 隆 之 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 斎 藤 翼 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 荻 野 隆 夫 東京都小平市小川東町3−1−1
Claims (6)
- 【請求項1】電気絶縁性に優れた油状媒体に誘電体微粒
子を分散させることにより得られる電気粘性流体であっ
て、ピリジン不溶分を実質的に含有しないタールピッチ
を熱処理および粒度調整して得られた炭素質粉末を前記
誘電体微粒子として油状媒体に分散することを特徴とす
る電気粘性流体。 - 【請求項2】前記タールピッチ中のピリジン不溶分が
1.3重量%以下である請求項1に記載の電気粘性流
体。 - 【請求項3】前記炭素質粉末の炭素原子と水素原子の数
の比が1.7〜3.5で、平均粒径が0.5〜40μm
である請求項1または2に記載の電気粘性流体。 - 【請求項4】ピリジン不溶分を実質的に含有しないター
ルピッチが、軟化点80〜110℃のタールピッチをタ
ール中油で抽出した可溶分より得られたものである請求
項1〜3のいずれかに記載の電気粘性流体。 - 【請求項5】軟化点80〜110℃のタールピッチとタ
ール中油とを混合して不溶分を分離し、得られた溶液を
脱溶剤して、ピリジン不溶分を1.3重量%以下とした
タールピッチに、最高温度300〜800℃の熱処理を
施した後、粒度調整を行うことを特徴とする電気粘性流
体用炭素質粉末の製造方法。 - 【請求項6】得られた電気粘性流体用炭素質粉末の炭素
原子と水素原子の数の比が1.7〜3.5で、平均粒径
が0.5〜40μmとなるように前記熱処理および粒度
調整を行う請求項5に記載の電気粘性流体用炭素質粉末
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5162290A JPH0718282A (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5162290A JPH0718282A (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0718282A true JPH0718282A (ja) | 1995-01-20 |
Family
ID=15751680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5162290A Withdrawn JPH0718282A (ja) | 1993-06-30 | 1993-06-30 | 電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0718282A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6687866B2 (en) | 1999-12-27 | 2004-02-03 | Nec Electronics Corporation | LSI having a built-in self-test circuit |
-
1993
- 1993-06-30 JP JP5162290A patent/JPH0718282A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6687866B2 (en) | 1999-12-27 | 2004-02-03 | Nec Electronics Corporation | LSI having a built-in self-test circuit |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20000905 |