JPH0718264A - 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 - Google Patents

電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

Info

Publication number
JPH0718264A
JPH0718264A JP5162289A JP16228993A JPH0718264A JP H0718264 A JPH0718264 A JP H0718264A JP 5162289 A JP5162289 A JP 5162289A JP 16228993 A JP16228993 A JP 16228993A JP H0718264 A JPH0718264 A JP H0718264A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbonaceous powder
electrorheological fluid
powder
carbonaceous
electrorheological
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP5162289A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitomi Hatano
仁 美 羽多野
Takuji Haraoka
岡 卓 司 原
Noriyoshi Fukuda
田 典 良 福
香 ▲高▼木
Ko Takagi
Takayuki Maruyama
山 隆 之 丸
Tasuku Saito
藤 翼 斎
Takao Ogino
野 隆 夫 荻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp, Kawasaki Steel Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP5162289A priority Critical patent/JPH0718264A/ja
Publication of JPH0718264A publication Critical patent/JPH0718264A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】電圧印加中の粘度や電流値が従来に比べ安定し
て応答性に優れる、電圧印加時の電流値が小さい等、優
れた電気粘性特性を有する電気粘性流体を実現できる電
気粘性流体用炭素質粉末の製造方法を提供する。 【構成】電気粘性流体用炭素質粉末を製造するに際し、
原料に熱処理を施して、熱処理によって得られたものを
粉砕および分級した後、粉砕および分級によって得られ
た炭素質粉末1重量部に対して芳香族系溶剤を1重量部
以上添加し、抽出して除去することにより、前記目的を
達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】電気粘性流体とは、流体に電圧を
印加することで流体の見掛け粘度が迅速かつ可逆的に変
化する流体、いわゆるウィンズロー効果を示す流体で、
一般には電気絶縁性に優れた油状媒体中に誘電体粒子を
分散させることにより得られる。この電気粘性流体の特
徴は古くから知られ、クラッチ、バルブ、振動吸収装置
等への応用が期待されている。本発明は、優れた電気粘
性効果を発現する電気粘性流体を実現できる、誘電体粒
子として使用される炭素質粉末の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に電気粘性流体に要求される性能と
しては、エネルギー効率上、低電圧の印加でより大きな
粘性変化を発現すると同時に、その時に流れる電流が少
ないことに加え、固体粒子が油状媒体中で沈降しないこ
と、さらに長期使用時に特性が低下しない(例えば粘性
変化量の低下、電流値の上昇)こと、および使用温度に
よる特性変化の小さいこと、電圧印加に対する応答性に
優れること、電圧の印加中に粘度および電流値が経時的
に変動しないこと、電圧を印加しないときの流体の粘度
(以下、初期粘度とする)ができるだけ低いこと等が挙
げられる。
【0003】すなわち、低電流の外部電界下で大きな粘
性変化を実現できれば、電気粘性流体を用いる各種装置
のエネルギー効率を向上することが可能となる。また、
初期粘度が低い電気粘性流体を達成できる固体粒子は、
所定の初期粘度が要求される電気粘性流体において、初
期粘度が高い電気粘性流体の固体微粒子に比べて流体中
の固体微粒子の配合量を高めることができ、その結果高
い電気粘性変化が実現できる。さらに電圧印加中の粘度
および電流値が変動すると、その電気粘性流体を利用す
るデバイス(装置)の制御が困難となり、しかも十分な
粘度変化が得られず実用上問題となる。
【0004】従来このような電気粘性流体としては、ト
ランス油、スピンドル油、塩化パラフィン等の電気絶縁
性の高い油状媒体中にシリカゲル、デンプン、セルロー
ス等の水、アルコールなどの高誘電性の液体吸収性固体
粒子を分散させたもの(米国特許第2886151号、
第3047507号の各明細書や、特開昭53−175
85号、同53−93186号、同61−44998
号、同61−259752号、同62−95397号、
特開平1−207396号の各公報等)、あるいは吸水
した固体粒子を使用することからくる長期使用時におけ
る特性低下、高温での性能低下等を改善すべく、表面に
種々の高分子を被覆させた粒子を分散させたもの等(特
開昭47−17674号、同63−97694号の各公
報等)が開示されている。こうした提案にも関わらず、
実用可能に充分な性能を有する電気粘性流体が開発され
ているとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、電気粘性流体に
要求される性能を満足しうる誘電体粒子として、水等の
高誘電性液体を必要としない、炭化度(元素分析におけ
る炭素原子と水素原子の数の比=C/H)などを制御し
た炭素質粉末の利用が特開平3−279206号公報に
開示されている。このような炭素質粉末は、基本的に、
石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系ター
ル、石油系ピッチ、樹脂類等の有機化合物を原料として
用い、この原料をオートクレーブ、キルン、電気炉等に
より最高温度が300〜800℃の熱処理を施した後、
熱処理によって得られたものを粉砕および分級すること
によって製造される。
【0006】また、この炭素質粉末としては、以下に記
述される特性を有するものが望ましいことも前記特開平
3−279206号公報に開示されている。すなわち、
C/Hが1.70〜3.50、あるいはさらに熱天秤に
よる重量分析の結果(TGA)が窒素雰囲気下での40
0〜600℃の範囲における重量減少量が0.5〜1
3.0重量%であること、さらに最大粒径が50μm以
下で、平均粒径が0.5〜40μmであることが望まし
い。そのため、上記特性を実現するように、熱処理工程
や粉砕・分級工程が調整される。
【0007】上記炭素質粉末を用いて調製した電気粘性
流体は、低電圧でより大きな粘性変化を発現すると同時
に、その時に流れる電流が少ない、吸水性固体粒子を使
用することからくる長期的な使用に対する不安定性およ
び温度に対する不安定性を解決した、等の点では優れた
電気粘性特性を発現するものの、製造方法や原料の選択
によっては、電圧印加中に粘度や電流値の変動が発生し
て、十分な電気粘性効果を安定して発現できない、電圧
の印加に対する応答性が低い等の問題点が生じる場合が
あり、改善の余地が残されている。
【0008】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、電圧印加中の粘度の変動が従来に
比べて小さく応答性に優れる、電圧印加時の電流値が小
さい等、優れた電気粘性特性を有する電気粘性流体を実
現できる電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】電気粘性効果の発現機構
は充分には解明されていない。しかし、一般には外部電
場の印加により粒子表面で分極が生じ、この分極した粒
子が静電引力により相互に引き合う結果、見掛け粘度が
増大すると考えられている。ここで、本発明者らの検討
によれば、この分極の程度は、炭素質粉末の誘電率や電
導度等の電気的特性に依存し、これらの電気的特性は前
述の炭素質粉末のC/H、TGAによる重量減少(低沸
点物の含有量)、粒径等の炭素質粉末の特性と大きな関
連性を有する。
【0010】つまり、電気粘性流体においては、使用す
る炭素質粉末の粉末(粒子)の個々が均質な特性を有す
る場合には、各炭素質粉末の分極の程度や油状媒体中で
の分散の状態が均一であるので、電気粘性流体の特性は
安定しており、電圧の印加中に粘度等が変化することは
なく、応答性も良好である。ところが、炭素質粉末の個
々の粒子毎に特性のバラツキがあると、各炭素質粉末の
分極状態や導電性が互いに異なってしまう。そのため、
電圧の印加中に各炭素質粉末が相互作用して、それぞれ
の分極状態や導電状態に変動が生じ、その結果、同じ電
圧を印加した状態でも粘度や電流値が経時的に変化し、
応答性不良が生じてしまう。さらに、これらの特性のバ
ラツキが大きい場合には、電気粘性効果を発現できなく
なってしまう。また、炭素質粉末に多くの軽質分が含有
される場合や、個々の炭素質粉末に含有される軽質分の
量にバラツキがある場合には、やはり電気粘性流体の応
答性が悪くなり、また、電気粘性特性の長期安定性にも
問題が生じる。
【0011】従って、良好な応答性、電圧印加時の電流
および粘度の安定性等の優れた電気粘性特性を有する電
気粘性流体を実現するためには、炭素質粉末の個々にC
/H、TGAによる重量減少(軽質分)等の特性にバラ
ツキのない、全体的に均質な炭素質粉末を実現する必要
がある。
【0012】本発明者らは、炭素質粉末の特性のバラツ
キの要因について鋭意検討した結果、熱処理の際に、熱
処理の炉内温度分布等によって、一旦蒸発した軽質分が
再度炭素質粉末に付着してしまい、結果的に、得られた
炭素質粉末のC/H、TGAによる重量減少(軽質分)
等の特性を変化させ、各炭素質粉末の個々の粒子間の特
性のバラツキを生じさせてしまう場合があること、およ
び溶解力が所定の溶剤を選択して抽出工程を行うことで
炭素質粉末を用いた電気粘性流体の粘度の経時的変動を
小とできることを見出し、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、電気絶縁性の油状媒
体に誘電体粒子を分散させてなる電気粘性流体の誘電体
粒子として使用される電気粘性流体用炭素質粉末の製造
方法であって、石炭系タール、石炭系ピッチ、石油系タ
ール、石油系ピッチ、樹脂、および縮合多環芳香族化合
物の重合物よりなる群より選ばれた有機化合物を原料と
し、この原料に熱処理を施して、熱処理によって得られ
たものを粉砕および分級した後、粉砕および分級によっ
て得られた炭素質粉末1重量部に対して芳香族系溶剤を
1重量部以上添加し、軽質分の抽出除去を行うことを特
徴とする電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法を提供す
る。
【0014】また、前記本発明の製造方法において、前
記芳香族系溶剤が単環芳香族系化合物であるのが好まし
い。
【0015】また、前記本発明の製造方法において、前
記芳香族系溶剤として、前記熱処理によって生成する軽
質分に対する溶解力が、ベンゼンあるいはトルエンと同
程度である芳香族系溶剤を用いるのが好ましい。
【0016】また、前記本発明の製造方法において、前
記芳香族系溶剤としてベンゼンおよび/またはトルエン
を用いるのが好ましい。
【0017】また、前記本発明の製造方法において、前
記粉砕および分級によって炭素質粉末の平均粒径を0.
5〜40μmに調整するのが好ましい。
【0018】また、前記本発明の製造方法において、前
記抽出に供する炭素質粉末の炭素原子と水素原子との数
の比であるC/Hの値が1.70〜3.50であるのが
好ましい。
【0019】
【構成】以下、本発明の電気粘性流体用炭素質粉末(以
下、炭素質粉末とする)の製造方法について詳細に説明
する。
【0020】本発明の炭素質粉末の製造方法は、熱処
理、粉砕・分級等の工程を経て製造された炭素質粉末
を、芳香族系溶剤によって抽出して洗浄することによ
り、炭素質粉末に付着した軽質分を取り除くことを、そ
の基本構成とするものである。
【0021】本発明における炭素質粉末の原料として
は、石炭系タール、石炭系ピッチ、石炭液化物、石油系
タール、石油系ピッチ等や、ポリ塩化ビニル、ポリビニ
ルアルコール等の熱可塑性樹脂類や、フェノール樹脂等
の熱硬化性樹脂類等の有機化合物が使用できる。また、
別の原料として、アセナフチレン、ナフタレン、メチル
ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の縮合多
環芳香族化合物の重合物等や、ナフタセン等のモノマー
や重合物等を挙げることができる。また、アセナフチレ
ン、水素化ピレン等を熱処理によって重合した化合物も
使用可能である。なお、これらの重合物としては、例え
ばHF−BF3 等の酸触媒を用いて製造された重合物が
例示される。これらの原料は、炭素質粉末の出発原料と
して単独で用いてもよく、あるいは2種以上の混合物と
して用いてもよい。
【0022】タール中にフリーカーボン、灰分が含有さ
れる場合には必要に応じてこれを除去することが好まし
い。具体的には、遠心分離や各種の溶剤を添加すること
による静置分離等一般に工業的に実施されている除去方
法が適用可能である。さらにコールタールピッチ類は、
シリカ、アルミナ等の不純物を含有しているが、こうし
た不純物は事前に除去するのが好ましい。
【0023】次いで、このような原料タールピッチを、
オートクレーブ、キルン、流動層、電気炉などを単独あ
るいは併用して、最高温度300〜800℃、好ましく
は300〜500℃で熱処理し、得られる炭素質粉末の
C/Hの値、好ましくは、さらにTGAによる窒素雰囲
気下での400〜600℃の重量減少量を前述の目的と
する値に調整する。
【0024】熱処理は、原料に応じて各種の方法が可能
であるが、例えば、原料有機化合物がタールピッチ等の
液状物の場合は、好ましくは下記のようにして行われ
る。すなわち、まず、原料タールピッチをオートクレー
ブ等を用いて、窒素気流下等の非酸化性雰囲気で最高温
度が300〜800℃の範囲内で加熱する一次熱処理を
行う。この一次熱処理の後、得られた熱処理物を、ロー
タリーキルン等を用いて、窒素気流下等の非酸化性雰囲
気で最高温度が300〜800℃の範囲内で加熱して二
次熱処理を行う。この方法においては、一次熱処理によ
って、通常液体である原料タールピッチを固体化すると
共にC/HやTGAによる重量減少量を粗に調整し、さ
らに、二次熱処理によってC/HやTGAによる重量減
少量を最終的に調整する。
【0025】この一次熱処理と二次熱処理との間には、
必要に応じて、不要分を溶解して除去するため抽出工程
を設けてもよい。なお、抽出溶媒としてはタール中油等
が例示される。
【0026】なお、熱処理は上記の一次および二次熱処
理のみならず3回以上で行ってもよく、あるいは複数回
ではなく一回の熱処理で炭素質粉末を製造してもよい。
また、熱処理は回分式、連続式いずれの方法で実施して
もよい。
【0027】また、原料有機化合物が前述の熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂、各種重合物等のように固体である場
合には、上記熱処理工程において、一次熱処理を省略す
ることによって熱処理を行うことができる。なお、この
場合は、熱処理前に必要に応じて粉砕・分級工程や、不
要分を除去するための抽出工程等を設けてもよい。
【0028】本発明においては、このような熱処理によ
って得られる炭素質粉末のC/Hの値を好ましくは1.
70〜3.50、より好ましくは2.00〜3.50、
特には2.20〜3.00となるように調整し、さらに
好ましくは、TGAによる窒素雰囲気下での400〜6
00℃の温度範囲における重量減少量を0.5〜13.
0重量%、好ましくは0.5〜6.0重量%の範囲とな
るように調整する。これは各熱処理の温度と時間とを適
切に設定することで達成できる。
【0029】C/Hを1.70〜3.50の範囲に調整
することにより、得られた炭素質粉末で電気粘性流体を
調製した際に、十分な電気粘性特性を得ることができ、
しかも、電圧を印加した際の電流値が小さくエネルギー
効率の良好な電気粘性流体を実現することができる。ま
た、C/Hを2.00〜3.50の範囲、さらに2.2
0〜3.00の範囲とすることにより、この特性はより
顕著になる。
【0030】次いで、熱処理によって得られた炭素質粉
末について、粉砕および分級を行って、好ましくは平均
粒径が0.5〜40μm、より好ましくは平均粒径2〜
40μm、特には平均粒径が2〜10μmの炭素質粉末
を取得する。炭素質粉末の平均粒径を上記範囲に調整す
ることにより、電気粘性流体を調製した際に炭素質粉末
が沈降することなく均一かつ良好に油状溶媒に分散する
ことができ、また、電気粘性流体の初期粘度を好適に小
さくできる等の点で、より良好な結果を得ることができ
る。
【0031】この粉砕・分級工程は、通常の粉砕、分級
装置を用いて行うことができ、例えば、ジェットミル、
ハンマーミル、ボールミルおよび風力分級機、篩分けな
ど一般に工業的に行われている装置および方法が利用で
きる。
【0032】本発明の炭素質粉末の製造方法において
は、このようにして得られた炭素質粉末1重量部に対し
て芳香族系溶剤を1重量部以上添加して抽出することに
よって、炭素質粉末に付着した軽質分を溶解除去する。
【0033】前述のように、炭素質粉末を利用する電気
粘性流体において、電圧印加中の粘度の変動や電流値の
変動による応答性の低下、電気粘性特性の経時劣化等の
原因として、電気粘性流体に利用される炭素質粉末の粉
末個々の、C/H、TAGによる減量(すなわち低沸点
物の量)等の特性のバラツキが挙げられる。すなわち、
炭素質粉末の個々の特性のバラツキをなくし、全体に渡
って均質な炭素質粉末を利用することにより、上記問題
点のない、優れた特性を有する電気粘性流体を実現する
ことができる。
【0034】本発明者らは、炭素質粉末の特性均質化に
ついて鋭意検討を重ねた結果、炭素質粉末の特性のバラ
ツキは、前述の熱処理の際に、熱処理の炉内温度分布等
によって、一旦蒸発した軽質分が再度炭素質粉末に付着
してしまうことが要因の一つであることを見出した。つ
まり、一旦蒸発した軽質分が炭素質粉末に再付着するこ
とにより、結果的に得られた炭素質粉末の個々のC/H
やTGAによる減量等の特性にバラツキが生じてしま
い、この炭素質粉末をシリコン油等の絶縁性の油状媒体
に分散して電気粘性流体を調製した際に、得られた電気
粘性流体は、電圧印加中に粘度および電流値の変動が生
じ、応答性不良が発生してしまう。
【0035】従って、得られた炭素質粉末より軽質分を
除去することにより、炭素質粉末の個々にバラツキのな
い、全体的に均質な炭素質粉末を得ることが可能とな
る。
【0036】ここで、炭素質粉末に付着する軽質分は、
溶剤を用いた抽出によって容易に溶解除去することがで
きる。しかしながら、軽質分に対する溶解力の強すぎる
溶剤を用いて抽出を行うと、炭素質粉末の平均的なC/
Hを上昇させてしまい、最終的に得られた炭素質粉末の
C/Hが目的とする値から大幅に異なってしまう。その
ため、抽出溶剤の選択が極めて重要であり、本発明にお
いては、芳香族系溶剤、好ましくは、前述の熱処理工程
において生成する軽質分に対する溶解力(以下、溶解力
ともいう)が、ベンゼンあるいはトルエンと同程度の溶
剤を用いて抽出を行う。
【0037】このような抽出溶剤としては、ベンゼンお
よび/またはトルエンの他、軽質分に対する溶解力がベ
ンゼンあるいはトルエンと同等である各種の芳香族溶
剤、具体的には炭素数が1〜6個のアルキル基を有する
ベンゼンのアルキル誘導体、すなわちキシレン、エチル
ベンゼン、ジエチルベンゼン等や、これらの混合物が例
示される。
【0038】また、テトラヒドロフラン、キノリン、ピ
リジン等の溶解力が高い溶媒と、メチルアルコール、エ
チルアルコール、プロピルアルコール、ヘキサン、シク
ロヘキサン等の溶解力が低い溶媒とを組み合わせること
により、溶解力がベンゼンあるいはトルエンと同等の溶
媒を調整してもよい。
【0039】このような溶剤のうち、ベンゼン、トルエ
ン、ベンゼンとトルエンの混合溶媒、ベンゼンとキシレ
ンの混合溶媒、トルエンとキシレンの混合溶媒、あるい
はガス軽油といわれるベンゼン、トルエン、キシレンの
混合溶媒等は好適に利用される。
【0040】抽出は、炭素質粉末と前述の溶剤とを混合
して、撹拌や振盪等の通常の方法によって行えばよい。
ここで、溶剤の添加量は、炭素質粉末1重量部に対して
1重量部以上である。溶剤の添加量がこれ以下では、効
率のよい抽出を行うことができない。溶剤の添加量に上
限は特にないが、炭素質粉末1重量部に対して10重量
部以上溶剤を添加しても抽出の効率は変わらないので、
経済的に不利である。溶剤の添加量は、特に好ましく
は、炭素質粉末1重量部に対して2〜5重量部程度であ
る。
【0041】抽出温度には特に限定はないが、通常、常
温〜使用する溶剤の沸点、好ましくは50℃〜使用する
溶剤の沸点で行われる。抽出時間にも特に限定はない
が、10分以上であれば十分な抽出を行うことができ
る。
【0042】抽出を終了したら、溶剤と炭素質粉末とを
濾別し、得られた炭素質粉末を乾燥する。乾燥方法は加
熱乾燥、減圧(真空)乾燥、減圧加熱乾燥等、公知の方
法で行えばよいが、乾燥操作は非酸化性雰囲気で行うこ
とが好ましい。乾燥を空気中等の酸化性雰囲気中で行う
と、炭素質粉末の表面が酸化され、電気粘性流体を調製
した際に電圧印加時の電流値が異常に高くなってしまう
可能性がある。
【0043】このような軽質分除去のための溶剤を用い
た抽出工程は、前述の粉砕・分級工程以降であれば、何
時行ってもよいが、表面の清浄な高品質の炭素質粉末を
得るためには、製造工程の最後の工程とするのが好まし
い。
【0044】このようにして得られた炭素質粉末をトラ
ンス油、スピンドル油、塩化パラフィン、シリコンオイ
ルなどの電気絶縁性油状媒体に配合することにより、高
電圧の印加においても粘度、電流が安定で、初期粘度が
低く、電気粘性特性に優れた極めて安定な電気粘性流体
を得ることができる。電気粘性流体における炭素質粉末
の含有量は1〜60重量%、好ましくは20〜50重量
%であり、前記電気絶縁性油状媒体の含有量は99〜4
0重量%、好ましくは80〜50重量%である。炭素質
粉末の量が1重量%未満では電気粘性効果は小さく、6
0重量%を超えると電場がないときの初期粘度が著しく
大きくなり流動性が低下する。
【0045】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に
よって何ら制約されない。
【0046】[発明例1]軟化点250℃のコールター
ルピッチをオートクレーブを使用して510℃で2.5
時間、窒素気流下で一次熱処理をを行った。次いで、得
られた熱処理物を、タール中油を用いて溶剤抽出して不
要物の除去を行った。この抽出残を乾燥後、バッチ式の
回転型仮焼炉を用いて、485℃で3時間、3リットル
/分の窒素気流下で二次熱処理を行い、炭素質粉末を得
た。
【0047】この炭素質粒子をジェットミルと風力分級
機を用いて粉砕・分級して、平均粒径3.7μmの炭素
質粉末を得た。炭素質粉末の平均粒径はコールターカウ
ンターを使用し50μm径のアパーチャーチューブを用
いて測定した。
【0048】この炭素質粉末1重量部に対してトルエン
4重量部を添加し、トルエンの沸点まで加熱して20分
間抽出を行った。抽出を終了した炭素質粉末を濾別し、
真空乾燥を行って炭素質粉末を得た。
【0049】この炭素質粉末を粘度0.1P(ポイズ)
のシリコーン油に約40重量%均一に分散させ、電気粘
性流体を得た。得られた電気粘性流体に、二重円筒型回
転粘度計を用い、室温で2kV/mm の電圧を印加して、剪
断速度366/sec下で、25秒毎の粘度を5分間測定し
た。この粘度の測定結果より、粘度変化の単回帰直線を
算出して、各測定点の回帰からのズレ、すなわち偏差の
平方和(σE )を求めることにより、粘度の経時的な変
動を測定した。その結果、粘度の経時的な変動は2.2
×10-2Pであった。
【0050】[発明例2]粉砕・分級工程までは前記発
明例1と同様にして平均粒径3.7μmの炭素質粉末を
得た。この炭素質粉末を、トルエン1重量部に対してベ
ンゼン3重量部を混合した溶剤で抽出した。抽出は、炭
素質粉末1重量部に溶剤10重量部を添加し、溶剤の沸
点で30分行った。抽出を終了した炭素質粉末を濾別
し、真空乾燥を行って炭素質粉末を得た。
【0051】得られた炭素質粉末を用いて、発明例1と
同様にして電気粘性流体を調製し、同様にして粘度の変
動を計測したところ、2.5×10-2Pであった。
【0052】[比較例1]粉砕・分級工程までは前記発
明例1と同様にして平均粒径3.7μmの炭素質粉末を
得、この炭素質粉末を用いて同様にして電気粘性流体を
調製し、同様にして粘度の変動を計測したところ、9.
5×10-2Pであった。
【0053】以上、発明例1、2および比較例1におけ
る粘度の変動を、下記表1にまとめて示す。 以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
【0054】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、熱処理およ
び粉砕・分級工程を経て得られた炭素質粉末を、芳香族
系溶媒によって抽出することにより軽質分を取り除く本
発明の炭素質粉末の製造方法によれば、電圧の印加中に
粘度および電流値の変動の小さい、応答性の良好な優れ
た電気粘性特性を発揮する電気粘性流体を実現できる炭
素質粉末が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:14 70:00 (72)発明者 原 岡 卓 司 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 福 田 典 良 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 ▲高▼木 香 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 丸 山 隆 之 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 斎 藤 翼 東京都小平市小川東町3−1−1 (72)発明者 荻 野 隆 夫 東京都小平市小川東町3−1−1

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気絶縁性の油状媒体に誘電体粒子を分散
    させてなる電気粘性流体の誘電体粒子として使用される
    電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法であって、 石炭系タール、石炭系ピッチ、石油系タール、石油系ピ
    ッチ、樹脂、および縮合多環芳香族化合物の重合物より
    なる群より選ばれた有機化合物を原料とし、この原料に
    熱処理を施して、熱処理によって得られたものを粉砕お
    よび分級した後、粉砕および分級によって得られた炭素
    質粉末1重量部に対して芳香族系溶剤を1重量部以上添
    加し、軽質分の抽出除去を行うことを特徴とする電気粘
    性流体用炭素質粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】前記芳香族系溶剤が単環芳香族系化合物で
    ある請求項1に記載の電気粘性流体用炭素質粉末の製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記芳香族系溶剤として、前記熱処理によ
    って生成する軽質分に対する溶解力が、ベンゼンあるい
    はトルエンと同程度である芳香族系溶剤を用いる請求項
    1に記載の電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】前記芳香族系溶剤としてベンゼンおよび/
    またはトルエンを用いる請求項1または2に記載の電気
    粘性流体用炭素質粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】前記粉砕および分級によって炭素質粉末の
    平均粒径を0.5〜40μmに調整する請求項1〜4の
    いずれかに記載の電気粘性流体用炭素質粉末の製造方
    法。
  6. 【請求項6】前記抽出に供する炭素質粉末の炭素原子と
    水素原子との数の比であるC/Hの値が1.70〜3.
    50である請求項1〜5のいずれかに記載の電気粘性流
    体用炭素質粉末の製造方法。
JP5162289A 1993-06-30 1993-06-30 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法 Withdrawn JPH0718264A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5162289A JPH0718264A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5162289A JPH0718264A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0718264A true JPH0718264A (ja) 1995-01-20

Family

ID=15751660

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5162289A Withdrawn JPH0718264A (ja) 1993-06-30 1993-06-30 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0718264A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH1081889A (ja) 電気粘性流体用粉体
KR102011690B1 (ko) 풀러린의 제조방법
US5332517A (en) Method for producing carbonaceous powder for electrorheological fluid
Qiu et al. A giant electrorheological fluid with a long lifetime and good thermal stability based on TiO 2 inlaid with nanocarbons
JP3020559B2 (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末及びその製造方法
JPH0718264A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
Zhao et al. Synthesis and electrorheological activity of a modified kaolinite/carboxymethyl starch hybrid nanocomposite
JPH0718283A (ja) 電気粘性流体
JPH06340881A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
JPH0718282A (ja) 電気粘性流体および電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
JPH06330078A (ja) 電気粘性流体の調製方法
JPH08245971A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末
KR100477325B1 (ko) 건조된 수용성 전분 및 첨가제를 포함하는 전기변성유체
WO2013143500A1 (zh) 一种银基电接触材料的制备方法
JPH0718263A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
JPH0570116A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
JPH069206A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
JPH06234985A (ja) 電気粘性流体
JP4179720B2 (ja) 炭素材料および黒鉛材料の製造方法並びにリチウムイオン二次電池負極用材料
JPH06340407A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法
KR100311695B1 (ko) 입자상 탄소체의 제조방법
Allaoui et al. Dielectric properties of composites of multi-walled carbon nanotubes in a resin matrix
KR100732458B1 (ko) 탄소질 전극재 제조 방법
JP2004175602A (ja) 酸化タンタルスラリー、酸化タンタル粉末およびそれらの製造方法
JPH06263417A (ja) 電気粘性流体用炭素質粉末、電気粘性流体用炭素質粉末の製造方法、および電気粘性流体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000905