JP3163356B2 - 電気粘性流体分散相用炭素質粉末及び電気粘性流体 - Google Patents

電気粘性流体分散相用炭素質粉末及び電気粘性流体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧の印加によって粘
性を増大する電気粘性流体の分散相として好適な炭素質
粉末及びそれを分散相として使用する電気粘性流体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は疎水性で非電導性の油の
中に微細に分割した親水性の固体が分散している懸濁液
で、十分に強い電場の作用の下で極めて速やかにしかも
可逆的に液体の粘度が増加し固体状態となるものであ
る。粘度を大幅に増加させるために必要な電流は非常に
小さく、直流および交流の電場を使用することができる
ので、例えば、クラッチ、水圧弁、ショックアブソーバ
ー、バイブレーター、防振ゴム、或はワークピースを正
常な位置に保持するシステムを制御するための電気−機
械のインターフェイス等における構成要素として使用す
ることができる。
【0003】従来、電気粘性流体の構成要素の一つであ
る分散相固体粒子としては、表面から水を吸着させ微粉
化させたセルロース、デンプン、シリカゲル、イオン交
換樹脂、ポリアクリル酸リチウム等を、また他の構成要
素である液相としてはポリ塩化ビフェニル、セバシン酸
ブチル、トランス油、塩化パラフィン、シリコーン油等
を使用したものが知られているが、実用性に乏しく、実
用価値のある極めて高性能かつ安定性の高い電気粘性流
体はいまだに存在しない。
【0004】実用的な電気粘性流体に要求される特性
は、大きな電気粘性効果を示すこと、消費電力が少ない
こと、電場に瞬時に応答すること、広い温度範囲で使用
できること、そして長期間にわたる安定性を有すること
などである。
【0005】しかしながら、前記のような水を吸着させ
た粒子を分散相とする含水系電気粘性流体では、電気粘
性効果を発現する電荷担体がイオンであるため、室温付
近では導電性が低くても、高温になると導電性が著しく
大きくなり、消費電力が非常に高くなるという問題や、
また高温では水の蒸発が起こり、電気粘性効果や応答性
が低下するという問題があった。したがって、従来の含
水系電気粘性流体の使用温度の上限は70〜80℃程度
で、自動車のエンジンルーム等、高温環境下で使用する
用途への応用は不可能であった。
【0006】この含水系電気粘性流体の欠点を改良する
方法として、水分を含まない粒子を用いた非水系電気粘
性流体も提案されている。このような非水系電気粘性流
体としては、ポリアセンキノンなどの有機半導体粒子を
分散相として用いる流体(特開昭61−216202号)や、有
機または無機固体粒子の表面に導電性薄膜層を形成した
上にさらに電気絶縁性薄膜層を形成した誘電体粒子を分
散相として用いる流体(特開昭63-97694号、特開平1-16
4823号)などが知られている。しかしながら、これらの
非水系電気粘性流体は、現在のところ、特性の長期安定
性が不足し、再現性が劣る上、消費電流が大きく、さら
に工業的製造が困難であるなどの理由により実用化され
ていない。
【0007】特願平2-175432号では炭素原子と水素原子
の数の比(C/H)の値が1.70〜3.50の範囲で
あること及び窒素雰囲気下での400℃〜600℃の温
度範囲における重量減少量が0.5〜13.0重量%の
範囲であることの内の少なくとも一方の条件を満たして
いることを特徴とする電気粘性流体用炭素質粉末が提案
されている。この炭素質粉末は、石炭、石炭系タール、
ピッチ、石炭液化物、コークス類、石油、石油系ター
ル、ピッチ及び樹脂類よりなる群より選ばれる有機化合
物を原料として用い、最高温度が300〜800℃の熱
処理により得られるものであるが、炭素質粉末に含まれ
る酸素の濃度は3.0重量%以下であることが望まし
く、酸素含有量が3.0重量%を越えると、その炭素質
粉末を分散相として使用した電気粘性流体の消費電流が
急速に増加すると述べている。しかしこのような酸素含
有量が3.0重量%以下の炭素質粉末は耐酸化性が劣
り、空気中の酸素によって酸化が進行し酸素含有量が次
第に増加するという欠点があり、酸素含有量の増加によ
る電気粘性特性の劣化を避けるためには、保管、取扱
い、使用中に空気から遮断されるよう慎重に配慮する必
要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、空気中の酸
素による酸素含有量の増加が起きない程に十分な量の酸
素を予め含有することにより耐酸化性が向上し、しかも
酸素含有量が高くても、それを分散相として使用した電
気粘性流体の消費電流が小さい炭素質粉末、及びそれを
分散相として使用する電気粘性流体を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に関わる電気粘性
流体分散相用炭素質粉末は、ピッチ粉体をその溶融温度
以下で且つ50℃以上400℃以下の温度で酸化性雰囲
気下で熱処理して酸素含有量を3〜25重量%とした
後、300℃以上700℃以下の温度で不活性ガス雰囲
気下で熱処理することにより炭化すると共に酸素含有量
を3〜10重量%とし、必要に応じて粒度調整して平均
粒子径0.01〜100ミクロンとしたものであること
を特徴とする。
【0010】また本発明に関わる電気粘性流体は、ピッ
チ粉体をその溶融温度以下で且つ50℃以上400℃以
下の温度で酸化性雰囲気下で熱処理して酸素含有量を3
〜25重量%とした後、300℃以上700℃以下の温
度で不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより炭化す
ると共に酸素含有量を3〜10重量%とし、必要に応じ
て粒度調整して平均粒子径0.01〜100ミクロンと
した炭素質粉末よりなる分散相1〜60重量%と、室温
における粘度0.65〜1000センチストークス(c
St)の電気絶縁油よりなる液相40〜99重量%とか
ら構成されていることを特徴とする。
【0011】本発明の炭素質粉末を製造するための出発
原料としては、石炭系ピッチ、石油系ピッチなどのあら
ゆるピッチを用いることができる。例を挙げれば、石炭
系ピッチとしてはコールタールピッチ、液化石炭類があ
り、石油系ピッチとしてはアスファルト、アスファルテ
ン、エチレンボトム、デカントオイルなどが挙げられ
る。またそのほかにも、ポリ塩化ビニルピッチ(PVC
ピッチ)、テトラベンゾフェナジンピッチ(PZピッ
チ)、ナフタレンピッチ、アセナフチレンピッチなどの
純物質系ピッチも原料として用いることができる。これ
らの原料ピッチのうち、特に石炭系ピッチおよび石油系
ピッチは溶融温度が低く、酸化性雰囲気下、50℃以
上、400℃以下の温度での熱処理(以下、不融化処理
と略す)には不適当であるため、不融化処理の前に減圧
加熱などの適当な処理により低沸点成分を除去して、溶
融温度を不融化処理温度以上に上昇させたものを使用す
ることが必要である。
【0012】電気粘性液体の分散相として適当な該炭素
質粉末の平均粒子径は0.01〜100ミクロンの範
囲、好ましくは0.3〜10ミクロンの範囲である。
0.01ミクロン未満では電場のない状態で初期粘度が
著しく大きくなって電気粘性効果による粘度変化が小さ
く、また100ミクロンを越えると電気粘性流体の分散
相としての十分な安定性が得られない。ピッチ粉体の粒
度は予め最終製品である炭素質粉末の粒度、すなわち平
均粒子径0.01〜100ミクロンとしておくことが望
ましいが、必要に応じて不融化処理後、あるいは炭化処
理後に粒度調整して平均粒子径0.01〜100ミクロ
ンとしても良い。粒度調整のためには、ジェットミル、
ボールミル、自動乳鉢等の通常の粉砕機を用いる粉砕、
乾式分級、湿式分級、篩別等、公知の粒度調整手段を任
意に使用することができる。
【0013】不融化処理は、次の炭化工程での溶融を抑
えるために、ピッチ粉体を酸化性雰囲気下、その溶融温
度以下で且つ50℃以上400℃以下の温度、好ましく
は200℃以上300℃以下の温度で熱処理するもので
ある。この処理はピッチ系炭素繊維の製造における不融
化工程と同様の効果を狙ったものであるが、不融化処理
を粉体へ適用した点に本発明の最大の特徴がある。即ち
不融化処理を施さないピッチ粉体は炭化工程において溶
融してバルク状となり粉体化が困難であるが、不融化処
理することによって溶融が抑制され炭化後の粉体化が容
易となる。
【0014】不融化処理は、ピッチ系炭素繊維の不融化
工程において行われている手法であれば何でも採用でき
る。ピッチ系炭素繊維の不融化処理は、酸化性雰囲気と
して空気を用いピッチの紡糸温度前後の温度で加熱する
方法が基準の方法であるが、不融化処理時間の短縮を目
的として様々な工夫がなされている(炭素繊維、p15
3、(株)近代編集社)。例えば、70℃程度以下の温
度でオゾン処理を施してから空気酸化をするとか、二酸
化窒素を含む空気を用いるとか、塩素と酸素の混合ガス
を用いるとか、飽和塩素水溶液に浸漬してから空気酸化
するとか、あるいは硫酸を含浸させた活性炭の微粉と臭
素ガスで処理した後空気酸化するといった方法が用いら
れている。本発明においても、ピッチ系炭素繊維の場合
と同様の手法を粉体に適用することができる。不融化処
理温度が50℃未満だと、いかなる工夫をしても酸化に
よる架橋反応の進行が困難となり、次の炭化工程での溶
融が抑制できないし、一方、不融化処理温度が400℃
を越えるとピッチの燃焼が起きてしまう。さらに、ピッ
チの燃焼が起きない場合でも、400℃を越えた不融化
処理温度では、酸化による架橋反応が非常に進行するた
め連続した芳香族環の数が増し、炭化後の粉体の導電性
が増大することにより、結果として電気粘性流体の消費
電力が大きくなってしまう。好ましい不融化処理温度は
ピッチの溶融温度前後に設定するのが良い。即ち、前記
ピッチの低沸点成分除去処理によって溶融温度は200
℃〜300℃となるため、不融化処理温度も200℃以
上、300℃以下とするのが好ましい。
【0015】またこの不融化処理により原料ピッチ中の
酸素含有量が増加する。この段階での酸素含有量が次工
程の炭化処理により得られる炭素質粉末の酸素含有量に
大きな影響を及ぼす。次工程の炭化処理は不活性ガス雰
囲気下での熱処理であり酸素含有量は減少する方向なの
で、この不融化処理工程で十分な酸素を含有させるよう
にする。不融化処理温度が高いほど、また不融化処理時
間が長いほど酸素含有量は増加する。酸素はエーテル結
合の形で芳香族環に取り込まれているものが多いと推定
される。
【0016】炭化処理は、雰囲気として不活性ガス、好
ましくは窒素ガスまたはアルゴンガスを用い、300℃
以上、700℃以下の温度、好ましくは350℃以上、
550℃以下の温度で行う。これが低い(300℃未
満)と、連続した芳香族環の生成が不十分となり、電気
粘性流体の電気粘性効果が小さくなる。一方、炭化温度
が高いと(700℃以上)、粉体の導電性が非常に増大
し、結果として電気粘性流体の消費電力が大きくなって
しまう。
【0017】炭素質粉末中の酸素の含有量は3重量%以
上、10重量%以下に調節する。先に述べた如く、炭化
処理では酸素含有量は減少する方向で、炭化処理温度が
高いほど、また炭化処理時間が長いほど酸素含有量の減
少が大になるので、この工程での目減りを念頭に置いて
不融化処理工程での酸素含有量を多い目にしておく。こ
の酸素含有量が低い(3重量%未満)と該炭素質粉末が
雰囲気の酸素により酸化され特性劣化がおこるし、酸素
含有量が高い(10重量%超)と粉体の導電性が大きく
なり電気粘性流体の消費電力は増大する点で不利であ
る。炭素質粉末中の酸素はエーテル結合の形で芳香環の
中に取り込まれているものが主体であると推定される。
キノンやカルボニルの形で粉体中に入っている酸素が多
いと、粉体の導電性が増大し電気粘性流体の消費電力が
大きくなってしまう。
【0018】このようにして得られた炭素質粉末は水分
によらない粒子自身の分極作用によって電気粘性効果を
示すため、該炭素質粉末を分散相とすることによって高
温で消費電力が少なく、且つ電気粘性効果を長時間維持
できる電気粘性流体を得ることができる。また該炭素質
粉末は、ピッチを熱処理および粉砕処理することによっ
て製造できるため、工業的製造が容易となり、かつ大き
な収率を得ることができる。さらに、該炭素質粉末は不
融化処理工程で酸化性雰囲気下の熱処理を施し酸素含有
量を高くしているため、耐酸化性等の長期安定性が向上
する。
【0019】液相を構成する電気絶縁油としては、炭化
水素油、エステル油、芳香族系油、シリコーン油やホス
ファゼン油、フロロシリコーン油などを例示することが
出来る。これらは単独で用いることができ、また二種以
上を併用することもできる。これらの電気絶縁油のなか
でもポリジメチルシロキサンやポリメチルフェニルシロ
キサンなどのシリコーン油は、ゴム状の弾性を有する材
料と直接接触する状態でも使用できるという点で優れて
いるし、またホスファゼン油は比重が比較的大きいため
分散相の沈降を抑制する点で優れている。
【0020】電気絶縁油の粘度は25℃において0.6
5〜1000センチストークス(cSt)、好ましくは
10〜200cStの粘度を有するものを用いる。液相
の粘度が低すぎると揮発分が多くなり液相の安定性が悪
くなる。液相の粘度が高すぎると電場のないときの初期
粘度が高くなり電気粘性効果による粘度変化が小さくな
る。適度に低粘度の電気絶縁油を液相とすることによっ
て分散相を効率良く懸濁させることができる。
【0021】本発明の電気粘性流体を構成する分散相と
液相の割合は、前記炭素質粉末から成る分散相の含有量
が1〜60重量%、好ましくは20〜50重量%であ
り、前記電気絶縁油からなる液相の含有量が40〜99
重量%、好ましくは50〜80重量%である。分散相の
量が1重量%未満では電気粘性効果が小さく、60重量
%を越えると電場がない時の初期粘度が著しく大きくな
る。
【0022】また、本発明の電気粘性流体は本発明の効
果を損なわない範囲で他の分散相や界面活性剤、分散
剤、無機塩などの添加剤を配合することもできる。
【0023】以下、実施例により、本発明をさらに詳細
に説明する。
【0024】
【実施例1】原料ピッチ(コールタールピッチ)から3
5重量%の収率で得られた汎用炭素繊維用紡糸用ピッチ
(溶融温度:270℃、トルエン不溶分:66.2重量
%、キノリン不溶分:7.0重量%、H/C(水素/炭
素原子比):0.52、偏光顕微鏡観察:全面等方性)
を粉状に粉砕した後、空気中、250℃で6時間処理し
た。こうして得られた粉末の酸素含有量は5.8重量%
であった。更にこの粉末を、窒素ガス雰囲気中、2℃/
minの昇温速度で410℃まで昇温し、1時間保持し
て炭化した後自然冷却した。こうして調製した炭素質粉
末の平均粒子径は24ミクロン(レーザー回折式粒度分
布計による測定値)、酸素含有量は3.4重量%であっ
た。原料ピッチからの収率は35重量%であった。この
炭素質粉末34.5重量%を液相成分である25℃にお
ける粘度10cStのシリコーン油(東芝シリコーン
(株)製TSF-451-10)65.5重量%に良く分散し、懸
濁液として電気粘性流体を得た。
【0025】
【実施例2】実施例1と同様の原料ピッチから得られた
汎用炭素繊維用紡糸用ピッチを粉状に粉砕した後、空気
中、250℃で6時間処理した。こうして得られた粉末
の酸素含有量は5.8重量%であった。さらにこの粉末
を窒素ガス雰囲気中、2℃/minの昇温速度で400
℃まで昇温し、1時間保持して炭化した後自然冷却し
た。こうして調製した炭素質粉末の平均粒子径は24ミ
クロン(レーザー回折式粒度分布計による測定値)、酸
素含有量は3.8重量%であった。原料ピッチからの収
率は35重量%であった。この炭素質粉末34.5重量
%を液相成分である25℃における粘度10cStのシ
リコーン油(東芝シリコーン(株)製TSF-451-10)6
5.5重量%に良く分散し、懸濁液として電気粘性流体
を得た。
【0026】
【実施例3】実施例1と同様の原料ピッチから得られた
汎用炭素繊維用紡糸用ピッチを粉状に粉砕した後、空気
中、250℃で6時間処理した。こうして得られた粉末
の酸素含有量は5.8重量%であった。さらにこの粉末
を窒素ガス雰囲気中、2℃/minの昇温速度で370
℃まで昇温し、1時間保持して炭化した後自然冷却し
た。こうして調製した炭素質粉末の平均粒子径は24ミ
クロン(レーザー回折式粒度分布計による測定値)、酸
素含有量は4.4重量%であった。原料ピッチからの収
率は35重量%であった。この炭素質粉末34.5重量
%を液相成分である25℃における粘度10cStのシ
リコーン油(東芝シリコーン(株)製TSF-451-10)6
5.5重量%に良く分散し、懸濁液として電気粘性流体
を得た。
【0027】
【比較例1】シリカゲル(日本シリカ(株):ニブシル
VN−3)の水分量を6重量%に調節したもの13重量
%を、液相成分である25℃における粘度20cStの
シリコーン油(東芝シリコーン(株)製TSF-451-20)8
7重量%に分散、懸濁させて電気粘性流体を得た。
【0028】
【比較例2】キノリン不溶分が無いコールタールピッチ
を不活性雰囲気中450℃の温度で熱処理した球晶を成
長させた後、コール中油で抽出、瀘過を繰り返しピッチ
成分を除去した。さらに、窒素気流中520℃で再度熱
処理し、球晶からなる炭素質粉末を得た。この時、炭素
質粉末の酸素含有量は0.65重量%であった。原料ピ
ッチからの収率は20重量%であった。これを風力分級
して得た平均粒子径18ミクロン(レーザー回折式粒度
分布計による測定値)の炭素質粉末34.5重量%を、
液相成分である25℃における粘度10cStのシリコ
ーン油(東芝シリコーン(株)製TSF-451-10)65.5
重量%に良く分散し、懸濁液として電気粘性流体を得
た。
【0029】実施例1〜3および比較例1、2で得られ
た各電気粘性流体について、電気粘性効果の測定を行っ
た。電気粘性効果は二重円筒型回転粘度計を使用して、
内外円筒間に0〜2kV/mmの直流電圧を印加した時
の剪断速度366sec-1、温度25℃の剪断力で評価し、同
時に内外円筒間に流れる電流を測定した。また、高温で
の電気粘性効果を評価するため、100℃でも同様の測
定を行った。表1に電圧をかけない場合の剪断力T0
電圧2kV/mmを印加した時の剪断力T、その差T−
0 、及び電圧2kV/mmを印加した時の電流密度を
示す。
【表1】
【0030】表1に示されるように、実施例1〜3で得
られた本発明の炭素質粉末を分散相とする各電気粘性流
体および比較例2の球晶からなる炭素質粉末を分散相と
する電気粘性流体は、室温(25℃)で大きな電気粘性
効果(T−T0 )を示し、かつ消費電力(電流密度)が
小さい。また高温(100℃)でも、安定した電気粘性
効果を示し、消費電力の増大は室温の電流値に比べて1
0倍以下の上昇をしているだけである。
【0031】これに対して、含水系であるシリカゲルを
分散相とした比較例1の電気粘性流体は室温に比べ高温
で電流が非常に増大し測定装置の限界を越えたため、2
kV/mmの電圧を印加することはできなかった。これ
は高温での消費電力が大きい点で電気粘性流体としては
不利である。
【0032】一方、比較例2の球晶からなる炭素質粉末
を分散相とする電気粘性流体は、本発明の電気粘性流体
と同様に高温でも優れた電気粘性特性を示し、十分実用
化に適した電気粘性流体である。しかし、耐酸化性につ
いて言えば、本発明の電気粘性流体は比較例2の電気粘
性流体に比べて優れている。このことは次の実験から明
らかである。
【0033】
【実施例4】実施例1で用いたものと同様の原料ピッチ
から得られた汎用炭素繊維用紡糸用ピッチを粉状に粉砕
した後、空気中、250℃で10時間処理した。こうし
て得られた粉末の酸素含有量は7.0重量%であった。
さらにこの粉末を、窒素ガス雰囲気中、2℃/minの
昇温速度で400℃まで昇温し、1時間保持して炭化し
た後自然冷却した。こうして調製した炭素質粉末の平均
粒子径は24ミクロン(レーザー回折式粒度分布計によ
る測定値)、酸素含有量は5.5重量%であった。原料
ピッチからの収率は35重量%であった。この炭素質粉
末34.5重量%を、液相成分である25℃における粘
度10cStのシリコーン油(東芝シリコーン(株)製
TSF-451-10)65.5重量%に良く分散し、懸濁液とし
て電気粘性流体を得た。
【0034】実施例4と比較例2で用いたものと同じ炭
素質粉末を、それぞれ空気中、80℃で37日間放置し
た。このように処理した後、それぞれの炭素質粉末3
4.5重量%を、液相成分である25℃における粘度1
0cStのシリコーン油(東芝シリコーン(株)製TSF-
451-10)65.5重量%に良く分散し、懸濁液として電
気粘性流体を得た。表2には、この処理(それぞれの炭
素質粉末を空気中、80℃で37日間放置)前後の炭素
質粉末中の酸素含有量と電気粘性特性の変化を示した。
なお、電気粘性特性の測定は前記の方法(実施例1〜
3、及び比較例1、2で行った測定方法)と同様であ
り、測定温度は室温(25℃)であった。
【表2】
【0035】表2に示されるように、実施例4で得られ
た本発明の炭素質粉末を分散相とする電気粘性流体は、
空気酸化処理試験前後で粉体中の酸素含有量がほとんど
変化せず、電気粘性効果(T−T0 )、消費電力(電流
密度)ともに空気酸化処理試験前後で安定していた。こ
れは、不融化処理により予め酸素を含有させたため、空
気中の酸素により酸素含有量の増加が起きない程に炭素
質粉末の耐酸化性が向上したことによると考えられる。
また酸素含有量が比較例2の空気酸化処理試験前に比べ
て多いにもかかわらず電流密度が小さいのは、粉体中の
酸素の多くがエーテル結合の形で含有されているためだ
と推定される。これに対して、球晶からなる炭素質粉末
を分散相として用いた比較例2の電気粘性流体は、空気
酸化処理試験前後で粉末中の酸素含有量が大きく増加
し、それに伴って消費電力(電流密度)が6倍程増大し
ている。
【0036】さらに、原料ピッチからの粉体の収率を見
てみると、球晶からなる炭素質粉末が20重量%である
のに対して、本発明で使用する炭素質粉末は35重量%
と大きく向上する。これは製造コストの点で有利であ
る。
【0037】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体は、直流又は交流
電場の印加により従来より高い電気粘性効果を示すと共
に高温安定性及び耐酸化性等の長期耐久性に優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−279206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10M 125/02 C10M 103/02 C10N 40:14 C10N 60:04 C01B 31/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ粉体をその溶融温度以下で且つ5
    0℃以上400℃以下の温度で酸化性雰囲気下で熱処理
    して酸素含有量を3〜25重量%とした後、300℃以
    上700℃以下の温度で不活性ガス雰囲気下で熱処理す
    ることにより炭化すると共に酸素含有量を3〜10重量
    %とし、必要に応じて粒度調整して平均粒子径0.01
    〜100ミクロンとしたものであることを特徴とする電
    気粘性流体分散相用炭素質粉末。
  2. 【請求項2】 ピッチ粉体をその溶融温度以下で且つ5
    0℃以上400℃以下の温度で酸化性雰囲気下で熱処理
    して酸素含有量を3〜25重量%とした後、300℃以
    上700℃以下の温度で不活性ガス雰囲気下で熱処理す
    ることにより炭化すると共に酸素含有量を3〜10重量
    %とし、必要に応じて粒度調整して平均粒子径0.01
    〜100ミクロンとした炭素質粉末よりなる分散相1〜
    60重量%と、室温における粘度0.65〜1000セ
    ンチストークス(cSt)の電気絶縁油よりなる液相4
    0〜99重量%とから構成されていることを特徴とする
    電気粘性流体。
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