JPH08253788A - 電気粘性液体 - Google Patents

電気粘性液体

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JPH08253788A
JPH08253788A JP9723696A JP9723696A JPH08253788A JP H08253788 A JPH08253788 A JP H08253788A JP 9723696 A JP9723696 A JP 9723696A JP 9723696 A JP9723696 A JP 9723696A JP H08253788 A JPH08253788 A JP H08253788A
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liquid
electrorheological
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carbonaceous fine
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JP9723696A
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English (en)
Inventor
Yuichi Ishino
裕一 石野
Toshiyuki Osaki
俊行 大崎
Shigeki Endo
茂樹 遠藤
Seisuke Tomita
誠介 冨田
Takayuki Maruyama
隆之 丸山
Yoshiki Fukuyama
良樹 福山
Tasuku Saito
翼 斉藤
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Bridgestone Corp
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直流又は交流電場の印加により広い温度範囲
で高い電気粘性効果を示すが、電力消費量が少なく、且
つ高い電気粘性効果を長期間維持できる電気粘性液体を
提供する。 【解決手段】 平均粒径0.01〜100ミクロンの炭
素質微粉末1〜60重量%の分散相と、室温における粘
度0.65〜500センチストークスの電気絶縁油99
〜40重量%の液相とからなる電気粘性液体である。特
に、炭素含有量が80〜97重量%、好ましくは90〜
95重量%で且つC/H比(炭素/水素原子比)が1.
2〜5、好ましくは2〜4の炭素質微粉末を分散相とす
るものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧の印加によっ
て粘性を増大する電気粘性液体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気粘性液体は、非導電性の油の中に微
細に分割した親水性の固体が分散している懸濁液で、充
分に強い電場の作用の下で極めて速やかに、しかも可逆
的に粘度が増加する液体である。
【0003】粘度を変化させるためには直流の電場だけ
でなく交流の電場も使用することができ、必要な電流は
非常に小さく、少ない電力によって液体からほぼ固体状
態になるまで大きな粘度変化を与えるので、例えば、ク
ラッチ、水圧弁、ショックアブソーバー、バイブレー
タ、各種防振ゴム、アクチュエータ、ロボットアーム、
制振材などの装置や部品を制御するための構成要素とし
て、電気粘性液体は検討されて来た。
【0004】従来、電気粘性液体の構成要素の一つであ
る固体粒子としては、米国特許第2,417,850 号、第3,04
7,507 号、第3,397,147 号、第3,970,573 号、第4,129,
513号、或は日本国公告特許昭60-31211号、ドイツ公開
特許第3,427,499 号に開示されているように、表面から
水を吸収させ微細化させたセルロース、デンプン、シリ
カゲル、イオン交換樹脂、ポリアクリル酸リチウム等
を、また他の構成要素である液相としてはハロゲン化ジ
ェフェニル、セバシン酸ブチル、炭化水素油、塩素化パ
ラフィン、シリコーン油等を使用したものが知られてい
るが、実用性に乏しく、実用価値のある極めて高性能且
つ安定度の高い電気粘性液体はいまだ存在しない。
【0005】実用的な電気粘性液体に要求される特性と
しては、広い温度範囲において大きな電気粘性効果を示
し、電場がかかった時の電力消費が少なく、電場が取り
除かれた時には小さい粘性を持ち、且つ分散相は沈降せ
ず長期的に安定した特性を持続することである。
【0006】しかしながら上記のように電気粘性効果の
発現を促進するために水を吸収させた分散相では粒子間
を流れる電流も同時に増えてしまうため、電力消費に大
きな問題があった。特にこの傾向は高温になるにつれて
強まり、従来の分散相を用いた電気粘性液体の使用温度
の上限は70〜80℃くらいで、それ以上の高温で使用
すると電流が過剰に流れてしまい消費電力が非常に高く
なるとともに電気粘性効果の発現力や応答性の低下など
が時間とともに起こり、自動車のエンジンルーム等、高
温の雰囲気で使用する装置・部品への応用は不可能であ
った。
【0007】さらに、このように水分を吸収させた分散
相を含む水系電気粘性液体は0℃以下の低温では水分の
凝固により電気粘性効果を発現しなくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように電気粘性液
体として機能するために分散相が水分を含有する必要の
ある水系電気粘性液体は温度範囲及び水の蒸発に伴う耐
久性に本質的な問題を持ち、されらが長らく該液体が実
用化しない理由となっていた。
【0009】そのため、分散相に水分を必要としない実
用化可能な非水系の電気粘性液体の登場が待たれてい
た。このような非水系の液体として最近米国特許第4,68
7,589号、あるいは特開昭63-97694号、特開昭64-6093
号に開示されている本質的に水分を含有しない液体や分
散相を多層構造にした液体も提案されてきたが、電気粘
性効果が小さい、電力消費が大きい、交流電場でしか機
能しないなどの問題点もあり、現在のところ実用可能で
十分な特性を有する電気粘性液体が開発されているとは
いいがたい。
【0010】非水系の電気粘性液体の発現機構の一つと
して電場を加した際、分散相粒子中の電子または正孔
の移動による界面分極が起こり、分散相粒子が引き合
い、粒子のブリッジを形成し粘度を上昇させる事が考え
られる。この事から発明者らは電子または正孔の移動に
よる界面分極に必要なラジカル(不対電子)濃度が高く
安定な、いわゆる低温処理炭素材料に注目し、非水系電
気粘性液体の分散相として使用する事を検討した。その
結果直流及び交流電場の引加により広い温度範囲で高い
電気粘性効果を示すが、電力消費量が少なく、且つ高い
電気粘性効果を長期間維持できる電気粘性液体の開発に
至ったものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、直流又は交流
電場の印加により広い温度範囲で高い電気粘性効果を示
すが、電力消費量は少なく、且つ高い電気粘性効果を長
期間維持できる電気粘性液体の提供を目的としたもの
で、平均粒径0.01〜100ミクロンの炭素質微粉末
1〜60重量%の分散相と、室温における粘度0.65
〜500センチストークス(cSt)の電気絶縁油99
〜40重量%の液相とからなることを特徴とする電気粘
性液体により、この問題を解決した。
【0012】本発明において電気粘性液体の分散相とし
て好適な炭素質微粉末としては炭素含有量80〜97重
量%のものが好ましく、特に好ましくは90〜95重量
%である。また炭素質微粉末のC/H比(炭素/水素原
子比)は1.2〜5のものが好ましく、特に好ましくは
2〜4である。
【0013】一般に電気粘性液体の分散相の電気抵抗は
半導体領域にある事は古くから知られているが(W. M.Wi
nslow: J. Appl. Physics 20 1137 (1949)、炭素含有量
が80重量%以下で且つC/H比が1.2以下の炭素質
微粉末は絶縁体であり、電気粘性効果を示す液体は殆ど
得られない。一方、炭素含有量が97重量%以上で且つ
C/H比が5以上のものは導電体に近く、電圧を印加し
ても過大電流を示し、電気粘性効果を示す液体は得られ
ない。
【0014】具体的に電気粘性液体の分散相として好適
な前記のC/H比を持つ炭素質微粉末としては、コール
タールピッチ、石油系ピッチ、ポリ塩化ビニルを熱分解
して得られるピッチなどを微粉砕したもの、それらピッ
チ又はタール成分を加熱処理して得られる各種メソフェ
ーズからなる微粉末、即ち加熱により形成される光学的
異方性小球体(球晶またはメソフェーズ小球体)を溶剤
でピッチ成分を溶解し分別することによって得られる微
粉末、さらにそれを微粉砕したもの、ピッチ原料を加熱
処理によりバルクメソフェーズ(例えば日本国公開特許
昭59-30887号参照)とし、それを微粉砕したもの、また
一部晶質化したピッチを微粉砕したもの、フェノール樹
脂などの熱硬化性樹脂を低温で炭化したもの、熱分解ポ
リアクリロニトリルなど、いわゆる低温処理炭素微粉末
が例示され、さらに無煙炭、瀝青炭などの石炭類及びそ
の熱処理物を微粉砕したもの、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンまたはポリスチレンなどの炭化水素系ビニル系高
分子とポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデンなどの
塩素含有高分子との混合物を加圧下で加熱することによ
って得られる炭素球、またはそれを微粉砕したものなど
が例示される。
【0015】この中でも、1018/g以上の高い芳香族
ラジカル濃度を持ち、105 Ω・cm以上の電気抵抗を
持つ炭素質微粉末が、低い電力消費で高い電気粘性効果
を示すという意味で好ましい。
【0016】この意味から前記の具体例の中では、コー
ルタールピッチを熱処理することにより生成する光学的
異方性小球体をピッチ成分から分別することにより得ら
れる炭素質微粉末を使用することが特に好ましい。
【0017】このコールタールピッチから得られる炭素
質微粉末の製法の概要を以下に述べる。コールタールピ
ッチを350〜500℃で加熱処理した時にコールター
ルピッチの成分より球状の光学的異方性小球体(球晶ま
たはメソフェーズ小球体)が成長する。(J. D. Brooks
and G. H. Taylor, Carbon 3, 185 (1965)) この球晶の
大きさは加熱温度及び加熱時間によって決定されるが、
所望の大きさになった段階で加熱を止め、キノリンやタ
ール中油などの溶媒で残存のコールタールピッチを溶解
し瀘過することによりこの球晶を分別することができ
る。
【0018】この球晶は黒鉛類似構造を示し、かつ球状
の炭素質微粉末である。日本国公開特許昭60-25364号に
に開示されるように、該球晶の分別時にコールタールピ
ッチ成分の一部(例えばβーレジン等)が球晶の表面に
残るが、必要があれば該球晶を不活性ガス雰囲気中、2
00〜600℃で加熱処理(仮焼)することにより除去
することができ、また球晶の電気抵抗やラジカル濃度を
変化させることができる。
【0019】前記球晶の粒径はコールタールピッチの加
熱時間及び加熱温度によってコントロールできる他、ジ
ェットミルなどによる粉砕処理によってさらに微細なも
のが得られる。また原料としてコールタールピッチ以外
にも、構造が類似の石油系ピッチやタール成分を同様に
処理することにより、本発明で使用するに適した炭素質
微粉末を得ることができる。
【0020】このようにして得られた炭素質微粉末に含
まれる水分は多くても1重量%以下であり、水分量は電
気粘性効果にほとんど無関係であるが、該微粉末中の芳
香族ラジカルの濃度が高く電子または正孔の移動による
界面分極によって電気粘性効果を示すと考えられるた
め、該微粉末を分散相とすることによって、広い温度範
囲で高い電気粘性効果を示し、かつ電気粘性効果を長時
間維持できる電気粘性液体を得ることができる。
【0021】前記球晶からなる炭素質微粉末は光学的異
方性を持つことから導電率も異方性を示し、このことが
該微粉末を分散相とした電気粘性流体が低い消費電力を
示すことに関係するものと考えられる。一方、これらの
炭素質微粉末は上記の仮焼温度などを変化する事により
C/H比が変わり導電性が変化する。すなわちC/H比
が上昇すると共に電気粘性効果が高くなり、同時に消費
電流も増加する。そのため消費電流と電気粘性効果が最
適点を持つように炭素質微粉末の電気抵抗を設定する必
要がある。この意味でもっとも好ましい炭素質微粉末の
電気抵抗は107 〜1010Ω・cmである。
【0022】さらに、電気粘性効果をある程度維持し、
消費電流だけを下げる方法として前記した炭素質微粉末
中の粒子の表面の一部又は全部を電気絶縁性薄膜で被覆
すると有効な事を発明者は見出した。特にこの方法はC
/H比及び炭素含有量の高い炭素質微粉末に有効であ
る。
【0023】ここで電気絶縁性薄膜としては、有機、無
機にかかわらず薄膜を炭素質微粉末表面に粒子径の10
分の1以下の厚さに形成できれば良いが、薄膜の最適な
厚さは該炭素質微粉末の導電率に左右される。すなわち
炭素質微粉末の導電率が高い場合は絶縁性薄膜は相対的
に厚いほうが良好で、逆に該微粉末の導電率が低い場合
には絶縁性薄膜は相対的に薄いことが、高い電気粘性効
果を保ち、電圧引加時の電流を低くするために必要であ
る。
【0024】このような電気絶縁性薄膜は高分子溶液か
らの粉体へのコーティング、小径粒子を乾式で混合し粉
体の表面で溶融するハイブリダイゼーション、シラン処
理等の表面処理、スパッタリング真空蒸着、モノマーか
らの重合などによって形成され、使用される電気絶縁性
物質としてはポリメチルメタクリレート、ポリスチレ
ン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニ
リデン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの合成高分
子物質、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメト
キシシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロ
ルシランなどのシラン処理剤、カルボキシル基や水酸基
を持ちジメチルポリシロキサンやフェニルメチルポリシ
ロキサン構造を主鎖とする変性シリコーンオイルまたは
シリコーン界面活性剤、シリカ、アルミナ、ルチルなど
の無機化合物が代表例として挙げられる。このようにし
て作成された、電気絶縁性薄膜で被覆した炭素質微粉末
を電気粘性液体の分散相として用いることにより、高い
電気粘性効果を示すが、電気消費量の少ない電気粘性液
体を得ることができる。
【0025】電気粘性液体の分散相として好ましい粒子
径は0.01〜100ミクロン、好ましくは0.1〜2
0ミクロン、さらに好ましくは0.5〜5ミクロンの範
囲であり、粒度分布はなるべくシャープな方が好まし
い。0.01ミクロン未満では電場のない状態で初期粘
度が著しく大きくなって電気粘性効果による粘度変化が
小さく、また100ミクロンを越えると液体の分散相と
しての十分な安定性が得られない。
【0026】液相を構成する電気絶縁油としては80℃
の体積抵抗率1011Ω・cm以上のものが好ましく、特
に好ましくは1013Ω・cm以上のものが好ましい。具
体的には、炭化水素油、エステル系油、芳香族系油、パ
ーフルオロポリエーテルやポリ三フッ化−塩化エチレン
のようなハロゲン化炭化水素油、ホスファゼン油やシリ
コーン油などを例示することができる。これらは単独で
用いることができ、また2種以上を併用することもでき
る。これらの電気絶縁油の中でもポリジメチルシロキサ
ンやポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルトリフ
ルオロプロピルシロキサンなどのシリコーン油が、ゴム
状の弾性を有する材料や多くの高分子材料と直接接触す
る状態でも使用できるという点で優れている。
【0027】電気絶縁油の粘度は25℃において0.6
5〜500センチストークス(cSt)、好ましくは5
〜200cSt、さらに好ましくは10〜50cStの
粘度を有するものを用いる。液相の粘度が低すぎると揮
発分が多くなり液相の安定性が悪くなる。液相の粘度が
高すぎると電場のないときの初期粘度が高くなり電気粘
性効果による粘度変化が小さくなる。また適度に低粘度
の電気絶縁油を液相とすることによって分散相を効率良
く懸濁させることができる。本発明の電気粘性液体を構
成する分散相と液相の割合は、前記炭素質微粉末からな
る分散相の含有量が1〜60重量%、好ましくは20〜
50重量%であり、前記電気絶縁油からなる液相の含有
量が99〜40重量%、好ましくは80〜50重量%で
ある。分散相の量が1重量%未満では電気粘性効果は小
さく、60重量%を越えると電場がないときの初期粘度
が著しく大きくなる。
【0028】本発明の電気粘性液体には、本発明の効果
を著しく損なわない範囲内で、他の分散相や界面活性
剤、分散剤、無機塩などの添加剤を併用または配合する
ことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下実施例により本発明を具体的
に説明する。
【0030】
【実施例1】コールタールピッチを450℃で不活性雰
囲気中で熱処理し、球晶を成長させた後、タール中油で
抽出、瀘別を繰り返し、ピッチ成分を除去、350℃で
窒素気流中で再度熱処理(仮焼)し、球晶からなる炭素
質微粉末(炭素含有量:93.78重量%,C/H比:
2.35,電気抵抗:1.79×109 Ω・cm、電子
スピン濃度:3.28×1019/g、水分含有量:0.
4重量%)を得た。この炭素質微粉末を分級して得た平
均粒径14ミクロンの炭素質微粉末40重量%を液相成
分である25℃における粘度20cStのシリコーン油
(東芝シリコーン(株)製:TSF451−20)60
重量%に良く分散し、懸濁液として電気粘性液体を得
た。
【0031】
【実施例2】実施例1における窒素気流中の熱処理(仮
焼)を450℃で行い、球晶からなる炭素質微粉末を得
た。この炭素質微粉末を分級して得られた平均粒径16
ミクロンの炭素質微粉末(その他の特性は表1に示す)
40重量%を液相成分である25℃における粘度20c
Stのシリコーン油(東芝シリコーン(株)製:TSF
451−20)60重量%に良く分散し、懸濁液として
電気粘性液体を得た。
【0032】
【実施例3】実施例2と同様な方法で作製した炭素質微
粉末をジェットミルで粉砕分級して得られた平均粒径4
ミクロンの炭素質微粉末40重量%を液相成分である2
5℃における粘度20cStシリコーン油(東芝シリコ
ーン(株)製:TSF451−20)60重量%に良く
分散し、懸濁液として電気粘性液体を得た。
【0033】
【実施例4】仮焼温度を200℃に設定した以外は実施
例1と同様にして炭素質微粉末(諸特性は表1に示す)
を作成し、実施例1と同様な処方で電気粘性液体を得
た。
【0034】
【実施例5】仮焼温度を500℃に設定した以外は実施
例1と同様にして炭素質微粉末(諸特性は表1に示す)
を作成し、実施例1と同様な処方で電気粘性液体を得
た。
【0035】
【実施例6】仮焼温度を600℃に設定した以外は実施
例1と同様にして炭素質微粉末(諸特性は表1に示す)
を作成し、実施例1と同様な処方で電気粘性液体を得
た。
【0036】
【実施例7】実施例2で得た炭素質微粉末をフェニルト
リメトキシシランのキシレン溶剤中で80℃、6時間加
熱還流後瀘別し、表面をシラン処理した微粉末を得た。
この微粉末40重量%を、液相成分である25℃におけ
る粘度20cStのシリコーン油(東芝シリコーン
(株)製:TSF451−20)60重量%に良く分散
し、懸濁液として電気粘性液体を得た。
【0037】
【実施例8】実施例6で得た炭素質微粉末をメチルトリ
メトキシシランのキシレン溶剤中で80℃、6時間加熱
還流後瀘別し、表面をシラン処理した微粉末を得た。こ
の微粉末40重量%を液相成分である25℃における粘
度20cStのシリコーン油(東芝シリコーン(株)
製:TSF451−20)60重量%に良く分散し、懸
濁液として電気粘性液体を得た。
【0038】
【実施例9】市販のフェノール樹脂マイクロビーズを窒
素気流中で600℃で熱処理し、平均粒径約8ミクロン
の炭素質微粉末(諸特性は表1に示す)を得た。この微
粉末を用い、実施例1と同様な処方で電気粘性液体を得
た。
【0039】
【実施例10】実施例2の炭素質微粉末40重量%に、
25℃における粘度10cStの三フッ化塩化エチレン
重合体からなる油40重量%と25℃における粘度5.
2cStのナフテン系炭化水素油20重量%を混合、分
散し、懸濁液として電気粘性液体を得た。
【0040】
【比較例1】市販のポリアクリル酸ナトリウム微粉末4
0重量%を実施例1と同一のシリコーン油60重量%に
良く分散し、電気粘性液体を得た。
【0041】
【比較例2】市販のシリカゲル微粉末13重量%を実施
例1と同一のシリコーン油87重量%に分散し、電気粘
性液体を得た。
【0042】実施例1,2,4〜6及び10ならびに比
較例1,2の分散相の特性値を表1に示す。
【0043】表1で炭素重量%およびC/H比が元素分
析値より求めた。芳香族ラジカル濃度は電子スピン濃度
として求めた。電子スピン濃度の測定は中心磁場:33
1mT(ミリテスラ)、マイクロ波周波数9.233G
Hz(ギガヘルツ)の条件で電子スピン共鳴(ESR)
装置で行ない10mT以下の半値幅を持つピーク強度か
ら、濃度既知のTempolを標準物質としてスピン濃度を定
量した。電気抵抗は粉体を圧粉し測定した。水分量はカ
ールフィッシャー (Karl Fisher)法で250℃の揮発分
から測定した。
【0044】
【表1】
【0045】実施例1〜10及び比較例1〜2で得られ
た各電気粘性液体について電気粘性効果の測定を行っ
た。電気粘性効果は二重円筒型回転粘度計を使用し、内
外円筒間に直流電圧を印加したときの、同一剪断速度
(375sec-1)、温度25℃及び80℃の剪断力で
評価し、同時に内外円筒間に流れる電流密度を測定し
た。(内円筒半径:34mm、外円筒半径:36mm、
内円筒高さ:20mm)表2に電場をかけない場合の剪
断力To、直流電場2KV/mmを印加した時の剪断力
T、その差T−To、及び直流電場2KV/mmを印加
した時の電流密度を示す。
【0046】表2において電場(2KV/mm)をかけ
た時の剪断力Tから電場をかけない時の剪断力Toを引
いた差T−Toは液体の電気粘性効果の大小を表わす。
即ち表1のT−Toの大なる液体が大きい電気粘性効果
を示す。また電流密度(μA/cm2 )は、上記電場
(2KV/mm)を発現するために必要な電力に関係す
る。
【0047】
【表2】
【0048】
【作用】表2から明かなように、ほとんど水分を含有し
ていない微粉末を分散層とした実施例1,2及び4では
高温(80℃)においても低い電流密度で電気粘性効果
を発現するが、水分を多く含有する微粉末を分散層とし
た比較例1では大きな電流密度を必要とする。特に実施
例2は比較例1より低い電流密度で比較例1より大きな
電気粘性効果が得られている。
【0049】また室温(25℃)におけるデータで見る
と、粒子表面を被覆した炭素質微粉末を分散相とした実
施例7及び8では被覆していない炭素質微粉末を分散相
とした実施例2及び6よりもそれぞれ電流は大幅に減っ
ているが電気粘性効果はあまり落ちていない。
【0050】実施例9の熱硬化性樹脂炭化物もメソフェ
ーズ小球体同様に電気粘性効果を示しており、高いスピ
ン濃度を持つ非水系の特徴を備えている。
【0051】一方比較例2のシリカでは表2のように電
気粘性効果を示すものの、表1のようにラジカルは検出
されず水系の電気粘性液体であることが判る。
【0052】実施例1の液体について交流電場2KV/
mmを印加した場合、25℃においてTは522g・c
m、電流密度は66μA/cm2 であった。このように
炭素質微粉末を分散相とする電気粘性液体は交流でも機
能し、直流より若干低い電気粘性効果が得られる。
【0053】次に実施例1及び比較例1の電気粘性液体
について、高温(120℃、50時間)で熱処理する前
と熱処理した後での電気粘性効果の変化を回転粘度計に
より25℃で測定した結果を図1、図2に示す。図1は
実施例1の電気粘性液体を高温(120℃、50時間)
で熱処理する前(○印)と熱処理後(△印)の電場の強
さ(横軸:KV/mm)とトルク(縦軸:g・cm)と
の関係を示す図、図2は比較例1の電気粘性液体につい
て同様な測定を行なった結果を示す図である。
【0054】図1のように実施例1では高温(120
℃)での連続的加熱を行っても電気粘性効果に変化はな
いが、比較例1では図2のように加熱処理後電気粘性効
果の発現力が低下している。
【0055】図3は実施例2の電気粘性液体について
1.5KV/mmの電場を印加した場合(○印)と電場
を印加しない場合(△印)の回転粘度計のトルク(縦
軸:g・cm)と測定温度(横軸:℃)との関係を示す
図、図4は比較例1の電気粘性液体について同様の測定
を行った結果を示す図で、これらの図より非水系の実施
例2の液体は−50℃から200℃まで機能するが、水
系の比較例1の液体は0℃以下では電気粘性効果を示さ
ず、90℃以上では電流が流れすぎて電気粘性効果の測
定が不可能であることがわかる。
【0056】
【発明の効果】広い温度範囲で高い電気粘性効果を示す
が、電力消費量が少なく、且つ高い電気粘性効果を長期
間維持できる電気粘性液体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の電気粘性液体を高温(120℃、5
0時間)で熱処理する前(○印)と熱処理後(△印)の
電場の強さ(横軸:KV/mm)とトルク(縦軸:g・
cm)との関係を示す図である。
【図2】比較例1の電気粘性液体について同様な測定を
行った結果を示す図である。
【図3】実施例2の電気粘性液体について1.5KV/
mmの電場を印加した場合(○印)と電場を印加しない
場合(△印)の回転粘度計のトルク(縦軸:g・cm)
と測定温度(横軸:℃)との関係を示す図である。
【図4】比較例1の電気粘性液体について同様の測定を
行った結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 101:02) C10N 20:02 20:06 40:14 (72)発明者 丸山 隆之 東京都小平市小川東町3−5−5 (72)発明者 福山 良樹 東京都小平市小川東町3−5−8−104 (72)発明者 斉藤 翼 埼玉県所沢市上新井1265−2

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径0.01〜100ミクロンの炭
    素質微粉末1〜60重量%の分散相と、室温における粘
    度0.65〜500センチストークスの電気絶縁油99
    〜40重量%の液相とからなることを特徴とする電気粘
    性液体。
  2. 【請求項2】 炭素質微粉末の炭素含有量が80〜97
    重量%で且つC/H比(炭素/水素原子比)が1.2〜
    5である請求項1に記載の電気粘性液体。
  3. 【請求項3】 炭素質微粉末がコールタールピッチ又は
    石油系ピッチを熱処理することにより生成する光学的異
    方性小球体をピッチ成分から分別することにより得られ
    るものである請求項1又は請求項2に記載の電気粘性液
    体。
  4. 【請求項4】 炭素質微粉末が電気絶縁性薄膜で被覆さ
    れているものである請求項1、請求項2又は請求項3に
    記載の電気粘性液体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018172579A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 出光興産株式会社 潤滑油組成物、システム、及び潤滑方法

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