JPH08231975A - 電気粘性流体用油状媒体及びそれを用いた電気粘性流体 - Google Patents

電気粘性流体用油状媒体及びそれを用いた電気粘性流体

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JPH08231975A
JPH08231975A JP3645395A JP3645395A JPH08231975A JP H08231975 A JPH08231975 A JP H08231975A JP 3645395 A JP3645395 A JP 3645395A JP 3645395 A JP3645395 A JP 3645395A JP H08231975 A JPH08231975 A JP H08231975A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高温時の安定性に優れた電気粘性流体用油
状媒体及びそれを用いた低い消費電力で、高い電気粘性
流体効果を示し、応答性、高温時の安定性に優れた電気
粘性流体を提供する。 【構成】 0〜90モル%のジメチルシロキサン単位及
び10〜100モル%の3,3,3−トリフルオロプロ
ピルメチルシロキサン単位を含むシロキサン重合体を熱
処理して得られた重合体からなる油状媒体であって、前
記油状媒体に含まれるシロキサン重合体の数平均分子量
が500〜1000、分子量分布の分散度が1.05〜
1.25であり、且つ、前記油状媒体に含まれるイオン
性の不純物が5ppm以下であることを特徴とする。さ
らに、前記油状媒体中に誘電体粒子を分散して電気粘性
流体を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気粘性流体用油状媒
体及びそれを用いた電気粘性流体に関し、詳しくは、特
定不純物を殆ど含有しない高温時の安定性に優れた油状
媒体及びそれを用いたパルス応答性、高温時の安定性に
優れた電気粘性流体に関する。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は、電気制御によりその粘
弾性特性を大きく、しかも、可逆的に変化させることが
できる流体で、電場の印加により流体の見掛けの粘度が
大きく変わる現象がウインズロー効果として古くから知
られており、クラッチ、バルブ、エンジンマウント、ア
クチュエーター、ロボットアーム等の装置や部品を電気
的に制御するための構成要素としての応用が検討されて
きた。しかしながら、初期の電気粘性流体は澱粉等の粉
体を鉱油や潤滑油に分散させたにものであり、電気粘性
効果は発現されるものの、再現性に劣るという欠点があ
った。
【0003】このため、電気粘性効果が高く、再現性に
優れた流体を得ることを目的として、分散質として用い
る粉体を中心に多くの提案がなされている。例えば、特
開昭53−93186号にはポリアクリル酸の如き酸基
をもつ高吸水性樹脂が、特公昭60−31211号には
イオン交換樹脂が、特開昭62−95397号にはアル
ミナシリケートが記載されている。これらはいずれも親
水性の固体粉体であり、これらを含水させて絶縁性の油
状媒体等の液相中に分散させたものであり、外部から高
電圧を印加したときに水の作用により粉体を構成する粒
子に分極が生じ、この分極により粒子間に電場方向の架
橋が生じるため粘度が増大するといわれている。液相と
しては、ハロゲン化ジフェニル、セバシン酸ブチル、炭
化水素油、塩素化パラフィン、シリコーン油等が知られ
ていた。しかしながら、前記含水粉体を用いた含水系電
気粘性流体は、広い温度範囲において充分な電気粘性効
果が得られず、水分の蒸発や凍結を招かないための使用
温度の制限、温度上昇による使用電流の増大、水分の移
行による不安定化、高電圧印加時の電極金属の腐食等の
多くの問題があり、実用化は困難であった。
【0004】この問題点を解決すべく、本発明者らは、
先に特開平3−47896号等によって特定炭素質微粉
末と、特定粘度の電気絶縁油とからなり、電気粘性効果
が高く、消費電力が低い非水系電気粘性流体を提案し
た。これらに所定の電流を印加することにより所望の粘
性効果を得るものである。ここに用いられる液相である
シリコーン油は、ゴムへの膨潤性が少ないため、防振ゴ
ム等の応用に適していたが、自動車用のショックアブソ
ーバーやクラッチ等への応用にはさらに大きな電気粘性
効果が求められていた。これらをさらに改良し、本発明
者らは特開平1−158082号において特定のシロキ
サン誘導体を液相として用いる、さらに電気粘性効果の
大きい電気粘性流体を提案した。しかしながら、この電
気粘性流体も、条件によっては所望の電気粘性効果を発
現しえない場合があり、高温時の安定性及び定電圧を印
加した場合のパルス応答性について未だ改良の余地があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記特定の
シロキサン誘導体を液相として用いた電気粘性流体の特
性を生かしつつ、電気粘性効果、パルス応答性、高温時
の安定性等を一層向上すべく改良を加えたものである。
すなわち、本発明の目的は、高温時の安定性に優れた電
気粘性流体用油状媒体及びそれを用いた低い消費電力
で、高い電気粘性流体効果を示し、高温時の安定性に優
れ、特に電流を印加した場合の応力のゆらぎ幅が10P
a以下であるパルス応答性に優れた電気粘性流体を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電気粘性流体用
油状媒体は、0〜90モル%のジメチルシロキサン単位
及び10〜100モル%のフルオロアルキルメチルシロ
キサン単位を含むシロキサン重合体を熱処理して得られ
た重合体からなる油状媒体であって、前記油状媒体に含
まれるシロキサン重合体の数平均分子量が500〜10
00、分子量分布の分散度が1.05〜1.25であ
り、且つ、前記油状媒体に含まれるイオン性の不純物が
5ppm以下であることを特徴とする。
【0007】ここで、イオン性の不純物とは、電流を印
加したときに正又は負の電荷を帯びる不純物を指すもの
である。
【0008】本発明の請求項2に記載の電気粘性流体用
油状媒体は、請求項1に記載の電気粘性流体用油状媒体
であって、前記シロキサン重合体と、液状ジメチルポリ
シロキサンとの混合物を熱処理して得られた油状媒体で
あって、前記油状媒体に含まれるシロキサン重合体及び
液状ジメチルポリシロキサンの数平均分子量が500〜
1000、分子量分布の分散度が1.05〜1.25で
あり、且つ、前記油状媒体に含まれるイオン性の不純物
が5ppm以下であることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項3に記載の電気粘性流体用
油状媒体は、請求項1又は2に記載の電気粘性流体用油
状媒体であって、前記熱処理が、加熱温度80〜160
℃、加熱時間0.5〜10時間の条件で行われることを
特徴とする。
【0010】本発明の請求項4に記載の電気粘性流体
は、前記請求項1又は2記載の電気粘性流体用油状媒体
中に、誘電体粒子を分散してなり、1kV以上の定電圧
を印加した場合のパルス応答における応力のゆらぎ幅が
40Pa以下であることを特徴とする。
【0011】本発明の請求項5に記載の電気粘性流体用
油状媒体は、請求項4に記載の電気粘性流体であって、
前記誘電体粒子が、炭素原子と水素原子との数の比が
1.70〜3.50の範囲であるような炭素質粉末であ
ることを特徴とする。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電気粘性流体用油状媒体は、0〜90モル%のジメチル
シロキサン単位及び10〜100モル%のフルオロアル
キルメチルシロキサン単位を含むシロキサン重合体を熱
処理して得られた重合体からなる油状媒体又は前記シロ
キサン重合体と液状ジメチルポリシロキサンとの混合物
を熱処理して得られた油状媒体であって、前記油状媒体
に含まれる重合体の数平均分子量が500〜1000、
分子量分布の分散度が1.05〜1.25であり、且
つ、前記油状媒体に含まれるイオン性の不純物が5pp
m以下である。
【0013】シロキサン重合体としては、ジメチルシロ
キサン単位を0〜90モル%、さらに40〜80モル
%、フルオロアルキルメチルシロキサン単位を10〜1
00モル%、さらに20〜60モル%からなる共重合体
が好ましい。
【0014】フルオロアルキル基としては、3,3,3
−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,
6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,
10,10−ヘプタデカフルオロデシル基等のパーフル
オロアルキル基含有基が例示される。これらの基の中で
も、合成が容易で良好な特性が得られることから、3,
3,3−トリフルオロプロピル基が好ましい。
【0015】電気粘性効果を増大させるにはフルオロシ
リコーンオイルの如き誘電率の高い液相を用いることが
考えられ、その最適なものとして3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサンとジメチルシロキサンと
の共重合体を用いることを提案したが、通常の方法で得
られた共重合体においては、フルオロアルキルメチルシ
ロキサン単位の割合が50モル%を超えると空気中の水
分の影響を受け易くなり導電性が増して使用に適さない
とされたが、本発明にある如く、熱処理を行って、前記
の条件を満たすものであれば、フルオロアルキルメチル
シロキサンの単独重合体をも、液相として使用しうるこ
とが明らかとなった。
【0016】次に、本発明に用いられるシロキサン重合
体の合成方法について説明する。この合成方法は公知の
方法で行えばよく、例えば、フルオロアルキル基を含有
する環状ポリシロキサンとヘキサメチルジシロキサン及
び環状ポリアルキルシロキサンとを、トリフルオロメタ
ンスルホン酸や活性白土のような酸性触媒下にて重合す
る方法(特公昭35−8345号、同47−47880
号公報参照)などにより合成することができる。本発明
に用いるフルオロシリコーン重合体を得る場合は、重合
時の反応を、少なくとも80℃で2時間、130℃で2
時間以上とすることが好ましい。重合体形成後、得られ
る重合体の均質化を図るため、12時間以上の平衡化反
応を行うことが好ましい。また、反応中に十分攪拌を行
うことによって、得られる重合体中のモノマー単位をラ
ンダム化することが好ましい。攪拌が十分でないと、ジ
メチルシロキサン単位とフルオロアルキルメチルシロキ
サン単位とがブロック化した共重合体が形成され、安定
性、耐久性の観点から、好ましくない。
【0017】電気粘性流体の液相に適する油状媒体を得
るためには、原料及び反応容器中の水分を十分除去する
ことが好ましい。水分が残存していると、末端のメチル
基がシラノールとなる可能性があり、シラノールの存在
は、電気粘性流体の応答性に悪影響を及ぼすためであ
る。得られた重合体中にシラノールが認められた場合に
は、シリル化処理を施すことによって、応答性への影響
を回避しうる。また、反応容器中に残存する界面活性剤
の残留イオンが油状媒体の電導度を向上させる働きがあ
るため、反応容器の洗浄にも注意をはらうことが必要で
ある。
【0018】本発明においては、これらのシロキサン重
合体又はこれらのシロキサン重合体とジメチルポリシロ
キサンとの混合物に熱処理を施して油状媒体を得るもの
であるが、熱処理は、80℃〜160℃の温度で、0.
5時間以上、さらに1時間以上行うことが好ましい。加
熱温度が80℃未満であると、重合体中に含まれる揮発
成分の除去が十分に行えず、160℃を超えると所望の
物性に到達した重合体分子をも揮発させる虞があるため
いずれも好ましくない。加熱処理は、通常、重合反応終
了後のシロキサン重合体又は前記シロキサン重合体とジ
メチルポリシロキサンとの混合物を反応容器中で、さら
に、105℃で1時間保持することによって行われる。
【0019】前記フルオロアルキルメチルシロキサン単
位を含むシロキサン重合体とジメチルポリシロキサン、
即ち、ジメチルシロキサンの単独重合体とを混合して用
いる場合、前記シロキサン重合体に含まれるジメチルシ
ロキサン単位とジメチルポリシロキサンに含まれるジメ
チルシロキサン単位の数の合計に対するフルオロアルキ
ルメチルシロキサン単位の数の割合が0.1以上の範囲
であることが好ましい。
【0020】加熱処理後に得られた油状媒体中のシロキ
サン重合体又はジメチルポリシロキサンの数平均分子量
は、500から1000であることが必要である。50
0未満であると、低分子量成分が多く揮発し易くなり、
1000を超えると高粘度となるため、好ましくない。
また、分子量分布の分散度が1.05〜1.25である
ことが必要であり、1.05〜1.20であることが好
ましい。分子量分布の分散度は1に近づく程理想的であ
るが、工業的には1.05程度であれば、本発明の目的
を達成しうるものである。一方、分子量分布の分散度が
1.25を超えるとオイルの組成が不均一となるため、
好ましくない。これら重合体の数平均分子量及び分子量
分布は常法によって測定することができる。
【0021】また、得られた油状媒体に含まれるイオン
性の不純物が5ppm以下であることが必要である。前
記したように、ここでイオン性の不純物とは、電流を印
加したときに正又は負の電荷を帯びる不純物を指すもの
であり、例えば、シロキサン重合体の合成に用いられる
反応容器に付着した界面活性剤の残存イオンや反応に用
いられる触媒由来のイオン性不純物、具体的には、Na
+ 、K+ 、Cl- 、CH3 COO- 等が挙げられる。イ
オン性の不純物は、電気粘性効果の観点から0.1pp
m以下であることが好ましく、原子吸光分析法や、IC
P等を用いて分析した場合、検出限界以下であることが
さらに好ましい。イオン性の不純物の定量方法として
は、ICP−MASS等の質量分析計、質量分光器を用
いて質量スペクトルを測定する方法が挙げられる。
【0022】液相である前記油状媒体は、80℃におけ
る体積抵抗率が1011Ω・m以上のものが好ましく、特
に1013Ω・m以上のものが好ましい。特に本発明の油
状媒体は、シロキサン重合体を含むシリコーンオイルか
らなるため、ゴム状の弾性を有する材料や各種高分子材
料と直接接触させて用いても劣化を起こさず、各種用途
に好ましく用いられる。これらの油状媒体が前記イオン
性の不純物を5ppmを超えて含有している場合、80
℃における体積抵抗率が1011Ω・m以上の絶縁特性を
得るのが困難となる。
【0023】本発明の油状媒体は、その粘度が25℃に
おいて0.65〜500センチストークス、好ましくは
5〜200センチストークス、さらに好ましくは10〜
50センチストークスであることが好ましい。好適な粘
度の液相を用いることにより、分散質である粉体を効率
よく安定に分散させることができる。油状媒体の粘度が
500センチストークスを超えると電気粘性流体の初期
粘度が高くなり、電気粘性効果による粘度変化が小さく
なる。また、0.65センチストークス未満であると、
揮発しやすくなり、分散媒の安定性が悪化する。
【0024】次に、第2の発明である電気粘性流体につ
いて説明する。本発明の電気粘性流体は、前記の如き電
気粘性流体用油状媒体を液相として、前記液相中に炭素
質粉体等の誘電体粒子を分散させてなり、パルス応答性
における応力のゆらぎ幅が10Pa以下のものである。
【0025】分散質として好適な誘電体粒子としては、
炭素含有量80〜97重量%の炭素質粉体が好ましく、
特に好ましくは炭素含有量85〜95重量%である。ま
た、炭素質粉体のC/H比(炭素原子/水素原子比)
は、1.2〜5のものが好ましく、特に好ましくは1.
70〜3.50である。粉体の形状は任意であるが、真
球状の形状をなすものが好ましい。
【0026】一般に電気粘性流体の分散相の電気抵抗は
半導体領域にあることは古くから知られているが〔W.
M.Winslow:J.Appl.Physics
第20巻、第1137頁(1949年)〕、炭素含有量
が80重量%未満で、且つ、C/H比が1.2未満の炭
素質粉体は絶縁体であり、電気粘性効果を示す液体は殆
ど得られない。一方、炭素含有量が97重量%を超え、
且つ、C/H比が5を超えるものは導電体に近く、電圧
を印加しても過大電流を示し、電気粘性効果を示す流体
は得られない。
【0027】本発明の電気粘性流体用粉体として好適な
前記C/H比を有する具体的材料としては、コールター
ルピッチ、石油系ピッチ、ポリ塩化ビニルを熱分解して
得られるピッチ等を微粉砕したもの、それらのピッチ又
はタール成分を加熱処理して得られる各種メソフェーズ
からなる微粉末、すなわち、加熱により形成される光学
的異方性小球体(球晶又はメソフェーズ小球体)を溶剤
でピッチ成分を溶解し、分別することによって得られる
微粉末さらにそれを微粉砕したもの、ピッチ原料を加熱
処理によりバルクメソフェーズ(例えば、特開昭59−
30887号記載のもの)とし、それを微粉砕したも
の、また、一部晶質化したピッチを微粉砕したもの、さ
らに、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の
熱硬化性樹脂を低温で炭化したものなどのいわゆる低温
処理炭素微粉末が例示され、さらに、無煙炭、瀝青炭等
の石炭類及びその熱処理物を微粉砕したもの、ポリエチ
レン、ポリプロピレン又はポリスチレン等の炭化水素
系、ビニル系高分子とポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニ
リデン等の塩素含有高分子との混合物を加圧下で加熱す
ることによって得られる炭素球、セルロース球、不飽和
ポリエステル球等が挙げられる。これら誘電体粒子もま
た、電気粘性流体に配合する前に、イオン性の不純物を
予め除去することが好ましい。
【0028】誘電体粒子の粒径は、平均直径が約0.0
1〜100μmであり、好ましくは0.1〜20μmさ
らに好ましくは0.5〜5μmの範囲である。100μ
mを超えると粒子の均一な分散状態を保持することが困
難となり、0.01μm未満であると電気粘性流体の初
期粘度が増加するため電気粘性効果の観点から好ましく
ない。
【0029】前記誘電体粒子を分散質とし前記油状媒体
からなる液相中に分散させることにより、電気粘性流体
を得るものであるが、電気粘性流体中に、分散質である
誘電体粒子は1〜60重量%、好ましくは20〜50重
量%含有され、液相である油状媒体は99〜40重量
%、好ましくは80〜50重量%含有される。分散質の
量が1重量%未満であると電気粘性効果が小さく、60
重量%を超えると電圧を印加しないときの初期粘度が著
しく高くなる。
【0030】本発明においては、電気粘性流体用油状媒
体には、電流を印加したときに正又は負の電荷を帯びる
不純物を0.05ppm以上含まないことが必要がある
が、電気粘性流体から考えると、分散質である誘電体粒
子中に含まれるイオン性の不純物、例えば、ナトリウ
ム、カルシウム、錫、マンガン、白金等の量も少ないこ
とが好ましい。誘電体粒子中に含まれる不純物は、誘電
体粒子として汎用の炭素質粉体を合成するのに用いられ
る原料、触媒に由来するものが多い。また、添加物に混
入している場合もあり、最終生成物である電気粘性流体
中に含まれる総量が少ないことが好ましい。不純物を含
有しない分散質粉体を得るには、(1)炭素質粉体の原
料として前記不純物を含まない物質を用い、製造工程に
おいても、触媒等の不純物が混入しないよう制御する方
法、(2)炭素質粉体の合成時に電気泳動を利用して不
純物を除去する方法、更に、(3)不純物の量が制御さ
れていない通常の炭素質粉体を用いる場合、不純物を可
溶化する溶媒で洗浄し、ろ過を行って不純物を除去する
方法等が挙げられる。
【0031】本発明の電気粘性流体には、本発明の効果
を損なわない範囲において、前記炭素質粉体以外の誘電
体粒子や、界面活性剤、分散剤、無機塩類等の添加物を
併用または配合することができるが、これら、添加物に
ついてもイオン性の不純物の含有量が5ppm以下のも
のを用いることが好ましい。
【0032】また、本発明においてパルス応答性が良好
であるとは、一定電圧を印加した際に、その印加時間内
において、電気粘性流体の剪断力の増分すなわち電気粘
性効果が一定値を示すことを指し、パルス応答性におけ
る応力のゆらぎ幅は、一定電圧を印加している時間内に
おける応力の変化を測定して求める。本発明の電気粘性
流体では、1kV以上の定電圧を印加した場合の応力の
ゆらぎ幅は40Pa以下、好ましくは10Pa以下であ
り、1kV未満の定電圧を印加した場合の応力のゆらぎ
幅は30Pa以下、好ましくは5Pa以下である。
【0033】
【実施例】以下に具体例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものでは
ない。
【0034】特性評価 (1)電気粘性流体の特性 初期並びに2kV電圧印加時の電気粘性流体の粘度を二
重円筒型回転粘度計を使用して、室温(約25℃)で、
剪断速度366/秒における見掛けの粘度として測定し
た。2kV電圧印加時の粘度は、内外円筒間に直流電場
を印加したときの見掛けの粘度として測定した。
【0035】2kV電圧印加時の電気粘性流体の電流密
度をレオメトリックスファーイースト社製、RDS−II
型装置を用いて、室温(約25℃)で測定した。
【0036】(実施例1)レゾール型フェノール樹脂1
000gを、塩酸(粉体に対して1重量%相当量)とと
もに水中で混合し、100℃にて8時間攪拌した後、ろ
過、洗浄、乾燥する。かくして得られた粉体を、アルゴ
ン雰囲気中で600℃で5時間炭化して、炭素質球状粉
体を得た。これを分級して平均粒径約7.8μmの電気
粘性流体用粉体を得た。得られた炭素質粉体10.8g
(30体積%)を、液相である25℃における粘度8.
7センチストークスのジメチルシロキサンと3,3,3
−トリフルオロプロピルメチルシロキサンとの共重合体
(共重合体中の3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルシロキサン単位の割合が30モル%)を105℃で1
時間熱処理して得られた油状媒体(体積抵抗率:3.5
×1012Ω・m、比誘電率:4.5、平均分子量:90
0、分子量分布の分散度:1.13、イオン性の不純物
含有量:0.1ppm)70体積%によく分散し、電気
粘性流体を得た。
【0037】得られた電気粘性流体の初期粘度及び電圧
2kV/mm印加時の粘度並びに電流密度を測定し、そ
の結果を表1に示した。
【0038】(実施例2)実施例1と同じ炭素質粉体1
0.8g(30体積%)を、液相である25℃における
粘度10センチストークスのジメチルポリシロキサン3
5体積%と8.7センチストークスのジメチルシロキサ
ンと3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサ
ンとの共重合体(共重合体中の3,3,3−トリフルオ
ロプロピルメチルシロキサン単位の割合が30モル%)
35体積%との混合物を105℃で1時間熱処理して得
られた油状媒体(体積抵抗率:1.0×1013Ω・m、
比誘電率:3.6、平均分子量:950、分子量分布の
分散度:1.13、イオン性の不純物含有量:0.1p
pm)によく分散し、電気粘性流体を得た。
【0039】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表1に示した。 (比較例1)実施例1と同じ炭素質粉体10.8g(3
0体積%)を、液相である25℃における粘度8.7セ
ンチストークスの、ジメチルシロキサンと3,3,3−
トリフルオロプロピルメチルシロキサンとの共重合体
(共重合体中の3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルシロキサン単位の割合が30モル%)である油状媒体
(体積抵抗率:1.2×1011Ω・m、比誘電率:4.
4、平均分子量:860、分子量分布の分散度:1.1
8、イオン性の不純物含有量:6ppm)70体積%に
よく分散し、電気粘性流体を得た。
【0040】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表1に示した。 (比較例2)実施例1と同じ炭素質粉体10.8g(3
0体積%)を、液相である25℃における粘度10セン
チストークスのジメチルポリシロキサン35体積%と
8.7センチストークスのジメチルシロキサンと3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンとの共
重合体(共重合体中の3,3,3−トリフルオロプロピ
ルメチルシロキサン単位の割合が30モル%)35体積
%との混合物である油状媒体(体積抵抗率:1.0×1
12Ω・m、比誘電率:3.5、平均分子量:840、
分子量分布の分散度:1.19、イオン性の不純物含有
量:6ppm)によく分散し、電気粘性流体を得た。
【0041】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表1に示した。 (比較例3)実施例1と同じ炭素質粉体10.8g(3
0体積%)を、液相である25℃における粘度8.7セ
ンチストークスの、ジメチルシロキサンと3,3,3−
トリフルオロプロピルメチルシロキサンとの共重合体
(共重合体中の3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルシロキサン単位の割合が30モル%)である油状媒体
(体積抵抗率:1.0×1011Ω・m、比誘電率:4.
4、平均分子量:890、分子量分布の分散度:1.3
4、イオン性の不純物含有量:0.4ppm)70体積
%によく分散し、電気粘性流体を得た。
【0042】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表1に示した。
【0043】
【表1】
【0044】表1の結果より明らかなごとく、本発明の
電気粘性流体はいずれも、電圧印加時に充分な粘度が得
られ、初期粘度に比較して電圧印加時の粘度が高く、高
い電気粘性効果を示し、応答性も良好であった。一方、
熱処理せずイオン性の不純物を5ppm以上含有する比
較例の電気粘性流体は、初期粘度と電圧印加時の粘度の
差が小さく、充分な電気粘性効果は得られなかった。さ
らに、電圧印加時の粘度の変化を観察したところ、本発
明の電気粘性流体は、応答性が良好であり、且つ、2k
v/mmの定電圧を30秒間印加している間における応
力の変化は2Paであり、安定であったが、比較例の電
気粘性流体は、同様の定電圧印加を行っているにもかか
わらず、粘度が経時的に変化し、30秒間の応力の変化
が20〜55Paと電気粘性効果の安定性が悪いことが
わかった。
【0045】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体用粉体は、前記構
成としたので、高い電気粘性効果を示し、応答性、定電
圧印加時の安定性に優れるという効果を示した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 125:02) C10N 20:02 20:04 20:06 30:08 40:14 (72)発明者 新井 久美 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 木田 信嗣 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内 (72)発明者 湯佐 さち子 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝シ リコーン株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0〜90モル%のジメチルシロキサン単
    位及び10〜100モル%のフルオロアルキルメチルシ
    ロキサン単位を含むシロキサン重合体を熱処理して得ら
    れた重合体からなる油状媒体であって、前記油状媒体に
    含まれるシロキサン重合体の数平均分子量が500〜1
    000、分子量分布の分散度が1.05〜1.25であ
    り、且つ、前記油状媒体に含まれるイオン性の不純物が
    5ppm以下であることを特徴とする電気粘性流体用油
    状媒体。
  2. 【請求項2】 前記シロキサン重合体と、液状ジメチル
    ポリシロキサンとの混合物を熱処理して得られた油状媒
    体であって、前記油状媒体に含まれるシロキサン重合体
    及び液状ジメチルポリシロキサンの数平均分子量が50
    0〜1000、分子量分布の分散度が1.05〜1.2
    5であり、且つ、前記油状媒体に含まれるイオン性の不
    純物が5ppm以下であることを特徴とする請求項1記
    載の電気粘性流体用油状媒体。
  3. 【請求項3】 前記熱処理が、加熱温度80〜160
    ℃、加熱時間0.5〜10時間の条件で行われることを
    特徴とする請求項1又は2記載の電気粘性流体用油状媒
    体。
  4. 【請求項4】 前記請求項1又は2記載の電気粘性流体
    用油状媒体中に、誘電体粒子を分散してなる、1kV以
    上の定電圧を印加した場合のパルス応答における応力の
    ゆらぎ幅が40Pa以下であることを特徴とする電気粘
    性流体。
  5. 【請求項5】 前記誘電体粒子が、炭素原子と水素原子
    との数の比が1.70〜3.50の範囲であるような炭
    素質粉末であることを特徴とする請求項4記載の電気粘
    性流体。
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