JPH08176584A - 電気粘性流体 - Google Patents
電気粘性流体Info
- Publication number
- JPH08176584A JPH08176584A JP6326126A JP32612694A JPH08176584A JP H08176584 A JPH08176584 A JP H08176584A JP 6326126 A JP6326126 A JP 6326126A JP 32612694 A JP32612694 A JP 32612694A JP H08176584 A JPH08176584 A JP H08176584A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrorheological fluid
- dielectric particles
- volume
- modified silicone
- electrorheological
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Lubricants (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 低い消費電力で、高い電気粘性流体効果を
示す電気粘性流体を提供する。 【構成】 誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%
を、0〜90モル%のジメチルシロキサン及び10〜1
00モル%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチル
シロキサンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が10
11Ω・m以上の油状媒体と前記誘電体粒子に対して0.
1〜20重量%のポリエーテル変成シリコーンとを含有
する液相50〜99体積%に、分散せしめてなることを
特徴とする。誘電体粒子は、100%メソフェーズピッ
チを原料として酸化性雰囲気化で熱処理し、その後炭化
処理して得られた炭素質粉末であることが好ましい。
示す電気粘性流体を提供する。 【構成】 誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%
を、0〜90モル%のジメチルシロキサン及び10〜1
00モル%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチル
シロキサンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が10
11Ω・m以上の油状媒体と前記誘電体粒子に対して0.
1〜20重量%のポリエーテル変成シリコーンとを含有
する液相50〜99体積%に、分散せしめてなることを
特徴とする。誘電体粒子は、100%メソフェーズピッ
チを原料として酸化性雰囲気化で熱処理し、その後炭化
処理して得られた炭素質粉末であることが好ましい。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気粘性流体用油状媒
体及びそれを用いた電気粘性流体に関し、詳しくは、特
定不純物を殆ど含有しない高温時の安定性に優れた油状
媒体及びそれを用いたパルス応答性、高温時の安定性に
優れた電気粘性流体に関する。
体及びそれを用いた電気粘性流体に関し、詳しくは、特
定不純物を殆ど含有しない高温時の安定性に優れた油状
媒体及びそれを用いたパルス応答性、高温時の安定性に
優れた電気粘性流体に関する。
【0002】
【従来の技術】電気粘性流体は、電気制御によりその粘
弾性特性を大きく、しかも、可逆的に変化させることが
できる流体で、電場の印加により流体の見掛けの粘度が
大きく変わる現象がウインズロー効果として古くから知
られており、クラッチ、バルブ、エンジンマウント、ア
クチュエーター、ロボットアーム等の装置や部品を電気
的に制御するための構成要素としての応用が検討されて
きた。しかしながら、初期の電気粘性流体は澱粉等の粉
体を鉱油や潤滑油に分散させたものであり、電気粘性効
果は発現されるものの、再現性に劣るという欠点があっ
た。
弾性特性を大きく、しかも、可逆的に変化させることが
できる流体で、電場の印加により流体の見掛けの粘度が
大きく変わる現象がウインズロー効果として古くから知
られており、クラッチ、バルブ、エンジンマウント、ア
クチュエーター、ロボットアーム等の装置や部品を電気
的に制御するための構成要素としての応用が検討されて
きた。しかしながら、初期の電気粘性流体は澱粉等の粉
体を鉱油や潤滑油に分散させたものであり、電気粘性効
果は発現されるものの、再現性に劣るという欠点があっ
た。
【0003】このため、電気粘性効果が高く、再現性に
優れた流体を得ることを目的として、分散質として用い
る粉体を中心に多くの提案がなされている。例えば、特
開昭53−93186号にはポリアクリル酸の如き酸基
をもつ高吸水性樹脂が、特公昭60−31211号には
イオン交換樹脂が、特開昭62−95397号にはアル
ミナシリケートが記載されている。これらはいずれも親
水性の固体粉体であり、これらを含水させて絶縁性の油
状媒体等の液相中に分散させたものであり、外部から高
電圧を印加したときに水の作用により粉体を構成する粒
子に分極が生じ、この分極により粒子間に電場方向の架
橋が生じるため粘度が増大するといわれている。液相と
しては、ハロゲン化ジフェニル、セバシン酸ブチル、炭
化水素油、塩素化パラフィン、シリコーン油等が知られ
ていた。しかしながら、前記含水粉体を用いた含水系電
気粘性流体は、広い温度範囲において充分な電気粘性効
果が得られず、水分の蒸発や凍結を招かないための使用
温度の制限、温度上昇による使用電流の増大、水分の移
行による不安定化、高電圧印加時の電極金属の腐食等の
多くの問題があり、実用化は困難であった。
優れた流体を得ることを目的として、分散質として用い
る粉体を中心に多くの提案がなされている。例えば、特
開昭53−93186号にはポリアクリル酸の如き酸基
をもつ高吸水性樹脂が、特公昭60−31211号には
イオン交換樹脂が、特開昭62−95397号にはアル
ミナシリケートが記載されている。これらはいずれも親
水性の固体粉体であり、これらを含水させて絶縁性の油
状媒体等の液相中に分散させたものであり、外部から高
電圧を印加したときに水の作用により粉体を構成する粒
子に分極が生じ、この分極により粒子間に電場方向の架
橋が生じるため粘度が増大するといわれている。液相と
しては、ハロゲン化ジフェニル、セバシン酸ブチル、炭
化水素油、塩素化パラフィン、シリコーン油等が知られ
ていた。しかしながら、前記含水粉体を用いた含水系電
気粘性流体は、広い温度範囲において充分な電気粘性効
果が得られず、水分の蒸発や凍結を招かないための使用
温度の制限、温度上昇による使用電流の増大、水分の移
行による不安定化、高電圧印加時の電極金属の腐食等の
多くの問題があり、実用化は困難であった。
【0004】この問題点を解決すべく、本発明者らは、
先に特開平3−47896号等によって特定炭素質微粉
末と、特定粘度の電気絶縁油とからなり、電気粘性効果
が高く、消費電力が低い非水系電気粘性流体を提案し
た。これらに所定の電流を印加することにより所望の粘
性効果を得るものである。ここに用いられる液相である
シリコーン油は、ゴムへの膨潤性が少ないため、防振ゴ
ム等の応用に適していたが、自動車用のショックアブソ
ーバーやクラッチ等への応用にはさらに大きな電気粘性
効果が求められていた。これらをさらに改良し、本発明
者らは特開平1−158082号において特定のシロキ
サン誘導体を液相として用いる、さらに電気粘性効果の
大きい電気粘性流体を提案した。しかしながら、この電
気粘性流体も、条件によっては所望の電気粘性効果を発
現しえない場合があり、高温時の安定性及び定電圧を印
加した場合のパルス応答性について未だ改良の余地があ
った。
先に特開平3−47896号等によって特定炭素質微粉
末と、特定粘度の電気絶縁油とからなり、電気粘性効果
が高く、消費電力が低い非水系電気粘性流体を提案し
た。これらに所定の電流を印加することにより所望の粘
性効果を得るものである。ここに用いられる液相である
シリコーン油は、ゴムへの膨潤性が少ないため、防振ゴ
ム等の応用に適していたが、自動車用のショックアブソ
ーバーやクラッチ等への応用にはさらに大きな電気粘性
効果が求められていた。これらをさらに改良し、本発明
者らは特開平1−158082号において特定のシロキ
サン誘導体を液相として用いる、さらに電気粘性効果の
大きい電気粘性流体を提案した。しかしながら、この電
気粘性流体も、条件によっては所望の電気粘性効果を発
現しえない場合があり、高温時の安定性及び定電圧を印
加した場合のパルス応答性について未だ改良の余地があ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記特定の
シロキサン誘導体を液相として用いた電気粘性流体の特
性を生かしつつ、電気粘性効果を一層向上すべく改良を
加えたものである。すなわち、本発明の目的は、低い消
費電力で高い電気粘性流体効果を示す、優れた電気粘性
流体を提供することにある。
シロキサン誘導体を液相として用いた電気粘性流体の特
性を生かしつつ、電気粘性効果を一層向上すべく改良を
加えたものである。すなわち、本発明の目的は、低い消
費電力で高い電気粘性流体効果を示す、優れた電気粘性
流体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電気粘性流体
は、誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%を、0〜
90モル%のジメチルシロキサン及び10〜100モル
%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサ
ンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1011Ω・m
以上の油状媒体と前記誘電体粒子に対して0.1〜20
重量%の変性シリコーンとを含有する液相50〜99体
積%に、分散せしめてなることを特徴とする。
は、誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%を、0〜
90モル%のジメチルシロキサン及び10〜100モル
%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサ
ンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1011Ω・m
以上の油状媒体と前記誘電体粒子に対して0.1〜20
重量%の変性シリコーンとを含有する液相50〜99体
積%に、分散せしめてなることを特徴とする。
【0007】本発明の請求項2に記載の電気粘性流体
は、誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%を、0〜
90モル%のジメチルシロキサン及び10〜100モル
%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサ
ンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1011Ω・m
以上の油状媒体と、ジメチルシロキサンの単独重合体で
ある油状媒体との混合物であって、該混合物中のジメチ
ルシロキサン単位の数及び3,3,3−トリフルオロプ
ロピルメチルシロキサン単位の数の合計値に対する3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の
数の割合が0.1〜0.9の範囲にある油状媒体と前記
誘電体粒子に対して0.1〜20重量%の変性シリコー
ンとを含有する液相50〜99体積%に、分散せしめて
なることを特徴とする。
は、誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積%を、0〜
90モル%のジメチルシロキサン及び10〜100モル
%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサ
ンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1011Ω・m
以上の油状媒体と、ジメチルシロキサンの単独重合体で
ある油状媒体との混合物であって、該混合物中のジメチ
ルシロキサン単位の数及び3,3,3−トリフルオロプ
ロピルメチルシロキサン単位の数の合計値に対する3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の
数の割合が0.1〜0.9の範囲にある油状媒体と前記
誘電体粒子に対して0.1〜20重量%の変性シリコー
ンとを含有する液相50〜99体積%に、分散せしめて
なることを特徴とする。
【0008】本発明の請求項3に記載の電気粘性流体は
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記変性
シリコーンが、アミノ変性、フェノール変性、エポキシ
変性又はポリエーテル変性シリコーンから選択される1
種以上の変性シリコーンであることを特徴とする。
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記変性
シリコーンが、アミノ変性、フェノール変性、エポキシ
変性又はポリエーテル変性シリコーンから選択される1
種以上の変性シリコーンであることを特徴とする。
【0009】本発明の請求項4に記載の電気粘性流体は
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をHF/BF3 を触媒として熱重合させて得られた
軟化点が150〜400℃の範囲にある100%メソフ
ェーズピッチを、その溶融温度以下で且つ50〜400
℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して得られ
た、酸素含有量8〜25重量%の粉末をさらに炭化処理
した炭素質粉末であることを特徴とする。
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をHF/BF3 を触媒として熱重合させて得られた
軟化点が150〜400℃の範囲にある100%メソフ
ェーズピッチを、その溶融温度以下で且つ50〜400
℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して得られ
た、酸素含有量8〜25重量%の粉末をさらに炭化処理
した炭素質粉末であることを特徴とする。
【0010】本発明の請求項5に記載の電気粘性流体は
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をルイス酸で重合させて得られた熱可塑性ピッチに
架橋剤を添加、混合、加熱して熱硬化性に変性して得ら
れた、炭素原子と水素原子の数の比が0.5〜3.5で
ある炭素質粉末であることを特徴とする。
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をルイス酸で重合させて得られた熱可塑性ピッチに
架橋剤を添加、混合、加熱して熱硬化性に変性して得ら
れた、炭素原子と水素原子の数の比が0.5〜3.5で
ある炭素質粉末であることを特徴とする。
【0011】本発明の請求項6に記載の電気粘性流体は
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記熱可
塑性ピッチが、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香
族化合物を、ルイス酸としてHF/BF3 を用いて15
0℃以上の温度で熱重合させて得られた軟化点が150
〜400℃の範囲にある100%メソフェーズピッチで
あることを特徴とする。
請求項1又は2記載の電気粘性流体であって、前記熱可
塑性ピッチが、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香
族化合物を、ルイス酸としてHF/BF3 を用いて15
0℃以上の温度で熱重合させて得られた軟化点が150
〜400℃の範囲にある100%メソフェーズピッチで
あることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項7に記載の電気粘性流体は
請求項3乃至5のいずれかに記載の電気粘性流体であっ
て、前記炭素質粉末の粒径が0.01〜100μmであ
ることを特徴とする。
請求項3乃至5のいずれかに記載の電気粘性流体であっ
て、前記炭素質粉末の粒径が0.01〜100μmであ
ることを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電気粘性流体に用いられる油状媒体は、0〜90モル%
のジメチルシロキサン及び10〜100モル%の3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンを含む
シロキサン重合体からなる油状媒体又は前記シロキサン
重合体と液状ジメチルポリシロキサンとの混合物からな
る油状媒体である。これらの油状媒体は、不純物低下の
観点から熱処理を行なった後、油状媒体として用いるこ
とが好ましい。また、前記油状媒体に含まれる重合体の
数平均分子量は、500〜1000であることが好まし
く、分子量分布の分散度は低いことが好ましく、好まし
くは1.05〜1.25である。
電気粘性流体に用いられる油状媒体は、0〜90モル%
のジメチルシロキサン及び10〜100モル%の3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンを含む
シロキサン重合体からなる油状媒体又は前記シロキサン
重合体と液状ジメチルポリシロキサンとの混合物からな
る油状媒体である。これらの油状媒体は、不純物低下の
観点から熱処理を行なった後、油状媒体として用いるこ
とが好ましい。また、前記油状媒体に含まれる重合体の
数平均分子量は、500〜1000であることが好まし
く、分子量分布の分散度は低いことが好ましく、好まし
くは1.05〜1.25である。
【0014】シロキサン重合体としては、ジメチルシロ
キサン単位を0〜90モル%、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルメチルシロキサン単位を10〜100モル%
からなる重合体が好ましい。
キサン単位を0〜90モル%、3,3,3−トリフルオ
ロプロピルメチルシロキサン単位を10〜100モル%
からなる重合体が好ましい。
【0015】電気粘性効果を増大させるにはフルオロシ
リコーンオイルの如き誘電率の高い液相を用いることが
考えられ、その最適なものとして3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサンとジメチルシロキサンと
の共重合体を用いることを提案したが、通常は、3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の
割合が50モル%を超えると空気中の水分の影響を受け
易くなり導電性が増して使用に適さないとされたが、本
発明にある如き配合を用いれば、3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサンの単独重合体をも、液相
用の油状媒体として使用しうることが明らかとなった。
リコーンオイルの如き誘電率の高い液相を用いることが
考えられ、その最適なものとして3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサンとジメチルシロキサンと
の共重合体を用いることを提案したが、通常は、3,
3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位の
割合が50モル%を超えると空気中の水分の影響を受け
易くなり導電性が増して使用に適さないとされたが、本
発明にある如き配合を用いれば、3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサンの単独重合体をも、液相
用の油状媒体として使用しうることが明らかとなった。
【0016】次に、本発明に用いられるシロキサン重合
体の合成方法について説明する。通常のジメチルポリシ
ロキサンを合成するためには、末端基となる一官能性モ
ノマー2当量に対して、二官能性のジメチルシロキサン
単位を4当量を用いて、小量の濃硫酸を加えて震盪す
る。この時、側鎖に−CF3 基を有する二官能性のジメ
チルシロキサン単位を用いることにより、フルオロシリ
コーン重合体を得ることができる。反応時間は、少なく
とも80℃で2時間、130℃で2時間以上である。重
合体形成後、得られる重合体の均質化を図るため、12
時間以上の平衡化反応を行うことが好ましい。また、反
応中に十分攪拌を行うことによって、得られる重合体中
のモノマー単位をランダム化することが好ましい。攪拌
が十分でないと、ジメチルシロキサン単位と3,3,3
−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位とがブロ
ック化した共重合体が形成され、安定性、耐久性の観点
から、好ましくない。
体の合成方法について説明する。通常のジメチルポリシ
ロキサンを合成するためには、末端基となる一官能性モ
ノマー2当量に対して、二官能性のジメチルシロキサン
単位を4当量を用いて、小量の濃硫酸を加えて震盪す
る。この時、側鎖に−CF3 基を有する二官能性のジメ
チルシロキサン単位を用いることにより、フルオロシリ
コーン重合体を得ることができる。反応時間は、少なく
とも80℃で2時間、130℃で2時間以上である。重
合体形成後、得られる重合体の均質化を図るため、12
時間以上の平衡化反応を行うことが好ましい。また、反
応中に十分攪拌を行うことによって、得られる重合体中
のモノマー単位をランダム化することが好ましい。攪拌
が十分でないと、ジメチルシロキサン単位と3,3,3
−トリフルオロプロピルメチルシロキサン単位とがブロ
ック化した共重合体が形成され、安定性、耐久性の観点
から、好ましくない。
【0017】電気粘性流体の液相に適する油状媒体を得
るためには、原料及び反応容器中の水分を十分除去する
ことが好ましい。水分が残存していると、末端のメチル
基がシラノールとなる可能性があり、シラノールの存在
は、電気粘性流体の応答性に悪影響を及ぼすためであ
る。得られた重合体中にシラノールが認められた場合に
は、シリル化処理を施すことによって、応答性への影響
を回避しうる。また、反応容器中に残存する界面活性剤
の残留イオンが油状媒体の電導度を向上させる働きがあ
るため、反応容器の洗浄にも注意をはらうことが必要で
ある。
るためには、原料及び反応容器中の水分を十分除去する
ことが好ましい。水分が残存していると、末端のメチル
基がシラノールとなる可能性があり、シラノールの存在
は、電気粘性流体の応答性に悪影響を及ぼすためであ
る。得られた重合体中にシラノールが認められた場合に
は、シリル化処理を施すことによって、応答性への影響
を回避しうる。また、反応容器中に残存する界面活性剤
の残留イオンが油状媒体の電導度を向上させる働きがあ
るため、反応容器の洗浄にも注意をはらうことが必要で
ある。
【0018】本発明においては、これらのシロキサン重
合体又はこれらのシロキサン重合体とジメチルポリシロ
キサンとの混合物を油状媒体とするものであるが、これ
らの油状媒体は、熱処理を行って不純物濃度を低下させ
てから用いることが好ましい。例えば、熱処理は、80
℃〜160℃の温度で、0.5時間以上、さらに1時間
以上行うことが好ましい。この様な熱処理を行うことに
よって重合体中に含まれる揮発成分の除去を行うことが
でき、分子量分布を狭くしうるとともに、イオン性の不
純物を除去することができる。しかしながら、160℃
を超える高温で熱処理を行うことは、所望の物性に到達
した重合体分子をも揮発させる虞があるため好ましくな
い。加熱処理は、通常、重合反応終了後のシロキサン重
合体又は前記シロキサン重合体とジメチルポリシロキサ
ンとの混合物を反応容器中で、さらに、所定の熱処理温
度で一定時間保持することによって行われる。
合体又はこれらのシロキサン重合体とジメチルポリシロ
キサンとの混合物を油状媒体とするものであるが、これ
らの油状媒体は、熱処理を行って不純物濃度を低下させ
てから用いることが好ましい。例えば、熱処理は、80
℃〜160℃の温度で、0.5時間以上、さらに1時間
以上行うことが好ましい。この様な熱処理を行うことに
よって重合体中に含まれる揮発成分の除去を行うことが
でき、分子量分布を狭くしうるとともに、イオン性の不
純物を除去することができる。しかしながら、160℃
を超える高温で熱処理を行うことは、所望の物性に到達
した重合体分子をも揮発させる虞があるため好ましくな
い。加熱処理は、通常、重合反応終了後のシロキサン重
合体又は前記シロキサン重合体とジメチルポリシロキサ
ンとの混合物を反応容器中で、さらに、所定の熱処理温
度で一定時間保持することによって行われる。
【0019】前記3,3,3−トリフルオロプロピルメ
チルシロキサン単位を含むシロキサン重合体とジメチル
ポリシロキサン、即ち、ジメチルシロキサンの単独重合
体とを混合して用いる場合、前記シロキサン重合体に含
まれるジメチルシロキサン単位とジメチルポリシロキサ
ンに含まれるジメチルシロキサン単位の数の合計に対す
る3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン
単位の数の割合が0.1から0.9の範囲であることが
好ましい。割合が0.1未満であると、電気粘性効果の
増大が不十分であり、0.9を超えると、導電性の増加
にともなう粉末の電気泳動が起こりやすくなりため好ま
しくない。
チルシロキサン単位を含むシロキサン重合体とジメチル
ポリシロキサン、即ち、ジメチルシロキサンの単独重合
体とを混合して用いる場合、前記シロキサン重合体に含
まれるジメチルシロキサン単位とジメチルポリシロキサ
ンに含まれるジメチルシロキサン単位の数の合計に対す
る3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン
単位の数の割合が0.1から0.9の範囲であることが
好ましい。割合が0.1未満であると、電気粘性効果の
増大が不十分であり、0.9を超えると、導電性の増加
にともなう粉末の電気泳動が起こりやすくなりため好ま
しくない。
【0020】油状媒体として用いられるシロキサン重合
体又はジメチルポリシロキサンの数平均分子量は、50
0から1000であることが好ましい。500未満であ
ると、低分子量成分が多く揮発し易く、1000を超え
ると高粘度となるため、好ましくない。また、分子量分
布の分散度は低いことが好ましく、例えば、1.05〜
1.25、さらには1.05〜1.20であることが好
ましい。分子量分布の分散度は1に近づく程理想的であ
るが、工業的には1.05程度であれば、本発明の目的
を達成しうるものである。一方、分子量分布の分散度が
1.25を超えるとオイルの組成が不均一となるため、
好ましくない。これら重合体の数平均分子量及び分子量
分布は常法によって測定することができる。
体又はジメチルポリシロキサンの数平均分子量は、50
0から1000であることが好ましい。500未満であ
ると、低分子量成分が多く揮発し易く、1000を超え
ると高粘度となるため、好ましくない。また、分子量分
布の分散度は低いことが好ましく、例えば、1.05〜
1.25、さらには1.05〜1.20であることが好
ましい。分子量分布の分散度は1に近づく程理想的であ
るが、工業的には1.05程度であれば、本発明の目的
を達成しうるものである。一方、分子量分布の分散度が
1.25を超えるとオイルの組成が不均一となるため、
好ましくない。これら重合体の数平均分子量及び分子量
分布は常法によって測定することができる。
【0021】また、油状媒体中に含まれるイオン性の不
純物は、電気粘性効果の観点から少ないことが好まし
く、例えば、5ppm以下であることが好ましい。ここ
でイオン性の不純物とは、電流を印加したときに正又は
負の電荷を帯びる不純物を指すものであり、例えば、シ
ロキサン重合体の合成に用いられる反応容器に付着した
界面活性剤の残存イオンや反応に用いられる触媒由来の
イオン性不純物、具体的には、Na+ 、K+ 、Cl- 、
CH3 COO- 等が挙げられる。イオン性の不純物は、
電気粘性効果の観点から0.5ppm以下、さらに、
0.1ppm以下であることが好ましく、原子吸光分析
法や、ICP等を用いて分析した場合、検出限界以下で
あることがさらに好ましい。イオン性の不純物の定量方
法としては、ICP−MASS等の質量分析計、質量分
光器を用いて質量スペクトルを測定する方法が挙げられ
る。
純物は、電気粘性効果の観点から少ないことが好まし
く、例えば、5ppm以下であることが好ましい。ここ
でイオン性の不純物とは、電流を印加したときに正又は
負の電荷を帯びる不純物を指すものであり、例えば、シ
ロキサン重合体の合成に用いられる反応容器に付着した
界面活性剤の残存イオンや反応に用いられる触媒由来の
イオン性不純物、具体的には、Na+ 、K+ 、Cl- 、
CH3 COO- 等が挙げられる。イオン性の不純物は、
電気粘性効果の観点から0.5ppm以下、さらに、
0.1ppm以下であることが好ましく、原子吸光分析
法や、ICP等を用いて分析した場合、検出限界以下で
あることがさらに好ましい。イオン性の不純物の定量方
法としては、ICP−MASS等の質量分析計、質量分
光器を用いて質量スペクトルを測定する方法が挙げられ
る。
【0022】液相に用いられる前記油状媒体は、80℃
における体積抵抗率が1011Ω・m以上であり、1013
Ω・m以上のものが好ましい。特に本発明の油状媒体
は、シロキサン重合体を含むシリコーンオイルからなる
ため、ゴム状の弾性を有する材料や各種高分子材料と直
接接触させて用いても該材料の劣化を生起させることが
ないため、各種用途に好ましく用いられる。
における体積抵抗率が1011Ω・m以上であり、1013
Ω・m以上のものが好ましい。特に本発明の油状媒体
は、シロキサン重合体を含むシリコーンオイルからなる
ため、ゴム状の弾性を有する材料や各種高分子材料と直
接接触させて用いても該材料の劣化を生起させることが
ないため、各種用途に好ましく用いられる。
【0023】また、本発明に用いられる油状媒体は、そ
の粘度が25℃において0.65〜500センチストー
クス、さらに5〜200センチストークスが好ましく、
10〜50センチストークスであることが最も好まし
い。好適な粘度の液相を用いることにより、分散質であ
る粉末を効率よく安定に分散させることができる。油状
媒体の粘度が500センチストークスを超えると電気粘
性流体の初期粘度が高くなり、電気粘性効果による粘度
変化が小さくなる。また、0.65センチストークス未
満であると、揮発しやすくなり、分散媒の安定性が悪化
する。
の粘度が25℃において0.65〜500センチストー
クス、さらに5〜200センチストークスが好ましく、
10〜50センチストークスであることが最も好まし
い。好適な粘度の液相を用いることにより、分散質であ
る粉末を効率よく安定に分散させることができる。油状
媒体の粘度が500センチストークスを超えると電気粘
性流体の初期粘度が高くなり、電気粘性効果による粘度
変化が小さくなる。また、0.65センチストークス未
満であると、揮発しやすくなり、分散媒の安定性が悪化
する。
【0024】次に、本発明の電気粘性流体の液相に含ま
れる第2の成分である変性シリコーンについて説明す
る。本発明に用いられる変性シリコーンとしては特に制
限はなく、下記一般式(I)で代表される構造のものが
使用できる。
れる第2の成分である変性シリコーンについて説明す
る。本発明に用いられる変性シリコーンとしては特に制
限はなく、下記一般式(I)で代表される構造のものが
使用できる。
【0025】
【化1】
【0026】式中のA1及びB1で表される官能基として
は、下記表1に示すものが挙げられる。
は、下記表1に示すものが挙げられる。
【0027】
【表1】
【0028】以上の各種変性シリコーンオイルは、分散
相に用いられるシリコーンオイルと親和性をもつことか
ら、これらの各種変性シリコーンオイルが界面活性剤と
して働き、炭素質粉体の分散性を向上させるため、分散
相の沈澱を防止し、再分散性を向上させ、流体の初期粘
度を低減すると考えられる。
相に用いられるシリコーンオイルと親和性をもつことか
ら、これらの各種変性シリコーンオイルが界面活性剤と
して働き、炭素質粉体の分散性を向上させるため、分散
相の沈澱を防止し、再分散性を向上させ、流体の初期粘
度を低減すると考えられる。
【0029】これらの変性シリコーンのうち、分散性の
観点から、特に、ポリエーテル変性シリコーンが好まし
く用いられる。ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチ
ルポリシロキサン等のシリコーン骨格にポリオキシアル
キレンが共重合したものであり、下記一般式(II)で表
されような構造を有する。
観点から、特に、ポリエーテル変性シリコーンが好まし
く用いられる。ポリエーテル変性シリコーンは、ジメチ
ルポリシロキサン等のシリコーン骨格にポリオキシアル
キレンが共重合したものであり、下記一般式(II)で表
されような構造を有する。
【0030】
【化2】
【0031】ここで用いられるポリエーテル変性シリコ
ーンは、粘度500〜2000cstであることが好ま
しい。ポリエーテル変性シリコーンは、前記油状媒体に
用いられるシリコーン重合体と親和性を有しており、さ
らに、界面活性能を有することから、液相に前記油状媒
体とともにポリエーテル変性シリコーンを用いることに
よって、電気粘性流体の分散相である誘電体粒子の分散
安定性が向上し、しかも、液相の初期粘度を低下させ
る。ポリエーテル変性シリコーンは、電気粘性流体に用
いられる誘電体粒子の含有量に対して0.1〜20重量
%添加することが必要である。添加量が0.1重量%未
満であると分散性向上効果が不十分であり、20重量%
を超えると、3,3,3−トリフルオロプロピルメチル
シロキサンに比較して粘度が高いポリエーテル変性シリ
コーンの影響により電気粘性流体の初期粘度が高くな
り、さらに分散相の分散性が悪化するため、いずれも好
ましくない。
ーンは、粘度500〜2000cstであることが好ま
しい。ポリエーテル変性シリコーンは、前記油状媒体に
用いられるシリコーン重合体と親和性を有しており、さ
らに、界面活性能を有することから、液相に前記油状媒
体とともにポリエーテル変性シリコーンを用いることに
よって、電気粘性流体の分散相である誘電体粒子の分散
安定性が向上し、しかも、液相の初期粘度を低下させ
る。ポリエーテル変性シリコーンは、電気粘性流体に用
いられる誘電体粒子の含有量に対して0.1〜20重量
%添加することが必要である。添加量が0.1重量%未
満であると分散性向上効果が不十分であり、20重量%
を超えると、3,3,3−トリフルオロプロピルメチル
シロキサンに比較して粘度が高いポリエーテル変性シリ
コーンの影響により電気粘性流体の初期粘度が高くな
り、さらに分散相の分散性が悪化するため、いずれも好
ましくない。
【0032】次に、本発明の電気粘性流体の分散相とし
て用いられる誘電体粒子について説明する。
て用いられる誘電体粒子について説明する。
【0033】本発明に用いられる誘電体粒子の粒径は、
平均直径が約0.01〜100μmであり、好ましくは
0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜5μmの
範囲である。100μmを超えると粒子の均一な分散状
態を保持することが困難となり、0.01μm未満であ
ると電気粘性流体の初期粘度が増加するため電気粘性効
果の観点から好ましくない。誘電体粒子は前記平均直径
を有する材料を選択して用いてもよく、必要に応じて粒
度調整を行って平均直径を前記範囲に調整して用いても
よい。
平均直径が約0.01〜100μmであり、好ましくは
0.1〜20μm、さらに好ましくは0.5〜5μmの
範囲である。100μmを超えると粒子の均一な分散状
態を保持することが困難となり、0.01μm未満であ
ると電気粘性流体の初期粘度が増加するため電気粘性効
果の観点から好ましくない。誘電体粒子は前記平均直径
を有する材料を選択して用いてもよく、必要に応じて粒
度調整を行って平均直径を前記範囲に調整して用いても
よい。
【0034】分散質として好適な誘電体粒子としては、
炭素含有量80〜97重量%の炭素質粉末が好ましく、
特に好ましくは炭素含有量85〜95重量%である。ま
た、炭素質粉末のC/H比(炭素原子/水素原子比)
は、1.2〜5のものが好ましく、特に好ましくは1.
5〜3.5である。粉末の形状は任意であるが、真球状
の形状をなすものが好ましい。
炭素含有量80〜97重量%の炭素質粉末が好ましく、
特に好ましくは炭素含有量85〜95重量%である。ま
た、炭素質粉末のC/H比(炭素原子/水素原子比)
は、1.2〜5のものが好ましく、特に好ましくは1.
5〜3.5である。粉末の形状は任意であるが、真球状
の形状をなすものが好ましい。
【0035】一般に電気粘性流体の分散相の電気抵抗は
半導体領域にあることは古くから知られているが〔W.
M.Winslow:J.Appl.Physics
第20巻、第1137頁(1949年)〕、炭素含有量
が80重量%未満で、且つ、C/H比が1.2未満の炭
素質粉末は絶縁体であり、電気粘性効果を示す液体は殆
ど得られない。一方、炭素含有量が97重量%を超え、
且つ、C/H比が5を超えるものは導電体に近く、電圧
を印加しても過大電流を示し、電気粘性効果を示す流体
は得られない。
半導体領域にあることは古くから知られているが〔W.
M.Winslow:J.Appl.Physics
第20巻、第1137頁(1949年)〕、炭素含有量
が80重量%未満で、且つ、C/H比が1.2未満の炭
素質粉末は絶縁体であり、電気粘性効果を示す液体は殆
ど得られない。一方、炭素含有量が97重量%を超え、
且つ、C/H比が5を超えるものは導電体に近く、電圧
を印加しても過大電流を示し、電気粘性効果を示す流体
は得られない。
【0036】本発明の電気粘性流体用粉末として好適な
前記C/H比を有する具体的材料としては、コールター
ルピッチ、石油系ピッチ、ポリ塩化ビニルを熱分解して
得られるピッチ等を微粉砕したもの、それらのピッチ又
はタール成分を加熱処理して得られる各種メソフェーズ
からなる微粉末、すなわち、加熱により形成される光学
的異方性小球体(球晶又はメソフェーズ小球体)を溶剤
でピッチ成分を溶解し、分別することによって得られる
微粉末さらにそれを微粉砕したもの、ピッチ原料を加熱
処理によりバルクメソフェーズ(例えば、特開昭59−
30887号記載のもの)とし、それを微粉砕したも
の、また、一部晶質化したピッチを微粉砕したもの、さ
らに、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の
熱硬化性樹脂を低温で炭化したものなどのいわゆる低温
処理炭素微粉末が例示され、さらに、無煙炭、瀝青炭等
の石炭類及びその熱処理物を微粉砕したもの、ポリエチ
レン、ポリプロピレン又はポリスチレン等の炭化水素
系、ビニル系高分子とポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニ
リデン等の塩素含有高分子との混合物を加圧下で加熱す
ることによって得られる炭素球、セルロース球、不飽和
ポリエステル球等が挙げられる。これら誘電体粒子は、
電気粘性流体に配合する前にイオン性の不純物を予め除
去することが好ましい。
前記C/H比を有する具体的材料としては、コールター
ルピッチ、石油系ピッチ、ポリ塩化ビニルを熱分解して
得られるピッチ等を微粉砕したもの、それらのピッチ又
はタール成分を加熱処理して得られる各種メソフェーズ
からなる微粉末、すなわち、加熱により形成される光学
的異方性小球体(球晶又はメソフェーズ小球体)を溶剤
でピッチ成分を溶解し、分別することによって得られる
微粉末さらにそれを微粉砕したもの、ピッチ原料を加熱
処理によりバルクメソフェーズ(例えば、特開昭59−
30887号記載のもの)とし、それを微粉砕したも
の、また、一部晶質化したピッチを微粉砕したもの、さ
らに、フェノール樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の
熱硬化性樹脂を低温で炭化したものなどのいわゆる低温
処理炭素微粉末が例示され、さらに、無煙炭、瀝青炭等
の石炭類及びその熱処理物を微粉砕したもの、ポリエチ
レン、ポリプロピレン又はポリスチレン等の炭化水素
系、ビニル系高分子とポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニ
リデン等の塩素含有高分子との混合物を加圧下で加熱す
ることによって得られる炭素球、セルロース球、不飽和
ポリエステル球等が挙げられる。これら誘電体粒子は、
電気粘性流体に配合する前にイオン性の不純物を予め除
去することが好ましい。
【0037】本発明に用いられる誘電体粒子の好ましい
態様のひとつとして、100%メソフェーズピッチを原
料として得られる炭素質粉末が挙げられる。即ち、誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をHF/BF3 を触媒として熱重合させて得られた
軟化点が150〜400℃の範囲にある100%メソフ
ェーズピッチを、その溶融温度以下で且つ50〜400
℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して得られ
た、酸素含有量8〜25重量%の粉末を不活性ガス雰囲
気下で加熱することにより炭化処理した炭素質粉末であ
ることが好ましい。具体的には、下記のプロセスにより
得られた炭素質粉末である;(1)出発原料として、ナ
フタレンを主成分とする縮合多環芳香族化合物をHF/
BF3 を触媒として、例えば、150℃以上の温度で、
熱重合させて得られた軟化点が150〜400℃の範囲
にある100%メソフェーズピッチを用いる;さらに、
(2)前記100%メソフェーズピッチを、その溶融温
度以下で且つ50〜400℃、好ましくは200〜30
0℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して、酸素
含有量を8〜25重量%の炭素質粉末を得る;その後、
(3)得られた炭素質粉末を300〜700℃の温度
で、不活性ガス雰囲気下で熱処理することによって炭化
させる。
態様のひとつとして、100%メソフェーズピッチを原
料として得られる炭素質粉末が挙げられる。即ち、誘電
体粒子が、ナフタレンを主成分とする縮合多環芳香族化
合物をHF/BF3 を触媒として熱重合させて得られた
軟化点が150〜400℃の範囲にある100%メソフ
ェーズピッチを、その溶融温度以下で且つ50〜400
℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して得られ
た、酸素含有量8〜25重量%の粉末を不活性ガス雰囲
気下で加熱することにより炭化処理した炭素質粉末であ
ることが好ましい。具体的には、下記のプロセスにより
得られた炭素質粉末である;(1)出発原料として、ナ
フタレンを主成分とする縮合多環芳香族化合物をHF/
BF3 を触媒として、例えば、150℃以上の温度で、
熱重合させて得られた軟化点が150〜400℃の範囲
にある100%メソフェーズピッチを用いる;さらに、
(2)前記100%メソフェーズピッチを、その溶融温
度以下で且つ50〜400℃、好ましくは200〜30
0℃の温度において酸化性雰囲気下で熱処理して、酸素
含有量を8〜25重量%の炭素質粉末を得る;その後、
(3)得られた炭素質粉末を300〜700℃の温度
で、不活性ガス雰囲気下で熱処理することによって炭化
させる。
【0038】各工程についてさらに詳細に述べれば、前
記(1)の工程において得られる如き100%メソフェ
ーズピッチを用いて炭素質粉末を得る場合のみ、誘電体
粒子中の酸素含有量が10重量%を超えるようなときで
も、消費電力の著しい増加が認められないという特性を
発現する。メソフェーズ即ち光学的異方性を有するか否
かは偏光顕微鏡で観察することにより確認することがで
きる。また、ここでナフタレンを主成分とする縮合多環
芳香族化合物とは、石油乾留の副生成物として得られる
不純物を含有する粗ナフタレン等を指す。
記(1)の工程において得られる如き100%メソフェ
ーズピッチを用いて炭素質粉末を得る場合のみ、誘電体
粒子中の酸素含有量が10重量%を超えるようなときで
も、消費電力の著しい増加が認められないという特性を
発現する。メソフェーズ即ち光学的異方性を有するか否
かは偏光顕微鏡で観察することにより確認することがで
きる。また、ここでナフタレンを主成分とする縮合多環
芳香族化合物とは、石油乾留の副生成物として得られる
不純物を含有する粗ナフタレン等を指す。
【0039】また、前記(2)の工程において、酸化性
雰囲気下とは酸素、オゾン等の存在下であることをさ
す。この工程は不融化処理であり、これに続く炭化処理
工程での粒子の溶融を抑えるために行うものである。こ
の不融化処理を施さない100%メソフェーズピッチ
は、炭化処理工程において溶融してバルク状となり、粉
末化が困難となるが、不融化処理を施すことによって溶
融が抑制されて炭化後の粉末化が容易となる。
雰囲気下とは酸素、オゾン等の存在下であることをさ
す。この工程は不融化処理であり、これに続く炭化処理
工程での粒子の溶融を抑えるために行うものである。こ
の不融化処理を施さない100%メソフェーズピッチ
は、炭化処理工程において溶融してバルク状となり、粉
末化が困難となるが、不融化処理を施すことによって溶
融が抑制されて炭化後の粉末化が容易となる。
【0040】この酸素雰囲気下での不融化処理により原
料ピッチ中の酸素含有量が増加する。この段階での酸素
含有量が次工程の炭化処理により得られる炭素質粉末の
酸素含有量に大きな影響を及ぼす。次工程の炭化処理は
不活性ガス雰囲気化での熱処理であり酸素含有量は減少
する方向なので、この不融化処理工程で十分な酸素を含
有させるようにする。炭化処理後の炭素質粉末の酸素含
有量を電気粘性流体の分散相として好適な3重量%を超
え、20重量%以下とするためには、不融化処理後のピ
ッチの酸素含有量を5〜25重量%とするのが適当であ
る。この不融化処理においては、処理温度が高いほど、
また、処理時間が長いほど、酸素含有量は増加するの
で、温度と処理時間とを制御することによって所望の酸
素含有量の不融化ピッチ粉末を得ることができる。不融
化ピッチ粉末中の酸素はエーテル結合の形で芳香族環に
取り込まれているものが多いと推定される。
料ピッチ中の酸素含有量が増加する。この段階での酸素
含有量が次工程の炭化処理により得られる炭素質粉末の
酸素含有量に大きな影響を及ぼす。次工程の炭化処理は
不活性ガス雰囲気化での熱処理であり酸素含有量は減少
する方向なので、この不融化処理工程で十分な酸素を含
有させるようにする。炭化処理後の炭素質粉末の酸素含
有量を電気粘性流体の分散相として好適な3重量%を超
え、20重量%以下とするためには、不融化処理後のピ
ッチの酸素含有量を5〜25重量%とするのが適当であ
る。この不融化処理においては、処理温度が高いほど、
また、処理時間が長いほど、酸素含有量は増加するの
で、温度と処理時間とを制御することによって所望の酸
素含有量の不融化ピッチ粉末を得ることができる。不融
化ピッチ粉末中の酸素はエーテル結合の形で芳香族環に
取り込まれているものが多いと推定される。
【0041】不融化処理は、ピッチ系炭素繊維の不融化
工程において行われている手法であれば何れの方法も採
用しうる。ピッチ系炭素繊維の不融化処理は、酸素雰囲
気として空気を用い、ピッチの紡糸温度前後の温度で加
熱する方法が標準的であるが、不融化処理時間の短縮を
目的として様々な工夫がなされている(「炭素繊維」、
第153頁、(株)近代編集社)。例えば、70℃程度
以下の温度でオゾン処理を施した後、空気酸化する方
法、二酸化窒素を含む空気を用いる方法、塩素と酸素の
混合ガスを用いる方法、飽和塩素水溶液に浸漬してから
空気酸化する方法、或いは、硫酸を含浸させた活性炭の
微粉と共に臭素ガスで処理する方法等が用いられてい
る。本発明のピッチを原料とする炭素質粉末について
も、前記ピッチ系炭素繊維の場合と同様の方法を適用す
ることができる。
工程において行われている手法であれば何れの方法も採
用しうる。ピッチ系炭素繊維の不融化処理は、酸素雰囲
気として空気を用い、ピッチの紡糸温度前後の温度で加
熱する方法が標準的であるが、不融化処理時間の短縮を
目的として様々な工夫がなされている(「炭素繊維」、
第153頁、(株)近代編集社)。例えば、70℃程度
以下の温度でオゾン処理を施した後、空気酸化する方
法、二酸化窒素を含む空気を用いる方法、塩素と酸素の
混合ガスを用いる方法、飽和塩素水溶液に浸漬してから
空気酸化する方法、或いは、硫酸を含浸させた活性炭の
微粉と共に臭素ガスで処理する方法等が用いられてい
る。本発明のピッチを原料とする炭素質粉末について
も、前記ピッチ系炭素繊維の場合と同様の方法を適用す
ることができる。
【0042】不融化処理の温度は、前記の如く50〜4
00℃の範囲が好ましく、50℃未満であると如何なる
方法によっても酸化による架橋反応の進行が困難とな
り、引き続く炭化工程における溶融を抑制し難く、40
0℃を超えるとピッチの燃焼が起こるため、いずれも好
ましくない。特に好ましい不融化処理温度はピッチの溶
融温度前後である。即ち、不融化処理温度も200〜3
00℃の範囲とすることが好ましい。
00℃の範囲が好ましく、50℃未満であると如何なる
方法によっても酸化による架橋反応の進行が困難とな
り、引き続く炭化工程における溶融を抑制し難く、40
0℃を超えるとピッチの燃焼が起こるため、いずれも好
ましくない。特に好ましい不融化処理温度はピッチの溶
融温度前後である。即ち、不融化処理温度も200〜3
00℃の範囲とすることが好ましい。
【0043】その後、前記(3)の炭化工程を行うが、
炭化工程は300〜700℃、さらに350〜550℃
の温度で行うことが好ましい。処理温度が300℃未満
であると、連続した芳香族環の生成が不十分となり、得
られる電気粘性流体の電気粘性効果が小さくなる。一
方、処理温度が700℃を超えると、得られた炭素質粉
末の導電性が非常に増大し、結果として得られる電気粘
性流体の消費電力が大きくなるため好ましくない。不活
性ガス雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス等を用
いることが好ましい。
炭化工程は300〜700℃、さらに350〜550℃
の温度で行うことが好ましい。処理温度が300℃未満
であると、連続した芳香族環の生成が不十分となり、得
られる電気粘性流体の電気粘性効果が小さくなる。一
方、処理温度が700℃を超えると、得られた炭素質粉
末の導電性が非常に増大し、結果として得られる電気粘
性流体の消費電力が大きくなるため好ましくない。不活
性ガス雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス等を用
いることが好ましい。
【0044】本発明において、炭素質粉末中の酸素の量
は、赤外線吸収法により下記の如く測定した。分析装置
として、米国LECO社製の酸素窒素同時分析装置:T
C−436型を用いた。まず、炭素質粉末試料を秤量
し、黒鉛るつぼに入れる。それを600℃で加熱して浄
化し、さらにCO2 とH2 Oとを除去したHeガスをキ
ャリアとして、抽出炉を通しておく。試料の吸着水等を
予め脱着させるために予備加熱したのち、試料の融解点
まで加熱する。ここで出てくるCOを加熱した酸化銅中
を通すことにより、さらに酸化させ、CO2 とし、CO
2 の量を赤外線検出器で測定することにより、炭素質粉
末中に含まれていた酸素の量を算出する。この分析方法
における精度は±2ppm又は含有量の±2%であり、
装置の感度は0.00001重量%(0.1ppm)で
ある。
は、赤外線吸収法により下記の如く測定した。分析装置
として、米国LECO社製の酸素窒素同時分析装置:T
C−436型を用いた。まず、炭素質粉末試料を秤量
し、黒鉛るつぼに入れる。それを600℃で加熱して浄
化し、さらにCO2 とH2 Oとを除去したHeガスをキ
ャリアとして、抽出炉を通しておく。試料の吸着水等を
予め脱着させるために予備加熱したのち、試料の融解点
まで加熱する。ここで出てくるCOを加熱した酸化銅中
を通すことにより、さらに酸化させ、CO2 とし、CO
2 の量を赤外線検出器で測定することにより、炭素質粉
末中に含まれていた酸素の量を算出する。この分析方法
における精度は±2ppm又は含有量の±2%であり、
装置の感度は0.00001重量%(0.1ppm)で
ある。
【0045】本発明に用いられる誘電体粒子の好ましい
他の態様のひとつとして、ナフタレンを主成分とする縮
合多環芳香族化合物をルイス酸で重合させて得られた熱
可塑性ピッチに架橋剤を添加、混合、加熱して熱硬化性
に変性して得られた、炭素原子と水素原子の数の比が
0.5〜3.5である炭素質粉末が挙げられる。
他の態様のひとつとして、ナフタレンを主成分とする縮
合多環芳香族化合物をルイス酸で重合させて得られた熱
可塑性ピッチに架橋剤を添加、混合、加熱して熱硬化性
に変性して得られた、炭素原子と水素原子の数の比が
0.5〜3.5である炭素質粉末が挙げられる。
【0046】ここでナフタレンを主成分とする縮合多環
芳香族化合物とは、前記したのと同様である。この原料
をルイス酸を用いて重合させて熱可塑性ピッチを得るも
のであるが、ここで用いられるルイス酸としては、HF
/BF3 、Al2 O3 、ThO2 等ルイス酸として機能
する公知の物質から選択することができる。その後、該
ピッチに、例えば、ジニトロ化合物、硫黄等の架橋剤を
添加し、十分に攪拌混合して不融化処理を行う。かくし
て得られた熱硬化性ピッチの炭素原子と水素原子の数の
比が1.5〜3.5となるように、必要に応じて更に熱
処理を行う。
芳香族化合物とは、前記したのと同様である。この原料
をルイス酸を用いて重合させて熱可塑性ピッチを得るも
のであるが、ここで用いられるルイス酸としては、HF
/BF3 、Al2 O3 、ThO2 等ルイス酸として機能
する公知の物質から選択することができる。その後、該
ピッチに、例えば、ジニトロ化合物、硫黄等の架橋剤を
添加し、十分に攪拌混合して不融化処理を行う。かくし
て得られた熱硬化性ピッチの炭素原子と水素原子の数の
比が1.5〜3.5となるように、必要に応じて更に熱
処理を行う。
【0047】前記ルイス酸としてはHF/BF3 が好ま
しく、重合させる際に150℃以上に加熱して熱重合さ
せることによって、良好な特性を有する軟化点が150
〜400℃の100%メソフェーズピッチである熱可塑
性ピッチを得ることができる。
しく、重合させる際に150℃以上に加熱して熱重合さ
せることによって、良好な特性を有する軟化点が150
〜400℃の100%メソフェーズピッチである熱可塑
性ピッチを得ることができる。
【0048】前記誘電体粒子を分散質とし前記油状媒体
からなる液相中に分散させることにより、電気粘性流体
を得るものであるが、電気粘性流体中に、分散質である
誘電体粒子は1〜50体積%、好ましくは20〜45体
積%含有され、液相である油状媒体は99〜50体積
%、好ましくは80〜55体積%含有される。分散質の
量が1体積%未満であると電気粘性効果が小さく、50
体積%を超えると電圧を印加しないときの初期粘度が著
しく高くなる。
からなる液相中に分散させることにより、電気粘性流体
を得るものであるが、電気粘性流体中に、分散質である
誘電体粒子は1〜50体積%、好ましくは20〜45体
積%含有され、液相である油状媒体は99〜50体積
%、好ましくは80〜55体積%含有される。分散質の
量が1体積%未満であると電気粘性効果が小さく、50
体積%を超えると電圧を印加しないときの初期粘度が著
しく高くなる。
【0049】本発明においては、電気粘性流体用油状媒
体には、電流を印加したときに正又は負の電荷を帯びる
不純物が少ないことが好ましく、不純物の含有量は0.
05ppm以下であることが好ましい。さらに、電気粘
性流体から考えると、分散質である誘電体粒子中に含ま
れるイオン性の不純物、例えば、ナトリウム、カルシウ
ム、錫、マンガン、白金等の量も少ないことが好まし
い。誘電体粒子中に含まれる不純物は、誘電体粒子とし
て汎用の炭素質粉末を合成するのに用いられる原料、触
媒に由来するものが多い。また、添加物に混入している
場合もあり、最終生成物である電気粘性流体中に含まれ
る総量が少ないことが好ましい。不純物を含有しない分
散質粉末を得るには、(1)炭素質粉末の原料として前
記不純物を含まない物質を用い、製造工程においても、
触媒等の不純物が混入しないよう制御する方法、(2)
炭素質粉末の合成時に電気泳動を利用して不純物を除去
する方法、更に、(3)不純物の量が制御されていない
通常の炭素質粉末を用いる場合、不純物を可溶化する溶
媒で洗浄し、ろ過を行って不純物を除去する方法等が挙
げられる。
体には、電流を印加したときに正又は負の電荷を帯びる
不純物が少ないことが好ましく、不純物の含有量は0.
05ppm以下であることが好ましい。さらに、電気粘
性流体から考えると、分散質である誘電体粒子中に含ま
れるイオン性の不純物、例えば、ナトリウム、カルシウ
ム、錫、マンガン、白金等の量も少ないことが好まし
い。誘電体粒子中に含まれる不純物は、誘電体粒子とし
て汎用の炭素質粉末を合成するのに用いられる原料、触
媒に由来するものが多い。また、添加物に混入している
場合もあり、最終生成物である電気粘性流体中に含まれ
る総量が少ないことが好ましい。不純物を含有しない分
散質粉末を得るには、(1)炭素質粉末の原料として前
記不純物を含まない物質を用い、製造工程においても、
触媒等の不純物が混入しないよう制御する方法、(2)
炭素質粉末の合成時に電気泳動を利用して不純物を除去
する方法、更に、(3)不純物の量が制御されていない
通常の炭素質粉末を用いる場合、不純物を可溶化する溶
媒で洗浄し、ろ過を行って不純物を除去する方法等が挙
げられる。
【0050】本発明の電気粘性流体には、本発明の効果
を損なわない範囲において、前記炭素質粉末以外の誘電
体粒子や、界面活性剤、分散剤、無機塩類等の添加物を
併用または配合することができるが、これら、添加物に
ついてもイオン性の不純物の含有量が少ないものを用い
ることが好ましい。
を損なわない範囲において、前記炭素質粉末以外の誘電
体粒子や、界面活性剤、分散剤、無機塩類等の添加物を
併用または配合することができるが、これら、添加物に
ついてもイオン性の不純物の含有量が少ないものを用い
ることが好ましい。
【0051】
【実施例】以下に具体例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明は下記の実施例の限定されるものでは
ない。
明するが、本発明は下記の実施例の限定されるものでは
ない。
【0052】特性評価 (1)電気粘性流体の特性 初期並びに2kV電圧印加時の電気粘性流体の粘度を二
重円筒型回転粘度計を使用して、室温(約25℃)で、
剪断速度366/秒における見掛けの粘度として測定し
た。2kV電圧印加時の粘度は、内外円筒間に直流電場
を印加したときの見掛けの粘度として測定した。
重円筒型回転粘度計を使用して、室温(約25℃)で、
剪断速度366/秒における見掛けの粘度として測定し
た。2kV電圧印加時の粘度は、内外円筒間に直流電場
を印加したときの見掛けの粘度として測定した。
【0053】2kV電圧印加時の電気粘性流体の電流密
度をレオメトリックスファーイースト社製、RDS−II
型装置を用いて、室温(約25℃)で測定した。
度をレオメトリックスファーイースト社製、RDS−II
型装置を用いて、室温(約25℃)で測定した。
【0054】(実施例1)ナフタレンを主成分とする縮
合多環芳香族化合物をHF/BF3 を触媒として熱重合
させて得られた軟化点が240℃の100%メソフェー
ズピッチ(三菱ガス化学(株)製 ARレジンARA2
4:商品名、トルエン不溶分:63%、偏光顕微鏡観
察:100%メソフェーズ)を粉状に粉砕した後、空気
中で200℃で7時間処理した。かくして得られた粉末
の酸素含有量は19%であった。更にこの粉末を窒素ガ
ス雰囲気中2℃/min の昇温速度で370℃まで昇温
し、その温度において1時間保持して炭化した後自然冷
却した。かくして調整した炭素質粉末の平均粒径は4μ
m(レーザー回折式粒度分布計による測定値)、酸素含
有量は15%であった。
合多環芳香族化合物をHF/BF3 を触媒として熱重合
させて得られた軟化点が240℃の100%メソフェー
ズピッチ(三菱ガス化学(株)製 ARレジンARA2
4:商品名、トルエン不溶分:63%、偏光顕微鏡観
察:100%メソフェーズ)を粉状に粉砕した後、空気
中で200℃で7時間処理した。かくして得られた粉末
の酸素含有量は19%であった。更にこの粉末を窒素ガ
ス雰囲気中2℃/min の昇温速度で370℃まで昇温
し、その温度において1時間保持して炭化した後自然冷
却した。かくして調整した炭素質粉末の平均粒径は4μ
m(レーザー回折式粒度分布計による測定値)、酸素含
有量は15%であった。
【0055】得られた炭素質粉末12.6g(30体積
%)を、液相である25℃における粘度10センチスト
ークス、比重1.04g/mlの3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサン21.84g(70体積
%)にポリエーテル変性シリコーン(日本ユニカー社製
FZ2171:商品名)を0.063g(粉末に対し
て0.5重量%)添加し、十分攪拌して得られた油状媒
体によく分散し、電気粘性流体を得た。
%)を、液相である25℃における粘度10センチスト
ークス、比重1.04g/mlの3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサン21.84g(70体積
%)にポリエーテル変性シリコーン(日本ユニカー社製
FZ2171:商品名)を0.063g(粉末に対し
て0.5重量%)添加し、十分攪拌して得られた油状媒
体によく分散し、電気粘性流体を得た。
【0056】得られた電気粘性流体の初期粘度及び電圧
2kV/mm印加時の粘度並びに電流密度を測定し、そ
の結果を表2に示した。
2kV/mm印加時の粘度並びに電流密度を測定し、そ
の結果を表2に示した。
【0057】(実施例2)ナフタレンを主成分とする縮
合多環芳香族化合物をHF/BF3 を触媒として熱重合
させて得られた軟化点が240℃の100%メソフェー
ズピッチ(三菱ガス化学(株)製 ARレジンARA2
4:商品名、トルエン不溶分:63%、偏光顕微鏡観
察:100%メソフェーズ)を粉状に粉砕した後、架橋
剤としてジニトロナフタレン5重量%を添加し、窒素雰
囲気中で360℃に加熱し、溶融状態で混合した。これ
を冷却後、粉砕・分級により平均粒径3.5μm(レー
ザー回折式粒度分布計による測定値)の熱硬化性炭素質
粉末を得た。かくして得られた粉末のC/Hを測定した
ところ2.19であった。また、酸素含有量は2.2%
であった。
合多環芳香族化合物をHF/BF3 を触媒として熱重合
させて得られた軟化点が240℃の100%メソフェー
ズピッチ(三菱ガス化学(株)製 ARレジンARA2
4:商品名、トルエン不溶分:63%、偏光顕微鏡観
察:100%メソフェーズ)を粉状に粉砕した後、架橋
剤としてジニトロナフタレン5重量%を添加し、窒素雰
囲気中で360℃に加熱し、溶融状態で混合した。これ
を冷却後、粉砕・分級により平均粒径3.5μm(レー
ザー回折式粒度分布計による測定値)の熱硬化性炭素質
粉末を得た。かくして得られた粉末のC/Hを測定した
ところ2.19であった。また、酸素含有量は2.2%
であった。
【0058】得られた炭素質粉末12.6g(30体積
%)を、液相である25℃における粘度10センチスト
ークス、比重1.04g/mlの3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサン21.84g(70体積
%)にポリエーテル変性シリコーン(日本ユニカー社製
FZ2171:商品名)を0.063g(粉末に対し
て0.5重量%)添加し、十分攪拌して得られた油状媒
体によく分散し、電気粘性流体を得た。
%)を、液相である25℃における粘度10センチスト
ークス、比重1.04g/mlの3,3,3−トリフル
オロプロピルメチルシロキサン21.84g(70体積
%)にポリエーテル変性シリコーン(日本ユニカー社製
FZ2171:商品名)を0.063g(粉末に対し
て0.5重量%)添加し、十分攪拌して得られた油状媒
体によく分散し、電気粘性流体を得た。
【0059】得られた電気粘性流体の初期粘度及び電圧
2kV/mm印加時の粘度並びに電流密度を測定し、そ
の結果を表2に示した。
2kV/mm印加時の粘度並びに電流密度を測定し、そ
の結果を表2に示した。
【0060】(比較例1)実施例1と同じ炭素質粉末1
2.6g(30体積%)を、液相である25℃における
粘度10センチストークス、比重1.04g/mlの
3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン2
1.84g(70体積%)によく分散し、電気粘性流体
を得た。
2.6g(30体積%)を、液相である25℃における
粘度10センチストークス、比重1.04g/mlの
3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン2
1.84g(70体積%)によく分散し、電気粘性流体
を得た。
【0061】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表2に示した。 (比較例2)実施例1と同じ炭素質粉末12.6g(3
0体積%)を、液相である25℃における粘度10セン
チストークス、比重0.94g/mlのジメチルポリシ
ロキサン19.64g(70体積%)によく分散し、電
気粘性流体を得た。
評価し、その結果を表2に示した。 (比較例2)実施例1と同じ炭素質粉末12.6g(3
0体積%)を、液相である25℃における粘度10セン
チストークス、比重0.94g/mlのジメチルポリシ
ロキサン19.64g(70体積%)によく分散し、電
気粘性流体を得た。
【0062】得られた電気粘性流体を実施例1と同様に
評価し、その結果を表2に示した。
評価し、その結果を表2に示した。
【0063】
【表2】
【0064】表2の結果より明らかなごとく、本発明の
電気粘性流体はいずれも電圧印加時に充分な粘度が得ら
れ、初期粘度に比較して電圧印加時の粘度が高く、高い
電気粘性効果を示した。一方、液相にポリエーテル変性
シリコーンを含有しない比較例1及び2の電気粘性流体
は、初期粘度と電圧印加時の粘度の差が小さく、充分な
電気粘性効果は得られなかった。これらの電流密度を比
較するに、油状媒体としてフッ素系シリコーンを使用し
た比較例2は比較例1に比べて電流密度が1.3倍とな
り、電気粘性特性は1.4倍となっているのに対して、
本発明の実施例1は比較例1に比べて電流密度が1.8
倍となっているが、電気粘性特性は3.0倍となってお
り、電流密度の増加に比較しても高い電気粘性効果を得
られることが明らかとなった。
電気粘性流体はいずれも電圧印加時に充分な粘度が得ら
れ、初期粘度に比較して電圧印加時の粘度が高く、高い
電気粘性効果を示した。一方、液相にポリエーテル変性
シリコーンを含有しない比較例1及び2の電気粘性流体
は、初期粘度と電圧印加時の粘度の差が小さく、充分な
電気粘性効果は得られなかった。これらの電流密度を比
較するに、油状媒体としてフッ素系シリコーンを使用し
た比較例2は比較例1に比べて電流密度が1.3倍とな
り、電気粘性特性は1.4倍となっているのに対して、
本発明の実施例1は比較例1に比べて電流密度が1.8
倍となっているが、電気粘性特性は3.0倍となってお
り、電流密度の増加に比較しても高い電気粘性効果を得
られることが明らかとなった。
【0065】
【発明の効果】本発明の電気粘性流体は、前記構成とし
たので、低い消費電力で、高い電気粘性流体効果を示す
という効果を示した。
たので、低い消費電力で、高い電気粘性流体効果を示す
という効果を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:14
Claims (7)
- 【請求項1】 誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積
%を、0〜90モル%のジメチルシロキサン及び10〜
100モル%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルシロキサンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1
011Ω・m以上の油状媒体と前記誘電体粒子に対して
0.1〜20重量%の変性シリコーンとを含有する液相
50〜99体積%に、分散せしめてなることを特徴とす
る電気粘性流体。 - 【請求項2】 誘電体粒子よりなる分散相1〜50体積
%を、0〜90モル%のジメチルシロキサン及び10〜
100モル%の3,3,3−トリフルオロプロピルメチ
ルシロキサンを含むシロキサン重合体で体積抵抗率が1
011Ω・m以上の油状媒体と、ジメチルシロキサンの単
独重合体である油状媒体との混合物であって、該混合物
中のジメチルシロキサン単位の数及び3,3,3−トリ
フルオロプロピルメチルシロキサン単位の数の合計値に
対する3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキ
サン単位の数の割合が0.1〜0.9の範囲にある油状
媒体と前記誘電体粒子に対して0.1〜20重量%の変
性シリコーンとを含有する液相50〜99体積%に、分
散せしめてなることを特徴とする電気粘性流体。 - 【請求項3】 前記変性シリコーンが、アミノ変性、フ
ェノール変性、エポキシ変性又はポリエーテル変性シリ
コーンから選択される1種以上の変性シリコーンである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気粘性流体。 - 【請求項4】 前記誘電体粒子が、ナフタレンを主成分
とする縮合多環芳香族化合物をHF/BF3 を触媒とし
て熱重合させて得られた軟化点が150〜400℃の範
囲にある100%メソフェーズピッチを、その溶融温度
以下で且つ50〜400℃の温度において酸化性雰囲気
下で熱処理して得られた、酸素含有量8〜25重量%の
粉末をさらに炭化処理した炭素質粉末であることを特徴
とする請求項1又は2記載の電気粘性流体。 - 【請求項5】 前記誘電体粒子が、ナフタレンを主成分
とする縮合多環芳香族化合物をルイス酸で重合させて得
られた熱可塑性ピッチに架橋剤を添加、混合、加熱して
熱硬化性に変性して得られた、炭素原子と水素原子の数
の比が0.5〜3.5である炭素質粉末であることを特
徴とする請求項1又は2記載の電気粘性流体。 - 【請求項6】 前記熱可塑性ピッチが、ナフタレンを主
成分とする縮合多環芳香族化合物を、ルイス酸としてH
F/BF3 を用いて150℃以上の温度で熱重合させて
得られた軟化点が150〜400℃の範囲にある100
%メソフェーズピッチであることを特徴とする請求項4
記載の電気粘性流体。 - 【請求項7】 前記炭素質粉末の粒径が0.01〜10
0μmであることを特徴とする請求項3乃至5のいずれ
かに記載の電気粘性流体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6326126A JPH08176584A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 電気粘性流体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6326126A JPH08176584A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 電気粘性流体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08176584A true JPH08176584A (ja) | 1996-07-09 |
Family
ID=18184363
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6326126A Pending JPH08176584A (ja) | 1994-12-27 | 1994-12-27 | 電気粘性流体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08176584A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0964053A2 (en) * | 1998-06-08 | 1999-12-15 | Bridgestone Corporation | Electrorheological fluid |
JP2015031337A (ja) * | 2013-08-02 | 2015-02-16 | オイレス工業株式会社 | 摺動機構および摺動制御方法 |
JP2018538385A (ja) * | 2015-10-22 | 2018-12-27 | イラミーナ インコーポレーテッド | 流体装置のための充填剤流体 |
-
1994
- 1994-12-27 JP JP6326126A patent/JPH08176584A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0964053A2 (en) * | 1998-06-08 | 1999-12-15 | Bridgestone Corporation | Electrorheological fluid |
EP0964053A3 (en) * | 1998-06-08 | 2001-05-30 | Bridgestone Corporation | Electrorheological fluid |
US6352651B1 (en) | 1998-06-08 | 2002-03-05 | Bridgestone Corporation | Electrorheological fluid |
JP2015031337A (ja) * | 2013-08-02 | 2015-02-16 | オイレス工業株式会社 | 摺動機構および摺動制御方法 |
JP2018538385A (ja) * | 2015-10-22 | 2018-12-27 | イラミーナ インコーポレーテッド | 流体装置のための充填剤流体 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0361106B1 (en) | Electroviscous fluid | |
EP0445594B1 (en) | An electrorheological fluid | |
JPH1081889A (ja) | 電気粘性流体用粉体 | |
JPH08176584A (ja) | 電気粘性流体 | |
EP0406853A1 (en) | A carbonaceous powder for electrorheological fluid and a method of making the same | |
JPH07150187A (ja) | 電気粘性流体分散相用炭素質粉末及び電気粘性流体 | |
JPH04348192A (ja) | 電気粘性流体 | |
US5536426A (en) | Electrorheological fluid containing carbonaceous particles | |
US5693367A (en) | Process for producing a powder material for an electro-rheological fluid | |
JP3163356B2 (ja) | 電気粘性流体分散相用炭素質粉末及び電気粘性流体 | |
US6277306B1 (en) | Electro-rheological fluid having high dielectric breakdown stength and methods of making and storing the electro-rheological fluid | |
JPH08231975A (ja) | 電気粘性流体用油状媒体及びそれを用いた電気粘性流体 | |
JP2799605B2 (ja) | 電気粘性流体 | |
JP3458148B2 (ja) | 電気粘性流体分散相用炭素質粉末及び電気粘性流体 | |
JPH0347896A (ja) | 電気粘性液体 | |
JPH11349978A (ja) | 電気粘性流体 | |
JPH07173485A (ja) | 電気粘性流体 | |
EP0678570B1 (en) | Electrorheological fluid having carbonaceous particles with shape anisotropy | |
JP3378945B2 (ja) | 電気粘性流体 | |
JPH08143886A (ja) | 電気粘性流体 | |
JP2799606B2 (ja) | 電気粘性流体 | |
CA2000322C (en) | Electroviscous fluid | |
JPH06122885A (ja) | 電気粘性流体 | |
JPH04227996A (ja) | 粉体および電気粘性流体 | |
JPH05179270A (ja) | 電気粘性流体 |