JPH0569481B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は刈取機において刈取られた穀稈を脱穀
機へ向つて搬送する穀稈搬送装置に関するもので
ある。

コンバインの刈取機における穀稈搬送装置は刈
取条数によつて構造を異にしており、このうち３
〜４条刈り用のものは一般に次のように構成され
ている。すなわち、この種刈取機の穀稈搬送装置
は先ず上段の穂先用の下段の根元用とで構成され
ており、さらに穂先用と根元用とはそれぞれ前段
と後段とに分解されている。そして、前段の穂
先、根元両搬送装置はそれぞれ１対ずつハの字状
に配設されており、例えば４条刈りの場合、４条
の穀稈は引起し装置で引起されて根元部を刈取ら
れたのち、２条ずつ分れて左右の搬送装置で搬送
され、搬送終端部で合流したのち１列の後段搬送
装置に引継がれて搬送される。

ところが従来におけるこの種刈取機の前段搬送
装置は、穂先用、根元用ともに搬送径路がハの字
状の内側であつたために、搬送方向が前後方向と
いうよりもむしろ機幅方向に近い方向となり、穂
先部が引起し装置と干渉して脱粒が発生したり、
搬送が乱れて後段搬送装置への引継が悪くなると
いう欠点があつた。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもの
で、ハの字状に配設した１対の前段部穂先搬送装
置のうち搬送径路の長い方の搬送装置を内側の引
起し駆動軸側から駆動して搬送径路を外側とする
ことにより、脱粒による穀粒ロスの減少と穀稈搬
送引継の円滑化を計つた刈取機の穀稈搬送装置を
提供するものである。以下、本発明の実施例を図
面に基いて詳細に説明する。

第１図ないし第３図は本発明に係る穀稈搬送装
置の実施例を示し、第１図はこれを実施したコン
バインの側面図、第２図は同じく刈取機要部の平
面図、第３図は刈取機の動力伝導径路図である。
これらの図において、コンバイン１は左右の走行
クローラ２とこれらを連結する走行フレーム３と
からなる走行装置４を備えており、走行フレーム
３上には、全体を符号５で示す脱穀機が搭載され
ている。脱穀機５は、脱穀装置と選別装置とが収
納された脱穀フレーム６と、脱穀穀稈を搬送する
搬送無端帯７と、脱穀済の穀稈すなわち排わらを
搬送する搬送無端帯８等で構成されている。９は
エンジン１０との間を駆動連結された変速装置等
を収納する走行ギアボツクスであつて、走行フレ
ーム３の前端部で支持されており、変速装置で変
速された回転は走行クローラ２の駆動軸１１に伝
達される。一方、脱穀機５の前端部側方には、作
業者が着座する操縦席１２が配設されており、そ
の前方には各種の操作レバーや計器類を備えた操
作装置１３が配設されている。

符号１４で示すものは、刈取機１５の主要部を
支持する刈取フレームであつて、パイプ状に形成
され、脱穀機５前端上部の刈取軸受で揺動自在に
枢支されて斜め下方へ延設されており、その内部
には原動側と駆動連結された伝導軸１５が貫通軸
支されている。刈取フレーム１４の下端部には、
これと逆Ｔ字状をなすように直交して機幅方向に
延びる刈取前フレーム１６が一体的に形成されて
おり、その内部には、伝導軸１５との間をベベル
ギア１７，１８で駆動連結された刈取駆動軸１９
が貫通軸支されている。刈取前フレーム１６の両
端部に固定された分草杆ステー２０には、機幅方
向に延びる連結部材２１で連結されて前方へ延び
る５個の分草杆２２が固定支持されており、各分
草杆２２の前端部には、機台の前進とともに圃場
の穀稈を掻き分ける分草体２３がそれぞれ固定さ
れている。分草体２３の後方には、４個の引起し
装置２４，２５，２６，２７が後方へやゝ傾斜し
て立設されており、その下端部は分草杆２２に支
持杆２８を介して支持されている。また４個の引
起し装置２４〜２７のうち３個の引起し装置２
４，２６，２７は、前記刈取前フレーム１６から
斜め上方へ延びる引起しパイプ２９，３０，３１
によつて上端部を支持されており、残りの引起し
装置２５は、引起しパイプ３０の上端部に水平状
に突設された支持杆３２によつて上端部を支持さ
れている。各引起し装置２４〜２７の引起しケー
ス内には、多数のラグ３３を一定間隔で備えた無
端帯が張架されており、このうち外側の引起し装
置２４，２７の無端帯は、前記刈取駆動軸１９と
の間をベベルギア３４，３５と３６，３７でそれ
ぞれ駆動連結されて引起しパイプ２９，３１内を
貫通する引起し駆動軸３８，３９によりベベルギ
ア４０，４１を介して走行駆動されている。ま
た、引起し装置２６の無端帯は、刈取駆動軸１９
との間をベベルギア４２，４３で駆動連結されて
引起しパイプ３０内を貫通する引起し駆動軸４４
によりベベルギア４５を介して走行駆動されてい
る。さらに前記支持杆３２内には、引起し駆動軸
４４との間をベベルギア４５で駆動連結された伝
導軸４６が貫通軸支されており、引起し装置２５
の無端帯はこの伝導軸４６によりベベルギア４７
を介して走行駆動されている。このようにして駆
動される４個の引起し装置２４〜２７は倒伏した
穀稈の穂先部をラグ３３の走行により揚上搬送し
て穀稈を起立させるが、その引起し径路はラグ３
３を内側に向けて対向させることにより引起し装
置２４と２５および２６と２７の内側がそれぞれ
引起し径路となり、穀稈を２条ずつ引起すように
構成されている。４８は引起された穀稈の根元部
を刈取る刈刃であつて、バリカン状に形成されて
おり、分草杆２２に支持されて機幅方向に延設さ
れている。分草杆２２の基部を連結する連結部材
２１からは、４個の掻込軸受４９が斜め上方へ突
設されており、各掻込軸受４９に軸支された掻込
軸５０には、引起された穀稈の根元部を刈刃４８
による刈取位置へ搬送する掻込ベルト５１の搬送
終端部が支持されている。また同じく掻込軸５０
には、歯車状に形成された回転掻込体５２がそれ
ぞれ軸着されている。そして４個の回転掻込体５
２は互に逆方向に回転する左右２個ずつを１組と
してそれぞれ２条ずつの刈取穀稈を搬送径路へ掻
込むものであつて、掻込ベルト５１と回転掻込体
５２とはともに外側の２個のみが前記刈取駆動軸
１９側から駆動されて積極回転し、内側の２個は
穀稈の移動によつて消極回転する。

次に穀稈搬送装置について説明する。符号５３
と５４とで示すものは、互にハの字をなして配設
された根元搬送装置（前左）と根元搬送装置（前
右）であつて、それぞれ始端部の回転体５５，５
６を掻込軸５０に固定されており、掻込軸受４９
からハの字状に延びる無端帯ケースの先端部に設
けられた回転体５５と回転体５６との間には、搬
送無端帯５７，５８が変向回転体５９，６０，６
１等で変向されてそれぞれ張架されている。左右
の搬送無端帯５７，５８の内側には、棒材で三角
形状に折曲形成された図示しない挾扼杆が無端帯
５７，５８の走行端に沿つて支架されており、回
転掻込体５２で掻込まれた穀稈の根元部は無端帯
５７，５８と挾扼杆とに挾持されて２条ずつ搬送
されたのち、搬送終端部で合流する。符号６２と
６３でそれぞれ示すものは、互にハの字状をなし
て配設された穂先搬送装置（前左）と穂先搬送装
置（前右）であつて、このうち穂先搬送装置（前
右）６３の無端帯ケース６４は、根元搬送装置
（前右）５４の無端帯ケースから突出する支持杆
６５で支持されており、無端帯ケース６４内に
は、多数のラグ６６が一定間隔で配設された無端
帯が張架されている。この無端帯は支持杆６５内
の伝導軸を介して根元搬送装置（前右）５４側か
ら走行駆動されており、第２図で鎖線で示すラグ
６６の先端走行軌跡上には、棒材で形成された図
示しない穂先ガイドが支架されている。そして刈
取穀稈の穂先部は、ラグ６６と穂先ガイドとで保
持されて内側の搬送径路を搬送される。また穂先
搬送装置（前左）６２の無端帯ケース６７は前記
中央部の引起しパイプ３０の中間部から水平方向
へ突設された支持ケース６８で支持されていて、
この無端帯ケース６７内には、多数のラグ６９が
一定間隔で配設された無端帯７０が前後の回転体
７１，７２間に張架されており、ラグ６９の先端
走行軌跡上には棒材で形成された穂先ガイドが支
架されている。穂先搬送装置（前左）６２の場
合、第２図に鎖線で示すラグ６９の先端走行軌跡
が無端帯ケース６７の外側であつて、穀稈はこの
外側の搬送径路をラグ６９と穂先ガイドとで保持
されて搬送される。そして無端帯７０は、支持ケ
ース６８内に張架された無端帯７３を介して前記
引起し駆動軸４４と駆動連結されており、この駆
動径路を経て駆動される。

以上のように構成された各搬送装置５３，５
４，６２，６３の後方には、これらで搬送された
２条ずつの穀稈を合流させ、その穂先部と根元部
とを引継いで搬送する根元搬送装置（後）７４と
穂先搬送装置（後）７５とが前記刈取フレーム１
４を枢支する刈取軸受側の支持杆で無端帯ケース
の終端部を枢支されて配設されている。このうち
根元搬送装置７４は無端帯ケース内の回転体７
６，７７，７８，７９間に張架された無端帯と、
その走行端に沿つて支架された図示しない挾扼杆
とを備えており、その終端部を前記搬送無端帯７
の始端部近傍に臨ませて配設されている。また穂
先搬送装置（後）は、多数のラグ８０を一定間隔
で有し無端帯ケース８１内で走行する無端帯と、
ラグ８０の先端走行軌跡に沿つて支架された図示
しない穂先ガイドとを備えており、その終端部を
脱穀フレーム６の穀稈供給口近傍に臨ませて配設
されている。

以上のように構成された刈取基の動作を４条刈
りを例にとつて説明する。機台が前進すると、圃
場に植立する４条の穀稈は、分草体２３で掻き分
けられて隣接する分草体２３間へ１条ずつ導かれ
る。ここには引起し装置２４〜２７のラグ３３が
周回しているので、穀稈はラグ３３ですくい上げ
られ、ラグ３３が対向する２列の引起し径路に沿
つて穂先部を２条ずつ揚上搬送されることにより
起立する。一方、穀稈の根元部は、掻込ベルト５
１によつて刈取位置へ搬送されて刈刃４８で刈取
られる。刈取られた４条の穀稈は、左右２組の回
転掻込体５２によつて２条ずつ掻込まれると同時
に穂先部を引起し装置２４〜２７の保持から解放
され、左右の根元、穂先搬送装置（前左）５３，
６２と穂先搬送装置（前右）５４，６３とに２条
ずつ捕捉されて搬送される。この場合、搬送装置
（前右）５４，６３側の穀稈は、根元、穂先とも
に内側の搬送径路を搬送されるが、搬送装置（前
左）５３，６２側の穀稈は、根元が内側の搬送径
路を搬送され、穂先が外側の搬送径路を搬送され
る。

すなわち第２図において明らかなように、搬送
装置（前右）５４，６３は搬送径路が前後方向で
あるから搬送径路が内側であつても穂先部が直ち
に引起し装置２６，２７から逃げるので差支えな
いが、搬送装置（前左）５３，６２は横送りに近
いので引起し装置２４，２５から逃げにくい。し
かしながら本装置では搬送径路が外側に設定され
ているので、掻込まれた穀稈は搬送装置（前左）
５３，６２で捕捉されると同時に穂先部を引起し
装置２４，２５から遠ざけられ、これと干渉する
ことがない。また、搬送穀稈は穂先部が無端帯ケ
ース６７の搬送径路側の端縁に押し付けられるよ
うにして搬送されることになるので、ラグ６９か
ら外れることがなく搬送が確実である。このよう
にして２条ずつ搬送された穀稈は、搬送終端部に
おいて合流し、搬送装置（後）７４，７５に引継
がれて搬送されたのち脱穀機５で脱穀される。

なお、本実施例では、穂先搬送装置（前左）６
２に穂先ガイドを設けた例を示したが、前述した
ように穂先部が無端帯ケース６７に押し付けられ
ラグ６９から外れることがないので、必ずしも穂
先部ガイドを設ける必要はない。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
れば刈取機の穀稈搬送装置において、ハの字状に
配設した長短一対の前段穂先搬送装置６２，６３
のうち搬送径路の長い方の搬送装置６２を内側の
引起し駆動軸４４に駆動連結するとともに、その
搬送径路を無端帯ケース６７の外側とすることに
より、搬送径路が横向に近い搬送装置６２側の穀
稈は、掻込まれて搬送装置６２で捕捉されると同
時に引起し装置２４，２５から遠ざけられるの
で、穂先部が引起し装置２４，２５と干渉せず、
脱粒が防止されて穀粒のロスを減少させることが
できるとともに、穀稈が搬送装置６２のの無端帯
ケース６７に前傾姿勢にてもたれるような状態で
搬送されることになつて、搬送が確実になり、安
定した姿勢での横送り搬送が可能で、ラグ６９の
先端側には離脱しないため、整然と確実に搬送す
ることができ、後段への穀稈引継ぎが円滑に行な
われて搬送性能が向上する。また搬送径路が障害
物のない外側へ解放されるので、雑草等による障
害がなく搬送がより円滑になる。さらに搬送装置
６２の駆動を内側の引起し駆動軸４４側からとる
ことが可能となり、回転伝達系の構造が簡素化さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係る刈取機の穀
稈搬送装置の実施例を示し、第１図はこれを実施
したコンバインの側面図、第２図は同じく刈取機
要部の平面図、第３図は刈取機の動力伝導径路図
である。 １５……刈取機、４４……引起し駆動軸、６２
……穂先搬送装置（前左）、６３……穂先搬送装
置（前右）、６９……ラグ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前側にハの字状に配設した左右一対の根元搬
   送装置５３，５４と、この上方に同じくハの字状
   に配設した長短一対の前段穂先搬送装置６２，６
   ３とを備え、この穂先搬送装置のうち搬送径路の
   長い方の搬送装置６２を内側の引起し駆動軸４４
   に駆動連結するとともに、その搬送径路を搬送装
   置６２の無端帯ケース６７の外側としたことを特
   徴とする刈取機の穀稈搬送装置。