JP2521198Y2 - 多条刈りコンバインにおける下部搬送体構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本考案は、多条刈りコンバインにおける下部搬送体に
関するものである。

（ロ） 従来の技術 従来、多条刈コンバインにおいて、刈取られた穀稈は
左右に設ける穀稈搬送体により順次後方に搬送されて合
流し、縦搬送体に受け継がれるが、左右の穀稈搬送体
は、それぞれ穀稈の穂先部を挾持搬送する上部搬送体と
穀稈の株元を挾持搬送する下部搬送体より構成されてい
る。そして、従来においては、左右の下部搬送体は、側
面視でその傾斜角が同一角度に構成されている。

（ハ） 考案が解決しようとする課題 ところが、左右の下部搬送体において、挾持搬送され
る穀稈の量が異なるために、左右の下部搬送体よりフィ
ードチェーンに受継がれる際に、穀稈の量が多い右側下
部搬送体側が縦搬送体の作用を強く受けて内側に入るた
め、穀稈の量が少ない左側下部搬送体側が外側に位置す
ることになって、穀稈の株元の不揃いとなると共に穂先
側が不揃いとなり脱穀性能が低下していた。

（ニ） 課題を解決するための手段 本考案では、多条刈り用の穀稈引起し装置の後方に、
刈取装置及び穀稈の穂先部を搬送する上部搬送体と穀稈
の株元を搬送する株搬送体とを設け、同株搬送体の後方
に縦搬送体を配設してなる多条刈りコンバインにおい
て、上記下部搬送体を左側下部搬送体と右側下部搬送体
により構成し、左右側下部搬送体の後端に合流部を形成
するとともに、同合流部に前端を臨ませて縦搬送体を左
右側下部搬送体の後方に配し、しかも、左右側下部搬送
体の側面視傾斜角を、穀稈搬送量が少ない側を大きく
し、穀稈搬送量が多い側を小さくしたことを特徴とする
多条刈りコンバインにおける下部搬送体構造を提供せん
とするものである。

（ホ） 作用 穀稈引起し装置により引起された穀稈は、株元を刈取
装置により刈り取られ、穂先部が上部搬送体により挟持
搬送されるとともに、株元部が左右側下部搬送体により
挟持搬送される。

そして、左右側下部搬送体の後端に形成した合流部に
おいて、左右側下部搬送体により搬送されたそれぞれの
穀稈が合流される。

その際に、穀稈搬送量の多い側の下部搬送体の傾斜角
を小さくし、穀稈搬送量の少ない側の下部搬送体の傾斜
角を大きくし、前記合流部において穀稈搬送量の多い側
の穀稈の株元の高さよりも、穀稈搬送量の少ない側の穀
稈の株元の高さの方が高くなるようにしている。

さらに、穀稈は、合流部に前端を臨ませて配した縦搬
送体によって脱穀部のフィードチェーンへと供給され
る。

その際に、穀稈の量の多い方が縦搬送体の作用を強く
受け、縦搬送体の内側に穀稈が引き込まれやすく、合流
部における穀稈の株元の位置の差が相殺され、穀稈の株
元が揃えられる。

（ヘ） 効果 本考案によれば、穀稈搬送量の多い側の株搬送体の傾
斜角を小さくし、穀稈搬送量の少ない側の下部搬送体の
傾斜角を大きくし、穀稈搬送量の多い側の穀稈の株元の
高さよりも、穀稈搬送量の少ない側の穀稈の株元の高さ
の方が高くなるように穀稈を合流しているため、縦搬送
体によって搬送される際に、穀稈の量の多い方が縦搬送
体の作用を強く受け、縦搬送体の内側に穀稈が引き込ま
れやすく、合流部における穀稈の株元の位置の差が相殺
され、穀稈の株元をきれいに揃った状態とすることがで
き、したがって、穂先側も揃った状態で脱穀されるので
脱穀性能が向上し、排藁処理が容易となり、また、搬送
途中の穀稈の見映えがよく、全体として刈取作業を能率
的に行うことができるものである。

（ト） 実施例 本考案の実施例を図面にもとづき詳説すれば、第１図
において、（１）はコンバインの機枠本体で、下部にク
ローラ型走行装置（２）を装備していると共に、上部に
は脱穀処理部（３）を搭載している。

そして、同機枠本体（１）の前側には刈取搬送装置
（４）を、上下昇降自在に連設している。（５）は刈取
搬送装置（４）の前部に配設する多条刈り用穀稈引起し
装置であって、第２図に示す如く、前方下部位置より後
方上部に向けて傾斜状に配設している。（６）は植立穀
稈を分草する分草体で、穀稈引起し装置（５）の前部に
設けられている。

（７）は穀稈引起し装置（５）の引起しケースで、無
端チェーン（７−１）を回動移動自在に巻掛けている。
（７−２）は無端チェーン（７−１）に装着するプラス
チック製引起しタインで出没自在に装着されている。

また、（８）は穀稈引起し装置（５）を駆動する駆動
装置、（９）は刈取りフレーム（10）の下側に配設する
バリカン型刈取装置であって、同刈取装置（９）の上部
で、かつ、前記穀稈引起し装置（５）の後方位置には、
刈取られた穀稈群の穂先部を挾持して後方に搬送する上
部搬送体（11）と、穀稈の株元を挾持して後方に搬送す
る下部搬送体（12）とを上下に間隔を有して設けてい
る。

そして、上記上部搬送体（11）と下部搬送体（12）
は、横方向に広幅状に構成された引起ケース（７）に対
して傾斜状態に左右一対設けられている。

第２図において、（11−１）は左側上部搬送体で、後
端が機体中央寄りに傾斜しながら、かつ、上方に向けて
傾斜している。また、右側上部搬送体（11−２）は、後
端が機体中央側へ傾斜しながら、かつ、上方に向けて傾
斜している。

また、第３図において、（12−１）は左側下部搬送体
で、前端位置（12−1a）は左側の分草体（6a）近傍に位
置しながら、後端位置（12−1b）は中央側（13）まで傾
斜した状態で位置していると共に、側面視で、後端が約
35°の傾斜角で位置している。（12−２）は右側下部搬
送体で、前端位置（12−2a）は右側の分草体（6b）近傍
に位置しながら、後端位置（12−2b）は中央側（13）ま
で傾斜した状態で位置していると共に、側面視で、後端
が約30°の傾斜角で位置している。

そして、上記左側下部搬送体（12−１）は平面視で機
体の左側より、中央側（13）へ傾斜しながら、右側下部
搬送体（12−２）は機体の右側より中央側（13）へ傾斜
しながら、左側下部搬送体（12−１）と右側下部搬送体
（12−２）とは略八字状に形成されている。

（14）は縦搬送体ど、前端（14−１）を、左側下部搬
送体（12−１）の後端位置（12−1b）と、右側下部搬送
体（12−２）の後端位置（12−2b）に接して位置させて
いると共に、同縦搬送体（14）の後端（14−２）は脱穀
処理部（３）のフィードチェーン（15）に接近して位置
させている。すなわち、左右側下部搬送体（12−1,112
−２）の後端に合流部を形成するとともに、同合流部に
前端（14−１）を臨ませて縦搬送体（14）を左右側下部
搬送体（12−1,12−２）の後方に配設している。

（16）は挾扼杆である。

（17）は脱穀部、（18）は選別部、（19）は機体右側
に設ける運転部、（20）グレンタンク、（21）はエンジ
ンである。

また、第３図において、刈取装置（９）の前方には６
本の分草パイプ（６−１）（６−２）（６−３）（６−
４）（６−５）（６−６）が位置しており、これにより
各々１条づつの植立穀稈の株元の列を分草して刈取装置
（９）へ案内する。

そして、同分草パイプ（６−１）（６−２）（６−
３）（６−４）（６−５）（６−６）の後方位置には、
５列の穀稈掻込み装置（22−１）（22−２）（22−３）
（22−４）（22−５）が位置しており、各々掻込みホイ
ル（23−１）（23−２）（23−３）（23−４）（23−
５）と掻込みベルト（24−１）（24−２）（24−３）
（24−４）（24−５）が設けられている。

（25）は分草体（６）に装着する分草杆、（26）は中
央の掻込みホイル（23−３）位置に、後方上方に傾斜状
に設ける中央搬送体で、刈取穀稈の株元を挾持搬送する
ように構成している。

また、同中央搬送体（26）の傾斜角は前記左側下部搬
送体（12−１）と同一としている。

また、第4a図において、左側下部搬送体（12−１）の
上部に位置する左側上部搬送体（11−２）と、右側下部
搬送体（12−２）の上部に位置する右側上部搬送体（11
−２）の後方には縦搬送体（14）が設けられている状態
を示している。

また、第4b図において、（10−１）は刈取りフレーム
（10）に突設する左側駆動軸ケース、（10−２）は左側
搬送体駆動軸、（10−３）は回動ケースで、右側搬送体
駆動軸（10−４）を連結している。

また、第5a図及び第5b図は、穀稈掻込み装置の他の実
施例を示すものであって、一方の分草パイプ（30）にガ
イド棒（31）を延設すると共に、後部に掻込みホイル
（32）とゴム生の掻込みベルト（33）を設けている。
（34）は掻込みベルト（33）の上部を覆うカバー体、
（35）は掻込みベルト（33）に一体的に突設する掻込み
ラグである。

（36）は他方の分草パイプ（37）から掻込みベルト
（33）側に延設したガイド杆であって、後端（38）は掻
込みラグ（35）の先端部に位置している。

また、上記ガイド棒（31）の後部（31−１）は、掻込
みベルト（33）の掻込み始端部（39）位置より移動経路
（40）に沿いながら、同掻込みベルト（33）の直下に延
設されている。（33−２）は掻込みベルト（33）を巻掛
けた従動プーリ、（37−１）は分草体である。

また、第６図及び第７図はダブルアクション型刈取装
置の実施例を示すものであって、第６図において、（4
1）は刈取装置の上刃で右側位置（42）に駆動部用ナイ
フヘッド（43）を固着すると共に、下刃（４）には左側
位置（45）にナイフヘッド（46）を固着して上刃と下刃
を上下対象としている。

また、第７図において、（47）は上刃で中央部（48）
に駆動部用ナイフヘッド（49）を固着している。そし
て、下刃（50）にも中央部（51）に駆動部用ナイフヘッ
ド（52）が固着されている。

本考案の実施例は上記の如く構成されており、エンジ
ン（21）を始動させて穀稈引起し装置（５）及びバリカ
ン刈取装置（９）を作動させながら機体を前進させる
と、圃場に植立する穀稈は分草体（６）により分草させ
ながら、引起しタイン（７−２）により引起されて同時
に株元を刈取装置（９）にて刈取られる。

そして、刈取られた穀稈は、穂先部が上部搬送体（1
1）により挾持されて搬送され、また、穀稈の株元部は
下部搬送体（12）により挾持されて、後部上方に向って
搬送される。

この場合に、穀稈引起しケース（７）の左側位置によ
り分草案内された穀稈は、搬送される量が少ない状態で
左側上部搬送体（11−１）と左側下部搬送体（12−１）
により後部上方へ搬送されて中央側（13）に至る。

したがって、同左側下部搬送体（12−１）が側面視で
約35°の傾斜角で位置しているから、穀稈の株元は高い
状態で縦搬送体（14）に受継がれる。

また、穀稈引起ケース（７）の中央部で分草案内され
た穀稈は中央搬送体（26）により株元が挾持されて、後
部上方へ搬送されて、縦搬送体（14）に受継がれる。

また、穀稈引起しケース（７）の右側により分草、案
内された穀稈は、穀稈の量が多い状態で右側上部搬送体
（11−２）と右側下部搬送体（12−２）により後部上方
へ搬送されて中央側（13）に至る。

したがって、同右側下部搬送体（12−２）が側面視で
約30°の傾斜角で位置しているから穀稈の株元は低い状
態で縦搬送体（14）に受継がれる。

そして、左側下部搬送体（12−１）により挾持、搬送
される穀稈及び右側下部搬送体（12−２）により挾持搬
送される穀稈、並びに中央搬送体（26）により挾持、搬
送される穀稈は、縦搬送体によって搬送される際に、穀
稈の量の多い方が縦搬送体の作用を強く受け、縦搬送体
の内側に穀稈が引き込まれれやすく、合流部における穀
稈の株元の位置の差が相殺され、穀稈の株元をきれいに
揃った状態で搬送され、さらに、縦搬送体（14）よりフ
ィードチェーン（15）に受継がれて脱穀されるものであ
る。

また、第5a図及び第5b図において、左右両方の分草パ
イプ（30）（37）により分草された穀稈は、ガイド棒
（31）とガイド杆（36）により掻込みベルト（33）に掻
込まれて後方へ移送され、掻込みホイル（32）により穀
稈搬送体に受継がれる。

また、この場合に、分草パイプ（30）に装着したガイ
ド棒（31）の後部（31−１）が掻込みベルト（33）の掻
込み始端部（39）位置より移動経路（40）に沿いなが
ら、同掻込みベルト（33）の直下に延設されているか
ら、掻込みベルト（33）による穀稈の掻込みがスムーズ
で穀稈の停滞によるつまりなどがいなものである。

そして、掻込みベルト（33）の直下に剛体があるため
掻込みベルト（33）が傾斜しにくく、同掻込みベルト
（33）の反転や横転が防止されると共に、掻込みベルト
（33）の掻込みラグ（35）の保護ができるものである。

また、第６図において、ダブルアクション形式のバリ
カン型刈取装置は、上刃（41）と下刃（44）のナイフヘ
ッド（43）（46）を左右位置に設けて上下対象状態に取
付けて駆動するものであるから、刈刃から出る振動を防
止し、同時に刈刃の摩耗を防止すると共に、刈刃の負担
を少なくし、さらに、刈刃の駆動力が低減されるもので
ある。

また、第７図においては、刈取装置の上刃（47）と下
刃（50）の駆動用ナイフヘッド（49）（52）を中央部に
設けて駆動するものであるから、刈刃の波打ち現象が防
止されると共に、刈刃のノコ折損の低減や刈刃の偏摩耗
低減、並びに振動低減を図ることができるものである。

以上の如く、本考案は、多条刈り用の穀稈引起し装置
（５）の後方に刈取装置（９）及び穀稈の穂先部を搬送
する上部搬送体（11）と、穀稈の株元を搬送する下部搬
送体（12）とを設け、同下部搬送体（12）の後方に縦搬
送体（14）を配設してなる多条刈りコンバインの下部搬
送体（12）において、上記下部搬送体（12）を左側下部
搬送体（12−１）と右側下部搬送体（12−２）により構
成すると共に、同左右両側の下部搬送体（12−１）（12
−２）の側面視傾斜角を、穀稈搬送量が少ない側を大き
く傾斜せしめ、穀稈搬送が多い側を小さく傾斜させたこ
とを特徴とする多条刈りコンバインにおける下部搬送体
構造であるから、左右の下部搬送体（12−１）（12−
２）によって搬送される穀稈は、合流して縦搬送体（1
4）に受継がれる場合に穀稈の株元がきれいに揃った状
態となるので、穂先側の不揃いがなく、したがって、脱
穀性能が向上するものである。

また、排藁の処理が容易であって、刈取作業を能率的
に行うことができるものである。

また、搬送途中の穀稈に乱れがなく見映えが良好とな
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すものであって、第１図は
本考案に係る下部搬送体構造を装備するコンバインの全
体側面図、第２図は本考案要部の側面図、第３図は同平
面図、第4a図は穀稈を搬送する上部搬送体と下部搬送体
を示す概略平面図、第4b図は同要部の斜視図、第5a図は
穀稈掻込み装置の平面図、第5b図は第5a図Ｉ−Ｉ線によ
る断面図、第６図及び第７図はバリカン型刈取装置の他
の実施例を示す正面図である。 （５）：穀稈引起し装置 （９）：刈取装置 （11）：上部搬送体 （12）：下部搬送体 （12−１）：左側下部搬送体 （12−２）：右側下部搬送体 （14）：縦搬送体

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】多条刈り用の穀稈引起し装置（５）の後方
   に、刈取装置（９）及び穀稈の穂先部を搬送する上部搬
   送体（11）と穀稈の株元を搬送する下部搬送体（12）と
   を設け、同下部搬送体（12）の後方に縦搬送体（14）を
   配設してなる多条刈りコンバインにおいて、 上記下部搬送体（12）を左側下部搬送体（12−１）と右
   側下部搬送体（12−２）により構成し、左右側下部搬送
   体（12−1,12−２）の後端に合流部を形成するととも
   に、同合流部に前端（14−１）を臨ませて縦搬送体（1
   4）を左右側下部搬送体（12−1,12−２）の後方に配
   し、しかも、左右側下部搬送体（12−1,12−２）の側面
   視傾斜角を、穀稈搬送量が少ない側を大きくし、穀稈搬
   送量が多い側を小さくしたことを特徴とする多条刈りコ
   ンバインにおける下部搬送体構造。