JPH0569479A - 熱成形用シート及び耐フロン性成形体 - Google Patents

熱成形用シート及び耐フロン性成形体

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JPH0569479A
JPH0569479A JP23268091A JP23268091A JPH0569479A JP H0569479 A JPH0569479 A JP H0569479A JP 23268091 A JP23268091 A JP 23268091A JP 23268091 A JP23268091 A JP 23268091A JP H0569479 A JPH0569479 A JP H0569479A
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雅巳 三原
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淳司 藤井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 代替フロン耐性を確保しながら、回収再利用
の容易な耐フロン性成形体を開発すること。 【構成】 高度なシンジオタクチック構造を有するスチ
レン系重合体又はその組成物からなり、結晶化度が30
%以下で厚さ5mm以下の熱成形用シート、およびこの
シートを熱成形してなる結晶化度15%以上の耐フロン
性成形体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱成形用シート及び耐フ
ロン性成形体に関し、詳しくは、耐薬品性,耐溶剤性及
び耐フロン性に優れた成形体、ならびにこの成形体の素
材である熱成形用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、冷蔵庫断熱材の発泡に使用されて
いるトリクロロモノフルオロメタン(フロン11)は、
オゾン層を破壊するとの疑いから世界的に1,1−ジク
ロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(フロン12
3)に切り換えられる方向にある。しかし、フロン12
3は各種の樹脂に対する溶解能が従来のフロン(例えば
フロン11)より高い。そのため、現在一般に冷蔵庫内
箱に使用されているABS樹脂や耐衝撃性ポリスチレン
樹脂では、フロン123を含むポリウレタンとの接触使
用に耐えない。また、同じく環境問題として廃プラスチ
ック回収利用推進が世界的な課題となりつつある。耐フ
ロン性を有する冷蔵庫内箱材料としては、高ニトリルA
BS(特開平2−284906号公報)やポリオレフィ
ン系組成物(特開昭61−209240号公報)が提案
されている。ところが、前者の耐フロン性は改良されて
いるとはいえ未だ十分ではなく、また、過剰のアクリロ
ニトリルの使用は、例えば製品を冷蔵庫部材に使用する
場合には、好ましくない臭気の発生源となり、また、加
熱回収時には遊離して作業環境上の問題となる。一方後
者は、主として発泡ウレタンとの接着性を改善する為、
アクリル酸系重合体を配合するなどスチレン系樹脂以外
の樹脂との混合物となり、回収再利用を行う場合大きな
制限となる。また、ポリオレフィンと他樹脂との多層構
造(特開昭62−28240号公報)も提案されている
が、この方法でも再利用の困難は混合組成物と何ら変わ
るものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、耐薬品及び耐溶剤性に優れたシンジオタクチックポ
リスチレンを冷蔵庫内箱材料として採用することによ
り、代替フロン耐性を確保しながら回収再利用の容易な
耐フロン性成形体を開発すべく鋭意研究を重ねた。
【0004】
【課題を解決するための手段】その結果、重量平均分子
量が少なくとも100,000であり、かつ一定範囲の結
晶化度を有するシンジオタクチックポリスチレン等から
なるシートが、その素材として有効であり、またこのシ
ートを熱成形したものが目的に適うものであることを見
出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したもの
である。
【0005】すなわち、本発明は、高度なシンジオタク
チック構造を有し、重量平均分子量が少なくとも100,
000であるスチレン系重合体又はその組成物からな
り、結晶化度が30%以下で、かつ厚さが5mm以下の
熱成形用シートを提供するものである。また、本発明
は、上記シートを熱成形してなる結晶化度15%以上の
耐フロン性成形体をも提供するものである。
【0006】本発明では高度なシンジオタクチック構造
を有するスチレン系重合体を素材とするが、本発明の効
果を損なわない範囲で、耐衝撃性,成形性等を改良する
為にゴムや他の熱可塑性樹脂を混合した組成物を用いて
もよい。ここで高度なシンジオタクチック構造とは、立
体化学構造が高度なシンジオタクチック構造、即ち炭素
−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェ
ニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立
体構造を有するものであり、そのタクティシティーは、
同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)によ
り定量される。 13C−NMR法により測定されるタクテ
ィシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、
例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリアッ
ド,5個の場合はペンタッドによって示すことができ
る。本発明に言う高度なシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体とは、スチレン系繰返し単位の連鎖
において、好ましくはラセミダイアッドで75%以上、
より好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッド
で好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上の
シンジオタクティシティーを有するポリスチレン,ポリ
(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),
ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン),ポリ(アルコキ
シスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステル),これ
らの水素化重合体または混合物あるいはこれらを主成分
とする共重合体を言う。ここで、ポリ(アルキルスチレ
ン)としてはポリ(メチルスチレン),ポリ(エチルス
チレン),ポリ(イソプロピルスチレン),ポリ(ター
シャリーブチルスチレン),ポリ(フェニルスチレ
ン),ポリ(ビニルナフタレン),ポリ(ビニルスチレ
ン)等が挙げられる。ポリ(ハロゲン化スチレン)とし
ては、ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブロモスチレ
ン),ポリ(フルオロスチレン)等が挙げられる。ポリ
(ハロゲン化アルキルスチレン)としてはポリ(クロロ
メチルスチレン)等、ポリ(アルコキシスチレン)とし
てはポリ(メトキシスチレン),ポリ(エトキシスチレ
ン)等が挙げられる。さらに、これらの構成単位を含む
共重合体のコモノマー成分としては、上記スチレン系重
合体のモノマーのほか、エチレン,プロピレン,ブテ
ン,ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマー、ブタ
ジエン,イソプレン等のジエンモノマー、環状オレフィ
ンモノマー、環状ジエンモノマー、メタクリル酸メチ
ル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニル
モノマーが挙げられる。上記スチレン系重合体のうち特
に好ましいものとしては、ポリスチレン,ポリ(アルキ
ルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),水素化ポ
リスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体が挙げ
られる。
【0007】このようなシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中ま
たは溶媒の不存在下に、チタン化合物及び水とトリアル
キルアルミニウムの縮合精製物を触媒として、スチレン
系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を
重合することにより製造することができる(特開昭62
−187718号公報)。また、ポリ(ハロゲン化アル
キルスチレン)については特開平1−46912号公
報、これらの水素化重合体は特開平1−178505公
報記載の方法等により得ることができる。このシンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)の
重量平均分子量は、少なくとも100,000、好ましく
は 150,000〜2,000,000である。ここで、SP
Sの重量平均分子量が100,000に満たない場合に
は、加熱時のドローダウンが大きくなり、熱成形を行う
場合において良好な型再現性が得られない場合がある。
【0008】また、上記スチレン系重合体には、ゴムや
樹脂を混合して組成物として利用することができる。混
合可能なゴムの種類に制限はなく、様々なものが使用可
能であるが、最も好適なものはスチレン系化合物をその
一成分として含むゴム状共重合体で、例えば、スチレン
−ブタジエン共重合体(SBR),スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体(SB,SBS,BSB等),スチ
レン−水素化ブタジエンブロック共重合体(SEBS,
SEB等),スチレン−イソプレンブロック共重合体
(SI,SIS,ISI等),スチレン−水素化イソプ
レンブロック共重合体(SEP,SEPS等)あるいは
アルキルアクリレート,アルキルメタクリレート及び共
役ジエン型二重結合を有する多官能性単量体からなる群
から選ばれた一種又は二種以上の単量体を重合させて得
られる重合体の存在下にビニル系単量体を重合させて得
られる粒状弾性体、例えばアクリロニトリル−スチレン
グラフト化ブタジエンゴム(ABS),アクリロニトリ
ル−スチレングラフト化ブタジエン−ブチルアクリレー
ト共重合体ゴム(AABS),メチルメタクリレート−ス
チレングラフト化ブタジエンゴム(MAS),スチレン
グラフト化ブタジエンゴム(SB),メチルメタクリレ
ート−スチレングラフト化ブタジエンゴム(MBS),
メチルメタクリレート−スチレングラフト化ブタジエン
−ブチルアクリレート共重合体ゴム(MABS)などが
挙げられる。さらに、A−B型ブロック共重合体,Aグ
ラフト化B共重合体及びBグラフト化A共重合体のうち
から選ばれた一種又は二種以上のブロックあるいはグラ
フト共重合体(ここで、Aはアタクチックポリスチレ
ン,アクリロニトリル−スチレンランダム共重合体,ス
チレン−無水マレイン酸ランダム共重合体,スチレン−
アクリロニトリル−無水マレイミドランダム共重合体,
スチレン−メチルメタクリレートランダム共重合体及び
スチレン−メタクリル酸ランダム共重合体のうちから選
ばれた一種又は二種以上のスチレン系重合体あるいはス
チレン系共重合体を示し、Bはポリブタジエン,ポリイ
ソプレン,水素化ポリブタジエン,水素化ポリイソプレ
ン及びポリカーボネートから選ばれた一種又は二種以
上、及びポリアミド,ポリメタクリル酸メチル,ポリエ
チレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートか
ら選ばれた一種又は二種以上の重合体を示す。)が挙げ
られる。これらのスチレン系化合物をその一成分として
含むゴム状共重合体は、スチレン単位を有するため、S
PSに対する分散性が良好であり、その結果、物性の改
善効果が著しい。
【0009】さらに用いることのできるゴムの他の例と
しては、天然ゴム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,
ポリイソブチレン,ネオプレンゴム,エチレン−プロピ
レン共重合体ゴム,ポリスルフィドゴム,チオコールゴ
ム,アクリルゴム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,エ
ピクロルヒドリンゴム,ポリエーテル・エステルゴム,
ポリエステル・エステルゴムなどが挙げられる。また、
極性基を有するポリフェニレンエーテルの極性基の導入
に用いられた極性基と不飽和基を有する化合物に反応さ
せて変性させたゴムを用いてもよい。
【0010】また、混合可能な樹脂の種類にも制限はな
く、様々なものが使用可能であるが、例えばアタクチッ
ク構造のスチレン系重合体,アイソタクチック構造のス
チレン系重合体,ポリフェニレンエーテル,スチレン−
無水マレイン酸共重合体等は前述のシンジオタクチック
構造のスチレン系重合体と相溶しやすく結晶化の制御に
有効で、成形条件の制御が容易で力学物性に優れた成形
品を得ることができる。このうち、アタクチック構造の
及び/又はアイソタクチック構造のスチレン系重合体を
含有させる場合、シンジオタクチック構造のスチレン系
重合体と同様のモノマーからなるものが好ましい。ま
た、これら相溶性樹脂成分の含有割合は好ましくは70
〜1重量%、特に好ましくは50〜2重量%とすればよ
い。ここで相溶性樹脂成分の含有割合が70重量%を超
えるとSPSの長所である耐フロン性等が損なわれるた
め好ましくない。
【0011】また、非相溶性樹脂としては、例えばポリ
エチレン,ポリプロピレン,ポリブテン,ポリペンテン
等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポ
リブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート
等のポリエステル、ナイロン6,ナイロン6,6等のポ
リアミド、ポリフェニレンスルフィド等のポリチオエー
テル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホ
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリイミドやテフロン等のハロゲン化ビニル系重合
体、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体、ポ
リビニルアルコール等の前記相溶性樹脂以外は全て該当
し、さらに、前記相溶性樹脂を含む架橋樹脂が挙げられ
る。これら非相溶性樹脂はSPSと非相溶であるため、
少量含有する場合、SPS中に島のように分散させるこ
とができ、延伸後に程良い光沢を与えたり、表面の滑り
性を改良するのに有効である。これら非相溶性樹脂成分
の含有割合は、光沢を目的にする場合は50〜2重量
%、表面性の制御を目的とする場合は0.001〜5重量
%とするのが好ましい。また、温度が高い環境で使用す
る製品とする場合は、比較的耐熱性のある非相溶性樹脂
を用いることが好ましい。
【0012】本発明は、該SPSあるいはその組成物を
成形してなるシート及びその熱成形体である。この熱成
形体は耐フロン性、特にフロン123等の代替フロンに
対する耐性にすぐれている。また、この熱成形体の素材
であるシートの結晶化度は30%以下、好ましくは25
%以下である。このシートを素材として各種の成形を行
って様々な成形体を得る場合を考慮すると、このシート
の結晶化度が30%を超えると、圧空,真空もしくは圧
空真空成形時に要求される十分な引張伸び特性が得られ
ないことがあり、好ましくない。また、シートの厚さは
5mm以下、好ましくは3.5mm以下である。このシー
トの厚さが5mmを越えるものでは、冷却時にシート深
層部と表層部の冷却速度の差が大きくなることから結晶
化度のムラが過大となり、良好な熱成形性を得ることが
困難となる。このシートの成形にあっては、上記成形素
材の加熱溶融したものを押出して所定形状にすればよ
く、T−ダイ成形により成形することができる。ここで
用いる押出成形機は、一軸押出成形機,二軸押出成形機
のいずれでもよく、またベント付き,ベント無しのいず
れでもよい。押出条件は、特に制限はなく、様々な状況
に応じて適宜選定すればよい。好ましくは温度をSPS
の融点より5℃以上高い温度の範囲で選定し、剪断応力
を5×106 dyne/cm2 以下とすると、表面の荒
れの少ないシートを得ることができる。
【0013】押出成形後、得られたシートを必要に応じ
て冷却固化する。この際の冷媒は、気体,液体,金属等
各種のものを使用することができる。なお、金属ロール
等を用いる場合は、エアナイフ,エアチャンバー,タッ
チロール,静電印荷等の方法を用いれば、厚みムラや波
うち防止に効果的である。冷却固化の温度は、通常は0
℃〜シート材のガラス転移温度より30℃高い温度の範
囲、好ましくは、ガラス転移温度より70℃低い温度以
上ガラス転移以下の温度範囲である。また冷却速度は2
00〜2℃/秒の範囲で適宜選択する。
【0014】本発明の成形体は、上記で得られたシート
を、所望の形状の金型を用いて加圧下にて熱成形するこ
とによって得られる。この際に用いる成形装置として
は、従来から一般的に使用されているものをそのまま用
いることができる。加圧はプラグと真空,圧空,真空圧
空を適宜組合せて行うことができ、プラグが無い場合で
も同様に行うことができる。この成形体を加熱する方法
には特に制限はなく、例えばセラミック封止電気ヒータ
ーや熱油による間接加熱、あるいは加熱板に接触せしめ
る直接加熱等の方法の中から適宜選択すればよいが、こ
の際の加熱温度は成形素材のガラス転移温度(Tg)な
いし融点(Tm)より15℃低い温度(Tm−15)
℃、好ましくは(Tg+10)℃ないし(Tg+12
0)℃とする。この時の加熱温度がTgに満たないとき
には、成形を充分に行うことが困難であり、また、(T
m−15)℃を超えるとブリッジ等が発生したり、プラ
グを使用する場合には材料がプラグに付着することがあ
る。
【0015】このときの金型の温度は好ましくは30℃
〜(Tm−15)℃であって、30℃未満では、成形体
に耐フロン性を与えるに充分な結晶化を行うことが困難
であり、また、(Tm−15)℃を超えると金型への材
料付着や離型不良現象を起こす場合がある。
【0016】また、本発明においては、成形体の耐フロ
ン性は、最終的にシートを熱成形した後のSPSの結晶
化度と密接な関係があることが見出された。即ち、充分
な耐フロン性を持つに必要な結晶化度は少なくとも15
%、好ましくは20%以上、特に好ましくは25%以上
であって、15%に満たない成形体ではフロンの影響に
よる強度,弾性率等の低下のみならず、フロンによる溶
解現象が無視できなくなる。この成形体の結晶化度は熱
成形を行う際の条件、例えばシートを加熱する際の温度
や保持時間、金型の温度や金型内での保持時間等によ
り、良好に制御することが可能である。
【0017】上記の方法により得られた熱成形体は極め
て優れた耐フロン性を有しており、冷蔵庫内箱(扉内装
部分を含む)等、フロンに接触して使用される成形体に
好適に使用することができる。また、スチレン系樹脂単
層の単純な組成及び構造は、回収再利用を考慮する場合
には最も好適な形態である。
【0018】
【実施例】次に、本発明を参考例,製造例,実施例及び
比較例によりさらに詳しく説明する。 参考例 アルゴン置換した内容積500ミリリットルのガラス製
容器に、硫酸銅5水塩(CuSO4 5H2O)17.8g(71ミ
リモル),トルエン200ミリリットル及びトリメチル
アルミニウム24ミリリットル(250ミリモル)を入
れ、40℃で8時間反応させた。その後、固体部分を除
去して得られた溶液から、更にトルエンを室温下で減圧
留去して接触生成物6.7gを得た。このものの凝固点降
下によって測定した分子量は610であった。
【0019】製造例1 内容積2リットルの反応容器に、精製スチレン1リット
ル,上述の参考例で得られた接触生成物をアルミニウム
原子として5ミリモル,トリイソブチルアルミニウムを
5ミリモル及びペンタメチルシクロペンタジエニルチタ
ントリメトキシド0.025ミリモルを投入し、90℃で
5時間重合反応を行った。反応終了後、生成物に水酸化
ナトリウムのメタノール溶液を注いで触媒成分を分解
後、メタノールで繰り返し洗浄,乾燥して重合体308
gを得た。この重合体の重量平均分子量を、1,2,4
−トリクロロベンゼンを溶媒として、135℃でゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィーにて測定したところ
389,000であり、また重量平均分子量/数平均分子
量は2.64であった。また、融点及び13C−NMR法に
より、この重合体はシンジオタクチック構造を有するポ
リスチレン(SPS)であることを確認した。
【0020】製造例2 内容積2リットルの反応容器に、精製スチレン965ミ
リリットル及びパラメチルスチレン70ミリリットル、
さらに上記の参考例で得られた接触生成物をアルミニウ
ム原子として7.5ミリモル,トリイソブチルアルミニウ
ムを7.5ミリモル及びペンタメチルシクロペンタジエニ
ルチタントリメトキシド0.038ミリモルを投入し、9
0℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、生成物に
水酸化ナトリウムのメタノール溶液を注いで触媒成分を
分解後、メタノールで繰り返し洗浄,乾燥して重合体3
08gを得た。この重合体の重量平均分子量を、1,
2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として、135℃で
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した
ところ440,000であり、また重量平均分子量/数平
均分子量は2.52であった。また、融点及び13C−NM
R法により、この重合体はシンジオタクチック構造を有
するスチレン−パラメチルスチレン共重合体であること
を確認した。この共重合体のパラメチルスチレン含量を
プロトン核磁気共鳴法(1H−NMR法)にて測定したと
ころ7.1モル%であった。
【0021】実施例1 製造例1で得られたSPS80重量%及びゴム状重合体
としてスチレン−ブタジエンブロック共重合体(バイエ
ル製,BL−6533)20重量%を二軸押出機を用い
て混練ペレット化した。このペレットを用いて単軸押出
機の先端に、T−ダイを取り付けた装置で押し出した。
この際の押出温度は320℃で、剪断応力は3×105
dyne/cm2 であった。この溶融押し出しした樹脂
を静電印荷により、金属冷却ロールに密着冷却させ、シ
ートを作成した。この際、金属冷却ロールを60℃に調
節した。また作成したシート厚みは2mmであった。成
形体(シート)の結晶化度は示差走査熱量計(DSC)
により測定した。即ち、一定の昇温速度下で測定した融
点における吸熱エンタルピーをΔHm 、冷結晶化温度に
おげる発熱エンタルピーをΔHccとし、100%結晶の
融解エンタルピーをΔHf (=53J/g)として、ま
た、成形体中にSPSの占める重量分率をCとして結晶
化度Xc を次式で定義した。 Xc =(ΔHm −ΔHcc)/ΔHf ×C ここで得られたシートの結晶化度は、15%であった。
次いで、このシートに両面から電気ヒーターを用いて間
接加熱を行った。この時、非接触型温度計にて測定した
シート表面の温度は130℃であった。次いで圧空成形
装置にて開口部100mm×50mm、深さ40mmの
金型を使用して圧力3kg/cm2の圧空でシートを熱
成形した。この時、金型の温度を160℃に調節した。
また、この熱成形後の成形体の結晶化度は44%であっ
た。耐フロン性の評価は上記で得られた試料を、23℃
に調節したフロン123に24時間浸漬、その後24時
間の風乾を経た試験片の引張り強度,引張り弾性率の変
化を測定して行った。また、浸漬前後の重量変化率をも
って膨潤率とした。結果を第1表に示す。同様に23
℃,大気圧下でフロン123の蒸気に24時間の曝露を
行った場合の結果を第2表に示す。
【0022】実施例2 圧空成形時、金型の温度を130℃に調節したこと以外
は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得られた
結果を第1表及び第2表に示す。
【0023】実施例3 圧空成形時、金型の温度を90℃に調節したこと以外
は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得られた
結果を第1表及び第2表に示す。
【0024】実施例4 圧空成形時、金型の温度を50℃に調節したこと以外
は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得られた
結果を第1表及び第2表に示す。
【0025】実施例5 実施例1におけるスチレン−ブタジエンブロック共重合
体の代わりに、スチレン−水素化ブタジエンブロック共
重合体(シェル化学製,G−1651)を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得られ
た結果を第1表及び第2表に示す。
【0026】実施例6 実施例1におけるスチレン−ブタジエンブロック共重合
体の代わりに、スチレン−ブタジエン共重合体(日本ゼ
オン製,NIPOL1006)を用いたこと以外は、実
施例1と同様にして成形体を作成した。得られた結果を
第1表及び第2表に示す。
【0027】実施例7 実施例1におけるSPSの代わりに、製造例2で得られ
たスチレン−パラメチルスチレン共重合体を用いたこと
以外は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得ら
れた結果を第1表及び第2表に示す。
【0028】比較例1 シート成形時の素材をABS樹脂(三菱化成ポリテック
製,YT−212)とし、シート成形時の押出温度を2
30℃,圧空成形時の金型温度を50℃としたこと以外
は、実施例1と同様にして成形体を作成した。得られた
結果を第1表及び第2表に示す。
【0029】比較例2 シート成形時の素材を耐衝撃性アタクチックポリスチレ
ン樹脂(出光石油化学製,ET−60)とし、シート成
形時の押出温度を220℃,圧空成形時の金型温度を5
0℃としたこと以外は、実施例1と同様にして成形体を
作成した。得られた結果を第1表及び第2表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】このように、一般に冷蔵庫内箱材料として
使用されているABS樹脂及び耐衝撃性アタクチックポ
リスチレン樹脂が完全に溶解してしまう過酷な条件にあ
っても、実施例の試料では極めて高い耐フロン性を示し
ている。
【0035】
【発明の効果】以上の如く、本発明の成形体は、耐薬品
性,耐溶剤性及び耐フロン性の優れたものである。ま
た、本発明のシートは、上記成形体の熱成形用の素材と
して有用である。したがって、本発明によれば、冷蔵庫
内箱(扉内装部分を含む)や発泡ポリウレタンを使用し
た断熱材料等に利用でき、かつフロン123に侵される
ことなく回収再利用の容易な形態の成形体の製造を可能
とすることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高度なシンジオタクチック構造を有し、
    重量平均分子量が少なくとも100,000であるスチレ
    ン系重合体又はその組成物からなり、結晶化度が30%
    以下で、かつ厚さが5mm以下の熱成形用シート。
  2. 【請求項2】 請求項1のシートを熱成形してなる結晶
    化度15%以上の耐フロン性成形体。
  3. 【請求項3】 フロン含有発泡ポリウレタンに接触して
    使用される請求項2記載の成形体。
  4. 【請求項4】 請求項2の成形体を用いてなる冷蔵庫内
    箱。
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