JPH0569407U - 嵌め込みクリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単な形状変更のみで嵌め込みクリップの部品
止め付け板材に対する抜け止め強度を高める。 【構成】Ｕ字状部３の内側に対をなして形成された逆刺
爪片１１間に装着部品Ｇの係止ペグＦを挿入し、かつ被
部品止め付け板材Ｐに設けられたクリップ装着孔ｈに外
接嵌合状態に挿入することによって装着部品Ｇを被部品
止め付け板材Ｐに対して固定するための嵌め込みクリッ
プを、クリップ装着孔ｈの周縁部に係合する係止ばね片
１３がＵ字状部３から外側方に設けられ、被部品止め付
け板材Ｐの裏面に係合する逆刺形状の戻り止め爪１５が
係止ばね片１３に形成されたものとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、嵌め込みクリップに関し、特に自動車に於けるガーニッシュ類の車 体に対する装着に用いられる嵌め込みクリップに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車に於て、ガーニッシュ類の車体への装着は、一般に、ガーニッシュクリ ップと称される金属製の嵌め込みクリップが用いられている。これは当該嵌め込 みクリップのＵ字状部の内側に対をなして形成されている逆刺爪片間に、装着部 品であるガーニッシュの内面に突設された係止ペグを挿入したうえで、被部品止 め付け板材である車体のインナパネルに設けられたクリップ装着孔に嵌め込みク リップを嵌め込むことにより、クリップが弾性変形して発生する抜去抵抗力を利 用してガーニッシュの車体に対する固定を行うものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記したような嵌め込みクリップを用いたガーニッシュ類の車体構成板材に対 する嵌め込み式結合に於ては、装着部品の確実な固定を得るために、装着部品と 嵌め込みクリップとが確実に抜け止め結合し得ることが必要なことはもちろんの こと、嵌め込みクリップが被部品止め付け板材に対しても確実に抜け止め結合し 得ることが要求される。

【０００４】 このような要望に対し、従来の嵌め込みクリップは、一般に、Ｕ字状部の外側 方に設けられた係止ばね片をクリップ装着孔の周縁部に弾性変形状態にて係合さ せるようにしている。この構造による嵌め込みクリップは、係止ばね片の弾発作 用によって被部品止め付け板材に対する抜け止めが一応は達成されるが、嵌め込 みクリップとクリップ装着孔との製作上の寸法誤差、あるいは長期間の使用によ る嵌め込みクリップ並びにクリップ装着孔部分の変形などに基因して、被部品止 め付け板材に対する嵌合が甘くなる虞がある。また、装着部品に強い力が作用す ると、嵌め込みクリップが装着部品と共に被部品止め付け板材から外れる虞れが ある。特に合成樹脂製の装着部品の場合には、解体の際に嵌め込みクリップが装 着部品と共に被部品止め付け板材から外れると、樹脂材の再利用に際して金属製 のクリップを取外す作業が必要になり好ましくない。

【０００５】 本考案は、このような従来の嵌め込みクリップに於ける問題点に着目してなさ れたものであり、その主な目的は、簡単な形状変更だけで被部品止め付け板材に 対する抜け止め強度が好適に高められ、嵌め込みクリップとクリップ装着孔との 製作上の寸法誤差、あるいは長期間の使用による嵌め込みクリップ並びにクリッ プ装着孔部分に多少の変形などが生じた場合にも、被部品止め付け板材に対する 結合状態を確実に維持することができるように改善された嵌め込みクリップを提 供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

このような目的は、本考案によれば、Ｕ字状部の内側に対をなして形成された 逆刺爪片間に装着部品の係止ペグを挿入し、かつ被部品止め付け板材に設けられ たクリップ装着孔に外接嵌合状態に挿入することによって被部品止め付け板材に 対して装着部品を固定するために用いられる嵌め込みクリップの構成を、クリッ プ装着孔の周縁部に係合するべくＵ字状部から外側方に係止ばね片を設け、該係 止ばね片に、被部品止め付け板材の裏面に係合する逆刺形状の戻り止め爪を形成 したものとすることによって達成される。

【０００７】

【作用】

このような構成によれば、嵌め込みクリップをクリップ装着孔に挿入すると、 係止ばね片に形成された逆刺形状の戻り止め爪が被部品止め付け板材を乗り越え 、これの裏面に係合する。しかして嵌め込みクリップの抜去抵抗力が増大する。

【０００８】

【実施例】

以下に添付の図面を参照して本考案の具体的な実施例について詳細に説明する 。

【０００９】 図１および図２は、本考案に基づき構成された嵌め込みクリップの一実施例を 示している。これらの図に於て、嵌め込みクリップは、符号１によって全体的に 示されており、これは全体をばね鋼、工具鋼などの弾発性に富む金属板によって 構成されている。この嵌め込みクリップ１は、Ｕ字状部３と、Ｕ字状部３の図１ に於ける左右（以下、これを単に左右と略称する）の両脚片５の各先端部から当 該脚片５の延在方向に対して概ね直角に外側に折曲して設けられた左右のフラン ジ片７とを有している。

【００１０】 左右の各脚片５と各フランジ片７との折曲部からは、それぞれＵ字状部３の内 側のＵ字ベント部９へ向けて斜め方向に突出して左右一対をなす逆刺爪片１１が 、ランス加工などによって切り起こし形成されている。これらの左右の逆刺爪片 １１間の間隔は、装着部品としてのガーニッシュＧの内面に突設された係止ペグ ｆの板厚より小さい寸法に設定されている。

【００１１】 Ｕ字状部３の左右両脚片５のＵ字ベント部９側からは、ヨーク形状（図２参照 ）の係止ばね片１３が、ランス加工などによってＵ字状部３の外側方に切り起こ し形成されている。この係止ばね片１３は、それぞれＵ字状部３の外側方へ斜め に突出しており、その各自由端がなす二股状の各先端部１３ａは、脚片５とフラ ンジ片７との各折曲部近傍に位置して少し内側に折曲している。そして左右の係 止ばね片１３は、脚片５とフランジ片７との折曲部近傍にて最も外側へ膨出して おり、この左右の係止ばね片１３の最大膨出部１３ｂ間の幅Ｔ1は、被部品止め 付け板材Ｐのクリップ装着孔ｈの開口幅Ｔｈよりも幾分か大きな寸法に設定され ている。

【００１２】 左右の係止ばね片１３の二股状の各先端部１３ａの近傍、換言すれば最大膨出 部１３には、逆刺形状の戻り止め爪１５が、ランス加工などによって外側に切り 起こし形成されている。これらの各戻り止め爪１５は、先端縁面にて左右のフラ ンジ片７の裏面に所定間隔を置いて対向しているが、この対向間隔は、被部品止 め付け板材Ｐの板厚よりも少しだけ小さい寸法に設定されており、また左右の係 止ばね片１３と戻り止め爪１５との間の幅Ｔ2は、係止ばね片１３の最大膨出部 間幅Ｔ1よりも少しだけ大きな寸法に設定されている。

【００１３】 上記した嵌め込みクリップ１を用いてガーニッシュＧを被部品止め付け板材Ｐ に取り付ける場合は、先ずガーニッシュＧの係止ペグｆを左右の逆刺爪片１１間 に押し込むようにして挿入する。これによってガーニッシュＧの係止ペグｆが左 右の逆刺爪片１１間に挟まれて逆止作用を受け、嵌め込みクリップ１とガーニッ シュＧとが一体的に結合する。

【００１４】 次にガーニッシュＧと共に嵌め込みクリップ１をＵ字ベント部９側から被部品 止め付け板材Ｐのクリップ装着孔ｈ内に嵌め込む。この嵌め込みよって左右の係 止ばね片１３が互いに内側へ弾性変形しつつクリップ装着孔ｈ内に進入し、これ の最大膨出部１３ｂ及び戻り止め爪１５が被部品止め付け板材Ｐを乗り越えると 、図１に示されているように、フランジ片７が被部品止め付け板材Ｐの表面に接 合し、かつ左右の係止ばね片１３がそれ自身の弾発力によってそれぞれ外側に復 元変位し、二股状の各先端部１３ａ近傍にてクリップ装着孔ｈの周縁部に弾圧係 合する。またこれと同時に、戻り止め爪１５が被部品止め付け板材Ｐの裏面に逆 止的に係合する。

【００１５】 このようにして、嵌め込みクリップ１がクリップ装着孔ｈに抜去不能に、かつ がたのないように結合し、ガーニッシュＧが嵌め込みクリップ１を介して被部品 止め付け板材Ｐに固定されることとなる。

【００１６】

【考案の効果】

以上の説明から理解されるように、本考案による嵌め込みクリップによれば、 嵌め込みクリップをクリップ装着孔に挿入すると、逆刺形状の戻り止め爪が被部 品止め付け板材を乗り越えてこれの裏面に逆止的に係合するので、戻り止め爪の 追加と云う簡単な形状変更により、部品止め付け板材に対する抜け止め強度が飛 躍的に向上し、嵌め込みクリップとクリップ装着孔との製作上の寸法誤差、ある いは長期間の使用による嵌め込みクリップ並びにクリップ装着孔部分に多少の変 形などが生じても、被部品止め付け板材に対する結合状態を確実に維持すること ができる。従って、嵌め込みクリップが被部品止め付け板材から不用意に脱落し たりする虞れが解消される。しかも自動車などを解体して合成樹脂材を再利用し ようとする時にも、金属製のクリップが車体側に残るので、分別作業が必要でな くなるという効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に基づく嵌め込みクリップの一実施例を
示す側面図である。

【図２】本考案に基づく嵌め込みクリップの一実施例を
示す正面図である。

【符号の説明】

１ 嵌め込みクリップ ３ Ｕ字状部 ５ 脚片 ７ フランジ片 ９ Ｕ字ベント部 １１ 逆刺爪片 １３ 係止ばね片 １５ 戻り止め爪 Ｇ ガーニッシュ ｆ 係止ペグ Ｐ 被部品止め付け板材 ｈ クリップ装着孔

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】Ｕ字状部の内側に対をなして形成された逆
   刺爪片間に、装着部品に形成された係止ペグを挿入し、
   かつ被部品止め付け板材に設けられたクリップ装着孔に
   外接嵌合状態に挿入することにより、前記被部品止め付
   け板材に対して前記装着部品を固定するために用いられ
   る嵌め込みクリップであって、 前記クリップ装着孔の周縁部に係合するべく前記Ｕ字状
   部から外側方に係止ばね片を設けると共に、 該係止ばね片に、前記被部品止め付け板材の裏面に係合
   するべく逆刺形状の戻り止め爪を形成したことを特徴と
   する嵌め込みクリップ。