JPH0569010A - 板圧延機 - Google Patents

板圧延機

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JPH0569010A
JPH0569010A JP3230450A JP23045091A JPH0569010A JP H0569010 A JPH0569010 A JP H0569010A JP 3230450 A JP3230450 A JP 3230450A JP 23045091 A JP23045091 A JP 23045091A JP H0569010 A JPH0569010 A JP H0569010A
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rolling
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rolls
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板クラウン・形状制御のため作業ロールたわ
みを自在に制御可能で、しかも圧延機自体の検出装置か
ら得られる情報のみで板クラウン・板形状を高い精度で
推定し、時間遅れのない高精度な板クラウン・形状制御
ができるような板圧延機を提供する。 【構成】 上下少なくともどちらか一方のロールアセン
ブリは、軸方向3分割以上に分割した分割補強ロールに
よって作業ロールを支持する機構とし、各々の分割補強
ロールには、それぞれ独立に荷重検出装置を配備したこ
とを特徴とする板圧延機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延により板状素材あ
るいは帯状素材の肉厚を圧減せしめ、所定の肉厚の板状
製品あるいは帯状製品を得る板圧延機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の板圧延機は、例えば、図17に示
すような2段圧延機、図18に示すような4段圧延機が
多く採用されているが、これらの圧延機で板材を圧延す
る場合の技術課題として、板幅方向の板厚分布(板クラ
ウン)および平坦度(板形状)の制御がある。これらの
技術課題を解決するための手段として、ロールベンディ
ング力、ロールシフト、ロールクロス等の技術が開発さ
れている。
【0003】これらの手段は何れも板クラウン・形状制
御に対して有効な制御端であり、すでに多くの板圧延機
において採用されている技術であるが、これらの圧延機
を用いても一般に圧延材と作業ロールの間に作用する圧
延荷重の板幅方向分布は未知であるため、圧延後の板ク
ラウン・形状を正確に推定することは困難である。もち
ろん、圧延機入側の板クラウン・形状を、測定するか、
または過去の圧延履歴等から推定し、これと圧延荷重、
板幅、板厚、前記板クラウン・形状制御のための制御端
の設定値等の圧延条件を基に圧延後の板クラウン・形状
を推算することは可能であるが、その推定精度には限界
があり、近年の厳しい精度要求に対しては、圧延機後面
に配した板プロフィル測定装置および板形状測定装置に
よるフィードバック制御に頼らざるを得なくなってい
る。このようなフィードバック制御の問題点は、圧延機
から圧延材が出てから計測装置に到達するまでに時間が
かかり制御上に無駄時間が介在するという点である。こ
のため制御ゲインを高くすることは困難で、周波数の高
い外乱に対応することは不可能となる。さらに、これら
の板クラウン・形状制御のための制御端の一般的な欠点
として、ロールギャップ形状すなわち板幅方向の板厚分
布の制御パターンとしては、板幅方向座標に関する2次
式あるいは4次式程度の単純なパターンの制御にならざ
るを得ないという点がある。
【0004】これに対して、クラスター圧延機において
採用されている分割補強ロールの偏心リングによる形状
制御法(一般にAs−U機構と呼ばれている)では、板
幅方向に複雑なパターンの制御も可能である。しかしな
がら、As−U機構を採用した圧延機では、圧延荷重を
検出することが一般に困難であり、このため分割補強ロ
ールのプロフィルは把握できても、最終的に板プロフィ
ルに影響を与える作業ロールのたわみおよびロール偏平
を正確に把握することは困難である。なお、このような
クラスター圧延機においても圧延荷重を検出できるよう
に圧延機構造を工夫することは可能であると考えられる
が、この場合でも圧延材と作業ロールの間に作用する圧
延荷重の板幅方向分布まで測定することは不可能である
ため、既に指摘したようなロールベンディング力等を用
いる場合の問題点と同様の問題を避けることができな
い。
【0005】これら既に実用化されている技術に対し
て、例えば特開昭57−68208では、作業ロールを
流体を介してサポートビームで受けるようにし、該流体
部分をロール軸方向に複数個のチャンバーに分割した技
術が提案されている。この技術によればチャンバーの分
割数を多くすることによって、作業ロールたわみをきめ
細かく制御することが可能となり、しかも各チャンバー
の流体圧力と受圧面積から作業ロールとサポートビーム
間に作用する荷重分布が検出可能であり、これより圧延
材と作業ロールの間に作用する荷重分布をある程度推定
することが可能となる。しかしながら、この技術では流
体のシール技術が大きな問題となり、大荷重や衝撃荷重
に耐えられない、チャンバー間の圧力差を大きくとれな
い等の限界性能の問題の他、やはりシール技術の問題か
ら作業ロールを積極的にたわませるような制御を行うこ
とができないという原理的な問題がある。なお、作業ロ
ールを積極的にたわませる必要を生じるのは次のような
場合であり、圧延操業においては必然的に生じる作業形
態である。 作業ロールプロフィルが摩耗・熱膨張により変化した
場合、 上流側の圧延によって目標とするクラウン比率(=板
クラウン/板厚)とは異なったクラウン比率に圧延され
ていてこれを補正する必要がある場合、 板厚分布が幅方向に不均一な製品を製造する必要があ
る場合。
【0006】以上のように従来技術では、板クラウン・
形状制御のため作業ロールたわみを自在に制御可能で、
かつ圧延機自体の検出装置から得られる情報のみで板ク
ラウン・板形状を高い精度で推定し時間遅れのない板ク
ラウン・形状制御ができるような圧延機は存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、板クラウ
ン・形状制御のため作業ロールたわみを自在に制御可能
で、しかも圧延機自体の検出装置から得られる情報のみ
で板クラウン・板形状を高い精度で推定し時間遅れのな
い板クラウン・形状制御ができるような板圧延機を開示
する。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】図1および図
2には、本発明の実施例の一つを示すが、本発明の板圧
延機では上下少なくともどちらか一方のロールアセンブ
リは軸方向3分割以上に分割した分割補強ロールによっ
て作業ロールを支持する機構となっており、各々の分割
補強ロールには、それぞれ独立に荷重検出装置を配備し
ている。このような独立の荷重検出装置を配備するには
各分割ロールそれぞれに独立の支持機構が必要となり、
この支持機構を収納する空間を得るため、図1および図
2の実施例では、分割補強ロールを作業ロールの直上に
あるものと作業ロールの斜め上方にある一対のものとに
分け、これらを作業ロール軸方向に沿って交互に配置し
ている。図2は本圧延機を上方から見た平面図で、4種
類のロール配置の例を示している。図2(a),図2
(b)は、軸方向に7分割した場合のロール配置の例で
あり、図2(c)は軸方向に8分割した場合の例であ
る。このように分割数は奇数であっても偶数であっても
よいが、左右対称な板プロフィル制御を主に行うという
点では、奇数分割の方がコストパフォーマンスに優れて
いると思われる。図2(d)は軸方向7分割であるが、
それぞれの分割ロール胴部が軸方向位置においてある程
度重なり合っている例である。
【0009】以上説明したような構造を採用することに
よって作業ロールがそれぞれの分割補強ロールから受け
る荷重が測定できることになり、この情報より圧延材と
作業ロールの間に作用する荷重分布を直ちに推定するこ
とが可能となる。なお、分割補強ロールの軸方向の分割
数については、2分割以下では、板クラウン・形状を制
御することは不可能であり、3分割してはじめて板クラ
ウン・板形状の2次式成分を制御することが可能とな
る。したがって、種々の板幅の圧延材を圧延するような
圧延機では、さらに多くの分割を行うことが好ましい。
【0010】さて、次に作業ロール〜分割補強ロール間
に作用する荷重から、圧延材〜作業ロール間に作用する
荷重を推定する方法について詳しく説明する。図3には
上ロールアセンブリを考慮の対象として作業ロールに作
用する荷重を模式的に示す。第i分割補強ロールに作用
する荷重をqi 、その位置に対応する圧延材〜作業ロー
ル間荷重をpi とし、作業ロール軸心たわみの変形マト
リクスをKW ij、分割補強ロール系の変形マトリクスを
B ij、ロールクラウンの形式で表現した作業ロールプ
ロフィルをCW i 、分割補強ロールプロフィルを
B i 、作業ロール軸心たわみをyW i とするとき、分
割補強ロールと作業ロールとの適合条件より次式が得ら
れる。 yW i =KB ijj +CB i +CW i (1)
【0011】なお、本明細書における数式表現では同添
字の繰り返しがある項についてはその添字の範囲にわた
って総和をとるというアインシュタインの総和規約を採
用するものとする。また、KB ijは第j分割補強ロール
に単位荷重が負荷されたときの第i補強ロールの変位を
表す影響係数マトリクスであるが、ここではハウジング
の変形および作業ロール〜補強ロール接触による両ロー
ルの偏平変形を含めた変形マトリクスとしており、KB
ij,KW ij,yW i はすべてミルセンターからの相対変
位のみを抽出するものとしている。
【0012】一方、作業ロールたわみは変形マトリクス
W ijおよび圧延材〜作業ロール間に作用する圧延荷重
分布pi を用いて次式のように表現することもできる。 yW i =KW ij(pj −qj ) (2) 式(1),(2)よりyW i を消去すると圧延荷重分布
i は次式のように求められる。 pi =qi +[KW -1 ij(KB jkk +CB j +CW j ) (3) 式(3)の右辺において、[KW -1 ijはKW ijの逆マ
トリクスの成分であり、KB ijとともに予め計算できる
ものである。また、CB j およびCW j も測定あるいは
推定可能な量であるので、本発明の圧延機によってqk
の測定値が得られれば式(3)により圧延材〜作業ロー
ル間の圧延荷重分布pi は直ちに計算することが可能で
ある。
【0013】以上のように、本発明の圧延機を用いるこ
とによって、作業ロール〜分割補強ロールに作用する荷
重の測定値から圧延材〜作業ロールに作用する圧延荷重
分布pi を推定することが可能となる。本方法による圧
延荷重分布の推定は、作業ロール〜分割補強ロール間の
荷重分布の実測値に基づいている点で、例えば入・出側
板厚分布の推定値から圧延荷重分布を推定するというよ
うな従来の方法とは根本的に異なっており、この点で従
来法では期待できないような高い推定精度を有してい
る。したがって、例えば、圧延材の変形抵抗の幅方向分
布が均一であるような材料の場合、形状良好な圧延、す
なわち伸び歪の幅方向分布が均一に近い圧延を実施する
ためには、式(3)によって求められる圧延材〜作業ロ
ール間の圧延荷重分布が均一となるように制御すればよ
い。さらに、例えば熱間圧延において幅方向温度分布が
均一でないような場合は、変形抵抗が幅方向に不均一と
なるが、この場合でも幅方向温度分布を測定することが
できれば変形抵抗分布を推定することができ、これに基
づいて、形状良好な圧延を行うための幅方向圧延荷重分
布の目標値を算出し、この目標値に圧延材〜作業ロール
間の圧延荷重分布が近づくように制御すれば形状良好な
圧延板を得ることができる。以上説明してきたように、
本発明の圧延機を用いた場合、特別な形状測定装置がな
くても高精度な形状制御が可能となる。
【0014】さらに、圧延荷重分布が求められれば、こ
れを用いて次のようにして圧延板の板厚分布すなわち板
クラウンを高精度に予測することが可能となる。まず、
圧延荷重による作業ロールの偏平変形マトリクスKf ij
を用いて、上作業ロールの圧延材側表面形状ymT i は次
式によって計算される。 ymT i =yW i +Kf ijj +CW j (4)
【0015】図1に示すような上下対称構造の場合は、
上ロールアセンブリの手続きと同様にして下ロールアセ
ンブリの計算を行い、圧延材〜作業ロール間の圧延荷重
分布pi および下作業ロールの圧延材側表面形状ymB i
を求めることにより、板厚分布を推定することができ
る。このとき上下ロールアセンブリから別個に計算され
た圧延荷重分布は基本的に一致すべきものであるが、こ
の両者の差異からロールプロフィルの学習を行う等のデ
ータの利用方法も考えられる。
【0016】また図4に示すように他方のロールアセン
ブリが異なる形式の場合は、式(3)で求められた圧延
荷重分布pi を用いて、もう一方のロールアセンブリの
作業ロールの圧延材側表面形状ymB i を計算すればよ
い。これは補強ロールの変形を含めた作業ロールの変形
マトリクスをKBW ijとするとき次式によって計算でき
る。 ymB i =(KBW ij+Kf ij)pj +CW j (5) ここで、式(5)中の各項は下ロールアセンブリに関す
るもので予め計算あるいは予測できるものである。上下
作業ロールの圧延材側表面形状ymT i ,ymB i が求めら
れれば、圧延後の幅方向板厚分布hi は次式によって計
算できる。 hi =ho +ymT i −ymB i (6) ここでho は圧延材幅方向中心の板厚である。
【0017】以上説明してきたように本発明の圧延機を
用いれば、圧延後の幅方向板厚分布すなわち板クラウン
を高精度に推定することができ、この推定値に基づいて
特別な板厚分布測定装置を用いることなしに所望の幅方
向板厚分布になるような制御を実施することができる。
【0018】なお、上述の板クラウン・形状推定のため
の計算は、プロセスコンピュータを用いれば百分の一秒
のオーダで実施することが可能であり、本発明の圧延機
を用いることによって無駄時間がほとんどない高精度な
板クラウン・形状制御が可能となる。
【0019】本発明の第2の要旨では、分割補強ロール
の軸受が、胴部に軸受を有するローラフォロア形式であ
ることを特徴としているが、このような構造とすること
によって各分割補強ロールの胴部両側に軸受を含めた大
きなロールチョックを配することを避けることができる
ため機械設計上非常に有利となり、大圧延荷重にまで耐
えるような圧延機とすることが可能となる。図5,図6
には分割補強ロールのうちの一つの軸受の構造を模式的
に示している。図5はロール胴部の外側に軸受を配した
形式であり、図6はロール胴部に軸受を配したローラフ
ォロア形式となっている。図5,図6では回転部材をハ
ッチングで示しているが、図5のように軸受をロール胴
部の外側に配置している場合、軸受の外径はロール直径
によって制約を受けるため、大荷重に耐えられるような
軸受を配備するには、軸受の幅を大きくせざるを得な
い。このためロール胴部の外側に大きなスペースが必要
となり、図2に示しているように複数の分割補強ロール
を軸方向に隣接して配置することが設計上困難になる場
合も生じる。これに対して図6のように軸受をロール胴
部に配置する形式の場合は、ロール胴部の外側には回転
部材がないため大きなスペースは必要なく、大荷重を前
提とした場合でも、図2に示しているように複数の分割
補強ロールを軸方向に配置することが設計上可能とな
る。
【0020】また、本発明の第3の要旨では、上下ロー
ルアセンブリとも軸方向3分割以上に分割した分割補強
ロールを有し、少なくとも上下どちらか一方のロールア
センブリの分割補強ロールに、それぞれ独立に荷重検出
装置、圧下機構およびロール位置検出機構を配備したこ
とを特徴としているが、分割補強ロールに独立の圧下機
構およびロール位置検出機構を設けることによって、式
(1)におけるCB i を自在に制御することが可能とな
り板幅方向に複雑なパターンの形状・クラウン制御が可
能となる。この場合の圧下機構およびロール位置検出機
構は、必ずしも荷重検出装置を有する側のロールアセン
ブリに存在する必要はなく、例えば、上ロールアセンブ
リは荷重検出装置のみを有し、下ロールアセンブリには
荷重検出装置はないものの圧下機構およびロール位置検
出機構を有するという組み合わせでもよい。もちろん、
上下ロールアセンブリともに荷重検出装置、圧下機構、
ロール位置検出機構のすべてを備えている方が制御上は
好ましいことは言うまでもないが、設備コストを下げる
上で上記のような組み合わせも可能である。また、この
場合の分割ロールの圧下機構およびロール位置検出機構
は、従来のクラスター圧延機のAs−U機構であっても
差し支えない。As−U機構の場合、偏心リングの回転
機構がロール圧下機構となり、偏心リングの回転角検出
機構がロール位置検出機構となる。
【0021】さらに本発明の第4の要旨では、上下ロー
ルアセンブリのうち、片側のみが分割補強ロールを有
し、他方のロールアセンブリには、板幅方向板厚分布の
制御装置を有することを特徴としている。他方のロール
アセンブリに採用する板幅方向板厚分布制御装置とはロ
ールベンディング力等の板クラウン・形状制御装置を意
味しており、それぞれ独立に荷重検出装置を有する分割
補強ロール構造により、板クラウン・形状を検出しつ
つ、他方の板クラウン・形状制御装置により無駄時間の
ない高精度な板クラウン・形状制御を実施することがで
きる。本構造では、分割補強ロール構造を片側のみに限
定している上、分割補強ロールに圧下機構およびロール
位置検出機構を配備する必要がないので、上記のような
格別の板クラウン・形状制御機能を維持したまま設備コ
ストを大幅に低減することができる。本発明第5の要旨
では、上下ロールアセンブリのうち、片側のみが分割補
強ロールを有し、すべての分割補強ロール、または軸方
向1ないし2箇所の分割補強ロールを除いたすべての分
割補強ロールに、それぞれ独立に圧下機構およびロール
位置検出機構を有することを特徴としている。分割補強
ロール構造を片側のみに限定することによって設備コス
トを低減しつつ、分割補強ロールにそれぞれ独立に圧下
機構およびロール位置検出機構を有するため、板幅方向
に複雑なパターンの形状・クラウン制御が可能となる。
分割補強ロールではない他方のロールアセンブリ側に圧
下機構を有する場合は、分割補強ロール側の全体として
の圧下機能あるいはレベリング機能は不要となるので、
この場合、軸方向1ないし2箇所の分割補強ロールの圧
下機構およびロール位置検出機構は省略可能となる。
【0022】また、本発明第6の要旨では、請求項3記
載の板圧延機において、上下ロールアセンブリのうち少
なくともどちらか一方のロールアセンブリの分割補強ロ
ールの圧下機構が油圧駆動方式であることを特徴として
いる。このように上下ロールアセンブリのどちらか一方
の分割補強ロールの圧下機構を油圧駆動方式とすること
によって、応答性に優れた板クラウン・形状制御が可能
となり周波数の高い外乱に対しても高精度な制御が可能
となる。
【0023】さらに本発明第7の要旨では、請求項5記
載の板圧延機において、分割補強ロールの圧下機構が油
圧駆動方式であることを特徴としている。この場合も、
分割補強ロールの圧下機構に油圧駆動方式を採用するこ
とによって、応答性に優れた板クラウン・形状制御が可
能となり周波数の高い外乱に対しても高精度な制御が可
能となる。
【0024】
【実施例】
実施例1:図1に示すように上下とも分割補強ロール形
式の実施例を考える。作業ロール直径450mm、ロール
胴長1750mm、分割補強直径400mm、分割補強ロー
ルの軸方向配列は図2(b)に示すように幅方向に7分
割しており、それぞれの分割補強ロールの胴長は250
mmである。各上分割補強ロール2(2A〜2C),3
(3A〜3D),4(4A〜4C)は、それぞれ独立に
荷重検出装置5,6,7(実際には各分割補強ロールに
対応して設置されるが、細かい符号は省略する。以下圧
下装置も同様)および油圧圧下装置8,9,10を介し
てハウジング12に固定されており、これら油圧圧下装
置によりそれぞれ独立に圧下制御が可能な構造となって
いる。また、下分割補強ロール2′,3′,4′側も上
述の上分割補強ロールと同様に構成されており、それぞ
れ独立して圧下制御が可能となっている。なお、本実施
例のように油圧圧下装置を圧下機構として適用する場合
は、荷重検出装置として専用のロードセルを用いなくて
も、油圧シリンダ内の油圧を測定し、これにシリンダ面
積を掛けることによって荷重を計算するという方法を採
用してもよい。さらに、油圧圧下装置8〜10,8′〜
10′には、それぞれロール位置検出機構として機能す
る油圧ラムの位置検出機構が配備されている。
【0025】以上のような構成の板圧延機を用いること
によって、上作業ロール1と上分割補強ロール2A〜2
C,3A〜3D,4A〜4Cの間に作用する荷重分布お
よび下作業ロール1′と下分割補強ロール2A′〜2
C′,3A′〜3D′,4A′〜4C′の間に作用する
荷重分布を測定することができ、これらの測定値より既
に述べた方法により圧延材13と作業ロール1,1′の
間に作用する圧延荷重分布を推定でき、さらに圧延後の
圧延材13の幅方向板厚分布も推定することが可能とな
る。そしてこれらの推定値に基づき、所望の板厚分布お
よび板形状を得ることができるように分割補強ロールの
圧下位置の制御を高精度かつ迅速に行うことができる。
【0026】実施例2:本発明の板圧延機の他の実施例
を図4に示す。本実施例では、上ロールアセンブリは、
本発明の特徴である独立の荷重検出装置を有する分割補
強ロール形式であるが、下ロールアセンブリは通常の4
段圧延機と同じ構造をしており、下作業ロール1′のた
わみを制御するため、インクリースロールベンディング
装置14,15およびディクリースロールベンディング
装置16,17を備えている。上ロールアセンブリの寸
法および配列は実施例1と同じで、下作業ロール直径は
550mm、下補強ロール直径は1200mmである。下作
業ロールのロールベンディング装置はインクリース、デ
ィクリースとも90tonf/chock まで負荷する能力を有
している。また、本実施例の板圧延機では下ロール側に
ロードセル18および油圧圧下装置19を有しており、
板厚制御、板クラウン・形状制御のアクチュエータはす
べて下ロール側に配備されている。ロードセル18は本
実施例の場合必須の設備ではないが、上ロール系のロー
ドセルのチェックや上ロール系のロードセル故障時の代
替装置として配備しておくほうが好ましい。このような
構造とすることによって分割補強ロールの数を半減する
ことができ、また実施例1で配備されていた分割補強ロ
ールの圧下装置も必要としないので設備コストを大幅に
節約することが可能となる。
【0027】本実施例の圧延機においても、実施例1の
場合と同様に、上作業ロール1と分割補強ロール2〜4
の各々のロールの間に作用する荷重分布を測定すること
ができ、これらの測定値より既に述べた方法により圧延
材13と作業ロール1の間に作用する圧延荷重分布が推
定でき、さらに該圧延荷重分布の推定値にしたがって上
下作業ロールのロールたわみおよびロール偏平変形も計
算することができ、よって圧延後の圧延材13の幅方向
板厚分布も推定することが可能となる。そしてこれらの
推定値に基づき、所望の板厚分布および板形状を得るこ
とができるように下作業ロールのロールベンディング力
の制御を高精度かつ迅速に行うことができる。
【0028】実施例3:本発明の板圧延機の第3の実施
例を図7に示す。本実施例では、上ロールアセンブリ
は、上記実施例1と同じ構造であるが、下ロールアセン
ブリは通常の4段圧延機と同じ構造をしており実施例2
と同じ寸法および構成である。本実施例では実施例2と
同様にロールベンディング装置14,15,16,17
およびロードセル18、油圧圧下装置19を備えてい
る。下ロール系のこれらのアクチュエータおよび検出装
置は本実施例にとって必ずしも必須の要件ではないが、
余裕のある板クラウン・形状制御能力およびロールギャ
ップ制御範囲、パスライン調整機能、上ロール系のロー
ドセル故障時の対応等に対して配備しておくことが好ま
しい設備である。このような構造とすることによって、
実施例1では上下合わせて20セット必要であった分割
補強ロールおよびその圧下装置の数を半減することがで
き、設備コストは大幅に節約できる。この場合でも、実
施例1の場合と同様に、上作業ロール1と分割補強ロー
ル2〜4の各々のロールの間に作用する荷重分布を測定
することができ、これらの測定値より既に述べた方法に
より圧延材13と作業ロール1の間に作用する圧延荷重
分布が推定でき、さらに該圧延荷重分布の推定値にした
がって上下作業ロールのロールたわみおよびロール偏平
変形も計算することができ、よって圧延後の圧延材13
の幅方向板厚分布も推定することが可能となる。そして
これらの推定値に基づき、所望の板厚分布および板形状
を得ることができるように分割補強ロールの圧下位置の
制御を高精度かつ迅速に行うことができる。
【0029】実施例4:本発明の板圧延機の第4の実施
例を図8に示す。作業ロール直径800mm、ロール胴長
2100mmであり、分割補強ロールには、直径1000
mmで作業ロールの上部にあるもの20,21,20′,
21′と、直径300mmで作業ロールを水平方向に支持
しているもの22,23,22′,23′の2種類があ
る。これらの分割補強ロールは、図9の平面図に示され
るように軸方向に7分割して配置されており、例えば、
大径分割補強ロール20(20A〜20C)により作業
ロールに負荷される水平方向分力を小径分割補強ロール
23(23A〜23C)によって補償する機構としてい
る。したがって図9に示すようにロール軸方向の分割補
強ロールの配置は大径分割補強ロール20が小径分割補
強ロール23と対向し、大径分割補強ロール21が小径
分割補強ロール22と対向するという位置関係となって
いる。図9(a)では、各分割補強ロール20,23が
21,22と軸方向に干渉しない配置となっているが、
図9(b)のようにこれらが重なり合うような配置とし
てもよく、作業ロールに発生する分割補強ロール胴端近
傍のロールマークを問題とする場合は、むしろ図9
(b)のような配置の方が好ましい。
【0030】本実施例では、大径分割補強ロール20,
21と作業ロール1との共通法線が鉛直線となす角度は
30°としており、この場合、作業ロールに作用する水
平方向のせん断力を解消するため小径分割補強ロール2
2,23が作業ロールを押すべき力は大径分割補強ロー
ルの荷重の1/2となる。したがって、小径分割補強ロ
ールの押し力が大径分割補強ロールの荷重の常に1/2
になるように荷重制御しておくことが好ましい。本実施
例の分割補強ロールはすべて荷重検出装置、油圧圧下機
構およびロール位置検出機構を有しており、このような
荷重制御を実施することは容易である。また、図示して
いないが本実施例では、作業ロールのロールベンディン
グ装置を具備しており、これと分割補強ロールを併用す
ることによって、本例のような大径の作業ロールでも十
分な板クラウン・形状制御機能を確保することができ
る。以上のような構成の圧延機とすることによって、圧
延荷重を直接受け持つ大径分割補強ロール20,21を
作業ロールに比べて大径のものとすることが可能とな
り、実施例1の場合と同様の機能を維持したまま大圧延
荷重に耐えられる設計が可能となる。
【0031】実施例5:本発明の板圧延機の第5の実施
例を図10に示す。本実施例では、上ロールアセンブリ
の基本形式は実施例4と同じであるが、分割補強ロール
20,21には油圧圧下機構およびロール位置検出機構
を有していない。また、下ロールアセンブリは実施例2
と同様で通常の4段圧延機と同じ構造である。実施例2
と同様にこの場合も、板クラウン・形状制御のためのア
クチュエータは下作業ロールのロールベンディング装置
14,15,16,17であり、板厚制御のためのアク
チュエータは下ロールの油圧圧下装置19である。この
ような構造とすることによって実施例4に比べて設備コ
ストを大幅に節約することが可能となる。以上のような
構成の圧延機とすることによって、圧延荷重を直接受け
持つ大径分割補強ロール20,21を作業ロール1に比
べて大径のものとすることが可能となり、実施例2の場
合と同様の機能を維持したまま大圧延荷重に耐えられる
設計が可能となる。
【0032】実施例6:本発明の板圧延機の第6の実施
例を図11に示す。本実施例では、上ロールアセンブリ
は上記実施例4と同じ構造であるが、下ロールアセンブ
リは通常の4段圧延機と同じ構造をしており実施例5と
同じ構成である。本実施例では上ロールアセンブリは独
立の油圧圧下機構およびロール位置検出機構を有してい
るため板幅方向に複雑なパターンの板クラウン・形状制
御が可能となっている。このような構造とすることによ
って実施例4よりも大幅に設備コストが低減できる上、
圧延荷重を直接受け持つ大径分割補強ロール20,21
を作業ロールに比べて大径のものとすることが可能とな
り、実施例3の場合と同様の機能を維持したまま大圧延
荷重に耐えられる設計が可能となる。
【0033】実施例7:本発明の板圧延機の第7の実施
例を図12に示す。作業ロール直径1000mm、ロール
胴長5000mmであり、分割補強ロール20,21は、
直径1200mmで図13の平面図に示すように軸方向に
13分割されている。図13(a)では、各分割補強ロ
ール20と21が軸方向に干渉しない配置となっている
が、図13(b)のようにこれらが重なり合うような配
置としてもよく、作業ロールに発生する分割補強ロール
胴端近傍のロールマークを問題とする場合は、むしろ図
13(b)のような配置の方が好ましい。本実施例の場
合は、実施例4のように分割補強ロールによって作業ロ
ールに加わる水平方向分力を補償するための小径分割補
強ロールを有していないが、これは水平方向せん断力に
対して作業ロール直径が十分大きくロール耐久性上問題
ないと判断されたためである。本実施例は、ロール胴長
が非常に大きい厚板圧延機の例であり、より広範囲な板
幅適用性を得るため軸方向のロール分割数が非常に多く
なっている。しかしながら実施例4のような小径分割補
強ロールを必要としないため、分割ロールの数は上下合
わせて26セットにとどまっており、コストパフォーマ
ンスの優れた圧延機となっている。また、図示していな
いが本実施例では、作業ロールのロールベンディング装
置を具備しており、これと分割補強ロールを併用するこ
とによって、本例のような大径の作業ロールでも十分な
板クラウン・形状制御機能を確保することができる。
【0034】実施例8:本発明の板圧延機の第8の実施
例を図14に示す。本実施例では、上ロールアセンブリ
の基本形式および寸法は実施例7と同じであるが、分割
補強ロールには油圧圧下機構およびロール位置検出機構
を有していない。また、下ロールアセンブリは実施例2
と同様で通常の4段圧延機と同じ構造である。実施例2
と同様にこの場合も、板クラウン・形状制御のためのア
クチュエータは下作業ロールのロールベンディング装置
14,15,16,17であり、板厚制御のためのアク
チュエータは下ロールの油圧圧下装置19である。この
ような構造とすることによって実施例7に比べて設備コ
ストを大幅に節約することが可能となる。
【0035】実施例9:本発明の板圧延機の第9の実施
例を図15に示す。本実施例では、上ロールアセンブリ
は上記実施例7と同じ構造であるが、下ロールアセンブ
リは通常の4段圧延機と同じ構造をしており実施例8と
同じ構成である。このような構造とすることによって実
施例7よりも大幅に設備コストが低減できる上、本実施
例では上ロールアセンブリは独立の油圧圧下機構および
ロール位置検出機構を有しているため板幅方向に複雑な
パターンの板クラウン・形状制御が可能となっている。
【0036】実施例10:本発明の板圧延機の第10の
実施例を図16に示す。本実施例では、上ロールアセン
ブリは本発明の特徴である、独立の荷重検出装置、油圧
圧下機構、ロール位置検出機構を備えた形式となってい
るが、下ロールアセンブリは公知のAs−U機構を具備
した分割補強ロールを有する12段圧延機と同じ形式と
なっている。このような組み合せによっても、上ロール
アセンブリで検出した板クラウン・形状を所望の値にす
るための制御をほとんど無駄時間なく実行することがで
きる。本実施例では圧延前の初期ロールギャップ分布設
定に下ロールアセンブリのAs−U機構を用い、圧延中
の制御には応答の速い上ロールアセンブリの油圧圧下機
構を用いるのが好ましい。また、圧延中の板クラウン・
形状制御の応答性をさほど問題としない場合は、実施例
2と同様に上ロールアセンブリの油圧圧下装置およびロ
ール位置検出機構を省略した構成としてもよい。
【0037】
【発明の効果】本発明の板圧延機を用いることによっ
て、圧延中の板クラウン・形状を時間遅れなく高精度に
検出・制御することが可能となり、圧延板の板クラウン
・形状制御精度が飛躍的に向上するとともに、従来、熟
練オペレータに頼っていたこれら圧延機運転作業の自動
化を大きく進展させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板圧延機の実施例を示す側面図であ
る。
【図2】本発明の板圧延機における分割補強ロールの軸
方向の配置の例を示す平面図である。
【図3】本発明の板圧延機において作業ロールに負荷さ
れる荷重のロール軸方向分布を示す模式図である。
【図4】本発明の板圧延機の他の実施例を示す側面図で
ある。
【図5】本発明の板圧延機の分割補強ロールの軸受構造
を示す模式図である。
【図6】本発明の板圧延機の分割補強ロールの胴部に軸
受機構を配した例の模式図である。
【図7】本発明の板圧延機の第3の実施例を示す側面図
である。
【図8】本発明の板圧延機の第4の実施例を示す側面図
である。
【図9】本発明の板圧延機の第4の実施例を示す平面図
である。
【図10】本発明の板圧延機の第5の実施例を示す側面
図である。
【図11】本発明の板圧延機の第6の実施例を示す側面
図である。
【図12】本発明の板圧延機の第7の実施例を示す側面
図である。
【図13】本発明の板圧延機の第7の実施例を示す平面
図である。
【図14】本発明の板圧延機の第8の実施例を示す側面
図である。
【図15】本発明の板圧延機の第9の実施例を示す側面
図である。
【図16】本発明の板圧延機の第10の実施例を示す側
面図である。
【図17】公知の2段圧延機を示す図である。
【図18】公知の4段圧延機を示す図である。
【符号の説明】
1,1′ 作業ロール 2〜4,20〜23 上分割補強ロール 2′〜4′,20′〜23′ 下分割補強ロール 5〜7 上分割補強ロールの荷重
検出装置 5′〜7′ 下分割補強ロールの荷重
検出装置 8〜10 上分割補強ロールの圧下
機構 8′〜10′ 下分割補強ロールの圧下
機構 11 一体型補強ロール 12 圧延機ハウジング 13 圧延材 14,15 インクリースロールベン
ディング装置 16,17 ディクリースロールベン
ディング装置 18 ロードセル 19 油圧圧下装置 24,25 中間ロール 26,27,28 公知の12段圧延機の分
割補強ロール

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下少なくともどちらか一方のロールア
    センブリは、軸方向3分割以上に分割した分割補強ロー
    ルによって作業ロールを支持する機構とし、各々の分割
    補強ロールには、それぞれ独立に荷重検出装置を配備し
    たことを特徴とする板圧延機。
  2. 【請求項2】 分割補強ロールの軸受が、胴部に軸受を
    有するローラフォロア形式であることを特徴とする請求
    項1記載の板圧延機。
  3. 【請求項3】 上下ロールアセンブリとも軸方向3分割
    以上に分割した分割補強ロールを有し、少なくとも上下
    どちらか一方のロールアセンブリの分割補強ロールに、
    それぞれ独立に荷重検出装置、圧下機構およびロール位
    置検出機構を配備したことを特徴とする板圧延機。
  4. 【請求項4】 上下ロールアセンブリのうち、片側のみ
    が分割補強ロールを有し、他方のロールアセンブリに
    は、板幅方向板厚分布の制御装置を有することを特徴と
    する請求項1記載の板圧延機。
  5. 【請求項5】 上下ロールアセンブリのうち、片側のみ
    が分割補強ロールを有し、すべての分割補強ロール、ま
    たは軸方向1ないし2箇所の分割補強ロールを除いたす
    べての分割補強ロールに、それぞれ独立に圧下機構およ
    びロール位置検出機構を有することを特徴とする請求項
    1記載の板圧延機。
  6. 【請求項6】 上下ロールアセンブリのうち少なくとも
    どちらか一方のロールアセンブリの分割補強ロールの圧
    下機構が、油圧駆動方式であることを特徴とする請求項
    3記載の板圧延機。
  7. 【請求項7】 分割補強ロールの圧下機構が、油圧駆動
    方式であることを特徴とする請求項5記載の板圧延機。
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