JP4009116B2 - 板圧延機の変形特性の同定方法および圧延方法 - Google Patents

板圧延機の変形特性の同定方法および圧延方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼等の金属板材を圧延する板圧延機の変形特性の同定方法およびこれを用いた圧延方法であって、圧下装置の設定および制御を最適にするための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属板材の圧延操業における重要課題の一つに、圧延材の伸び率を作業側と駆動側とで等しくすることがある。尚以下では、表記を簡単にするため作業側と駆動側のことを左右と称することにする。伸び差が左右不均等になった場合、キャンバーや板厚ウェッジという圧延材の平面形状および寸法精度不良を生ずるばかりではなく、蛇行や尻絞りという通板トラブルを生じることがある。
左右の伸び率を均等にするための操作手段としては、圧延機の圧下位置の左右差すなわち圧下レベリング操作が用いられる。通常、圧下レベリングの操作は、圧延前の設定、圧延中の操作ともに、オペレータが圧延操業を注意深く観察しながら操作している場合がほとんどであるが、上述したキャンバーや板厚ウェッジの品質不良や通板トラブルを十分に制御できているとは言えない。
【0003】
上記問題に対して、特公昭58−51771号公報には、圧延機のロードセル荷重の左右差の和に対する比に基づいて圧下レベリング制御を実施する技術が開示されている。また、特開昭59−191510号公報には、圧延機入側の圧延材のずれ、すなわち蛇行量を直接検出することにより、圧下レベリングを操作する技術が開示されている。
ここで例示した、圧延材の伸び率の左右差を零にするための技術は、何れも制御手段としては圧下レベリングを最適化することを目標としているが、何れの技術も、圧延材の伸び率に左右差を生じ、これが圧延材の蛇行やキャンバーとして検出されてからアクションを起こすフィードバック方式の制御技術である。このような方式の制御の場合、圧延材の伸び率に左右差を生じてから、これが蛇行やキャンバーとして検出されるまでには有意な時間遅れが存在し、そのためこれらフィードバック方式の制御のみで蛇行やキャンバーの問題を完全に解決するまでには至っていない。
【0004】
上記技術の問題点を解決できる可能性のある技術として、特許第2604528号公報、特開平11−347610号公報が開示されている。これらの技術は、上記フィードバック方式の技術とは異なり、圧延機の変形特性の左右非対称性を正確に把握し、さらには圧延材の寸法や変形抵抗のような変形特性の左右非対称性をも正確に把握した上で、圧延開始前の圧下設定値を最適に設定して、圧延材頭部の圧延開始時点から蛇行やキャンバーを発生させない操業を実現することを目的としていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記の特許第2604528号公報においては、特に圧延機の変形特性の左右非対称性を同定するため、圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、作業側および駆動側の圧下位置と圧延荷重測定用ロードセルの出力を、複数の圧下位置条件に対して測定し、各圧下位置条件に対応するロール系の変形を計算して分離し、その結果として求められる圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の左右非対称性を同定し、このようにして得られた圧延機の変形特性を利用して、最適な圧下レベリング設定を実施する技術が開示されている。ここで、キスロール締め込みとは、圧延材の存在しない状態で、上下作業ロールを互いに接触させて、ロール間に負荷を与えることを意味している。
【0006】
また、特開平11−347610号公報においては、前記の特許第2604528号公報の問題点を改善した方法として、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータより、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の左右非対称性を同定し、さらに、ロール回転状態でキスロール締め込みを実施し、圧下位置の左右平均値に対する圧延荷重測定用ロードセル荷重の左右合計値または左右平均値の挙動について、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータとの比較を実施することによって、補強ロール軸受けの変形特性を求め、このようにして得られた圧延機の変形特性を利用して、最適な圧下レベリング設定を実施する技術が開示されている。ここで、補強ロール軸受けの変形特性とは、主として補強ロールベアリング部の潤滑油膜に起因する特性であり、特に、油膜軸受けを採用している場合、ロール回転に伴う潤滑油の引き込み効果によって油膜厚さが大幅に増大し、その結果、ロール開度が変化することになる。
【0007】
しかしながら、特許第2604528号公報および特開平11−347610号公報に開示されている技術を実施したところ、圧延機によっては、同定された圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性または補強ロール軸受けの変形特性に十分な再現性が見られない場合があり、このため圧下位置の設定値を必ずしも最適化することができず、その結果として、蛇行やキャンバーの発生を十分に防止できていなかった。
【0008】
そこで、本発明では、上記のような圧延機の変形特性の左右非対称性を再現性良くかつ高精度に同定し、その結果を活用した板圧延機の圧下設定および圧下制御を最適な状態で行うことができる同定方法およびこれを用いた圧延方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、綿密な調査および解析検討の結果、圧延機のロードセルで測定される圧延荷重の左右差には、圧延材と作業ロール間の圧延荷重分布の左右非対称性の他に、例えば4段圧延機の場合、作業ロールと補強ロールの間、6段圧延機の場合、作業ロールと中間ロール、中間ロールと補強ロールとの間にロール軸方向に作用するスラスト力が最も大きな要因として含まれていることを知見した。これらのロール間に作用するスラスト力は、ロールに余分なモーメントを与え、このモーメントに釣り合うように左右の圧延荷重差が変化するので、圧延機のロードセルで測定された荷重の左右差から圧延材〜作業ロール間で生じている圧延荷重分布の左右非対称性を把握するという目的に対しては重大な外乱となる。
【0010】
上述のロール間スラスト力が発生する主原因は、互いに接触すると隣り合うロールの回転軸が、ロールチョックとハウジングウィンドウ間の僅かな間隙の分だけ平行位置からずれることによる。このように隣り合うロール軸の平行度に誤差を生じた場合、ロール回転に伴う両者のロール周速ベクトルにロール軸方向の偏差成分を生じることになり、この偏差成分にしたがって、ロール回転に伴って常にロール軸方向の滑りを生じることになる。このような滑りによって発生する力がロール間スラスト力であり、滑りを継続的に発生させる力が、ロールチョックを軸方向に固定しているキーパープレート等から作用するスラスト反力ということになる。
【0011】
以上説明したようにロール間スラスト力は、隣り合うロール軸の僅かな平行度の誤差によって発生するので、その方向や大きさは一般には不明であり、また、ロール表面性状の変化とともに時々刻々変化する可能性のある不安定なものである。したがって、上述したようにキスロール締め込みデータより圧延機の変形特性を把握する場合においても、作業側および駆動側の圧下位置と圧延荷重測定用ロードセル荷重測定値を基本データとして、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の左右非対称性を同定するので、上述したようなロール間スラスト力によってロードセル荷重に外乱が混入した場合、これが圧延機の変形特性の左右非対称性の同定結果に対する大きな誤差要因となることがわかる。
【0012】
このようなスラスト力の外乱に対して、特開平11−347610号公報に開示されている方法においては、スラスト力の外乱の影響が少ないと考えられるロール回転停止状態でのキスロール締め込みデータを使用して、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の左右非対称性を同定すること、また、ロール回転状態でのキスロール締め込みデータから、スラスト力の影響を排除するために、圧下位置の左右平均値に対する圧延荷重測定用ロードセル荷重の左右平均値を算出し、ロール回転停止状態のキスロール締め込みデータと比較することによって、平均化された補強ロール軸受けの変形特性を求めている。
【0013】
しかしながら、上記のように補強ロール軸受けの変形特性を左右の平均値としたデータを用いる場合、圧延機によっては、作業側と駆動側の個体差が圧下位置設定の差に無視し得ない影響を与える場合があること、また、上記変形特性の同定方法においては、ロール回転停止状態の締め込みデータを基準として、ロール回転状態のキスロール締め込みデータを比較することによって、補強ロール軸受けの変形特性を抽出するが、圧延機によっては、ロール回転停止状態でキスロール締め込みを実施する際、ハード上の制約から十分な荷重範囲で採取できない場合があること、また、補強ロールの軸受けのスラストベアリングがラジアル荷重を受ける等の理由で測定データの信頼性が乏しい等の場合には、ロール回転停止状態でのキスロール締め込みデータが利用できないことがある。
【0014】
したがって、圧延機の変形特性の左右非対称性を正確に同定するためには、ロール間スラスト力の影響を考慮して、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に同定する必要があり、そして、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータが利用できない圧延機の場合は、ロール回転状態における締め込みデータから、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を分離・抽出することが必要となる。
【0015】
そこで、本発明は上述した種々の問題点を解決したものであり、その要旨は以下のとおりである。
請求項1に記載の本発明は、4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、ロール回転停止状態とロール回転状態のそれぞれにおいて、圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、先ず、該ロール回転停止状態のキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、該ロール系の変形量を分離し、作業側および駆動側のそれぞれの圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性を抽出し、次に、該ロール回転状態のキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、該ロール系の変形量と前記圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性を分離し、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性を抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法を要旨とする。
【0016】
請求項2に記載の本発明は、ディクリース作業ロールベンディング装置を有する4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、該ディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力を2水準変えて負荷し、それぞれの負荷条件において、ロール回転状態で圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、該ディクリースベンディング力が異なるそれぞれのキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から該ロール系の変形量を分離し、該ロール系の変形量以外の抽出されたそれぞれのデータを比較することによって、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を分離し抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法を要旨とする。
【0017】
請求項3に記載の本発明は、補強ロールバランス装置を有する4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、該補強ロールバランス装置の補強ロールバランス力を2水準変えて負荷し、それぞれの負荷条件において、ロール回転状態で圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、該補強ロールバランス力が異なるそれぞれのキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から該ロール系の変形量を分離し、該ロール系の変形量以外の抽出されたそれぞれのデータを比較することによって、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を分離し抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法を要旨とする。
【0018】
請求項4に記載の本発明は、請求項1、請求項2または請求項3記載の板圧延機の変形特性同定方法であって、前記同定方法で同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の増分に対する圧延荷重の増分比が所定の値になるように、上下のどちらか一方または双方の作業側および駆動側の圧延荷重測定用ロードセルの感度の較正値を算出し、該較正値に基づき、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と、補強ロール軸受けの変形特性を再算出することを特徴とする板圧延機の変形特性同定方法を要旨とする。
【0019】
請求項5記載の本発明は、板圧延機の圧延方法であって、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の板圧延機の変形特性同定方法によって同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性に基づき、圧延実行時の作業側および駆動側の圧下位置設定値および/または圧下位置制御量を演算すること特徴とする板圧延機の圧延方法を要旨とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の方法では、ロール回転停止状態とロール回転状態毎にそれぞれキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対する補強ロール以外のロールに作用するスラスト反力と、上下の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力を測定し、これらのキスロール締め込みデータから、ロール間スラスト力による外乱の影響を考慮した上で、圧延機ハウジング・圧下系の変形特性および補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に抽出する手段を開示している。前述の特開平11−347610号公報に開示されている板圧延機の変形特性をキスロール締め込みによって同定する従来の方法では、補強ロール軸受けの変形特性を、左右合計あるいは左右平均化されたロードセル荷重と圧下位置の左右平均値との関係より、左右平均化された値として得るのみであったが、本発明請求項1の方法によれば、スラスト力の影響を考慮し、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側および駆動側で独立に抽出するという手続きを採用するので、圧延機の変形特性の左右非対称性については極めて正確に同定することが可能になる。
【0021】
尚、本発明請求項1の方法では、ロール回転停止状態においても、好ましくは補強ロール以外のロールに作用するスラスト反力を測定することを開示しているが、これは、ロール回転停止状態においてもロール軸方向の作用するスラスト力が生じている場合があり、この影響を考慮し正確に板圧延機の変形特性を同定するためである。特に、ロールの軸方向シフト装置を有する圧延機では、シフト装置の油圧シリンダー内に残圧がある場合、ロール回転状態で発生するスラスト力と同様の外乱となり得る。
【0022】
本発明の請求項2に記載の方法では、前述のように圧延機のハード上の制約等でロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータが利用できない場合、ロール回転状態におけるキスロール締め込みを、ディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力を負荷しない条件と負荷した条件でそれぞれ実施し、これらのキスロール締め込みデータより、ロール間スラスト力による外乱の影響を考慮した上で、ロール系の変形量を分離し、ロール系の変形量以外のデータを抽出し、それぞれのデータを比較することによって、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に分離、抽出する方法を開示している。補強ロールチョックと作業ロールチョック間で突っ張る形式のディクリース作業ロールベンディング装置を有する圧延機の場合、ディクリースベンディング力は、補強ロール軸受けを迂回して圧延機ハウジングおよび圧下系に伝達される。したがって、この形式の圧延機の場合、ディクリースベンディング力を負荷することで、圧延機ハウジングおよび圧下系と、補強ロール軸受けとで異なる負荷を与えることができるので、ディクリースベンディング力を負荷しない条件におけるキスロール締め込みデータと、ディクリースベンディング力を負荷した条件におけるキスロール締め込みデータを比較することによって、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に分離、抽出することが可能となる。
【0023】
以上のように、本発明請求項2の方法によれば、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータが利用できない場合においても、スラスト力の影響を考慮し、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側および駆動側で独立に抽出するので、圧延機の変形特性の左右非対称性については極めて正確に同定することが可能となる。
【0024】
本発明の請求項3に記載の方法では、前述の請求項2の方法と同様に、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータが利用できない場合の板圧延機の変形特性の同定方法であり、ロール回転状態において、補強ロールバランス力を負荷しない条件と負荷した条件でのキスロール締め込みデータを、スラスト力による外乱を考慮した上で比較することによって、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に分離、抽出する方法を開示している。ディクリース作業ロールベンディング装置がハウジングに固定されたプロジェクトブロックに配備されている圧延機の形式の場合、ロードセル荷重と補強ロール軸受けに作用する荷重は常に等しくなるので、ディクリースベンディング力によって、ハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性とを分離することができなくなる。ただし、このような形式の圧延機の場合、補強ロールバランス装置もプロジェクトブロック内蔵となっている圧延機の形式であれば、補強ロールバランス力を変化させることによって、前述のディクリースベンディング力と同様の負荷を補強ロールチョックに与えることが可能となる。尚、補強ロールバランス力を変化させることができない圧延機の場合は、新たに圧力制御・測定が可能な油圧回路を配備して、少なくとも圧延機の変形特性の同定時のみ切換弁にて新油圧回路を使用して、複数水準のバランス負荷を与えて試験を実施すれば、本発明の方法を利用することが可能となる。
【0025】
本発明の請求項4に記載の方法では、請求項1、請求項2または請求項3記載の板圧延機の変形特性同定方法によって同定された圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性に基づいて、キスロール締め込み時の最大荷重を含む高荷重域における圧延機ハウジングおよび圧下系の変形増分に対する圧延荷重の増分比(以下、剛性と呼ぶ)が所定の値になるように、上下のどちらか一方または双方の圧延荷重測定用ロードセルの感度の較正値を算出し、この感度の較正値に基づき、上下のどちらか一方または双方の圧延荷重測定用ロードセルの出力を較正し、この較正されたロードセルの荷重値に基づいて、再び、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を算出する。このような手続きを取ることによって、本発明請求項4の方法では、ロードセルの感度の異常によって生じる板圧延機の変形特性の同定誤差を排除する方法を開示している。圧延機のハウジングの構造は、多くの圧延機の場合、左右同一であり、その剛性についても、低荷重域ではライナー等の受圧面積の違いによって左右差が生じることが予想されるが、高荷重域においては、極端な左右差が生じないと考えるのが物理的にも妥当である。また、圧延荷重測定用ロードセルの較正が正しい状態で一度、圧延機の剛性を調べておけば、経時的に極端な変化は起きないと考えられるので、これを基準として圧延荷重測定用ロードセルの較正に利用することが考えられる。そこで、本発明請求項4の方法では、このような特性を考慮することにより、同定された圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の高荷重域における剛性に極端な左右差がある場合には、同定に使用したキスロール締め込みデータの圧延荷重測定用ロードセルの出力の感度に異常があることを考え、左右の剛性が一致するように、あるいは、過去算出した剛性の値に一致するように、圧延荷重測定用ロードセルの感度を較正した上で、再び同定計算を行うことによって、圧延荷重測定用ロードセル起因の板圧延機の変形特性の同定誤差を排除するものである。尚、本発明でいう感度とは電流または電圧と荷重の比例係数のことである。
【0026】
また、圧延荷重測定用ロードセルの感度を較正する方法としては、 非圧延時のロールギャップ開の状態でインクリース作業ロールベンディング力を負荷し、この時のロールベンディング装置の油圧力より求められるロールベンディング力と圧荷重測定用ロードセルの出力との対応関係を分析することによって、ロードセルの感度を較正する方法が特許第2601975号公報で開示されている。しかしながら、この方法の場合、較正の基準となるロールベンディング力のオーダが数百トンであるの対して、圧延荷重のオーダが数千トンであるため、圧延荷重域まで較正値を適用した場合、大きな誤差を生ずる可能性があるが、本発明請求項4の方法では、そのような誤差が生じることなく適用することができる。
【0027】
請求項5記載の本発明は、圧下位置設定および/または圧下位置制御を実施する圧延方法であって、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の板圧延機の変形特性同定方法によって同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性に基づいて、圧延機の変形特性の左右非対称性を極めて正確に把握して圧下位置設定を実施するので、蛇行あるいはキャンバーを生じない安定かつ高精度な圧延操業が可能となる。また、圧延開始後の圧延作業中には、種々の原因により蛇行や板厚ウェッジ発生する。これを制御するためには、例えば、圧延機に配設された圧延荷重測定用ロードセルの出力の変化を観測し、これより板厚ウェッジを推定して、これを所望する値に動的に制御する方法等が適用される。このような制御を実施する際には、圧延荷重の変化に伴う圧延機変形の変化量を演算する必要があり、本発明請求項5の方法のように、圧延機の変形特性を、その左右非対称性を含めて正確に把握しておくことにより、上記圧下制御の効果が大幅に改善されることになる。
【0028】
【実施例】
以下に添付の図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。先ず、図4および図5を参照すると、本発明の方法を適用する圧延機として4段圧延機の作業側の側面図および正面図が示されている。この4段圧延機は、単なる一例であって、本発明は、更に中間ロールが加えられた形式の5段あるいは6段以上の圧延機にも適用可能であることは言うまでもない。
【0029】
図4および図5において、圧延機1は、ハウジング2に作業ロールチョック5a、5b、5c、5dおよび補強ロールチョック6a、6b、6c、6dを介して回転自在に支持された作業ロール3a、3bと、補強ロール4a、4bを具備して成り、4段圧延機を構成している。ハウジング2には左右一対、つまり作業側と駆動側の圧下装置9a、9bが設けられており、上下の作業ロール3a、3bの間隙を制御する。上下補強ロールの左右の圧下支点位置には、圧延荷重測定用ロードセル7a、7b、7c、7dが配備されている。尚、図4および図5において、10a、10bは、インクリース作業ロールベンディング装置、11a、11bはディクリース作業ロールベンディング装置、13a、13bは、パスライン高さ調整用ライナーである。また作業ロール3a、3bは、作業ロールに作用するスラスト反力を測定するためのロードセル8a、8bが配備されている。14a、14bは、ロール軸方向に拘束するキーパプレートである。
【0030】
このような構成の4段圧延機を用いることにより、上下・左右の圧延荷重と、補強ロール以外のすべてのロール、すなわち、図4および図5の例の場合は、上下作業ロールに作用するスラスト反力を測定することが可能となる。作業ロールシフト装置のアクチュエータが油圧シリンダーの場合は、ロードセル8a、8bの代わりに油圧シリンダー内あるいは油圧シリンダーに直結する油圧配管の圧力を測定する圧力測定装置で作業ロールスラスト反力測定装置を代用してもよい。また、作業ロールシフト装置を有しない場合は、作業ロールのロールチョック内に配備されたスラスト反力測定装置や作業ロールチョックをロール軸方向に拘束するキーパプレートに作用する荷重を測定する装置等を採用すればよい。
【0031】
次に、図1、図2、図3および図9を参照して本発明の実施形態による板圧延機の変形特性の同定方法および板圧延方法を説明する。
図1は、本発明の請求項1の板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第1の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャートであり、圧延機のハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側と駆動側別に同定する方法を示している。このような圧延機の変形特性を把握するための作業は、圧延作業を始める前の準備作業として必要であり、補強ロールを組み替える毎に実施することが好ましい。
【0032】
先ず、ロール回転停止状態で、圧下装置を左右同時圧下モードで操作し、キスロール締め込み状態で所定の圧下位置まで締め込む(ステップS10)。ここで、左右同時圧下モードとは、圧下位置の左右差すなわち圧下レベリングは固定したまま、左右の圧下位置を同じ方向に同じ量だけ変化させる運転モードのことである。同時圧下モードで運転する限り圧下レベリングが変化することはない。次に、ロール回転停止状態のままで、左右同時圧下モードで圧下装置を一定量だけ締め込み、左右の圧下位置、上下・左右のロードセル荷重および上下作業ロールのスラスト反力を測定する(ステップS11)。所定の圧下位置水準のデータ採取が完了するまで上記ステップS11を繰り返す。つまり、ステップS12においてデータ採取完了か否かを判断し、Noの場合、アルゴリズムはステップS11に帰還し、Yesの場合はステップS13に進む。この圧下位置水準の数は多い方がよいが、通常の圧延機では10〜20点程度のデータを採取できれば実用的な精度は得られる。ただし、この時、圧下装置を締め込む方向と開放する方向とで締め込み荷重に差異を生じる、いわゆるミルヒステリシスを生ずることが多いので、このような場合には、締め込み方向と開放方向の少なくとも1往復動作に対するデータを採取し、例えば、両者の測定データを平均化する等の操作を行うことが好ましい。尚、この際の締め込みの圧下位置の範囲に対応する荷重の範囲は、圧延操業で負荷される可能性のある最小の圧延荷重よりやや小さい荷重から、圧延操業で負荷される最大の圧延荷重よりやや大きい荷重とすることが好ましい。
【0033】
次に、ロール回転状態で、圧下装置を左右同時圧下モードで操作し、キスロール締め込み状態で所定の圧下位置まで締め込み(ステップS13)、ロール回転状態のままで、左右同時圧下モードで圧下装置を一定量だけ締め込み、左右の圧下位置、上下・左右のロードセル荷重および上下作業ロールのスラスト反力を測定する(ステップS14)。上記のステップS10〜ステップS12と同様に、所定の圧下位置水準のデータ採取が完了するまで上記ステップS14を繰り返し(ステップS15)、本ステップが完了であれば、一連のデータ採取は終了となる。
【0034】
次に、ステップS10〜12で採取したロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータ、すなわち、各圧下位置条件に対する上下・左右のロードセル荷重と、上下作業ロールのスラスト反力の測定値を使用して、補強ロールおよび作業ロールに作用するロール軸方向の力の平衡条件式とモーメントの平衡条件式に基づき、ロール回転停止状態における各圧下位置条件に対する上下補強ロールのスラスト反力、各ロールに作用するスラスト力および線荷重分布の左右差を演算する(ステップS20)。このような演算の具体的方法については、例えば、特開平10−263656号公報に開示されている方法を用いることができる。すなわち、図8に示すような4段圧延機におけるキスロール締め込み時の各ロールに作用するロール軸方向の力と各ロールのモーメントに関係する力の模式図を参照することにより、次のように演算される。図8より、上補強ロール、上作業ロール、下作業ロール、下補強ロールのロール軸方向の力の平衡条件式はそれぞれ次のようになる。
−TWB T =TB T (1)
WB T −TWW=TW T (2)
WW−TWB B =TW B (3)
WB B =TB B (4)
【0035】
また、上補強ロール、上作業ロール、下作業ロール、下補強ロールのモーメントの平衡条件式は次式で与えられる。
WB T ・(DB T /2+hB T )+pdf WB T (lWB T 2 /12
=Pdf T ・aB T /2 (5)
WB T ・DW T /2+TWW・DW T /2−pdf WB T (lWB T 2 /12
+pdf WW(lWW2 /12=0 (6)
WB B ・DW B /2+TWW・DW B /2+pdf WB B (lWB B 2 /12
−pdf WW(lWW2 /12=0 (7)
WB B ・(DB B /2+hB B )−pdf WB B (lWB B 2 /12
=−Pdf B ・aB B /2 (8)
ここで、Pdf T 、Pdf B は、上、下の圧延荷重測定用ロードセルの出力の左右差、TW T 、TW B は、上、下の作業ロールに作用するスラスト反力、TB T 、TB B は上、下の補強ロールチョックに作用するスラスト反力、TWB T は上作業ロール〜上補強ロール間に作用するスラスト力、TWWは上下作業ロール間に作用するスラスト力、TWB B は下作業ロール〜下補強ロール間に作用するスラスト力、pdf WB T は上作業ロール〜上補強ロール間の線荷重分布の左右差、pdf WB B は下作業ロール〜下補強ロール間の線荷重分布の左右差、pdf WWは上下作業ロール間の線荷重分布の左右差、DB T 、DB B 、DW T 、DW B は、それぞれ上、下の補強ロール直径、上、下の作業ロール直径であり、lWB T 、lWW、lWB B は、それぞれ上補強ロール〜上作業ロール接触領域、上下作業ロール接触領域、下補強ロール〜下作業ロール接触領域のロール軸方向長さである。また、hB T 、hB B は上、下の補強ロールに作用するスラスト反力の作用点位置と補強ロール軸心位置との距離であり、例えば、既知のスラスト力を与えて補強ロール反力変化を観察することで予め同定しておく。尚、式(5)および(8)では、式(1)および(4)を用いてTB T およびTB B を消去している。以上の式(1)〜(8)を各圧下位置条件に対して、連立して解くことにより、未知数である上下補強ロールのスラスト反力TB T 、TB B 、各ロールに作用するスラスト力TWB T 、TWW、TWB B および線荷重分布の左右差pdf WB T 、pdf WB B 、pdf WWが演算される。
【0036】
次に、上記ステップS20の演算結果より、各圧下位置条件における補強ロールおよび作業ロールの変形量(ロールたわみ、ロール扁平)の左右差を含め計算し、各圧下位置条件に対するロール系の変形量を演算する(ステップS21)。このようにロール系の変形量を具体的に演算する方法は、特公平4−74084号公報に開示されている方法等によって、上記ステップS20の演算結果よりロール間の荷重分布が求められているので、補強ロールおよび作業ロールのたわみ変形および偏平変形を左右差を含めて計算することができ、これらの変形の結果として補強ロールの圧下支点位置に生じる変位を計算することができる。
【0037】
次に、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータの圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、上記ステップS21のロール系の変形量を差し引き、ハウジング・圧下系の変形特性を左右独立に演算する(ステップS22)。圧延機全体の変形量は圧下位置変化で評価されているので、これより上記圧下支点位置におけるロール系の変形量を差し引き、ハウジング・圧下系の変形特性を左右独立に演算する。尚、作業側および駆動側のハウジングおよび圧下系の変形量をΔ0 W 、Δ0 D とすると、作業側および駆動側の圧延荷重用ロードセルの出力のうち、上下のどちらか一方の出力を基準荷重PW 、PD とすると、Δ0 W 、Δ0 D は離散的関数として次式のように表現できることになる。
Δ0 W =Δ0 W (PW ) (9)
Δ0 D =Δ0 D (PD ) (10)
このようにロール間スラスト力の正確な同定に基づくロール変形計算を実施することで、ハウジング・圧下系の変形特性を、その左右差を含めて正確に把握することが可能になる。
【0038】
次に、ステップS13〜15で採取したロール回転状態のキスロール締め込みデータより、上記ステップ20〜ステップ21と同様の演算処理を行い、各圧下位置条件に対するロール系の変形量を演算する(ステップS23)。さらに、ロール回転状態におけるキスロール締め込みデータの圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、上記ステップS23のロール系の変形量および上記ステップS22のハウジング・圧下系の変形特性を差し引き、補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に抽出する(ステップS24)。
【0039】
以上のように、本発明の請求項1の方法では、スラスト力の影響を考慮し、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側および駆動側で独立に抽出するという手続きを採用するので、圧延機の変形特性の左右非対称性については極めて正確に同定することが可能になる。
【0040】
尚、上記のステップS13〜15と同様のロール回転状態におけるキスロール締め込み測定を、ロール回転数を数水準変えて実施し、ステップS23〜24の演算を実施することにより、ロール回転数毎の補強ロール軸受けの変形特性を求めることができる。この場合、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性τW 、τD は、ロール回転数nと圧延荷重の離散的関数として、次式のように表現することができる。
τW =τW (PW ,n) (11)
τD =τD (PD ,n) (12)
【0041】
図2は、本発明の請求項2のディクリース作業ロールベンディング装置を有する板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第2の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャートであり、圧延機のハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側と駆動側別に同定する方法を示している。
【0042】
先ず、ロール回転状態およびディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力が無負荷の条件で圧下装置を左右同時圧下モードで操作し、キスロール締め込み状態で所定の圧下位置まで締め込む(ステップS30)。尚、この時のディクリースベンディング力は、無負荷の条件が好ましいが、設備の制約上で困難な場合は、無負荷に近い条件を設定する。次いで、ロール回転状態およびディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力が無負荷の条件のままで、左右同時圧下モードで圧下装置を一定量だけ締め込み、左右の圧下位置、上下・左右のロードセル荷重および上下作業ロールのスラスト反力を測定する(ステップS31)。所定の圧下位置水準のデータ採取が完了するまで上記ステップS31を繰り返す(ステップS32)。圧下位置水準および締め込み荷重の範囲は、図1で示した方法と同程度であることが好ましい。
【0043】
次に、ロール回転状態およびディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力が負荷の条件で、圧下装置を左右同時圧下モードで操作し、キスロール締め込み状態で所定の圧下位置まで締め込む(ステップS33)。尚、この時のディクリースベンディング力は、ステップS30〜ステップS32の測定時と異なる負荷条件で、可能な限り大きな負荷を与えるのが好ましい。ロール回転状態およびディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力が負荷の条件のままで、左右同時圧下モードで圧下装置を一定量だけ締め込み、左右の圧下位置、上下・左右のロードセル荷重および上下作業ロールのスラスト反力を測定し(ステップS34)、上記のステップS30〜ステップS32と同様に、所定の圧下位置水準のデータ採取が完了するまで上記ステップS34を繰り返し(ステップS35)、本ステップが完了であれば、一連のデータ採取は終了となる。
【0044】
次に、ステップS30〜32で採取したディクリースベンディング力が無負荷の条件におけるキスロール締め込みデータより、図1のステップS20〜ステップS21と同様の演算処理を行い、各圧下位置条件に対するロール系の変形量を演算し(ステップS40)、ディクリースベンディング力が無負荷の条件におけるキスロール締め込みデータの圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、上記ステップS40のロール系の変形量を差し引き、ロール系の変形量以外の変形特性データを左右独立に抽出する(ステップS41)。 次に、ステップS33〜35で採取したディクリースベンディング力が負荷の条件におけるキスロール締め込みデータより、図1のステップS20〜ステップS21と同様の演算処理を行い、各圧下位置条件に対するロール系の変形量を演算する(ステップS42)。次いで、ディクリースベンディング力が負荷の条件におけるキスロール締め込みデータの圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、上記ステップS42のロール系の変形量を差し引き、ロール系の変形量以外の変形特性データを左右独立に抽出する(ステップS43)。
【0045】
次に、上記ステップS41およびステップS43で演算されたロール系の変形量以外データをそれぞれ比較することによって、ディクリースベンディング力の変化量に対する作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形増分と補強ロール軸受けの変形増分との比を演算する(ステップS44)。最後に、上記ステップS44において演算された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形増分と補強ロール軸受けの変形増分との比に基づき、上記ステップS41において演算されたロール系の変形量以外のデータから、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を左右独立に分離、抽出する(ステップS45)。
【0046】
以上のように、本発明請求項2の方法によれば、ロール回転停止状態におけるキスロール締め込みデータが利用できない場合においても、スラスト力の影響を考慮し、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を作業側および駆動側で独立に抽出するので、圧延機の変形特性の左右非対称性については極めて正確に同定することが可能となる。
【0047】
また、図2に示したキスロール締め込み測定および同定演算を、ロール回転数の水準を変えて実施することにより、ロール回転数毎に補強ロール軸受けの変形特性を同定することができ、(11)、(12)式で示したようなロール回転数と圧延荷重の関数として表現できる。ただし、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性に関してもロール回転数の水準毎に得られることになるが、本来、ロール回転数とは無関係の特性であるので、これら別々に得られたものを平均化して、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性を算出すれば良い。
【0048】
尚、上記の変形特性同定方法においては、ディクリースベンディング力のみの変更の場合、大きなディクリースベンディング力負荷では、特に締め込み荷重が低い条件で作業ロールと補強ロールがロール胴長全体で接触しなくなると考えられ、このような場合、ロールプロフィールの計算値と実測値との相違によってロール変形量に計算誤差が入り、ハウジング・圧下系変形特性の推定精度が悪くなる危険性がある。そこで、このような問題を避けるには、作業ロールチョックへの負荷が平衡するようにディクリースベンディング力の変更量と同じ大きさだけインクリースベンディング力を負荷することが好ましい。ただし、補強ロールチョックが作業ロールチョックを抱き込んでいる形式の圧延機の場合は、ディクリースベンディング力と平衡するようにインクリースベンディング力を負荷したのでは、補強ロールのアーム部(補強ロールを抱き込んでいる部分)で閉じた形になってしまい、ハウジング・圧下系への負荷と補強ロール軸受けの負荷に差を付けることにならない。したがって、このような圧延機形式の場合、上記のようなインクリースベンディング力の負荷は行わない。
【0049】
本発明の請求項3の補強ロールバランス装置を有する板圧延機の変形特性同定方法の4段圧延機の場合の好ましい第3の実施形態は、図2のアルゴリズムを示すフローチャートにおいて、ディクリースベンディング力を補強ロールバランス力に置き換えたものと同じ実施形態になる。ただし、本発明の請求項3の変形特性同定方法では、図6および図7に示すように、補強ロールバランス装置12a、12bを有し、ディクリース作業ロールベンディング装置11a、11bがハウジングに固定されたプロジェクトブロックに配備されている形式の圧延機に適用される。図6および図7に示すように、ディクリース作業ロールベンディング装置がハウジングに固定されたプロジェクトブロックに配備されている場合、ロードセル荷重と補強ロール軸受けに作用する荷重は常に等しくなるので、ディクリースベンディング力によって、ハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性とを分離することができなくなるが、図6および図7に示すように、補強ロールバランス装置もプロジェクトブロック内蔵となる場合は、補強ロールバランス力を変化させることによって、前述のディクリースベンディング力と同様の負荷を補強ロールチョックに与えることが可能となる。
【0050】
尚、上記のようにプロジェクトブロック形式の補強ロールバランス装置の場合、補強ロールバランス力のみを変更したのでは、その力の変更分はハウジングの上部または下部のみで閉じる形となりハウジングポストの負荷は変化しないので、通常のロードセル荷重変化に場合に比べて圧延機の変形は異なる変形パターンとなってしまい、ハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性の分離精度が悪化する危険が高くなる。このような状況を避けるには、補強ロールバランス力の変化と同じだけディクリースベンディング力およびインクリースベンディング力を変化させることが好ましい。
【0051】
図9は、本発明の請求項4の板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第4の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャートであり、本発明の請求項1、請求項2または請求項3記載の板圧延機の変形特性同定方法で同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性に基づき、圧延荷重測定用ロードセルの感度を較正し、この較正値に基づき、圧延機のハウジング・圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を再同定する方法を示している。
【0052】
以下、図9を参照しながら、本発明の第4の実施形態を説明するが、ここでは簡単のため、上下・左右の圧延荷重用ロードセルの出力のうち、基準荷重PW 、PD に関する感度の較正方法について説明する。尚、基準荷重の上下を変更することによって、もう一方の圧延荷重測定用ロードセルの感度を同様に較正することができるので、上下双方の圧延荷重測定用ロードセルの感度の較正する場合は、下記に示す方法を基準荷重の上下を変更して繰り返し実施すれば良い。
先ず、較正された圧延荷重測定ロードセルの作業側および駆動側の出力値 QW、QD を次式のように定義することにする。
W = aW * PW + bW (13)
D = aD * PD + bD (14)
ただし、aW 、aD は作業側および駆動側の圧延荷重の感度補正値、bW、bD は作業側および駆動側の圧延荷重の零点補正値である。
【0053】
本発明の請求項1、請求項2または請求項3記載の板圧延機の変形特性同定方法で同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性よりキスロール締め込み時の最大荷重を含む高荷重領域のデータを抽出し(ステップS60)、圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の増分に対する圧延荷重の増分比、すなわち、圧延機の作業側および駆動側の剛性KW、KD を次式から演算する(ステップS61)。
W = dPW/dΔ0 W (PW min <PW < PW max ) (15)
D= dPD/dΔ0 D (PD min <PD < PD max ) (16)
ここで、PW min、PD min は、剛性を算出する圧延荷重の領域を示す作業側および駆動側の最小圧延荷重を示し、PW max 、PD max は、上記領域の作業側および駆動側の最大圧延荷重を示す。尚、上記の式(9)、(10)は、離散的関数であるので、例えば、最小自乗法による直線近似等によって、KW 、KD を求める。
【0054】
図10は、図4、5に示した同等の設備が備わった実機ホットストリップミル仕上圧延機の作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の同定結果の例を示している。上記手順に従って算出した場合、圧延機の作業側および駆動側の剛性KW、KD は下記式のようになる。
W = 730tonf/mm (PW min ≒500、PW max ≒700) (17)
D = 580tonf/mm (PD min ≒500、PD max ≒700) (18)
このようにして得られた剛性KW、KD に基づき、これらの値が作業側および駆動側で一致するように、あるいは過去算出した値と比較し、それと一致するように作業側および駆動側の圧延荷重測定用ロードセルの感度補正値aW 、aD を較正する。
【0055】
上記で求めた圧延荷重測定用ロードセルの感度補正値aW 、aD に基づき、請求項1、請求項2または請求項3記載の同定方法で採取したキスロール締め込みデータの圧延荷重測定用ロードセルの出力値の感度を較正する。尚、この際、圧延荷重測定用ロードセルの零点補正値bW、bD も求める場合は、例えば、特許第2601975号公報で開示されているロールベンディング力を負荷し、ロールベンディング力と圧荷重測定用ロードセルの出力値との対応関係を分析する方法を用いて、本発明で求めた感度補正値aW 、aD を使用して零点補正値bW、bD のみを求めても良い。このように圧延荷重測定用ロードセルの出力値を較正した後、請求項1、請求項2または請求項3記載の同定方法を用いて、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を再演算する(ステップS63)。尚、この際、基準荷重の上下を変更して、もう一方の圧延荷重測定用ロードセルの感度を較正し、上下双方の圧延荷重測定用ロードセルの感度を補正した上で、上記と同様に圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を再演算しても良い。
【0056】
図3は、本発明の請求項5記載の板圧延機の圧延方法であって、第5の実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャートであり、第1〜第4のいずれかの実施形態による方法で同定した作業側および駆動側の圧延機ハウジング・圧下系の変形特性と、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性を用いて最適な圧下レベリングを設定する方法の例を示している。
【0057】
先ず、これから圧延しようとする圧延材の板幅、入側板厚、目標とする出側板厚、圧延速度、熱間圧延の場合には圧延温度を含む変形抵抗特性値等の圧延条件を入力する(ステップS50)。次いで、入力された圧延条件と、作業ロール直径、作業ロールの弾性定数等の圧延機側の条件を考慮して圧延荷重を予測計算する(ステップS51)。
【0058】
次に、上記圧延荷重の計算値、圧延速度から、第1、第2、第3または第4の実施形態による方法で同定した作業側および駆動側の圧延機ハウジング・圧下系の変形特性と、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性に基づき、ロール系以外の板圧延機の変形量を作業側および駆動側個別に演算する(ステップS52)。さらに上記圧延荷重からロール系の変形量を計算して、この変化量と上記ロール系以外の板圧延機の変形量から、作業側端部と駆動側端部におけるロールギャップ変化を計算する(ステップS53)。最後に、上記ロールギャップ変化の計算値と、板厚の左右差すなわち板厚ウェッジの目標値とから、圧下レベリング設定値を計算し、これに基づいて圧下レベリング設定を実行する(ステップS54)。ここで、目標とする板厚ウェッジは、通常は左右対称な板厚分布すなわち板厚ウェッジ零であるが、入側板厚に無視できない板厚ウェッジが存在し、これを1パスの圧延で矯正した場合、蛇行やキャンバーあるいは平坦度不良が発生すると判断された場合は、零以外の板厚ウェッジ目標を設定することも好ましい。
このように、圧延機の変形特性を左右非対称性を含めて正確に計算して圧下設定を実施することによって、板幅中央部板厚と板厚ウェッジの双方において圧延材頭部より優れた精度を実現できることになる。
【0059】
また、圧延実行中に動的な圧下レベリング制御を実施する場合は、例えば、昭和55年度塑性加工春季講演会(1980)pp.61〜64に発表されている論文「ホットストリップ圧延における蛇行制御方法の研究(第1報)」(中島、菊間、松本、梶原、木村、田川著)において定義されている第1種平行剛性と第2種平行剛性を用いて、圧延実行中の圧延荷重変動の左右測定値等の測定データより、圧延材の板厚ウェッジの変動を予測し、これを所望の値にするための圧下レベリング制御量を、作業側および駆動側の圧延機ハウジング・圧下系の変形特性と、補強ロール軸受けの変形特性に基づき演算し、制御を実施する。このような制御を実行することにより、圧延中に発生する変動要因によって発生する蛇行や板厚ウェッジを実用上問題のないレベルに抑えることが可能となる。尚、このような制御を実施する場合に、本発明の請求項4の方法で演算した圧延荷重測定用ロードセルの感度補正値を使用して、圧延荷重を適切に較正した上で、上記圧下レベリング制御を実施することで、更に高精度な制御が実現できることは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】
本発明によって、従来技術に比べて、はるかに正確な板圧延機の変形特性が同定でき、そして圧下位置の設定および制御が実施できることになり、その結果、圧延操業における蛇行や通板トラブルの発生頻度を大幅に低減し、さらに圧延材のキャンバーや板厚ウェッジも大幅に低減することが可能となるので、圧延に要するコスト削減と品質向上を同時に達成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の請求項1の板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第1の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャート。
【図2】本発明の請求項2のディクリース作業ロールベンディング装置を有する板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第2の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャート。
【図3】本発明の請求項5の板圧延機の圧延方法であって、第5の実施形態によるアルゴリズムを示すフローチャート。
【図4】本発明の好ましい実施の形態を説明するための圧延設備の作業側からの側面図。
【図5】図4の正面図。
【図6】本発明の請求項3の好ましい実施形態を説明するための圧延設備の作業側からの側面図。
【図7】図6の正面図。
【図8】4段圧延機におけるキスロール締め込み時の各ロールに作用するロール軸方向の力と各ロールのモーメントに関係する力の模式図。
【図9】本発明の請求項4の板圧延機の変形特性同定方法であって、4段圧延機の場合の好ましい第4の実施形態のアルゴリズムを示すフローチャート。
【図10】実機ホットストリップミル仕上圧延機の作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の同定結果において、剛性を比較する高荷重域の範囲の例を示す図。
【符号の説明】
1…4段圧延機
2…ハウジング
3a、3b…作業ロール
4a、4b…補強ロール
5a、5b、5c、5d…作業ロールチョック
6a、6b、6c、6d…補強ロールチョック
7a、7b、7c、7d…圧延荷重測定用ロードセル
8a、8b…スラスト反力測定用ロードセル
9a、9b…圧下装置
10a、10b…インクリース作業ロールベンディング装置
11a、11b…ディクリース作業ロールベンディング装置
12a、12b…補強ロールバランス装置
13a、13b…パスライン高さ調整用ライナー
14a、14b…キーパプレート
15a、15b、15c、15d…圧延荷重測定用ロードセルの出力
16…上作業ロール〜上補強ロール間線荷重分布
17…上下作業ロール間線荷重分布
18…下作業ロール〜下補強ロール間線荷重分布

Claims (5)

  1. 4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、ロール回転停止状態とロール回転状態のそれぞれにおいて、圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、先ず、該ロール回転停止状態のキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、該ロール系の変形量を分離し、作業側および駆動側のそれぞれの圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性を抽出し、次に、該ロール回転状態のキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から、該ロール系の変形量と前記圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性を分離し、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性を抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法。
  2. ディクリース作業ロールベンディング装置を有する4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、該ディクリース作業ロールベンディング装置のディクリースベンディング力を2水準変えて負荷し、それぞれの負荷条件において、ロール回転状態で圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、該ディクリースベンディング力が異なるそれぞれのキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から該ロール系の変形量を分離し、該ロール系の変形量以外の抽出されたそれぞれのデータを比較することによって、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を分離し抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法。
  3. 補強ロールバランス装置を有する4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法であって、該補強ロールバランス装置の補強ロールバランス力を2水準変えて負荷し、それぞれの負荷条件において、ロール回転状態で圧下装置を操作してキスロール締め込みを実施し、複数の圧下位置条件に対して、該板圧延機の上下の少なくとも一方または双方の作業側および駆動側に配備されている圧延荷重測定用ロードセルの出力と、作業側および駆動側の圧下位置の測定値と、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロールの軸方向スラスト反力の測定値、または、上下のうちいずれか一方若しくは双方の作業ロール及び中間ロールの軸方向スラスト反力の測定値を同時に採取し、該補強ロールバランス力が異なるそれぞれのキスロール締め込みデータについて、各圧下位置条件に対応するロール系の変形量を計算し、圧下位置変化で評価される圧下支点位置における圧延機全体の変形量から該ロール系の変形量を分離し、該ロール系の変形量以外の抽出されたそれぞれのデータを比較することによって、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と補強ロール軸受けの変形特性を分離し抽出し、作業側および駆動側の圧延機の変形特性を独立に同定することを特徴とする4段以上の多段板圧延機の変形特性同定方法。
  4. 請求項1、請求項2または請求項3記載の板圧延機の変形特性同定方法であって、前記同定方法で同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性の増分に対する圧延荷重の増分比が所定の値になるように、上下のどちらか一方または双方の作業側および駆動側の圧延荷重測定用ロードセルの感度の較正値を算出し、該較正値に基づき、作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と、補強ロール軸受けの変形特性を再算出することを特徴とする板圧延機の変形特性同定方法。
  5. 板圧延機の圧延方法であって、請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の板圧延機の変形特性同定方法によって同定された作業側および駆動側の圧延機ハウジングおよび圧下系の変形特性と、作業側および駆動側の補強ロール軸受けの変形特性に基づき、圧延実行時の作業側および駆動側の圧下位置設定値および/または圧下位置制御量を演算すること特徴とする板圧延機の圧延方法。
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