JP3547328B2 - 板圧延機および板形状制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、個別に荷重検出および圧下制御可能な分割バックアップロールを備えた板圧延機および板形状制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、3分割以上に分割された分割バックアップロールのそれぞれについて荷重分布を検出して、圧延材〜ワークロール間の荷重分布を推定し、推定した荷重分布に基づいて板形状を制御する板圧延機が注目されている(例えば、特開平5−48375号公報参照)。この板圧延機では、原理的に圧延機出側で板形状を計測してフィードバックする必要はなく、したがって時間遅れなく直接的に板形状を制御することができる。この板圧延機によれば、良好な板品質、つまり良好な板プロフィルおよび平坦度を得ることができる。以下、このような板圧延機を知能型板圧延機という。
【0003】
また、特開平6−262228号公報には、知能型板圧延機の圧延制御方法が示されている。
第i分割バックアップロールに作用する荷重をqi 、その位置に対応する圧延材〜ワークロール間荷重をpi とし、ワークロール軸心たわみの変形マトリクスをKW ij、バックアップロール系の変形マトリクスをKB ij、ロールクラウンの形式で表現したワークロールプロフィルをCW i 、分割バックアップロールプロフィルをCB i 、上ワークロール軸心たわみをYW i とすると、分割バックアップロールとワークロールの適合条件より、式(1)が得られる。
【数1】
式(1)において、ワークロールベンダーは圧延荷重分布qi に影響を及ぼす。したがって、ワークロールベンダーがある場合には力の釣合いと、モーメントの釣合いの条件を考慮する必要がある。
なお、この明細書の数式では、同添字の繰り返しがある場合にはアインシュタインの総和規約を用いて表現する。また、KB ijは第j分割バックアップロールに単位荷重が負荷された時の第i分割バックアップロールの変位を表す影響係数マトリクスである。影響係数マトリクスKB ijは、ハウジングの変形およびワークロール〜分割バックアップロールの接触による両ロールの偏平変形を含めた変形マトリクスを表す。KB ij、KW ij、YW i はすべてミルセンターからの相対位置のみを抽出する。
【0004】
一方、上ワークロール軸心たわみYW i は、変形マトリクスKW ijおよび圧延材〜ワークロール間に作用する圧延荷重分布pi を用いて、次の式(2)で表される。
【数2】
式(1)、式(2)よりYW i を消去し、整理すると式(3)が得られる。
【数3】
上式の右辺で、[KB +KW ]−1 ijはKB +KW ijの逆マトリクスである。
【0005】
ところで、圧延荷重pi は、一般に、入側板厚H、出側板厚h、変形抵抗k、摩擦係数μ、平均入側張力σb 、平均出側張力σf 、板形状を表現する伸びひずみ差Δεの関数であり、式(4)で与えられる。
【数4】
ここで、ロールバイト中の変形抵抗kおよび摩擦係数μは、板幅方向にほとんど一定であり、計算および実験で求めることができる。入側板厚H、出側板厚h、平均入側張力σb 、および平均出側張力σf は所望とする圧延条件を入力することによって与えられる。したがって、式(4)より目標とする伸びひずみ差Δεを代入すれば、目標板形状が得られるための圧延荷重pi が求められる。
【0006】
この圧延荷重pi を式(3)に代入することによって、目標板形状が得られるための各分割バックアップロールの荷重qi が求められる。このようにして、所望の圧延荷重pi となるように、各分割バックアップロールの荷重分布を制御する。
【0007】
ただし、この圧延荷重の調整方法では、第i番目の分割バックアップロールの変位を変えると、上ワークロールに作用する力が変化するため、基本的にはすべての分割バックアップロールの荷重が変化する。したがって、分割バックアップロールの荷重分布を所望の荷重分布と一致させることはかなり困難である。このため、オペレータは高い熟練度が要求される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記知能型板圧延機では、分割バックアップロールの分割数を多くすればするほど、異なる方向の形状制御ベクトルが増え、ワークロール〜バックアップロール間の荷重分布をより多く検出できるので、形状制御能力および形状推定精度が高くなる。しかし、次のような問題があった。
【0009】
各分割バックアップロールには、それぞれ独立した圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置が必要である。したがって、分割バックアップロール数が増えると、設備費が高くなる。形状制御能力を落とすことなく、設備費を低減する技術として、特開平6−262211号公報に開示された技術がある。この技術では、ワークロールの中央部付近に位置する分割バックアップロールの胴長を端部寄りに位置するものより長くするものである。
【0010】
ところで、上記知能型板圧延機は基本的に小径ワークロールを用いるので、分割バックアップロールはワークロールのギャップをロール端で小さくする(端伸びにする)方向には有効である。しかし、ワークロールのギャップをロール端で大きくする(中伸びにする)方向は次第に分割バックアップロールとワークロールとが非接触になって行き、最終的には中央3個の分割バックアップロールのみの接触となり、これ以上の形状制御は不能となる。特に狭幅の圧延材では、板幅内で作用する分割バックアップロールの数が少なくなるので、形状制御特性が悪くなる。端伸びがある程度小さくなると、修正できなくなる。したがって、上記特開平6−262211号公報に開示された技術は、狭幅の圧延材には効果がなく、中および広幅(ワークロール胴長の約1/2以上の板幅)の圧延材に限られる。なお、ワークロールおよび/またはバックアップロールに凸クラウンを設けることによって、板形状を中伸び側にシフトすることができる。しかし、板幅や材質によってクラウン量を変える必要があるので、ロールの保有本数および組替え作業が増す。したがって、コストアップや生産性の阻害をもたらす。
【0011】
この発明は、狭幅から広幅まで広い板幅範囲にわたって形状制御可能であり、コストダウンおよび生産性向上を図ることができる板圧延機および形状制御方法を提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の板圧延機はいずれも、上下少なくとも一方のロールアセンブリーがロール軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構となっている。また、分割バックアップロールならびに分割バックアップロールごとに設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニットが、インナーハウジングにそれぞれ独立して取り付けられている。
【0013】
この発明の第1の板圧延機は、上下ワークロールにベンディング力を加えるワークロールベンディング装置を備えている。分割バックアップロール圧下位置を制御するとともに、ワークロールベンディング装置を操作してワークロール胴長方向のギャップ分布を制御することにより、狭幅から広幅まで広い板幅範囲にわたって良好な板形状を得ることができる。
【0014】
この発明の第1の板圧延機による板形状制御方法は、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびにワークロールベンディング力とに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロール圧下位置およびワークロールベンディング力を制御する。分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびにワークロールのベンディング力とにより推定した板形状に基づいて、分割バックアップロール圧下位置およびベンディング力を制御するので、高い精度で板形状を制御することができる。
【0015】
この発明の第2の板圧延機は、ワークロールの少なくとも一方がクラウン可変ロールとなっている。分割バックアップロール圧下位置を制御するとともに、ワークロールクラウンを変化させてワークロール胴長方向のギャップ分布を制御することにより、狭幅から広幅まで広い板幅範囲にわたって良好な板形状を得ることができる。
【0016】
この発明の上記第2の板圧延機による板形状制御方法は、分割バックアップロールで支持されたワークロールがクラウン可変ロールであって、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびに圧延時に検出または推定したクラウン可変ワークロールのクラウンに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロールの圧下位置およびクラウン可変ワークロールのクラウンを制御する。分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびにクラウン可変ワークロールのクラウンに基づいて推定した板形状に基づいて、分割バックアップロール圧下位置およびクラウン可変出力を制御するので、高い精度で板形状を制御することができる。
【0017】
この発明の上記第2の板圧延機による他の板形状制御方法は、分割バックアップロールで支持されたワークロールに向かい合うワークロールがクラウン可変ロールであって、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置に基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロールの圧下位置およびクラウン可変ワークロールのクラウンを制御する。この発明の板形状制御方法も、高い精度で板形状を制御することができる。
【0018】
この発明の第3の板圧延機は、非分割型バックアップロールがクラウン可変ロールとなっている。分割バックアップロール圧下位置を制御するとともに、非分割型バックアップロールクラウンを変化させてワークロール胴長方向のギャップ分布を制御することにより、狭幅から広幅まで広い板幅範囲にわたって良好な板形状を得ることができる。
【0019】
この発明の上記第3の板圧延機による板形状制御方法は、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重と圧下位置とに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロールの圧下位置および非分割型バックアップロールのクラウンを制御する。分割バックアップロールの荷重と圧下位置とに基づいて推定した圧延時の板形状に基づいて、分割バックアップロール圧下位置および非分割型バックアップロールのクラウンを制御するので、高い精度で板形状を制御することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の知能型板圧延機の概略を示している。図2は、図1に示す知能型板圧延機の主要部を模式的に示している。
知能型板圧延機10は、ミルハウジング11内に上下のインナーハウジング12、13が昇降可能に支持されている。上のワークロール20は、ワークロールチョック15を介して上のインナールハウジング12に上下および水平方向に変位可能に支持されている。また、下のワークロール21はワークロールチョック15を介して下のインナールハウジング13に上下方向に変位可能に支持されている。
【0021】
3組の入側分割バックアップロール・ユニット27および4組の出側分割バックアップロール・ユニット28がそれぞれ、板幅方向(図2で左右方向)に一列となって上インナーハウジング12に独立して取り付けられている。入出側分割バックアップロール・ユニット27、28はそれぞれ、分割バックアップロール33、34、圧下装置36、荷重検出装置37および圧下位置検出装置38からなっている。上ワークロール20と、入出側分割バックアップロール列30、31とは、逆ピラミッド型に配置されている。また、入側分割バックアップロール33と出側分割バックアップロール34は、図2に示すように板幅方向に交互に配置されている。圧下装置36は、荷重検出装置37を介し各分割バックアップロール33、34にそれぞれ独立して圧下力を加える。圧下装置36は、例えば油圧シリンダーが用いられる。荷重検出装置37は、各分割バックアップロール33、34に加わる圧下荷重を検出する。荷重検出装置37として、例えばロードセルが用いられる。また油圧シリンダーの圧力を検出して、圧下荷重を求めてもよい。圧下位置検出装置38は、分割バックアップロール33、34の基準位置(例えば無負荷時のロール位置)からの変位を検出する。例えば、容量形変位センサー、誘導形変位センサーなどで、圧下装置36のシリンダー位置を検出する。
【0022】
下インナーハウジング13には、一体型、つまり非分割型の下バックアップロール40が支持されている。上インナーハウジング12はパスライン調整装置17により昇降され、圧延材Sのパス位置が調整される。下インナーハウジング13は、圧下装置18により圧下力が加えられる。知能型板圧延機10の前後には板巻戻し装置42および板巻取り装置43が配置されている。
【0023】
上下のワークロール20、21のチョック15の間に、ワークロールベンディング装置25が設けられている。ワークロールベンディング装置25は、インクリースおよびディクリースまたは双方のいずれであってもよい。
【0024】
上記のように構成された知能型板圧延機10において、圧延時に分割バックアップロール33、34ごとに荷重および圧下位置(または変位)を検出するとともに、ワークロール20、21に作用するベンディング力を検出する。検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびにベンディング力とに基づいて圧延時の板形状をモデル式により推定する。モデル式は、あらかじめ実験によって求めておく。推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロール33、34の圧下位置およびワークロール20、21のベンディング力を制御する。
【0025】
上記実施の形態では、上下のワークロール20、21のチョック15の間に、ワークロールベンディング装置25が設けられていた。このワークロールベンディング装置25を設けずに、ワークロール20、21の少なくとも一方をクラウン可変ロールとしてもよい。クラウン可変ロールとして、例えば液圧キャビティー式、テーパーピストン式などが用いられる。
【0026】
上ワークロール20がクラウン可変ロールの場合、圧延時に検出した分割バックアップロール33、34の荷重および圧下位置、ならびに圧延時に検出または推定した上ワークロール20のクラウンに基づいて圧延時の板形状を推定する。そして、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロール33、34の圧下位置および上ワークロール20のクラウンを制御する。上ワークロール20のクラウンを検出するには、例えばレーザー距離計などのプロフィルメーターを用いる。また、上ワークロール20のクラウンを推定するには、クラウン可変出力(キャビティー液圧、ピストン位置など)に基づき、モデル式を用いて推定する。モデル式は、あらかじめ実験によって求めておく。
【0027】
下ワークロール21がクラウン可変ロールの場合、つまりワークロールが分割ワークロール33、34に接触しない場合、圧延時に検出した分割バックアップロール33、34の荷重および圧下位置に基づいて圧延時の板形状を推定する。そして、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロール33、34の圧下位置および下ワークロール21のクラウンを制御する。
【0028】
また、ワークロールベンディング装置25を設けずに、非分割バックアップロール40を上記形式のクラウン可変ロールとしてもよい。この場合は、圧延時に検出した分割バックアップロール33、34の荷重と圧下位置とに基づいて圧延時の板形状を推定する。そして、推定結果に基づいて目標板形状となるように分割バックアップロール33、34の圧下位置および非分割型バックアップロール40のクラウンを制御する。
【0029】
なお、上記実施の形態では、分割バックアップロール・ユニットは2組であったが、これを3組としてもよい。下バックアップロールは非分割バックアップロールであったが、この発明の第1および第2の知能型板圧延機においてこれを分割バックアップロールとしてもよい。
【0030】
ここで、目標形状を得るための各分割バックアップロールとワークロールベンディング力あるいは各分割バックアップロールとワークロールクラウンの修正量を求める方法について述べる。
前記式(3)より、分割バックアップロールにクラウンをあらかじめ機械的に付けること(すなわち分割バックアップロールの径を変えること)、そのクラウンと同じ量の変位を各分割バックアップロールに与えることは等価であることがわかる。さらに、分割バックアップロールに接するワークロールにクラウンをあらかじめ機械的に付けること、そのクラウンと同じ量の変位を各ワークロールに与えることは等価であることがわかる。
【0031】
このような性質と式(3)の変形マトリクス等を用いて所望の荷重分布pi となる各分割バックアップロールの変位とワークロールベンディング力とを制御する方法が、第1の板圧延機による板形状制御方法である。各分割バックアップロールの変位とワークロールのクラウンとを制御する方法が、第2の板圧延機による板形状制御方法である。また、下ワークロールのクラウンを制御して式(4)のΔεを変化させる方法が、第2の板圧延機による、もう一つの板形状制御方法である。さらに、下バックアップロールのクラウンを制御して、式(4)のΔεを変化させる方法が、第3の板圧延機による板形状制御方法である。
【0032】
上ワークロールと各分割バックアップロールとの間には、それぞれのロール中心を結ぶ方向にqi ′の力が作用しており、y軸方向(鉛直方向)には分力qi の力が作用している。上ワークロールには、y軸方向にベンディング力がワークサイドにはFW 、ドライブサイドにはFD が作用している。さらに、上ワークロールと圧延材との間には荷重pi が作用している。
【0033】
qi とqi ′の関係は、例えば7分割の場合、式(5)で与えられる。qi ′は、各分割バックアップロールに設けられている荷重検出装置によって直接検出される。なお、角度θd 、θe は上ワークロールと各分割バックアップロールとのそれぞれのロール中心を結ぶ方向線と水平方向との線の成す角度で、反時計回りに測定した角度である(図3参照)。これら角度θd 、θe は、幾何学的に求まる。
【数5】
また、y軸方向の力の釣合いから式(6)が得られる。
【数6】
式(3)に各分割バックアップロールの変位の垂直方向の変位(圧下位置)ui をも考慮すると式(7)が得られる。
【数7】
式(7)において、各分割バックアップロールの垂直方向の変位ui 以外は既知数である。したがって、式(7)をui について解くと、次の式(8)が得られる。
【数8】
【0034】
つぎに、目標板形状を得るための各分割バックアップロールの圧下位置およびワークロールベンディング力、または各分割バックアップロールの圧下位置およびワークロールクラウンの修正量を求める方法について述べる。
まず、圧延中の各分割バックアップロールの荷重分布qio′、変位(圧下位置)uo およびベンディング力FW 、FD 、または圧延中の各分割バックアップロールの荷重分布qio′、変位uo 、およびワークロールクラウンCW ioを検出する。式(5)を用いることによって、qio′からqioは容易に求まる。
【0035】
圧延中の圧延材〜ワークロール間に作用する圧延荷重分布pioは、式(8)をpi について解いた式(9)から求めることができる。
【数9】
上式の右辺で、[KW ]−1 ijはKW ijの逆マトリクスである。
【0036】
つぎに、式(4)に目標とする伸びひずみ差Δεiaimを代入すれば、目標板形状が得られるための圧延荷重piaimが求められる。式(7)に上述の圧延荷重piaimと各分割バックアップロールの変位uiaimとベンディング力FW 、FD を入力または各分割バックアップロールの変位uiaimとワークロールクラウンCW i を入力することにより、目標板形状が得られる各分割バックアップロールの荷重分布qiaimが求められる。
【0037】
しかし、uiaimとベンディング力またはuiaimとワークロールクラウンが未知であるので、これらの値は一義的には求まらない。なお、ベンディング力およびロールクラウンは、あらかじめ板形状の推定値に応じて制御するパターンを決定してやればよい。式(7)において、方程式の数は7個であり、未知数の数は14個であるので、7個の方程式の数が不足している。
【0038】
そこで、垂直方向と水平方向の力とモーメントの釣合いを考慮する。圧延機の幅方向のロール中心からワークサイド方向にz軸を取り、各分割バックアップロールの座標をzi と定義する。
垂直方向の力の釣合いから式(10)が得られる。
【数10】
水平方向の力は、各分割バックアップロールの中心と結ぶ線がx軸となす角度をθi (iはdまたはe)で表すと、qiaim/tan θi となるので、力の釣合いから式(11)が得られる。
【数11】
垂直方向のモーメントの釣合いから、ベンダーの支点間距離をax とすると式 (12)が得られる。
【数12】
水平方向のモーメントの釣合いから式(13)が得られる。
【数13】
【0039】
ところで、圧延荷重は平均張力や平均圧下率が同じであるから、式(14)が得られる。
【数14】
さらに、uiaimの動きを規定する条件を定める。例えば、u3aimはu4aimとu2aimの平均値を用い、u5aimはu4aimとu6aimの平均値を用いるものと規定すると、式(15)、式(16)が得られる。
【数15】
【数16】
式(10)から式(16)より、新たに7つの方程式が得られた。したがって、これらの式と式(7)から得られる次の式(17)を用いて連立方程式を解くことによって、uiaimとqiaimが得られる。
【数17】
【0040】
以上のことから、現状の分割バックアップロールの荷重分布qioを所望の荷重分布に制御するための、各分割バックアップロールの垂直方向の変位の修正量Δui は次式から求めることができる。
【数18】
式(18)で、この制御量が限界値を超えた場合には、前述したベンディング力およびロールクラウンの予め板形状の推定値に応じて制御するパターンを変更し計算し直して決定してやればよい。また、下ワークロールあるいは下バックアップロールのクラウンを変更した場合には荷重分布が変わる。しかし、圧延荷重は定量的に事前に予想することはできない。したがって、あらかじめ板形状の推定値に応じてこれらのクラウンを制御するパターンを決めておき、微調整は上述した方法で分割バックアップロールの変位で行えばよい。
【0041】
【実施例】
図1および図2に示す知能型板圧延機で、次の場合についてそれぞれ形状制御範囲の試験を行った。
▲1▼ ワークロールベンディング装置を用いる。ベンディング力は10tf/chockである。
▲2▼ 下ワークロールにテーパーピストン式クラウン可変ロールを用いる。クラウン可変ロールの中央部凸クラウンは約500μm である。試験前に、テーパーピストンとロールプロフィールとの関係を求めておく。
▲3▼ 下バックアップロールに液圧キャビティ式クラウン可変ロールを用いる。クラウン可変ロールの中央部凸クラウンは約1500μm である。試験前に、作動油圧力とロールプロフィルとの関係を求めておく。
【0042】
圧延機の仕様および圧延条件を表1に示す。
【表1】
【0043】
図1および図2に示す知能型板圧延機で、ワークロールベンディング装置、およびクラウン可変ロールを用いない場合(従来技術)の板形状制御範囲を図4に示す。図4で、λ4 は板クォーター部と板中央部における張力差(クォーター部の伸び)を表し、λ2 は板端部と板中央部における張力差(板端伸び)を表している。狭幅(600mm)の圧延材Sを従来技術により圧延した場合、下限値(λ2 =20 kgf・mm−2、λ4 =10 kgf・mm−2)以下に板形状を制御することはできなかった。板形状は、図1に示す知能型板圧延機10の出側デフレクターロールに設けた接触式形状検出器45で計測した。
【0044】
図5は、この発明により圧延した場合の板形状制御範囲を示している。図5において、第1象限は端伸びを、第3象限は中伸びをそれぞれ表わしている。図5によれば、この発明の場合、板形状制御範囲の下限値を従来の値より更に下げることができ、良好な板形状を得ることができる。
【0045】
【発明の効果】
この発明の板圧延機は、ワークロールベンディング装置を備え、またはワークロールもしくは非分割バックアップロールをクラウン可変ロールとしているので、広い板幅範囲にわたって良好な板形状を得ることができる。この結果、ロールの保有本数および組替え作業が減り、製造コストの低減および生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の知能型板圧延機の概略側面図である。
【図2】図1に示す知能型板圧延機の主要部を模式的に示す正面図である。
【図3】上ワークロールに作用する荷重を模式的に示す図である。
【図4】従来技術により圧延した場合の板形状制御範囲を示す線図である。
【図5】この発明により圧延した場合の板形状制御範囲を示す線図である。
【符号の説明】
10 知能型板圧延機
11 ミルハウジング
12、13 インナーハウジング
15 ワークロールチョック
20、21 ワーク
25 ワークロールベンディング装置
27、28 分割バックアップロール・ユニット
30、31 分割バックアップロール列
33、34 分割バックアップロール
36 油圧シリンダー
37 荷重検出装置
38 ロール位置検出装置
40 下(非分割)バックアップロール
45 接触式形状検出器
S 圧延材
Claims (7)
- 上下少なくとも一方のロールアセンブリーがロール軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構であり、前記分割バックアップロールならびに分割バックアップロールごとに設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニットが、インナーハウジングにそれぞれ独立して取り付けられた板圧延機において、前記上下ワークロールにベンディング力を加えるワークロールベンディング装置を備えていることを特徴とする板圧延機。
- 請求項1記載の板圧延機において、圧延時に検出した前記分割バックアップロールの圧下荷重および圧下位置、ならびにワークロールベンディング力とに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように前記分割バックアップロール圧下位置およびワークロールベンディング力を制御することを特徴とする板形状制御方法。
- 上下少なくとも一方のロールアセンブリーがロール軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構であり、前記分割バックアップロールならびに分割バックアップロールごとに設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニットが、インナーハウジングにそれぞれ独立して取り付けられた板圧延機において、ワークロールの少なくとも一方がクラウン可変ロールであることを特徴とする板圧延機。
- 前記分割バックアップロールで支持されたワークロールがクラウン可変ロールである請求項3記載の板圧延機において、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置、ならびに圧延時に検出または推定したクラウン可変ワークロールのクラウンに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように前記分割バックアップロールの圧下位置および前記クラウン可変ワークロールのクラウンを制御することを特徴とする板形状制御方法。
- 前記分割バックアップロールで支持されたワークロールに向かい合うワークロールがクラウン可変ロールである請求項3記載の板圧延機において、圧延時に検出した分割バックアップロールの荷重および圧下位置に基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように前記分割バックアップロールの圧下位置および前記クラウン可変ワークロールのクラウンを制御することを特徴とする板形状制御方法。
- 一方のロールアセンブリーがロール軸方向に3分割以上に分割された分割バックアップロールによってワークロールを支持する機構であり、前記分割バックアップロールならびに分割バックアップロールごとに設けられた圧下装置、荷重検出装置、および圧下位置検出装置からなる複数の分割バックアップロール・ユニットが、インナーハウジングにそれぞれ独立して取り付けられており、他方のロールアセンブリーのバックアップロールが非分割型である板圧延機において、前記非分割型バックアップロールがクラウン可変ロールであることを特徴とする板圧延機。
- 請求項6記載の板圧延機において、圧延時に検出した前記分割バックアップロールの荷重と圧下位置とに基づいて圧延時の板形状を推定し、推定結果に基づいて目標板形状となるように各分割バックアップロール圧下位置および前記非分割型バックアップロールのクラウンを制御することを特徴とする板形状制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP33612498A JP3547328B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 板圧延機および板形状制御方法 |
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JP33612498A JP3547328B2 (ja) | 1998-11-26 | 1998-11-26 | 板圧延機および板形状制御方法 |
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