JPH0568578A - テアニンの製造方法 - Google Patents
テアニンの製造方法Info
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- JPH0568578A JPH0568578A JP26312091A JP26312091A JPH0568578A JP H0568578 A JPH0568578 A JP H0568578A JP 26312091 A JP26312091 A JP 26312091A JP 26312091 A JP26312091 A JP 26312091A JP H0568578 A JPH0568578 A JP H0568578A
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Abstract
12の条件下でグルタミナーゼを作用させることを特徴
とするテアニンの製造方法であり、該グルタミナーゼは
Pseudomonas属の微生物から得られる酵素を使用するこ
とができる。また、ニッケル、コバルト、カドミウムま
たは亜鉛の存在下でグルタミナーゼを作用させるとさら
に効率良くテアニンを合成することができる。 【効果】本発明によって新規なテアニンの効率的な製造
方法を提供し、簡易かつ工業的有利な生産を可能とする
ことができる。
Description
(以下、テアニンという)の新規な製造方法に関する。
は玉露の旨味の主要成分として知られ、茶をはじめとす
る食品の香味物質として重要な物質である。また一方、
テアニンを含めてγ−グルタミル誘導体は、動・植物体
における生理活性物質として作用することが指摘されて
いる。例えば、Chem. Pharm. Bull., 19(7) 1301-1307
(1971), 同19(6), 1257-1261(1971), 同 34(7), 3053
-3057 (1986), 薬学雑誌, 95(7), 892-895 (1975) に
は、テアニンやグルタミンがカフェインによって誘発さ
れる痙攣に拮抗することが報告されており、このことか
らこれらの化合物が中枢神経系に作用することが考えら
れ、生理活性物質としての有用性が期待されている。
アニンを含有する玉露の生産用茶園において得られる茶
葉乾燥物より抽出する方法が一般的である。しかし、こ
の場合、テアニンは茶葉乾燥物あたりわずか1.5%前
後程度しか蓄積されず、また一般の煎茶用茶園では光合
成が活発であるため、ほとんど蓄積されないのが実情で
ある。従って、茶葉乾燥物からの抽出法では工業的に実
用的ではないことが指摘されている。
発が期待されており、その一つとして、テアニンを化学
的に有機合成する方法が報告されている(Chem. Pharm.
Bull., 19(7) 1301-1307 (1971))。しかし、このよう
な有機合成反応では収率が低く、生成物の分離精製等に
おいて煩雑な操作を必要とするという問題点が指摘され
ている。また、特公昭63−28596号公報では酵母
が糖の醗酵の際に生成するATPを利用して、グルタミ
ン合成酵素の存在下でグルタミン酸からテアニンを合成
する方法が開示されている。しかしながら、該公報に開
示されている方法は酵母の至適pHが中性(6〜8)で
あるのに対して、グルタミン合成酵素によるテアニン合
成反応の至適pHが10〜11であるために両反応を組
み合わせることは容易ではなく、実施が困難であること
が指摘されている。
加水分解してグルタミン酸とアンモニアを生成するが、
ヒドロキシルアミンを加えて反応条件を選ぶことによ
り、γ−グルタミルヒドロキサム酸を生成することが知
られている(S.C. Hartman, Journal of Biological Ch
emistry, 243巻, 853 〜863 ページ, 1968年)。しか
し、このようなグルタミナーゼを用いてテアニンを製造
する方法は知られていない。従って、本発明の目的は簡
易かつ工業的有利にテアニンを製造する方法を提供する
ことにある。
を解決するために、前記のヒドロキシルアミンをエチル
アミンに置き換えて種々実験を重ねた。その結果、特定
の反応条件下においてグルタミナーゼを反応させること
により、意外にもテアニンを得ることができることを見
い出し、本発明を完成するに到った。即ち、本発明の要
旨は、グルタミンとエチルアミンの混合物にpH9〜1
2の条件下でグルタミナーゼを作用させることを特徴と
するテアニンの製造方法に関する。
で行う必要がある。これはpHが9より小さいと図1に
示すようにグルタミンの加水分解反応が大きくなるため
テアニンの合成が抑えられ、pHが12より大きくなる
と図2に示すようにグルタミナーゼの安定性が悪くなる
ためテアニンの合成が進まなくなる。
来に特に限定されるものではなく、例えば微生物由来の
ものとしては、 Pseudomonas属等の細菌、Saccharomyce
s 属等の酵母、Aspergillus 属等のかび等の由来の酵素
が挙げられる。ここで、 Pseudomonas属の微生物として
は、Pseudomonas nitroreducens, Pseudomonas aptata,
または Pseudomonas denitrificans等が好適な例として
挙げられる。また、グルタミナーゼのその他の由来とし
ては、植物、動物などであってもよい。
うな物理化学的性質を有するものである。 (1)作用 pH9〜12の条件下ではグルタミンのγ位の転移反応
を触媒し、グルタミンとエチルアミンの反応によりテア
ニンを合成する。pH9未満の条件下では主としてグル
タミンを加水分解してグルタミン酸を生成する。 (2)基質特異性 グルタミンを基質とする。 (3)至適pHおよび安定pH テアニン合成の至適pHは9〜12(図1参照)、安定
pHは45℃、10分間の熱処理ではpH11.5まで
安定である(図2参照)。 (4)至適温度および安定温度 至適温度は35〜40℃、安定温度はpH11の条件
下、10分間の熱処理では40℃まで安定である(図2
参照)が、数時間から数十時間に及ぶ反応では反応温度
を30℃とすることが好ましい。至適温度は温度条件を
10、20、30、35、40、50℃に設定した場合
のテアニン生成量(30℃における生成量を100とす
る)が、それぞれ22、52、100、147、15
0、12であることに基づくものである。
ナーゼ活性の影響は、ニッケル、コバルト、カドミウ
ム、または亜鉛の存在下で酵素反応を行うと、グルタミ
ナーゼによってグルタミンが加水分解されてグルタミン
酸を生成する反応は抑制されるが、テアニンの合成には
直接影響を与えない。即ち、加水分解活性の測定にはL
−γ−グルタミルp−ニトロアニリド(pH9)を、転
移反応活性の測定にはL−グルタミン+エチルアミン
(pH11)を用いてなされた試験では、表1に示され
るように、ニッケル、コバルト、カドミウム、または亜
鉛の存在下で酵素反応を行うと、グルタミンが加水分解
されてグルタミン酸を生成するのは抑制され、テアニン
の合成には直接影響を与えていない。
ム、または亜鉛の存在下で反応させるとグルタミン酸の
生成が抑制されているので、その分より効果的にテアニ
ンを合成することができる。例えば、このニッケルを実
際の反応液に添加した場合、図3に示されるようにニッ
ケル添加によってテアニンの生成は増加し、グルタミン
酸の生成は抑制されている。
チルアミンを1.5Mに固定し、グルタミン濃度を0.
1〜0.7Mの範囲で反応させてホウ酸緩衝液(Na2
B4 O7 −NaOH、pH11)中、30℃で1〜7時
間反応させて求めた(グルタミナーゼの使用量は1.0
U/ml)。図4に示されるように0.7Mグルタミ
ン、5時間で約280mM(約50g/L)のテアニン
が生成しており、5時間以降では加水分解を受けて減少
する傾向が見られる。この結果からすると、グルタミン
濃度は0.3〜0.7Mが好ましく、グルタミンからの
転換率及び最大生成量を考慮すると、なかでもグルタミ
ン濃度0.3M付近が最適である。なお、テアニン生成
におけるグルタミンに対するKm値は約20mMであ
る。
グルタミンを0.3Mに固定し、エチルアミン濃度を2
Mの範囲まで変化させた場合、1M以上の濃度でテアニ
ンの生成量が一定となる。即ち、グルタミンを0.3M
に固定し、エチルアミン濃度を2Mの範囲まで変化さ
せ、ホウ酸緩衝液(pH11)中、30℃で5時間反応
させて求めた。図5に示されるようにエチルアミンは1
M以上の濃度でテアニンの生成量が一定となる。なお、
エチルアミンに対するKm値は約130mMである。
間との関係は、ホウ酸緩衝液(pH11)中、30℃で
0.3Mグルタミン及び1.5Mエチルアミンをグルタ
ミナーゼ0.05〜0.5U/mlの範囲で23時間ま
で反応させた場合、図6に示されるように0.1〜0.
3U/mlでは直線的に増加し、時間を引き延ばすこと
である一定の生成量に達する。
反応をおこなうためには、pH9〜12の条件下におい
て、グルタミン濃度は通常0.3〜0.7M、エチルア
ミン濃度はグルタミン0.3Mに対して通常1.0M以
上が好ましい。また、グルタミナーゼ量は反応時間が1
0時間未満の場合は通常0.8〜1.0U/ml程度、
10時間〜30時間の場合は0.3〜0.4U/mlが
好ましい。また、反応時間が数時間以上の場合、反応温
度は通常30〜35℃が好ましい。このようにして得ら
れるテアニンの反応液からの単離精製は、通常の公知の
方法が用いられ、例えば溶媒分配および各種クロマトグ
ラフィー、HPLCを組み合わせることにより容易に行
うことができる。
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもので
はない。 グルタミナーゼの調製例 (a)Pseudomonas nitroreducens IFO 12694 の培養 グルタミン酸ナトリウム0.6%、酵母エキス0.1
%、グルコース1.0%、KH2 PO4 0.05%、
K2 HPO4 0.05%、MgSO4 ・7H2 O
0.07%、EDTA−Fe 0.01%を含む培養液
(pH7)を用いて、30リットル容のジャーファメン
ター(30℃、通気1vvm=25リットル/min、
回転数2,000rpm)中、Pseudomonas nitroreduc
ens IFO 12694 株を約20時間培養した。 (b)無細胞抽出液 175リットル分の菌体を洗浄後、30mMリン酸カリ
ウム緩衝液(pH7.0)7.5リットルに懸濁し、5
〜20℃で超音波破砕し、無細胞抽出液を得た。 (c)硫酸アンモニウム分画 7%アンモニア水でpHを7に調整しながら硫酸アンモ
ニウム分画を行ない、45〜90%飽和画分を得た。こ
れを0.01Mリン酸カリウム緩衝液に溶かし、同緩衝
液に対して透析した。 (d)DEAE−セルロースカラムクロマトグラフィー 透析酵素液を0.01Mリン酸カリウム緩衝液で緩衝化
した。次にDEAE−セルロースカラム(15×60c
m)に吸着させ、グルタミナーゼを0.1Mの食塩を含
む緩衝液で溶出した。
ミナーゼを得ることができるが、さらにCM−セルロー
スカラムクロマトグラフィー、セファデックスG150
カラムクロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトカ
ラムクロマトグラフィー、ブチルトヨパールカラムクロ
マトグラフィーを行うことにより、ディスク電気泳動的
に単一な標品が得られる。精製率は250倍、回収率は
10%である。
緩衝液(Na2 B4 O7 −NaOH、pH11)中、
0.3U/mlグルタミナーゼにて30℃、22時間反
応させた。反応液1リットルより225mmoleのテ
アニンを単離した。なお、副生成物のグルタミン酸は2
0mmoleであった。テアニンの反応液からの単離精
製は、反応液をDowex50×8、Dowex1×2
カラムクロマトグラフィーにかけ、これをエタノール処
理することにより行った。
ーパークロマトグラフィーにかけると、標準物質と同じ
挙動を示し、塩酸あるいはグルタミナーゼで加水分解処
理を行うと、1:1の割合で、グルタミン酸とエチルア
ミンを生じた。このように、単離物質がグルタミナーゼ
によって加水分解されたことから、エチルアミンがグル
タミン酸のγ位に結合していたことが示される。また、
加水分解で生じたグルタミン酸がL型であることも、グ
ルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GluDH)により確認
された。図7はテアニンのIRスペクトルであり、標
品、単離物質ともに同一のスペクトルが得られた。これ
らのことから、単離物質がテアニンであることが確認さ
れた。
し、同条件で反応を行ったところ、反応液1リットルよ
り240mmoleのテアニンを単離した。なお、副生
成物のグルタミン酸は10mmoleであった。
な製造方法を提供し、簡易かつ工業的有利な生産を可能
とすることができる。
適pHを示す図である。
度を示す図である。
響を示す図である。
影響を示す図である。
の影響を示す図である。
時間との関係を示した図である。
のIRスペクトルを示した図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 グルタミンとエチルアミンの混合物にp
H9〜12の条件下でグルタミナーゼを作用させること
を特徴とするテアニンの製造方法。 - 【請求項2】 ニッケル、コバルト、カドミウムまたは
亜鉛の存在下でグルタミナーゼを作用させる請求項1記
載の製造方法。 - 【請求項3】 グルタミナーゼが Pseudomonas属の微生
物から得られる酵素である請求項1または2記載の製造
方法。 - 【請求項4】 請求項3記載の Pseudomonas属の微生物
が、Pseudomonas nitroreducens, Pseudomonas aptata,
または Pseudomonas denitrificansである請求項3記載
の製造方法。
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1991
- 1991-09-14 JP JP26312091A patent/JPH0755154B2/ja not_active Expired - Fee Related
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