JPH0562983B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

(A) 産業上の利用分野 本発明は銀錯塩拡散転写法による平版印刷版の
印刷性の耐刷枚数を向上させる為の処理方法に関
するものである。 (B) 従来技術及びその問題点 平版印刷版の製版法に適した銀塩拡散転写法の
代表的な実施法によれば、支持体及びその上にハ
レーシヨン防止を兼ねた下引層、ハロゲン化銀乳
剤層、物理現像核層からなる感光材料を画像露光
し、現像処理を行うと潜像が形成されているハロ
ゲン化銀は、乳剤層中で黒化銀となる。 同時に潜像が形成されていないハロゲン化銀
は、現像処理液中に含まれるハロゲン化銀錯化剤
の作用で溶解し、感光材料の表面に拡散してく
る。溶解し拡散してきた銀錯塩が表面層の物理現
像核の上に現像主薬の還元作用によつて銀画像と
して析出する。得られた銀画像のインキ受容性を
強化させる為に現像処理に続いて必要ならば感脂
化処理が施された後、オフセツト印刷機にセツト
され印刷物へとインキ画像が転写される。 この様な写真的な複製方法の一つである銀錯塩
拡散転写法によつて得られる銀画像をオフセツト
印刷版として用いることができるようにした印刷
版は、既に特公昭46−43132号あるいは、特許公
報昭48−30562号に記載されている。 拡散転写法による現像処理製版した印刷版は、
高感度、高解像力及び高い画像再現性という特徴
を有するが、他の実用化されている印刷版（例え
ばPS版）等と比較して耐刷力の点において劣つ
ており、これを向上させた印刷版が要望される。 その後、該耐刷性を向上させる為に、現像処理
工程の転写銀粒子の生成条件、例えば銀錯塩の拡
散損速度、安定度又は、還元速度などの因子に着
目して、錯化剤や添加剤を検討した該印刷版用処
理液として特公昭56−1057号が報告されている
が、充分満足できる耐刷性を得ていない。 係る印刷版の耐刷性特に印刷画像再現性の劣る
点は、それを写真処理して製版する工程、とりわ
け現像処理工程に強く依存している。即ち転写現
像された銀画像の状態や現像処理後の微視的見地
から各層のバインダー（例えば乳剤層のゼラチ
ン）の形態などが印刷特性及び画像再現性に影響
する大きな要因となり、それは転写銀粒子の析出
形態や生成条件、更に強アルカリ処理に依る各バ
インダーに与える構造性や耐刷圧強度が重要な因
子となつているからである。 実用的な該印刷版の耐刷力は、印刷を重ねた時
の画像やけい線の再現能において、200（線／イン
チ）以上の５％の網点画像の耐刷実用限界が500
枚前後であり、また原稿のけい線が50μｍ以下の
場合反射焼きの宿命として光散乱によつて印刷版
上の再生したけい線が細る為、印刷中に版上の銀
が飛び細線の再現が不可能となる。ところが本発
明で用いる後硬膜処理によつて、該５％網点画像
及び細線の再現性を実現させることができる。 更に本発明の様な画像補強を実現する方法とし
て印刷版作製時において硬膜剤を増量して耐刷強
度を増加することが考慮されるが、該方法は、現
像抑制効果や印刷汚れの発生を起こし、採用する
ことができなかつた。 (C) 発明の目的 本発明では、係る印刷版の耐刷力、特に５％網
線画像及び50μｍ以下の細線の耐刷枚数を極めて
向上させる為の方法である。 (D) 発明の構成 本発明は、支持体上に少なくともハロゲン化銀
乳剤層及び物理現像核層を有する材料を銀錯塩拡
散転写法による平版印刷版とする為の処理法で作
製に際し、を画像露光、現像処理後、硬膜剤を含
有する処理液で処理する事を特色とする平版印刷
版製版法である。 ここで言う硬膜剤とは、アルデヒド硬膜剤、Ｎ
−メチロール硬膜剤およびクロルトリアジン硬膜
剤から選ばれる少なくとも１種の硬膜剤を含有す
るPH５から８の溶液をつくり、製版後の印刷版を
この溶液に浸して絞り込み、更に乾燥することに
よつて該印刷版を耐刷性が著しく向上する。 本発明の特徴は、印刷版の強アルカリ処理によ
つて乳剤層のゼラチン硬膜構造に乱れを生じ、そ
れに伴つて膜質が低下している上に若干アルカリ
性を帯びている。それ故に乳剤層のPHを下げ、硬
膜構造を一様に再生して印刷版表面の銀の耐刷圧
強度を向上させることにある。 本発明の実施に用いることのできる好ましい化
合物の例としては、次の様なものを挙げることが
できるが、化合物としては、これらに限定される
ものではない。

【表】

【表】 ただしM^Iは１価の金属イオン（アンモニウム
イオンも含む）である。又この硬膜剤の使用量は
１当り10^-3〜10^-1Mが好ましい。 本発明の実施に用いられる平版印刷版のハロゲ
ン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、塩ヨ
ウ化銀、塩臭ヨウ化銀等が使用でき、好ましくは
塩化銀が50モル％以上のハロゲン化銀である。 これらのハロゲン化銀乳剤は、分光増感剤、ゼ
ラチン硬化剤、塗布助剤、カブリ防止剤、可塑
剤、現像剤などの慣用の乳剤添加剤を含むことが
できる。 ハロゲン化銀乳剤の結合剤は、一般にこの目的
に使用される天然及び又は合成結合剤、例えばゼ
ラチン、コロイド状アルブミン、セルロース誘導
体などが使用できる。 ハロゲン化銀乳剤層の下側（支持体面）には、
接着改良用下引層及び又はハレーシヨン防止等の
目的で下塗層を設けることもでき、この層には現
像剤を含むこともできる。 ハロゲン下銀乳剤を塗布する支持体は、紙、各
種のフイルム、プラスチツク、樹脂様物質を塗布
した紙、金層等が使用できる。 物理現像核層に使用される物理現像核は、この
種の薬品の例は、周知であつて、アンチモン、ビ
スマスカドミウム、コバルト、パラジウム、ニツ
ケル、銀、鉛、亜鉛などの金属及びその硫化物が
使用できる。 この物理現像核層にも現像剤を含むことができ
るし、親水性バインダーを含んでも良い。 (E) 実施例 下引処理したポリエステルフイルム支持体の片
面に平均粒子サイズ5μｍのシリカ粒子を含有す
るマツト化層を設け、反対の面にカーボンブラツ
クを含み、写真用ゼラチンに対し20重量％の平均
粒径7μｍのシリカ粉末を含むハレーシヨン防止
用下塗層（PH4.0に調整）と、金化合物で化学増
感された後に平均粒径7μｍのシリカ粉末を写真
用ゼラチンに対して５重量％の割合で含むスペク
トル増感された高感度沃塩化銀乳剤層（PH4.0に
調整）とを設けた。 下塗層のゼラチンは、3.0ｇ／m²、乳剤層のゼ
ラチンは1.0ｇ／m²硝酸銀に換算したハロゲン化
銀1.0ｇ／m²の割合で塗布された。この下塗層と
乳剤層は、硬化剤としてホルマリンをゼラチンに
対して5.0mg／ｇゼラチンの量で含んでいる。乾
燥後40℃で14日間加温した後、この乳剤層の上
に、特開昭53−21602の実施例２に記載の核塗液
（ポリマーは、No.３のアクリルアマイドとイミダ
ゾールとの共重合体、ハイドロキノンは、0.8
ｇ／m²の割合で含む）を塗布、乾燥し、平版印刷
版を製造するハロゲン化銀は、ヨウ化銀２モル％
含む沃塩化銀乳剤（このハロゲン化銀は平均粒径
0.3μｍで、平均粒径の±30％の範囲に全粒子数の
90％以上が分布している立方体の結晶である）を
通常の金増感法及び硫黄増感法による化学熟成を
行つてから乳剤を分割する。 更に増感色素を用いて、パンクロマチツクに色
増感し、上述の方法で平版印刷版を製造した。次
に印刷特性を調べる為にカメラプロセツサーCP
−404−を用い該版上には、ダイレクトコンタ
クトスクリーン（大日本スクリーン製）を密着し
て露光し、現像処理した。 露光後の現像処理は、下記の拡散転写現像液で
行つた。 ＜転写現像液＞ 水 20ｇ 水酸化カリウム 700ml 無水亜硫酸ナトリウム 50ｇ ２−メルカプト安息香酸 1.5ｇ ２−メチルアミノエタノール 1.5ｇ 水で１とする。 現像処理後、該原版を２本の絞りローラー間を
通し、余分の現像液を除去し、直ちに下記組成を
有する中和液で25℃、20秒処理し、絞りローラで
余分の液を除去し、室温で乾燥した。 ＜中和液＞ 水 600ml クエン酸 10ｇ クエン酸ナトリウム 35ｇ コロイダルシリカ（20％液） ５ｇ エチレングリコール ５ｇ 水を加えて全量１とする。 本発明に用いる処理剤を第１表に示す様に所定
量を水で希釈して１とし、PH6.0に調整後、定
着用プロセツサーに該液を満たし、これを用いて
製版済の印刷版を再処理した。 第１表には、本発明の各種処理剤による各印刷
版のインキ受容性、耐刷性（５％網点画像及び
70μｍ以下のけい線の再現能）及び汚れ評価の結
果を示した。 (イ) インキ受容性 版面にインキ付ローラーを接触させると同時
に、紙を送り始め、良好な画像濃度で印刷物が
得られるまでの印刷枚数。 (ロ) 耐刷性 (a) 画像再現耐刷性 3000枚までの印刷を行い、グレイコンタク
トスクリーンについて100、133、150、175、
及び200線／インチのものを使用し、微小網
点（５％ドツト）がしつかりと鮮明に再現で
きた。スクリーン線数によつて評価１（100
線／インチ）〜評価５（200／インチ）の５段
階で表わした。 (b) けい線再現耐刷性 けい線が70、60、50、40、及び30μｍの反
射焼原稿を用いて、3000枚まで印刷を行い、
そのけい線がしつかりと鮮明に再現した太さ
により、評価１（70μｍ〜評価５（30μｍ）の
５段階で表わした。 (ハ) 汚れの（保水性）の評価 3000枚の印刷を行いその時の印刷物の汚れの
程度から以下の３段階で評価した。 (1) 全面的な濃い汚れが発生する。 (2) 部分的もしくは薄い汚れが発生する。 (3) 全く汚れが発生しない。 上記第１表から理解される様に本発明に係る処
理方法は、本発明法を用いない比較試料に比べて
耐刷性の面で極めて向上することができた耐刷枚
数を保持することが分かる。

【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層及
   び物理現像核層を有する、銀錯塩拡散転写法によ
   る平版印刷版を画像露光、現像処理した後、アル
   デヒド硬膜剤、Ｎ−メチロール硬膜剤およびクロ
   ルトリアジン硬膜剤から選ばれる少なくとも１種
   の硬膜剤を含有する処理液で処理することを特徴
   とする平版印刷版用画像の処理法。