JPH0562586U

JPH0562586U - パイル糸

Info

Publication number: JPH0562586U
Application number: JP1053492U
Authority: JP
Inventors: 功根来
Original assignee: 根来産業株式会社
Priority date: 1992-02-01
Filing date: 1992-02-01
Publication date: 1993-08-20

Abstract

(57)【要約】【目的】異なる色彩が点在して霜降調無地模様を形成
したパイル布帛を作る。【構成】太さが略同じで彩色の異なる実質的に無撚の
二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２を引き揃
え、それらを合撚せず引き揃えられた状態で、それらの
マルチフイラメント糸１１・１２の合計デニール（太
さ）の十分の一以下のデニール（太さ）のフイラメント
糸１３を巻き付けて締束した実質的に無撚のパイル糸の
当該二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２の中の
少なくとも一種のマルチフイラメント糸を部分的に色彩
の異なる模様糸とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はパイル面に異なる色彩が点在して霜降調無地模様を形成したパイル布帛に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来霜降調無地模様のタフテッドカーペットを得るには、長さ方向において部分的に異色に染色されたスペースダイ糸をパイル糸に用いてタフテイングする方法が採られている。

【０００３】これに対し本考案者は、スペースダイ糸によらずに霜降調無地模様のタフテッドカーペットを得る方法を考案し、実開昭６３−１４３５９２号をもって開示している。

【０００４】この先願考案は、太さが略同じで色彩の異なる無撚の二種以上の紡績スライバーを引き揃え、それらが合撚されずに引き揃えられた状態で、これらのスライバーの合計デニールの十分の一以下の太さのフイラメント糸を巻き付けて締束した無撚の結束紡績糸を一次基布にタフテイングしてループパイルを形成し、バッキングを施して仕上げることを要旨とするものである。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

この先願考案では、一般に行われる結束紡績糸の製造過程で異色二種のスライバーを引き揃える工程が増えるだけで、スペースダイ糸を用いる従来法のようにニット工程やプリント工程、デニット工程等の複雑な工程を要せず、従って従来法に比して大幅にコストダウンになるが、先願考案の効果はパイルをループパイルにした場合には生じるものの、パイルをカットパイルにする場合には従来のスペースダイ糸を用いた場合にパイル面に現れる杢模様が若干変化した程度の効果しか生ぜず、異色の斑点が細かく分散した霜降調無地模様のカットパイルタフテッドカーペットは得られない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の先願考案に更に工夫を重ねて完成されたものであり、太さが略同じで彩色の異なる実質的に無撚の二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２を引き揃え、それらが合撚されず引き揃えられた状態で、それらのマルチフイラメント糸１１・１２の合計デニール（太さ）の十分の一以下のデニール（太さ）のフイラメント糸１３を巻き付けて締束した実質的に無撚のパイル糸において、当該二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２の中の少なくとも一種のマルチフイラメント糸が部分的に色彩の異なる模様糸としてタフテイングし、カットパイルを形成することを要旨とするものである。

【０００７】マルチフイラメント糸には種々のものがもちいられるが、その二種以上の中の少なくとも一種類のマルチフイラメント糸１２には、繊維が捲縮を有しない単一色に着色された無捲縮のものを用い、他のマルチフイラメント糸１１には、ナイロンとポリエステル繊維のように染色性の異なる繊維を用いるとよく、更に好ましくは、単一色に着色された無捲縮のマルチフイラメント糸１２には原着のポリエステル繊維を用い、それとは染色性の異なるマルチフイラメント糸１１にはナイロンを用いるとよい。

【０００８】本考案において「実質的に無撚」とは、無撚のパイル糸でもコーンの周りを回りながら引き出される場合には若干加撚されるものであり、そのように巻き返し工程等で生じる０．１回／ｃｍ以下の若干の撚は「撚」と見なされず、又、パイル糸がその程度の撚を有するとしても、それによって本考案の効果は左右されるものではないことを意味する。

【０００９】

【考案の効果】

本案のパイル糸１４を構成する二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２は、それぞれ無撚のものであり、パイル糸１４は、それらを加撚せずに引き揃えたまま極細フイラメント糸１３で締束しただけのものである。

【００１０】従って、マルチフイラメント糸１１・１２を構成する繊維１５・１６は混じり合い易い状態にあり、特にタフテイングではパイル糸が激しく振動されるので、それらの繊維は混じり合い易く、タフテイングされてカットパイル１７を形成した時点では、それまで締束していたフイラメント糸１３から解放され、パイル面がそれらの異彩色の繊維１５・１６が混り合った無地模様になり易い。

【００１１】更に本案では、パイル糸１４を構成する少なくとも一種のマルチフイラメント糸１２が部分的に異彩色になっており、その異彩色の各部分１８・１９は、他の繊維１５に囲まれて点在するようにパイル面に現われることになる。

【００１２】特に、単一色に着色されるマルチフイラメント糸１１の繊維が無捲縮で表面がスベスベしたものであれば、パイル糸の繊維１５・１６が一層混り合い易い。

【００１３】そして更に、二種以上のマルチフイラメント糸の染色性が異なり、その中の一種のマルチフイラメント糸を他のマルチフイラメント糸と引き揃えた状態において染色する場合には、染色工程で施される染液や洗浄水によって、繊維が引き揃えられて平行に並んだ状態がかき乱され、異色の繊維１５・１６が細かく混り合うことになる。

【００１４】このため本考案によると、先願考案（実開昭６３−１４３５９２号）よりも異色の斑点が細かく分布しており、色彩に深みを帯びた霜降調無地模様のカットパイルタフテッドカーペット２０を得ることが出来る。

【００１５】一方、本考案に係るパイル糸１４は、マルチフイラメイト糸１１・１２を引き揃えただけのものであって殊更加撚されたものではないが、無撚結束紡績糸と同様に極細フイラメント糸１３で結束しているので、タフテイング時にパイル糸１４が嵩高に膨らんでルーパーから外れたり、毛羽立って抜け出た一部の繊維が毛玉を作ってタフテイングを困難にするような不都合は生じない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るパイル糸の斜視図である。

【図２】本考案に係るパイル糸を用いたタフテッドカー
ペットの斜視図である。

【符号の説明】

１１マルチフイラメント糸１２マルチフイラメント糸１３フイラメント糸１４パイル糸１５繊維１６繊維１７パイル１８異彩色の部分１９異彩色の部分２０タフテッドカーペット

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】太さが略同じで彩色の異なる実質的に無
撚の二種以上のマルチフイラメント糸１１・１２を引き
揃え、それらが合撚されず引き揃えられた状態で、それ
らのマルチフイラメント糸１１・１２の合計デニール
（太さ）の十分の一以下のデニール（太さ）のフイラメ
ント糸１３を巻き付けて締束した実質的に無撚のパイル
糸であり、前記二種以上のマルチフイラメント糸１１・
１２の中の少なくとも一種のマルチフイラメント糸が部
分的に色彩の異なる模様糸であることを特徴とするパイ
ル糸。
【請求項２】前掲請求項１に記載の二種以上のマルチ
フイラメント糸の中の少なくとも一種類のマルチフイラ
メント糸１２が、捲縮を有しない単一色に着色された無
捲縮であり、他のマルチフイラメント糸１１と染色性を
異にするものである前掲請求項１に記載のパイル糸。
【請求項３】前掲請求項２に記載のマルチフイラメン
ト糸１１の繊維がナイロンであり、マルチフイラメント
糸１２の繊維がポリエステル繊維である前掲請求項２に
記載のパイル糸。