JPH0558881A - ヒアルロン酸ゲル及びその製造方法 - Google Patents
ヒアルロン酸ゲル及びその製造方法Info
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- JPH0558881A JPH0558881A JP24049291A JP24049291A JPH0558881A JP H0558881 A JPH0558881 A JP H0558881A JP 24049291 A JP24049291 A JP 24049291A JP 24049291 A JP24049291 A JP 24049291A JP H0558881 A JPH0558881 A JP H0558881A
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Abstract
を特徴とするヒアルロン酸ゲル。 【効果】 生体により容易に分解可能でしかも安全なゲ
ルを提供することができる。
Description
まれるヒアルロン酸を用いて形成したヒアルロン酸ゲル
に関する。
が形成され、食品、医薬、医薬部外品等各種分野に用い
られている。これらのゲル組成物は、特に生体内投与さ
れる場合には、一般に天然物ないし天然物の加工品が用
いられているが、生体に負担を与えずに分解可能なゲル
組成物が望まれる。
は天然物由来の場合にも、その起源が植物である場合が
多く、特に人体に適用される場合には、より人体内成分
に近い成分によるゲルの形成が要望されている。一方、
人体を代表とする生体には、高分子物質としてコンドロ
イチン硫酸或いはヒアルロン酸等が知られており、特に
ヒアルロン酸は微生物による大量生産も可能であり、各
種薬効も有することから、近年注目を集めている。
弾性を有することは知られている(特開昭60−233
101号等)ものの、未だゲル形成に用いることはでき
ないものであった。本発明は前記従来技術の課題に鑑み
なされたものであり、その目的は本来、生体内であるヒ
アルロン酸を用いたゲル及びその製造方法を提供するこ
とにある。
に本発明者らが鋭意検討した結果、生体内成分であるヒ
アルロン酸を特定条件下におくと、ゲルを形成すること
を見出し、本発明を完成するに至った。
ロン酸ゲルは、水性液を含む硬化ヒアルロン酸よりなる
ことを特徴とする。
製造方法は、ヒアルロン酸溶液を、pH2.0〜3.
8、20〜80重量%水溶性有機溶剤存在下におくこと
を特徴とする。
重量%以上の水溶性有機溶剤中に保持されることを特徴
とする。
ルロン酸ゲルを油性基剤でコーティングしたことを特徴
とする。
ゲルの製造方法は、ヒアルロン酸溶液を油性基剤中に分
散させ、攪拌した後、pH2.0〜3.8、20〜80
重量%の水溶性有機溶剤を添加し、ヒアルロン酸をゲル
化することを特徴とする。
造方法は、界面活性剤を添加したヒアルロン酸溶液を、
非水溶性有機溶剤中に分散させることを特徴とする。
る。本発明者らがヒアルロン酸の特性について検討した
ところ、ヒアルロン酸水溶液を低pH下で水溶性有機溶
剤に接触させることによりゲル化することを見出した。
前記水溶性有機溶剤には脱水性もあるが、ゲル形成前の
ヒアルロン酸水溶液よりヒアルロン酸ゲルの方が重量が
減少するとは限らない。このため、単に脱水によるゲル
化とは考えられず、本発明者らは低pH下で水溶性有機
溶剤に接触させた場合に形成されるゲル状ヒアルロン酸
を硬化ヒアルロン酸と呼ぶこととした。
ノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等が
挙げられ、この内人体に対する影響が少ない点等からエ
タノールが好ましい。この水溶性有機溶剤の濃度は20
〜80重量%であることが好適である。20重量%以下
であると、ゲル化が起こらず、80重量%以上であると
ヒアルロン酸が沈殿してしまうことが多い。
3.8が好適である。この範囲を越えるとゲル化が生じ
ず、溶解ないし沈殿を生じてしまうことが多い。
は、水はもちろん、エチレングリコール、グリセリン等
を用いることも可能である。そして、ヒアルロン酸ゲル
には、ヘパリン、コラーゲン等の他の高分子を共存させ
ることによりゲル構造が強化される。また、抗ヒスタミ
ン剤等の薬剤を添加することも可能である。
を施さない場合には、該ヒアルロン酸ゲルを水中に投入
すると徐々に溶解する。しかし、油性物質等でヒアルロ
ン酸ゲルをコーティングすることにより、耐水性が大幅
に向上する。この際に用いられる油性物質には特に制限
がなく、流動パラフィン、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、シリコン油等各種の成分を用いることができる。ま
た、コーティングを施さないヒアルロン酸ゲルは、20
重量%以上、好ましくは45%以上の水溶性有機溶剤中
に保持することが好適である。この状態では極めて長時
間にわたり安定なゲルが維持される。
説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものでは
ない。また配合量は特に指定がない限り、重量%で示
す。
た。すなわち、0.1〜1重量%のヒアルロン酸溶液
を、塩酸添加ないし0.1Mリン酸緩衝液でpHを調製
し粘度を測定した。なお、粘度はE型粘度計を用い、2
5℃で測定した。
緩衝液)に示す。同図より明らかなように、pH0から
急激に粘度が上昇し、pH2.3〜2.5附近で極大値
を示し、pH4附近で極小値を示した後、更に粘度は上
昇する。そこで、本発明者らはpH2.3付近の粘度極
大値に注目し、このpH域でヒアルロン酸が何等かの構
造変化を起こすものと考えて更に検討を進めた。
求される。そこで、本発明者らはゲル形成の一手段とし
て水溶性有機溶剤の添加を試みた。この結果、前述した
特異的pH域を中心として良好なゲルを形成することを
見出した。
ノールを用い、ヒアルロン酸(平均分子量120万)の
濃度を変化させてゲルを形成した場合の、該ゲルのヤン
グ率が示されている。同図より明らかなように、ヒアル
ロン酸濃度1.0%の場合にはpH2.0〜3.3程度
でゲルが形成され、pH2.0より低い場合にはヒアル
ロン酸が沈殿してしまい、pH3.3を越える場合には
溶解してしまう。
はpH2.0〜2.8でゲルが形成され、ヒアルロン酸
濃度0.3%の場合にはpH2.1〜2.6でゲルが形
成されるが、ヒアルロン酸濃度0.1%の場合にはゲル
が形成されない。なお、ゲルのヤング率はいずれのヒア
ルロン酸濃度でも、ゲル形成領域ではpHが低いほど高
くなる傾向にある。
る。すなわち、ヒアルロン酸溶液をエタノール溶液に投
入する前の重量をW0、投入して形成されたゲルの重量
をWとする。従って、W/W0は有機溶剤投入前後での
保水比を示す。
は逆の結果を示し、いずれの濃度領域でもpHが上昇す
るほどW/W0が大きくなる傾向にある。すなわち、p
H2.0〜2.5付近ではW/W0<1であり、ゲル化
により脱水が起きていることが示唆されるが、pH2.
5以上ではW/W0>1であり、50%アルコール水溶
液ではむしろ吸液が行なわれていることが示唆される。
このようにW/W0>1であってもゲル形成が行なわれ
ることから、有機溶剤の添加によるゲル化は単に脱水に
よるものではなく、ヒアルロン酸自体の構造変化が要因
であることが理解させる。
ン酸重量%(ゲル化後:Cf)が示されている。同図よ
り、ヒアルロン酸の濃度が高いほど、またpHが低いほ
ど単位体積当りのヒアルロン酸量は減少しており、含液
率の高いゲルを得ることができる。以上の結果、エタノ
ール50%区ではゲル形成領域はヒアルロン酸濃度が高
いほど広くなるが、ゲル形成が行なわれるpH域は2.
0〜3.3程度である。またヒアルロン酸0.1%では
ゲル化せず、0.3%以上が必要である。
試験を行った。結果を図6〜8に示す。各ゲルの物性の
傾向自体は前記エタノール濃度50%の場合とほぼ同様
であるが、ゲル形成pH領域はむしろヒアルロン酸濃度
が高くなるに従って狭くなる傾向にあり、ヒアルロン酸
濃度1.0%の場合にはpH2.0〜2.8、ヒアルロ
ン酸濃度0.6%の場合にはpH2.0〜3.0、ヒア
ルロン酸濃度0.3%の場合にはpH2.0〜3.8程
度でゲル形成が可能で、更にヒアルロン酸0.1%の場
合にもpH2.3でゲル形成が可能であることが確認さ
れた。なお、エタノール濃度が80%の場合にはゲル形
成領域以上ないし以下のpH濃度ではいずれも沈殿を生
じてしまう。
W/W0は小さくなり、一方脱水が進行することから単
位ゲル容積当りのヒアルロン酸濃度及びヤング率は増加
する。 以上の結果から、ゲル形成に必要なヒアルロン
酸濃度は0.1%が下限であり、ヒアルロン酸濃度0.
3%未満では有機溶剤濃度を80%程度とすることが必
要である。また、ゲル形成の際のpHは2.0〜3.8
程度が好適である。
た。すなわち、20〜100%のエタノール濃度の水溶
液に3N−HClを滴下し、pHを2.35±0.03
に調製した液100mlを、あらかじめビーカーの中にと
った1%ヒアルロン酸(平均分子量120,000)水
溶液5gの上に上層させ、ゲル化させた。
水比及びゲル中ヒアルロン酸濃度の関係が示されてい
る。同図よりエタノール濃度が40%〜80%でゲル形
成が可能であることが理解される。
エタノール濃度が90%程度でもゲル形成が可能である
が、脱水作用によりゲル中ヒアルロン酸濃度は殆ど変化
がなくなってしまう。このため、ヒアルロン酸ゲルを形
成する際の現実的な有機溶剤濃度は40〜80%であ
る。
た。図10にはヒアルロン酸の平均分子量を180万〜
58万とした場合に、pH2.35、エタノール濃度8
0%の条件下に形成されたゲルの特性を示す。同図より
明らかなように、ヤング率はヒアルロン酸の濃度が高い
ほど、また分子量が大きいほど高くなる傾向が強い。
0)は分子量が大きいほど小さくなる傾向にあるが、ヒ
アルロン酸の初期濃度(Ci)への依存は小さいことが
理解される。なお、図12より明らかなように、ゲル単
位容積当り同一のヒアルロン酸濃度であると、ヤング率
はヒアルロン酸の分子量にあまり依存しない。
ゲルの形成方法によれば、生体内に普遍的に存在するヒ
アルロン酸を原料として良好なゲルを形成することがで
き、生体への影響が極めて少ないゲルを提供することが
できる。なお、本発明にかかるヒアルロン酸ゲルは、次
に示すような各種処理が可能である。
でヒアルロン酸水溶液を分散させ、pH調製した有機溶
剤を添加することにより、油性基剤によりコーティング
されたゲルを形成することができ、気中安定性を向上さ
せることも可能である。すなわち、流動パラフィン中に
1%ヒアルロン酸溶液を添加し、ホモミキサーで攪拌す
る。この結果、流動パラフィン中に微細なヒアルロン酸
が分散した状態が得られる。この後、pH2.4の50
%エタノール水溶液を添加して攪拌・放置する。そし
て、余剰の流動パラフィンを除去し、ヒアルロン酸ゲル
を得る。
コーティングされており、空気中に長時間放置してもゲ
ル状態に変化を生じることが少なく、しかもゲルの微細
化(粒子径100μm程度)を得ることができ、更に水
中でも安定であるという利点を有する。
ン酸溶液を分散させ、pH調製した有機溶剤を添加する
ことにより、極めて微細なヒアルロン酸ゲルを形成する
ことができる。すなわち、N−ヘキサン中に、SPAN
20TM(界面活性剤) %を添加した1%ヒアルロン酸
水溶液を投入し、500rpmでスターラ攪拌する。この
結果、N−ヘキサン中に微細なヒアルロン酸溶液が分散
した状態が得られる。そしてpH2.4の50%エタノ
ール水溶液を添加して攪拌・放置する。この後、余剰の
N−ヘキサンを除去し、ヒアルロン酸ゲルを得る。この
場合には、粒子径10μm以下の微細ヒアルロン酸ゲル
を得ることができる。
ゲルは、例えば次のような用途に用いることができる。 (1)新剤型化粧料(マイクロスフィア、球状、紐状、膜
状等) (2)安定なマルチプルエマルジョン(O/W/O型エマ
ルジョン等)への配合 (3)薬剤、保湿剤、コラーゲン等を内包したヒアルロン
酸マイクロスフィア(プレシェーブローション、ネイル
エナメル、ファンデーション等) (4)ヒアルロン酸/抗ヒスタミン剤の非アレルギー粉末
点鼻薬等 (5)ソフトカプセル(2層にして内相に油性薬剤を包合
させる) 次に、これらのヒアルロン酸ゲルを応用したより具体的
な実施例について説明する。
ンジングオイル 蒸留水10g、HCO−60(日本ケミカルズ株式会社
製)1g、流動パラフィン15gより製造したO/W型
エマルジョンに、等量の1%ヒアルロン酸水溶液(分子
量130万)を加えた。次いで、その全量をシリコンオ
イル中に攪拌しながら加え、エマルジョン液滴としたと
ころで、pH2.3の80%エタノールを滴下し、硬化
エマルジョンを得た。これを10%NaOHで中和後、
濾過回収し、真空乾燥して平均粒径500μmの流動パ
ラフィン内包ヒアルロン酸スクラブを得た。別にビーガ
ム(バンダービルト社製)4g、エマルエックス600
−D10(日本エマルジョン株式会社製)8g、流動パ
ラフィン88gより製造したオイルゲルを用意してお
き、これに先の流動パラフィン内包ヒアルロン酸スクラ
ブを分散させ、ヒアルロン酸スクラブ入りクレンジング
オイルを得た。本実施例品は、ヒアルロン酸スクラブを
配合しない場合より洗浄力が向上し、更に水を加えると
ヒアルロン酸が溶け出すため、洗浄後、肌に潤いを与え
ることができる。
ヒアルロン酸マイクロカプセル 1,3−ブチレングリコール25g、純水5g、HCO
−60 2.5gの混合溶液に、ビタミンA−パルミテ
ート5gを溶解した流動パラフィン50gをO/W乳化
した。このエマルジョン20gに等量の1.5%ヒアル
ロン酸を溶解し、更にそれをシリコンオイル中へ攪拌下
に分散した。これにpH2.0の90%エタノールを加
え、エマルジョン液滴を硬化後、20%KOHで中和
し、濾過、エタノール洗浄して、平均粒径200μmの
ビタミンA−パルミテート内包ヒアルロン酸マイクロカ
プセルを調製した。こうして得たマイクロカプセルを流
動パラフィン中に分散させ、50℃保存におけるビタミ
ンA−パルミテートの安定性を調べた。カプセル化せ
ず、流動パラフィンに直接ビタミンA−パルミテートを
溶解した系を対照として、液体クロマトにより残存率を
分析した。その結果、対照の場合、一カ月後には40%
程度しか残存していないのに対し、カプセル化した場
合、80%以上残っていることが確認された。すなわ
ち、カプセル化することでビタミンA−パルミテートの
酸化が抑制された。
ン酸マイクロカプセル ビタミンA−パルミテートの代りにリノール酸エチルを
用いることを除いて、実施例2と同様の操作で、リノー
ル酸エチル内包ヒアルロン酸マイクロカプセルを調製し
た。本カプセルを流動パラフィン中に分散して、50℃
における安定性試験を実施した結果、一カ月後でもリノ
ール酸エチルが95%以上残存することを確認した。す
なわち、実施例2と同様、カプセル化することで酸化が
抑制された。
50メッシュ篩下)1gを1.0%ヒアルロン酸水溶液
10g中に均一に分散し、それを流動パラフィン中に滴
下し、高速で攪拌した。これにpH2.4の60%メタ
ノール水溶液を加え、液滴を固化した後中和し、濾過後
真空乾燥した。こうして得たフマル酸ケトチフェン内包
ヒアルロン酸粉末の平均粒径は約300μmであった。
ルロン酸ゲルによれば、生体により容易に分解可能でし
かも安全なゲルを提供することができる。
Hと粘度の関係を示す説明図である。
ン酸ゲルのヤング率を示す説明図である。
ン酸ゲルの保水比を示す説明図である。
ン酸ゲルの、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
ン酸ゲルのヤング率を示す説明図である。
ン酸ゲルの保水比を示す説明図である。
ン酸ゲルの、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
率、保水比、単位ゲル容積中のヒアルロン酸量を示す説
明図である。
とヤング率の関係を示す説明図である。
と保水比の関係を示す説明図である。
容積中のヒアルロン酸量を示す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 水性液を含む硬化ヒアルロン酸よりなる
ことを特徴とするヒアルロン酸ゲル。 - 【請求項2】 ヒアルロン酸溶液を、pH2.0〜3.
8、20〜80重量%水溶性有機溶剤存在下におくこと
を特徴とするヒアルロン酸ゲルの製造方法。 - 【請求項3】 20重量%以上の水溶性有機溶剤中に保
持されることを特徴とするヒアルロン酸ゲル。 - 【請求項4】 ヒアルロン酸ゲルを油性基剤でコーティ
ングしたことを特徴とするヒアルロン酸ゲル。 - 【請求項5】 ヒアルロン酸溶液を油性基剤中に分散さ
せ、攪拌した後、pH2.0〜3.8、20〜80重量
%の水溶性有機溶剤を添加し、ヒアルロン酸をゲル化す
ることを特徴とするコーティングヒアルロン酸ゲルの製
造方法。 - 【請求項6】 請求項2記載の方法において、界面活性
剤を添加したヒアルロン酸溶液を、非水溶性有機溶剤中
に分散させることを特徴とする微細ヒアルロン酸ゲルの
製造方法。
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---|---|---|---|
JP3240492A JP3051215B2 (ja) | 1991-08-27 | 1991-08-27 | ヒアルロン酸ゲル及びその製造方法 |
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